積立NISAを20年続けたらいくらになる?シミュレーション結果を解説

積立NISAを20年続けたらいくらになる?シミュレーション結果を解説

積立NISAを20年間続けたら、実際にいくらになるのか気になりますよね。

毎月コツコツ積み立てることで、複利効果により資産が大きく増える可能性があります。

この記事では、月1万円・3万円・5万円の3パターンで、利回り別に20年後の資産額を具体的にシミュレーションします。

さらに、年代別の最適な積立額や、暴落時の対処法、出口戦略まで詳しく解説します。

20年後の資産形成を成功させるための情報をすべてお届けします。

この記事の要約
  • 月3万円を利回り5%で20年間積み立てると、約1,233万円になる
  • 複利効果により、長期投資ほど資産が加速的に増える仕組みがある
  • 暴落時も積立を継続することが、20年後の成果を最大化する鍵
SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

目次

積立NISAを20年間続けた場合のシミュレーション結果

積立NISAを20年間継続すると、どれくらいの資産が形成できるのでしょうか。ここでは、金融庁の資産運用シミュレーターを使って、月々の積立額別に具体的な数字を見ていきます。

利回りは3%・5%・7%の3パターンで試算し、現実的な資産額をお伝えします。

月1万円を20年間積み立てた場合

月1万円の積立は、投資初心者や20代の方でも無理なく始められる金額です。20年間の元本は240万円になります。

利回り3%で運用した場合、20年後の資産額は約328万円となり、運用益は約88万円です。利回り5%では約411万円(運用益約171万円)、利回り7%では約520万円(運用益約280万円)まで増える計算になります。

月1万円でも、長期間の複利効果により元本の1.4倍から2.2倍に資産が増える可能性があります。少額でも早く始めることが、将来の資産形成につながります。

金融庁の資産運用シミュレーションによると、長期・積立・分散投資により、元本割れリスクを抑えながら資産形成できる可能性が高まります。

金融庁:資産運用シミュレーション

月3万円を20年間積み立てた場合

月3万円は、30代の会社員や子育て世帯が目標にしやすい積立額です。20年間の元本は720万円となります。

利回り3%で運用すると、20年後には約985万円(運用益約265万円)に成長します。利回り5%では約1,233万円(運用益約513万円)、利回り7%では約1,560万円(運用益約840万円)まで増える見込みです。

月3万円の積立を20年続けることで、老後資金2000万円問題の半分以上をカバーできる計算になります。複利効果により、後半10年で資産が大きく伸びる点が特徴です。

月5万円を20年間積み立てた場合

月5万円は、つみたてNISAの年間上限額(年間40万円)に近い金額で、本格的な資産形成を目指す方に適しています。20年間の元本は1,200万円です。

利回り3%の場合、20年後の資産額は約1,641万円(運用益約441万円)となります。利回り5%では約2,055万円(運用益約855万円)、利回り7%では約2,601万円(運用益約1,401万円)に達します。

以下の表で、積立額と利回り別の20年後の資産額をまとめました。

月々の積立額 元本(20年間) 利回り3% 利回り5% 利回り7%
1万円 240万円 約328万円 約411万円 約520万円
3万円 720万円 約985万円 約1,233万円 約1,560万円
5万円 1,200万円 約1,641万円 約2,055万円 約2,601万円

月5万円を利回り5%で20年間運用すれば、老後資金2000万円を達成できる計算です。

過去の実績は将来の運用成果を保証するものではないため、あくまで参考値としてお考えください。

複利効果で資産が増える仕組み

積立投資で資産が大きく増える秘密は「複利効果」にあります。複利とは、運用で得た利益を再投資することで、利益がさらに利益を生む仕組みです。

ここでは、複利の基本的な考え方と、20年間でどれほどの差が生まれるかを解説します。

複利と単利の違いとは?

単利は、元本に対してのみ利息がつく計算方法です。例えば、100万円を年利5%で運用する場合、毎年5万円の利息が得られ、10年後には150万円(元本100万円+利息50万円)になります。

一方、複利は元本と利息の合計に対して利息がつきます。同じ条件で複利運用すると、1年目は105万円、2年目は約110万円と増え、10年後には約163万円に成長します。単利との差は約13万円です。

この差は運用期間が長くなるほど拡大します。20年間では単利が200万円に対し、複利は約265万円となり、約65万円もの差が生まれるのです。

積立投資では、毎月の積立金が複利で運用されるため、この効果がさらに大きくなります。

20年間の複利効果を図で見る

月3万円を20年間積み立てた場合、複利効果がどのように資産を増やすかを見てみましょう。元本は毎年36万円ずつ増え、20年で720万円になります。

利回り5%で運用した場合、最初の10年間では元本360万円に対して資産額は約467万円と、運用益は約107万円にとどまります。しかし、後半の10年間では元本が720万円に増えるだけでなく、運用益が約513万円まで膨らみ、資産総額は約1,233万円に達します。

つまり、前半10年の運用益が約107万円なのに対し、後半10年では約406万円もの運用益が生まれるのです。これが複利効果の威力であり、長期投資が推奨される理由でもあります。

途中でやめてしまうと、最も資産が伸びる後半の恩恵を受けられません。

複利効果を最大化する3つのポイント

複利効果を最大限に活用するには、以下の3つのポイントを押さえることが重要です。

1.早く始めること
運用期間が長いほど複利効果は大きくなります。20代で始めれば40年以上の運用が可能で、30代で始めるより大きな資産を築けます。1年でも早く始めることが、将来の資産額に大きく影響します。
2.長期間続けること
複利効果は時間とともに加速します。市場が下落しても積立を継続することで、安い価格で多くの口数を購入でき、回復時に大きなリターンが期待できます。20年間の継続が、複利効果を最大化する鍵です。
3.配当金や分配金を再投資すること
得られた利益を使わずに再投資することで、複利効果がさらに強化されます。つみたてNISAでは、分配金が自動的に再投資される投資信託が多く、効率的に複利運用ができます。

この3つを実践することで、複利の力を最大限に引き出し、20年後の資産を大きく増やすことができます。

つみたてNISAの基本の仕組み

つみたてNISAは、長期的な資産形成を支援するために作られた非課税制度です。通常、投資で得た利益には約20%の税金がかかりますが、つみたてNISAを利用すれば非課税で運用できます。

ここでは、制度の基本的な仕組みと、どのようなメリットがあるのかを詳しく解説します。

つみたてNISAとは?非課税のメリット

つみたてNISAは、少額からの長期・積立・分散投資を支援する非課税制度です。年間40万円まで投資でき、最長20年間にわたって運用益が非課税になります。

通常の課税口座で投資すると、利益に対して20.315%の税金がかかります。例えば、100万円の利益が出た場合、約20万円が税金として引かれ、手元に残るのは約80万円です。

しかし、つみたてNISAなら100万円がそのまま受け取れます。

20年間で500万円の運用益が出た場合、課税口座では約100万円が税金として引かれますが、つみたてNISAなら全額が手元に残ります。この非課税メリットは、長期投資において非常に大きな差を生みます。

金融庁:NISAとは?

年間の投資上限額と非課税期間

つみたてNISAの年間投資上限額は40万円で、月々に換算すると約3.3万円まで積み立てられます。この上限は毎年リセットされるため、20年間で最大800万円の投資が可能です。

非課税期間は投資した年から最長20年間です。例えば、2024年に投資した分は2043年まで非課税で運用できます。2025年に投資した分は2044年まで、というように、各年の投資に対して20年間の非課税期間が設定されます。

2024年からは新NISA制度が開始され、つみたてNISAは「つみたて投資枠」として統合されました。新NISAでは年間120万円まで投資でき、非課税期間も無期限化されています。現在のつみたてNISAで投資した分は、新制度とは別枠で20年間非課税が継続されます。

金融庁:新しいNISA

対象となる投資信託の特徴

つみたてNISAで購入できる商品は、金融庁が定めた基準を満たした投資信託に限定されています。主な条件は以下の通りです。

  • 販売手数料が無料(ノーロード)
  • 信託報酬が一定水準以下(国内株式型は0.5%以下、海外株式型は0.75%以下など)
  • 分配金が頻繁に支払われないタイプ(複利効果を重視)
  • 長期・積立・分散投資に適した商品設計

これらの基準により、初心者でも安心して選べる低コストで透明性の高い商品が揃っています。代表的な商品には、全世界の株式に投資する「オールカントリー(全世界株式)」や、米国の主要企業500社に投資する「S&P500」などがあります。

金融庁の基準をクリアした商品は約200本以上あり、各証券会社で取り扱いが異なります。自分の投資方針に合った商品を選ぶことが、20年後の成果を左右します。

年代別のおすすめ積立額と20年後のライフプラン

積立NISAの最適な積立額は、年代やライフステージによって異なります。20代の独身者と40代の子育て世帯では、収入も支出も大きく違うからです。

ここでは、年代別に現実的な積立額と、20年後にどのようなライフイベントが待っているかを解説します。

20代独身の場合|月1万円から始める

20代は収入がまだ少ない時期ですが、時間を味方につけられる最大のアドバンテージがあります。月1万円からでも、20年後には大きな資産を築ける可能性があります。

20代で月1万円を積み立て始めると、40代前半で20年間の運用が終了します。利回り5%で運用した場合、約411万円の資産が形成できます。

この資金は、住宅購入の頭金や、子どもの教育資金、さらなる資産形成の元手として活用できます。

20代のうちは無理に高額を積み立てる必要はありません。まずは月1万円で投資の習慣を身につけ、収入が増えたら積立額を増やしていく方法が現実的です。

30代子育て世帯の場合|月3万円を目標に

30代は結婚や出産、住宅購入など、ライフイベントが集中する時期です。支出が増える一方で、収入も安定してくる年代でもあります。

月3万円の積立を目標にすることで、老後資金の準備が現実的になります。

30代で月3万円を20年間積み立てると、50代前半で約1,233万円(利回り5%)の資産が形成できます。この時期は、子どもの大学進学が終わり、老後資金の準備に本格的に取り組む段階です。

ただし、子育て中は教育費や住宅ローンの負担が大きく、月3万円の積立が難しい場合もあります。その場合は、月1万円から始めて、ボーナス時に追加投資をする方法や、児童手当を積立に回すなど、工夫次第で継続できます。

40代教育費負担期の場合|無理のない範囲で継続

40代は子どもの教育費が最も重くのしかかる時期です。中学・高校・大学と、学費や塾代が家計を圧迫します。

この時期に無理な積立をすると、生活が苦しくなり、積立を中断せざるを得なくなります。

40代では、月1万円から2万円程度の無理のない金額で継続することをおすすめします。20年後の60代前半には、約411万円から約822万円(利回り5%)の資産が形成でき、老後資金の一部として活用できます。

教育費のピークが過ぎた後、50代で積立額を増やす戦略も有効です。40代は「継続すること」を最優先にし、途中で挫折しないよう、家計の状況に応じて柔軟に積立額を調整しましょう。

50代老後準備期の場合|残り期間を考慮した積立

50代は老後資金の準備を本格化させる時期です。子どもが独立し、教育費の負担が減る一方で、定年退職までの時間が限られています。

20年間の積立を完走すると70代になるため、運用期間とリスク許容度を慎重に考える必要があります。

50代で月3万円から5万円を積み立てると、20年後には約1,233万円から約2,055万円(利回り5%)の資産が形成できます。ただし、70代で非課税期間が終了するため、出口戦略を事前に計画しておくことが重要です。

以下の表で、年代別のおすすめ積立額と20年後の状況をまとめました。

年代 おすすめ積立額 20年後の年齢 想定資産額(利回り5%) 活用目的
20代 月1万円 40代前半 約411万円 住宅購入・教育資金・さらなる投資
30代 月3万円 50代前半 約1,233万円 老後資金の基盤形成
40代 月1~2万円 60代前半 約411~822万円 老後資金の補完
50代 月3~5万円 70代前半 約1,233~2,055万円 老後生活資金

年代に応じた現実的な積立額を設定し、20年間継続することが、資産形成の成功につながります。

暴落時の対処法と継続のコツ

積立投資を20年間続ける中で、必ず市場の暴落を経験します。リーマンショックやコロナショックのような大きな下落局面では、含み損を抱えて不安になるかもしれません。

しかし、過去のデータを見ると、暴落後も積立を継続した人が最終的に大きなリターンを得ています

ここでは、暴落時の正しい対処法と、20年間継続するためのコツを解説します。

過去の暴落はどれくらいで回復したか

過去の代表的な暴落局面を振り返ると、市場は必ず回復してきました。2008年のリーマンショックでは、世界の株式市場は約50%下落しましたが、約4年後の2012年には暴落前の水準を回復しました。

2020年のコロナショックでは、わずか2か月で約30%下落しましたが、回復は驚くほど早く、約6か月後には暴落前の水準を超えました。その後も上昇を続け、2021年末には過去最高値を更新しています。

重要なのは、暴落時も積立を継続することです。株価が下がっている時に積立を続けると、安い価格で多くの口数を購入できます。これを「ドルコスト平均法」と呼び、価格が回復した時に大きなリターンが期待できます。

含み損を抱えた時にやってはいけないこと

暴落時に最もやってはいけないのは、「狼狽売り」です。含み損に耐えられず、底値で売却してしまうと、損失が確定し、その後の回復の恩恵を受けられません。

例えば、コロナショックで株価が30%下落した時に売却した人は、その後の急回復による利益を逃しました。一方、積立を継続した人は、安い価格で購入した分が大きく値上がりし、最終的に高いリターンを得ています。

暴落時に「今は様子を見よう」と積立を止めることも避けるべきです。市場の底を正確に予測することは不可能であり、積立を止めている間に回復が始まると、安い価格で購入する機会を逃します。

暴落は「安く買えるチャンス」と捉え、淡々と積立を続けることが、長期投資の成功法則です。

積立を続けるための3つのコツ

20年間という長期間、積立を継続するには、以下の3つのコツを実践することが効果的です。

1.自動積立設定を活用する
証券口座から自動的に引き落として積立する設定にすることで、手間なく継続できます。毎月手動で購入する必要がなく、市場の動きに一喜一憂することも減ります。一度設定すれば、あとは放置するだけで資産が積み上がります。
2.頻繁に口座を確認しない
毎日のように口座残高を確認すると、短期的な値動きに振り回されて不安になります。積立投資は長期戦なので、確認は3か月に1回、または半年に1回程度で十分です。短期的な下落に動揺せず、長期的な成長を信じることが大切です。
3.目標を明確にする
「老後資金2000万円を準備する」「子どもの大学資金を貯める」など、具体的な目標を持つことで、継続のモチベーションが保てます。20年後の自分や家族のために積み立てていると意識することで、暴落時も冷静に対処できます。

この3つを実践することで、市場の変動に左右されず、20年間の積立を完走できる可能性が高まります。

人気の投資信託2つを過去20年の実績で比較

つみたてNISAで人気の高い投資信託に、「オールカントリー(全世界株式)」と「S&P500(米国株式)」があります。

どちらも長期投資に適した商品ですが、投資対象や過去の実績に違いがあります。ここでは、それぞれの特徴と過去20年のパフォーマンスを比較し、どちらを選ぶべきかのポイントを解説します。

オールカントリー(全世界株式)の特徴

オールカントリーは、日本を含む世界中の株式に分散投資する投資信託です。先進国から新興国まで、約50か国・3,000銘柄以上に投資することで、世界経済全体の成長を取り込めます。

最大の特徴は、地域分散によるリスク軽減です。米国経済が不調でも、欧州やアジアが好調なら、全体としてプラスのリターンが期待できます。

また、時価総額に応じて自動的に投資比率が調整されるため、成長している国や企業の比重が自然に高まります。

過去20年の年平均リターンは約7~8%程度とされています。リーマンショックやコロナショックなどの暴落も経験しましたが、長期的には右肩上がりの成長を続けてきました。

S&P500(米国株式)の特徴

S&P500は、米国の主要企業500社で構成される株価指数に連動する投資信託です。Apple、Microsoft、Amazon、Googleなど、世界を代表する企業に投資できます。

米国株式市場は過去100年以上にわたり、長期的に右肩上がりの成長を続けてきました。過去20年の年平均リターンは約9~10%程度で、オールカントリーを上回るパフォーマンスを示しています。

米国経済に集中投資するため、米国が不調の時は大きく下落するリスクがあります。また、為替リスクも考慮する必要があります。円高になると、ドル建ての資産価値が目減りする可能性があります。

「米国経済の成長を信じる」「高いリターンを狙いたい」という方に向いています。

どちらを選ぶべき?比較のポイント

オールカントリーとS&P500のどちらを選ぶかは、投資方針とリスク許容度によって決まります。以下の比較表を参考に、自分に合った商品を選びましょう。

比較項目 オールカントリー S&P500
投資対象 全世界の株式(約50か国) 米国の主要企業500社
過去20年の年平均リターン 約7~8% 約9~10%
地域分散 高い(世界中に分散) 低い(米国のみ)
リスク 中程度(分散効果あり) やや高い(米国集中)
為替リスク 分散される ドル円の影響大
向いている人 バランス重視・初心者 米国経済を信じる・リターン重視

初心者や「どちらか迷う」という方には、地域分散が効いているオールカントリーがおすすめです。一方、「米国経済の成長を信じる」「少しリスクを取ってもリターンを狙いたい」という方には、S&P500が適しています。

また、両方を半分ずつ保有する方法も、バランスの取れた選択肢です。

20年後の出口戦略|売却・継続・移管の選択肢

つみたてNISAの非課税期間は20年間です。20年後には、積み立てた資産をどうするか決断する必要があります。

一括で売却するか、課税口座で運用を続けるか、それとも他の制度を活用するか。ここでは、20年後の出口戦略として考えられる3つの選択肢を詳しく解説します。

20年後に一括で売却する場合

20年間の非課税期間が終了する時点で、すべての資産を売却して現金化する方法です。この選択肢は、まとまった資金が必要な場合や、投資を終了したい場合に適しています。

例えば、60代で定年退職し、老後資金として使いたい場合は、一括売却が現実的です。利回り5%で月3万円を20年間積み立てた場合、約1,233万円が手元に入ります

この資金を老後の生活費や、住宅のリフォーム、旅行などに活用できます。

一括売却すると、その後の運用益は得られません。また、売却のタイミングが暴落時と重なると、資産が目減りした状態で現金化することになります。売却時期は市場の状況を見ながら、数年かけて分割して売却する方法も検討しましょう。

課税口座で運用を続ける場合

20年後も引き続き運用を続けたい場合は、つみたてNISA口座から課税口座(特定口座)に移管して運用を継続できます。この方法は、まだ資金が必要ない場合や、さらに資産を増やしたい場合に有効です。

課税口座に移管すると、その後の運用益には20.315%の税金がかかります。例えば、移管後に100万円の利益が出た場合、約20万円が税金として引かれます。

それでも、運用を続けることで資産をさらに増やせる可能性があります。

移管時の価格が新たな取得価格となるため、移管後の値上がり分にのみ税金がかかります。つみたてNISAで得た運用益には税金がかからないため、20年間の非課税メリットは失われません。

新NISAやiDeCoを活用する場合

つみたてNISAの20年後、新たな非課税制度を活用して資産形成を続ける方法もあります。2024年から始まった新NISA制度では、つみたて投資枠(年間120万円)と成長投資枠(年間240万円)が利用でき、非課税期間も無期限です。

つみたてNISAで積み立てた資産を一旦売却し、その資金を新NISAの枠で再投資することで、再び非課税で運用できます。ただし、新NISAの非課税保有限度額は1,800万円(うち成長投資枠1,200万円)なので、枠を使い切っている場合は追加投資できません。

また、iDeCo(個人型確定拠出年金)との併用も効果的です。iDeCoは掛金が全額所得控除の対象となり、運用益も非課税です。

iDeCoは60歳まで引き出せないデメリットはありますが、老後資金の準備には最適です。

  • 新NISA:非課税期間無期限、年間360万円まで投資可能
  • iDeCo:掛金が所得控除、運用益非課税、60歳まで引き出し不可
  • 課税口座:制限なく運用可能、運用益に20.315%課税

20年後の状況に応じて、これらの選択肢を組み合わせることで、最適な出口戦略を実現できます。

よくある質問(Q&A)

積立NISAを20年間続ける中で、多くの方が疑問や不安を抱きます。ここでは、よくある質問に答える形で、具体的な疑問を解消します。

途中で資金が必要になったら売却できる?

はい、つみたてNISAはいつでも売却して現金化できます。iDeCoのように60歳まで引き出せない制限はありません。

急な出費や、住宅購入の頭金が必要になった場合でも、柔軟に対応できます。

途中で売却すると、その後の複利効果を得られなくなります。また、売却時に市場が暴落していると、含み損を抱えた状態で現金化することになります。可能な限り、20年間継続することが理想ですが、どうしても必要な場合は、必要な分だけ部分的に売却する方法も検討しましょう。

元本割れする可能性はどれくらい?

つみたてNISAで投資する投資信託は、株式を中心に運用されるため、元本割れのリスクはあります。短期的には市場の変動により、投資元本を下回る可能性があります。

しかし、過去のデータでは、15年以上の長期投資を行った場合、元本割れする確率は極めて低くなります。金融庁の資料によると、国内外の株式に分散投資し、20年間保有した場合、ほとんどのケースでプラスのリターンが得られています。

元本割れのリスクを減らすには、長期間継続すること、分散投資をすること、暴落時も積立を続けることが重要です。

20年後の税金はどうなる?

つみたてNISAで得た運用益は、20年間の非課税期間中は税金がかかりません。20年後に売却する場合も、その時点までの運用益には課税されません。

ただし、20年後に課税口座(特定口座)に移管して運用を続ける場合、移管後の運用益には20.315%の税金がかかります。例えば、移管時に1,000万円の資産があり、その後200万円増えて1,200万円になった場合、増えた200万円に対して約40万円の税金が発生します。

特定口座(源泉徴収あり)を選択していれば、証券会社が自動的に税金を計算して納付してくれるため、確定申告は不要です。

証券会社を途中で変更できる?

はい、つみたてNISA口座は年単位で証券会社を変更できます。ただし、その年に一度でも積立を行っている場合は、翌年まで変更できません。

証券会社を変更する際、既に積み立てた資産は元の証券会社に残り、新しい証券会社では新たに積立を開始します。資産を新しい証券会社に移管することはできないため、複数の証券会社に資産が分散することになります。

変更手続きには時間がかかるため、年末までに手続きを完了する必要があります。証券会社を変更する理由としては、「他社の方が取扱商品が多い」「ポイント還元率が高い」「手数料が安い」などが挙げられます。

まとめ

積立NISAを20年間続けることで、複利効果により大きな資産を形成できる可能性があります。月3万円を利回り5%で運用すれば、約1,233万円の資産が築けます。

重要なのは、早く始めて長期間継続することです。暴落時も積立を止めず、淡々と続けることが成功の鍵です。

年代やライフステージに応じて無理のない積立額を設定し、自動積立を活用することで、20年間の完走が現実的になります。

オールカントリーやS&P500など、自分に合った投資信託を選び、20年後の出口戦略も事前に考えておくことが大切です。新NISAやiDeCoとの併用も視野に入れながら、計画的に資産形成を進めましょう。

なお、投資には元本割れのリスクがあります。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。ご自身の投資目的やリスク許容度に合わせて、慎重にご検討ください。

SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

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