メイカー(MKR)仮想通貨とは|国内取引所での取り扱い終了と今後の展望【2026年】

メイカー(MKR)仮想通貨とは|国内取引所での取り扱い終了と今後の展望【2026年】
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この記事の要約
  • 2026年2月時点で、MKRを取り扱う国内取引所はほぼ存在しない(GMOコイン、Coincheck、SBI VCトレードは2025年秋に取り扱い廃止)
  • MKRはMakerDAOのガバナンストークンでステーブルコインDAIの運営に関与できる
  • MKRへの投資を検討する場合は、海外取引所またはDEXの利用が必要だが、金融庁の警告に注意

メイカー(MKR)は、DeFi市場で重要な役割を果たすガバナンストークンですが、2026年2月時点で国内取引所での取り扱いはほぼ終了しています。

本記事では、MKRの特徴や仕組み、国内取引所での取り扱い終了の経緯、そして今後の投資方法について詳しく解説します。

金融庁登録業者の動向を正確に把握し、MKRへの投資を検討する際の参考情報をお届けします。

出典:金融庁「暗号資産交換業者登録一覧」

MKRの特徴や投資リスクも正直に開示しますので、ぜひ最後までご覧ください。

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SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

メイカー(MKR)とは|MakerDAOのガバナンストークン

メイカー(MKR)は、分散型金融(DeFi)プラットフォームMakerDAOのガバナンストークンです。2017年11月に発行が開始され、イーサリアムブロックチェーン上でERC-20規格のトークンとして機能しています。MKRを保有することで、MakerDAOの運営方針に関する投票権を得られ、プロトコルの重要な意思決定に参加できるのが最大の特徴です。

出典:GMOコイン公式サイト

MakerDAOは、デンマークの起業家ルーン・クリステンセン氏によって2014年に設立されました。当初はメイカー財団が開発と運営を主導していましたが、現在は完全に分散型自律組織(DAO)へ移行しています。この分散化により、中央管理者が存在せず、MKR保有者による民主的な運営が実現されています。

2024年8月にはMakerDAOが「Sky」へリブランディングされましたが、その後コミュニティからの混乱と否定的なフィードバックを受け、2024年10月には再びMakerブランドへの回帰が検討されています。MKRは新トークンSKYへ1:24,000の比率でアップグレード可能ですが、国内取引所では従来通り「メイカー(MKR)」として取り扱われていました(ただし、2025年秋以降、多くの国内取引所でMKRの取り扱いが廃止されています)。

出典:SBI VCトレード公式サイト

MakerDAOとステーブルコインDAIの関係

MakerDAOの最も重要な機能は、米ドルに連動するステーブルコイン「DAI」の発行と管理です。DAIは1DAI=1米ドルを目標価格として設計されており、価格の安定性を重視したステーブルコインとして広く利用されています。他のステーブルコイン(USDTやUSDC)が法定通貨を裏付けとするのに対し、DAIは暗号資産を担保とする点が大きな特徴です。

ユーザーはイーサリアム(ETH)やUSDCなどの暗号資産をVault(スマートコントラクト)に預けることで、担保価値の一定割合までDAIを発行できます。この仕組みにより、銀行口座を持たない人々でも、インターネット接続があれば誰でもステーブルコインを生成できるのです。DAIは400以上のアプリやサービスで採用されており、DeFiエコシステムの基盤通貨として機能しています。

DAIは400以上のアプリやサービスで採用されている

DAIの価格安定には複数のメカニズムが働いています。担保率は通常150%以上に設定され、価格が急落した場合には自動清算システムが作動します。また、DAIの需給バランスを調整するため、Stability Fee(安定化手数料)やDAI Savings Rate(貯蓄金利)といったパラメータが、MKR保有者の投票によって調整されます。

ガバナンストークンとしての役割

MKRの最も重要な機能は、MakerDAOのガバナンスへの参加権です。MKR保有者は「1MKR=1票」として投票に参加でき、プロトコルの運営に直接影響を与えられます。投票対象となるのは、新しい担保資産の追加、Stability Feeの変更、DAI Savings Rateの調整、オラクル(価格情報提供者)の選定など、DAIの安定性に関わる重要事項です。

ガバナンス投票には2種類あります。「ガバナンス投票」はコミュニティの意見を集約するプロセスで、重要な方針について議論します。その後「エグゼクティブ投票」で、実際にシステムに変更を反映するかどうかを決定します。この二段階の投票システムにより、慎重かつ民主的な意思決定が可能になっています。

MKRは1MKR=1票として投票に参加できる

さらにMKRは、システムの最終損失吸収機能も担っています。DAIの担保不足が発生した場合、MKRが新規発行され市場で売却されることで資金調達が行われます。逆に、システムが利益を生んだ場合はMKRが買い戻され焼却(バーン)されるため、MKRの供給量は動的に変化します。この仕組みにより、MKR保有者はプロトコルの健全性に対して直接的な責任とリターンを持つことになります。

担保不足時にはMKRが新規発行され希薄化リスクがある

イーサリアムベースのERC-20トークン

MKRはイーサリアムブロックチェーン上で発行されるERC-20規格のトークンです。ERC-20はイーサリアム上で最も広く採用されているトークン規格であり、MetaMaskなどの主要なウォレットや分散型取引所(DEX)との互換性が高いという利点があります。

ERC-20規格を採用することで、MKRは他のイーサリアムベースのトークンと同じウォレットで一元管理できます。また、UniswapやSushiSwapなどの分散型取引所でも取引可能であり、流動性の確保にも貢献しています。ただし、イーサリアムネットワークを利用するため、送金時にはガス代(取引手数料)が発生する点には注意が必要です。

イーサリアムのガス代(手数料)が必要

MKRの総供給量には上限が設定されておらず、前述の通りシステムの状況に応じて発行・焼却が行われます。この動的な供給調整メカニズムは、MKRをデフレ資産として機能させる可能性を持っています。システムが順調に利益を生み続ければ、MKRの供給量は減少し、希少性が高まることが期待されます。

メイカー(MKR)の3つの特徴

メイカー(MKR)は、DeFi市場において独自の地位を確立している暗号資産です。ここでは、MKRの投資対象としての魅力を理解するため、3つの主要な特徴を詳しく解説します。これらの特徴は、MKRが単なるガバナンストークンではなく、DeFiエコシステム全体に影響を与える重要な資産であることを示しています。

DeFi市場でのTVLランキング上位

MakerDAOは、DeFi市場において常に上位のTVL(Total Value Locked:預かり資産)を維持しています。TVLはプロトコルに預けられている資産の総額を示す指標で、ユーザーからの信頼度と実際の利用状況を反映します。2026年2月時点でDeFi市場全体のTVLは約1,050億ドル程度で推移しており(※市場の変動により変動)、MakerDAOはその中でも主要プロトコルの一つとして位置づけられています。

出典:会社設立のミチシルベ「TVLとは|DeFi投資判断に使える指標の見方と活用法【2026年最新】」

MakerDAOのTVLが高い理由は、ステーブルコインDAIの需要の高さにあります。DAIは分散型でありながら価格が安定しているため、DeFiプロトコル間での決済や担保、流動性提供など幅広い用途で利用されています。特に、中央集権的なステーブルコイン(USDCなど)への依存を避けたいユーザーにとって、DAIは重要な選択肢となっています。

MakerDAOはDeFi市場で上位のTVLを維持

TVLの高さは、MKRの価値にも直接影響します。より多くの資産がMakerDAOに預けられるほど、プロトコルが生み出す手数料収入も増加し、MKRの買い戻し・焼却につながる可能性が高まります。また、TVLの安定性は、プロトコルの信頼性を示す指標としても機能しており、長期的な投資判断の材料となります。

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暗号資産担保型ステーブルコインの仕組み

MakerDAOの最大の技術的特徴は、暗号資産を担保としてステーブルコインを発行する「暗号資産担保型」の仕組みです。この方式は、法定通貨を裏付けとする中央集権型ステーブルコイン(USDTやUSDC)とは根本的に異なります。ユーザーはイーサリアムなどの暗号資産をVaultに預け入れ、その担保価値に応じてDAIを生成できます。

担保率は通常150%以上に設定されており、これを「過剰担保」と呼びます。例えば、1,000ドル相当のDAIを発行するには、1,500ドル以上の暗号資産を担保として預ける必要があります。この過剰担保の仕組みにより、担保資産の価格が多少変動してもDAIの価値は維持されます。ただし、担保率が一定水準を下回ると、自動的に清算(担保資産の強制売却)が実行されるため、利用者は担保率の管理に注意が必要です。

担保率が一定水準を下回ると自動清算される

MakerDAOは2019年以降、イーサリアム以外の暗号資産も担保として受け入れるマルチコラテラル方式を採用しています。現在では30種類以上の資産が担保として利用可能であり、USDC、WBTC、LINKなど多様な暗号資産に対応しています。この多様化により、特定資産への依存リスクが分散され、システム全体の安定性が向上しています。

分散型ガバナンスによる意思決定

MakerDAOは完全な分散型ガバナンスを実現している数少ないDeFiプロジェクトの一つです。かつてはメイカー財団が開発と運営を主導していましたが、2021年に財団は解散し、現在はMKR保有者による完全な自律運営が行われています。この徹底した分散化は、中央管理者が存在しないことによる検閲耐性と透明性の高さを実現しています。

ガバナンスプロセスは、オフチェーンとオンチェーンの二段階で構成されています。まず、MakerDAOのフォーラムでオフチェーンの議論が行われ、MKR保有者でなくても誰でも意見を述べることができます。重要な提案は、その後イーサリアムブロックチェーン上でのオンチェーン投票に進みます。この投票結果は改ざん不可能な形で記録され、スマートコントラクトによって自動的に実行されます。

完全な分散型ガバナンスで中央管理者が不在

2021年以降、MakerDAOは投票の効率化と参加率向上のため、デリゲート(代理人)システムの導入を進めています。このシステムでは、MKR保有者が信頼できる専門家に投票権を委任することができ、全ての投票に自ら参加する負担を軽減できます。このような継続的な改善により、MakerDAOのガバナンスは実効性と民主性のバランスを保ちながら進化を続けています。

メイカー(MKR)を購入できる国内取引所の状況

2026年2月時点で、MKRを取り扱っている国内取引所はほとんど存在しません。GMOコイン、Coincheck、SBI VCトレードなど主要な国内取引所は、MakerDAOのSkyへのリブランディングに伴う流動性低下を理由に、2025年9月〜10月にかけてMKRの取り扱いを廃止しました。

GMOコインは2025年10月4日にMKRの販売所・取引所サービスを終了しました。 SBI VCトレードは2025年10月29日にMKRの買付サービスを停止しています。 また、Coincheckも2025年9月8日にMKRの取り扱いを廃止しました。

出典:GMOコイン「メイカー(MKR)の取扱廃止についてのお知らせ」

主要国内取引所は2025年秋にMKRの取り扱いを廃止

これらの取引所は、MakerDAOのSkyへのリブランディングや市場の流動性低下を理由に、MKRの取り扱いを終了しています。国内でMKRへの投資を検討する場合は、金融庁に登録された取引所の最新の取り扱い状況を必ず確認してください。

出典:金融庁「暗号資産交換業者登録一覧」

海外取引所やDEXでの購入について

MKRへの投資を検討する場合は、海外取引所または分散型取引所(DEX)の利用を検討する必要があります。海外取引所では、Binance、Coinbase、Krakenなどの大手取引所でMKRが取り扱われています。また、UniswapやSushiSwapなどのDEXでも、MKRを直接購入することが可能です。

海外取引所は金融庁の警告対象となる可能性がある

DEXを利用する場合は、MetaMaskなどのウォレットを準備し、イーサリアムネットワークのガス代(取引手数料)が必要になります。また、スマートコントラクトのリスクや、詐欺サイトへの誘導など、セキュリティ面でも十分な注意が必要です。初心者の方は、海外取引所やDEXの利用前に、十分な知識と経験を積むことをおすすめします。

Vaultシステムの仕組み|DAI発行と担保管理

MakerDAOの中核を成すのが、Vaultシステムです。Vaultは、ユーザーが暗号資産を担保として預け入れ、ステーブルコインDAIを発行するためのスマートコントラクトです。このシステムを理解することで、MKRの価値がどのように生まれるのか、より深く理解できます。

Vaultで暗号資産を担保にする

Vaultシステムを利用するには、まずイーサリアムウォレット(MetaMaskなど)をMakerDAOの公式サイト(Oasis.app)に接続します。次に、担保として預け入れる暗号資産の種類を選択します。イーサリアム(ETH)、WBTC、USDC、LINKなど、30種類以上の暗号資産が担保として利用可能です。

担保資産を選択したら、預け入れる数量を指定し、発行するDAIの量を決定します。このとき重要なのが担保率です。担保率は「担保資産の価値÷発行するDAI」で計算され、通常150%以上に設定することが推奨されます。例えば、1,000ドル相当のDAIを発行するには、1,500ドル以上の暗号資産を担保として預ける必要があります。

Vaultを作成すると、担保資産がスマートコントラクトにロックされ、指定した量のDAIが発行されます。発行されたDAIは、他の暗号資産と同様に自由に送金、取引、DeFiプロトコルでの利用が可能です。担保資産を引き出すには、発行したDAIと利息(Stability Fee)を返済する必要があります。

担保率と清算リスクの計算

担保率の管理は、Vaultシステムを利用する上で最も重要なポイントです。担保率が一定水準(清算比率)を下回ると、Vaultは自動的に清算され、担保資産が強制的に売却されます。清算比率は担保資産の種類によって異なり、イーサリアムの場合は通常145%程度に設定されています。

例えば、1,500ドル相当のイーサリアムを担保に1,000ドルのDAIを発行した場合、担保率は150%です。その後、イーサリアムの価格が下落し、担保資産の価値が1,450ドルになると、担保率は145%となり清算の危険水準に達します。清算が実行されると、担保資産が市場価格で売却され、清算ペナルティ(通常13%程度)が差し引かれるため、大きな損失が発生します。

清算時には約13%のペナルティが発生

清算リスクを避けるには、担保率を常に十分な余裕を持って維持することが重要です。多くのユーザーは、担保率を200%以上に保つことで、価格変動に対するバッファを確保しています。また、MakerDAOの公式サイトやモバイルアプリで担保率を定期的に確認し、必要に応じて担保を追加したり、DAIを返済したりすることで、清算リスクを管理できます。

Stability Fee(安定化手数料)の仕組み

Stability Feeは、DAIを発行している間に発生する利息のようなものです。この手数料は、DAIの需給バランスを調整し、1ドルのペグを維持するための重要なメカニズムです。Stability Feeの金利は、MKR保有者のガバナンス投票によって決定され、市場の状況に応じて変動します。

Stability Feeは年率で表示され、発行したDAIの量に対して日々計算されます。例えば、年率5%のStability Feeで1,000DAIを発行した場合、1年間で約50DAIの利息が発生します。この利息は、担保資産を引き出す際にDAIで支払う必要があります。支払われたStability Feeは、MakerDAOの収益となり、一部はMKRの買い戻し・焼却に使われます。

Stability Feeの収益はMKRの買い戻しに使われる

Stability Feeの金利が高いほど、新規のDAI発行が抑制され、DAIの供給が減少します。逆に、金利が低いとDAI発行が促進され、供給が増加します。この仕組みにより、DAIの市場価格が1ドルを上回っている場合は金利を下げて供給を増やし、1ドルを下回っている場合は金利を上げて供給を減らすことで、価格の安定を図っています。

メイカー(MKR)の将来性|4つの評価ポイント

メイカー(MKR)への投資を検討する際、将来性の評価は欠かせません。ここでは、MKRの長期的な価値を左右する4つの重要なポイントを、客観的なデータと市場動向に基づいて分析します。投資判断の参考としてご活用ください。

ステーブルコイン市場の成長

ステーブルコイン市場は、暗号資産業界全体の成長とともに拡大を続けています。2026年2月時点で、ステーブルコインの時価総額は全体で約3,000億ドルを超える規模に達しています。 この市場の成長は、MakerDAOのステーブルコインDAIの需要増加に直結する可能性があります。

出典:ダイヤモンド・ザイ「ステーブルコインとは?仕組みや種類・日本の取引所で買える銘柄を一覧で紹介」

DAIは、法定通貨を裏付けとする中央集権型ステーブルコイン(USDTやUSDC)とは異なり、暗号資産を担保とする分散型ステーブルコインです。この特性により、中央集権的なリスク(発行者の破綻や規制による凍結など)を避けたいユーザーにとって、DAIは重要な選択肢となっています。特に、DeFiプロトコル間での決済や担保として、分散型ステーブルコインへの需要は今後も高まると考えられます。

ステーブルコイン市場は約3,000億ドル規模に成長

ただし、ステーブルコイン市場は規制環境の影響を大きく受けます。各国政府がステーブルコインに対する規制を強化する動きも見られるため、規制動向には注意が必要です。MakerDAOは分散型であるため、中央集権型ステーブルコインとは異なる規制対応が求められる可能性もあります。

DeFiプロトコルとしての実績

MakerDAOは、2017年のローンチ以来、DeFi市場の黎明期から現在まで継続的に運営されている数少ないプロトコルの一つです。この長期的な運営実績は、プロトコルの信頼性と技術的な成熟度を示す重要な指標です。2020年3月の暗号資産市場の大暴落(ブラックサーズデー)や、2022年のTerra/LUNAの崩壊など、DeFi市場の危機を乗り越えてきた実績があります。

MakerDAOのTVL(預かり資産)は、DeFi市場全体の動向に連動しながらも、主要プロトコルとしての地位を維持しています。特に、マルチコラテラル方式の導入により、30種類以上の暗号資産を担保として受け入れることで、リスク分散と利用者の選択肢拡大を実現しています。この柔軟性は、市場環境の変化に対応できる強みとなっています。

2017年から継続運営している実績がある

また、MakerDAOは完全な分散型ガバナンスを実現しており、メイカー財団の解散後もコミュニティ主導で継続的な開発とアップデートが行われています。この自律的な運営体制は、長期的な持続可能性を高める要因となっています。ただし、ガバナンスの分散化は意思決定の遅延を招く可能性もあり、市場環境の急変に迅速に対応できるかは今後の課題です。

競合ステーブルコイン(USDT/USDC)との比較

ステーブルコイン市場では、テザー(USDT)とUSDコイン(USDC)が圧倒的なシェアを占めています。これらは法定通貨を裏付けとする中央集権型ステーブルコインであり、DAIとは根本的に設計思想が異なります。USDTとUSDCは流動性が高く、多くの取引所や決済サービスで利用できるという利点があります。

一方、DAIの強みは分散性と検閲耐性です。中央集権型ステーブルコインは、発行者が特定のアドレスを凍結したり、規制当局の要請に応じて資金を制限したりする可能性があります。DAIはスマートコントラクトによって自動的に管理されるため、このようなリスクが低いという特徴があります。

DAIの時価総額はUSDTやUSDCより小さく流動性に劣る

ただし、DAIの時価総額は、USDTやUSDCと比較するとまだ小さく、流動性の面では劣ります。また、暗号資産を担保とするため、担保資産の価格変動リスクや清算リスクが存在します。さらに、DAIの担保には一部USDCも含まれているため、完全に中央集権型ステーブルコインから独立しているわけではありません。この点は、DAIの分散性を評価する上で考慮すべき要素です。

規制動向とMKRへの影響

暗号資産に対する規制は、世界各国で強化される傾向にあります。特にステーブルコインは、決済手段としての利用が広がるにつれて、規制当局の注目を集めています。欧州連合(EU)では、2026年までにMiCA(Markets in Crypto-Assets)規制が完全施行される予定であり、ステーブルコインの発行と流通に関する明確なルールが設定されます。

MakerDAOは分散型プロトコルであるため、中央集権型ステーブルコインとは異なる規制対応が求められる可能性があります。分散型であることが規制上の利点となる場合もあれば、逆に規制遵守が困難になる場合もあります。MakerDAOのガバナンスは、規制環境の変化に応じてプロトコルを適応させる柔軟性を持っていますが、規制当局との対話や法的な位置づけの明確化は今後の課題です。

規制環境の変化が投資リスクに影響する可能性がある

日本国内では、金融庁が暗号資産交換業者に対する規制を強化しており、取り扱う暗号資産の審査も厳格化されています。 MKRは2025年秋以降、主要な国内取引所での取り扱いが終了しており、規制環境の変化が影響している可能性もあります。投資家としては、規制動向を注視し、必要に応じて投資戦略を見直すことが重要です。

出典:金融庁「暗号資産交換業者登録制度」

メイカー(MKR)投資で気をつけたい5つのリスク

メイカー(MKR)への投資には、他の暗号資産と同様にさまざまなリスクが伴います。ここでは、投資判断を行う前に必ず理解しておくべき5つの主要なリスクを詳しく解説します。リスクを正しく認識することで、より慎重な投資判断が可能になります。

価格変動リスク(ボラティリティ)

MKRは暗号資産であるため、価格変動が非常に大きい資産です。過去のチャートを見ると、2017年末から2018年初頭にかけて300%以上の上昇を記録した後、2020年3月のコロナショックでは200ドル台まで急落しています。その後、2021年には6,000ドル台まで回復しましたが、2022年の金融引き締め政策により再び下落しました。

短期的な投資では大きな損失につながる可能性があります

このような価格変動は、短期的な投資では大きな損失につながる可能性があります。特に、レバレッジ取引を利用する場合は、価格変動によって証拠金が不足し、強制的に清算される(ロスカット)リスクが高まります。MKRへの投資を検討する際は、価格変動リスクを十分に理解し、余裕資金の範囲内で投資することが重要です。

価格変動の要因としては、暗号資産市場全体の動向、DeFi市場のTVL変動、MakerDAOのガバナンス決定、規制環境の変化などが挙げられます。これらの要因は相互に関連しており、予測が困難です。長期的な視点で投資を行い、短期的な価格変動に一喜一憂しないことが、リスク管理の基本となります。

清算リスク(担保不足時の損失)

MakerDAOのVaultシステムを利用してDAIを発行する場合、清算リスクに注意が必要です。担保資産の価格が下落し、担保率が清算比率を下回ると、Vaultは自動的に清算され、担保資産が強制的に売却されます。清算時には清算ペナルティ(通常13%程度)が差し引かれるため、大きな損失が発生します。

清算時には清算ペナルティ(通常13%程度)が発生します

2020年3月のブラックサーズデーでは、イーサリアムの価格が急落し、多くのVaultが清算されました。この時、ネットワークの混雑によりガス代が高騰し、清算オークションが正常に機能しなかったため、一部のVaultでは担保不足が発生しました。この事態に対応するため、MakerDAOはMKRを新規発行して資金調達を行い、システムの安定を回復しました。

清算リスクを避けるには、担保率を十分に高く保つことが重要です。多くのユーザーは、担保率を200%以上に維持することで、価格変動に対するバッファを確保しています。また、担保資産の価格を定期的に監視し、必要に応じて担保を追加したり、DAIを返済したりすることで、清算リスクを管理できます。

スマートコントラクトのリスク

MakerDAOはスマートコントラクトによって自動的に運営されるプロトコルです。コードに脆弱性やバグが存在する場合、予期しない動作や資金の損失が発生する可能性があります。過去には、他のDeFiプロトコルでスマートコントラクトの脆弱性を突いたハッキング事件が複数発生しています。

完全にリスクを排除することは不可能です

MakerDAOは、複数の第三者機関によるセキュリティ監査を受けており、継続的にコードのレビューと改善が行われています。また、バグ報奨金プログラムを実施しており、脆弱性を発見した研究者に報奨金を支払うことで、セキュリティの向上に努めています。しかし、完全にリスクを排除することは不可能であり、予期しない脆弱性が発見される可能性は常に存在します。

スマートコントラクトのリスクを軽減するには、信頼性の高いプロトコルを選択し、大きな金額を一度に投入しないことが重要です。また、MakerDAOの公式情報やコミュニティの議論を定期的に確認し、セキュリティに関する最新情報を把握することも有効です。万が一、脆弱性が発見された場合は、速やかに資金を引き出すなどの対応が必要になる場合があります。

流動性リスク(売買の困難さ)

流動性リスクとは、売買したい時に希望する価格で取引できないリスクです。MKRは、ビットコインやイーサリアムと比較すると取引量が少なく、流動性が低い傾向があります。特に、国内取引所では2025年秋以降、主要取引所での取り扱いが終了しているため、国内での売買は困難な状況です。

希望価格で売却できない可能性があります

流動性が低い場合、売却したい時に買い手が見つからず、希望価格よりも低い価格で売却せざるを得ない状況が発生します。また、急いで売却する必要がある場合、スプレッドが広がり、実質的な損失が大きくなる可能性があります。このため、MKRへの投資は、短期的な売買よりも長期保有を前提とした方が適しています。

流動性リスクを軽減するには、海外取引所やDEXなど、複数の取引プラットフォームを利用できる準備をしておくことが有効です。ただし、緊急時には希望価格で売却できない可能性があることを理解し、余裕資金の範囲内で投資することが重要です。

規制強化による取引制限

暗号資産に対する規制は、世界各国で強化される傾向にあります。特に、ステーブルコインやDeFiプロトコルに対する規制は、今後さらに厳格化される可能性があります。規制強化により、MKRの取り扱いが制限されたり、MakerDAOのプロトコルが特定の地域で利用できなくなったりするリスクがあります。

規制環境の変化により取り扱いが制限される可能性があります

日本国内では、金融庁が暗号資産交換業者に対する規制を強化しており、取り扱う暗号資産の審査も厳格化されています。2025年秋以降、GMOコイン、Coincheck、SBI VCトレードなど主要な国内取引所がMKRの取り扱いを終了したのは、こうした規制環境の変化が影響している可能性があります。

規制リスクに対応するには、規制動向を定期的に確認し、必要に応じて投資戦略を見直すことが重要です。また、金融庁登録業者のみを利用し、無登録業者との取引を避けることで、トラブルのリスクを軽減できます。規制環境の変化は予測が困難ですが、長期的には適切な規制が市場の健全な発展につながる可能性もあります。

出典:金融庁「暗号資産交換業者登録制度」

メイカー(MKR)の税金と確定申告|雑所得の計算方法

暗号資産取引で利益が発生した場合、税務上の取り扱いを正しく理解し、適切に確定申告を行う必要があります。ここでは、メイカー(MKR)取引における税金の基本と、確定申告の手順について解説します。税務処理を怠ると、後から追徴課税やペナルティが発生する可能性があるため、注意が必要です。

暗号資産の税務上の取り扱い

暗号資産取引による利益は、原則として「雑所得」に分類され、総合課税の対象となります。雑所得は給与所得などの他の所得と合算して税額が計算されます。所得税の税率は累進課税方式で、所得が増えるほど税率が高くなります。最高税率は45%で、これに住民税10%を加えると、最大55%の税負担となります。

最大で所得の55%が税金として徴収されます

出典:国税庁「暗号資産の税制(所得税)」

暗号資産取引で利益が発生するタイミングは、売却時だけではありません。暗号資産同士の交換(MKRを売却してビットコインを購入する場合など)や、暗号資産で商品やサービスを購入した場合も、課税対象となります。また、ステーキングで暗号資産を取得した場合も、取得時の時価が所得として計上されます。

給与所得者の場合、年間の雑所得が20万円以下であれば確定申告は不要です

給与所得者の場合、年間の雑所得が20万円以下であれば確定申告は不要です。ただし、この基準は雑所得全体に適用されるため、暗号資産以外の雑所得(副業収入など)がある場合は合算して判断する必要があります。また、医療費控除などで確定申告を行う場合は、20万円以下の雑所得も申告する必要があります。

MKR取引の損益計算方法

MKR取引の損益を計算するには、取得価額と売却価額の差額を求めます。取得価額の計算方法には、「総平均法」と「移動平均法」の2種類があります。総平均法は、1年間に取得した暗号資産の平均単価を計算する方法です。移動平均法は、取得の都度、平均単価を計算する方法です。どちらの方法を選択するかは自由ですが、一度選択した方法は継続して適用する必要があります。

出典:国税庁「暗号資産の取得価額の計算方法」

例えば、総平均法で計算する場合、1年間に100,000円で1MKR、200,000円で1MKRを購入し、合計2MKRを保有しているとします。この場合、平均取得単価は(100,000円+200,000円)÷2=150,000円となります。その後、1MKRを250,000円で売却した場合、売却益は250,000円-150,000円=100,000円となります。

複数の取引所を利用している場合も、暗号資産の種類ごとに一括して計算する必要があります

複数の取引所を利用している場合も、暗号資産の種類ごとに一括して計算する必要があります。取引所ごとに別々に計算することはできません。また、取引手数料は取得価額または売却価額に含めることができます。正確な損益計算のためには、全ての取引記録を保存しておくことが重要です。多くの取引所では、取引履歴をCSV形式でダウンロードできる機能を提供しています。

確定申告の手順と注意点

確定申告は、毎年2月16日から3月15日までの期間に行います。確定申告書は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用してオンラインで作成できます。e-Taxを利用すれば、自宅からインターネット経由で申告書を提出できるため、税務署に出向く必要がありません。マイナンバーカードとカードリーダーがあれば、簡単にe-Tax申告が可能です。

取引記録や計算根拠となる資料は、確定申告後も7年間保存する義務があります

確定申告書には、暗号資産取引による所得を「雑所得」の欄に記入します。複数の暗号資産を取引している場合は、それぞれの損益を計算し、合計額を記入します。また、取引記録や計算根拠となる資料は、確定申告後も7年間保存する義務があります。税務調査が入った場合に備えて、取引履歴や計算過程を明確に記録しておくことが重要です。

暗号資産取引の損益計算は複雑になりがちです。特に、頻繁に取引を行っている場合や、複数の取引所を利用している場合は、計算ミスが発生しやすくなります。不安な場合は、税理士に相談することをおすすめします。また、暗号資産の税務計算をサポートするツール(CryptactやGtaxなど)を利用することで、計算の手間を大幅に削減できます。

よくある質問(Q&A)

MKRは国内取引所で購入できますか?

2026年2月時点では、MKRを取り扱っている国内取引所はほとんど存在しません。GMOコイン、Coincheck、SBI VCトレードなど主要な国内取引所は、2025年9月〜10月にかけてMKRの取り扱いを廃止しました。MKRへの投資を検討する場合は、海外取引所またはDEXの利用を検討する必要がありますが、金融庁の警告に注意してください。

MKRのステーキングはできますか?

MKR自体にはステーキング機能はありません。ただし、MKRをMakerDAOのガバナンスに参加するために使用することはできます。ガバナンス投票に参加するには、MKRをMetaMaskなどのウォレットに保管し、MakerDAOの公式サイトでウォレットを接続する必要があります。ガバナンス参加による直接的な報酬はありませんが、プロトコルの運営に影響を与えることができます。

MKRとDAIの価格は連動しますか?

いいえ、MKRとDAIの価格は直接的には連動しません。DAIは1ドルを目標価格とするステーブルコインであり、価格の安定を目指しています。一方、MKRはガバナンストークンであり、市場の需給によって価格が変動します。ただし、DAIの需要が高まり、MakerDAOのプロトコルが多くの手数料収入を得ると、MKRの買い戻し・焼却が促進され、MKRの価値が上昇する可能性があります。

MKRの保管方法は?

MKRは、ソフトウェアウォレット(MetaMaskなど)、ハードウェアウォレット(Ledger、Trezorなど)で保管できます。国内取引所での取り扱いが終了しているため、自己管理型ウォレットでの保管が基本となります。大きな金額を長期保有する場合は、ハードウェアウォレットでの保管が最も安全です。ハードウェアウォレットは、秘密鍵をオフラインで管理するため、ハッキングのリスクを大幅に低減できます。

メイカー(MKR)に関して、読者の方からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。投資判断の参考としてご活用ください。

まとめ

メイカー(MKR)は、DeFi市場において重要な役割を果たすガバナンストークンです。MakerDAOのステーブルコインDAIを支える仕組みの中核として機能し、保有者はプロトコルの運営に直接参加できます。MKRへの投資を検討する際は、DeFi市場の成長性、MakerDAOの実績、そして分散型ガバナンスの価値を理解することが重要です。

リスクを十分に理解し、余裕資金の範囲内で投資してください

MKR投資には価格変動リスク、清算リスク、スマートコントラクトのリスク、流動性リスク、規制リスクなど、さまざまなリスクが伴います。これらのリスクを十分に理解し、余裕資金の範囲内で投資することが重要です。また、暗号資産取引で利益が発生した場合は、適切に確定申告を行い、税務処理を怠らないようにしましょう。

出典:国税庁「暗号資産の税制(所得税)」

MKRへの投資は、DeFi市場の将来性に期待する長期的な視点が求められます。短期的な価格変動に一喜一憂せず、MakerDAOのプロトコルの発展とDAIの普及を見守りながら、慎重な投資判断を行ってください。国内取引所での取り扱いが終了している現状を踏まえ、ご自身のリスク許容度に合わせた投資を行いましょう。

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※2社の選定と使い分けは当サイト運営者の見解です。取扱銘柄・手数料は2026年10月2日時点の各社公式サイトの情報に基づきます。送付手数料は暗号資産を外部へ送るときの手数料です。取扱銘柄は変更される場合があります。

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SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

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