楽天証券のNISAの始め方|メリットと注意点を解説

「米国株に投資したいけれど、どの証券会社を選べばいいのか分からない」
「海外在住になったら、日本の証券口座はどうなるの?」
こうした悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか。
実は「海外証券会社」という言葉には2つの意味があり、それぞれ選ぶべき証券会社が大きく異なります。
この記事では、米国株投資ができる国内証券会社と、海外在住者が使える海外証券会社の両方を詳しく解説します。手数料、取扱銘柄数、税金の扱いまで、証券会社選びに必要な情報をすべてまとめました。
目次
海外証券会社とは
「海外証券会社」で検索する方の多くは、実は2つの異なるニーズを持っています。1つは「日本にいながら米国株などの外国株に投資したい」という方、もう1つは「海外在住者として現地で使える証券会社を探している」という方です。
前者の場合、日本の証券会社を通じて米国株を購入するのが一般的です。SBI証券や楽天証券など、多くの国内証券会社が米国株の取り扱いを始めており、日本語でのサポートも充実しています。一方、後者の場合は、日本の証券会社の多くが非居住者の新規取引を制限しているため、Interactive BrokersやFirstradeといった海外の証券会社で口座を開設する必要があります。
日本在住の方が米国株に投資する場合、国内の証券会社を利用するのが最も手軽で安全な方法です。金融庁に登録された国内証券会社であれば、日本の法律に基づいた投資者保護を受けられます。
国内証券会社のメリット
日本語での取引画面やサポート
確定申告の簡便さ(特定口座を利用できる)
金融庁の監督下にある安心感
新NISAの成長投資枠で非課税投資が可能
SBI証券では約5,000銘柄、楽天証券では約4,500銘柄の米国株を取り扱っており、主要な米国企業やETFはほぼカバーされています。また、2024年から始まった新NISAの成長投資枠を使えば、米国株の売買益や配当金が非課税になるため、税制面でも有利です。
海外赴任や移住により日本の非居住者となる場合、多くの国内証券会社では新規の買付が制限されます。これは、日本の証券会社が海外での金融商品取引業務の許認可を取得していないためです。
日本の証券会社の多くは、海外在住者の新規買付を制限しています。海外赴任が決まった時点で、早めに証券口座の対応を検討することが重要です。
そのため、海外在住者が継続的に株式投資を行うには、Interactive Brokers(IB証券)やFirstrade証券など、国際的に口座開設が可能な海外証券会社を利用する必要があります。これらの証券会社は、居住国によらず口座を維持でき、米国市場へのアクセスが可能です。
米国株投資におすすめの証券会社5社
日本在住の方が米国株投資を始める場合、国内の主要証券会社から選ぶのが安心です。ここでは、米国株の取り扱いに定評がある5社を紹介します。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 口座数 | 約15,000,000口座 ※2025年11月25日時点(SBIネオモバイル証券など含む) |
| 取引手数料 | 【スタンダードプラン(1注文ごと)】 取引金額に関係なく0円【アクティブプラン(1日定額制)】 1日100万円以下の取引:0円※現物取引・信用取引・単元未満株(S株)もすべて対象です。 |
| NISA対応 | 〇 |
| つみたて投資枠取扱銘柄数 | 〇(259銘柄)※2025年3月3日時点 |
| 成長投資枠対象商品 | 国内株 / 外国株 / 投資信託(約1,329銘柄 ※2025年3月3日時点) |
| 投資信託 | 約2,550本 ※2025年3月3日時点 |
| 外国株 | 8カ国/米国株式(5,000銘柄) |
| 取引ツール(PC) | HYPER SBI 2 / HYPER SBI / SBI CFDトレーダー |
| スマホアプリ | SBI証券 株アプリ / 米国株アプリ / かんたん積立 / HYPER FX / HYPER 先物 / HYPER CFD |
| 提携銀行口座 | SBI新生銀行 / 住信SBIネット銀行 |
| ポイント投資・付与 | Pontaポイント / dポイント / Vポイント(クレカ積立) |
| 口座開設スピード | 最短 翌営業日 |
SBI証券は、米国株の取扱銘柄数が約5,000銘柄と国内最大級を誇ります。ネット証券最大手として、口座開設数は約1,500万口座に達しており、多くの投資家から支持されています。
SBI証券の特徴
米国株の売買手数料:約定代金の0.495%(税込)、最低手数料0ドル
為替手数料:1ドルあたり25銭(住信SBIネット銀行経由で削減可能)
8カ国の外国株を取り扱い(米国、中国、韓国など)
複数のポイントプログラムに対応(Vポイント、Pontaポイント、dポイント)
取引ツールは「HYPER SBI 2」というPC向けツールと、スマートフォン向けの「SBI証券 米国株アプリ」が用意されています。リアルタイム株価情報も無料で閲覧でき、情報収集から取引まで一貫して行えます。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 口座数 | 約12,000,000口座 ※2025年1月時点 |
| 取引手数料 | 【ゼロコース】 国内株式(現物・信用):0円 かぶミニ®(単元未満株):0円 投資信託:0円 ※ゼロコース選択時。 ※一部、スプレッドや信託財産留保額が発生する場合があります。 |
| NISA対応 | 〇(新NISA対応) |
| つみたて投資枠取扱銘柄数 | 263銘柄 ※2025年4月24日時点 |
| 成長投資枠対象商品 | 国内株式 / 外国株式 / 投資信託(約1,345銘柄) |
| 投資信託 | 約2,550本 ※2025年4月24日時点 |
| 外国株 | 6カ国/米国株式(約4,500銘柄) |
| 取引ツール(PC) | マーケットスピード / マーケットスピード II / 楽天MT4 |
| スマホアプリ | iSPEED / iSPEED for iPad / iSPEED FX / iSPEED 先物 |
| 提携銀行口座 | 楽天銀行(マネーブリッジ) |
| ポイント投資・付与 | 楽天ポイント(投資信託 / 国内株式 / 米国株式<円貨決済>) |
| 口座開設スピード | 最短 翌営業日 |
楽天証券は、楽天経済圏を活用した独自のサービスが魅力です。米国株の取扱銘柄数は約4,500銘柄で、主要な米国企業やETFはほぼカバーしています。
楽天カードでの投信積立を行うと、積立額の最大1%の楽天ポイントが還元されます。楽天サービスを日常的に利用している方には特におすすめです。
米国株の売買手数料は約定代金の0.495%(税込)で、SBI証券と同水準です。また、「MARKET SPEED Ⅱ」という高機能な取引ツールを無料で提供しており、本格的なテクニカル分析も可能です。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 口座数 | 約2,700,000口座 ※2025年2月時点 |
| 取引手数料 | 【取引毎手数料コース】
|
| NISA対応 | 〇(日本株・米国株・中国株・投資信託の売買手数料が無料) |
| つみたて投資枠取扱銘柄数 | 〇(銘柄数は公式サイトで確認) |
| 成長投資枠対象商品 | 国内株 / 米国株 / 中国株 / 投資信託(約1,750本以上) |
| 投資信託 | 約1,800本(購入時手数料すべて無料) |
| 外国株 | 2カ国/米国株:約5,000銘柄以上(2025年1月27日時点) |
| 取引ツール(PC) | マネックストレーダー / 銘柄スカウター |
| スマホアプリ | マネックス証券アプリ / 米国株アプリ / 投信アプリ |
| 提携銀行口座 | マネックス証券専用銀行口座(詳細は公式サイトで確認) |
| ポイント投資・付与 | マネックスポイント / dポイント(投資信託の積立に利用可能) |
| 口座開設スピード | オンライン申込で最短翌営業日 |
マネックス証券は、米国株投資に特化した情報提供とツールの充実度で定評があります。取扱銘柄数は約5,000銘柄で、SBI証券と同等の水準です。
マネックス証券の強み
銘柄スカウターで米国株の財務分析が可能
米国株の時間外取引に対応
マネックスポイントやdポイントが貯まる
米国株の売買手数料は約定代金の0.495%(税込)で、最低手数料は0ドル、上限は22ドル(税込)となっています。米国株投資を本格的に行いたい方には、マネックス証券の情報力は大きな魅力となるでしょう。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 口座数 | 約1,670,000口座 ※2025年3月時点 |
| 取引手数料 | 【ボックスレート(1日定額制)】 1日の約定代金合計50万円まで:0円 50万円超:1,000円(税込1,100円)~※25歳以下なら約定代金に関わらず手数料無料 |
| NISA対応 | 〇(日本株、米国株、投資信託すべて売買手数料無料) |
| つみたて投資枠取扱銘柄数 | 〇(銘柄数は公式サイトで確認) |
| 成長投資枠対象商品 | 国内株 / 米国株 / 投資信託(約1,800本以上) |
| 投資信託 | 約1,900本以上(購入時手数料すべて無料) |
| 外国株 | 米国株:約4,900銘柄(2025年4月23日時点) |
| 取引ツール(PC) | ネットストック・ハイスピード(無料) |
| スマホアプリ | 日本株アプリ / 投信アプリ / 米国株アプリ(すべて無料) |
| 提携銀行口座 | MATSUI Bank(松井証券専用銀行) |
| ポイント投資・付与 | 松井証券ポイント(投資信託の積立に利用可能) |
| 口座開設スピード | 最短即日(スマートフォンによるオンライン申込) |
松井証券は、創業100年以上の歴史を持つ老舗証券会社です。米国株の取扱銘柄数は約4,900銘柄で、主要な米国企業はほぼ網羅しています。
25歳以下の顧客に対して、国内株式と米国株式の売買手数料を無料にしています。若年層の資産形成を支援する姿勢が評価されています。
松井証券は電話サポートの質が高く、投資初心者でも安心して利用できる体制が整っています。HDI-Japan(ヘルプデスク協会)主催の問い合わせ窓口格付けで最高評価の三つ星を11年連続で獲得しています。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 口座数 | 非公開 |
| 取引手数料 | 【米国株】 ベーシックコース:約定代金 × 0.132%(税込) アドバンスコース:200株まで一律2.18米ドル(税込)【日本株】 取引手数料:無料 |
| NISA対応 | 〇(成長投資枠のみ対応) |
| つみたて投資枠取扱銘柄数 | 非対応 |
| 成長投資枠対象商品 | 米国株 / 日本株 |
| 投資信託 | 取扱あり |
| 外国株 | 3カ国/米国株:約7,000銘柄 |
| 取引ツール(PC) | moomooアプリ(Windows / Mac対応) |
| スマホアプリ | moomooアプリ(iOS / Android対応) |
| 提携銀行口座 | 非公開 |
| ポイント投資・付与 | なし |
| 口座開設スピード | 最短即日(オンライン申込) |
moomoo証券は、2022年に日本でサービスを開始した比較的新しい証券会社ですが、最新鋭の取引ツールと情報提供で急速に利用者を増やしています。米国株の取扱銘柄数は約7,000銘柄以上と、主要ネット証券の中でも充実した品揃えを誇ります。
米国株の売買手数料が原則無料という点が最大の特徴です。為替手数料も比較的低く設定されており、コストを抑えて米国株投資ができます。
投資信託の取り扱いはなく、NISA口座は成長投資枠のみの対応となっている点には注意が必要です。
moomooアプリは、リアルタイムの市場データ、高度なチャート分析ツール、機関投資家の動向分析など、プロ仕様の機能を無料で提供しています。特に、米国市場のヒートマップやセクター分析など、視覚的に分かりやすい情報表示が特徴です。
米国株投資の証券会社を選ぶ5つのポイント
米国株投資を始める際、証券会社選びは投資成果に大きく影響します。手数料の差だけでなく、取扱銘柄数、情報提供、使いやすさなど、総合的に判断することが重要です。
証券会社によって、取り扱っている米国株の銘柄数は大きく異なります。主要なネット証券では、SBI証券とマネックス証券が約5,000銘柄、楽天証券が約4,500銘柄、moomoo証券が約7,000銘柄以上を取り扱っています。
Apple、Microsoft、Amazonなどの主要企業は、どの証券会社でも取引できますが、時価総額が小さい企業や新興企業については、証券会社によって取り扱いがない場合があります。特定の銘柄に投資したい場合は、事前にその証券会社で取り扱いがあるか確認しましょう。
米国株の売買手数料は、多くの国内証券会社で約定代金の0.495%(税込)に設定されています。ただし、最低手数料や上限手数料は証券会社によって異なります。
moomoo証券やDMM株のように、米国株の売買手数料を原則無料としている証券会社もあります。頻繁に売買を行う方や、少額取引を繰り返す方は、手数料無料の証券会社を選ぶことでコストを大きく削減できます。
手数料だけで判断するのではなく、取扱銘柄数や取引ツールの使いやすさなど、総合的に評価することが大切です。
米国株を購入する際は、日本円を米ドルに両替する必要があり、この際に為替手数料(為替スプレッド)が発生します。多くの証券会社では、1ドルあたり25銭の為替手数料が標準的です。
例えば、100万円を米ドルに両替する場合、1ドル=150円とすると約6,667ドルになります。為替手数料が1ドルあたり25銭の場合、両替時に約1,667円、売却時の円転でも約1,667円、合計で約3,334円のコストがかかります。
SBI証券では、住信SBIネット銀行を経由することで為替手数料を1ドルあたり6銭程度に抑えることができます。
証券会社の取引ツールは、投資判断や取引の効率に大きく影響します。特に米国株投資では、リアルタイムの株価情報、チャート分析機能、企業情報の充実度が重要です。
楽天証券の「MARKET SPEED Ⅱ」やSBI証券の「HYPER SBI 2」は、高機能なPC向け取引ツールとして知られています。また、マネックス証券の「銘柄スカウター」は、米国株の財務分析に特化したツールで、投資判断に役立ちます。
2024年から始まった新NISA制度では、米国株も成長投資枠の対象となっています。NISA口座で米国株を購入すれば、売却益や配当金が非課税になるため、税制面で大きなメリットがあります。
moomoo証券は成長投資枠のみの対応で、つみたて投資枠には対応していません。NISA制度を最大限活用したい方は、NISA対応状況を事前に確認しましょう。
海外在住者が使える海外証券会社3選
海外赴任や移住により日本の非居住者となる場合、多くの日本の証券会社では新規の買付が制限されます。そのため、海外在住者が継続的に投資を行うには、国際的に口座開設が可能な海外証券会社を利用する必要があります。
Interactive Brokers(IB証券)は、1978年に設立されたアメリカの大手オンライン証券会社で、世界150カ国以上で利用されています。取り扱い市場は42カ国、取扱商品は株式、ETF、オプション、先物、債券、外国為替など多岐にわたります。
IB証券の特徴
居住国によらず口座を維持できる
多言語対応のプラットフォーム(日本語サポートあり)
IBKRライトプランは米国株の売買手数料が無料
SIPC(証券投資者保護公社)により最大50万ドルの投資者保護
取引手数料は、IBKRライトプランとIBKRプロプランの2種類があります。ライトプランは米国株の売買手数料が無料ですが、一部機能に制限があります。プロプランは1株あたり0.005ドル(最低1ドル)の手数料がかかりますが、高度な取引機能を利用できます。
Firstrade証券は、1985年に設立されたアメリカのオンライン証券会社で、手数料の安さと使いやすさで知られています。米国市場に特化しており、約7,000銘柄以上の米国株、ETF、オプション、投資信託などを取り扱っています。
米国株の売買手数料が完全無料である点が最大の魅力です。口座維持手数料や最低預入金額の設定もなく、コストを抑えて投資できます。
Firstradeのウェブサイトやアプリは英語と中国語のみの対応で、日本語サポートはありません。英語に不安がある方は、翻訳ツールを活用する必要があります。
口座開設は、パスポート、マイナンバー、携帯電話があればオンラインで完結し、約15分程度で申し込みが可能です。Firstradeも米国SECとFINRAの監督下にあり、SIPCにより最大50万ドル(うち現金25万ドル)の投資者保護を受けられます。
一部の日本の証券会社では、海外赴任者向けに口座の継続利用を認めています。SBI証券や楽天証券は、出国前に所定の手続きを行うことで、海外在住中も口座を維持できます。
新規の買付は原則として制限され、保有株式の売却や配当金の受け取りのみが可能となります。海外赴任が決まった場合は、できるだけ早く証券会社に連絡し、手続きの詳細を確認することをおすすめします。
SBI証券では、海外転勤等の理由で出国する場合、「居住地変更届出書」を提出することで、証券総合口座、NISA口座、特定口座を継続できます。ただし、特定口座で保有していた株式は一般口座に振り替えられ、帰国後に再度特定口座に戻すことが可能です。
海外証券会社を使うメリットとデメリット
海外証券会社の最大のメリットは、手数料の安さです。Firstradeでは米国株の売買手数料が完全無料、Interactive Brokersでも競争力のある水準で取引できます。日本の証券会社では約定代金の0.495%が標準的ですが、海外証券会社では手数料負担を大幅に削減できます。
海外証券会社のメリット
売買手数料が無料または非常に低い
取扱商品が豊富(42カ国の市場にアクセス可能)
居住国によらず口座を維持できる
為替手数料も日本の証券会社より低い場合が多い
海外証券会社を利用する最大のデメリットは、税金の複雑さです。日本の証券会社では特定口座(源泉徴収あり)を利用すれば確定申告が不要ですが、海外証券会社では特定口座を開設できないため、すべての取引について自分で確定申告を行う必要があります。
相続の問題も深刻です。米国の証券会社に口座がある場合、相続時にプロベート(遺言検認手続き)という複雑な手続きが必要になる可能性があります。プロベート手続きには時間と費用がかかり、相続人に大きな負担となります。
米国株投資で気をつけたい4つのこと
米国株投資では、株価の変動に加えて為替レートの変動も投資成果に影響します。例えば、1株100ドルの株を購入し、株価が110ドルに上昇しても、その間に円高が進んで1ドル=150円から1ドル=140円になった場合、円換算での利益は減少します。
具体的には、購入時に1株100ドル×150円=15,000円だった株が、売却時に110ドル×140円=15,400円となり、株価は10%上昇したのに円換算では約2.7%の利益にとどまります。
為替リスクを完全に避けることはできませんが、長期投資を前提とすることで為替変動の影響を平準化できます。
米国株から得られる配当金には、米国で10%の源泉徴収が行われ、さらに日本でも20.315%の課税が行われます。これを二重課税といいます。ただし、確定申告で外国税額控除を申請することで、米国で課税された分の一部または全部を日本の税額から控除できます。
NISA口座で米国株を保有している場合、日本での課税はありませんが、米国での10%の源泉徴収は行われます。この米国での源泉徴収分については、外国税額控除の対象外となるため、完全な非課税にはならない点に注意が必要です。
米国株投資では、売買手数料だけでなく、為替手数料も含めたトータルコストを把握することが重要です。例えば、100万円を投資する場合、為替手数料(往復で約3,000円)、売買手数料(購入時と売却時で約10,000円)、さらにスプレッド(買値と売値の差)なども考慮する必要があります。
頻繁に売買を繰り返すと、手数料負担が利益を圧迫します。長期投資を前提とし、売買回数を抑えることで手数料負担を軽減できます。
米国株投資では、企業の決算情報やニュースが英語で発信されるため、情報収集に英語力が求められます。ただし、最近では日本語で米国株情報を提供するメディアやツールも増えており、英語が苦手でも情報収集は可能です。
証券会社が提供する情報ツールを活用しましょう。マネックス証券の「銘柄スカウター」や楽天証券の「iSPEED」では、米国株の財務情報やアナリストレポートが日本語で提供されています。また、無料の投資情報サイトやYouTubeチャンネルも充実しています。
海外証券口座の開設方法
国内証券会社で米国株取引を始める場合、まず証券総合口座を開設する必要があります。口座開設はオンラインで完結し、最短で翌営業日から取引を開始できます。
海外証券会社で口座を開設する場合、パスポート、マイナンバー、居住地を証明する書類(運転免許証や公共料金の請求書など)が必要です。Interactive BrokersやFirstradeでは、オンラインで口座開設申込を行い、必要書類をアップロードします。
審査が完了すると、口座開設完了の通知がメールで届きます。初回入金を行えば取引を開始できます。入金方法は、海外送金または米国内の銀行口座からのACH送金が一般的です。
海外証券会社利用時の税金と確定申告
海外証券会社で受け取った配当金には、現地国(米国の場合は10%)と日本(20.315%)で二重に課税されます。外国税額控除を申請することで、外国で課税された分を日本の税額から控除できます。
外国税額控除を受けるには、確定申告書に「外国税額控除に関する明細書」を添付する必要があります。証券会社から発行される「外国所得税の額を証する書類」や「配当等の支払通知書」を基に、外国で課税された金額を記入します。
海外証券会社で株式を売却して利益が出た場合、その利益は譲渡所得として確定申告が必要です。日本の証券会社では特定口座(源泉徴収あり)を利用すれば確定申告が不要ですが、海外証券会社ではそのような制度がありません。
譲渡所得の計算は、売却価格から取得価格と手数料を差し引いた金額です。為替レートの変動も考慮する必要があり、購入時と売却時のレートを使って円換算します。譲渡所得には20.315%(所得税15.315%、住民税5%)の税率が適用されます。
海外在住者(日本の非居住者)の場合、日本での課税関係が大きく変わります。非居住者は、日本国内で発生した所得(国内源泉所得)のみが日本で課税され、海外で発生した所得は原則として課税されません。
株式の売却益については、日本の非居住者は原則として日本での課税はありません。ただし、居住国での課税対象となる場合が多いため、現地の税法を確認する必要があります。
海外証券口座の相続と注意点
プロベート(Probate)とは、米国の法律に基づく遺言検認手続きのことです。被相続人が米国に資産を保有していた場合、その資産を相続人に移転するために、米国の裁判所でプロベート手続きを行う必要があります。
プロベート手続きには数ヶ月から数年かかる場合があり、弁護士費用や裁判所費用などで数千ドルから数万ドルの費用が発生します。
海外証券口座の相続トラブルを避けるためには、事前の準備が重要です。まず、家族に海外証券口座の存在を知らせておくことが大切です。口座番号、証券会社の連絡先、ログイン情報などをまとめて保管し、家族がアクセスできるようにしておきましょう。
海外在住者(日本の非居住者)の場合、多くの日本の証券会社では新規の買付が制限されます。ただし、SBI証券や楽天証券など一部の証券会社では、出国前に所定の手続きを行うことで、口座を維持し、保有株式の売却や配当金の受け取りが可能です。手続きを行わずに海外在住となった場合、口座が凍結されたり、保有資産が強制的に売却されたりする可能性があります。
米国株の配当金には、米国で10%、日本で20.315%の税金がかかります。米国での源泉徴収は自動的に行われ、日本では証券会社が源泉徴収を行います(特定口座の場合)。確定申告で外国税額控除を申請することで、米国で課税された分の一部または全部を日本の税額から控除できます。NISA口座で米国株を保有している場合、日本での課税はありませんが、米国での10%の源泉徴収は行われます。
Interactive BrokersやFirstradeなどの主要な海外証券会社は、米国証券取引委員会(SEC)と金融取引業規制機構(FINRA)の監督下にあり、SIPC(証券投資者保護公社)により最大50万ドル(うち現金25万ドル)の投資者保護を受けられます。ただし、日本の金融庁の監督下にはないため、トラブルが発生した場合の対応は日本の証券会社とは異なります。
Interactive Brokersは日本語に対応しており、一部の機能やサポートは日本語で利用できます。ただし、Firstradeは英語と中国語のみの対応で、日本語サポートはありません。英語が苦手な場合でも、Google翻訳やDeepLなどの翻訳ツールを活用することで、口座開設や基本的な取引は可能です。
複数の証券会社に口座を持つことで、それぞれの強みを活かした投資が可能になります。例えば、SBI証券で米国株を購入し、楽天証券で投資信託を積み立てるといった使い分けができます。また、一つの証券会社でシステム障害が発生した場合でも、別の証券会社で取引を継続できるというリスク分散のメリットもあります。
この記事では、海外証券会社について、米国株投資ができる国内証券会社と、海外在住者が使える海外証券会社の2つの観点から詳しく解説しました。
日本在住の方が米国株に投資する場合、SBI証券や楽天証券などの国内証券会社を利用するのが安全で便利です。手数料、取扱銘柄数、取引ツール、NISA対応などを比較し、自分に合った証券会社を選びましょう。一方、海外在住者の場合は、Interactive BrokersやFirstradeなどの海外証券会社で口座を開設する必要があります。
海外証券会社を利用する場合は、税金の複雑さ、言語の壁、相続時の手続きなど、注意すべき点も多くあります。特に税金については、確定申告が必須となるため、事前に税理士に相談することをおすすめします。
なお、投資には元本割れのリスクがあります。為替変動により損失が発生する可能性もあります。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。詳しくは各証券会社にご確認いただくか、専門家にご相談ください。
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