iDeCoの年末調整はどうする?手続き方法と書き方を解説

iDeCoの年末調整はどうする?手続き方法と書き方を解説

iDeCoに加入したけれど、年末調整の手続きがよく分からないとお悩みではありませんか。

iDeCoの掛金は全額所得控除の対象となり、年末調整で手続きをすれば税金が戻ってきます。

しかし、初めての方は「どんな書類が必要なのか」「どこに何を書けばいいのか」と不安に感じることも多いでしょう。

この記事では、iDeCoの年末調整に必要な書類から具体的な記入方法、よくあるトラブルの対処法まで、初心者の方にも分かりやすく解説します。

年末調整の手続きをスムーズに完了させて、しっかりと税制優遇を受けましょう。

この記事の要約
  • iDeCoの年末調整には「小規模企業共済等掛金払込証明書」と「給与所得者の保険料控除申告書」の2つの書類が必要
  • 証明書に記載された金額を申告書の「小規模企業共済等掛金控除」欄に転記するだけで手続きは完了
  • 年末調整に間に合わなかった場合でも、確定申告で控除を受けることができる
SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

目次

iDeCoの年末調整とは?|所得控除で税金が戻る仕組み

iDeCoの年末調整とは、1年間に支払った掛金を会社に申告することで、所得税や住民税の負担を軽減する手続きです。iDeCoの掛金は全額が所得控除の対象となるため、年末調整で申告すれば払いすぎた税金が還付金として戻ってきます。

年末調整は会社員の方が勤務先で行う税金の精算手続きで、毎年11月から12月にかけて実施されます。iDeCoに加入している方は、この年末調整のタイミングで掛金の控除申告を行うことで、税制優遇を受けることができるのです。

年末調整で受けられる所得控除とは

所得控除とは、1年間の所得から一定の金額を差し引くことで、課税対象となる所得を減らす仕組みです。所得控除が増えれば課税所得が減り、結果として納める税金が少なくなります。

年末調整では、生命保険料控除や地震保険料控除などさまざまな控除を申告できますが、iDeCoの掛金は「小規模企業共済等掛金控除」という区分で申告します。この控除は掛金の全額が対象となるため、節税効果が非常に高いのが特徴です。

国税庁「小規模企業共済等掛金控除」

iDeCoの掛金が全額控除される理由

iDeCoの掛金が全額所得控除の対象となるのは、個人型確定拠出年金法に基づく税制優遇措置によるものです。国は国民の老後資金の自助努力を支援するため、iDeCoに対して手厚い税制メリットを用意しています。

生命保険料控除などは控除額に上限がありますが、iDeCoの小規模企業共済等掛金控除には上限がありません。つまり、月額1万円の掛金なら年間12万円、月額2万円なら年間24万円が全額控除されるため、掛金が多いほど節税効果も大きくなります。

いくら税金が戻ってくる?|年収別の目安

年末調整で戻ってくる税金の額は、年収と掛金額によって異なります。所得税は累進課税制度のため、年収が高い方ほど税率が高く、還付金も多くなる傾向があります。

例えば、年収400万円の方が月額2万円(年間24万円)をiDeCoに拠出した場合、年間約4.8万円の節税効果が期待できます。年収600万円の方なら所得税率20%となるため、年間約7.2万円の節税が可能です。

ただし、実際の還付金額は各種控除や扶養家族の有無などによって変わるため、あくまで目安としてお考えください。正確な金額を知りたい方は、iDeCo公式サイトのシミュレーションツールを活用するとよいでしょう。

iDeCoの年末調整で必要な書類は2つ

iDeCoの年末調整を行うには、2つの書類が必要です。1つは金融機関から送られてくる「小規模企業共済等掛金払込証明書」、もう1つは勤務先に提出する「給与所得者の保険料控除申告書」です。

この2つの書類さえ準備できれば、年末調整の手続きは難しくありません。それぞれの書類の役割と入手方法を確認しておきましょう。

小規模企業共済等掛金払込証明書

小規模企業共済等掛金払込証明書は、1年間にiDeCoに拠出した掛金額を証明する書類です。

この証明書は、iDeCoの運営管理機関である国民年金基金連合会から、毎年10月中旬以降に自宅に郵送されます。

証明書には、1月から9月までに実際に拠出した掛金額と、10月から12月までの予定額を合計した年間掛金合計額が記載されています。年末調整ではこの合計額を申告書に転記することになるため、証明書は必ず保管しておきましょう。

給与所得者の保険料控除申告書

給与所得者の保険料控除申告書は、年末調整で各種保険料控除を申告するための書類で、勤務先から配布されます。正式名称は「給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」ですが、一般的には「保険料控除申告書」と呼ばれています。

この申告書には、生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除などを記入する欄があります。iDeCoの掛金は「小規模企業共済等掛金控除」の欄に記入します。

申告書は毎年11月頃に勤務先から配布されることが多く、提出期限は会社によって異なりますが、12月上旬から中旬が一般的です。提出期限を過ぎると年末調整が間に合わなくなる可能性があるため、早めに準備しましょう。

国税庁「年末調整がよくわかるページ」

iDeCoの年末調整手続き|3つのステップで完了

iDeCoの年末調整は、3つのステップで簡単に完了します。初めての方でも迷わないよう、具体的な手順を順番に解説していきます。

手続きの流れを事前に把握しておけば、スムーズに年末調整を済ませることができるでしょう。

ステップ1:小規模企業共済等掛金払込証明書を受け取る

まずは、国民年金基金連合会から郵送される「小規模企業共済等掛金払込証明書」を受け取ります。この証明書は、iDeCoに加入している方全員に自動的に送られてくるため、特別な手続きは不要です。

証明書が届いたら、記載内容を必ず確認しましょう。特に重要なのは「合計金額」の欄です。この金額が年末調整で申告する掛金額になります。もし掛金額に変更があった場合や、掛金の拠出を一時停止していた期間がある場合は、金額が想定と異なる可能性があるため注意が必要です。

証明書を紛失してしまった場合は、加入している金融機関(運営管理機関)に連絡すれば再発行してもらえます。再発行には1週間から10日程度かかることがあるため、紛失に気づいたら早めに手続きしましょう。

ステップ2:給与所得者の保険料控除申告書を記入する

次に、勤務先から配布された「給与所得者の保険料控除申告書」に必要事項を記入します。iDeCoの掛金は、申告書の下部にある「小規模企業共済等掛金控除」の欄に記入します。

記入する内容は、掛金の種類(「個人型確定拠出年金」にチェック)、支払先の名称(加入している金融機関名)、掛金額(証明書に記載された合計金額)の3つです。掛金額は、小規模企業共済等掛金払込証明書に記載されている金額をそのまま転記すれば問題ありません

記入が終わったら、証明書の原本を申告書に添付します。コピーではなく必ず原本を添付してください。記入ミスがないか最終確認をしたら、次のステップに進みます。

ステップ3:書類を会社に提出する

記入した保険料控除申告書と小規模企業共済等掛金払込証明書を、会社の指定する期限までに提出します。提出先は通常、人事部や総務部などの年末調整担当部署です。

提出期限は会社によって異なりますが、多くの企業では12月上旬から中旬に設定されています。期限を過ぎると年末調整が間に合わなくなり、自分で確定申告をしなければならなくなるため、余裕を持って提出しましょう。

書類を提出したら、年末調整の手続きは完了です。12月または1月の給与で還付金が支払われるか、源泉徴収票で控除が適用されていることを確認できます。還付金の支払い時期は会社によって異なるため、不明な点があれば担当部署に確認するとよいでしょう。

給与所得者の保険料控除申告書の書き方|記入例付き

給与所得者の保険料控除申告書の記入方法について、具体的に解説します。初めて記入する方でも迷わないよう、記入する場所と書き方のポイントを詳しく説明していきます。

正しく記入すれば、年末調整で確実に控除を受けることができます。

記入する場所は「小規模企業共済等掛金控除」欄

iDeCoの掛金を記入するのは、保険料控除申告書の下部にある「小規模企業共済等掛金控除」の欄です。この欄は、申告書の中でも比較的下の方に配置されているため、見落とさないよう注意しましょう。

小規模企業共済等掛金控除の欄には、「個人型確定拠出年金」「小規模企業共済」「心身障害者扶養共済」の3つの項目があります。iDeCoに加入している方は「個人型確定拠出年金」の行にチェックを入れて記入します。

証明書の金額を転記する方法

記入する金額は、小規模企業共済等掛金払込証明書に記載されている「合計金額」をそのまま転記します。証明書には「既払込掛金額」「12月までの掛金予定額」「合計金額」の3つの金額が記載されていますが、年末調整で申告するのは「合計金額」です。

1. 「個人型確定拠出年金」の行の「掛金の種類」欄にチェックを入れる
2. 「支払先の名称」欄に加入している金融機関の名称を記入(例:SBI証券、楽天証券など)
3. 「掛金額」欄に証明書の合計金額を記入

記入が終わったら、証明書の原本を申告書に添付して提出します。証明書を添付し忘れると控除が受けられない可能性があるため、必ず確認しましょう。

国税庁「給与所得者の保険料控除申告書の記載例」

記入時によくあるミスと注意点

年末調整の記入でよくあるミスをいくつか紹介します。

よくある記入ミス

掛金額の記入ミス
証明書の「既払込掛金額」だけを記入してしまい、「合計金額」を記入し忘れるケースがあります。必ず「合計金額」を記入しましょう。

証明書の添付忘れ
申告書だけを提出して証明書を添付し忘れると、控除が受けられません。提出前に必ず証明書が添付されているか確認してください。

金額の桁を間違える
例えば、24万円を240,000円ではなく2,400,000円と記入してしまうケースです。桁数を間違えると大幅に控除額が変わってしまうため、記入後は必ず見直しましょう。

もし記入ミスに気づいたら、訂正印を押して修正するか、会社の担当者に相談して書き直しましょう。提出後にミスに気づいた場合でも、年末調整の期限内であれば訂正できることが多いため、早めに申し出ることが大切です。

小規模企業共済等掛金払込証明書が届かない場合の対処法

小規模企業共済等掛金払込証明書が届かない場合、いくつかの原因が考えられます。証明書は年末調整に必須の書類なので、届かない場合は早めに対処しましょう。

ここでは、証明書の発行時期や届かない場合の対処法について詳しく解説します。

証明書の発行時期と発送スケジュール

小規模企業共済等掛金払込証明書は、国民年金基金連合会から毎年10月以降に発送されます。発送時期は、iDeCoに加入した時期によって異なるため、自分がいつ加入したかを確認しておきましょう。

1月~9月に加入した方
10月下旬頃に発送。年末調整の期限に十分間に合うタイミングで受け取ることができます。
10月に加入した方
11月下旬頃に発送。年末調整の期限ギリギリになる可能性があるため、届いたらすぐに手続きを進めましょう。
11月に加入した方
12月下旬頃に発送。会社の年末調整期限に間に合わない可能性があるため、確定申告での対応も視野に入れましょう。

10月以降に加入した場合はいつ届く?

10月以降にiDeCoに加入した方は、証明書の発送時期が遅くなるため注意が必要です。10月加入の場合は11月下旬、11月加入の場合は12月下旬に発送されるため、会社の年末調整の期限に間に合わない可能性があります。

特に12月に加入した方は、証明書の発送が翌年1月になるため、年末調整には確実に間に合いません。この場合は、翌年の確定申告で控除を受けることになります。

もし証明書の到着が会社の年末調整期限に間に合わない場合は、担当者に事情を説明し、確定申告で対応する旨を伝えましょう。確定申告でも年末調整と同じように控除を受けることができるため、焦る必要はありません。

証明書を紛失した場合の再発行方法

証明書を紛失してしまった場合は、加入している金融機関(運営管理機関)に連絡して再発行を依頼しましょう。再発行の手続きは、金融機関のウェブサイトや電話、コールセンターから申し込むことができます。

再発行には通常1週間から10日程度かかるため、紛失に気づいたらできるだけ早く手続きを開始してください。会社の年末調整期限が迫っている場合は、その旨を金融機関に伝えると、優先的に対応してもらえることもあります。

再発行の手続きには、氏名、生年月日、基礎年金番号などの情報が必要になります。事前に準備しておくとスムーズです。また、再発行には手数料がかかる金融機関もあるため、事前に確認しておくとよいでしょう。

年末調整に間に合わなかった場合はどうする?|確定申告への切り替え

年末調整の期限に間に合わなかった場合でも、確定申告で控除を受けることができます。確定申告は翌年2月16日から3月15日までの期間に行うため、時間的な余裕があります。

ここでは、確定申告で控除を受ける方法と必要な手続きについて解説します。

確定申告で所得控除を受ける方法

確定申告でiDeCoの所得控除を受けるには、確定申告書に小規模企業共済等掛金控除の金額を記入し、小規模企業共済等掛金払込証明書を添付して税務署に提出します。年末調整と同じように、証明書に記載された合計金額を申告書に転記するだけなので、手続き自体は難しくありません。

確定申告書は、国税庁のウェブサイトから「確定申告書等作成コーナー」を利用して作成するのが便利です。画面の指示に従って必要事項を入力していけば、自動的に税額が計算され、申告書が完成します。

確定申告で控除を受けた場合、還付金は申告から1か月から1か月半程度で指定した銀行口座に振り込まれます。年末調整よりも還付までに時間がかかりますが、控除額は年末調整と全く同じなので、損をすることはありません。

国税庁「確定申告書等作成コーナー」

確定申告の期限と必要書類

確定申告の期限は、毎年2月16日から3月15日までです(土日祝日の場合は翌平日)。この期間内に税務署に申告書を提出するか、e-Taxで電子申告を行う必要があります。

確定申告で必要な書類

  • 確定申告書
  • 小規模企業共済等掛金払込証明書
  • 源泉徴収票
  • マイナンバーカード(または通知カードと本人確認書類)
  • 還付金の振込先口座情報

確定申告は税務署の窓口に直接提出する方法のほか、郵送やe-Taxでの電子申告も可能です。e-Taxを利用すれば自宅から24時間申告できるため、忙しい方にもおすすめです。

e-Taxでの申告手順

e-Taxは、インターネットを通じて確定申告を行える便利なシステムです。e-Taxを利用するには、マイナンバーカードとICカードリーダー(またはスマートフォン)が必要です。

1. 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にアクセスし、「e-Taxで提出」を選択
2. マイナンバーカードを使ってログインし、画面の指示に従って所得や控除の情報を入力
3. 「所得控除の入力」画面で「小規模企業共済等掛金控除」を選択し、証明書に記載された金額を入力
4. すべての入力が終わったら、内容を確認して送信

e-Taxで申告した場合、書類の郵送が不要になるため手間が省けます。ただし、証明書の原本は5年間保管する必要があるため、申告後も大切に保管しておきましょう。

ケース別|iDeCoの年末調整で気をつけたいこと

iDeCoの年末調整には、加入状況や掛金の拠出方法によっていくつかの特殊なケースがあります。ここでは、それぞれのケースで注意すべきポイントを解説します。

自分の状況に当てはまるケースがないか確認しておきましょう。

事業主払込(給与天引き)の場合の年末調整

事業主払込とは、iDeCoの掛金を給与から天引きして会社が代わりに納付する方法です。この方法を利用している場合、年末調整の手続きが不要になるケースがあります。

事業主払込の場合、掛金は給与から天引きされた時点で所得控除として処理されるため、改めて年末調整で申告する必要がありません。源泉徴収票の「小規模企業共済等掛金控除」欄に自動的に金額が記載されるため、特別な手続きは不要です。

年の途中で事業主払込から個人払込に変更した場合や、その逆の場合は注意が必要です。個人払込の期間分については、通常どおり小規模企業共済等掛金払込証明書を使って年末調整で申告する必要があります。

企業型DCとiDeCoを併用している場合

企業型DC(企業型確定拠出年金)とiDeCoを併用している方は、それぞれの掛金を別々に申告する必要があります。企業型DCの掛金は通常、会社が把握しているため年末調整で自動的に処理されますが、iDeCoの掛金は自分で申告しなければなりません。

年末調整では、iDeCoの小規模企業共済等掛金払込証明書を提出して、通常どおり申告します。企業型DCの掛金については、源泉徴収票の「企業型年金掛金」欄に記載されるため、特別な手続きは不要です。

企業型DCとiDeCoを併用する場合、掛金の上限額が通常よりも低く設定されているため注意が必要です。上限を超えて拠出してしまうと、超過分は控除の対象外となり、さらに還付を求められる可能性もあります。

住宅ローン控除やふるさと納税と併用する場合

iDeCoの所得控除は、住宅ローン控除やふるさと納税(寄附金控除)と併用することができます。ただし、複数の控除を併用する場合、控除の順序や計算方法に注意が必要です。

所得控除(iDeCo、ふるさと納税など)は課税所得を減らす効果があり、税額控除(住宅ローン控除)は計算された税額から直接差し引かれます。そのため、iDeCoで課税所得が減ると、住宅ローン控除で控除できる税額も減る可能性があります。

特に住宅ローン控除の金額が大きい方は、iDeCoの控除によって還付される税金が少なくなることがあります。また、ふるさと納税の控除上限額も課税所得によって変わるため、iDeCoで所得控除を受けると上限額が下がる可能性があります。複数の控除を併用する場合は、事前にシミュレーションしておくとよいでしょう。

年途中で掛金を変更した場合の証明書の見方

年の途中で掛金額を変更した場合、小規模企業共済等掛金払込証明書には変更前と変更後の掛金額が反映された合計金額が記載されます。証明書の「合計金額」欄を見れば、年間の総拠出額が分かるため、この金額を年末調整で申告すれば問題ありません。

ただし、証明書の内訳を確認すると、月ごとの掛金額が異なっている場合があります。これは掛金変更の手続きが反映されたためで、異常ではありません。気になる場合は、証明書に記載されている問い合わせ先に確認するとよいでしょう。

また、掛金の拠出を一時停止していた期間がある場合、その期間の掛金はゼロとして計算されます。証明書の合計金額が予想より少ない場合は、拠出停止期間がなかったか確認してみましょう。

マイナポータル連携で証明書を電子交付する方法

マイナポータル連携を利用すると、小規模企業共済等掛金払込証明書を電子データで受け取ることができます。紙の証明書を紛失する心配がなくなり、年末調整や確定申告の手続きも効率化できます。

ここでは、マイナポータル連携のメリットと設定方法を解説します。

マイナポータル連携のメリット

マイナポータル連携を設定すると、小規模企業共済等掛金払込証明書がマイナポータル上で電子データとして取得できるようになります。紙の証明書を待つ必要がなく、発行と同時にデータを確認できるため、年末調整の準備を早めに進めることができます。

マイナポータル連携の主なメリット

紛失の心配がない
電子データはマイナポータルに保存されるため、紛失の心配がありません。過去の証明書も遡って確認できます。

e-Taxと自動連携
e-Taxで確定申告を行う場合、証明書のデータを自動的に申告書に取り込むことができます。手入力の手間が省け、入力ミスも防げます。

電子交付の設定手順

マイナポータル連携で証明書を電子交付で受け取るには、事前に設定が必要です。設定はマイナポータルのウェブサイトから行います。

1. マイナポータルにアクセスし、マイナンバーカードを使ってログイン
2. 「もっとつながる」メニューから「国民年金基金連合会」を選択
3. 連携の申し込みを行う(次回の証明書発行時から電子データで受け取り可能)

設定には、マイナンバーカード、ICカードリーダー(またはスマートフォン)、パソコンまたはスマートフォンが必要です。設定は10分程度で完了するため、時間のあるときに済ませておくとよいでしょう。

マイナポータル「もっとつながる」

電子交付に切り替えた後の注意点

電子交付に切り替えた後は、紙の証明書は発送されなくなります。証明書が必要な場合は、マイナポータルにログインしてデータをダウンロードする必要があります。

年末調整で会社に証明書を提出する場合、電子データをプリントアウトして提出することもできますが、会社によっては電子データのまま提出できる場合もあります。事前に会社の担当者に確認しておくとよいでしょう。

マイナンバーカードの有効期限が切れるとマイナポータルにログインできなくなるため、カードの更新を忘れないようにしましょう。有効期限はマイナンバーカードに記載されています。

よくある質問(Q&A)

よくある質問
年末調整を忘れたらどうなる?

年末調整を忘れてしまった場合でも、翌年の確定申告で控除を受けることができます。確定申告は2月16日から3月15日までの期間に行えば問題ありません。

確定申告で控除を受ける場合、年末調整と同じように小規模企業共済等掛金払込証明書を添付して申告書を提出します。還付金は申告から1か月から1か月半程度で振り込まれるため、年末調整よりも時間はかかりますが、控除額は全く同じです。

証明書が会社の提出期限に間に合わない場合は?

証明書の到着が会社の年末調整期限に間に合わない場合は、確定申告で対応することになります。特に10月以降にiDeCoに加入した方は、証明書の発送が遅くなるため、年末調整に間に合わない可能性があります。

この場合は、会社の担当者に事情を説明し、確定申告で控除を受ける旨を伝えましょう。確定申告でも年末調整と同じように控除を受けられるため、焦る必要はありません。

年末調整後の源泉徴収票での確認方法は?

年末調整が正しく処理されたかどうかは、源泉徴収票で確認できます。源泉徴収票の「小規模企業共済等掛金控除」欄に、証明書に記載されていた金額が記載されていれば、正しく控除が適用されています。

もし金額が記載されていない場合や、金額が間違っている場合は、会社の担当者に確認しましょう。年末調整の期限内であれば訂正できることが多いため、早めに申し出ることが大切です。

翌年の住民税にはどう影響する?

iDeCoの所得控除は、所得税だけでなく住民税にも影響します。年末調整または確定申告で控除を受けると、翌年6月から支払う住民税が減額されます。

住民税は前年の所得に基づいて計算されるため、控除の効果が反映されるのは翌年になります。住民税の減額は給与明細で確認できるため、6月の給与明細を見て確認するとよいでしょう。

会社の担当者に質問されたらどう答える?

会社の担当者からiDeCoの年末調整について質問された場合、「個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛金で、小規模企業共済等掛金控除の対象です」と説明すれば問題ありません。

証明書の見方や記入方法について質問された場合は、「証明書の合計金額を申告書に転記し、証明書の原本を添付すればよい」と説明しましょう。ほとんどの会社の担当者はiDeCoの年末調整に慣れているため、スムーズに処理してもらえるはずです。

iDeCoの年末調整で還付金が少ないのはなぜ?

年末調整で戻ってくる還付金が思ったより少ない場合、いくつかの理由が考えられます。まず、毎月の源泉徴収額が適正だった場合、還付金は少なくなります。還付金は払いすぎた税金が戻ってくるものなので、元々払いすぎていなければ還付額も少なくなるのです。

また、住宅ローン控除など他の控除を併用している場合、すでに税額が大幅に減っているため、iDeCoの控除による還付金が少なくなることがあります。この場合でも、住民税の減額という形で節税効果は得られているため、損をしているわけではありません。

専業主婦(主夫)でもiDeCoの年末調整は必要?

専業主婦(主夫)の方でiDeCoに加入している場合、そもそも所得がないため年末調整や確定申告は不要です。iDeCoの所得控除は、所得税や住民税を軽減する制度なので、課税所得がない方には控除のメリットがありません。

ただし、パートやアルバイトで一定の収入がある場合は、年末調整または確定申告で控除を受けることができます。勤務先で年末調整を行っている場合は、通常どおり小規模企業共済等掛金払込証明書を提出しましょう。

まとめ

iDeCoの年末調整は、小規模企業共済等掛金払込証明書と給与所得者の保険料控除申告書の2つの書類があれば、誰でも簡単に手続きできます。証明書に記載された金額を申告書に転記し、証明書の原本を添付して会社に提出するだけで、所得税や住民税の負担を軽減できます。

年末調整の期限に間に合わなかった場合でも、確定申告で同じように控除を受けられるため、焦る必要はありません。e-Taxを利用すれば自宅から簡単に申告できるため、忙しい方にもおすすめです。

iDeCoの税制優遇を最大限活用するためには、毎年忘れずに年末調整または確定申告で控除を受けることが大切です。証明書が届いたら早めに手続きを済ませ、しっかりと節税効果を実感しましょう。

なお、iDeCoは長期的な資産形成を目的とした制度であり、60歳まで原則として引き出すことができません。掛金額の設定や運用商品の選択は、ご自身のライフプランやリスク許容度に合わせて慎重にご検討ください。投資には元本割れのリスクがあり、最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。詳しくは、加入している金融機関や専門家にご相談されることをおすすめします。

SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

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