SBI証券でつみたてNISAを始める方法|メリットと注意点

家族がNISA口座を持ったまま亡くなってしまった場合、どのように相続すればよいのでしょうか。
NISA口座の相続は、通常の証券口座とは異なるルールがあり、手続きを間違えると非課税メリットが失われる可能性があります。
本記事では、NISA口座の相続手続きの流れ、必要書類、税金の計算方法、そして気をつけるべき注意点を詳しく解説します。突然の相続で慌てないよう、基本的なルールと手続きの全体像を理解しておきましょう。
2024年から始まった新NISA制度でも、相続の扱いは基本的に変わりません。
目次
NISA口座は相続できる?
NISA口座を保有していた方が亡くなった場合、口座内の株式や投資信託は相続財産として引き継ぐことができます。
しかし、通常の証券口座とは異なる特別なルールがあるため、まずは基本的な仕組みを理解しておきましょう。
NISA口座で保有していた株式や投資信託などの金融商品は、預貯金や不動産と同様に相続財産に含まれます。
相続人は故人が保有していた資産を引き継ぐことが可能です。ただし、NISA口座そのものを引き継ぐわけではありません。
相続が発生した時点で、故人のNISA口座は閉鎖され、口座内の資産は相続人の口座に移管される仕組みになっています。
NISA口座の資産を相続人のNISA口座に直接移すことはできません。これはNISA制度の重要なルールです。
たとえ相続人がすでにNISA口座を開設していたとしても、相続によって取得した株式等はNISA制度の適用を受けられないのです。
NISA口座は一身専属的な制度であり、口座の開設者が亡くなった時点でその非課税措置は終了します。
相続人が故人のNISA口座の資産を引き継ぐ際は、相続人の特定口座または一般口座のいずれかに移管することになります。
特定口座とは、証券会社が損益計算を代行してくれる口座です。「源泉徴収あり」を選択すれば、証券会社が申告から納税まで行うため、確定申告の手間を省けます。
一方、一般口座は利用者自身が損益計算をして確定申告をする必要があります。手続きの負担を考えると、特定口座への移管をおすすめします。
NISA口座の大きなメリットは、故人が亡くなった日までに発生した含み益については非課税になる点です。
例えば、故人が100万円で購入した株式が相続発生日に150万円になっていた場合、その50万円の含み益には所得税や住民税がかかりません。
通常の課税口座では約20%の税金がかかるところ、NISA口座では相続開始時点までの値上がり益は非課税で引き継げるのです。
ただし、相続発生日以降に受け取った配当金や、相続後に売却して得た利益については課税対象となる点に注意が必要です。
NISA口座の相続手続きは、いくつかのステップに分かれています。
手続きの全体像を把握しておくことで、スムーズに進めることができるでしょう。
まず、故人がNISA口座を開設していた証券会社や銀行などの金融機関に、名義人の死亡を連絡します。
この連絡は、相続人が死亡を知った日以後、遅滞なく行う必要があります。連絡時には、金融機関から必要な書類や具体的な手続きの説明を受けられます。
不慣れな手続きになるため、疑問点はこの時点で質問しておきましょう。また、残高証明書の発行も同時に依頼してください。
残高証明書には、NISA口座で保有する金融商品の銘柄、数量、評価額が詳しく記載されており、正しい相続税額の算出に必要な書類です。
相続手続きを進めるには、多くの書類を提出する必要があります。
金融機関によって細かい要件が異なる場合があるため、事前に確認しましょう。
戸籍謄本は市区町村役場で取得できます。被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍が必要なため、本籍地が変わっている場合は複数の市区町村で取得する必要があります。
遺言書がある場合は遺言書の内容に従って手続きを進めます。遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行い、NISA口座の財産を引き継ぐ相続人を決める必要があります。
金融機関から送られてくる「非課税口座開設者死亡届出書」に必要事項を記入し、添付書類をそろえて提出します。
この届出書は国税庁のホームページ等で用意されているわけではなく、各金融機関から送られてくるものです。金融機関は死亡の事実を知ると、NISA口座の閉鎖手続きを開始します。
故人のNISA口座の資産を移管するには、相続人が同一の金融機関に口座を持っている必要があります。他の金融機関の口座には移せないため、注意が必要です。
相続人が同一の金融機関に口座を持っていない場合は、新たに口座を開設する必要があります。
口座開設には時間がかかる場合もあるため、相続手続きと並行して早めに進めることをおすすめします。
必要書類が金融機関で受理されると、故人が保有していた金融商品を相続人の課税口座(特定口座または一般口座)に移管します。
移管手続きには通常2~3週間程度かかります。
移管される資産の取得日は相続発生日となり、取得価額は相続発生日の時価となる点が重要です。これは通常の相続とは異なる扱いで、故人が購入した時の価格ではなく、相続発生日の株価が新たな取得価額になります。
相続に必要な書類
NISA口座の相続手続きには、さまざまな書類が必要です。
準備漏れを防ぐため、必要書類をチェックリスト形式で整理しておきましょう。
どのような相続のケースでも、以下の書類は必ず必要になります。
戸籍謄本は市区町村役場で取得できます。
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍が必要なため、本籍地が変わっている場合は複数の市区町村で取得する必要があります。
遺言書がある場合は、以下の書類も追加で必要になります。
自筆証書遺言の場合は、家庭裁判所での検認手続きが必要です。
公正証書遺言の場合は検認不要ですが、遺言書の原本または謄本を提出する必要があります。
遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行い、以下の書類を準備します。
遺産分割協議書には、NISA口座の資産を誰が相続するのかを明記する必要があります。
相続人全員の合意が得られない場合は、家庭裁判所での調停や審判が必要になることもあります。
相続税の計算方法
NISA口座の資産は相続税の課税対象となります。
正しい相続税額を算出するため、相続税評価額の計算方法と、相続後の取得価格について理解しておきましょう。
NISA口座で保有していた上場株式の相続税評価額は、以下の4つの価格のうち、最も低い金額を採用できます。
この評価方法は、株価の急激な変動によって相続税の負担が大きくならないように配慮されたものです。
複数の銘柄を保有していた場合、それぞれの株式について最も低い価格を選択できます。
NISA口座から相続した株式等の取得価格は、相続発生日の時価となります。これは通常の相続とは大きく異なる点です。
通常の課税口座で保有していた株式を相続する場合、故人が購入した時の価格(取得価額)が引き継がれます。
しかし、NISA口座の場合は、相続発生日の終値が新たな取得価額になるのです。この違いは、相続後に株式を売却する際の税金計算に影響します。
相続発生日以降の値上がり益のみが課税対象となるため、故人が保有していた期間の値上がり益には税金がかからないことになります。
具体的な計算例で、相続税評価額と取得価格の違いを確認してみましょう。
| 項目 | 金額 | 説明 |
| 故人の購入価格 | 100万円 | 故人が株式を購入した時の価格 |
| 相続発生日の時価 | 150万円 | 相続税評価額および新たな取得価格 |
| 死亡日までの含み益 | 50万円(非課税) | 100万円→150万円の値上がり益 |
| 相続後の売却価格 | 180万円 | 相続人が売却した時の価格 |
| 課税対象の利益 | 30万円 | 150万円→180万円の値上がり益のみ |
この例では、相続税は150万円を基に計算され、相続後に売却した場合の譲渡所得税は30万円の利益に対して約20%(約6万円)がかかることになります。
相続で気をつけたい4つのポイント
NISA口座の相続には、通常の証券口座とは異なる注意点がいくつかあります。
よくある間違いやトラブルを未然に防ぐため、実務上の重要なポイントを確認しておきましょう。
NISA口座の資産を移管できるのは、故人と同一の金融機関の口座のみです。他の証券会社や銀行の口座には移せません。
相続人が同一の金融機関に口座を持っていない場合は、新たに口座を開設する必要があります。
口座開設には本人確認書類の提出やマイナンバーの登録が必要で、開設完了までに数日から1週間程度かかることがあります。相続手続きをスムーズに進めるため、故人がどの金融機関でNISA口座を開設していたかを早めに確認し、必要に応じて口座開設手続きを並行して進めましょう。
NISA口座の非課税措置は、口座名義人が亡くなった日まで有効です。
死亡日以降に権利が確定した配当金や分配金は、非課税の対象外となります。
例えば、配当基準日が相続発生日より前であっても、配当金の支払日が相続発生日より後の場合、その配当金には約20%の税金がかかります。
相続手続き期間中に受け取った配当金についても同様に課税対象となるため、注意が必要です。もし相続発生日以降に非課税で配当金が支払われていた場合、後から税金の追納が求められるケースもあります。
相続人が故人のNISA口座の資産を引き継いだ後は、その資産を非課税で保有し続けることはできません。
相続人の課税口座(特定口座または一般口座)に移管された時点で、通常の課税ルールが適用されます。相続後に株価が上昇して売却した場合、相続発生日の時価からの値上がり益に対して約20%の税金がかかります。
また、配当金を受け取った場合も同様に課税対象です。長期保有を考えている場合でも、相続後の運用益や配当金には税金がかかることを理解しておきましょう。
NISA口座の相続手続き自体には法律で定められた明確な期限はありませんが、相続税の申告期限には注意が必要です。
相続税の申告・納付は、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に行う必要があります。この期限を過ぎると、延滞税や加算税が課される可能性があります。
NISA口座の資産も相続財産に含まれるため、相続税の基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合は申告が必要です。
相続税の計算や申告が複雑な場合は、税理士への相談をおすすめします。
複数の相続人がいる場合の分け方
相続人が複数いる場合、NISA口座の資産をどのように分割するかは重要な問題です。
株式や投資信託の分割には特有のルールがあるため、事前に理解しておきましょう。
NISA口座で保有していた株式を複数の相続人で分割して相続することは可能です。例えば、1,000株を相続人2人で500株ずつ分けることができます。
ただし、株式は1株単位でしか分割できないため、端数が出る場合は調整が必要です。
また、単元株制度(100株単位でしか売買できない)がある銘柄の場合、分割後の株数が単元未満株になると、売却方法が限られることがあります。
重要な注意点として、同一銘柄の株式等を、相続人の特定口座と一般口座に分けて移管することはできません。同一銘柄は、必ず同じ口座(特定口座または一般口座のいずれか)にまとめて移管する必要があります。
複数の相続人で同一銘柄を分割相続する場合も、各相続人がそれぞれ特定口座または一般口座のどちらかを選択することになります。
確定申告の手間を考えると、特定口座(源泉徴収あり)を選択するのが一般的です。
株式の分割が難しい場合や、相続人全員が現金での相続を希望する場合は、株式を売却して現金化してから分割する方法もあります。
ただし、相続手続きが完了するまでは、相続人が勝手に株式を売却することはできません。
遺産分割協議で「換価分割」(資産を売却して現金化してから分割する方法)を選択することを相続人全員で合意する必要があります。また、売却のタイミングによっては、相続発生日からの値上がり益に対して譲渡所得税がかかる点にも注意が必要です。
特殊なケースの相続手続き
NISA口座の相続には、通常とは異なる特殊なケースもあります。
未成年者や海外在住者が相続人の場合、または相続放棄をする場合など、それぞれのケースでの対応方法を確認しておきましょう。
相続人が未成年者の場合、親権者が法定代理人として手続きを行うことになります。
ただし、親権者自身も相続人である場合は、利益相反となるため注意が必要です。例えば、母親と未成年の子が共に相続人である場合、母親が子の代理人として遺産分割協議に参加すると、母親の取り分を増やすために子の利益を損なう可能性があります。
このような場合は、家庭裁判所に「特別代理人」の選任を申し立てる必要があります。また、未成年者が証券口座を開設する際は、親権者の同意が必要です。金融機関によって必要書類が異なるため、事前に確認しましょう。
相続人が海外に住んでいる場合、必要書類の取得に時間がかかることがあります。
特に、印鑑証明書に代わる「署名証明書」や、戸籍謄本に代わる「在留証明書」などを現地の日本大使館・領事館で取得する必要があります。また、遺産分割協議書に署名する際も、現地の公証人による認証が必要になる場合があります。
海外在住の相続人がいる場合は、手続きに通常よりも時間がかかることを見込んで、早めに準備を始めましょう。
相続人が相続放棄をした場合、その相続人はNISA口座の資産を含むすべての相続財産を受け取ることができません。
相続放棄は、家庭裁判所に申述して受理される必要があります。相続放棄をした相続人は、最初から相続人ではなかったものとみなされます。
そのため、他の相続人または次順位の相続人がNISA口座の資産を相続することになります。なお、相続放棄は相続開始を知った日から3ヶ月以内に行う必要があります。この期間を過ぎると、原則として相続放棄はできなくなるため、注意が必要です。
ジュニアNISAは、2023年末で新規投資の受付が終了しましたが、既に保有している資産は2024年以降も非課税で保有できます。
未成年者名義のジュニアNISA口座の資産も、相続の対象となります。ジュニアNISA口座の名義人(未成年者)が亡くなった場合、その口座の資産は相続人に引き継がれます。
手続きの流れは通常のNISA口座と同様ですが、未成年者の法定相続人は通常、親権者(両親)となります。また、ジュニアNISA口座を開設していた親権者が亡くなった場合でも、未成年者本人の資産であるため、相続財産には含まれません。この点は通常のNISA口座とは異なるため、注意が必要です。
生前にできる相続対策
NISA口座を保有している方が生前にできる準備や対策について解説します。
家族に迷惑をかけないよう、事前に整理しておくことが大切です。
まず、どの金融機関でNISA口座を開設しているかを家族に伝えておきましょう。
複数の金融機関で口座を持っている場合は、すべてリストアップしておくことをおすすめします。また、以下の情報も整理して家族に共有しておくと、相続手続きがスムーズに進みます。
これらの情報をエンディングノートなどにまとめておくと、万が一の際に家族が困ることがありません。
複数の金融機関でNISA口座や証券口座を持っている場合、相続手続きが複雑になる可能性があります。
生前に金融機関を一本化しておくことで、家族の負担を減らすことができます。ただし、NISA口座は1人1口座しか開設できないため、複数のNISA口座を持つことはできません。
もし複数の金融機関でNISA口座を開設していた場合は、いずれか1つを残して他は解約する必要があります。また、証券口座の統合を検討する際は、保有銘柄の移管手数料や、金融機関ごとのサービス内容の違いも考慮して判断しましょう。
エンディングノートには、以下のような情報を記載しておくと良いでしょう。
エンディングノートは法的な効力はありませんが、家族が相続手続きを進める際の重要な手がかりになります。
定期的に内容を見直し、最新の情報に更新しておきましょう。
はい、2024年から始まった新NISA制度でも、相続における取扱いは基本的に変わりません。相続発生時に故人のNISA口座は閉鎖され、資産は相続人の課税口座に移管されます。死亡日までの含み益は非課税ですが、相続後の配当金や売却益は課税対象となります。新NISAでは非課税保有期間が無期限化されたため、今後はNISA口座の相続が増加することが予想されます。
NISA口座の相続手続きにかかる期間は、金融機関や相続の状況によって異なりますが、一般的には以下のような流れになります。
全体で1~2ヶ月程度かかることが多いですが、相続人が複数いる場合や遺産分割協議に時間がかかる場合は、さらに長期化する可能性があります。
NISA口座の資産を含む相続財産の合計額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合は、相続税の申告が必要になります。相続税の計算は複雑で、特例や控除の適用判断には専門知識が必要です。以下のような場合は、税理士への相談をおすすめします。
相続手続き期間中に株価が変動しても、相続税評価額は相続発生日の時価で計算されます。手続き完了時の株価ではありません。ただし、相続人が資産を受け取った後に売却する場合、相続発生日の時価からの値上がり益には譲渡所得税がかかります。手続き期間中に株価が大きく上昇した場合、相続人の税負担が増える可能性があることは理解しておきましょう。
基本的な手続きの流れは同じですが、必要書類や提出方法は金融機関によって多少異なります。例えば、一部の金融機関ではオンラインでの手続きに対応している場合もあります。詳しい手続き方法は、各金融機関のカスタマーセンターに問い合わせるか、公式ウェブサイトで確認することをおすすめします。手続きを始める前に、必要書類のリストを取り寄せておくとスムーズです。
NISA口座の相続は、通常の証券口座とは異なる特別なルールがあります。
最も重要なポイントは、相続人のNISA口座には移管できず、課税口座への移管が必要になることです。死亡日までの含み益は非課税で引き継げますが、相続後の配当金や売却益は課税対象となります。
相続手続きには、金融機関への連絡、必要書類の準備、同一金融機関での口座開設が必要です。相続税評価額は相続発生日の時価で計算され、4つの評価方法のうち最も低い金額を採用できます。
複数の相続人がいる場合は、株式の分割方法にも注意が必要です。生前にできる対策としては、家族への情報共有、金融機関の一本化、エンディングノートへの記載などがあります。
なお、投資には元本割れのリスクがあります。相続手続きや投資判断については、最終的にはご自身の責任で行ってください。複雑なケースでは税理士や専門家への相談をおすすめします。詳しくは各金融機関にご確認ください。
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