退職金制度は必要?種類や導入のメリット・デメリットをチェック

退職金制度は必要?種類や導入のメリット・デメリットをチェック

退職金制度は、少し前の時代には、あって当然のようなイメージがありましたが、昨今では退職金制度を採用していない会社もあります。
退職金は、雇用保険などのような法律で定められた義務ではないために、退職金制度を導入するかどうかは、企業ごとに独自の判断をすることができます。
この記事では、そもそも退職金制度とはどのような制度なのか、なぜ必要なのか、導入した場合としない場合のメリットなどについてご説明していきます。

退職金制度とは?

退職金制度とは、一般的に、定年退職を迎えた従業員に退職金を支給する制度です。
しかし、法律などで定められた制度ではなく、退職金は必ずしも支給しなければならないとされているものではありません。
退職金制度は、企業が独自に行う制度であるために、支給額も各企業が自由に設定しています。
退職金の支給額は、大手企業のほうが多く、中小企業では少ないという傾向があります。
また、退職金制度を導入している企業としていない企業とに分けることができ、平成29年度には中小企業を含めた日本の企業の80%近くが、何らかの退職金制度を採用しています。
退職金制度は、大きく「退職一時金制度」と「退職年金制度」の2種類に分類することができます。

◆退職一時金制度
退職一時金制度とは、従業員が退職する時に退職金一括支給する制度のこと。
支給は1回のみとなり、その後は基本的に支給しません。

◆退職年金制度
退職年金制度とは、一定期間、あるいは生涯にわたって年金温容な形で退職金の給付を行う制度です。

退職一時金制度か退職年金制度のどちらかを採用している企業が多いですが、大手の企業などで「どちらも支給する」という形をとっている場合もあります。
しかし、昨今では退職金制度自体が時代にそぐわない制度だと批判をされることもあり、退職金制度を見直す企業や、廃止する企業も出てきています。

退職金制度を導入するメリット

退職金制度があれば、従業員がその企業で、定年まで勤め上げようというモチベーションにつながります。
そして、勤続年数を伸ばすことができるというメリットがあります。
また、採用活動の場面でも、退職金制度の有無を気にする転職希望者は少なくありません。求人活動を行う際に、求人票に「退職金制度あり」と記載することでアピールになります。

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年金制度を導入しない場合のメリットは?

退職金制度を導入しない場合のメリットとして、従業員が一斉退職する時期にも現金を工面する必要がない、ということが挙げられます。
経営が厳しい中小企業の場合には、従業員が何名か一斉退職する場合も想定されます。
その場合、退職金としてまとまった現金を支払うことになり、資金繰りの面では大きなリスクを抱えることになります。
そのリスクを回避できるのは大きいでしょう。

その一方で、80%近い企業が退職金制度を導入しているために、退職金制度がない会社というのは、従業員の労働意欲を下げてしまう可能性も。
その代わりに賞与を多めに設定するなどし、従業員のモチベーションアップにつなげることも必要でしょう。

4種類の退職金制度

退職金制度は、大きく「退職一時金制度」と「退職年金制度」の2種類に分類することができる、とご説明しましたが、「退職年金制度」はさらに詳しく分類され、「退職一時金制度」と合わせて4種類に分けることができます。

退職一時金制度

退職一時金制度は、従業員が退職する際、退職金を一括で支給する制度です。
退職金を企業が内部留保で貯めていかなければならない、というデメリットがあります。
また、現金での積み立てを行うために、積立金に課税されてしまうというデメリットもあります。

確定給付企業年金制度

確定給付年金制度は、定年後に確定した退職金が給付される退職年金制度です。
この制度を利用する場合、生命保険会社などの外部に掛金を拠出して、年金資金を管理・運用していくことになります。
税制上、掛金を損金扱いにすることができるというメリットがあります。
ただし、もしも運用の失敗等により必要な資金が準備できない場合には、企業がその不足を補填しなければならないというデメリットがあります。

中小企業退職金共済

中小企業退職金共済(中退共)は、多くの中小企業で利用されています。
中小企業退職金共済は「単独で退職金制度を設けることが難しい中小企業であること」が加入条件となっています。
従業員ごとに掛金を設定でき、掛金は損金となります。
そのため、全額非課税になるメリットがあります。
退職金の支給金額は、掛金と年数によって定められているために、中小企業でも従業員に対して一定の金額の退職金を保証することが可能になります。

企業型確定拠出年金制度(企業型DC)

企業型確定拠出年金制度(企業型DC)は、会社側が毎月掛金を積み立て、従業員が自ら年金資金を運用するという制度です。
企業型確定拠出年金制度(企業型DC)は、企業が運用するのではなく「掛金や運用方法は従業員個人に任せる」という考え方の制度のため、会社側が全ての支払い責任を負う必要がありません。
企業型確定拠出年金制度(企業型DC)では、もしも最終的に積み立てた資産(退職金の支給額)が減少してしまっても、会社側は補填する義務がないのです。
このため、企業にとっては導入しやすい制度となっています。

まとめ

退職金制度について、どういった制度があって、どのようなメリットがあるのかをご説明しました。
時代にそぐわないという批判や、退職金制度を廃止する企業も出てきていますが、それでもまだ多くの企業が退職金制度を導入しています。
もしも退職金制度を導入しない場合には、賞与を多く設定するなどの特別な配慮が必要になるでしょう。

著 者

SOICO株式会社
共同創業者&代表取締役CEO
茅原 淳一 (かやはら じゅんいち)

慶應義塾大学卒業後、新日本有限責任監査法人にて監査業務に従事。 その後クレディスイス証券株式会社を経て2012年KLab株式会社入社。 KLabでは海外子会社の取締役等を歴任。2016年上場会社として初の信託を活用したストックオプションプランを実施。 2015年医療系ベンチャーの取締役財務責任者に就任。 2018年よりSOICO株式会社の代表取締役CEOに就任。公認会計士。

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