TVLとは|DeFi投資判断に使える指標の見方と活用法【2026年最新】

TVLとは|DeFi投資判断に使える指標の見方と活用法【2026年最新】
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この記事の要約
  • TVLはDeFiプロトコルにロックされた資産の総額を示す指標で、信頼性評価に役立つ
  • TVLレシオ(時価総額÷TVL)で割安・割高を判断できるが、リスク管理も重要

DeFi投資を検討しているけれど、どのプロトコルを選べばいいかわからない。

TVL(Total Value Locked)という指標を見かけるけれど、具体的にどう活用すればいいのか迷っている。

そんな悩みを抱える方に向けて、TVLの基本から実践的な投資判断への活用方法まで、わかりやすく解説します。

TVLはDeFiプロトコルに預けられた資産の総額を示す指標で、プロトコルの信頼性や人気度を測る重要なバロメーターです。

この記事では、TVLの計算方法、上位プロトコルの最新ランキング、投資判断への具体的な活用方法、そして注意すべきリスクまで、DeFi投資に必要な知識を網羅的にお届けします。

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SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

目次

TVL(Total Value Locked)とは|DeFiプロトコルの規模を示す指標

TVL(Total Value Locked)は、DeFi(分散型金融)プロトコルに預けられている暗号資産の総額を示す指標です。日本語では「ロックされた総価値」や「預かり資産」と訳されます。

具体的には、ユーザーがレンディング、ステーキング、流動性提供などのために、スマートコントラクトに預け入れた資産の合計額を指します。TVLが高いほど、そのプロトコルに多くの資金が集まっていることを意味し、一般的に信頼性や人気度の目安として活用されます。

TVLの定義|プロトコルにロックされた資産の総額

TVLは、特定のDeFiプロトコルのスマートコントラクトに預け入れられている全ての暗号資産の時価総額です。通常は米ドル建てで表示され、リアルタイムで変動します。

例えば、あるレンディングプロトコルに100万ETH(イーサリアム)が預けられており、ETHの価格が1ETH=3,000ドルの場合、そのプロトコルのTVLは30億ドルとなります。価格が変動すれば、ユーザーが資金を動かさなくてもTVLは増減します。

TVLには、ステーキング報酬や将来の利息は含まれず、現時点で預け入れられている資産の価値のみが集計されます

TVLがDeFiで重視される理由

TVLが重視される理由は、DeFiプロトコルの健全性と信頼性を測る客観的な指標だからです。TVLが高いプロトコルは、多くのユーザーから資金を預けられており、市場からの信頼が厚いと判断できます。

TVLは流動性の豊富さも示し、レンディングでは借入しやすく、DEXではスリッページが小さくなります

また、TVLは流動性の豊富さも示します。レンディングプロトコルであれば借り入れがしやすく、分散型取引所(DEX)であればスリッページ(価格のずれ)が小さくなります。投資家にとって、TVLは投資先を選ぶ際の重要な判断材料となるのです。

さらに、TVLの推移を見ることで、そのプロトコルが成長しているのか、資金が流出しているのかを把握できます。DeFi市場全体のTVLを追うことで、市場全体のトレンドも読み取れます。

TVLの計算方法|どのように算出されるのか

TVLの計算方法は比較的シンプルです。プロトコルに預けられている各暗号資産の数量に、その時点の市場価格を掛けて合算します。この計算は自動的に行われ、リアルタイムで更新されます。

例えば、あるプロトコルに1,000 ETH(価格3,000ドル)、50,000 USDC(価格1ドル)、100 BTC(価格50,000ドル)が預けられている場合、TVLは以下のように計算されます。

ステップ1|プロトコル内の資産をリストアップ

まず、そのプロトコルのスマートコントラクトに預けられている全ての暗号資産をリストアップします。レンディングプロトコルであれば、貸し出しや担保として預けられている資産、DEXであれば流動性プールに提供されている資産が対象です。

この段階では、ETH、USDC、DAI、WBTCなど、プロトコルがサポートしている全ての銘柄を網羅的に把握します。各銘柄の数量も正確に記録する必要があります。

ステップ2|各資産の市場価格を取得

次に、リストアップした各資産の現在の市場価格を取得します。価格データは、CoinGeckoやCoinMarketCapなどの価格集約サービス、またはChainlinkなどのオラクルサービスから取得されることが一般的です。

暗号資産の価格は常に変動しているため、TVLもリアルタイムで変化します。そのため、TVLを追跡するプラットフォーム(DeFi Llamaなど)では、数分ごとに価格データを更新しています。

ステップ3|資産数量×価格で合算

最後に、各資産の数量に市場価格を掛けて、その合計を算出します。先ほどの例で計算してみましょう。

1. 1,000 ETH × 3,000ドル = 300万ドル
2. 50,000 USDC × 1ドル = 5万ドル
3. 100 BTC × 50,000ドル = 500万ドル
4. 合計TVL = 300万ドル + 5万ドル + 500万ドル = 805万ドル

このように、TVLは各資産の価値を米ドル換算で合計したものです。価格が変動すれば、ユーザーが資金を動かさなくてもTVLは変化します。例えば、ETHの価格が3,000ドルから3,500ドルに上昇すれば、それだけでTVLは50万ドル増加することになります。

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TVL上位のDeFiプロトコル5選|2026年最新ランキング

Lido|リキッドステーキング最大手

Lidoは、イーサリアムやSolanaのリキッドステーキングサービスを提供するプロトコルで、TVLは約280億ドル(2026年1月時点)です。ユーザーはETHをステーキングしながら、stETHという流動性トークンを受け取り、DeFiで活用できます。

出典:Phemex News

32 ETHの最低要件を満たせなくても、少額からステーキング報酬を得られます

32 ETHという最低ステーキング要件を満たせないユーザーでも、Lidoを通じて少額からステーキング報酬を得られる点が人気の理由です。stETHはAaveなどの他のDeFiプロトコルでも担保として利用でき、資金効率が高いのが特徴です。

Aave|レンディングプロトコルの代表格

Aaveは「フラッシュローン」という無担保ローンを世界で初めて実現したことでも知られています。イーサリアムをはじめ、Polygon、Arbitrum、Avalancheなど18以上のブロックチェーンに展開しており、マルチチェーン対応が強みです。

MakerDAO|DAI発行の中核

MakerDAO(現在はSkyに改名)は、ステーブルコインDAI(現在はUSDSに移行中)を発行する分散型プロトコルです。ユーザーは暗号資産を担保に預けることでDAIを発行でき、TVLは数十億ドル規模を維持しています。

DAIはアルゴリズムではなく、暗号資産の過剰担保によって1ドルにペッグされる仕組みで、DeFi黎明期から信頼性の高いステーブルコインとして利用されてきました。

Curve Finance|ステーブルコイン特化DEX

Curve Financeは、ステーブルコイン同士の交換に特化した分散型取引所(DEX)です。USDC、USDT、DAIなど、価格が近い資産同士の交換で低いスリッページを実現しており、大口取引でも効率的にスワップできます。

流動性提供者は、取引手数料とCRVトークンの報酬を得られます。TVLは数十億ドル規模で、DeFiエコシステムにおけるステーブルコイン流動性の中核を担っています。

Uniswap|分散型取引所の先駆者

Uniswapは、世界で最も利用されている分散型取引所(DEX)の一つです。自動マーケットメーカー(AMM)方式を採用しており、ユーザーは流動性プールに資産を提供することで取引手数料を得られます。

Uniswap V3では、流動性提供者が価格レンジを指定できる「集中流動性」機能が導入され、資本効率が大幅に向上しました。TVLは数十億ドル規模で、DEX取引高でも常に上位にランクインしています。

プロトコルカテゴリTVL目安主な特徴
Lidoリキッドステーキング約280億ドルETH/SOLステーキング、流動性維持
Aaveレンディング約340億ドルマルチチェーン対応、フラッシュローン
MakerDAOステーブルコイン数十億ドルDAI発行、過剰担保型
Curve FinanceDEX数十億ドルステーブルコイン特化、低スリッページ
UniswapDEX数十億ドルAMM方式、集中流動性

ブロックチェーン別TVLランキング|どのチェーンに資金が集まっているか

DeFiのTVLは特定のブロックチェーンに集中しており、イーサリアムが圧倒的なシェアを持っています。ここでは、主要ブロックチェーンのTVL状況を解説します。

イーサリアム|DeFiの中心

イーサリアムは、DeFi市場で最も大きなシェアを持つブロックチェーンです。2026年2月時点で、DeFi全体のTVLの約55%をイーサリアムが占めており、TVLは約500億〜600億ドル規模です。

出典:ダイヤモンド・ザイ

Aave、Lido、MakerDAO、Uniswapなど、主要なDeFiプロトコルの多くがイーサリアム上で稼働しています。開発者コミュニティが最も充実しており、監査体制やツールの整備も進んでいるため、長期的な信頼性が高いとされています。

イーサリアムメインネットは手数料が高くなりがちで、L2への資金移動が進んでいます

Solana|高速・低コストで急成長

Solanaは、高速な処理能力と低い手数料を武器に、イーサリアムに次ぐDeFiエコシステムを構築しています。2026年2月時点で、TVLは約60億ドル規模です。

出典:Solana TVL data

1取引あたりの手数料が1セント未満と非常に低く、少額取引に最適です

JupiterやRaydiumといったDEX、Marinade FinanceやJitoなどのリキッドステーキングサービスが人気です。1取引あたりの手数料が1セント未満と非常に低いため、少額取引やミームコイン取引のハブとして機能しています。

過去にネットワーク障害が発生したこともあります

過去にはネットワーク障害が発生したこともありますが、2024年以降のアップデートで安定性が向上し、TVLも順調に成長しています。

レイヤー2ソリューション|Arbitrum・Optimism等

イーサリアムのレイヤー2(L2)ソリューションは、メインネットの高い手数料問題を解決するために開発されました。Arbitrum、Optimism、Base、Blastなどが代表的です。

これらのL2全体で、合計約100億ドル規模のTVLがあります。L2はイーサリアムのセキュリティを継承しながら、手数料を大幅に削減できるため、DeFi利用者にとって魅力的な選択肢となっています。

特にBaseは2023年にCoinbaseが立ち上げたL2で、急速にTVLを伸ばしています。L2間の資金移動(ブリッジ)が面倒という課題はありますが、今後の成長が期待されています。

その他のチェーン|BSC・Polygon等

Binance Smart Chain(BSC)やPolygonも、一定のTVLを持つブロックチェーンです。BSCは約50億ドル、Polygonは約10億ドル規模のTVLがあります。

これらのチェーンは、イーサリアムよりも手数料が安く、処理速度も速いため、新興DeFiプロジェクトやゲーム関連のアプリケーションが多く展開されています。

分散性やセキュリティの面では、イーサリアムに劣るという指摘もあります

ブロックチェーンTVL目安シェア主な特徴
イーサリアム(L1)約500〜600億ドル約55%最大級のエコシステム、高い信頼性
Solana約60億ドル約6%高速・低手数料、ミームコインハブ
L2(Arbitrum等)約100億ドル約10%イーサリアムのセキュリティ継承、低手数料
BSC約50億ドル約5%低手数料、新興プロジェクト多数

TVLと時価総額の関係|TVLレシオで割安・割高を判断

TVLと時価総額を比較することで、DeFiプロトコルのトークンが割安か割高かを判断できます。この指標は「TVLレシオ」または「MC/TVLレシオ」と呼ばれ、投資判断に活用されます。

TVLレシオとは|時価総額÷TVLの計算

TVLレシオは、プロトコルのトークンの時価総額をTVLで割った値です。計算式は以下の通りです。

TVLレシオ = 時価総額(Market Cap)÷ TVL

例えば、あるプロトコルのトークン時価総額が10億ドル、TVLが20億ドルの場合、TVLレシオは0.5となります。逆に、時価総額が30億ドル、TVLが20億ドルの場合、TVLレシオは1.5です。

このレシオは、プロトコルにロックされている実際の資産価値に対して、市場がそのトークンをどう評価しているかを示します。株式投資におけるPBR(株価純資産倍率)に似た考え方です。

TVLレシオが1.0未満なら割安の可能性

TVLレシオが1.0未満の場合、プロトコルにロックされている資産価値よりも、トークンの時価総額が低いことを意味します。これは、市場がそのプロトコルを過小評価している可能性を示唆します。

例えば、TVLが50億ドルあるのに、トークンの時価総額が30億ドル(TVLレシオ0.6)の場合、プロトコル自体は多くの資金を集めているのに、トークン価格が低いと判断できます。これは投資機会となる可能性があります。

TVLレシオが低いからといって必ずしも「買い」とは限りません

ただし、TVLレシオが低いからといって必ずしも「買い」とは限りません。プロトコルの収益性、トークンの配当設計、競合状況なども総合的に判断する必要があります。

TVLレシオが1.0以上なら割高の可能性

TVLレシオが1.0を大きく上回る場合、トークンの時価総額がTVLを大幅に超えていることを意味します。市場がそのプロトコルの将来性を高く評価している、または過大評価されている可能性を示します。

例えば、TVLが20億ドルしかないのに、トークンの時価総額が60億ドル(TVLレシオ3.0)の場合、投機的な買いが入っている可能性があります。こうしたプロトコルは、期待が剥落すると価格が急落するリスクがあります。

ただし、新興プロトコルや成長期のプロジェクトでは、将来のTVL増加を見込んでレシオが高くなることもあります。単純に「高い=危険」とは言い切れず、プロトコルの成長戦略や市場環境を考慮する必要があります。

TVLの歴史的推移|DeFiサマーから現在まで

DeFi市場のTVLは、2020年のいわゆる「DeFiサマー」以降、爆発的に成長しました。ここでは、TVLの歴史的な推移を振り返ります。

2020年初頭|6億ドルからスタート

2020年初頭、DeFi全体のTVLはわずか6億〜10億ドル程度でした。当時は、MakerDAOやCompoundなど、限られたプロトコルしか存在せず、DeFi自体がまだニッチな分野でした。

この時期、DeFiは暗号資産コミュニティの一部で注目され始めたばかりで、一般の投資家にはほとんど知られていませんでした。TVLという指標も、まだ広く認知されていない状況でした。

2020年DeFiサマー|爆発的成長

2020年6月頃から、DeFi市場は爆発的に成長し、TVLは数ヶ月で10倍以上に膨れ上がりました。2020年9月には、TVLが100億ドルを突破しています。

この成長の背景には、Compoundが開始した「流動性マイニング」があります。ユーザーがプロトコルに資金を預けると、利息に加えてガバナンストークン(COMPなど)が報酬として配布される仕組みで、高い利回りを求めて多くの資金が流入しました。

Uniswap、SushiSwap、Yearn Financeなど、新しいDeFiプロトコルが次々と登場し、DeFiエコシステムは急速に拡大しました。

2021年末|2000億ドル超えのピーク

2021年末、DeFi市場のTVLは約1,800億〜2,000億ドルに達し、史上最高値を記録しました。この時期は、暗号資産市場全体が強気相場にあり、ビットコインやイーサリアムの価格も高騰していました。

2022年にTerra/LUNAの崩壊やFTXの破綻が発生し、TVLは500億ドル前後まで落ち込みました

しかし、2022年に入ると、暗号資産市場全体が低迷し、TVLも大きく減少しました。Terra/LUNAの崩壊、FTXの破綻などの事件も影響し、2022年末にはTVLが500億ドル前後まで落ち込みました。

2023年以降、市場は徐々に回復し、2026年2月時点では約1,000億ドル規模まで戻っています。ただし、2021年のピーク時には及んでいない状況です。

価格変動がTVLに与える影響|ドル建てとETH建ての違い

TVLは暗号資産の価格変動に大きく影響されます。ここでは、ドル建てTVLとETH建てTVLの違いを解説します。

ドル建てTVL|価格変動の影響を受ける

一般的に表示されるTVLは、米ドル建てで計算されています。これは、各暗号資産の数量に現在の市場価格(ドル換算)を掛けて合算したものです。

ドル建てTVLは暗号資産の価格変動によって大きく変化します

例えば、ETHの価格が3,000ドルから2,000ドルに下落した場合、ユーザーが資金を引き出していなくても、TVLは約33%減少します。

そのため、ドル建てTVLが減少しているからといって、必ずしもユーザーが資金を引き出している(プロトコルへの信頼が失われている)わけではありません。価格下落の影響を受けている可能性があります。

ETH建てTVL|実質的な資金流入を把握

ETH建てTVL(または各暗号資産建てTVL)は、ドル換算せずに、暗号資産の数量そのもので測定したTVLです。例えば、「このプロトコルには100万ETHがロックされている」という表現です。

価格変動の影響を除外し、実際の資金流入を正確に把握できます

ETH建てTVLを見ることで、価格変動の影響を除外し、実際にユーザーが資金を預け入れているのか、引き出しているのかを正確に把握できます。ETH建てTVLが増加していれば、ETHの価格が下がっていても、プロトコルへの信頼は維持されていると判断できます。

例えば、2026年2月の市場調整局面では、ドル建てTVLは減少しましたが、ETH建てTVLは増加していました。これは、価格下落にもかかわらず、ユーザーがDeFiプロトコルに資金を預け続けていることを示しています。

出典:CoinDesk

どちらを見るべきか|投資判断のポイント

投資判断では、ドル建てTVLとETH建てTVLの両方を確認することが重要です。ドル建てTVLは市場全体の規模感を把握するのに便利ですが、価格変動の影響を受けます。

ETH建てTVLは、実際の資金流入・流出を正確に把握できますが、ドル換算での価値を直感的に理解しにくいという欠点があります。両方を組み合わせて分析することで、プロトコルの真の健全性を評価できます。

価格変動時はETH建てTVLでユーザーの信頼度を測りましょう

特に、価格が大きく変動する局面では、ETH建てTVLの推移を確認することで、ユーザーの信頼度を正確に測れます。価格が下がってもETH建てTVLが増えていれば、長期的には有望なプロトコルと判断できる可能性があります。

TVLを投資判断に活用する方法|具体的な戦略

TVLは、DeFi投資における重要な判断材料ですが、単独で見るのではなく、他の指標と組み合わせて活用することが重要です。ここでは、具体的な活用方法を紹介します。

TVLの絶対値で信頼性を評価

TVLの絶対値(金額の大きさ)は、プロトコルの信頼性や市場での認知度を示します。TVLが数十億ドル規模のプロトコルは、多くのユーザーから資金を預けられており、一定の信頼性があると判断できます。

TVLが高くても必ずしも安全とは限りません

過去には、TVLが高いプロトコルでもハッキング被害に遭った事例があります。TVLは信頼性の「目安」として活用し、セキュリティ監査の有無なども確認しましょう。

TVLの推移で資金流入・流出を確認

TVLの推移(時系列での変化)を見ることで、そのプロトコルが成長しているのか、衰退しているのかを把握できます。TVLが継続的に増加していれば、新規ユーザーや資金が流入しており、プロトコルへの信頼が高まっていると判断できます。

逆に、TVLが急減している場合は、何らかの問題が発生している可能性があります。ハッキング、運営方針の変更、競合プロトコルの台頭などが原因として考えられます。TVLの急変には注意が必要です。

TVLレシオで割安・割高を判断

前述の通り、TVLレシオ(時価総額÷TVL)を使うことで、プロトコルのトークンが割安か割高かを判断できます。レシオが1.0未満であれば、トークンが過小評価されている可能性があり、投資機会となるかもしれません。

TVLレシオだけで判断するのは危険です

プロトコルの収益性、トークンの配当設計、競合状況、開発チームの信頼性なども総合的に評価しましょう。

ステーキング・レンディングとTVLの関係

ステーキングやレンディングを行う際、TVLは流動性の豊富さを示す指標となります。TVLが高いレンディングプロトコルでは、借り入れがしやすく、金利も安定しやすい傾向があります。

逆に、TVLが低いプロトコルでは、流動性が不足して資金を引き出せないリスクがあります。特に、急激な市場変動時には、TVLが低いプロトコルでは流動性危機が発生する可能性があるため、注意が必要です。

ステーキングやレンディングを行う際は、以下のポイントを確認しましょう。

  • TVLが十分に高いか(最低でも数億ドル以上が望ましい)
  • TVLが安定しているか、または増加傾向にあるか
  • 利回り(APY/APR)が持続可能な水準か(異常に高い利回りは危険信号)
  • プロトコルのセキュリティ監査が実施されているか
  • 過去にハッキング被害がないか
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TVLで気をつけたい5つのリスク

TVLは有用な指標ですが、過信は禁物です。ここでは、TVLに関連する主なリスクを解説します。

TVLが高いとハッキングの標的になる

TVLが高いプロトコルは、ハッカーにとって魅力的な標的となります。過去には、TVLが数十億ドル規模のプロトコルがハッキング被害に遭い、多額の資金が流出した事例があります。

2025年2月にはBybitが約14億ドル相当のハッキング被害に遭いました

2022年には、Ronin NetworkがハッキングされNFTゲームAxie Infinityに使われていた資産約6億ドル相当が盗まれました。また、2025年2月にはBybitが約14億ドル相当のハッキング被害に遭い、暗号資産史上最大規模の事件となりました。

TVLが高いプロトコルを利用する際は、セキュリティ監査の有無、過去のハッキング履歴、運営チームの対応実績などを確認しましょう。また、全資産を一つのプロトコルに集中させず、分散投資を心がけることが重要です。

価格暴落時にTVLが急減するリスク

暗号資産の価格が暴落すると、ドル建てTVLも急減します。また、価格下落によってユーザーが資金を引き出す(パニック売り)ことで、さらにTVLが減少する悪循環に陥ることがあります。

レバレッジ取引では清算リスクに注意が必要です

特に、レバレッジを使った取引が多いプロトコルでは、価格下落時に大量の清算(強制決済)が発生し、TVLが急減する可能性があります。2022年のTerra/LUNAの崩壊では、数日で数百億ドル規模のTVLが消失しました。

価格暴落時のリスクを軽減するには、ステーブルコイン(USDC、DAIなど)を活用する、レバレッジを控える、ロスカット水準を適切に設定するなどの対策が有効です。

TVLデータの操作・不正の可能性

一部のプロトコルでは、TVLを人為的に高く見せるための操作が行われる可能性があります。例えば、プロジェクト運営者が自ら大量の資金を預け入れる、または架空のTVLを報告するなどの手法です。

高額な報酬で一時的にTVLを膨らませるプロジェクトに注意

また、流動性マイニングで高額な報酬を提供し、一時的にTVLを膨らませるプロジェクトもあります。こうしたプロジェクトは、報酬が減少するとTVLも急減し、トークン価格も暴落するリスクがあります。

TVLデータの信頼性を確認するには、DeFi LlamaなどのサードパーティのTVL追跡サービスを利用する、プロトコルのスマートコントラクトを直接確認する、コミュニティの評判を調べるなどの方法があります。

スマートコントラクトの脆弱性

DeFiプロトコルはスマートコントラクト(自動実行されるプログラム)で動作しています。スマートコントラクトにバグや脆弱性があると、ハッキングや資金の凍結が発生する可能性があります。

TVLが高いプロトコルでも、スマートコントラクトの品質が低ければリスクは高くなります。プロトコルを利用する前に、セキュリティ監査(Trail of Bits、CertiKなどの専門企業による検証)が実施されているかを確認しましょう。

また、新しいプロトコルや、頻繁にアップデートが行われるプロトコルは、未発見のバグが残っている可能性が高いため、慎重に判断することが重要です。

日本の金融規制との関係

日本では、暗号資産交換業を営むには金融庁への登録が必要です(資金決済法)。海外のDeFiプロトコルは、この登録を受けていないため、日本の法的保護の対象外となります。

出典:金融庁「暗号資産交換業者登録一覧」

DeFiプロトコル自体は分散型であり、特定の運営者が存在しないため、現時点では日本の規制対象とはなっていません。ただし、今後規制が強化される可能性もあり、その場合は日本からのアクセスが制限される可能性があります。

DeFiで得た利益は雑所得として最大55%の税率が適用されます

また、DeFiで得た利益は雑所得として総合課税の対象となり、最大55%(所得税45%+住民税10%)の税率が適用されます。確定申告が必要となる場合もあるため、税務面でのリスクも考慮しましょう。

出典:国税庁

DeFi投資を行う際は、これらのリスクを十分に理解し、自己責任で判断することが重要です。詳細は金融庁の公式サイトでご確認ください。

DeFi Llamaの使い方|TVLを確認する方法

DeFi LlamaはDeFi市場のTVLを追跡する最も信頼性の高いプラットフォームです。ここでは、初心者向けに使い方を解説します。

DeFi Llamaとは|業界標準のデータソース

DeFi Llamaは、140以上のブロックチェーンと3,000以上のDeFiプロトコルのTVLをリアルタイムで追跡するプラットフォームです。広告やスポンサードコンテンツを掲載せず、中立的なデータ提供を理念としています。

ブロックチェーンから直接取得される客観的なデータです

DeFi Llamaのデータは、ブロックチェーン上のスマートコントラクトから直接取得されるため、信頼性が高く、業界標準のデータソースとして広く利用されています。プロトコルの運営者が自己申告する数値ではなく、客観的なデータが表示されます。

プロトコル別TVLの確認方法

DeFi Llamaのトップページでは、TVL上位のプロトコルがランキング形式で表示されます。各プロトコルをクリックすると、詳細ページに移動し、以下の情報を確認できます。

1.現在のTVL(米ドル建て)
2.TVLの推移グラフ(日次・週次・月次)
3.展開しているブロックチェーン
4.トークンの時価総額とTVLレシオ
5.手数料収益や取引高(一部プロトコル)

特定のプロトコルを検索したい場合は、画面上部の検索ボックスに名前を入力すれば、すぐに見つけられます。

ブロックチェーン別TVLの確認方法

DeFi Llamaのメニューから「Chains」を選択すると、ブロックチェーン別のTVLランキングが表示されます。イーサリアム、Solana、Arbitrumなど、各チェーンのTVLを比較できます。

各ブロックチェーンをクリックすると、そのチェーン上で稼働しているプロトコルの一覧とTVLが表示されます。これにより、どのチェーンにどのようなプロトコルが展開されているかを把握できます。

TVL推移グラフの見方

DeFi LlamaのTVL推移グラフでは、時系列でのTVL変化を視覚的に確認できます。グラフ上部のタブで、表示期間を1日、1週間、1ヶ月、1年、全期間から選択できます。

グラフの急上昇は資金流入、急下降は資金流出または価格下落を示します。長期的に右肩上がりのグラフであれば、そのプロトコルは成長していると判断できます。逆に、下降トレンドが続いている場合は、注意が必要です。

ETH建てTVLに切り替えて価格変動の影響を除外できます

また、DeFi Llamaでは、ドル建てだけでなくETH建てのTVLも表示できます。画面上部の「USD」をクリックして「ETH」に切り替えることで、価格変動の影響を除外したTVL推移を確認できます。

よくある質問(Q&A)

TVLが高いプロトコルは安全ですか?

TVLが高いプロトコルは、多くのユーザーから信頼されている証拠であり、一定の安全性の目安となります。しかし、TVLが高いからといって絶対に安全とは限りません。過去には、TVLが高いプロトコルでもハッキング被害に遭った事例があります。セキュリティ監査の有無、運営チームの信頼性、スマートコントラクトの品質なども総合的に判断しましょう。

TVLが低いプロトコルは危険ですか?

TVLが低いプロトコルは、流動性が不足しているため、資金を引き出せないリスクや、価格が大きく変動するリスクがあります。また、新しいプロトコルはバグが残っている可能性も高いです。ただし、TVLが低くても、革新的な技術を持つ有望なプロジェクトも存在します。少額から始め、リスクを理解した上で投資しましょう。

TVLはどのくらいの頻度で更新されますか?

DeFi LlamaなどのTVL追跡プラットフォームでは、数分ごとにデータが更新されます。ブロックチェーン上のスマートコントラクトから直接データを取得しているため、ほぼリアルタイムでTVLの変化を確認できます。ただし、暗号資産の価格変動により、TVLも常に変化しているため、あくまで「その時点での参考値」として捉えましょう。

TVLと時価総額の違いは何ですか?

TVLはプロトコルに預けられている資産の総額を示し、時価総額はプロトコルのトークンの市場価値を示します。例えば、AaveのTVLは約340億ドルですが、AAVEトークンの時価総額は約20億ドル(仮の数値)といった具合です。TVLは「プロトコルに集まっている資金」、時価総額は「トークンの価値」を表します。両者を比較することで、トークンが割安か割高かを判断できます。

TVLを基に投資判断するときの注意点は?

TVLは有用な指標ですが、単独で判断するのは危険です。TVLが高くても、プロトコルの収益性が低い、トークンの配当設計が不十分、競合が強力などの理由で、投資リターンが得られない場合があります。また、TVLは価格変動の影響を受けるため、ETH建てTVLも確認し、実際の資金流入・流出を把握しましょう。セキュリティ監査、運営チームの信頼性、コミュニティの評判なども総合的に評価することが重要です。

国内取引所でTVL上位プロトコルに投資できますか?

国内取引所では、DeFiプロトコル自体に直接投資することはできませんが、プロトコルのガバナンストークン(AAVE、UNI、COMPなど)を購入できる場合があります。ただし、国内取引所での取り扱い銘柄は限定的です。海外取引所を利用する場合は、金融庁に登録されていない業者との取引はリスクが高いため、慎重に判断しましょう。

TVLが急減した場合の対処法は?

TVLが急減した場合、まずその原因を確認しましょう。価格下落によるものか、ユーザーの資金流出によるものかを見極めるため、ETH建てTVLもチェックします。ハッキングや運営上の問題が原因であれば、速やかに資金を引き出すことを検討しましょう。価格下落が原因であれば、プロトコル自体の信頼性が失われていない限り、過度に慌てる必要はありません。ただし、リスク管理の観点から、資産を分散することが重要です。

ブリッジTVLとは何ですか?

ブリッジTVLは、異なるブロックチェーン間で資産を移動させる「ブリッジ」プロトコルにロックされている資産の総額です。例えば、イーサリアムからSolanaに資産を移動する際、ブリッジプロトコルを経由します。ブリッジTVLが高いほど、そのブリッジが多く利用されていることを示しますが、ブリッジはハッキングの標的になりやすいため、利用時は注意が必要です。

TVLとAPY/APRの関係は?

TVLが高いプロトコルは、流動性が豊富なため、APY/APR(年利)が安定しやすい傾向があります。逆に、TVLが低いプロトコルは、高いAPY/APRを提示して資金を集めようとすることがありますが、持続可能性が低い場合があります。異常に高い利回りを提示するプロトコルは、リスクが高い可能性があるため、慎重に判断しましょう。TVLとAPY/APRのバランスを見ることで、リスクとリターンを評価できます。

日本の金融庁はTVLをどう見ていますか?

金融庁は、DeFiプロトコル自体を直接規制していませんが、暗号資産に関する規制を強化しています。DeFiで得た利益は雑所得として課税対象となり、確定申告が必要な場合があります。また、海外の無登録業者との取引はトラブルのリスクが高いため、金融庁は注意を呼びかけています。DeFi投資を行う際は、日本の法規制を理解し、自己責任で判断することが重要です。詳細は金融庁の公式サイトでご確認ください。

まとめ

TVL(Total Value Locked)は、DeFiプロトコルに預けられている資産の総額を示す指標で、プロトコルの信頼性や人気度を測る重要なバロメーターです。TVLが高いプロトコルは、多くのユーザーから資金を預けられており、流動性が豊富で安定した運営が期待できます。

2026年2月時点で、DeFi全体のTVLは約1,000億ドル規模となっており、Aave、Lido、MakerDAOなどが上位を占めています。ブロックチェーン別では、イーサリアムが約55%のシェアを持ち、Solanaが約6%で続いています。TVLレシオ(時価総額÷TVL)を活用することで、プロトコルのトークンが割安か割高かを判断でき、投資判断に役立てることができます。

ただし、TVLは価格変動の影響を受けるため、ドル建てだけでなくETH建てのTVLも確認することが重要です。また、TVLが高いからといって絶対に安全とは限らず、ハッキングリスク、スマートコントラクトの脆弱性、価格暴落時のTVL急減リスクなども考慮する必要があります。DeFi投資を行う際は、TVLを参考にしつつ、セキュリティ監査の有無、運営チームの信頼性、日本の金融規制との関係なども総合的に判断し、リスク管理を徹底することが大切です。

暗号資産取引には価格変動・流動性・ハッキングリスクが伴います

投資判断は自己責任で行い、余裕資金の範囲内で取引することを心がけましょう。

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SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

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