大手銀行の口座開設おすすめ|選び方と使い分けを解説

iDeCoに加入して年末調整を迎えると、「実際にいくら税金が戻ってくるのか」が気になりますよね。
iDeCoの掛金は全額所得控除の対象となり、所得税の還付と住民税の減額という形で節税効果を実感できます。
年収や掛金額によって還付額は異なりますが、例えば年収500万円で月2万円を拠出している場合、年間で約4.8万円の節税効果が期待できます。
この記事では、年収別の還付額シミュレーション、還付額の計算方法、年末調整の具体的な手続き、必要書類の準備方法まで、iDeCoの年末調整に関する情報を網羅的に解説します。
転職や退職といった特殊ケースの対応方法や、年末調整が間に合わない場合の確定申告の方法もご紹介しますので、安心して手続きを進められます。
目次
iDeCoの年末調整でいくら戻る?還付額の目安
iDeCoの年末調整では、所得税の還付と住民税の減額という2つの節税効果を受けられます。還付額は年収と掛金額によって異なりますが、ここでは代表的な年収別の目安をご紹介します。
年収300万円で月1万円(年間12万円)をiDeCoに拠出している場合、所得税率は5%、住民税率は10%となります。所得税の還付額は年間約6,000円、住民税の減額は年間約12,000円で、合計約18,000円の節税効果が期待できます。
月2万円(年間24万円)を拠出すると、所得税の還付額は約12,000円、住民税の減額は約24,000円となり、合計約36,000円の節税効果となります。年収300万円の場合、所得税率が比較的低いため、還付額も控えめになります。
年収500万円で月2万円(年間24万円)をiDeCoに拠出している場合、所得税率は10%、住民税率は10%となります。所得税の還付額は年間約24,000円、住民税の減額は年間約24,000円で、合計約48,000円の節税効果が期待できます。
月額の掛金を上限まで拠出すると、さらに大きな節税効果を得られます。会社員で企業年金がない場合、月額2.3万円(年間27.6万円)まで拠出可能で、この場合の節税効果は年間約55,200円となります。年収500万円は多くの会社員が該当する年収帯であり、iDeCoの節税メリットを実感しやすい水準です。
年収700万円で月2万円(年間24万円)をiDeCoに拠出している場合、所得税率は20%、住民税率は10%となります。所得税の還付額は年間約48,000円、住民税の減額は年間約24,000円で、合計約72,000円の節税効果が期待できます。
年収700万円の場合、所得税率が20%に上がるため、還付額も大きくなります。月額2.3万円(年間27.6万円)を拠出すると、所得税の還付額は約55,200円、住民税の減額は約27,600円となり、合計約82,800円の節税効果となります。高年収になるほど、iDeCoの節税メリットは大きくなる仕組みです。
iDeCoの年末調整の仕組み
iDeCoの年末調整で税金が戻る仕組みは、小規模企業共済等掛金控除という所得控除制度に基づいています。この制度により、iDeCoの掛金が課税所得から差し引かれ、所得税と住民税が軽減されます。
小規模企業共済等掛金控除は、iDeCoの掛金全額が所得控除の対象となる点が大きな特徴です。生命保険料控除のような上限額がないため、拠出した金額がそのまま課税所得から差し引かれます。
小規模企業共済等掛金控除は、iDeCoや小規模企業共済の掛金を所得から控除できる制度です。iDeCoの掛金は全額が所得控除の対象となり、拠出した金額がそのまま課税所得から差し引かれます。
例えば、年収500万円の人が年間24万円をiDeCoに拠出すると、課税所得が24万円減少します。この控除は生命保険料控除のように上限額が設定されておらず、掛金の全額が控除対象となる点が大きな特徴です。
小規模企業共済等掛金控除は、年末調整または確定申告で申告することで適用されます。会社員の場合は年末調整で申告するのが一般的で、小規模企業共済等掛金払込証明書を会社に提出することで手続きが完了します。
所得税の還付は、年末調整によって計算された正しい年税額と、毎月の給与から天引きされていた源泉徴収税額の差額が返金される仕組みです。iDeCoの掛金を申告すると課税所得が減少し、本来納めるべき所得税額が少なくなります。
具体的には、課税所得に所得税率を掛けた金額が所得税額となります。年収500万円で所得税率10%の人が年間24万円をiDeCoに拠出すると、24万円×10%=24,000円の所得税が軽減されます。この軽減された分が、年末調整後に給与と一緒に還付されます。
還付金は通常、年末調整を行った翌月または翌々月の給与と合わせて振り込まれます。12月に年末調整を行った場合、1月または2月の給与明細に「年末調整還付金」などの項目で記載されることが一般的です。給与明細をよく確認すると、還付額を確認できます。
住民税の減額は還付ではなく、翌年6月から翌々年5月までの住民税が月割りで減額される形で適用されます。一括で戻ってくるわけではないため、見落としがちですが、年間で見ると大きな節税効果があります。
住民税の減額は、所得税の還付とは異なり、翌年6月から翌々年5月までの住民税が減額される形で適用されます。住民税は前年の所得に基づいて計算されるため、今年の年末調整で申告したiDeCoの掛金は、翌年の住民税に反映されます。
住民税率は一律10%(都道府県民税4%+市区町村民税6%)です。年間24万円をiDeCoに拠出すると、24万円×10%=24,000円の住民税が減額されます。この減額は月割りで適用されるため、月額2,000円ずつ住民税が安くなる計算です。
住民税の減額は還付ではなく、毎月の給与から天引きされる住民税が少なくなる形で実感します。翌年6月に勤務先から配布される住民税決定通知書で、所得控除額にiDeCoの掛金が反映されていることを確認できます。所得税のように一括で戻ってくるわけではないため、見落としがちですが、年間で見ると大きな節税効果があります。
還付額の計算方法
iDeCoの還付額を正確に知るには、自分の課税所得と所得税率を把握する必要があります。ここでは、還付額を自分で計算できるよう、ステップごとに解説します。
課税所得とは、年収から給与所得控除や各種所得控除を差し引いた金額です。まず、年収から給与所得控除を差し引いて給与所得を計算します。給与所得控除額は年収によって異なり、例えば年収500万円の場合、給与所得控除額は144万円となり、給与所得は356万円です。
次に、給与所得から基礎控除(48万円)、社会保険料控除、配偶者控除、扶養控除などの所得控除を差し引きます。例えば、給与所得356万円から基礎控除48万円と社会保険料控除70万円を差し引くと、課税所得は238万円となります。
自分の課税所得を知るには、前年の源泉徴収票を確認するのが最も簡単です。源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」から「所得控除の額の合計額」を差し引いた金額が課税所得となります。
この課税所得に所得税率を掛けた金額が所得税額です。iDeCoの掛金を申告すると、課税所得からさらに掛金額が差し引かれ、所得税額が減少します。自分の課税所得を知るには、前年の源泉徴収票を確認するのが最も簡単です。源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」から「所得控除の額の合計額」を差し引いた金額が課税所得となります。
所得税率は課税所得の金額によって段階的に変わります。課税所得195万円以下は5%、195万円超330万円以下は10%、330万円超695万円以下は20%、695万円超900万円以下は23%、900万円超1,800万円以下は33%、1,800万円超4,000万円以下は40%、4,000万円超は45%です。
例えば、課税所得が238万円の場合、所得税率は10%となります。ただし、所得税は累進課税制度を採用しているため、課税所得全体に10%が適用されるわけではなく、195万円までの部分には5%、195万円を超える部分に10%が適用されます。
実際の計算では、速算表を使うと便利です。課税所得238万円の場合、238万円×10%-97,500円=140,500円が所得税額となります。この97,500円は控除額と呼ばれ、累進課税の調整のために差し引かれる金額です。自分の所得税率を知ることで、iDeCoの還付額を正確に計算できます。
所得税の還付額は、「iDeCoの年間掛金額×所得税率」で計算できます。例えば、年間24万円をiDeCoに拠出し、所得税率が10%の場合、24万円×10%=24,000円が所得税の還付額となります。
より正確に計算するには、iDeCoの掛金を控除する前と後の所得税額を比較します。課税所得238万円の場合、所得税額は140,500円です。ここから年間24万円のiDeCo掛金を控除すると、課税所得は214万円となり、所得税額は116,500円です。差額の24,000円が還付される金額です。
復興特別所得税(所得税額の2.1%)も考慮すると、実際の還付額は約24,500円となります。この復興特別所得税は2037年まで課税されるため、還付額を計算する際には忘れずに含めましょう。計算が複雑に感じる場合は、国税庁のホームページにある確定申告書等作成コーナーのシミュレーション機能を活用すると便利です。
住民税の減額額は、「iDeCoの年間掛金額×10%」で計算できます。住民税率は所得に関わらず一律10%(都道府県民税4%+市区町村民税6%)のため、計算は所得税よりもシンプルです。年間24万円をiDeCoに拠出した場合、24万円×10%=24,000円が住民税の減額額となります。
住民税の減額は翌年6月から適用されるため、今年の年末調整で申告した内容が、翌年6月から翌々年5月までの住民税に反映されます。月割りにすると、24,000円÷12ヶ月=2,000円ずつ毎月の住民税が安くなる計算です。
住民税の減額効果は、翌年6月に勤務先から配布される住民税決定通知書で確認できます。通知書の「所得控除額」の欄に「小規模企業共済等掛金控除」としてiDeCoの掛金額が記載されているか確認しましょう。また、「税額」の欄で前年と比較すると、減額効果を実感できます。所得税の還付と住民税の減額を合わせると、年収500万円・年間24万円拠出で合計約48,000円の節税効果となります。
年収・家族構成別の還付額シミュレーション
iDeCoの還付額は年収だけでなく、家族構成(扶養人数)によっても変わります。ここでは、具体的なケース別に還付額をシミュレーションし、自分に近い状況を見つけられるようにします。
単身者(扶養家族なし)の場合、基礎控除と社会保険料控除のみが適用されるため、課税所得が比較的高くなります。以下の表は、年収別・掛金別の還付額シミュレーションです。
| 年収 | 月額掛金 | 年間掛金 | 所得税還付額 | 住民税減額 | 合計節税額 |
| 300万円 | 1万円 | 12万円 | 約6,000円 | 約12,000円 | 約18,000円 |
| 300万円 | 2万円 | 24万円 | 約12,000円 | 約24,000円 | 約36,000円 |
| 500万円 | 2万円 | 24万円 | 約24,000円 | 約24,000円 | 約48,000円 |
| 500万円 | 2.3万円 | 27.6万円 | 約27,600円 | 約27,600円 | 約55,200円 |
| 700万円 | 2万円 | 24万円 | 約48,000円 | 約24,000円 | 約72,000円 |
| 700万円 | 2.3万円 | 27.6万円 | 約55,200円 | 約27,600円 | 約82,800円 |
単身者の場合、所得控除が少ないため課税所得が高くなりやすく、所得税率も高めになります。そのため、iDeCoの節税効果を最大限に活用できる傾向があります。
単身者の場合、所得控除が少ないため、課税所得が高くなりやすく、所得税率も高めになります。そのため、iDeCoの節税効果を最大限に活用できる傾向があります。
配偶者控除または配偶者特別控除が適用される場合、課税所得が減少するため、単身者と比べて所得税率が低くなることがあります。配偶者控除は38万円(配偶者の年収103万円以下)、配偶者特別控除は配偶者の年収に応じて段階的に適用されます。
| 年収 | 月額掛金 | 年間掛金 | 所得税還付額 | 住民税減額 | 合計節税額 |
| 400万円 | 2万円 | 24万円 | 約12,000円 | 約24,000円 | 約36,000円 |
| 500万円 | 2万円 | 24万円 | 約12,000円 | 約24,000円 | 約36,000円 |
| 600万円 | 2.3万円 | 27.6万円 | 約27,600円 | 約27,600円 | 約55,200円 |
配偶者控除が適用されると、課税所得が減少するため、所得税率が1段階下がることがあります。例えば、年収500万円で配偶者控除がある場合、所得税率が10%から5%になる可能性があり、iDeCoの還付額も変わります。自分の所得税率を正確に把握することが重要です。
配偶者控除と扶養控除(子ども2人)が適用される場合、所得控除額が大きくなり、課税所得がさらに減少します。扶養控除は1人あたり38万円(16歳以上)で、子どもが19歳以上23歳未満の場合は特定扶養親族として63万円の控除が受けられます。
| 年収 | 月額掛金 | 年間掛金 | 所得税還付額 | 住民税減額 | 合計節税額 |
| 500万円 | 2万円 | 24万円 | 約12,000円 | 約24,000円 | 約36,000円 |
| 600万円 | 2.3万円 | 27.6万円 | 約13,800円 | 約27,600円 | 約41,400円 |
| 700万円 | 2.3万円 | 27.6万円 | 約27,600円 | 約27,600円 | 約55,200円 |
扶養家族が多い場合、所得控除額が大きくなるため、課税所得が減少し、所得税率が低くなる傾向があります。そのため、単身者と比べてiDeCoの還付額は少なくなりますが、それでも年間数万円の節税効果があります。
ふるさと納税との併用では、iDeCoの所得控除によって課税所得が減少するため、ふるさと納税の控除上限額も減少します。ふるさと納税を活用している方は、iDeCoの拠出額を考慮して寄付額を調整しましょう。
iDeCoは住宅ローン控除やふるさと納税と併用できますが、控除の適用順序や限度額に注意が必要です。住宅ローン控除は税額控除のため、所得控除であるiDeCoとは計算方法が異なります。
例えば、年収600万円で住宅ローン控除20万円、iDeCo年間24万円を拠出している場合、まずiDeCoの所得控除が適用されて課税所得が減少し、その後に住宅ローン控除が税額から差し引かれます。この場合、iDeCoの還付額は約36,000円、住宅ローン控除は最大20万円(所得税額の範囲内)が適用されます。
ふるさと納税との併用では、iDeCoの所得控除によって課税所得が減少するため、ふるさと納税の控除上限額も減少します。年収600万円でiDeCo年間24万円を拠出すると、ふるさと納税の控除上限額は約7.7万円から約7.2万円に減少します。ふるさと納税を活用している方は、iDeCoの拠出額を考慮して寄付額を調整しましょう。
iDeCoの年末調整に必要な書類と準備
iDeCoの年末調整をスムーズに進めるには、必要書類を事前に準備することが大切です。ここでは、必要書類とその準備方法をチェックリスト形式で解説します。
小規模企業共済等掛金払込証明書は、iDeCoの掛金を支払ったことを証明する書類で、年末調整に必須です。証明書には、その年の1月から9月または10月までに拠出した掛金の合計額と、12月までの拠出予定額が記載されています。
小規模企業共済等掛金払込証明書は、iDeCoの掛金を支払ったことを証明する書類で、年末調整に必須です。この証明書は、iDeCoを運営する国民年金基金連合会から、加入している金融機関を通じて郵送されます。
証明書には、その年の1月から9月または10月までに拠出した掛金の合計額と、12月までの拠出予定額が記載されています。年末調整では、12月までの拠出予定額を申告します。掛金を月払いで拠出している場合、証明書に記載された金額がそのまま控除額となります。
給与所得者の保険料控除申告書は、年末調整で各種保険料控除を申告するための書類です。この申告書の「小規模企業共済等掛金控除」の欄にiDeCoの掛金額を記入します。
記入方法は、小規模企業共済等掛金払込証明書に記載された金額を転記するだけです。証明書の「合計金額」欄に記載された金額を、申告書の「確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金」の欄に記入します。金額は円単位で記入し、端数がある場合は切り捨てまたは切り上げの指示に従います。
申告書には、証明書を添付する必要があります。証明書は原本を提出し、申告書と一緒にホチキスで留めるか、クリップで留めて会社に提出します。提出期限は会社によって異なりますが、通常は11月下旬から12月上旬です。
申告書には、証明書を添付する必要があります。証明書は原本を提出し、申告書と一緒にホチキスで留めるか、クリップで留めて会社に提出します。提出期限は会社によって異なりますが、通常は11月下旬から12月上旬です。期限に遅れないよう、早めに準備しましょう。
小規模企業共済等掛金払込証明書は、通常10月下旬から11月上旬にかけて郵送されます。10月以降にiDeCoに加入した場合は、翌年1月下旬から2月上旬に証明書が届きます。証明書が届く時期は金融機関によって若干異なるため、加入している金融機関のホームページで確認すると安心です。
証明書が届かない場合や紛失した場合は、再発行を依頼できます。再発行の手続きは、加入している金融機関のコールセンターまたはホームページから行います。再発行には1週間から2週間程度かかるため、年末調整の期限に間に合うよう、早めに依頼しましょう。
証明書の再発行は無料で行えますが、金融機関によっては手数料がかかる場合があります。また、再発行を依頼する際には、加入者番号や基礎年金番号が必要になることがあるため、事前に確認しておくとスムーズです。証明書が届いたら、すぐに内容を確認し、大切に保管しましょう。
年末調整の手続き方法
iDeCoの年末調整は、給与所得者の保険料控除申告書に必要事項を記入し、小規模企業共済等掛金払込証明書を添付して会社に提出するだけです。ここでは、実際の記入方法を段階的に解説します。
給与所得者の保険料控除申告書は、国税庁が定める様式で、会社から配布されます。申告書の下部に「小規模企業共済等掛金控除」という欄があり、ここにiDeCoの掛金額を記入します。
記入箇所は、「確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金」という項目です。この欄に、小規模企業共済等掛金払込証明書に記載された「合計金額」を記入します。例えば、証明書に「240,000円」と記載されている場合、申告書にも「240,000」と記入します。
記入する金額は、その年の1月から12月までに拠出する予定の掛金の合計額です。証明書には、既に拠出した金額と今後拠出予定の金額が分けて記載されていますが、申告書には合計額のみを記入します。記入後、金額に誤りがないか必ず確認しましょう。
小規模企業共済等掛金払込証明書から申告書への転記は、証明書の「合計金額」欄を見て行います。証明書には、「既に拠出した金額」と「今後拠出予定の金額」、そして「合計金額」の3つが記載されています。申告書に記入するのは「合計金額」のみです。
例えば、証明書に「既に拠出した金額:200,000円」「今後拠出予定の金額:40,000円」「合計金額:240,000円」と記載されている場合、申告書には「240,000」と記入します。カンマは不要で、数字のみを記入します。
転記する際は、桁数を間違えないよう注意してください。240,000円を24,000円と記入してしまうと、控除額が10分の1になってしまい、還付額が大幅に減少します。記入後は、証明書と申告書の金額が一致しているか、必ず確認しましょう。
転記する際は、桁数を間違えないよう注意してください。240,000円を24,000円と記入してしまうと、控除額が10分の1になってしまい、還付額が大幅に減少します。記入後は、証明書と申告書の金額が一致しているか、必ず確認しましょう。
年末調整の記入でよくあるミスは、金額の桁数を間違える、証明書を添付し忘れる、記入欄を間違えるなどです。これらのミスを防ぐために、以下の点に注意しましょう。
まず、金額は証明書から正確に転記し、桁数を間違えないようにします。次に、証明書は必ず原本を添付し、コピーは手元に保管します。また、記入欄は「確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金」の欄に記入し、他の欄(小規模企業共済掛金など)と間違えないようにします。
もう一つのよくあるミスは、証明書が届く前に申告書を提出してしまうことです。証明書が届くのは通常10月下旬から11月上旬ですが、会社の年末調整の締切が早い場合、証明書が間に合わないことがあります。この場合は、確定申告で控除を受けることができるため、慌てる必要はありません。会社に事情を説明し、確定申告で対応する旨を伝えましょう。
記入した給与所得者の保険料控除申告書と小規模企業共済等掛金払込証明書は、会社の総務部または人事部に提出します。提出方法は会社によって異なり、紙の申告書を直接提出する場合と、電子データで提出する場合があります。
提出期限は会社によって異なりますが、通常は11月下旬から12月上旬です。期限を過ぎてしまうと、年末調整で控除を受けられなくなり、自分で確定申告をする必要があります。会社から配布される案内をよく読み、期限を守って提出しましょう。
提出する際は、申告書と証明書がしっかり留められているか確認します。証明書が剥がれて紛失すると、再発行の手間がかかります。また、申告書のコピーを取っておくと、後で内容を確認したいときに便利です。提出後は、会社から年末調整の結果が通知されるまで待ちましょう。通常、12月または1月の給与明細に還付額が記載されます。
個人払込と事業主払込の違いと手続き
iDeCoの掛金の払込方法には、個人払込と事業主払込の2種類があります。払込方法によって年末調整の手続きが異なるため、自分がどちらの方法で拠出しているか確認しましょう。
個人払込は、加入者本人の銀行口座から直接掛金が引き落とされる方法です。この場合、年末調整で小規模企業共済等掛金控除を申告する必要があります。手続きは、小規模企業共済等掛金払込証明書を会社に提出するだけです。
個人払込のメリットは、転職や退職をしても掛金の拠出が継続できることです。また、掛金の変更や停止も自分で手続きできるため、柔軟に対応できます。
個人払込のメリットは、転職や退職をしても掛金の拠出が継続できることです。また、掛金の変更や停止も自分で手続きできるため、柔軟に対応できます。デメリットは、毎月の引き落とし手数料がかかる場合があることと、年末調整の手続きが必要なことです。
個人払込の場合、証明書は10月下旬から11月上旬に郵送されます。証明書が届いたら、すぐに内容を確認し、年末調整の申告書に記入して会社に提出しましょう。証明書を紛失した場合は、金融機関に連絡して再発行を依頼してください。
事業主払込のメリットは、年末調整の手続きが不要で、証明書を会社に提出する手間がかからないことです。また、給与天引きのため、拠出し忘れる心配がありません。
事業主払込は、勤務先の会社が給与天引きで掛金を拠出する方法です。この場合、掛金は給与から天引きされた後にiDeCoの口座に拠出されるため、給与所得の計算時点で既に所得控除が適用されています。そのため、年末調整で改めて申告する必要はありません。
事業主払込のメリットは、年末調整の手続きが不要で、証明書を会社に提出する手間がかからないことです。また、給与天引きのため、拠出し忘れる心配がありません。デメリットは、転職や退職をすると事業主払込が停止され、個人払込に切り替える手続きが必要になることです。
年末調整が間に合わない場合の対処法
年末調整の期限に間に合わなかった場合や、証明書が届かなかった場合でも、確定申告で控除を受けることができます。ここでは、年末調整が間に合わない場合の対処法を解説します。
年末調整でiDeCoの控除を申告できなかった場合、翌年の2月16日から3月15日までの確定申告期間に、自分で確定申告を行うことで控除を受けられます。確定申告は、国税庁のホームページにある「確定申告書等作成コーナー」を利用すると、自宅で簡単に作成できます。
確定申告では、源泉徴収票と小規模企業共済等掛金払込証明書を用意します。確定申告書の「所得控除」の欄に、iDeCoの掛金額を記入し、証明書を添付して税務署に提出します。確定申告を行うと、年末調整で受けられなかった還付金が、申告後1ヶ月から2ヶ月程度で指定した銀行口座に振り込まれます。
確定申告は難しそうに感じるかもしれませんが、国税庁の作成コーナーでは画面の指示に従って入力するだけで、自動的に計算してくれます。また、税務署で相談しながら申告書を作成することもできます。年末調整が間に合わなかった場合でも、確定申告で必ず控除を受けましょう。
確定申告の期間は、毎年2月16日から3月15日までです。この期間内に、前年の所得と控除を申告します。確定申告に必要な書類は、源泉徴収票、小規模企業共済等掛金払込証明書、マイナンバーカード(または通知カードと本人確認書類)、還付金を受け取る銀行口座の情報です。
源泉徴収票は、勤務先から1月下旬から2月上旬に配布されます。源泉徴収票には、年収、給与所得控除後の金額、所得控除の額の合計額、源泉徴収税額などが記載されており、確定申告に必要な情報がすべて含まれています。
小規模企業共済等掛金払込証明書は、年末調整で使用する証明書と同じものです。年末調整で提出していない場合は、手元にある証明書を確定申告で使用します。証明書を紛失した場合は、金融機関に連絡して再発行を依頼してください。再発行には時間がかかるため、早めに依頼しましょう。
e-Taxは、インターネットを利用して確定申告を行うシステムです。e-Taxを利用すると、自宅から24時間いつでも申告でき、税務署に行く必要がありません。また、還付金の振込も早く、通常3週間程度で受け取れます。
e-Taxを利用するには、マイナンバーカードとICカードリーダー(またはマイナンバーカード読み取り対応のスマートフォン)が必要です。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にアクセスし、画面の指示に従って入力していきます。源泉徴収票と証明書の内容を入力し、申告書を作成したら、e-Taxで送信します。
e-Taxで申告する場合、証明書の添付は不要ですが、一定期間保管する義務があります。税務署から問い合わせがあった場合に提示できるよう、証明書は5年間保管しましょう。e-Taxの操作方法が分からない場合は、国税庁のホームページに詳しい説明動画があるため、参考にしてください。
特殊ケースの年末調整
転職や退職、公務員など、一般的な会社員とは異なる状況の場合、年末調整の手続きに注意が必要です。ここでは、特殊ケース別の対応方法を解説します。
年の途中で転職した場合、新しい勤務先で年末調整を行います。この際、前職の源泉徴収票と、iDeCoの小規模企業共済等掛金払込証明書を新しい勤務先に提出する必要があります。前職の源泉徴収票には、前職での年収と源泉徴収税額が記載されており、年末調整で合算して計算されます。
転職後すぐに新しい勤務先で年末調整を受けられる場合は、前職の源泉徴収票と証明書を提出するだけです。ただし、12月に転職した場合や、新しい勤務先で年末調整が間に合わない場合は、自分で確定申告を行う必要があります。
転職時にiDeCoの払込方法を変更する場合は、金融機関に連絡して手続きを行います。事業主払込から個人払込に変更する場合、前職での事業主払込が停止されるため、個人払込に切り替える手続きが必要です。
転職時にiDeCoの払込方法を変更する場合は、金融機関に連絡して手続きを行います。事業主払込から個人払込に変更する場合、前職での事業主払込が停止されるため、個人払込に切り替える手続きが必要です。手続きには1ヶ月から2ヶ月程度かかるため、早めに対応しましょう。
年の途中で退職し、年末時点で無職の場合、自分で確定申告を行う必要があります。退職時に勤務先から受け取った源泉徴収票と、iDeCoの小規模企業共済等掛金払込証明書を用意し、翌年の確定申告期間に申告します。
退職後に再就職していない場合、年末調整を受ける勤務先がないため、確定申告が必須です。確定申告を行うことで、在職中に天引きされていた所得税の一部が還付される可能性があります。特に、年の途中で退職した場合、源泉徴収税額が多めに天引きされていることが多いため、確定申告で還付を受けられるケースが多いです。
退職後にiDeCoの掛金を拠出し続ける場合、個人払込に切り替える必要があります。退職前に事業主払込だった場合、退職後は自動的に停止されるため、金融機関に連絡して個人払込に変更する手続きを行いましょう。手続きを忘れると、掛金の拠出が停止されてしまうため、早めに対応してください。
公務員の場合、iDeCoの掛金上限額が月額1.2万円(年間14.4万円)と、会社員よりも低く設定されています。これは、公務員が共済年金に加入しているためです。
公務員の場合、iDeCoの掛金上限額が月額1.2万円(年間14.4万円)と、会社員よりも低く設定されています。これは、公務員が共済年金に加入しているためです。掛金上限額が低いため、還付額も会社員と比べて少なくなります。
公務員の年末調整手続きは、会社員と同じです。小規模企業共済等掛金払込証明書を勤務先に提出し、給与所得者の保険料控除申告書に掛金額を記入します。公務員の場合、事業主払込を利用できる場合が多く、その場合は年末調整の手続きが不要です。
年末調整による所得税の還付金は、通常、年末調整を行った翌月または翌々月の給与と一緒に振り込まれます。12月に年末調整を行った場合、1月または2月の給与明細に「年末調整還付金」などの項目で記載されます。還付金は給与口座に振り込まれるため、給与明細をよく確認しましょう。
還付のタイミングは会社によって異なります。早い会社では12月の給与と一緒に還付されることもあれば、1月または2月にまとめて還付される会社もあります。還付金がいつ振り込まれるかは、会社の総務部または人事部に確認するとよいでしょう。
住民税の減額は、年末調整を行った翌年の6月から反映されます。住民税は前年の所得に基づいて計算されるため、今年の年末調整で申告したiDeCoの掛金は、翌年6月から翌々年5月までの住民税に反映されます。
住民税の減額は、毎月の給与から天引きされる住民税が少なくなる形で実感します。翌年6月に勤務先から配布される住民税決定通知書で、所得控除額にiDeCoの掛金が反映されていることを確認できます。所得税のように一括で還付されるわけではないため、見落としがちですが、年間で見ると大きな節税効果があります。
年末調整でiDeCoの控除を申告し忘れた場合でも、翌年の確定申告で控除を受けることができます。確定申告期間(2月16日から3月15日)に、源泉徴収票と小規模企業共済等掛金払込証明書を用意して申告しましょう。確定申告を行うことで、年末調整で受けられなかった還付金を受け取れます。
確定申告を忘れてしまった場合でも、5年以内であれば還付申告を行うことができます。還付申告は、確定申告期間に関わらず、いつでも行えます。ただし、還付金を受け取るまでに時間がかかるため、できるだけ早めに申告しましょう。
掛金を年の途中で変更した場合でも、年末調整では1月から12月までに拠出した掛金の合計額を申告します。小規模企業共済等掛金払込証明書には、掛金変更後の金額が反映された合計額が記載されているため、証明書の金額をそのまま申告書に記入すれば問題ありません。
掛金を増額または減額した場合、証明書の「合計金額」欄に変更後の金額が反映されています。証明書が届いたら、記載内容を確認し、掛金変更が正しく反映されているか確認しましょう。誤りがある場合は、すぐに金融機関に連絡してください。
iDeCoとふるさと納税は併用できますが、iDeCoの所得控除によって課税所得が減少するため、ふるさと納税の控除上限額も減少します。例えば、年収600万円でiDeCo年間24万円を拠出すると、ふるさと納税の控除上限額は約7.7万円から約7.2万円に減少します。
ふるさと納税の控除上限額は、課税所得に基づいて計算されるため、iDeCoの掛金を拠出すると上限額が下がります。ふるさと納税を活用している方は、iDeCoの拠出額を考慮して寄付額を調整しましょう。総務省のふるさと納税ポータルサイトや、各ふるさと納税サイトのシミュレーションツールを活用すると、正確な上限額を計算できます。
iDeCoと住宅ローン控除は併用できます。iDeCoは所得控除、住宅ローン控除は税額控除のため、計算方法が異なります。まずiDeCoの所得控除が適用されて課税所得が減少し、その後に住宅ローン控除が税額から差し引かれます。
例えば、年収600万円でiDeCo年間24万円を拠出し、住宅ローン控除20万円がある場合、まずiDeCoの所得控除が適用されて課税所得が減少し、その後に住宅ローン控除が税額から差し引かれます。この場合、iDeCoの還付額は約36,000円、住宅ローン控除は最大20万円(所得税額の範囲内)が適用されます。住宅ローン控除で所得税が全額控除される場合、iDeCoの所得税還付額は実感しにくいですが、住民税の減額効果は確実に受けられます。
iDeCoの年末調整は、小規模企業共済等掛金払込証明書を会社に提出するだけで、所得税の還付と住民税の減額という大きな節税効果を受けられます。年収や掛金額によって還付額は異なりますが、年収500万円で月2万円を拠出している場合、年間約4.8万円の節税効果が期待できます。
年末調整の手続きは、証明書が10月下旬から11月上旬に届いたら、給与所得者の保険料控除申告書に掛金額を記入し、証明書を添付して会社に提出するだけです。記入箇所を間違えないよう注意し、証明書の金額を正確に転記しましょう。年末調整が間に合わない場合でも、確定申告で控除を受けられるため、慌てる必要はありません。
転職や退職、公務員など、特殊なケースでも、適切に手続きを行えば控除を受けられます。転職した場合は新しい勤務先で年末調整を行い、退職して無職の場合は確定申告を行いましょう。公務員の場合は掛金上限額が月額1.2万円ですが、それでも年間約3万円の節税効果があります。
iDeCoの年末調整は、正確な情報と適切な手続きで、確実に節税効果を実感できます。証明書が届いたらすぐに内容を確認し、期限内に会社に提出しましょう。なお、iDeCoは60歳まで引き出せない制度です。投資には元本割れのリスクがあります。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。詳しくは加入している金融機関にご確認ください。
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