雇用形態にはどんな種類がある?変更時の手続きや注意点は?

雇用形態にはどんな種類がある?変更時の手続きや注意点は?

現代ではさまざまな職業や職種があり、働き方の選択肢も多様になってきました。
従来の正社員だけではなく、より自由な働き方として派遣社員やフリーランスでの仕事を選ぶ人も増えています。
雇用の形態も、さまざまに分けられています。
この記事では、雇用形態の種類についてと、雇用形態を変更するにはどうすればいいかなどを解説します。

雇用形態が「正社員」とは?

雇用形態にはさまざまな分類の仕方がありますが、大きく分けると「正社員」と「非正規社員」の2つに分けることができます。

正社員とは、雇用期間に定めのない雇用形態のことで、企業との長期雇用を前提に労働契約が結ばれます。
社会保険や交通費・住宅手当といった福利厚生が完備されて、賞与・退職金が支給されるケースが多いなど、就業者にも大きなメリットがあります。
しかし、会社の意思によって、転勤や残業を求められる場合があります。
正社員の種類は「フルタイム正社員」と「短時間正社員」の2つに分けることができます。
どちらも企業と社員が直接契約し、労働の対価として給与を支払う「直接雇用」です。

フルタイム正社員

正社員の中でも、企業が定める所定労働時間の上限まで働く雇用形態が「フルタイム正社員」です。
基本的に1日8時間、週40時間働き、「フルタイム正社員」は正規社員と呼ぶケースもあります。
フルタイム正社員は企業の中心として働き、昇進により重要な役職に就く場合もあります。

短時間正社員

「短時間正社員」は、フルタイム正社員と比べると所定労働時間(日数)が短い雇用形態です。
厚生労働省では、短時間正社員を「雇用期間の定めがない」「時間あたりの基本給や退職金の算定方法がフルタイム正社員と同じである」と定義しています。
短時間正社員を導入すると、事情によりフルタイムで働けない人材の活躍の場が広がります。

「非正規社員」はどんな雇用形態?

非正規社員とは、雇用期間に定めがある雇用形態のことです。
労働時間はフルタイム正社員と同等または短く、給与・福利厚生面は正社員と比べると充実していません。
しかし、正社員よりも自由な働き方ができるというメリットもあります。
非正規社員の種類には「派遣労働者」「契約・嘱託社員」「パートタイム労働者」「業務委託契約を結ぶ事業主」「自営型テレワーカー」があります。
派遣労働者は「間接雇用」、それ以外の雇用形態では企業に「直接雇用」されます。

派遣労働者

「派遣労働者」は、雇用主と就業先が異なる雇用形態です。
労働者はまず派遣会社と雇用契約を結び、派遣元と労働者派遣契約を結んでいる派遣先へ派遣されて働きます。
業務の指揮・命令は、派遣先が行います。
また、派遣労働者は派遣元の福利厚生を利用することができます。
厚生労働省では派遣労働者に対して、雇用主と就業先が異なることで起こり得る問題の発生を危惧し、「派遣労働者法」を定め、さまざまな規定を設けています。

契約社員(有期労働契約)、嘱託社員

「契約社員(有期労働契約)」とは、雇用期間に定めがある雇用形態のことです。
契約期間の上限は3年のケースが多く、期間満了すると労働契約は自動で終了します。
高度な専門知識をもつ人や60歳以上の人の場合、雇用契約の上限は5年間です。
また、同じ事業主の元で5年以上働いた場合には、双方の合意があれば期限のない契約社員への転向が可能です。
「嘱託社員」とは、定年後に再雇用される雇用形態のことです。
嘱託社員は正社員と同等の契約内容であったり、労働時間が短い分、給与が安くなったりと、企業により扱いが異なります。

パートタイム労働者

「パートタイム労働者」とは、同企業内の正社員と比べて所定労働時間が短く、雇用期間に定めがある雇用形態のことです。
企業がパートタイム労働者を雇う際には「パートタイム労働法」に則り、労働条件や昇給・賞与の有無といった、所定文書の明示・交付が義務化されています。

業務委託(請負)契約を結ぶ事業主

「業務委託(請負)契約を結ぶ事業主」とは、企業から仕事を委託され、業務の指揮・命令を受けない雇用形態のことです。
委託を受けた仕事の完成物に対して、企業から報酬が支払われます。
業務委託(請負)契約を結ぶ事業主は、ほかの雇用形態とは異なり、労働基準法の保護対象ではありません。

自営型テレワーカー

「自営型テレワーカー」は前出の事業主と同様、企業から仕事を委託され、パソコンなどの機器を使い業務を行う雇用形態のことです。
自宅など、委託元の企業以外の場所で業務にあたり、報酬は仕事の完成物に対して支払われます。
厚生労働省は「自営型テレワークの適正な実施のためのガイドライン」を定めており、それに基づいた仕事の依頼を行うよう、自営型テレワーカーに対する企業の適切な対応が望まれています。

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雇用形態の変更をするには?

社員の雇用形態を変更する場合には、手続きが必要になります。

正社員からパートタイム

正社員からパートタイムになる場合は、新たに労働契約を結ぶことになります。
トラブル防止のためにも、内容の変更を書面に明記して交付すると良いでしょう。
勤務時間が短くても、条件を満たせば社会保険の加入対象で、雇用形態の変更後3か月間の平均給与額が以前と比べ、2等級以上の差が生じた場合は社会保険料の改定手続きが必要になります。
また、双方の合意であっても就業規則を下回る労働条件は、法律上認められません。

派遣労働者を直接雇用する

派遣労働者を直接雇用する際には、以下の点に注意が必要です。
・派遣元企業は、雇用期間終了後における派遣先企業の直接雇用契約を制限してはならない
・派遣労働者を直接雇用に切り替える場合、派遣先企業は派遣元企業へ紹介手数料を支払う
・派遣期間中に派遣先企業が直接雇用しようとすると、派遣元企業から損害賠償を請求される恐れがある

まとめ

雇用形態は大きく「正社員」と「非正規社員」に分類することができ、その中でさらに細かく分類されます。
それぞれ、労働時間や福利厚生が異なるので、経営者側はもちろん、従業員にも内容をしっかりと伝えるようにしましょう。
また雇用形態を変更する場合には、定められた手続きが必要になります。
変更することで何が変わるか、従業員にも納得してもらうことで、トラブルなく変更できるようにしましょう。

著 者

SOICO株式会社
共同創業者&代表取締役CEO
茅原 淳一 (かやはら じゅんいち)

慶應義塾大学卒業後、新日本有限責任監査法人にて監査業務に従事。 その後クレディスイス証券株式会社を経て2012年KLab株式会社入社。 KLabでは海外子会社の取締役等を歴任。2016年上場会社として初の信託を活用したストックオプションプランを実施。 2015年医療系ベンチャーの取締役財務責任者に就任。 2018年よりSOICO株式会社の代表取締役CEOに就任。公認会計士。

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