モネロ(XMR)とは|完全匿名の仮想通貨の仕組みと規制リスク【2026年】

モネロ(XMR)とは|完全匿名の仮想通貨の仕組みと規制リスク【2026年】

「ビットコインは匿名性が高い」と思われがちですが、実はすべての取引が公開されており、アドレスを辿れば誰がいくら送金したか追跡できます。

そこで注目されるのが、完全匿名性を実現したモネロ(XMR)です。

モネロは送金者・受取人・取引金額のすべてを秘匿する技術を標準搭載しており、プライバシー保護を最優先に設計された仮想通貨です。

その匿名性の高さゆえに、日本では2018年に金融庁の指摘を受けて国内取引所から上場廃止となり、現在も取扱いがありません。

本記事では、モネロの技術的な仕組み、日本で買えない理由、各国の規制動向、購入方法、税務処理まで徹底解説します。

この記事の要約
  • モネロは送金者・受取人・金額を完全に秘匿する匿名性特化の仮想通貨
  • 日本では金融庁の指摘により2018年に上場廃止、現在も国内取引所での取扱いなし
  • 海外取引所やDEXでの購入は可能だが、規制リスクと税務処理の複雑さに注意が必要
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SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

目次

モネロ(XMR)とは|完全匿名性を持つ仮想通貨の基本

モネロは2014年に誕生した、プライバシー保護に特化した仮想通貨です。ビットコインをはじめとする多くの仮想通貨が「透明性」を特徴とするのに対し、モネロは「匿名性」を最優先に設計されています。

モネロの基本情報

モネロ(Monero)という名称はエスペラント語で「コイン」を意味します。2014年4月にBytecoinからフォークする形で誕生し、CryptoNoteプロトコルをベースに開発されました。

モネロの基本スペックは以下の通りです。

  • 通貨名:Monero(モネロ)
  • ティッカーシンボル:XMR
  • 発行上限:約1,840万枚(2022年5月以降はテールエミッション)
  • コンセンサスアルゴリズム:Proof of Work(RandomX)
  • ブロック生成時間:約2分
  • 循環供給量:約1,845万XMR(2026年2月時点)

出典:MEXC

すべての取引がデフォルトで匿名化されることが最大の特徴

ビットコインでは任意で匿名化技術を使う必要がありますが、モネロではすべてのユーザーが自動的にプライバシー保護の恩恵を受けられます。

ビットコインとの決定的な違い

ビットコインとモネロの最も大きな違いは、ブロックチェーンの透明性です。ビットコインでは、すべての取引がブロックチェーン上に公開され、誰でも閲覧できます。アドレスと取引履歴を辿れば、特定の人物がいくら保有しているか、どこに送金したかが分かってしまいます。

一方、モネロのブロックチェーンでは、送金者のアドレス、受取人のアドレス、取引金額のすべてが暗号化されています。ブロックチェーン上には取引が記録されますが、その内容を第三者が読み取ることはできません。

この違いは「代替可能性(ファンジビリティ)」にも影響します。ビットコインでは過去に犯罪に使われたコインが「汚れたコイン」として扱われ、取引所で受け入れを拒否されるケースがあります。しかし、モネロでは取引履歴が追跡できないため、すべてのコインが同じ価値を持ちます。

なぜ「完全匿名性」が注目されるのか

近年、個人情報の流出や監視社会の進行が社会問題化する中で、金融プライバシーを重視する動きが高まっています。ビットコインやイーサリアムは公開ブロックチェーンであるため、取引の透明性が高く、ユーザーの行動が追跡されるリスクがあります。

モネロは医療情報の保護、人権活動、ジャーナリズムなど、合法的にプライバシー保護が必要な場面での利用が想定されています。政治的に敏感な地域での寄付活動や、競合他社に取引内容を知られたくない企業間取引など、正当な理由でプライバシーを求めるユーザーに支持されています。

匿名性の高さゆえに、マネーロンダリングやダークウェブでの違法取引に利用される懸念も指摘されています

モネロの匿名化技術|3つの仕組みを図解

モネロの完全匿名性は、「リング署名」「ステルスアドレス」「RingCT」という3つの技術によって実現されています。これらの技術が組み合わさることで、送金者・受取人・取引金額のすべてが秘匿されます。

リング署名|誰が送金したか分からない仕組み

リング署名は、複数の取引情報を混ぜ合わせることで、実際の送金者を特定困難にする技術です。モネロの取引では、実際の送金元に加えて、ブロックチェーン上の他の過去の取引(デコイ)を混ぜ込みます。

リング署名の動作原理

モネロで送金する際、あなたの実際の取引に加えて、10個の過去の取引がランダムに選ばれます。これらの11個の取引(実際の取引1つ+デコイ10個)が「リング」を形成し、外部の観察者にはどれが本物の送金元か判別できません。

リング署名では、リング内のいずれかの秘密鍵が署名に使われたことは証明できますが、どの秘密鍵が使われたかは特定できません。これにより、送金者の匿名性が保護されます。現在のモネロではリングサイズが11に設定されており、1つの実際の取引に対して10個のデコイが使用されます。

二重支払いを防ぐため、モネロでは「キーイメージ」という仕組みを採用しています。キーイメージは公開鍵から生成される一意の値で、同じ出力が二度使われることを防ぎます。キーイメージ自体からは送金者を特定できないため、匿名性は維持されます。

ビットコインの透明性との比較

ビットコインでは、トランザクションのインプット(送金元)が明確に記録されます。ブロックチェーンエクスプローラーで取引を見れば、どのアドレスからどのアドレスに送金されたかが一目瞭然です。

モネロのリング署名では、11個の候補の中から実際の送金元を特定することはできません。仮にリング署名が破られたとしても、送金元の「出力」が特定されるだけで、必ずしも送金者の身元が明らかになるわけではありません。さらに、取引金額と受取人は別の技術で保護されているため、プライバシーの多層防御が実現されています。

ステルスアドレス|受取人を隠す技術

ステルスアドレスは、受取人の公開アドレスとは異なる一時的なアドレスを生成することで、取引のリンクを断ち切り、プライバシーを保護する技術です。

ワンタイムアドレスの生成方法

モネロでは、受取人が公開する「公開アドレス」は2つの公開鍵(A、B)のペアで構成されています。送金者がモネロを送る際、ランダムな秘密鍵データ(r)を生成し、受取人の公開鍵と組み合わせて「ステルスアドレス」を作成します。

このステルスアドレスは一度限りの使い捨てアドレスで、ブロックチェーン上に記録されます。外部の観察者には、このステルスアドレスが誰のものか分かりません。受取人だけが自分の秘密鍵を使ってブロックチェーンをスキャンし、自分宛ての取引を発見できます。

毎回異なるステルスアドレスが生成されるため、複数の取引を同一人物に結びつけることができません

プライバシー保護の実効性

ステルスアドレスの最大の利点は、受取人のプライバシーを守ることです。ビットコインでは、公開アドレスを知られると、そのアドレスの残高や取引履歴がすべて閲覧できてしまいます。企業が顧客に公開アドレスを提示する場合、売上や取引先が競合他社に知られるリスクがあります。

モネロのステルスアドレスでは、受取人が同じ公開アドレスを公開していても、実際の取引では毎回異なるステルスアドレスが使われます。これにより、第三者は受取人の取引履歴を追跡できません。ただし、ステルスアドレスだけでは送金者の匿名性は保護されないため、リング署名と組み合わせることで完全な匿名性が実現されます。

RingCT|取引金額も秘匿する

RingCT(Ring Confidential Transactions)は、取引金額を秘匿する技術です。2017年1月にモネロに実装され、同年9月からすべての取引で必須となりました。

機密トランザクションの仕組み

RingCT以前のモネロでは、送金者と受取人は隠されていましたが、取引金額はブロックチェーン上に公開されていました。これでは、金額から取引の内容を推測されるリスクがありました。

RingCTでは、「コミットメント」と「レンジプルーフ」という暗号技術を使用します。コミットメントは、実際の金額を秘匿しながら、取引の入力と出力が正しく一致することを証明します。レンジプルーフは、送金額が負の数でないこと(不正なコインの生成がないこと)を証明します。

これらの技術により、ネットワーク参加者は取引の正当性を検証できますが、実際の金額を知ることはできません。モネロではさらに効率化のため、2020年にBulletproofsという技術に移行し、トランザクションサイズを約80%削減しました。

2017年の実装とその影響

RingCTの実装は、モネロのプライバシー保護を大幅に強化しました。これにより、送金者・受取人・金額の3要素すべてが秘匿され、「完全匿名性」が実現されました。

RingCT実装後、モネロの取引サイズは約13KB程度に増加しましたが、その後のBulletproofs導入により約2.5KBまで削減されました。さらに2022年にはBulletproofs+への移行が計画されており、トランザクション効率の向上が続いています。

プライバシーコインの中でも最も匿名性が高い通貨として評価

一方で、この技術が規制当局から懸念される要因ともなっています。

モネロの歴史と開発背景|2014年誕生から現在まで

モネロの歴史は、プライバシー保護を重視した仮想通貨の系譜を辿ることで理解できます。2014年の誕生から現在まで、技術的な進化と規制との闘いが続いています。

2014年|Bytecoinからのフォークで誕生

モネロの起源は、2012年にローンチされたBytecoin(BCN)にあります。Bytecoinは、2013年10月にニコラス・ヴァン・サバーハーゲンが発表したCryptoNoteプロトコルをベースに開発された、プライバシー重視の仮想通貨でした。

2014年4月、Bitcointalkフォーラムのユーザー「thankful_for_today」がBytecoinのコードベースをフォークし、当初は「BitMonero」という名称でローンチしました。しかし、コミュニティメンバーがthankful_for_todayの開発方針に反対し、同年4月に再度フォークして「Monero」が誕生しました。

モネロの創設者たちは、Bytecoinに存在した問題(事前マイニングの疑惑など)を解決し、より公平で透明性の高いプロジェクトを目指しました。開発チームの多くは匿名性を保っており、中央集権的なリーダーシップを避ける文化が根付いています。

主要なアップデートの歴史

モネロは誕生以来、プライバシー強化とパフォーマンス向上のために多数のアップデートを実施してきました。主要なマイルストーンは以下の通りです。

1.2017年1月:RingCTの実装により取引金額の秘匿化を実現
2.2017年9月:RingCTがすべての取引で必須化
3.2018年4月:Bulletproofsの導入でトランザクションサイズを約80%削減
4.2019年11月:RandomXアルゴリズムへの移行でASIC耐性を強化
5.2020年10月:CLSAG署名方式の導入でさらなる効率化
6.2022年8月:Bulletproofs+の実装でトランザクション効率を向上

モネロは約6ヶ月ごとにハードフォークを実施し、技術的な改善を続けています。これらのアップデートは、プライバシー保護の強化だけでなく、トランザクション速度の向上やネットワークの分散性維持にも貢献しています。

次世代トランザクションプロトコル「Seraphis」の開発が進行中です

Serapisはリングサイズを大幅に拡大し、さらに強力な匿名性を提供することを目指しています。また、新しいアドレス方式「JAMTIS」の導入により、ウォレットの利便性向上も計画されています。

開発チームとコミュニティの特徴

モネロの開発チームは、その多くが匿名性を保っています。過去のリードメンテナーとしては南アフリカ出身のリカルド・スパーニ氏が知られていますが、コア開発者の多くは身元を明かしていません。

モネロの開発は、Monero Research Lab(MRL)が中心となって進められています。MRLは暗号技術の研究と新しいプライバシー技術の開発を担当しており、学術論文の発表や技術仕様書の作成を行っています。

資金調達は、Community Crowdfunding System(CCS)と呼ばれる分散型の仕組みで行われます。コミュニティメンバーが開発提案を行い、他のメンバーがXMRで資金を提供する形式です。これにより、ベンチャーキャピタルや企業の影響を受けない独立した開発が可能になっています。

モネロのコミュニティは、ビットコインやイーサリアムに次いで3番目に大きな開発者コミュニティを持つとされています。プライバシー保護を重視するシファーパンクや暗号アナーキストからの支持が厚く、技術的な議論が活発に行われています。

モネロが日本で買えない理由|金融庁の規制と法的背景

モネロは日本国内の金融庁登録取引所では取扱いがありません。その背景には、金融庁の指摘と法的な規制があります。

2018年の上場廃止|金融庁の指摘内容

2018年、日本の大手仮想通貨取引所コインチェックが約580億円相当のNEMが流出する事件が発生しました。この事件を受けて、金融庁は国内取引所に対する監督を強化し、匿名性の高い仮想通貨の取扱いについて懸念を表明しました。

金融庁は、モネロをはじめとする匿名通貨(プライバシーコイン)について、以下の問題点を指摘しました。

  • 取引の追跡が困難であり、マネーロンダリングに利用されるリスクが高い
  • 犯罪収益移転防止法に基づく本人確認・取引記録の保存が困難
  • 資金決済法が求める利用者保護措置が十分に機能しない可能性

これを受けて、2018年中にコインチェックはモネロ、Zcash、Dashなどの匿名通貨を上場廃止しました。他の国内取引所も同様に匿名通貨の取扱いを見送り、現在に至るまで日本国内の金融庁登録取引所でモネロを購入することはできません。

資金決済法と犯罪収益移転防止法の観点

日本の暗号資産交換業者は、資金決済法と犯罪収益移転防止法(犯収法)の両方に基づいて規制されています。これらの法律は、マネーロンダリングやテロ資金供与を防止するため、取引所に厳格な義務を課しています。

出典:金融庁「暗号資産交換業者登録一覧」

資金決済法では、暗号資産交換業者に対して利用者の本人確認、取引記録の保存、疑わしい取引の届出などが義務付けられています。また、利用者の暗号資産は95%以上をコールドウォレットで管理し、分別管理することが求められています。

犯収法では、取引時の本人確認(KYC)に加えて、取引の目的や職業、資金の出所などの確認が必要です。さらに、疑わしい取引を発見した場合は、当局への届出が義務付けられています。

取引の送金元・送金先・金額がすべて秘匿されるため、法的義務を果たすことが技術的に困難です

FATFトラベルルールとの関係

FATF(金融活動作業部会)は、マネーロンダリング対策の国際基準を策定する政府間機関です。2019年6月、FATFは暗号資産に関するガイダンスを更新し、「トラベルルール」の適用を明確化しました。

トラベルルールとは、暗号資産の送金時に、送金人と受取人の情報を送金に付随させて伝達することを求めるルールです。具体的には、氏名、口座番号、住所などの情報を、送金元の取引所から送金先の取引所に伝える必要があります。

日本では、2023年6月からトラベルルールが本格的に適用されています。日本暗号資産取引業協会(JVCEA)は、会員取引所に対してトラベルルール対応を義務付けており、各取引所は専用のシステムを導入しています。

送金先のアドレスが秘匿されるため、トラベルルールに必要な情報を取得・伝達することができません

なお、モネロの保有自体は日本で違法ではありません。海外取引所で購入して個人のウォレットで保管することは可能ですが、税務申告の義務があることに注意が必要です。

モネロの規制リスク|各国の動向と今後の見通し

モネロは世界各国で規制強化の対象となっています。各国の規制動向を理解することは、投資判断において重要です。

EU|規制強化の動き

欧州連合(EU)では、2026年1月からDAC8(第8次行政協力指令)が施行されました。DAC8は、仮想通貨サービスプロバイダーにユーザーの取引データを税務当局に自動報告することを義務付けています。

出典:CoinPost

ビットコインやイーサリアムなどの公開ブロックチェーンでは、オンチェーン分析により取引履歴を追跡できるため、DAC8の報告要件に対応可能です。しかし、モネロのような匿名通貨では取引内容を追跡できないため、報告義務を果たすことが困難です。

さらに、EUでは2024年にMiCA(Markets in Crypto-Assets)規制が段階的に施行されています。MiCAは仮想通貨市場の包括的な規制枠組みを提供するものですが、プライバシーコインに対しては厳しい姿勢を示しています。

2024年には、欧州の73以上の取引所がプライバシーコインを上場廃止しました。2024年2月6日にBinanceがモネロの上場廃止を発表し、同月20日に実施しました。また、2024年4月にKrakenがアイルランドとベルギーのユーザー向けにモネロの取扱い停止を発表し、6月10日に完全廃止しました。さらに2024年10月には欧州経済領域(EEA)全域で取扱いを停止しています。

出典:Cointelegraph

2027年までにカストディサービスがプライバシーコインの保管を停止することが義務付けられる見込みです

米国|IRS・FinCENの対応

米国では、内国歳入庁(IRS)と金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)がプライバシーコインに対する監視を強化しています。

2020年9月、IRS刑事捜査部門は、モネロを追跡するツールの開発に対して、62.5万ドルの懸賞金を提示しました。これは、モネロの匿名性が法執行機関にとって大きな課題となっていることを示しています。

米国本社のCoinbaseはモネロを取り扱っておらず、日本法人のCoinbase Japanも2023年1月18日に撤退を発表し、2023年2月16日が資産引き出し期限となりました。Krakenなど一部の取引所のみが取扱いを継続していますが、Krakenも欧州の一部地域では取扱いを停止しています。

FinCENは、プライバシーコインが「高リスク」の資産であるとの見解を示しており、取引所に対して強化されたKYC・AML対策を求めています。今後、米国でもプライバシーコインに対する規制が強化される可能性があります。

韓国・オーストラリアの上場廃止

韓国では、2021年に改正された特定金融情報法により、仮想通貨取引所に対してKYC・AML対策の強化が義務付けられました。この法律により、匿名性の高い仮想通貨の取扱いが事実上禁止されました。

韓国の主要取引所(Upbit、Bithumb、Coinoneなど)は、2021年中にモネロ、Zcash、Dashなどのプライバシーコインを上場廃止しました。韓国は仮想通貨取引が盛んな国の一つであるため、この上場廃止はモネロの流動性に大きな影響を与えました。

オーストラリアでも、2020年に主要取引所がプライバシーコインの上場廃止を発表しました。オーストラリアの金融規制当局AUSTRAC(オーストラリア取引報告分析センター)は、マネーロンダリング対策の観点から、匿名通貨の取扱いに懸念を表明しています。

アジア市場での流動性は約11%減少したとされています

規制強化が価格に与える影響

規制強化は、モネロの価格に複雑な影響を与えています。短期的には、取引所の上場廃止により流動性が低下し、価格が下落する傾向があります。しかし、長期的には、規制強化がプライバシー需要を高め、価格を押し上げる要因となることもあります。

また、2025年4月には約3.3億ドル相当のビットコインが盗まれる事件が発生し、犯人がこれらをモネロに交換したことも価格上昇の一因となりました。この事件は、モネロが犯罪利用のリスクを抱えていることを改めて示すものでした。

今後、中央集権型取引所での取扱いがさらに減少する可能性がありますが、分散型取引所(DEX)での取引は継続されると見られます。特に、モネロ専用のDEXである「Haveno」の開発が進んでおり、規制を回避した取引の場として注目されています。

規制リスクは、モネロ投資における最大の不確実要因です

犯罪利用のリスクと合法的なユースケース

モネロの匿名性は、合法的なプライバシー保護と犯罪利用という両面を持ちます。両方の側面を理解することが重要です。

ダークウェブ・ランサムウェアでの利用実態

モネロは、その追跡困難性から、ダークウェブでの違法取引やランサムウェア攻撃の身代金支払いに利用されるケースが報告されています。2018年、欧州刑事警察機構(ユーロポール)のロブ・ウェインライト長官は、犯罪者がビットコインからモネロなどのプライバシーコインに移行する可能性を指摘しました。

ブルームバーグやCNNの報道によると、この動きの背景には、当局がビットコインのブロックチェーン分析技術を向上させたことがあります。ビットコインでは、高度なブロックチェーン分析ツールを使えば、取引を追跡して犯罪者を特定できるようになってきました。

ランサムウェア攻撃では、被害者に対してモネロでの身代金支払いを要求するケースが増加しています。モネロでの支払いは追跡が困難なため、犯人の特定や資金の回収が難しくなります。

現時点でモネロは追跡不可能である。しかし、時間と労力をかければ状況は変わる可能性がある

合法的なプライバシー保護のニーズ

モネロの匿名性は、犯罪目的だけでなく、正当なプライバシー保護にも利用できます。合法的なユースケースを理解することは、モネロの本質的な価値を評価する上で重要です。

医療情報の保護

医療分野では、患者のプライバシー保護が極めて重要です。医療費の支払いや医薬品の購入に透明性の高い仮想通貨を使用すると、第三者に病歴や治療内容が知られるリスクがあります。

モネロを使用すれば、医療関連の支払いを行いながらも、病歴や購入した医薬品の情報を秘匿できます。これは、特に精神疾患や性病など、スティグマの対象となりやすい病気の治療において重要です。

人権活動・ジャーナリズム

政治的に抑圧的な国や地域では、人権活動家やジャーナリストが資金を受け取ることが危険を伴う場合があります。透明性の高い仮想通貨で寄付を受け取ると、当局に活動が発覚し、弾圧の対象となるリスクがあります。

モネロの匿名性は、このような状況下で活動する人々の安全を守る手段となります。寄付者と受取人の双方が匿名性を保ちながら資金のやり取りができるため、政治的リスクを軽減できます。

また、内部告発者が匿名で情報提供を行う際の報酬受け取りや、検閲を受けやすいコンテンツの制作者への支援など、言論の自由を守る手段としても活用できます。

金融プライバシーの正当性

企業間取引では、取引内容や金額を競合他社に知られることは競争上の不利益となります。透明性の高いブロックチェーンでは、取引先や取引金額がすべて公開されるため、ビジネス戦略が推測されるリスクがあります。

個人レベルでも、給与の受け取りや家賃の支払いなどの日常的な取引において、すべての情報が公開されることは望ましくありません。銀行口座では当然とされているプライバシーが、仮想通貨でも必要だという主張があります。

金融プライバシーが基本的人権の一部であるという考え方に基づいています

プライバシーと犯罪対策のバランス

モネロをめぐる議論は、プライバシー保護と犯罪対策のバランスをどう取るかという、より広範な社会的課題を反映しています。

プライバシー擁護派は、すべての金融取引が監視される社会は、個人の自由を脅かすと主張します。政府や企業による過度な監視は、表現の自由や結社の自由を制限し、民主主義の基盤を損なう可能性があります。

一方、規制当局は、完全な匿名性がマネーロンダリング、テロ資金供与、脱税などの犯罪を助長すると懸念しています。法執行機関が犯罪を追跡・防止できる能力は、社会の安全を守る上で不可欠です。

この議論に明確な答えはありませんが、技術的な解決策が模索されています。例えば、「選択的透明性」を実現する技術や、特定の条件下でのみ取引情報を開示できる仕組みなどが研究されています。

モネロのコミュニティは、プライバシーは基本的権利であり、技術的に保護されるべきだという立場を堅持しています。一方で、合法的な利用と違法な利用を区別する責任は、技術ではなく法律と社会にあると主張しています。

投資家や利用者は、モネロの技術的な価値と社会的な議論の両方を理解した上で、自身の判断を行う必要があります。

他のプライバシーコインとの比較|Zcash・Dash・Secretとの違い

モネロ以外にも、プライバシー保護を目的とした仮想通貨が存在します。それぞれの技術的アプローチと特徴を比較することで、モネロの位置づけが明確になります。

Zcash|選択的透明性の仕組み

Zcash(ZEC)は、2016年に誕生したプライバシーコインです。Zcashの最大の特徴は、「選択的透明性」を提供することです。ユーザーは、透明な取引(t-address)とプライベートな取引(z-address)のどちらかを選択できます。

Zcashは、zk-SNARKs(ゼロ知識簡潔非対話的知識証明)という暗号技術を使用します。zk-SNARKsは、取引の正当性を証明しながら、取引内容を一切明かさない技術です。数学的には非常に洗練されていますが、セットアップ時に「信頼された設定」が必要という課題があります。

Zcashはプライバシー機能がオプションで利用率が低い

Zcashの問題点は、プライバシー機能がオプションであることです。実際には、Zcashの取引の大部分が透明なt-addressで行われており、z-addressの利用率は低い状況です。これは、プライバシー取引のコストが高いことや、多くの取引所がz-addressに対応していないことが原因です。

Dash|PrivateSend機能

Dash(DASH)は、2014年に誕生した仮想通貨で、当初は「Darkcoin」という名称でした。Dashは、決済速度の向上とプライバシー保護を両立することを目指しています。

Dashのプライバシー機能は「PrivateSend」と呼ばれ、CoinJoin技術をベースにしています。CoinJoinは、複数のユーザーの取引を混ぜ合わせることで、送金元を特定しにくくする技術です。

Dashのプライバシー保護はモネロやZcashより弱い

しかし、Dashのプライバシー保護はモネロやZcashと比べて弱いとされています。PrivateSendはオプション機能であり、利用率が低いこと、混合される取引数が限られていることなどが指摘されています。また、マスターノードと呼ばれる特権的なノードが存在するため、完全な分散化が実現されていないという批判もあります。

Dashは現在、プライバシーよりも決済速度と使いやすさに重点を置いており、プライバシーコインとしての位置づけは弱まっています。

Secret|スマートコントラクト対応

Secret Network(SCRT)は、プライバシー保護機能を持つスマートコントラクトプラットフォームです。イーサリアムのようなスマートコントラクト機能を提供しながら、取引内容やコントラクトの状態を秘匿できることが特徴です。

Secretは、Trusted Execution Environment(TEE)と呼ばれる技術を使用します。TEEは、ハードウェアレベルでデータを保護する技術で、Intel SGXなどが利用されています。これにより、スマートコントラクトの計算を秘密裏に実行できます。

DeFiアプリにプライバシー機能を提供できる

Secretの強みは、DeFi(分散型金融)アプリケーションにプライバシー機能を提供できることです。プライベートな取引所、プライベートなレンディングプラットフォームなど、プライバシーを重視したDeFiサービスの構築が可能です。

ただし、Secretはモネロのような純粋な「通貨」ではなく、プラットフォームとしての性格が強いため、直接的な比較は難しい面があります。

4つのプライバシーコイン比較表

項目 Monero(XMR) Zcash(ZEC) Dash(DASH) Secret(SCRT)
ローンチ年 2014年 2016年 2014年 2020年
プライバシー技術 リング署名、ステルスアドレス、RingCT zk-SNARKs CoinJoin(PrivateSend) TEE(Intel SGX)
プライバシーの強度 非常に高い(デフォルト) 高い(オプション) 中程度(オプション) 高い
デフォルト匿名性 あり(全取引が匿名) なし(選択制) なし(選択制) あり
スマートコントラクト なし なし なし あり
規制リスク 非常に高い 高い 中程度 高い
取引所での取扱い 減少傾向 一部で継続 比較的広い 限定的

モネロは、プライバシーコインの中で最も匿名性が高く、すべての取引がデフォルトで保護される点が特徴です。一方で、規制リスクも最も高く、取引所での取扱いが減少しています。

Zcashは技術的には高度ですが、プライバシー機能がオプションであるため、実際の利用率が低いという課題があります。Dashはプライバシーよりも決済速度に重点を置いており、プライバシーコインとしての位置づけは弱まっています。

Secretは、スマートコントラクトにプライバシー機能を追加できる点でユニークですが、純粋な通貨としてのモネロとは用途が異なります。

各通貨の技術・規制リスク・利用状況を総合評価が必要

プライバシーコインへの投資を検討する際は、それぞれの技術的特徴、規制リスク、実際の利用状況を総合的に評価する必要があります。

モネロの購入方法|海外取引所とDEXの使い方

日本国内の取引所ではモネロを購入できないため、海外取引所または分散型取引所(DEX)を利用する必要があります。それぞれの方法と注意点を解説します。

海外取引所での購入手順

海外取引所では日本円を仮想通貨に交換し、それを送金する必要があります。一般的な手順は以下の通りです。

バイナンス(Binance)での購入方法

Binanceは世界最大級の仮想通貨取引所でしたが、2024年2月6日にモネロの上場廃止を発表し、同月20日に実施しました。現在、Binanceではモネロを購入できません。

Binanceで他の通貨を購入し別取引所へ送金は可能

ただし、Binanceでビットコインやイーサリアムを購入し、それをモネロ対応の他の取引所に送金して交換することは可能です。

Kraken(クラーケン)での購入方法

Krakenは、現在も一部地域でモネロの取扱いを継続している大手取引所の一つです。ただし、2024年4月にアイルランドとベルギーのユーザー向けに取扱い停止を発表し、6月10日に完全廃止しました。さらに2024年10月には欧州経済領域(EEA)全域で取扱いを停止しています。

Krakenでモネロを購入する手順は以下の通りです。

1.Krakenのアカウントを作成し、本人確認(KYC)を完了する
2.ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨を入金する(日本の取引所から送金)
3.取引画面でXMR/BTCまたはXMR/USDTペアを選択
4.購入したい数量を入力し、注文を実行
5.購入したXMRを個人のウォレットに出金する

Krakenは比較的規制に準拠した運営を行っているため、日本人ユーザーでも利用しやすい取引所です。ただし、今後規制強化により取扱いが停止される可能性もあるため、最新の情報を確認してください。

KYC(本人確認)の注意点

海外取引所でも、多くの場合KYC(本人確認)が必要です。KYCでは、パスポートや運転免許証などの身分証明書、住所確認書類(公共料金の請求書など)の提出が求められます。

KYC未完了だと出金制限やアカウント凍結のリスク

KYCを完了しないと、出金額に制限がかかったり、一部の機能が使えなかったりします。また、規制強化により、KYC未完了のアカウントが凍結されるリスクもあります。

プライバシーを重視してモネロを購入する場合でも、取引所での購入にはKYCが必要であることに注意してください。完全な匿名性を求める場合は、後述するDEXの利用を検討する必要があります。

分散型取引所(DEX)での購入

分散型取引所(DEX)は中央管理者が存在せず、ユーザー同士が直接取引を行うプラットフォームです。DEXでは、KYCが不要で、規制の影響を受けにくいという利点があります。

Haveno DEXの使い方

Haveno(ハベノ)は、モネロ専用の分散型取引所です。2024年にベータ版がリリースされ、現在も開発が続けられています。Havenoでは、モネロと法定通貨、または他の仮想通貨を直接交換できます。

Havenoの特徴は、完全にピアツーピア(P2P)で取引が行われることです。中央のサーバーが存在せず、ユーザー同士が直接取引を行います。取引は、エスクローシステムとマルチシグウォレットを使用して安全に実行されます。

Havenoの使い方は以下の通りです。

1.Havenoクライアントをダウンロードしてインストール
2.Torネットワーク経由でHavenoネットワークに接続
3.売買オファーを検索し、条件に合うものを選択
4.取引を開始し、指定された方法で支払いを行う
5.相手が支払いを確認すると、エスクローからモネロが解放される

完全分散化で規制の影響を受けにくくKYC不要

Havenoは完全に分散化されているため、規制の影響を受けにくく、KYCも不要です。ただし、流動性が中央集権型取引所と比べて低く、取引の成立に時間がかかることがあります。

DEXのメリット・デメリット

DEXの主なメリットは以下の通りです。

  • KYC不要で、匿名性を保ちながら取引できる
  • 中央管理者が存在しないため、規制の影響を受けにくい
  • 取引所のハッキングや倒産のリスクがない
  • 資金を自分のウォレットで管理できる

一方、デメリットも存在します。

  • 流動性が低く、希望する価格で取引できないことがある
  • 取引の成立に時間がかかる
  • 操作が複雑で、初心者には難しい
  • 詐欺や取引トラブルのリスクがあり、自己責任が求められる
  • カスタマーサポートが存在しない

DEXは、プライバシーと分散化を重視するユーザーには適していますが、利便性や流動性の面では中央集権型取引所に劣ります。自身のニーズとリスク許容度に応じて、適切な方法を選択してください。

海外取引所のリスクと対策

海外取引所を利用する際は、以下のリスクに注意が必要です。

  • 規制リスク:突然の上場廃止やサービス停止の可能性
  • ハッキングリスク:取引所がハッキングされ、資金が盗まれる可能性
  • 倒産リスク:取引所が経営破綻し、預けた資金が返ってこない可能性
  • 出金制限:規制強化や資金繰り悪化により、出金が制限される可能性
  • 法的保護の欠如:日本の法律が適用されず、トラブル時の救済が困難

これらのリスクを軽減するための対策は以下の通りです。

  • 取引所に大量の資金を預けたままにしない(購入後はすぐに個人ウォレットに出金)
  • 複数の取引所を利用し、リスクを分散する
  • 二段階認証(2FA)を必ず設定する
  • フィッシング詐欺に注意し、公式サイトのURLを確認する
  • 取引所の評判やセキュリティ対策を事前に調査する

海外取引所は国内より高リスク。慎重な判断が必要

海外取引所の利用は、国内取引所と比べてリスクが高いことを理解した上で、慎重に判断してください。

モネロの保管方法|ウォレットの選び方

モネロを購入した後は、安全に保管するためのウォレットが必要です。ウォレットの種類と選び方を解説します。

公式ウォレット(Monero GUI/CLI)

Monero GUI(Graphical User Interface)は、モネロの公式ウォレットです。デスクトップ版のウォレットで、Windows、Mac、Linuxに対応しています。

Monero GUIの特徴は、フル機能を備えていることです。ウォレットの作成、送金、受取、トランザクション履歴の確認など、すべての操作が可能です。また、フルノードとして動作するため、ブロックチェーン全体をダウンロードし、最高レベルのプライバシーとセキュリティを実現します。

初回起動時に150GB以上のダウンロードが必要

ただし、フルノードとして動作するため、初回起動時にブロックチェーン全体(約150GB以上)をダウンロードする必要があります。これには数日かかる場合があります。また、常にブロックチェーンを同期し続ける必要があるため、ディスク容量と通信量に注意が必要です。

上級者向けには、Monero CLI(Command Line Interface)もあります。CLIはコマンドラインで操作するウォレットで、GUIよりも軽量で柔軟性が高いですが、使いこなすには技術的な知識が必要です。

ハードウェアウォレット(Ledger・Trezor)

ハードウェアウォレットは秘密鍵を物理デバイスに保管する最も安全な方法です。オフライン環境で秘密鍵を管理するため、ハッキングのリスクが極めて低くなります。

モネロに対応している主なハードウェアウォレットは以下の通りです。

  • Ledger Nano S / Nano X:最も人気のあるハードウェアウォレット。モネロに対応しており、Monero GUIと連携して使用できます。
  • Trezor Model T:Trezorの上位モデルで、モネロに対応しています。ただし、Trezor Oneは現時点でモネロに対応していません。

ハードウェアウォレットの使い方は、デバイスをパソコンに接続し、専用のソフトウェア(Monero GUIなど)を通じて操作します。送金時には、デバイス上でトランザクションを承認する必要があるため、マルウェアに感染したパソコンからでも安全に送金できます。

価格1万円前後だが大量保管時は必須の投資

ハードウェアウォレットの価格は1万円前後ですが、大量のモネロを保管する場合は、セキュリティへの投資として推奨されます。

モバイルウォレット(Cake Wallet・Monerujo)

モバイルウォレットは、スマートフォンで使用できる軽量ウォレットです。外出先でもモネロを送受信できるため、日常的な利用に便利です。

Cake Walletは、iOSとAndroidに対応したモネロウォレットです。使いやすいインターフェースと、内蔵の交換機能(他の仮想通貨との交換)が特徴です。Cake Walletは、リモートノードに接続するため、ブロックチェーン全体をダウンロードする必要がありません。

Moneru joは、Android専用のオープンソースモネロウォレットです。軽量で高速に動作し、プライバシー重視の設計となっています。Torネットワーク経由での接続にも対応しており、IPアドレスの匿名化も可能です。

紛失・盗難・マルウェアのリスクあり。少額利用推奨

モバイルウォレットは便利ですが、スマートフォンの紛失や盗難、マルウェア感染のリスクがあります。大量の資金を保管するのではなく、日常的な支払いに使う程度の金額にとどめることを推奨します。

ウォレット選びのポイント

ウォレットを選ぶ際は、以下のポイントを考慮してください。

  • セキュリティ:秘密鍵の管理方法、二段階認証の有無、オープンソースかどうか
  • 利便性:使いやすさ、対応デバイス、ブロックチェーンの同期時間
  • プライバシー:フルノードかリモートノードか、Tor対応かどうか
  • 機能:内蔵の交換機能、マルチ通貨対応、ステーキング機能など

大量資金はハードウェア、日常利用はモバイルで使い分け

一般的には、大量の資金はハードウェアウォレットで保管し、日常的な利用にはモバイルウォレットを使うという使い分けが推奨されます。また、バックアップ(シードフレーズ)を安全な場所に保管することを忘れないでください。

モネロの税務処理|確定申告と取得価額の証明方法

モネロを含む暗号資産の取引で利益が出た場合、日本では確定申告が必要です。匿名性が高いモネロの税務処理には特有の課題があります。

暗号資産の税務上の取扱い

日本では、暗号資産の売却益は原則として「雑所得」に分類されます。雑所得は総合課税の対象となり、給与所得などと合算して税率が決まります。所得税の税率は累進課税で、最高税率は45%です。これに住民税10%が加わるため、最大で55%の税金がかかります。

出典:国税庁「暗号資産の税制」

確定申告が必要なケースは以下の通りです。

  • 給与所得者で、給与以外の所得(暗号資産の利益など)が年間20万円を超える場合
  • 個人事業主や自営業者で、暗号資産の利益を含むすべての所得を申告する場合
  • 暗号資産を売却して法定通貨に換金した場合
  • 暗号資産で商品やサービスを購入した場合
  • 暗号資産同士を交換した場合(例:ビットコインでモネロを購入)

暗号資産の利益は、売却時の価格から取得価額を差し引いて計算します。取得価額の計算方法は、「総平均法」または「移動平均法」のいずれかを選択できますが、一度選択した方法は継続して使用する必要があります。

モネロ特有の課題|取引履歴の証明

モネロの税務処理で最も困難なのは、取引履歴の証明です。モネロのブロックチェーンでは、取引金額や送金先が秘匿されているため、通常のブロックチェーンエクスプローラーでは取引内容を確認できません。

税務申告では、取得価額を証明するための記録が必要です。具体的には、以下の情報を記録しておく必要があります。

  • 購入日時
  • 購入価格(日本円換算)
  • 購入数量
  • 購入した取引所またはDEX
  • 売却日時(売却した場合)
  • 売却価格(日本円換算)
  • 売却数量

DEXでは履歴が残らない場合も。自分で記録を残すこと

海外取引所やDEXで購入した場合、取引履歴をエクスポートできる機能があれば活用してください。ただし、DEXでは取引履歴の記録が残らない場合もあるため、自分でスプレッドシートなどに記録を残すことが重要です。

モネロのウォレットには「ビューキー」という機能があり、これを使えば自分の取引履歴を第三者(税理士など)に開示できます。ビューキーを使用すると、秘密鍵を渡さずに、受け取ったモネロの金額と日時を確認できます。

確定申告の具体的手順

暗号資産の確定申告は、以下の手順で行います。

1.年間の取引履歴を整理する(購入・売却・交換のすべての記録)
2.取得価額を計算する(総平均法または移動平均法)
3.売却益を計算する(売却価格 – 取得価額 – 手数料)
4.他の所得(給与所得など)と合算して総所得を計算
5.確定申告書を作成し、税務署に提出(e-Taxまたは郵送)
6.計算された税額を納付

申告を怠ると追徴課税や重加算税の対象に

暗号資産の税務処理は複雑なため、特にモネロのような匿名通貨を扱う場合は、暗号資産に詳しい税理士に相談することを推奨します。税務申告を怠ると、追徴課税や延滞税が課されるだけでなく、重加算税の対象となる可能性もあります。

2026年度の税制改正で分離課税への移行が検討中

また、2026年度の税制改正では、暗号資産の分離課税(一律20%)への移行が検討されています。今後の税制改正の動向にも注意が必要です。

よくある質問(Q&A)

モネロは違法ですか?

モネロ自体は違法ではありません。日本を含む多くの国で、モネロの保有や取引は合法です。ただし、匿名性の高さから、マネーロンダリングやテロ資金供与などの犯罪に利用される懸念があるため、取引所での取扱いが制限されています。合法的な目的で使用する限り、モネロの保有や取引は問題ありません。

日本で買えますか?

日本国内の金融庁登録取引所では、モネロを購入できません。2018年に金融庁の指摘を受けて、国内取引所がモネロを上場廃止したためです。購入するには、海外取引所(Krakenなど)または分散型取引所(Haveno DEX)を利用する必要があります。ただし、海外取引所の利用にはリスクが伴うため、慎重に判断してください。

将来性はありますか?

モネロの将来性は、プライバシー需要と規制リスクの両面から評価する必要があります。デジタル監視への懸念が高まる中で、プライバシー保護技術への需要は増加しています。技術的にも、Serapisプロトコルなどの次世代技術の開発が進んでおり、匿名性の強化が期待されます。一方で、各国の規制強化により、取引所での取扱いが減少し、流動性が低下するリスクがあります。長期的には、規制の外側で「究極のプライバシー資産」としての価値を確立する可能性がありますが、短期的には規制リスクが価格を圧迫する可能性があります。

保有しているだけで違法になりますか?

いいえ、モネロを保有しているだけで違法になることはありません。日本の法律では、暗号資産の保有自体は規制されていません。ただし、モネロを使って違法な取引を行った場合や、税務申告を怠った場合は、法律違反となる可能性があります。合法的な範囲で保有・取引を行い、適切に税務申告を行う限り、法的な問題はありません。

送金ミスをしたら取り戻せますか?

いいえ、モネロの送金ミスは取り戻せません。モネロを含む暗号資産は、一度送金すると取り消すことができません。さらに、モネロは匿名性が高いため、誤送金先を特定することも困難です。送金する際は、アドレスを何度も確認し、少額でテスト送金を行うなど、慎重に操作してください。特に、モネロのアドレスは長く複雑なため、コピー&ペーストを使用し、手入力は避けることを推奨します。

マイニングは個人でもできますか?

はい、モネロは個人でもマイニングできます。モネロは、ASIC耐性を持つRandomXアルゴリズムを採用しているため、一般的なPCのCPUでマイニングが可能です。専用のマイニング機器を購入する必要がなく、比較的参入しやすいのが特徴です。ただし、電気代とマイニング報酬を比較して、採算が取れるかを事前に確認してください。また、マイニングプールに参加することで、安定した報酬を得やすくなります。

銀行口座が凍結されることはありますか?

モネロの保有自体が直接の原因で銀行口座が凍結されることは通常ありません。ただし、海外取引所との頻繁な送金や、大量の資金移動が疑わしい取引と見なされた場合、銀行が口座を凍結する可能性はあります。特に、マネーロンダリング対策の観点から、銀行は不審な取引を監視しています。海外取引所を利用する際は、資金の出所を説明できるよう記録を残し、適切に税務申告を行うことが重要です。

相続時の扱いはどうなりますか?

モネロを含む暗号資産は、相続税の課税対象となります。相続発生時の時価で評価され、他の相続財産と合算して相続税が計算されます。ただし、モネロは匿名性が高いため、相続人が被相続人のモネロ保有を知らない場合、申告漏れのリスクがあります。モネロを保有している場合は、家族にウォレットの存在とシードフレーズの保管場所を伝えておくことが重要です。また、ビューキーを使って、税理士が残高を確認できるようにしておくことも推奨されます。

まとめ

モネロは、リング署名、ステルスアドレス、RingCTという3つの技術により、送金者・受取人・取引金額のすべてを秘匿する完全匿名性を実現した仮想通貨です。ビットコインなどの透明性の高いブロックチェーンとは対照的に、プライバシー保護を最優先に設計されています。

日本では、2018年に金融庁の指摘を受けて国内取引所から上場廃止となり、現在も金融庁登録取引所での取扱いはありません。資金決済法や犯罪収益移転防止法の観点から、匿名性の高い通貨の取扱いが困難であることが理由です。購入するには海外取引所やDEXを利用する必要がありますが、規制リスクや流動性の問題に注意が必要です。

モネロの匿名性は、医療情報の保護や人権活動など合法的なプライバシー保護にも利用できますが、一方でダークウェブやランサムウェアなどの犯罪利用のリスクも指摘されています。世界各国で規制強化が進んでおり、取引所での取扱いは減少傾向にあります。

技術的には、次世代プロトコルSerapisの開発が進んでおり、さらに強力な匿名性の実現が期待されています。プライバシー需要の高まりを背景に、長期的には代替不可能な匿名資産としての価値が高まる可能性がありますが、短期的には規制リスクが価格を圧迫する要因となります。

投資判断は規制リスク・税務処理・流動性を十分理解した上で

投資を検討する際は、規制リスク、税務処理の複雑さ、流動性の低下などのリスクを十分に理解した上で、慎重に判断してください。また、モネロを保有する場合は、適切に税務申告を行い、安全なウォレットで保管することが重要です。

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SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

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