投資信託の積立とは?初心者が知りたい始め方とコツ

投資信託の積立とは?初心者が知りたい始め方とコツ

投資信託の積立を始めたいけれど、「何から始めればいいのか分からない」「損をしないか不安」と感じていませんか。

投資信託の積立は、毎月一定額を自動で投資する仕組みで、少額から始められて時間をかけてコツコツ資産を増やせる方法です。

この記事では、投信積立の基本的な仕組みから、メリット・デメリット、具体的な始め方、証券会社の選び方まで、初心者が知っておきたい情報を分かりやすく解説します。

NISAを活用した非課税運用の方法や、年代別の積立金額の目安、長期運用を成功させるコツも紹介しているので、これから投資を始める方はぜひ参考にしてください。

正しい知識を身につけて、自分に合った資産形成を始めましょう。

この記事の要約
  • 投資信託の積立は毎月一定額を自動投資する仕組みで、少額から始められる
  • ドル・コスト平均法で価格変動リスクを抑えながら長期的に資産形成できる
  • NISAのつみたて投資枠を活用すれば運用益が非課税になり効率的に増やせる
SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

目次

投資信託の積立とは|毎月コツコツ資産を増やす仕組み

投資信託の積立は、毎月決まった日に一定の金額で投資信託を自動的に購入していく投資方法です。一度設定すれば自動で買い付けが行われるため、手間がかからず忙しい方でも続けやすいのが特徴です。

銀行預金のように毎月コツコツ積み立てながら、株式や債券などに分散投資できるため、初心者でも始めやすい資産形成の方法として注目されています。

投資信託の基本的な仕組み

投資信託は、多くの投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家(ファンドマネージャー)が株式や債券などに投資して運用する金融商品です。運用で得た利益は、投資額に応じて投資家に分配される仕組みになっています。

個人で多くの銘柄に投資するには大きな資金が必要ですが、投資信託なら少額から多くの銘柄に分散投資できます。運用はプロに任せられるため、投資の知識が少ない初心者でも始めやすいのが大きなメリットです。

投資信託協会:投資信託の基礎

投資信託には、国内株式や外国株式、債券、不動産(REIT)など、さまざまな投資対象があります。自分の投資目的やリスク許容度に合わせて、適切な商品を選ぶことが大切です。

積立投資の特徴

積立投資は、毎月決まった金額で投資信託を購入し続ける投資方法です。一度に大きな金額を投資する必要がなく、100円や1,000円といった少額から始められるため、投資初心者や資金に余裕がない方でも無理なくスタートできます。

積立投資の最大の特徴は、価格が高い時には少ない口数を、価格が安い時には多くの口数を自動的に購入できる点です。この仕組みを「ドル・コスト平均法」と呼び、価格変動のリスクを抑える効果が期待できます。

また、自動で買い付けが行われるため、相場の動きを気にして売買のタイミングを判断する必要がありません。感情に左右されず、機械的に投資を続けられるため、長期的な資産形成に向いています。

金融庁:投資の基本

一括購入との違い

投資信託の購入方法には、積立投資のほかに「一括購入(スポット購入)」があります。一括購入は、まとまった資金を一度に投資する方法で、購入タイミングが良ければ大きなリターンを得られる可能性があります。

しかし、購入した直後に価格が下落すると、含み損を抱えるリスクが高くなります。一方、積立投資は時間を分散して購入するため、高値掴みのリスクを軽減できるのが特徴です。

一括購入と積立投資の比較

一括購入:投資のタイミングを見極める必要があり、ある程度の経験や知識が求められます

積立投資:購入タイミングを分散できるため、投資初心者や長期的にコツコツ資産を増やしたい方に適しています

投信積立の5つのメリット|初心者に選ばれる理由

投資信託の積立には、初心者でも始めやすく、長期的な資産形成に適したメリットがあります。ここでは、投信積立が多くの人に選ばれている5つの理由を詳しく解説します。

少額から始められる手軽さ、自動積立の便利さ、リスクを抑える仕組み、そして複利効果による資産の成長が、投信積立の大きな魅力です。

少額から始められる

投資信託の積立は、証券会社によっては100円から始められます。まとまった資金がなくても、毎月のお小遣いや余裕資金の範囲内で無理なく投資をスタートできるため、投資初心者や若い世代でも気軽に始められます。

例えば、SBI証券や楽天証券では、月100円から積立設定が可能です。少額から始めて、慣れてきたら徐々に積立額を増やしていくこともできるため、自分のペースで資産形成を進められます。

自動で積立できて手間がかからない

投資信託の積立は、一度設定すれば毎月自動で買い付けが行われます。銀行口座やクレジットカードから自動引き落としされるため、買い付けのたびに手続きをする必要がありません。

忙しくて投資に時間を割けない方や、相場の動きを常にチェックするのが難しい方でも、手間をかけずに投資を続けられます。自動積立の仕組みを活用すれば、投資を習慣化しやすく、長期的な資産形成を無理なく継続できます。

ドル・コスト平均法でリスクを抑える

積立投資では、毎月一定額を投資することで「ドル・コスト平均法」の効果を得られます。ドル・コスト平均法とは、価格が高い時には少ない口数を、価格が安い時には多くの口数を購入する仕組みです。

この方法を使うと、購入価格が平均化されるため、高値で一度に大量に購入してしまうリスクを避けられます。相場が上下に変動する中でも、時間をかけて購入することで、価格変動の影響を抑えながら投資を続けられます。

金融庁:投資の基本

ドル・コスト平均法は、相場の先行きが読めない初心者にとって、リスクを抑えながら投資できる有効な手法です。ただし、相場が右肩上がりの場合は、一括投資の方が有利になることもあります。

時間分散で価格変動の影響を軽減

積立投資は、購入タイミングを分散することで、価格変動の影響を軽減できます。一度に大きな金額を投資すると、その後の価格変動によって資産価値が大きく変わる可能性があります。

しかし、毎月少しずつ購入することで、価格が高い時期と安い時期の両方で買い付けが行われ、購入価格が平準化されます。これにより、短期的な価格変動に一喜一憂せず、長期的な視点で資産形成を進められます。

複利効果で長期的に資産が増える

投資信託の積立では、運用で得た利益を再投資することで「複利効果」を得られます。複利効果とは、元本だけでなく、運用で増えた利益にも利益が上乗せされる仕組みです。

例えば、毎月3万円を年利5%で20年間積立投資すると、元本720万円に対して運用益が約513万円となり、合計で約1,233万円になる計算です。時間をかけるほど複利効果が大きくなるため、早く始めるほど有利になります。

投信積立で気をつけたい3つのこと|デメリットとリスク

投資信託の積立にはメリットが多い一方で、注意すべき点もあります。投資である以上、リスクやコストが発生することを理解しておくことが大切です。

元本割れのリスク、手数料の負担、短期的な利益の難しさについて、正しく理解してから投資を始めましょう。

元本割れのリスクがある

投資信託は元本保証の商品ではないため、運用成績によっては投資した金額を下回る「元本割れ」が発生する可能性があります。

株式や債券などの価格は、経済状況や企業業績、金利の変動などによって上下するため、購入時よりも価格が下がることもあります。特に、株式を中心に運用する投資信託は、価格変動が大きくなる傾向があります。短期間で大きく値下がりすることもあるため、価格が下がった時に慌てて売却してしまうと、損失が確定してしまいます。

元本割れのリスクを抑えるためには、長期投資を前提に、短期的な価格変動に一喜一憂せず、じっくりと運用を続けることが重要です。また、複数の資産に分散投資することで、リスクを軽減する効果も期待できます。

金融庁:リスク情報の開示について

手数料がかかる

投資信託には、購入時や保有中、売却時にさまざまな手数料がかかります。主な手数料には、購入時手数料(販売手数料)、信託報酬(運用管理費用)、信託財産留保額(解約時の費用)があります。

特に注意したいのが信託報酬です。信託報酬は、投資信託を保有している間、毎日少しずつ差し引かれる費用で、年率で表示されます。例えば、信託報酬が年1%の投資信託を100万円保有している場合、年間で約1万円の費用がかかります

信託報酬は長期保有するほど負担が大きくなるため、できるだけ低コストの投資信託を選ぶことが重要です。最近では、購入時手数料が無料(ノーロード)で、信託報酬が年0.1%台の低コスト投資信託も増えています。

短期的な利益は期待しにくい

投資信託の積立は、長期的にコツコツと資産を増やしていく投資方法であり、短期間で大きな利益を得ることは難しい傾向があります。毎月少しずつ購入するため、一度に大きな金額を投資する場合と比べて、短期的なリターンは限定的です。

また、積立投資は時間をかけて購入価格を平準化する仕組みのため、相場が右肩上がりの局面では、一括投資の方が有利になることもあります。短期的な値動きで利益を狙いたい方には、積立投資は向いていません。

投信積立は、10年、20年といった長期的な視点で、じっくりと資産を育てていく投資方法です。短期的な価格変動に惑わされず、長期保有を前提に投資を続けることが成功のカギとなります。

投信積立の始め方|口座開設から積立開始まで5ステップ

投資信託の積立を始めるには、証券会社や銀行で口座を開設し、投資信託を選んで積立設定を行う必要があります。ここでは、投信積立を始めるための具体的な手順を5つのステップで解説します。

初めての方でも迷わず始められるよう、口座開設から積立開始までの流れを順番に説明していきます。

証券会社・銀行を選ぶ

投資信託の積立を始めるには、まず証券会社または銀行で口座を開設する必要があります。ネット証券は手数料が安く、取扱商品が豊富で、スマホやパソコンから簡単に取引できるため、初心者にもおすすめです。

主なネット証券には、SBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券などがあります。それぞれ手数料体系や取扱商品、ポイント還元の仕組みが異なるため、自分に合った証券会社を選ぶことが大切です。

銀行でも投資信託の積立はできますが、ネット証券と比べると手数料が高く、取扱商品が少ない傾向があります。コストを抑えて幅広い商品から選びたい場合は、ネット証券を選ぶのが良いでしょう。

口座を開設する

証券会社を決めたら、口座開設の手続きを行います。ネット証券の場合、スマホやパソコンから申し込みができ、最短で翌営業日に口座開設が完了する証券会社もあります。

口座開設には、本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)とマイナンバーが必要です。スマホで本人確認書類を撮影してアップロードすれば、郵送手続きなしで口座開設できる証券会社も増えています。

口座開設時には、NISA口座を同時に申し込むこともできます。NISAを利用すれば運用益が非課税になるため、積立投資を始める際は、NISA口座の開設も検討しましょう。

金融庁:NISA特設ウェブサイト

投資信託を選ぶ

口座開設が完了したら、積立投資する投資信託を選びます。投資信託には、国内株式型、外国株式型、債券型、バランス型など、さまざまな種類があります。初心者の方は、まずインデックスファンドから始めるのがおすすめです。

インデックスファンドは、日経平均株価やS&P500などの指数に連動するように運用される投資信託で、信託報酬が低く、長期投資に適しています。バランス型ファンドは、株式と債券を組み合わせて運用するため、リスクを抑えながら分散投資できます。

投資信託を選ぶ際は、信託報酬の低さ、運用実績、純資産総額の大きさなどを確認しましょう。人気ランキングや証券会社のおすすめ商品も参考になりますが、自分の投資目的やリスク許容度に合った商品を選ぶことが大切です。

積立金額と頻度を決める

投資信託を選んだら、毎月の積立金額と積立頻度を決めます。積立金額は、無理のない範囲で設定することが重要です。生活費や緊急時の備えを確保した上で、余裕資金の範囲内で積立額を決めましょう。

積立頻度は、毎月1回が一般的ですが、証券会社によっては毎日や毎週など、より細かい頻度で積立設定できる場合もあります。頻度を細かくすることで、さらに時間分散の効果を高められます。

最初は少額から始めて、慣れてきたら徐々に積立額を増やしていくのも良い方法です。ボーナス月に増額設定をすることで、年間の積立額を効率的に増やすこともできます。

自動積立の設定をする

積立金額と頻度を決めたら、証券会社のサイトやアプリから自動積立の設定を行います。引き落とし方法は、銀行口座からの自動引き落としか、クレジットカード決済を選べる証券会社が多くなっています。

クレジットカード決済を選ぶと、積立額に応じてポイントが貯まる証券会社もあります。例えば、SBI証券では三井住友カードで積立すると最大0.5%のポイント還元、楽天証券では楽天カードで積立すると楽天ポイントが貯まります。

自動積立の設定が完了すれば、あとは毎月自動で買い付けが行われます。積立状況は、証券会社のサイトやアプリでいつでも確認できるため、定期的にチェックして運用状況を把握しましょう。

証券会社・銀行の選び方|比較するポイント

投資信託の積立を始める際、どの証券会社や銀行を選ぶかは非常に重要です。手数料や取扱商品、サービス内容は金融機関によって大きく異なるため、自分に合ったところを選ぶことで、より効率的に資産形成を進められます。

手数料の安さ、商品の豊富さ、最低積立金額、ポイント還元、使いやすさの5つの観点から、証券会社・銀行を比較するポイントを解説します。

手数料の安さで選ぶ

投資信託の積立では、手数料の安さが長期的なリターンに大きく影響します。主な手数料には、購入時手数料(販売手数料)と信託報酬(運用管理費用)があります。

ネット証券の多くは、投資信託の購入時手数料が無料(ノーロード)です。一方、銀行や対面型の証券会社では、購入時に1~3%程度の手数料がかかることがあります。同じ投資信託でも、購入する金融機関によって手数料が異なる場合があるため、事前に確認しましょう。

信託報酬は、投資信託を保有している間、毎日少しずつ差し引かれる費用です。信託報酬が低い投資信託を選ぶことで、長期的なコストを抑えられます。ネット証券では、信託報酬が年0.1%台の低コストインデックスファンドが豊富に揃っています。

取扱商品の豊富さで選ぶ

証券会社によって、取り扱っている投資信託の本数は大きく異なります。SBI証券や楽天証券などの大手ネット証券は、2,500本以上の投資信託を取り扱っており、幅広い選択肢から自分に合った商品を選べます。

特に、NISAのつみたて投資枠で購入できる投資信託の本数も重要です。つみたて投資枠対象の投資信託は、金融庁の基準を満たした低コストで長期投資に適した商品に限られています。取扱本数が多い証券会社ほど、自分に合った商品を見つけやすくなります。

また、米国株や外国株に投資したい場合は、外国株式の取扱銘柄数も確認しましょう。SBI証券やマネックス証券は、米国株の取扱銘柄が5,000銘柄以上と豊富です。

最低積立金額で選ぶ

投資信託の最低積立金額は、証券会社によって異なります。SBI証券や楽天証券、マネックス証券などの主要ネット証券では、月100円から積立投資を始められます。

少額から始められる証券会社を選ぶことで、投資初心者でも無理なくスタートできます。最初は少額から始めて、投資に慣れてきたら徐々に積立額を増やしていくのも良い方法です。

一方、銀行や一部の証券会社では、最低積立金額が1,000円や1万円に設定されている場合もあります。自分の予算に合わせて、無理なく続けられる金融機関を選びましょう。

ポイント還元・特典で選ぶ

証券会社によっては、投資信託の保有額に応じてポイントが貯まるサービスや、クレジットカード積立でポイント還元が受けられるサービスがあります。これらのポイントは、投資信託の購入に使えたり、他のポイントサービスと連携できたりします。

主なポイント還元サービス

SBI証券:三井住友カードで積立投資をすると、積立額の最大0.5%のVポイントが貯まります

楽天証券:楽天カードで積立すると楽天ポイントが貯まり、貯まったポイントで投資信託を購入することもできます

ポイント還元は、長期的に見ると大きなメリットになります。普段使っているポイントサービスと連携できる証券会社を選ぶことで、より効率的にポイントを活用できます。

使いやすさ・サポート体制で選ぶ

証券会社のウェブサイトやスマホアプリの使いやすさも、長く投資を続ける上で重要なポイントです。直感的に操作できるインターフェースや、分かりやすい情報表示があると、初心者でもストレスなく利用できます。

また、サポート体制も確認しておきましょう。電話やチャット、メールでの問い合わせに対応している証券会社なら、困った時にすぐに相談できます。特に投資初心者の方は、サポートが充実している証券会社を選ぶと安心です。

口座開設のスピードも比較ポイントです。最短で翌営業日に口座開設が完了する証券会社もあれば、数日から1週間程度かかる場合もあります。早く投資を始めたい方は、口座開設が早い証券会社を選ぶと良いでしょう。

NISAを活用した投信積立|非課税で効率的に運用

NISA(少額投資非課税制度)は、投資で得た利益が非課税になる制度です。投資信託の積立と組み合わせることで、税金を気にせず効率的に資産を増やせます。

2024年から始まった新NISA制度では、非課税保有限度額が大幅に拡大され、つみたて投資枠と成長投資枠の2つの枠を活用できるようになりました。

NISAのつみたて投資枠とは

NISAのつみたて投資枠は、長期・積立・分散投資を支援するための制度で、年間120万円まで投資でき、運用益が非課税になります。金融庁が定めた基準を満たした、低コストで長期投資に適した投資信託のみが対象となっています。

金融庁:NISA特設ウェブサイト

つみたて投資枠の対象商品は、購入時手数料が無料で、信託報酬が一定水準以下のインデックスファンドやアクティブファンドに限られています。初心者でも安心して選べる商品が揃っているため、投資信託の積立を始めるなら、まずつみたて投資枠を活用するのがおすすめです。

つみたて投資枠は、非課税保有期間が無期限のため、長期間にわたって非課税で運用を続けられます。毎月コツコツ積立投資を行い、時間をかけて資産を育てていくのに最適な制度です。

成長投資枠との使い分け

新NISA制度には、つみたて投資枠のほかに「成長投資枠」があります。成長投資枠は、年間240万円まで投資でき、投資信託だけでなく、個別株式やETF(上場投資信託)なども購入できます。

つみたて投資枠と成長投資枠は併用できるため、年間で最大360万円まで非課税で投資が可能です。つみたて投資枠で積立投資を行いながら、成長投資枠で個別株式やETFに投資するといった使い分けもできます。

初心者の方は、まずつみたて投資枠で投資信託の積立を始め、投資に慣れてきたら成長投資枠で個別株式やETFにも挑戦するのが良いでしょう。非課税保有限度額は全体で1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)となっています。

金融庁:新しいNISA制度について

NISA口座での積立のメリット

NISA口座で投資信託の積立を行う最大のメリットは、運用益が非課税になることです。通常、投資信託の売却益や分配金には20.315%の税金がかかりますが、NISA口座で運用すれば税金がかかりません。

例えば、20年間で元本720万円を積立投資し、運用益が500万円出た場合、通常の課税口座では約100万円の税金がかかりますが、NISA口座なら全額が手元に残ります。長期投資になるほど、非課税の恩恵は大きくなります。

また、NISA口座は一人一口座しか開設できないため、どの証券会社で開設するかが重要です。取扱商品が豊富で、手数料が安く、ポイント還元などの特典がある証券会社を選ぶことで、より効率的に資産形成を進められます。

初心者におすすめの投資信託の選び方

投資信託は数千本もの商品があり、初心者の方はどれを選べばいいのか迷ってしまうことも多いでしょう。ここでは、初心者が投資信託を選ぶ際のポイントと、おすすめの商品タイプを紹介します。

インデックスファンドから始める、手数料が低い商品を選ぶ、バランス型ファンドで分散投資する、人気ランキングを参考にするといった方法があります。

インデックスファンドから始める

投資初心者には、インデックスファンドがおすすめです。インデックスファンドは、日経平均株価やS&P500などの指数(インデックス)に連動するように運用される投資信託で、市場全体の動きに合わせて運用されます。

インデックスファンドのメリットは、信託報酬が低く、長期投資に適している点です。運用コストが低いため、長期間保有しても手数料の負担が少なく、効率的に資産を増やせます。また、市場全体に分散投資できるため、個別の銘柄選びをする必要がありません。

代表的なインデックスファンドには、全世界株式に投資する「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」や、米国株式に投資する「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」などがあります。これらは信託報酬が年0.1%台と非常に低く、初心者にも人気の商品です。

手数料(信託報酬)が低い商品を選ぶ

投資信託を選ぶ際は、信託報酬(運用管理費用)の低さが重要なポイントです。信託報酬は、投資信託を保有している間、毎日少しずつ差し引かれる費用で、年率で表示されます。

信託報酬が高い投資信託は、長期保有するほど手数料の負担が大きくなり、運用成績に悪影響を与えます。例えば、信託報酬が年1%の投資信託と年0.1%の投資信託では、20年間で数十万円の差が出ることもあります

最近では、「eMAXIS Slim」シリーズや「楽天・バンガード」シリーズなど、信託報酬が年0.1%台の低コストインデックスファンドが増えています。初心者の方は、まず信託報酬が年0.5%以下の投資信託を選ぶことを目安にすると良いでしょう。

バランス型ファンドで分散投資

バランス型ファンドは、株式と債券を組み合わせて運用する投資信託で、1つの商品で複数の資産に分散投資できます。株式だけに投資するよりもリスクを抑えられるため、リスクを取りすぎたくない方や、初めて投資をする方におすすめです。

バランス型ファンドには、株式と債券の比率が異なるさまざまな商品があります。株式の比率が高いほどリターンが期待できる一方、価格変動も大きくなります。自分のリスク許容度に合わせて、適切な比率の商品を選びましょう。

代表的なバランス型ファンドには、「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」や「楽天・インデックス・バランス・ファンド」などがあります。これらは、国内外の株式・債券・不動産などに分散投資できるため、初心者でも安心して始められます。

人気ファンドランキングの活用法

証券会社のウェブサイトでは、投資信託の人気ランキングや積立設定件数ランキングが公開されています。これらのランキングは、多くの投資家に選ばれている商品を知る参考になります。

ただし、人気ランキング上位の商品が必ずしも自分に合っているとは限りません。ランキングを参考にしつつ、信託報酬の低さや投資対象、運用方針などを確認して、自分の投資目的やリスク許容度に合った商品を選ぶことが大切です。

また、ランキング上位の商品は、過去の運用成績が良いものが多いですが、過去の実績が将来の成績を保証するものではありません。長期的な視点で、信託報酬が低く、分散投資ができる商品を選ぶことを優先しましょう。

年代別・目的別の積立金額の目安|いくらから始める?

投資信託の積立を始める際、「毎月いくら積み立てればいいのか」は多くの人が悩むポイントです。積立金額は、年齢や収入、投資目的によって変わります。

ここでは、20代、30代、40代以降の年代別の積立金額の目安と、目的別の積立戦略を紹介します。

20代の積立金額の目安

20代の積立金額目安:月1万円~3万円
20代は、収入がまだ少ない一方で、時間を味方につけられる年代です。少額からでも早く始めることで、複利効果を最大限に活かせます。無理のない範囲で、月1万円~3万円程度から始めるのが現実的です。

例えば、月2万円を年利5%で30年間積立投資すると、元本720万円に対して運用益が約941万円となり、合計で約1,661万円になる計算です。早く始めるほど、少額でも大きな資産を築ける可能性があります。

20代のうちは、まず投資の習慣を身につけることが大切です。最初は月5,000円や1万円といった少額から始めて、収入が増えたら積立額を増やしていくのも良い方法です。

30代の積立金額の目安

30代の積立金額目安:月3万円~5万円
30代は、収入が安定してくる一方で、結婚や住宅購入、子育てなどで支出も増える年代です。ライフプランを考慮しながら、月3万円~5万円程度を目安に積立投資を行うのが理想的です。

30代から積立投資を始めても、まだ20年以上の運用期間があります。月3万円を年利5%で25年間積立投資すると、元本900万円に対して運用益が約855万円となり、合計で約1,755万円になる計算です。

30代は、NISAのつみたて投資枠を最大限活用するのがおすすめです。年間120万円(月10万円)まで非課税で投資できるため、余裕がある方は積立額を増やすことも検討しましょう。

40代以降の積立金額の目安

40代以降の積立金額目安:月5万円~10万円
40代以降は、老後資金の準備を本格的に考える時期です。収入が増えている一方で、運用期間が短くなるため、月5万円~10万円程度を目安に積立額を増やすことが望ましいです。

40代から月5万円を年利5%で20年間積立投資すると、元本1,200万円に対して運用益が約855万円となり、合計で約2,055万円になる計算です。老後2,000万円問題に対応するためにも、できるだけ多くの金額を積み立てることが重要です。

40代以降は、リスクを抑えたバランス型ファンドや債券を組み合わせた投資も検討しましょう。運用期間が短いため、大きな価格変動を避けつつ、着実に資産を増やすことが大切です。

目的別の積立戦略

投資信託の積立は、目的に応じて戦略を変えることが重要です。老後資金の準備なら、長期的にリスクを取って株式中心のインデックスファンドに投資するのが効果的です。教育資金の準備なら、10年~15年程度の運用期間を見込んで、バランス型ファンドで安定的に運用するのが良いでしょう。

住宅購入の頭金など、数年以内に使う予定がある資金は、投資信託の積立には向いていません。価格変動のリスクがあるため、必要な時期に元本割れしている可能性があります。短期的な資金は、預金や個人向け国債など、元本保証のある商品で準備しましょう。

目的に応じて、複数の口座や商品を使い分けることも有効です。NISAのつみたて投資枠で老後資金を準備し、成長投資枠で教育資金を準備するといった使い分けができます。

投信積立を続けるコツ|長期運用を成功させる方法

投資信託の積立は、長期間続けることで複利効果を得られ、資産を大きく増やせます。しかし、相場の変動や生活の変化によって、途中でやめてしまう人も少なくありません。

ここでは、投信積立を長く続けるためのコツを4つ紹介します。相場の変動に一喜一憂しない、無理のない金額設定、定期的な確認、自動化して忘れることが成功の秘訣です。

相場の変動に一喜一憂しない

投資信託の価格は、経済状況や市場の動向によって日々変動します。短期的には大きく値下がりすることもありますが、長期的には右肩上がりの成長が期待できます。価格が下がった時に慌てて売却してしまうと、損失が確定してしまいます。

積立投資は、価格が下がった時にも買い続けることで、平均購入単価を下げる効果があります。むしろ、価格が安い時は多くの口数を購入できるチャンスと捉えることが大切です。

相場の変動に一喜一憂せず、長期的な視点で投資を続けることが、積立投資を成功させる最大のポイントです。短期的な値動きは気にせず、じっくりと資産を育てていきましょう。

無理のない金額設定にする

積立投資は、長く続けることが重要です。そのためには、無理のない金額で積立設定をすることが大切です。生活費や緊急時の備えを確保した上で、余裕資金の範囲内で積立額を決めましょう。

無理に高額な積立をすると、生活が苦しくなったり、急な出費があった時に積立を中断せざるを得なくなったりします。最初は少額から始めて、収入が増えたら徐々に積立額を増やしていくのが賢明です。

また、ボーナス月だけ増額設定をすることもできます。毎月の積立は無理のない範囲に抑えつつ、ボーナスで追加投資することで、年間の積立額を効率的に増やせます。

定期的に運用状況を確認する

積立投資は自動で買い付けが行われるため、放置しがちですが、定期的に運用状況を確認することも大切です。3ヶ月に1回や半年に1回程度、証券会社のサイトやアプリで積立状況や運用成績をチェックしましょう。

運用状況を確認することで、資産が順調に増えているかを把握でき、投資を続けるモチベーションにもつながります。また、積立額の見直しや、ライフプランの変化に応じた調整も行いやすくなります。

ただし、頻繁に確認しすぎると、短期的な価格変動に一喜一憂してしまう可能性があります。確認する頻度は、3ヶ月~半年に1回程度にとどめ、長期的な視点で運用状況を見守りましょう。

積立を自動化して忘れる

積立投資を長く続けるコツは、自動化して忘れることです。一度積立設定をすれば、毎月自動で買い付けが行われるため、特に何もする必要がありません。相場の動きを気にせず、淡々と積立を続けることが、長期投資を成功させる秘訣です。

自動積立の設定をしたら、あとは日常生活に集中し、投資のことは忘れるくらいの気持ちでいるのが理想的です。相場の動きを毎日チェックしたり、頻繁に売買を繰り返したりすると、感情に左右されて失敗しやすくなります。

長期投資は、時間をかけてじっくりと資産を育てていく投資方法です。自動化して忘れることで、相場の変動に惑わされず、着実に資産を増やしていけます。

よくある質問(Q&A)

よくある質問
投信積立はいくらから始められる?

投資信託の積立は、証券会社によって異なりますが、SBI証券や楽天証券、マネックス証券などの主要ネット証券では、月100円から始められます。少額から始められるため、投資初心者でも気軽にスタートできます。

途中で積立金額を変更できる?

はい、積立金額はいつでも変更できます。証券会社のウェブサイトやアプリから、積立金額の増額・減額、一時停止などの設定変更が可能です。収入の変化やライフプランに応じて、柔軟に調整しましょう。

積立をやめたくなったらどうする?

積立投資は、いつでも停止・解約できます。ただし、短期間でやめてしまうと、複利効果を十分に得られません。できるだけ長く続けることが、資産を増やすポイントです。どうしても続けられない場合は、積立額を減らして継続することも検討しましょう。

元本割れしたらどうなる?

投資信託は元本保証ではないため、運用成績によっては元本割れすることがあります。しかし、長期投資を前提にしていれば、一時的な元本割れは回復する可能性があります。慌てて売却せず、長期的な視点で運用を続けることが大切です。

税金や確定申告は必要?

NISA口座で運用している場合は、運用益が非課税のため確定申告は不要です。特定口座(源泉徴収あり)で運用している場合も、証券会社が税金を自動で計算・納付してくれるため、原則として確定申告は不要です。一般口座で運用している場合は、確定申告が必要になります。

iDeCoとの違いは?

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、掛金が全額所得控除の対象となり、運用益も非課税で受け取れる私的年金制度です。ただし、60歳まで原則引き出しができません。一方、投資信託の積立(NISA含む)は、いつでも売却・引き出しが可能です。老後資金の準備ならiDeCo、それ以外の目的ならNISAや通常の積立投資が適しています。

厚生労働省:iDeCo公式サイト

まとめ

投資信託の積立は、毎月一定額を自動で投資する仕組みで、少額から始められて時間をかけてコツコツ資産を増やせる方法です。ドル・コスト平均法により価格変動のリスクを抑えながら、長期的に複利効果を得られるため、初心者にも適した資産形成の手段です。

NISAのつみたて投資枠を活用すれば、運用益が非課税になり、より効率的に資産を増やせます。証券会社を選ぶ際は、手数料の安さ、取扱商品の豊富さ、ポイント還元、使いやすさなどを比較して、自分に合ったところを選びましょう。

投資信託を選ぶ際は、信託報酬が低いインデックスファンドから始めるのがおすすめです。年代や目的に応じて積立金額を設定し、無理のない範囲で長く続けることが成功のカギです。相場の変動に一喜一憂せず、自動化して淡々と積立を続けましょう。

なお、投資には元本割れのリスクがあります。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。ご自身の投資目的やリスク許容度に合わせて、慎重にご検討ください。

SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

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