証券口座は何個まで持てる?|最適な数と使い分け方

証券口座は何個まで持てる?|最適な数と使い分け方

証券口座を複数持ちたいけれど、何個まで開設できるのか気になっていませんか?

結論から言うと、証券口座は法的には何個でも開設できますが、実用的には3〜5口座までが管理しやすい上限です。

複数の証券口座を持つことで、各社の強みを活かした投資ができる一方で、管理が煩雑になるデメリットもあります。

この記事では、証券口座の開設数に関する基本ルールから、口座数別のメリット・デメリット、あなたに最適な口座数の診断方法まで詳しく解説します。

最後まで読めば、自分に合った証券口座の数と使い分け方が明確になり、効率的な資産運用ができるようになります。

この記事の要約
  • 証券口座は法的には何個でも開設可能だが、実用的には3〜5口座が管理しやすい上限
  • 複数口座のメリットは各社の強みを活かせること、デメリットは管理の煩雑さと確定申告の必要性
  • 投資初心者は1〜2口座、経験者は2〜3口座、中級者以上は3〜5口座がおすすめ
SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

目次

証券口座は何個まで開設できる?|基本ルールを確認

証券口座の開設数について、まずは基本的なルールを理解しておきましょう。法的な制限と実用的な上限は異なります。

法的な制限はなし|何社でも開設可能

日本では、証券口座の開設数に法的な制限は一切ありません。金融商品取引法においても、個人が複数の証券会社で口座を開設することを制限する規定はないため、理論上は何社でも口座を持つことができます。

実際に、投資経験が豊富な方の中には10社以上の証券口座を保有しているケースもあります。各証券会社の特徴やサービス内容が異なるため、目的に応じて使い分けることで、より効率的な資産運用が可能になります。

1つの証券会社では1口座まで

同じ証券会社で複数の口座を開設することはできません。1つの証券会社につき、1人1口座までというルールがあります。

これは証券会社の口座管理システムの仕組み上、同一人物が複数の口座を持つことを想定していないためです。

例えば、SBI証券で既に口座を持っている場合、SBI証券で2つ目の口座を開設することはできません。ただし、SBI証券と楽天証券というように、異なる証券会社であれば複数の口座を持つことが可能です。

なお、特定口座や一般口座といった口座の種類は、同じ証券会社内で複数持つことができる場合もありますが、これは口座の「区分」であり、証券口座そのものを複数持つこととは異なります。

実用的な上限は3〜5口座まで

法的には何個でも開設できる証券口座ですが、実用的な上限は3〜5口座程度とされています。これは、管理の手間や確定申告の複雑さを考慮した現実的な数です。

口座数が増えるほど管理負担が増える項目

ログインID・パスワードの管理

各口座の資産状況の把握

取引履歴の確認

確定申告時の損益計算

特に、複数の口座で取引を行う場合、損益通算のための計算が複雑になり、確定申告の手間が大幅に増えます。

投資スタイルや資産額にもよりますが、多くの投資家は2〜3口座で運用しているのが実情です。メイン口座1つとサブ口座1〜2つという組み合わせが、管理のしやすさと各社の強みを活かすバランスの取れた構成と言えます。

NISA・iDeCoは何個まで持てる?|制度ごとの制限

証券口座とは別に、税制優遇制度であるNISAとiDeCoには独自の開設ルールがあります。これらの制度は口座数に制限があるため、正しく理解しておくことが重要です。

NISA口座は1人1口座まで

NISA口座は、1人につき1口座までしか開設できません。これは金融庁が定めたNISA制度の基本ルールです。

複数の証券会社でNISA口座を同時に保有することはできず、もし複数のNISA口座を開設しようとすると、税務署のチェックで重複が発見され、口座開設が認められません。

2024年からの新NISA制度では、つみたて投資枠と成長投資枠の2つの枠がありますが、これらは同一のNISA口座内で利用する仕組みです。別々の証券会社でつみたて投資枠と成長投資枠を使い分けることはできません。

ただし、NISA口座を開設する証券会社は年単位で変更することができます。例えば、今年はSBI証券でNISA口座を利用し、来年から楽天証券に変更するといったことは可能です。ただし、変更手続きには時間がかかるため、頻繁な変更は推奨されません。

金融庁「NISA特設ウェブサイト」

iDeCo口座も1人1口座まで

iDeCo(個人型確定拠出年金)も、NISA口座と同様に1人1口座までしか開設できません。これは確定拠出年金法で定められたルールです。iDeCoは老後資金形成のための制度であり、掛金の所得控除や運用益の非課税といった税制優遇があるため、複数口座の開設は認められていません。

iDeCoは証券会社だけでなく、銀行や保険会社などの金融機関でも取り扱っていますが、どの金融機関を選んでも1口座までという制限は変わりません。金融機関によって取扱商品や手数料が異なるため、開設前によく比較検討することが大切です。

特定口座は何個でも開設できる

NISAやiDeCoとは対照的に、特定口座は複数の証券会社で何個でも開設できます。特定口座は、株式や投資信託の売買益や配当金にかかる税金を管理するための口座で、税制優遇制度ではないため、開設数に制限がありません。

特定口座の種類

源泉徴収あり:証券会社が自動的に税金を計算・徴収(確定申告原則不要)

源泉徴収なし:自分で確定申告を行う必要がある

複数の証券会社で特定口座(源泉徴収あり)を開設している場合、各口座で発生した損益は独立して計算されます。もし複数の口座で損失と利益が分かれている場合、確定申告で損益通算を行うことで、払いすぎた税金の還付を受けることができます。

口座数別のメリット・デメリット比較|1個vs2個vs3個vs4個以上

証券口座の数によって、管理のしやすさや活用の幅が大きく変わります。ここでは口座数ごとの具体的なメリット・デメリットを比較します。

1口座だけのメリット・デメリット

メリット

  • 管理が非常にシンプルで、資産全体を一目で把握できる
  • ログイン情報が1つだけなので、パスワード管理の負担が少ない
  • 特定口座(源泉徴収あり)なら確定申告が不要で、税務手続きが簡単
  • 投資初心者でも混乱せずに取引できる

デメリット

  • その証券会社の取扱商品や手数料体系に縛られる
  • システムトラブル時に取引ができなくなるリスクがある
  • IPO投資の当選確率を上げる機会を逃す
  • 他社の優れた分析ツールや情報サービスを利用できない

1口座だけでの運用は、投資を始めたばかりの初心者や、シンプルな資産運用を好む方に適しています。特に、つみたてNISAで投資信託を積立投資するだけであれば、1口座で十分なケースが多いでしょう。

2口座のメリット・デメリット

メリット

  • メイン口座とサブ口座を明確に使い分けられる
  • 各証券会社の強みを活かした投資ができる(例:メインで投資信託、サブで米国株)
  • IPO投資の当選確率が単純計算で2倍になる
  • システムトラブル時のバックアップとして機能する
  • 管理の負担は1口座と比べてそれほど増えない

デメリット

  • 2つのログイン情報を管理する必要がある
  • 資産全体の把握にやや手間がかかる
  • 複数口座で損益が分かれた場合、確定申告が必要になる可能性がある
  • どちらの口座で取引するか判断する手間が発生する

2口座は最もバランスの取れた構成で、多くの投資家におすすめできます。

例えば、SBI証券をメインにしてNISAとつみたて投資を行い、マネックス証券をサブにして米国株投資を行うといった使い分けが可能です。

3口座のメリット・デメリット

メリット

  • 投資スタイルごとに口座を完全に使い分けられる(例:長期投資・短期取引・IPO専用)
  • IPO投資の当選確率がさらに上がる
  • 各社の特化したサービスを最大限活用できる
  • リスク分散の観点で安心感がある

デメリット

  • 管理の手間が明確に増える(ログイン情報、資産状況の把握)
  • 確定申告が必要になる可能性が高くなる
  • 資産管理アプリなどのツールが必要になる
  • 使わない口座が出てくるリスクがある

3口座は、投資経験がある程度あり、複数の投資スタイルを実践している方に適しています。例えば、SBI証券でNISA・つみたて投資、楽天証券で個別株取引、SMBC日興証券でIPO投資といった使い分けが考えられます。

4口座以上のメリット・デメリット

メリット

  • IPO投資の当選確率を最大化できる
  • 各証券会社の最も優れたサービスだけを利用できる
  • 投資の選択肢が最大限に広がる

デメリット

  • 管理が非常に煩雑になり、全体像の把握が困難
  • 確定申告が複雑になり、税理士への相談が必要になる場合も
  • 休眠口座が増えるリスクが高い
  • ログイン情報の管理が負担になる
  • 資産管理アプリでも管理しきれない可能性がある

4口座以上は、投資中級者以上で、資産額が大きく、IPO投資を本格的に行っている方に限られます。管理の負担が大きいため、明確な目的がない限り推奨されません。

実際には、4口座以上持っていても、実質的に使っているのは2〜3口座というケースが多いようです。

複数の証券口座を持つ5つのメリット

複数の証券口座を持つことには、単一口座では得られない多くのメリットがあります。ここでは代表的な5つのメリットを詳しく解説します。

各証券会社の強みをいいとこ取りできる

証券会社ごとに得意分野が異なるため、複数口座を持つことで各社の強みを最大限に活用できます。

証券会社ごとの強み(例)

SBI証券:投資信託の取扱本数が約2,600本と業界トップクラス

マネックス証券:米国株の取扱銘柄数が約5,000銘柄と豊富

DMM株:25歳以下の国内株式手数料が実質無料

松井証券:1日50万円までの取引が無料

また、分析ツールや情報提供サービスも証券会社によって特色があります。楽天証券の「MARKET SPEED Ⅱ」は高機能な取引ツールとして評価が高く、SBI証券は豊富なマーケット情報を提供しています。複数口座を持てば、これらのツールを使い分けて、より精度の高い投資判断が可能になります。

IPOの当選確率を上げられる

IPO(新規公開株)投資では、複数の証券口座を持つことが当選確率を上げる最も効果的な方法です。

IPOは人気が高く、抽選倍率が数十倍から数百倍になることも珍しくありません。複数の証券会社から申し込めば、単純計算で当選確率が口座数に比例して上がります。

特に、主幹事証券会社は割当株数が多いため、当選確率が高くなります。2024年の実績では、SBI証券が主幹事を務めたIPOは12社、SMBC日興証券は22社、野村證券は16社でした。これらの証券会社で口座を開設しておけば、主幹事案件に申し込める機会が増えます。

また、証券会社によって抽選方式が異なります。完全平等抽選、資産残高に応じた優遇抽選、取引実績に応じたポイント制など様々です。複数口座を持つことで、自分に有利な抽選方式の証券会社を選んで申し込むことができます。

システムトラブルに備えられる

証券会社のシステムトラブルは稀ですが、発生すると取引ができなくなり、投資機会を逃すリスクがあります。特に、相場が大きく動いている時にシステムトラブルが発生すると、売買のタイミングを逃して損失を被る可能性があります。

複数の証券口座を持っていれば、一方の証券会社でシステムトラブルが発生しても、別の証券会社で取引を続けることができます。これは特に、デイトレードやスイングトレードなど、タイミングが重要な投資スタイルの方にとって重要なリスクヘッジになります。

投資情報やツールを使い分けられる

証券会社が提供する投資情報やツールは、各社で内容や質が大きく異なります。複数口座を持つことで、各社の優れた情報やツールを横断的に活用できます。

証券会社別の情報サービス(例)

楽天証券:日経テレコン(楽天証券版)で日本経済新聞の記事を無料で読める

マネックス証券:米国株の詳細なレポートが充実

SBI証券:四季報の情報が充実し、企業分析に役立つ

取引ツールも使い分けることで、投資効率が上がります。チャート分析に優れたツール、発注機能が充実したツール、情報収集に適したツールなど、目的に応じて最適なツールを選択できます。

リスク分散ができる

複数の証券会社に資産を分散することで、万が一の証券会社の経営破綻リスクに備えることができます。日本では投資者保護基金により、証券会社が破綻した場合でも1社あたり1,000万円までは保護されますが、それを超える資産を持っている場合は、複数の証券会社に分散することでリスクを軽減できます。

複数口座を持つこと自体が投資のリスク分散になるわけではありません。同じ銘柄を複数の証券会社で保有しても、その銘柄の価格が下がれば損失は発生します。真のリスク分散は、異なる資産クラス(株式、債券、不動産など)や地域に投資することで実現されます。

複数の証券口座を持つ3つのデメリット

複数の証券口座にはメリットがある一方で、無視できないデメリットも存在します。口座を増やす前に、これらのデメリットを十分に理解しておきましょう。

口座管理が煩雑になる

複数の証券口座を持つ最大のデメリットは、管理の煩雑さです。

1.各証券会社のログインID・パスワードを管理する必要がある
2.資産全体の把握が難しくなる
3.取引履歴の確認や配当金・分配金の管理が増える
4.各種通知メールの確認が増える

セキュリティの観点から、各社で異なるパスワードを設定すべきですが、口座数が増えるとパスワード管理が大変になります。また、二段階認証を設定している場合は、ログインの手間もかかります。

特に、年間取引報告書や特定口座年間取引報告書などの重要書類は、各証券会社から個別に送られてくるため、管理が煩雑になります。

確定申告が必要になる場合がある

複数の証券口座を持つと、確定申告が必要になるケースが増えます。特定口座(源泉徴収あり)を利用していれば、1つの証券会社だけで取引している場合は原則として確定申告は不要です。しかし、複数の証券会社で取引を行い、一方で利益、もう一方で損失が出た場合、確定申告で損益通算を行わないと、払いすぎた税金が戻ってきません。

損益通算の具体例

A証券で50万円の利益、B証券で30万円の損失

何もしない場合:A証券の50万円に対して約10万円の税金が源泉徴収

確定申告する場合:実際の利益20万円に対して約4万円の税金、約6万円が還付

確定申告には、各証券会社から発行される「特定口座年間取引報告書」が必要です。複数の証券会社の取引報告書を集めて、損益を計算する手間がかかります。取引回数が多い場合や、複雑な取引を行っている場合は、税理士に相談することも検討すべきでしょう。

休眠口座が増えるリスクがある

複数の証券口座を開設しても、実際には一部の口座しか使わなくなることがよくあります。使わなくなった口座は「休眠口座」となり、様々な問題を引き起こす可能性があります。

  • 放置していると、重要な通知を見逃したり、不正アクセスに気づかなかったりするリスクがある
  • 一定期間取引がないと、口座が凍結される場合もある
  • 一部の証券会社では残高が一定額以下で取引がない場合、口座管理料が発生することがある
  • 相続時に、本人や家族が忘れている休眠口座があると、相続手続きが複雑になる

使わない口座は定期的に見直し、本当に必要ない場合は解約することをおすすめします。ただし、IPO投資のために口座を維持している場合など、明確な目的がある場合は、休眠状態でも保持する価値があります。

あなたに最適な口座数は?|診断フローチャート

最適な証券口座の数は、投資経験や投資スタイル、資産額によって異なります。ここでは、あなたに合った口座数を診断するための指針を示します。

投資初心者は1〜2口座がおすすめ

投資を始めたばかりの初心者には、1〜2口座がおすすめです。投資初心者の定義は、投資経験が1年未満、またはつみたてNISAで投資信託を積立投資している程度の方を指します。

1口座で十分なケース
つみたてNISAで投資信託を積立投資するだけ/月々の投資額が3万円以下/投資の勉強をしながら、まずは1つの証券会社に慣れたい
2口座を検討すべきケース
つみたてNISAに加えて、個別株投資にも興味がある/米国株投資を始めたい/IPO投資にも挑戦したい

最初の1口座としては、SBI証券か楽天証券がおすすめです。両社とも投資信託の取扱本数が豊富で、つみたてNISAに最適です。また、ポイント還元やクレカ積立のサービスも充実しています。

投資経験者は2〜3口座がおすすめ

投資経験が1〜3年程度あり、個別株投資や米国株投資も行っている方には、2〜3口座がおすすめです。この段階では、各証券会社の特徴を理解し、目的に応じて使い分けることができます。

2口座の組み合わせ例

SBI証券(NISA・つみたて投資・投資信託)+ マネックス証券(米国株)

楽天証券(NISA・つみたて投資・ポイント投資)+ SMBC日興証券(IPO投資)

松井証券(少額取引・手数料無料)+ SBI証券(投資信託・米国株)

3口座の組み合わせ例としては、SBI証券(NISA・つみたて投資)+ マネックス証券(米国株)+ SMBC日興証券(IPO投資)といった構成が考えられます。ただし、3口座になると管理の手間が明確に増えるため、資産管理アプリの活用が推奨されます。

投資中級者以上は3〜5口座がおすすめ

投資経験が3年以上あり、資産額が1,000万円を超えている投資中級者以上の方には、3〜5口座がおすすめです。この段階では、複数の投資スタイルを実践し、各証券会社の強みを最大限に活用できます。

  • IPO投資を本格的に行っており、当選確率を最大化したい
  • 資産額が2,000万円を超えており、リスク分散を重視したい
  • 複数の投資スタイル(長期投資・短期取引・IPO・米国株など)を実践している
  • 各証券会社の最も優れたサービスだけを利用したい

4口座以上になると管理の負担が非常に大きくなります。資産管理アプリの活用は必須で、場合によっては税理士への相談も検討すべきです。

重要なのは、口座数を増やすことが目的ではなく、自分の投資スタイルと管理能力に合った口座数を選ぶことです。無理に口座を増やして管理が煩雑になるよりも、2〜3口座を効率的に使い分ける方が、結果的に良いパフォーマンスにつながることが多いでしょう。

目的別|複数口座におすすめの証券会社5社

複数の証券口座を持つ場合、目的に応じて証券会社を選ぶことが重要です。ここでは、目的別におすすめの証券会社を紹介します。

メイン口座におすすめ|SBI証券・楽天証券

SBI証券の画像
項目 内容
口座数 約15,000,000口座 ※2025年11月25日時点(SBIネオモバイル証券など含む)
取引手数料 【スタンダードプラン(1注文ごと)】 取引金額に関係なく0円【アクティブプラン(1日定額制)】 1日100万円以下の取引:0円※現物取引・信用取引・単元未満株(S株)もすべて対象です。
NISA対応
つみたて投資枠取扱銘柄数 〇(259銘柄)※2025年3月3日時点
成長投資枠対象商品 国内株 / 外国株 / 投資信託(約1,329銘柄 ※2025年3月3日時点)
投資信託 約2,550本 ※2025年3月3日時点
外国株 8カ国/米国株式(5,000銘柄)
取引ツール(PC) HYPER SBI 2 / HYPER SBI / SBI CFDトレーダー
スマホアプリ SBI証券 株アプリ / 米国株アプリ / かんたん積立 / HYPER FX / HYPER 先物 / HYPER CFD
提携銀行口座 SBI新生銀行 / 住信SBIネット銀行
ポイント投資・付与 Pontaポイント / dポイント / Vポイント(クレカ積立)
口座開設スピード 最短 翌営業日

メイン口座として最もおすすめなのは、SBI証券と楽天証券です。両社とも5大ネット証券の中でも特に総合力が高く、初心者から上級者まで幅広く対応できます。

SBI証券の特徴

口座数約1,500万口座を誇る国内最大手のネット証券

投資信託の取扱本数は約2,600本と業界トップクラス

国内株式・信用取引の手数料は原則無料

米国株の取扱銘柄数も約5,000銘柄と充実

ポイントサービスも充実しており、Vポイント、Pontaポイント、dポイント、JALポイント、PayPayポイントの5種類から選択できます。クレカ積立の還元率も最大5%と高く、長期的な資産形成に有利です。IPO投資でも2024年に78銘柄を取り扱い、主幹事実績も12社と業界トップクラスです。

楽天証券の特徴

口座数約1,200万口座を持つ大手ネット証券

楽天経済圏との連携が強み

楽天ポイントで投資信託や株式を購入できる「ポイント投資」が人気

取引ツール「MARKET SPEED Ⅱ」は高機能で使いやすい

日経テレコン(楽天証券版)で日本経済新聞の記事を無料で読めるのも大きなメリットです。

メイン口座として選ぶ際は、既に使っているポイントサービス(Vポイントか楽天ポイントか)や、取引ツールの使いやすさ、情報提供サービスの充実度などを比較して決めるとよいでしょう。

IPO投資用のサブ口座|SMBC日興証券・野村證券

野村証券のLP画像
項目 内容
口座数約550万口座
取引手数料現物取引:152円~78,571円
信用取引:1注文あたり524円
投資信託約900本
ミニ株(単元未満株)対応(まめ株)
※詳細不明
NISA対応対応(つみたて投資枠・成長投資枠)
外国株4カ国
米国株:約850銘柄
IPO取扱実績年間46銘柄(2024年実績)
IPO主幹事件数年間16社(2024年実績)
ポイントサービス野村ポイント
口座開設スピード最短5営業日
取引ツール(PC)Webアプリ
スマホアプリWebアプリ

IPO投資を本格的に行うなら、主幹事実績の多い証券会社で口座を開設することが重要です。主幹事証券会社は割当株数が多く、当選確率が高くなります。

SMBC日興証券の特徴

2024年のIPO取扱実績が52銘柄、主幹事実績が22社と業界トップクラス

大手総合証券ならではの主幹事案件の多さが最大の強み

ダイレクトコースを選択すれば、オンラインでの取引手数料が比較的安い

野村證券の特徴

国内最大手の総合証券会社

2024年のIPO取扱実績は46銘柄、主幹事実績は16社

大型IPOの主幹事を務めることが多く、注目度の高い銘柄に申し込める機会が多い

米国株投資用のサブ口座|マネックス証券・moomoo証券

マネックス証券のLP画像
項目 内容
口座数 約2,700,000口座 ※2025年2月時点
取引手数料 【取引毎手数料コース】
  • 5万円以下:55円(税込)

  • 5万超~10万円以下:99円

  • 10万超~20万円以下:115円

  • 20万超~50万円以下:275円

  • 50万超~100万円以下:535円

  • 100万超~150万円以下:640円

  • 150万超~3,000万円以下:1,013円

  • 3,000万円超:1,070円

NISA対応 〇(日本株・米国株・中国株・投資信託の売買手数料が無料)
つみたて投資枠取扱銘柄数 〇(銘柄数は公式サイトで確認)
成長投資枠対象商品 国内株 / 米国株 / 中国株 / 投資信託(約1,750本以上)
投資信託 約1,800本(購入時手数料すべて無料)
外国株 2カ国/米国株:約5,000銘柄以上(2025年1月27日時点)
取引ツール(PC) マネックストレーダー / 銘柄スカウター
スマホアプリ マネックス証券アプリ / 米国株アプリ / 投信アプリ
提携銀行口座 マネックス証券専用銀行口座(詳細は公式サイトで確認)
ポイント投資・付与 マネックスポイント / dポイント(投資信託の積立に利用可能)
口座開設スピード オンライン申込で最短翌営業日

米国株投資を本格的に行うなら、取扱銘柄数が多く、手数料が安い証券会社を選ぶことが重要です。

マネックス証券の特徴

米国株の取扱銘柄数が約5,000銘柄と業界トップクラス

米国株の情報提供も充実しており、詳細なレポートや分析ツールが利用できる

米国株の定期買付サービスがあり、毎月自動で米国株を購入できる

moomoo証券の特徴

米国株と中国株に特化したネット証券

米国株の取扱銘柄数は約7,000銘柄以上と非常に豊富

高機能な取引アプリ「moomooアプリ」でプロレベルの情報を無料で利用できる

moomoo証券は投資信託の取扱はなく、つみたてNISAには対応していません(成長投資枠のみ対応)。米国株投資に特化したい方におすすめです。

手数料重視のサブ口座|松井証券・DMM株

松井証券のLP画像
項目 内容
口座数 約1,670,000口座 ※2025年3月時点
取引手数料 【ボックスレート(1日定額制)】 1日の約定代金合計50万円まで:0円 50万円超:1,000円(税込1,100円)~※25歳以下なら約定代金に関わらず手数料無料
NISA対応 〇(日本株、米国株、投資信託すべて売買手数料無料)
つみたて投資枠取扱銘柄数 〇(銘柄数は公式サイトで確認)
成長投資枠対象商品 国内株 / 米国株 / 投資信託(約1,800本以上)
投資信託 約1,900本以上(購入時手数料すべて無料)
外国株 米国株:約4,900銘柄(2025年4月23日時点)
取引ツール(PC) ネットストック・ハイスピード(無料)
スマホアプリ 日本株アプリ / 投信アプリ / 米国株アプリ(すべて無料)
提携銀行口座 MATSUI Bank(松井証券専用銀行)
ポイント投資・付与 松井証券ポイント(投資信託の積立に利用可能)
口座開設スピード 最短即日(スマートフォンによるオンライン申込)

取引手数料を抑えたい方には、手数料が安い証券会社をサブ口座として持つことをおすすめします。

松井証券の特徴

25歳以下の方は国内株式の現物取引・信用取引が完全無料

26歳以上の方でも、1日の約定代金が50万円までは手数料無料

サポート体制が充実しており、電話サポートの対応が丁寧で評価が高い

DMM株の特徴

25歳以下の方は国内株式の現物取引手数料が実質無料(キャッシュバック)

26歳以上の方でも、現物取引手数料は55円〜880円と業界最安水準

信用取引の手数料は0円と非常に安い

DMM株は投資信託の取扱はなく、つみたてNISAには対応していません(成長投資枠のみ対応)。個別株の短期取引に特化したい方におすすめのサブ口座と言えます。

複数口座を効率的に管理する4つの方法

複数の証券口座を持つと管理が煩雑になりますが、適切な方法を使えば効率的に管理できます。ここでは具体的な管理方法を紹介します。

資産管理アプリを活用する

複数の証券口座を一元管理するには、資産管理アプリの活用が最も効果的です。

代表的なアプリとして、マネーフォワードME、Moneytree、Zaimなどがあります。

資産管理アプリでできること

複数の証券口座を連携させて、全体の資産状況を一目で確認

総資産額、保有銘柄、損益状況などをスマホやPCで簡単にチェック

銀行口座やクレジットカードとも連携できるため、資産全体の管理が可能

マネーフォワードMEは、無料プランでも4つまでの金融機関を連携でき、有料プラン(月額500円程度)では無制限に連携できます。資産推移のグラフ表示や、家計簿機能も充実しており、総合的な資産管理に最適です。

Moneytreeは、無料で50個までの金融機関を連携でき、広告表示もないシンプルなインターフェースが特徴です。資産管理に特化したい方におすすめです。

資産管理アプリは各証券会社のログイン情報を預けることになるため、セキュリティ面での不安がある方は、手動で資産状況を記録する方法も検討しましょう。

メイン口座とサブ口座を明確に分ける

複数口座を持つ場合、メイン口座とサブ口座を明確に分けることが管理のポイントです。メイン口座では長期投資や積立投資を行い、サブ口座では特定の目的(IPO投資、米国株投資、短期取引など)に特化させます。

1.メイン口座(SBI証券):NISA、つみたて投資、投資信託、長期保有の個別株
2.サブ口座1(マネックス証券):米国株投資
3.サブ口座2(SMBC日興証券):IPO投資専用

このように役割を明確にすることで、どの口座で何を取引するかが明確になり、管理がしやすくなります。また、取引履歴を確認する際も、目的別に整理されているため、振り返りが容易になります。

重要なのは、サブ口座で頻繁に取引しないことです。サブ口座はあくまで特定の目的のために使い、日常的な取引はメイン口座に集約することで、管理の負担を減らせます。

定期的に資産状況を確認する

複数の証券口座を持つ場合、定期的に全体の資産状況を確認することが重要です。月に1回、または四半期に1回など、定期的なタイミングを決めて、全口座の資産状況をチェックしましょう。

  • 各口座の資産残高と総資産額
  • 保有銘柄の評価額と損益状況
  • 配当金・分配金の受取状況
  • 未読の重要なお知らせやメール
  • 口座の利用状況(使っていない休眠口座がないか)

資産状況を定期的に確認することで、ポートフォリオのバランスが崩れていないか、リバランスが必要ないかを判断できます。また、休眠口座や不要な口座を見つけることもできます。

確認作業を効率化するために、Excelやスプレッドシートで資産管理表を作成するのもおすすめです。各証券会社の資産額を記録し、グラフで推移を可視化することで、資産形成の進捗を実感できます。

使わない口座は解約を検討する

複数の証券口座を開設したものの、実際には使っていない口座がある場合は、解約を検討しましょう。使わない口座を放置すると、管理の手間だけが増え、セキュリティリスクも高まります。

  • 過去1年間、一度も取引していない
  • 保有銘柄がなく、残高もほぼゼロ
  • 開設した目的が達成された、または目的が変わった
  • 他の証券会社で同じ機能を利用できる

IPO投資のために口座を維持している場合は、取引がなくても解約しない方がよいでしょう。IPOは抽選に申し込むだけで取引実績がなくても当選する可能性があるため、口座を維持する価値があります。

解約手続きは、各証券会社のWebサイトまたはカスタマーサポートから行えます。保有銘柄がある場合は、事前に売却するか、他の証券会社に移管する必要があります。解約前に、ポイントや未受取の配当金がないかも確認しましょう。

複数口座での確定申告と損益通算|具体的な手続き

複数の証券口座を持つ場合、確定申告と損益通算について正しく理解しておくことが重要です。適切に手続きを行えば、払いすぎた税金を取り戻すことができます。

特定口座(源泉徴収あり)なら確定申告不要

特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合、証券会社が自動的に税金を計算して源泉徴収してくれるため、原則として確定申告は不要です。これは1つの証券会社だけで取引している場合も、複数の証券会社で取引している場合も同じです。

特定口座(源泉徴収あり)では、株式や投資信託の売却益に対して20.315%(所得税15.315%+住民税5%)の税金が自動的に徴収されます。配当金や分配金についても同様に源泉徴収されます。そのため、年末調整を受けるサラリーマンの方などは、確定申告をする必要がありません。

複数の証券会社で取引を行い、一方で利益、もう一方で損失が出ている場合は、確定申告をすることで損益通算ができ、税金の還付を受けられる可能性があります。確定申告は義務ではありませんが、税金を取り戻すためには自主的に申告する必要があります。

複数口座で損益通算する場合は確定申告が必要

複数の証券口座で損失と利益が分かれている場合、確定申告で損益通算を行うことで、払いすぎた税金の還付を受けられます。

損益通算とは、複数の口座の損失と利益を合算して、実際の利益に対してのみ税金を支払う仕組みです。

損益通算の例

A証券(特定口座・源泉徴収あり):売却益50万円、源泉徴収税額約10万円

B証券(特定口座・源泉徴収あり):売却損失30万円、源泉徴収税額0円

確定申告なし:A証券の50万円に対して約10万円の税金が徴収されたまま

確定申告あり:実際の利益20万円に対して約4万円の税金、約6万円が還付

確定申告には、各証券会社から発行される「特定口座年間取引報告書」が必要です。この報告書には、年間の売却益や配当金、源泉徴収税額などが記載されています。複数の証券会社の報告書を集めて、確定申告書に記入します。

確定申告の期間は、毎年2月16日から3月15日までです。e-Taxを利用すれば、自宅から電子申告ができます。不安な方は、税務署の相談窓口や税理士に相談することをおすすめします。

損益通算の具体的な計算例

損益通算の計算方法を、具体例を使って詳しく解説します。

ケース1:2つの証券会社で取引している場合

  • SBI証券:売却益80万円、配当金10万円、合計利益90万円、源泉徴収税額約18万円
  • 楽天証券:売却損失40万円、配当金5万円、合計損失35万円、源泉徴収税額約1万円(配当金のみ)

損益通算後の利益:90万円 – 35万円 = 55万円

正しい税額:55万円 × 20.315% = 約11万円

既に徴収された税額:18万円 + 1万円 = 19万円

還付される税額:19万円 – 11万円 = 約8万円

ケース2:3つの証券会社で取引している場合

  • SBI証券:売却益100万円、源泉徴収税額約20万円
  • マネックス証券:売却損失60万円、源泉徴収税額0円
  • SMBC日興証券:売却益20万円、源泉徴収税額約4万円

損益通算後の利益:100万円 – 60万円 + 20万円 = 60万円

正しい税額:60万円 × 20.315% = 約12万円

既に徴収された税額:20万円 + 4万円 = 24万円

還付される税額:24万円 – 12万円 = 約12万円

このように、複数の証券会社で損失と利益が分かれている場合、確定申告で損益通算を行うことで、大きな税金還付を受けられる可能性があります。手間はかかりますが、節税効果は大きいため、該当する方は必ず確定申告を行いましょう。

口座を増やすタイミングと判断基準|失敗しないポイント

証券口座を増やすタイミングは、投資経験や投資スタイルの変化に応じて判断することが重要です。闇雲に口座を増やすのではなく、明確な目的を持って開設しましょう。

最初は1口座で投資に慣れる

投資を始めたばかりの方は、まず1口座で投資に慣れることが最優先です。複数の証券会社を比較検討するよりも、1つの証券会社でしっかりと投資の基本を学ぶことが大切です。

  • つみたてNISAで投資信託を積立投資する
  • 証券会社のアプリやWebサイトの使い方を覚える
  • 投資信託の基準価額の変動を観察する
  • 配当金や分配金を受け取る
  • 年間取引報告書を確認する

これらの基本的な経験を積むことで、投資の仕組みや証券会社のサービス内容を理解できます。また、1口座で運用している間に、他の証券会社の情報も収集し、2口座目を開設する際の判断材料にしましょう。

最初の1口座としては、SBI証券か楽天証券がおすすめです。両社とも総合力が高く、初心者向けの情報やサポートも充実しています。

投資スタイルが固まったら2つ目を検討

投資を始めて半年〜1年程度経過し、投資スタイルが固まってきたら、2口座目の開設を検討するタイミングです。

2口座目を開設すべきサイン

つみたてNISAに加えて、個別株投資を始めたい

米国株投資に興味が出てきた

IPO投資に挑戦したい

現在の証券会社では取扱がない商品に投資したい

他社の分析ツールや情報サービスを使ってみたい

2口座目を開設する際は、メイン口座との役割分担を明確にすることが重要です。例えば、メイン口座ではNISAと長期投資を行い、2口座目では米国株投資やIPO投資に特化するといった使い分けです。

また、2口座目を開設する前に、資産管理アプリの導入も検討しましょう。複数口座の管理が始まるため、早い段階から一元管理の仕組みを整えておくことが大切です。

3口座目以降は明確な目的を持つ

3口座目以降を開設する場合は、明確な目的がない限り推奨されません。管理の負担が大きくなるため、「何となく」や「キャンペーンがあるから」といった理由で開設するのは避けましょう。

  • IPO投資の当選確率をさらに上げるため、主幹事実績の多い証券会社を追加する
  • 特定の投資スタイル(例:短期取引専用)のために手数料が安い証券会社を追加する
  • 資産額が大きくなり、リスク分散のために証券会社を増やす
  • 現在の証券会社では取扱がない特定の商品(例:中国株)に投資したい

重要なのは、口座数を増やすことが目的ではなく、自分の投資目標を達成するための手段として口座を増やすことです。無理に口座を増やして管理が煩雑になるよりも、2〜3口座を効率的に使い分ける方が、結果的に良い投資成果につながります。

よくある質問(Q&A)

証券口座の複数開設に関して、よくある質問とその回答をまとめました。

同じ証券会社で複数口座を持てる?

いいえ、同じ証券会社で複数の証券口座を持つことはできません。1つの証券会社につき、1人1口座までというルールがあります。これは証券会社の口座管理システムの仕組み上、同一人物が複数の口座を持つことを想定していないためです。

ただし、特定口座や一般口座といった口座の「種類」は、同じ証券会社内で複数持つことができる場合があります。また、NISA口座と特定口座は別々の口座として扱われるため、同じ証券会社でNISA口座と特定口座の両方を持つことは可能です。

株主優待は複数口座でもらえる?

株主優待は、同一銘柄を複数の証券会社で保有していても、合算した株数に対して1回だけ受け取れます。株主優待の権利は、株主名簿に記載された株主に対して与えられるため、どの証券会社で保有していても同じ人物であれば1人として扱われます。

例えば、A証券で100株、B証券で100株を保有している場合、合計200株の株主として株主優待を受け取れます。ただし、100株ごとに優待がもらえる銘柄の場合でも、2回もらえるわけではなく、200株分の優待が1回だけ送られてきます。

家族で別々に口座を開設し、それぞれが株主優待の最低単元数以上を保有すれば、家族で複数回株主優待を受け取ることは可能です。

休眠口座に維持費はかかる?

ほとんどのネット証券では、休眠口座でも口座維持手数料は無料です。SBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券などの主要ネット証券は、残高や取引の有無に関わらず、口座維持手数料は一切かかりません。

一部の総合証券会社では、残高が一定額以下で取引がない場合、口座管理料が発生することがあります。また、外国株式を保有している場合、保管手数料が発生する証券会社もあります。

休眠口座でも定期的にログインして状況を確認することをおすすめします。重要な通知を見逃したり、不正アクセスに気づかなかったりするリスクがあるためです。使う予定がない口座は、解約を検討しましょう。

証券会社が倒産したらどうなる?

証券会社が倒産しても、顧客の資産は保護されます。金融商品取引法により、証券会社は顧客の資産を自社の資産と分別して管理することが義務付けられているため、証券会社が倒産しても顧客の株式や投資信託は保全されます。

また、万が一分別管理が適切に行われていなかった場合でも、日本投資者保護基金により、1社あたり1,000万円までは補償されます。これは預金保険制度(ペイオフ)と同様の仕組みです。

ただし、1,000万円を超える資産を保有している場合は、複数の証券会社に分散することでリスクを軽減できます。また、証券会社の経営状況や信頼性も、口座開設時のチェックポイントとして重要です。

相続時に複数口座はどう扱う?

相続時には、被相続人(亡くなった方)が保有していた全ての証券口座について、相続手続きが必要になります。複数の証券会社に口座がある場合、それぞれの証券会社で個別に手続きを行う必要があります。

1.被相続人が口座を持っていた証券会社を特定する
2.各証券会社に相続が発生したことを連絡する
3.必要書類(戸籍謄本、遺産分割協議書など)を準備する
4.各証券会社に書類を提出し、相続手続きを行う
5.相続人の口座に資産を移管する、または売却して現金化する

複数の証券口座がある場合、手続きが煩雑になるため、生前に家族に口座の存在を伝えておくことが重要です。また、エンディングノートなどに証券会社名や口座番号を記録しておくと、相続手続きがスムーズになります。

海外在住でも複数口座を持てる?

海外在住の場合、証券口座の開設や維持には制限があります。多くの証券会社では、日本国内に住所がある方のみが口座を開設できるルールになっています。海外に転居する場合、証券口座を解約するか、一部の証券会社では「非居住者口座」に変更する必要があります。

非居住者口座では、新規の買付ができなくなる、NISA口座が利用できなくなるなどの制限があります。また、配当金や売却益に対する税金の取扱いも変わるため、海外転居が決まったら早めに証券会社に相談しましょう。

一時的な海外赴任の場合、帰国後に再び口座を利用できるよう、証券会社と相談して適切な手続きを行うことが大切です。証券会社によって対応が異なるため、複数口座を持っている場合は、それぞれの証券会社に確認が必要です。

まとめ

証券口座は法的には何個でも開設できますが、実用的には3〜5口座が管理しやすい上限です。複数の証券口座を持つことで、各証券会社の強みを活かした投資ができ、IPOの当選確率を上げたり、システムトラブルに備えたりできます。一方で、管理が煩雑になり、確定申告が必要になる場合があるというデメリットもあります。

最適な口座数は、投資経験や投資スタイルによって異なります。投資初心者は1〜2口座から始め、投資経験者は2〜3口座、投資中級者以上は3〜5口座が目安です。重要なのは、口座数を増やすことが目的ではなく、自分の投資目標を達成するための手段として口座を増やすことです。

複数口座を効率的に管理するには、資産管理アプリの活用、メイン口座とサブ口座の明確な使い分け、定期的な資産状況の確認、使わない口座の解約検討が重要です。また、複数口座で損失と利益が分かれている場合は、確定申告で損益通算を行うことで、税金の還付を受けられます。

口座を増やすタイミングは、投資スタイルが固まり、明確な目的ができたときです。最初は1口座で投資に慣れ、必要に応じて2口座目、3口座目を開設していくのが賢明です。自分に合った口座数と使い分け方を見つけて、効率的な資産運用を実現しましょう。

なお、投資には元本割れのリスクがあります。証券口座の開設や投資判断は、ご自身の投資目的やリスク許容度に合わせて、ご自身の責任で慎重にご検討ください。

国税庁「株式等の譲渡所得等の課税」

SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

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