投資信託の利回りランキング|選び方と注意点を解説

「高配当株で安定した配当収入を得たい」と考えている方は多いでしょう。
しかし、ネットや投資本では「高配当株はおすすめしない」という意見も目にします。
実は、高配当株には減配リスクや株価下落リスクなど、見落としがちな注意点があるんです。
この記事では、高配当株がおすすめしないと言われる理由と、危険な銘柄の見分け方を詳しく解説します。
安全な高配当株の選び方や、実際の減配事例から学ぶリスク対策もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
高配当株とは?配当利回りの基本を知る
高配当株とは、配当利回りが市場平均より高い株式のことを指します。配当利回りとは、株価に対する年間配当金の割合を示す指標です。
まずは高配当株の基本的な知識を理解しましょう。配当利回りの計算方法や、どのくらいの利回りが「高配当」と言えるのか、そして配当性向の意味を知ることが大切です。
配当利回りは以下の計算式で求められます。
配当利回り(%)= 年間配当金 ÷ 株価 × 100
例えば、株価が2,000円で年間配当金が80円の場合、配当利回りは4.0%となります。株価が下がると配当利回りは上がり、株価が上がると配当利回りは下がる関係にあります。
この計算式を理解しておくと、配当利回りが高い理由が「配当金が多いから」なのか「株価が下がったから」なのかを見極められます。
東証プライム市場の予想平均配当利回りは2.15%程度です(出典:日本取引所グループ市場統計)。この市場平均を基準に考えると、一般的に配当利回り3%以上が高配当株の目安とされています。
配当利回り4%以上になると「高配当」として注目されることが多く、5%を超えると「かなり高い配当利回り」と評価されます。ただし、利回りが高すぎる銘柄には注意が必要です。
市場平均の2倍以上となる配当利回り5%超の銘柄は、株価が下落している可能性や、業績悪化による減配リスクがある可能性を疑う必要があります。
配当性向とは、企業が稼いだ利益のうち、どれくらいの割合を配当金として株主に還元しているかを示す指標です。
配当性向(%)= 配当金総額 ÷ 当期純利益 × 100
配当性向が30〜50%程度であれば、企業は利益の一部を配当に回し、残りを事業投資や内部留保に充てている健全な状態と言えます。配当性向が100%を超えている場合は、利益以上の配当を出している状態で、持続可能性に疑問が生じます。
配当利回りだけでなく、配当性向も確認することで、その配当が持続可能かどうかを判断できます。
高配当株がおすすめしないと言われる3つの理由
高配当株には魅力的な側面がある一方で、「おすすめしない」と言われる明確な理由があります。ここでは、高配当株投資の代表的なリスクを3つ解説します。
これらのリスクを理解せずに高配当株に投資すると、思わぬ損失を被る可能性があります。
高配当株の最大のリスクは、減配(配当金の減額)や無配(配当金の支払い停止)による株価急落です。
企業が業績悪化により配当を減らすと、その銘柄を配当目的で保有していた投資家が一斉に売却するため、株価が大きく下落します。配当収入を期待していたにもかかわらず、株価下落により元本が大きく減少してしまうケースがあります。
JTは2021年12月期に上場以来初めての減配を発表し、年間配当を1株あたり154円から130円に24円減額しました。発表当日、株価は前日比217円(10.1%)安の1934円まで急落しました(出典:JT公式IR資料、2021年12月)。
高配当だからと安心して保有していても、減配発表により配当収入も減り、株価も下落するという二重の損失を受けるリスクがあるのです。
高配当株は一般的に、成熟した企業が多く、株価の大きな成長は期待しにくい傾向があります。
企業が利益の多くを配当として株主に還元するということは、事業拡大や新規投資に回す資金が少ないことを意味します。成長企業は配当を抑えて、利益を事業投資に充てることで、将来的な成長と株価上昇を目指します。
配当収入は得られても、株価が横ばいや下落傾向にある場合、トータルリターン(配当+値上がり益)では成長株に劣る可能性があります。長期的な資産形成を考えると、配当だけでなく株価の成長性も重要な要素です。
特に若い世代で長期投資を考えている場合は、高配当株よりも成長性のある株式や投資信託の方が、複利効果で資産を増やせる可能性が高いと言えます。
「配当金生活」に憧れる方も多いですが、実際には非常に大きな資産が必要です。
例えば、配当利回り4%の高配当株で月20万円(年間240万円)の配当収入を得るには、6,000万円の投資元本が必要です。さらに、配当金には20.315%の税金がかかるため、手取りで月20万円を得るには約7,500万円の資産が必要になります。
多くの個人投資家にとって、数千万円規模の資産を高配当株だけで運用するのは現実的ではありません。また、配当金だけに頼ると、減配リスクや銘柄の集中リスクも高まります。
配当金を「副収入」として捉え、他の収入源や資産と組み合わせて考えることが現実的です。配当金だけで生活しようとすると、リスクの高い高配当銘柄に偏ってしまう危険性があります。
買ってはいけない危険な高配当株の特徴
高配当株の中には、一見魅力的に見えても実は危険な銘柄が存在します。ここでは、避けるべき高配当株の特徴を具体的に解説します。
これらの特徴に当てはまる銘柄は、減配や株価下落のリスクが高いため、慎重に判断する必要があります。
配当利回りが5%を超える銘柄は、一見魅力的に見えますが、実は危険信号の可能性があります。
配当利回りが異常に高い理由は、主に2つあります。1つは株価が大きく下落している場合、もう1つは一時的な特別配当や資産売却による配当増加の場合です。
株価が下落して配当利回りが高くなっている場合、市場がその企業の将来性を低く評価している証拠です。業績悪化や減配の可能性を織り込んで株価が下がっている可能性があります。
危険な高配当株のチェックリスト:
配当利回り5%超の銘柄に投資する場合は、なぜ利回りが高いのか、その理由を必ず確認しましょう。
配当性向が100%を超えている銘柄は、利益以上の配当を出している状態で、持続可能性に大きな疑問があります。
配当性向100%超は、企業が利益のすべてを配当に回し、さらに過去の利益剰余金や資産売却で得た資金から配当を支払っている状態です。この状態が続くと、いずれ配当を維持できなくなります。
特に配当性向が150%や200%を超えている場合は、近い将来の減配リスクが非常に高いと考えられます。一時的な業績悪化で配当性向が上がることはありますが、その状態が2〜3年続いている場合は要注意です。
企業のIR情報や決算短信で配当性向を確認し、100%を超えている銘柄への投資は慎重に判断しましょう。
業績が年度ごとに大きく変動する銘柄は、配当も不安定になりやすく、高配当株投資には向きません。
安定した配当を期待するなら、売上高や営業利益が毎年安定して成長している企業を選ぶべきです。業績が赤字と黒字を繰り返している企業や、利益が年度ごとに大きく増減する企業は、配当維持が難しくなります。
特に景気敏感株(自動車、鉄鋼、海運など)は、景気変動により業績が大きく変動しやすく、配当も増減しやすい傾向があります。一時的に高配当になっても、景気後退期には減配のリスクがあります。
業績安定性のチェックポイント:
企業の決算資料や有価証券報告書で、過去数年間の業績推移を確認し、安定性を見極めることが重要です。
安全な高配当株を選ぶ5つのポイント
危険な高配当株の特徴を理解したら、次は安全な高配当株を選ぶための具体的なポイントを押さえましょう。
これらの基準を満たす銘柄を選ぶことで、減配リスクを抑えながら、安定した配当収入を得られる可能性が高まります。
安全な高配当株を選ぶなら、配当利回り3〜4%程度の銘柄が適切です。
この水準であれば、市場平均(約2%)を上回る配当を得られる一方で、株価下落や減配リスクも比較的低い傾向があります。配当利回りが高すぎると、前述のようなリスクが高まります。
配当利回り3〜4%の銘柄は、企業が適度な配当を維持しながら、事業投資にも資金を回せるバランスの良い水準です。長期的に安定した配当を期待するなら、この範囲の銘柄を中心に選びましょう。
配当性向が30〜50%程度の企業は、利益の一部を配当に回し、残りを事業投資や内部留保に充てている健全な状態です。
この水準であれば、企業は配当を維持しながら、将来の成長に向けた投資も行えます。業績が多少悪化しても、配当を維持する余力があると考えられます。
配当性向が低すぎる(20%以下)企業は、株主還元に消極的な可能性があります。逆に高すぎる(80%以上)企業は、減配リスクが高まります。配当性向30〜50%が、安定配当を期待できる適正水準です。
過去10年以上連続で増配している銘柄は、配当を重視する経営方針を持ち、株主還元に積極的な企業です。
連続増配銘柄は、業績が安定しており、長期的に配当を増やし続ける力がある証拠です。一時的な業績悪化があっても、配当を維持または増配する姿勢を持つ企業が多く、安心して保有できます。
日本株では、花王(35期連続増配)、三菱HCキャピタル(26期連続増配)などが連続増配銘柄として知られています。連続増配年数が長い銘柄は、減配リスクが低いと評価できます。
過去5〜10年間、売上高と営業利益が安定して推移している企業を選びましょう。
業績が安定している企業は、配当も安定して支払える可能性が高くなります。特に営業利益が毎年黒字を維持し、大きな変動がない企業は、減配リスクが低いと言えます。
生活必需品(食品、日用品)、通信、公益(電力、ガス)などのディフェンシブセクターは、景気変動の影響を受けにくく、業績が安定しやすい傾向があります。
高配当株投資では、特定の業界に偏らず、複数の業界から銘柄を選んで分散投資することが重要です。
1つの業界に集中すると、その業界全体が不況になった際に、保有銘柄すべてが減配するリスクがあります。例えば、金融株だけに集中していると、金融危機時に一斉に減配される可能性があります。
通信、生活必需品、公益、ヘルスケア、金融など、異なる業界から5〜10銘柄程度を選んで分散投資することで、リスクを軽減できます。セクター分散は、高配当株投資の基本戦略です。
実際の減配事例から学ぶリスク対策
高配当株投資のリスクを理解するには、実際の減配事例を知ることが最も効果的です。ここでは、代表的な減配事例を詳しく解説します。
これらの事例から、減配の予兆や対処法を学び、自分のポートフォリオに活かしましょう。
JTは2021年12月期に、1994年の上場以来初めてとなる減配を決定しました。年間配当は1株当たり130円と前期比24円減らし、配当性向75%を目安とする新方針を発表しました(出典:JT公式IR資料、2021年12月)。
JTは長年にわたり高配当銘柄として人気があり、「減益でも増配」を続けてきました。しかし、紙巻きたばこ離れによる減益が続き、ついに減配に踏み切りました。
減配発表当日、JTの株価は前日比217円(10.1%)安の1934円まで急落し、約4カ月ぶりの安値を付けました。配当目的で保有していた投資家が一斉に売却したためです。
JTの事例から学べるのは、「過去の増配実績があっても、業績悪化が続けば減配は避けられない」ということです。業績トレンドを定期的に確認し、減益が続いている銘柄は要注意です。
住友商事は2020年3月期に、リーマンショック以来となる大幅減配を実施しました。前期の年間配当80円から70円に減額しました。
総合商社は資源価格の変動により業績が大きく変動しやすく、資源価格が下落した2020年は減益となりました。ただし、住友商事はその後業績が回復し、2021年3月期から連続増配を再開し、2024年3月期には年間配当125円まで回復しました(出典:住友商事公式IR資料)。
住友商事の事例から学べるのは、「一時的な減配でも株価は大きく下落するが、業績回復により配当も株価も戻る可能性がある」ということです。減配後の対応が重要になります。
保有銘柄が減配を発表した場合、以下の手順で対処を検討しましょう。
減配発表直後は株価が急落しやすいため、冷静に状況を分析し、感情的な判断を避けることが大切です。
高配当株に向いている人・向いていない人
高配当株投資は、すべての投資家に適しているわけではありません。自分の投資目的やライフステージに合っているか確認しましょう。
ここでは、高配当株投資に向いている人と向いていない人の特徴を解説します。
以下の特徴に当てはまる方は、高配当株投資が適している可能性があります。
特に、老後の生活資金を準備している50代以上の方や、配当を再投資して複利効果を狙える方に適した投資スタイルです。
以下の特徴に当てはまる方は、高配当株投資より他の投資方法が適している可能性があります。
特に若い世代で長期的な資産形成を目指す方は、高配当株よりもインデックス投資信託などで資産を増やす方が効率的です。
配当金生活に必要な資産額を計算してみる
「配当金生活」に憧れる方も多いですが、実際にどのくらいの資産が必要なのでしょうか。具体的な数字で確認してみましょう。
現実的な資産額を知ることで、配当金生活の実現可能性を判断できます。
月10万円(年間120万円)の配当金を得るには、どのくらいの資産が必要でしょうか。配当利回り別に計算してみます。
配当利回り4%の高配当株で月10万円の配当を得るには、3,000万円の投資元本が必要です。ただし、これは税引き前の金額です。実際には配当税がかかるため、手取りで月10万円を得るにはさらに多くの資産が必要になります。
配当利回りを高くすれば必要資産額は減りますが、前述のように配当利回り5%超の銘柄は減配リスクが高いため、現実的には配当利回り3〜4%で計算するのが適切です。
配当金には20.315%(所得税15.315%、住民税5%)の税金がかかります(出典:国税庁)。税引き後の手取り配当金で計算する必要があります。
配当利回り4%の場合、税引き後の実質利回りは以下のようになります。
実質利回り = 4% × (1 – 0.20315) = 約3.19%
手取りで月10万円(年間120万円)の配当を得るには、税引き前で約150万円の配当が必要です。配当利回り4%の場合、必要な資産額は以下のようになります。
150万円 ÷ 0.04 = 3,750万円
つまり、配当利回り4%の高配当株で、手取り月10万円の配当金生活を実現するには、約3,750万円の資産が必要になります。NISA口座を活用すれば配当が非課税になるため、必要資産額を減らせます。
現実的には、配当金だけで生活するのではなく、年金や他の収入と組み合わせて、配当金を「副収入」として活用する方が現実的です。
高配当株以外の選択肢も検討する
高配当株投資だけにこだわらず、他の投資方法も組み合わせることで、リスク分散と効率的な資産形成が可能になります。
ここでは、高配当株以外の選択肢を3つ紹介します。
個別の高配当株を選ぶのが難しい方は、高配当株投資信託を活用する方法があります。
高配当株投資信託は、プロが複数の高配当株に分散投資してくれるため、個別銘柄の減配リスクを軽減できます。「日本株高配当」「米国株高配当」などのファンドがあり、少額から投資できます。
投資信託のメリット:
デメリットは、信託報酬(運用コスト)がかかることです。銘柄分析に時間をかけられない方や、投資初心者の方は、個別株よりも高配当株投資信託から始める方が安全です。
高配当株だけでなく、成長株も組み合わせることで、配当収入と値上がり益の両方を狙えます。
特に若い世代(20〜40代)は、高配当株よりも成長株の割合を多くした方が、長期的な資産形成に有利です。例えば、ポートフォリオの30%を高配当株、70%を成長株や全世界株式インデックスファンドにするなど、バランスを考えましょう。
年齢が上がるにつれて、徐々に高配当株の割合を増やしていく戦略も有効です。40代までは成長重視、50代以降は配当重視にシフトするなど、ライフステージに合わせて調整しましょう。
2024年からの新NISA制度では、つみたて投資枠と成長投資枠の2種類があり、非課税保有限度額は1,800万円(うち成長投資枠1,200万円)です(出典:金融庁「新しいNISA」)。
NISA口座で高配当株を保有すれば、配当金が非課税になります。通常20.315%かかる配当税がゼロになるため、手取り配当が大幅に増えます。
例えば、配当利回り4%の銘柄を1,000万円分NISA口座で保有すると、年間40万円の配当が非課税で受け取れます。課税口座なら約8万円の税金がかかるため、NISA活用で大きな差が出ます。
高配当株投資をするなら、NISA口座の活用は必須です。成長投資枠を使って、安定した高配当株を長期保有しましょう。
高配当株がおすすめしないと言われる理由は、減配・無配による株価急落リスク、株価の成長性が期待しにくいこと、配当金だけで生活するのが現実的でないことの3つです。
危険な高配当株の見分け方として、配当利回りが5%を超える銘柄、配当性向が100%を超えている銘柄、業績が不安定な銘柄は避けるべきです。これらの銘柄は減配リスクが高く、株価下落の可能性もあります。
安全な高配当株を選ぶには、配当利回り3〜4%、配当性向30〜50%、連続増配の実績、業績の安定性、複数業界からの分散投資という5つのポイントを押さえることが重要です。
JTや住友商事などの実際の減配事例から学べるのは、過去の実績があっても業績悪化が続けば減配は避けられないということです。保有銘柄の業績を定期的にチェックし、減配の予兆を見逃さないようにしましょう。
高配当株投資は、50代以上で定期的な配当収入を得たい方や、長期保有を前提に投資できる方に向いています。一方、20〜30代の資産形成期の方や、短期的な値上がり益を狙いたい方には向いていません。
配当金生活を実現するには、配当利回り4%でも手取り月10万円を得るために約3,750万円の資産が必要です。現実的には、配当金を副収入として活用し、年金や他の収入と組み合わせる方が適切です。
高配当株だけでなく、高配当株投資信託や成長株も組み合わせ、NISA口座を活用して配当を非課税で受け取ることで、より効率的な資産形成が可能になります。
【投資に関するご注意】
なお、投資には元本割れのリスクがあります。高配当株投資を始める際は、ご自身の投資目的やリスク許容度に合わせて、慎重にご検討ください。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。
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