楽天証券のS&P500はどれを選ぶ?|3銘柄を徹底比較

投資信託を始めたいけれど、「大損したらどうしよう」と不安に感じていませんか。
投資信託は元本保証ではないため、確かに損失が出る可能性があります。しかし、実際には適切な知識と対策があれば、大損のリスクは大きく減らせるんです。
金融庁のデータによると、国内外の株式・債券に分散投資して20年間運用を続けた場合、元本割れした事例はゼロという結果も出ています。
この記事では、投資信託で大損する原因と、それを回避する具体的な方法を初心者にもわかりやすく解説します。リスクを正しく理解して、安心して資産形成を始めましょう。
目次
投資信託で大損する可能性はある?
投資信託を始める前に、まず最も気になる「本当に大損する可能性があるのか」という疑問にお答えします。
結論から言うと、可能性はゼロではありませんが、適切な運用方法を知っていれば確率は大きく下げられます。
投資信託は元本保証ではないため、投資額を下回るリスクがあります。
しかし、金融庁のデータによると、国内外の株式・債券に分散投資して積立投資を行った場合、保有期間が20年では元本割れする頻度がゼロという結果が出ています。一方で、保有期間が5年の場合は元本割れする頻度が3〜10%程度ありました。
つまり、短期間では損失が出る可能性がありますが、長期間運用を続けることで元本割れのリスクは大きく減らせるということです。
投資信託で損をした人の多くは、適切な知識がないまま短期間で売買を繰り返したり、暴落時にパニック売りをしてしまったりしたケースが多いんです。
過去の金融ショックでは、投資信託の基準価額が大きく下落した事例があります。
代表的なのが2008年のリーマンショックです。世界株式は約6ヵ月間で44%程度下落し、元の水準に戻るまで約2年(22ヵ月)を要しました。
また、2020年のコロナショックでは、わずか2ヶ月ほどの間に日経平均株価が約30%下落しています。例えば人気の投資信託「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は、直近の高値から約35%下落しました。
2024年8月には、日経平均株価が1日で4,451円(12.40%)下落し、ブラックマンデーを超える過去最大の下落幅を記録しました。
ただし、これらのショックを経験した投資信託も、その後は回復しています。リーマンショック直前の高値圏から積立投資を開始した場合でも、約4年後にはプラス収益に転じ、約12年半後には84%のプラス収益を得るまでに成長したというシミュレーション結果もあります。
重要なのは、暴落時に慌てて売却せず、長期的な視点で運用を続けることなんです。
投資信託とは?
投資信託で大損を避けるためには、まず投資信託の基本的な仕組みを理解することが大切です。
仕組みを知ることで、なぜリスクがあるのか、どうすればリスクを減らせるのかが見えてきます。
投資信託とは、多数の投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する金融商品です。
その運用成果が投資家それぞれの投資額に応じて分配される仕組みになっています。
投資信託の価格は「基準価額」と呼ばれ、組み入れられている株式や債券などの価格変動によって日々変動します。基準価額が購入時よりも上がれば利益が出ますが、下がれば損失が出ることになります。
預金とは異なり元本保証はないため、投資額を下回るリスクがあることを理解しておく必要があります。
投資信託の大きなメリットは、運用の専門家(ファンドマネージャー)に運用を任せられることです。
個人で株式投資を行う場合、どの銘柄をいつ買うか、いつ売るかといった判断をすべて自分で行う必要があります。しかし、投資信託なら専門家が市場分析や銘柄選定、売買のタイミングなどを判断してくれます。
投資信託の魅力
少額から始められる
専門家が運用してくれる
透明性が高い(目論見書・運用レポートで確認可能)
また、投資信託は100円から購入できるため、投資初心者でも気軽に始められます。さらに、投資信託説明書(目論見書)や運用レポートで運用方針や実績を確認できるため、透明性が高いのも特徴です。
投資信託は、複数の株式や債券などに分散して投資しています。
例えば、日本株式だけでなく、米国株式、欧州株式、新興国株式、債券など、さまざまな資産や地域に投資することで、リスクを分散させています。
一つの企業の株式だけに投資していた場合、その企業が業績不振に陥ると大きな損失を被る可能性があります。しかし、投資信託なら一つの銘柄が値下がりしても、他の銘柄でカバーできる可能性があるんです。
値動きの異なるものに分けて投資をすることで、一方が値下がりしている時、もう一方の値上がりでカバーができます。この分散投資の効果により、個別株投資に比べてリスクを抑えながら運用できるのが投資信託の強みです。
投資信託で大損する6つの原因
投資信託で大損する人には、共通するパターンがあります。
ここでは、実際に損失を出してしまう主な原因を6つ紹介します。これらを知っておくことで、同じ失敗を避けられます。
「高いリターンを狙いたい」という気持ちから、新興国株式やテーマ型ファンドなど、リスクの高い商品に集中して投資してしまうケースがあります。
確かにリスクが高い商品は大きなリターンが期待できますが、その分、暴落時の下落幅も大きくなります。
一般的に、債券より不動産や株式、国内の資産より先進国や新興国の資産の方がリスク・リターンが高くなります。リスクの高い投資先ばかり選んで投資していると、市場が暴落した際に資産を大きく減らす恐れがあります。
投資初心者の場合、市場の動きを予想することが難しいため、特に注意が必要です。
2024年8月の暴落時、日経平均株価はわずか2日間で約6,668円も下落しました。
このような急落を目の当たりにすると、「このまま下がり続けるのでは」と不安になり、慌てて売却してしまう人がいます。しかし、日経平均株価はその後ほどなく上昇し、暴落前の水準を回復しています。
暴落時に慌てて売ってしまったら、大きな損失を抱えてしまい、その後の値上がりの恩恵も受けられません。人間の心理学的要素の一つに「損失回避バイアス」があり、多くの人にとって「利益の喜び」よりも「損失の悲しみ」の方が大きく感じてしまいます。このため、下落時に慌てて狼狽売りしてしまうことがあるのです。
投資信託には、購入時手数料、運用管理費用(信託報酬)、信託財産留保額などの手数料がかかります。
特に運用管理費用は、資産を保有している期間は継続してかかるため、長期的には大きなコストになります。
例えば、年間の信託報酬が1.5%と0.2%の投資信託では、長期間保有すると手数料の差が運用成果に大きな影響を与えます。
どんなに運用利益が大きくなってもコストが高ければ、実際に手元に残る利益は少なくなってしまいます。手数料を軽視することも、大損につながる要因の一つなんです。
投資信託は、短期間で売買を繰り返す(短期トレード)ことには向いていません。
短期トレードによって、売買手数料や税金などの負担が大きくなっていくと、結果として大切な資産を減らしてしまうことになります。
投資信託は長期の資産運用に向いている商品です。目先の利益や損失にとらわれて短期間で売買を繰り返すと、手数料負担が増えるだけでなく、長期投資の複利効果も得られません。
金融商品の価格は上がることもあれば下がることもあり、その度に振り回されていては、長期的な資産づくりは難しくなります。
「なんとなく投資を始めた」「周りがやっているから」という理由で、投資目的や目標金額を決めずに投資を始めてしまうケースがあります。
投資の目的と目標金額を決めることは、投資信託に限ったことではなく、資産運用や投資をするうえで大切なことです。
目的がなければ、目標金額を決めることができず、目標金額が決まらないと、「いつまでに貯めるか」「毎月どのくらい運用するか」「どのくらいのリスクで運用していくか」を決めることができません。結果として、自分に合わない商品を選んでしまったり、適切なタイミングで見直しができなかったりして、損失につながる可能性があります。
投資信託を購入した後、運用状況をこまめに確認しないと、市場環境の変化に対応することができません。
保有時に運用状況を確認しないと、基準価額の変動や資産配分比率の変化に気づかず、ポートフォリオが崩れてしまうことがあります。
最初は理想のポートフォリオを組めたとしても、基準価額の変動によって資産配分比率は変わります。
ポートフォリオが崩れた場合は、必要に応じてリバランス(資産配分の調整)をしないとリスク管理ができません。定期的な確認を怠ることで、知らないうちにリスクが高まっていることもあるんです。
投資信託には、さまざまなリスクがあります。
リスクの種類と内容を正しく理解しておくことで、自分に合った商品を選べるようになります。ここでは、投資信託の主なリスクを6つ解説します。
価格変動リスクとは、株式や債券などの価格が変動するリスクです。
一般的に、国内外の政治・経済情勢、企業の業績、景気動向などの影響を受けて価格が変動します。投資信託は、組み入れている株式や債券などの価格変動の影響を受けるため、基準価額も日々変動します。
例えば、日経平均株価をベンチマーク(運用の基準)にしている投資信託では、日経平均株価が下落すると、投資信託の基準価額も下落する傾向があります。
価格変動リスクは、投資信託の最も基本的なリスクと言えます。
外貨建資産に投資する投資信託の場合、通貨の交換レート(為替)の変動により、円換算の価値が変動するリスクがあります。
一般的に、円高になれば基準価額にマイナス、円安ならプラスの影響があります。
例えば、米国株式に投資する投資信託を保有している場合、米国株式の価格が上昇しても、円高ドル安が進めば、円換算での価値は目減りしてしまうことがあります。
為替ヘッジを行っている投資信託もありますが、完全に為替リスクを抑えることはできません。また、為替ヘッジにはコストがかかるため、その分リターンが減少することも理解しておく必要があります。
信用リスクとは、投資信託が投資している企業や国が、財務状況の悪化などにより債務不履行(デフォルト)に陥るリスクです。
企業が倒産したり、国が財政破綻したりすると、その企業の株式や債券の価値が大きく下落したり、ゼロになったりする可能性があります。
信用リスクは、特に債券に投資する投資信託で重要です。格付けの低い企業や国の債券(ハイイールド債券など)は、高い利回りが期待できる一方で、信用リスクも高くなります。投資信託を選ぶ際は、どのような企業や国に投資しているのかを確認することが大切です。
金利変動リスクとは、政策や景気などの影響により金利が変動することで債券価格が変動するリスクです。
一般的に、金利が上昇すると債券価格は下落し、金利が低下すると債券価格は上昇します。
債券に投資する投資信託は、この金利変動リスクの影響を受けます。例えば、中央銀行が政策金利を引き上げると、既発債券の価格が下落し、債券型投資信託の基準価額も下落する可能性があります。
金利変動リスクは、債券の残存期間が長いほど大きくなる傾向があります。
流動性リスクとは、市場で売買が成立しにくくなるリスクです。
市場の混乱時や取引量が少ない銘柄の場合、希望する価格や数量で売買できないことがあります。投資信託が保有する株式や債券の流動性が低下すると、投資信託の解約に時間がかかったり、不利な価格での売却を余儀なくされたりする可能性があります。
特に、新興国の株式や債券、不動産投資信託(REIT)などは、先進国の株式に比べて流動性が低い傾向があります。市場が混乱した際には、売りたくても売れない、または大きく価格を下げないと売れないという状況になることもあります。
カントリーリスクとは、投資対象国の政治・経済情勢の変化によって、投資した資産の価値が変動するリスクです。
例えば、政権交代、戦争、テロ、政策変更、経済制裁などが起こると、その国の株式や債券の価格が大きく変動する可能性があります。
特に、新興国に投資する投資信託は、先進国に比べてカントリーリスクが高い傾向があります。新興国は経済成長率が高く、大きなリターンが期待できる一方で、政治的・経済的な不安定さも大きいため、注意が必要です。投資信託を選ぶ際は、どの国や地域に投資しているのかを確認し、カントリーリスクも考慮することが大切です。
大損を回避する7つの方法
投資信託で大損を回避するためには、具体的な対策を知って実践することが重要です。
ここでは、初心者でも実践できる7つの方法を紹介します。これらを守ることで、リスクを大きく減らせます。
投資信託で最も重要なのは、長期的な視点で運用を続けることです。
金融庁のデータによると、国内外の株式・債券に分散投資して積立投資を行った場合、保有期間が5年では元本割れする頻度が3〜10%程度ありましたが、保有期間が20年では元本割れする頻度がゼロでした。
短期的には株価が上昇と下落を繰り返しますが、長期で見ると、世界経済は成長を続けてきました。短期間の値動きに一喜一憂せず、10年、20年という長期的な視点で資産形成を行うことが大切です。長期投資によって、短期的な変動リスクを平準化でき、複利効果も得られます。
「卵を一つのカゴに盛るな」という投資の格言があります。
一つの資産や銘柄に集中投資すると、その資産が値下がりした時に大きな損失を被ります。複数の資産に分散投資することで、リスクを軽減できます。
具体的には、国内株式だけでなく、外国株式、債券、不動産(REIT)など、値動きの異なる資産を組み合わせることが効果的です。
一つの資産が値下がりしても、他の資産が値上がりすることでカバーできる可能性があります。バランス型投資信託を選ぶことで、自動的に複数の資産に分散投資できます。
投資信託の手数料は、長期的には運用成果に大きな影響を与えます。
購入時手数料がゼロ(ノーロード)で、信託報酬が低い投資信託を選ぶことが重要です。特に、インデックスファンドは信託報酬が低い傾向があります。
例えば、年間の信託報酬が0.2%と1.5%の投資信託では、100万円を20年間運用した場合、手数料の差だけで数十万円の違いが出ることもあります。
購入前には必ず目論見書で手数料を確認し、同じような運用内容であれば、手数料の安い商品を選びましょう。手数料は確実なコストであり、リターンを圧迫する要因になります。
投資信託を購入する前には、必ず投資信託説明書(交付目論見書)を読みましょう。
目論見書には、投資方針、投資対象、リスク、手数料など、重要な情報が記載されています。特に、「どのような資産に投資しているのか」「どのようなリスクがあるのか」「手数料はいくらかかるのか」を確認することが大切です。
目論見書を読まずに、名前や人気だけで投資信託を選んでしまうと、自分のリスク許容度に合わない商品を購入してしまう可能性があります。目論見書は専門用語が多く読みにくいかもしれませんが、自分の大切なお金を投資するのですから、時間をかけて理解することが重要です。
投資信託を購入した後も、定期的に運用状況を確認することが大切です。
少なくとも3ヶ月に1回、できれば月に1回は基準価額や資産配分比率をチェックしましょう。運用レポートや運用報告書を読むことで、運用状況や市場環境の変化を把握できます。
運用状況を確認する際は、基準価額の推移だけでなく、資産配分比率も確認することが重要です。最初は理想のポートフォリオを組めたとしても、基準価額の変動によって資産配分比率は変わります。ポートフォリオが崩れた場合は、必要に応じてリバランス(資産配分の調整)を行いましょう。
リスク許容度とは、どの程度の損失まで許容できるかという個人の許容範囲のことです。
リスク許容度は、年齢、収入、資産状況、投資経験、性格などによって異なります。自分のリスク許容度を理解し、それに合った商品を選ぶことが大切です。
自分のリスク許容度を超えた投資をすると、暴落時に精神的に耐えられず、パニック売りしてしまう可能性があります。
つみたてNISA(2024年からは新NISAのつみたて投資枠)やiDeCo(個人型確定拠出年金)などの税制優遇制度を活用することで、効率的に資産形成ができます。
つみたてNISAは運用益が非課税になり、iDeCoは掛金が全額所得控除の対象となります。
特につみたてNISAは、金融庁が定める基準を満たした長期・積立・分散投資に適した投資信託のみが対象となっているため、初心者でも安心して始められます。2024年からの新NISAでは、非課税保有限度額が1,800万円に拡大され、非課税保有期間も無期限になりました。これらの制度を活用することで、税金の負担を減らしながら資産形成を進められます。
投資信託を運用していると、一時的に損失が出ることもあります。
そんな時、どう対処すればいいのか、具体的な方法を解説します。損失額の大きさによって対処法が異なるため、状況に応じた判断が重要です。
損失が出た時に最も大切なのは、冷静になることです。
慌てて売却してしまうと、損失が確定してしまいます。まずは、なぜ損失が出ているのか、その原因を確認しましょう。市場全体が下落しているのか、特定の資産だけが下落しているのかを把握することが重要です。
また、自分の投資目的と投資期間を思い出してください。長期的な資産形成を目的としているのであれば、短期的な損失は気にする必要はありません。過去のデータを見ても、リーマンショックやコロナショックなどの大きな下落があっても、長期的には回復してきました。一時的な損失に動揺せず、冷静に状況を分析することが大切です。
損失額が10万円以下の場合は、基本的には「何もしない」ことをおすすめします。
投資信託は長期投資が前提ですので、短期的な損失は気にせず、そのまま保有を続けましょう。むしろ、下落時は平均購入単価を下げるチャンスと考えることもできます。
積立投資を行っている場合は、下落時こそ継続することが重要です。価格が下がっている時に購入することで、将来価格が回復した時に大きなリターンが期待できます。ドルコスト平均法により、高値掴みを避けて、購入価格を平準化する効果も期待できます。損失額が小さいうちは、慌てて売却せず、長期的な視点で運用を続けることが賢明です。
損失額が10万円を超える場合は、ポートフォリオ全体を見直すことを検討しましょう。
まず、損失の原因を分析します。特定の資産や地域に集中投資していないか、リスクの高い商品を保有していないかを確認してください。
もし、リスクが高すぎると感じた場合は、一部を売却して、よりリスクの低い商品に切り替えることも選択肢の一つです。ただし、市場全体が下落している時に売却すると、損失が確定してしまうため、慎重に判断する必要があります。長期的に回復が見込める場合は、そのまま保有を続ける方が良い結果につながることもあります。損失が大きい場合は、専門家に相談することも検討しましょう。
投資信託の運用で不安を感じた時は、専門家に相談することも有効です。
証券会社のコールセンター、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)、ファイナンシャルプランナーなどに相談することで、客観的なアドバイスを得られます。
特に、損失額が大きい場合や、今後の運用方針に迷っている場合は、専門家の意見を聞くことで、冷静な判断ができるようになります。ただし、相談先によって取扱商品が異なったり、手数料がかかったりする場合もあるため、相談先は慎重に選びましょう。金融庁や日本証券業協会のウェブサイトでは、投資に関する情報や相談窓口の情報も提供されています。
初心者が安全に始める3つのステップ
投資信託を初めて始める方に向けて、安全に始めるための3つのステップを紹介します。
これらのステップを踏むことで、自分に合った投資信託を選び、リスクを抑えながら資産形成を始められます。
投資を始める前に、まず「何のために投資するのか」という目的を明確にしましょう。
老後資金の準備、子どもの教育資金、住宅購入の頭金など、具体的な目的を設定することが大切です。目的が明確になれば、目標金額と投資期間も決まります。
例えば、「20年後の老後資金として2,000万円を準備したい」という目標があれば、毎月いくら積み立てればいいのか、どのくらいのリターンが必要なのかが計算できます。
金融庁のウェブサイトには資産運用シミュレーションツールがあり、簡単に試算できます。目的と目標金額を決めることで、自分に合った投資信託を選びやすくなり、途中で諦めずに続けるモチベーションにもなります。
次に、自分のリスク許容度を把握しましょう。
リスク許容度は、年齢、収入、資産状況、家族構成、性格などによって異なります。一般的に、若い世代で安定した収入がある人はリスクを取りやすく、高齢で収入が少ない人はリスクを抑えた運用が適しています。
自分のリスク許容度を知るには、「資産が一時的に30%減っても耐えられるか」「損失が出た時に夜眠れなくなるか」といった質問を自分に問いかけてみましょう。多くの証券会社では、リスク診断ツールを提供しているので、活用するのもおすすめです。リスク許容度を超えた投資をすると、暴落時にパニック売りしてしまう可能性があるため、自分に合ったリスクレベルで投資することが重要です。
投資信託を始める時は、いきなり大きな金額を投資するのではなく、少額から積立投資を始めることをおすすめします。
多くの証券会社では、100円や1,000円といった少額から投資信託を購入できます。まずは少額で始めて、投資信託の仕組みや値動きに慣れることが大切です。
積立投資なら、毎月一定額を自動的に購入できるため、買い忘れの心配もありません。また、ドルコスト平均法により、高値掴みを避けて、購入価格を平準化する効果も期待できます。慣れてきたら、徐々に積立額を増やしていけばいいので、最初は無理のない金額から始めましょう。新NISAのつみたて投資枠を活用すれば、運用益が非課税になるため、効率的に資産形成ができます。
投資信託で元本割れする確率は、保有期間によって大きく異なります。金融庁のデータによると、国内外の株式・債券に分散投資して積立投資を行った場合、保有期間が5年では元本割れする頻度が3〜10%程度ありましたが、保有期間が20年では元本割れする頻度がゼロでした。つまり、長期間保有することで、元本割れのリスクは大きく減らせます。短期間では市場の変動により損失が出る可能性がありますが、長期的には回復する傾向があります。
投資信託で大損した人の事例としては、リーマンショック時に新興国株式ファンドで基準価額が3分の2以上下落したケースや、高い手数料の商品を長期保有して手数料負担が利益を上回ったケースなどがあります。また、暴落時にパニック売りをして損失を確定させてしまった人も多くいます。これらの事例に共通するのは、リスクの高い商品への集中投資、短期的な値動きへの過剰反応、手数料の軽視などです。適切な知識と対策があれば、これらの失敗は避けられます。
投資信託の場合、基本的には損切りは推奨されません。長期投資を前提としているため、一時的な損失は気にせず、保有を続けることが重要です。ただし、投資した商品の運用方針が大きく変わった場合や、自分のリスク許容度を大きく超えている場合は、損切りを検討することもあります。また、長期的に見て成長が見込めない市場や資産に投資している場合は、他の商品に切り替えることも選択肢の一つです。損切りを検討する際は、専門家に相談することをおすすめします。
暴落時に最も大切なのは、慌てて売却しないことです。過去のデータを見ても、リーマンショックやコロナショックなどの大きな暴落があっても、長期的には回復してきました。暴落時は、むしろ平均購入単価を下げるチャンスと考えることもできます。積立投資を行っている場合は、そのまま継続することで、将来価格が回復した時に大きなリターンが期待できます。ただし、暴落の原因が特定の企業や国の問題である場合は、ポートフォリオを見直すことも検討しましょう。
初心者におすすめの投資信託は、インデックスファンドやバランス型ファンドです。インデックスファンドは、日経平均株価やS&P500などの指数に連動することを目指す投資信託で、信託報酬が低く、分散投資の効果も得られます。バランス型ファンドは、株式と債券などを組み合わせた投資信託で、リスクを抑えながら運用できます。特に、つみたてNISA(新NISAのつみたて投資枠)対象商品は、金融庁が定める基準を満たした長期・積立・分散投資に適した商品なので、初心者でも安心して選べます。
投資信託の相談ができる専門家は、証券会社、銀行、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)、ファイナンシャルプランナーなどです。証券会社や銀行では、口座を開設すれば無料で相談できることが多いです。IFAは特定の金融機関に属さない独立した立場でアドバイスを提供します。ファイナンシャルプランナーは、投資だけでなく、家計全体の相談にも乗ってくれます。相談先を選ぶ際は、取扱商品の種類、手数料、相談のしやすさなどを考慮して、自分に合った専門家を選びましょう。
投資信託で大損する可能性はゼロではありませんが、適切な知識と対策があれば、リスクは大きく減らせます。
金融庁のデータでも、長期・分散・積立投資を20年間続けた場合、元本割れした事例はゼロという結果が出ています。
損失が出た時は、慌てて売却せず、冷静に状況を確認しましょう。短期的な損失は気にせず、長期的な視点で運用を続けることが賢明です。不安な場合は、専門家に相談することも有効です。
投資信託は、正しい知識と適切な運用方法を実践すれば、将来の資産形成に役立つ金融商品です。この記事で紹介した方法を参考に、自分に合った投資信託を選び、長期的な資産形成を始めてみてください。
なお、投資には元本割れのリスクがあります。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。詳しくは各証券会社・金融機関にご確認ください。
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