持株会とは何?会社・従業員それぞれのメリットは?

持株会とは何?会社・従業員それぞれのメリットは?

会社が成長して企業が上場する際には、様々な準備が必要になります。
会社が大きくなると設置されることがあるものに「持株会」があります。
「持株会という言葉は聞いたことはあるけれど、あまり詳しくはわからない」という方もいるでしょう。
この記事では、持株会について解説していきます。
持株会を設置した場合に、会社と従業員にどんなメリット・デメリットがあるのかも解説するので、ぜひ参考にしてください。

持株会とは?

持株会とは、持ち株制度によって株式を取得する会のことを言います。
「持ち株制度」とは、勤務先の会社の株を従業員が共同で購入して、株の購入後に、株式購入代として給料から天引きした額に応じて再分配する、という制度です。
この「持ち株制度」を会社の福利厚生のひとつとして導入している企業もあります。
上場企業の場合には、市場の価格に連動して自分の資産の増加が見込まれ、未上場の企業の場合には上場する際に大幅な利益が期待できます。
持株会や持ち株制度は、会社にも従業員にもメリットがある制度です。
持株会や持ち株制度の導入で、会社や従業員にどのようなメリット・デメリットがあるのか、それぞれ確認していきましょう。

持株会の従業員へのメリット・デメリット

持ち株制度は、従業員にとっては多くのメリットがあります。
しかし、いくつかデメリットもあるため、メリット・デメリットを理解の上で持株会への参加を考えましょう。

持ち株会による従業員へのメリット

◆奨励金が支給される
持株会に加入して自社株を購入すると、会社から奨励金が出ることが一般的です。
奨励金は5~30%の範囲内で支給されるケースが多く、毎月一定額を銀行などに貯金することと比べると、持株会で株を購入した時の利回りは、かなり高いと言えるでしょう。

◆配当金が支払われる
持株会の場合にも、通常発行されている株式と同様に、会社から配当金が支払われます。
持株会で得られる配当金をそのまま再投資して、保有している株式をどんどん増やしていくことにもつなげられ、複利効果で、さらに利益を増やすことができるでしょう。

◆キャピタルゲインが得られる
上場している株式の場合、株式の価格に変動があるために、価格差による利益を得ることができます。
上場していない企業の場合には、上場した時に大きな利益が得られる可能性があるため、すぐに手放さず長期的な目線で保有したほうが得策と言えるでしょう。

◆給与から天引きで、簡単に購入できる
自身で資金の管理をして資産運用をするのは、なかなか大変なことです。
しかし、持株会は給与からの天引きされたお金で株式の取得ができるため、通常よりも簡単に貯蓄・運用ができます。
持株会で購入する株式の量は変えることができるので、無理のない範囲で貯蓄すると良いでしょう。

◆少ない資金でも購入できる
通常、株式を購入する際には、取り引きの最小単位である「単元」という単位で取り引きを行います。
しかし持株会では、一定の金額ずつ購入することができるので、少ない金額でも投資を行うことができます。

◆財形貯蓄よりも扱いやすい
持株会と同じように会社が給料天引きで行うものに、財形貯蓄があります。
財形貯蓄では、金額の変更に制限が多い、積立期間が3年以上と長い、積み立て開始から1年以内は引き出せない、といった点があり、やや扱いにくいと言えます。
貯蓄として考えても、持株会のほうが融通も利き、扱いやすいでしょう。

持ち株会による従業員へのデメリット

◆収入の全てを会社に依存してしまう
持株会で自社株を購入して利益を得ることと、毎月の給料を得ること、どちらも会社の影響を強く受けてしまいます。
もしも会社の経営が不安定になれば、給料が減少するだけでなく、最悪の場合には上場廃止になり、株価が0円になってしまう可能性もないとは言えません。
リスクを分散できない点はデメリットと言えます。

◆株主優待がない
通常、株式を購入すると、株式を発行している会社の商品や商品券などの株主優待を貰うことができます。
しかし、持株会の場合には、株主優待を貰うことができません。
通常の株式と比べると、優待が受けられない点はデメリットと考えられるでしょう。

◆売却は単元単位
持株会では、自社株を購入する時には少量から購入できますが、売却する時には単元単位での売却が原則となります。
解約時に持株会に買い取ってもらう、という選択もありますが、一度解約すると再加入できないケースがあるので、よく確認してから解約しましょう。

持株会の会社へのメリット・デメリット

会社にとってのメリットは、主に従業員にメリットを与えることでモチベーションアップなどが見込めることです。
メリットに対してデメリットはあまり大きくないので、持株会と持ち株制度の導入は、検討の価値があると言えるでしょう。

経営者側の持ち株会のメリット

◆持株会が安定株主になる
持株会は、「長期的に自社株を保有してくれる安定した株主」とみなすことができます。
また、自社で働いている従業員が持株会で株主になり、持株会は「自社の経営方針に賛同している」株主と考えられます。
会社側から見ると、多数の従業員が持株会に加入することは、大きなメリットになるでしょう。

◆福利厚生として
持ち株制度の導入は、従業員の長期的な財産形成をサポートすることに役立ちます。
会社にとっての安定株主を獲得しつつ、会社の福利厚生のひとつとして、従業員の満足も得られるというメリットがあります。

◆従業員のモチベーションアップ
会社の業績が向上して自社株の配当が上がれば、株主である従業員の資産として還元されることになります。
そのため、仕事に対するモチベーションにつながることが期待できます。
また、株式を保有することで、より自社の動向に注意を払うようになり、経営参加の意識が高まります。

経営者側の持ち株会のデメリット

◆業績悪化すると従業員のモチベーションも下がる
もしも業績悪化などで株式が下落したり、配当が維持できなくなったりした場合に、従業員のモチベーションが低下してしまうことが考えられます。
これは、会社側だけでなく従業員側のデメリットでもあります。

まとめ

持株会についてと、持株会を導入した場合の従業員と会社それぞれのメリット・デメリットをご説明しました。
持株会は従業員にとって大きなメリットがあり、結果として従業員のモチベーションアップにもつながります。
会社にとってもメリットがあるものなので、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

著 者

SOICO株式会社
共同創業者&代表取締役CEO
茅原 淳一 (かやはら じゅんいち)

慶應義塾大学卒業後、新日本有限責任監査法人にて監査業務に従事。 その後クレディスイス証券株式会社を経て2012年KLab株式会社入社。 KLabでは海外子会社の取締役等を歴任。2016年上場会社として初の信託を活用したストックオプションプランを実施。 2015年医療系ベンチャーの取締役財務責任者に就任。 2018年よりSOICO株式会社の代表取締役CEOに就任。公認会計士。

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