眼科クリニック開業のポイント|資金面・平均年収・年収が上がる理由について解説

眼科の治療や診療範囲によって、クリニックの規模や医療機器などが異なり必要な投資予算や収益モデルにも大きな違いが出ます。

そのため開業時の段階での経営戦略を考えておくことが大切です。

この記事では、眼科クリニックの開業に関する重要なポイントや開業資金など、開業を検討する際に役立つ情報について解説します。

眼科クリニック開業のポイント

眼科クリニック開業のポイントについて説明します。
・立地状況の把握
・目が不自由な方や高齢者に配慮した内装
・スタッフの採用
・広告・宣伝を中心としたマーケティング活動
・余裕をもった資金計画
・院内衛生の徹底
・医療機器リースを活用
・設備投資の工夫
・隣接業界となる眼鏡店や地域に根ざした医療機関との連携

立地状況の把握

眼科を含むあらゆる事業において、開業時の立地選定は極めて重要な要素です。

特に眼科の場合、視覚障害を抱えた人々が訪れる可能性が高いため、アクセスの良さは不可欠です

さらに、近隣に競合する眼科クリニックが存在しない立地を選ぶことも重要です。

競争を避けるためには、開業前に周辺情報を収集し、需要の高いエリアを見極めることが必要です。

眼科医の数が増加している現代では、特に都市部では眼科医が既に集中していることがあり、条件の良い立地を見つけることは難しいかもしれません。

開業を検討している間に、開業できるエリアが埋まってしまい、開業自体が困難になる可能性もあります。

そのため、開業を決定したらすぐに行動し、良い立地を確保することが重要です。

目が不自由な方や高齢者に配慮した内装

眼科を訪れる患者さんは目の疾患を持つ方だけでなく、高齢者や車椅子の患者さんも多いため、バリアフリー化が求められます。

院内の掲示物の文字の大きさや配置、照明の明るさや位置なども考慮し、患者の利便性を考える必要があります。

検査室を中心に動線を作るなど眼科の平面図は独特な特徴があるため、経験豊富な設計士に依頼する必要があります。

眼科では他の診療科と比較して検査機器が多く、患者の動線が複雑であり、将来新しい機器を導入する可能性も考慮するなど変化を予測した設計を行う必要があります

また、白内障などの日帰り手術を行う場合には、オペ室・前室・準備室に加えてリカバリー室が必要です。面積を確保し、日帰り手術にも対応した設備と医療機器の確保が必要となります。

スタッフの採用

開業時にスタッフを雇う際には、視能訓練士の採用に苦戦する可能性が考えられます。

この職種は看護師や理学療法士と比較して人数が極めて少なく、視能訓練士の数が相対的に不足していると言えます。

そのため、どの職種のスタッフを採用するかを決める前に、まずは視能訓練士の採用活動を積極的に行う必要があります。

広告・宣伝を中心としたマーケティング活動

競合が多い眼科クリニックの開業では、特色を打ち出すことが非常に重要です。

眼科クリニックのターゲット層は幅広く、子供から高齢者までを対象としています。

コンタクトレンズ処方やレーシックなどの場合、患者の大半はインターネットの情報を比較し検討した上で来院する傾向があります

一方、子供の視力低下や目の病気の受診に関しては、地域の口コミも重視されます。高齢者に対しては新聞や折り込みチラシ、ポスティングが有効ですが、口コミも影響力があります。

幅広い年齢層を対象とするためには、ターゲットに合った広告戦略が必要です。

余裕をもった資金計画

開業には適切な資金計画が不可欠です。全額自己資金で開業することは稀であり、一般的には融資を受けることが一般的です

自己資金を開業資金に充てる場合、生活費も考慮する必要があります。

成功が保証されているわけではないため、失敗した場合にも生活が困らないよう、自己資金の額を慎重に検討することが大切です。

眼科クリニックを開業する際には、新築とテナントでの開業資金の必要額が異なります。

院内衛生の徹底

新型コロナウイルス感染拡大予防のためには、消毒はもちろんのこと、ものもらいなどの接触感染のリスクも考慮する必要があります。

スタッフの消毒の徹底だけでなく、院内衛生にも十分な配慮が必要です。

患者やスタッフが触れる可能性のある場所や物品を定期的に清掃・消毒すること、特に待合室や受付、診察室などの共有スペースの清潔さを維持することが重要です。

さらに、患者や来院者への啓発も欠かせません。手指の消毒やマスクの着用、咳エチケットの徹底など、感染予防の基本的な行動を周知徹底することで、院内の感染リスクを低減することができます。

医療機器リースを活用

眼科クリニックを開業する際には、必要な医療機器を一括で購入することは膨大な資金が必要となります。

さらに、眼科は技術の進歩が著しいため、一度に全ての機器を導入するのはリスクが高いと言えます。

そのため、医療機器リースを活用することで、初期投資の負担を軽減し、運営資金を効果的にコントロールすることができます。

設備投資の工夫

眼科クリニックの開業では、経営戦略に応じた設備投資が極めて重要です。

同じ手術機器でも、例えば網膜剥離の手術専用の機器を導入するか、それとも角膜移植も可能な汎用性の高い機器を導入するかによって、費用は大幅に異なります

眼科クリニックの開業には数百万円から数千万円単位の設備投資が必要です。

そのため、地域のニーズやクリニックの経営方針に合わせて慎重に設備投資を計画することが重要です。

隣接業界となる眼鏡店や地域に根ざした医療機関との連携

眼科クリニックの運営において、地域の総合病院や他の医療機関との協力が不可欠です。

眼科診療から内科疾患が発覚したり、眼科疾患を併発した場合には密接な連携が必要です。

眼科手術を検討する患者にとっても、重症化や対応が難しい場合には連携病院の存在が安心材料となります。

競合が激しい地域では、他科の医師とも協力して連携を図ることが重要です。

また、子供の正確な視力の検査をしたい場合、眼科クリニックへの訪問を希望することが多いため、地域の眼鏡店も把握しておくことも大切です。

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眼科クリニックの開業資金

眼科クリニックの開業資金について説明します。
・新築で設立する場合
・テナントで設立する場合

新築で設立する場合

新築の場合、土地や建物代、設計費、設備費、広告宣伝費、運転資金などが必要です。

通常、土地と建物代は約3,000万円程度、設備費は2,000万円から5,000万円程度と見積もられています。

これに広告宣伝費や運転資金を加えると、合計で1億円から2億円程度の資金が必要と考えられます。

テナントで設立する場合

テナントに眼科クリニックを解説する場合には、敷金礼金、内装費用、設備費、広告宣伝費、運転資金が必要です。

内装費用と設備費用が最も大きな出費となります。設備費は2,000万円以上にもなることがあります。

テナントでも、1億円程度の資金を準備しておくことが望ましいでしょう

開業した場合の平均年収

中央社会保険医療協議会の統計データによれば、眼科の平均年収は約1,511万円とされています。

参考:第22回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告

ただし、眼科の収益は機器の選定や提供する主要な医療サービスによって大きく異なります

一般外来、近視治療、緑内障外来、コンタクトレンズ、日帰り手術などの治療を提供するかどうか、またそれらの組み合わせによって収益モデルが変わります。

実際には、統計値を上回る所得を得るケースも多くあります。自費診療や手術の獲得に成功し、法人化後にグループ展開を行うことで、所得が5,000万円を超えるケースも珍しくありません。

開業すると年収が大幅に上がる理由

眼科医が開業医になることで年収が大幅に上がる理由の1つは、使い捨てコンタクトレンズの利用者が、レンズを使い終わるたびに処方箋を受け取るために受診することが挙げられます。

最近では、処方箋なしでコンタクトレンズを購入できる店舗も増えていますが、度数の変化などの場合には依然として受診が必要となります。

また、視力矯正手術を受ける人の増加も売上が上がる要因の1つです。レーシック手術は日帰りで行えますが、手術代は高額となります。

1日に多数の患者を手術することで収入の増加が見込めます。さらに、ICL手術などの矯正手術を受ける人も増加していますが、これらの手術はさらに高額となります。

超高齢化社会の昨今では、白内障や網膜手術などの手術を受ける人の増加も大きな要因です。これらの手術を専門的に行うことで、高収入が見込めると言えます。

困った際は専門家に相談

開業を決意しても、自分ひとりでの開業準備には不安がつきものです。

その不安を解消し、開業手続きをスムーズに進めるためにも、信頼できる相談相手が不可欠です。眼科の開業において、コンサルタントは全面的なバックアップをします。

立地や専門分野の選定など、眼科経営のさまざまな側面についての知識を持ち、適切なアドバイスを提供します

税理士は、税金だけでなく財務面に関する専門知識を持ち、医院の経営状態や資金繰りに関するアドバイスも提供できます。経営に関するサポートを受ける場合は、経営に精通した税理士を選ぶことが重要です。

社会保険労務士は、主に労働契約に関するサポートを提供します。医院の採用や雇用に関する適法性の確認や、法律の改正に関する情報提供も行います。法律の改正に迅速に対応するためにも、社会保険労務士の助言を得ることが有益です。

税理士の必要性について、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
会社設立時における税理士の必要性とは?メリットや注意事項・選定のポイントについて解説

まとめ

ここまで、眼科クリニックの開業に関する重要なポイントや開業資金など、開業を検討する際に役立つ内容を中心に解説してきました。

本記事が、これからクリニックの開業を検討している眼科医の方々にとってご参考になれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

著 者

SOICO株式会社
共同創業者&代表取締役CEO
茅原 淳一 (かやはら じゅんいち)

慶應義塾大学卒業後、新日本有限責任監査法人にて監査業務に従事。 その後クレディスイス証券株式会社を経て2012年KLab株式会社入社。 KLabでは海外子会社の取締役等を歴任。2016年上場会社として初の信託を活用したストックオプションプランを実施。 2015年医療系ベンチャーの取締役財務責任者に就任。 2018年よりSOICO株式会社の代表取締役CEOに就任。公認会計士。

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