新NISAとは?始め方と活用法をわかりやすく解説

NISA口座を複数の金融機関で開設したいと考えている方や、誤って複数申し込んでしまった方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、NISA口座は1人1口座までしか開設できません。
ただし、金融機関の変更は可能ですし、複数申し込んでしまった場合も適切に対処すれば問題ありません。
この記事では、NISA口座の複数開設に関するルール、誤って複数申し込んだ場合の対処法、金融機関変更の手順と注意点を詳しく解説します。
家族でNISA口座を活用する方法や、よくある質問もまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
目次
NISA口座は複数開設できる?
NISA口座の開設を検討している方にとって、最も基本的な疑問が「複数の金融機関で口座を持てるのか」という点です。ここでは、NISA口座の開設ルールを正確に理解しましょう。
NISA口座は、1人につき1つの金融機関でのみ開設できます。これは金融庁が定めた制度上のルールであり、複数の証券会社や銀行で同時にNISA口座を持つことはできません。
NISA制度は投資で得た利益を非課税にする優遇制度のため、税務署による厳格な管理が行われています。NISA口座を開設する際には、金融機関が税務署に申請を行い、「非課税適用確認書」の交付を受ける必要があります。
この確認書は1人につき1枚しか発行されないため、結果として1人1口座という制限が生まれるのです。
2024年から始まった新NISA制度でも、この「1人1口座」の原則は変わりません。年間投資枠が拡大し、つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能になりましたが、それでも開設できる金融機関は1つだけです。
ただし、金融機関の変更は年1回可能です。現在利用している金融機関から別の金融機関へ変更したい場合は、所定の手続きを行うことで変更できます。
新NISA制度では、つみたて投資枠(年間120万円)と成長投資枠(年間240万円)の2つの投資枠が用意されています。しかし、これらを別々の金融機関で使い分けることはできません。
例えば、「つみたて投資枠はA証券で、成長投資枠はB証券で」といった使い方は認められていません。NISA口座は1つの金融機関でしか開設できないため、つみたて投資枠も成長投資枠も同じ金融機関で利用する必要があります。
この制限は、NISA制度の管理を簡素化し、非課税枠の二重利用を防ぐためのものです。もし複数の金融機関で投資枠を分けられると、非課税枠の管理が複雑になり、誤って非課税限度額を超えてしまうリスクが高まります。
ただし、1つの金融機関内で両方の投資枠を併用することは可能です。例えば、つみたて投資枠で投資信託を積み立てながら、成長投資枠で個別株を購入するといった使い方ができます。
金融機関を選ぶ際は、つみたて投資枠と成長投資枠の両方で自分の投資スタイルに合った商品が揃っているか確認しましょう。
NISA口座は1人1口座の制限がありますが、課税口座(特定口座・一般口座)は複数の金融機関で開設できます。これは重要なポイントです。
課税口座とは、投資で得た利益に対して税金(20.315%)がかかる通常の証券口座のことです。NISA口座のような非課税の優遇はありませんが、開設数に制限はありません。
例えば、SBI証券、楽天証券、マネックス証券のすべてで課税口座を持つことが可能です。
複数の課税口座を持つメリット
各証券会社の強みを活かした使い分けができる
システム障害などのリスク分散になる
各社のIPO抽選に参加できる
ただし、複数の口座を管理する手間が増える点には注意が必要です。各口座の残高確認、取引履歴の管理、確定申告の準備などが煩雑になる可能性があります。
特定口座(源泉徴収あり)を選択すれば確定申告は不要ですが、複数口座間での損益通算を行う場合は確定申告が必要になります。
複数の金融機関でNISA口座を申し込んでしまったときの対処法
誤って複数の金融機関にNISA口座を申し込んでしまった場合でも、慌てる必要はありません。税務署の審査プロセスにより、適切に処理されます。
複数の金融機関にNISA口座開設を申し込んだ場合、最終的には税務署審査で先に受理された1つの金融機関でのみ口座が開設されます。これは自動的に処理されるため、申込者が特別な手続きをする必要はありません。
つまり、複数の金融機関に申し込んでも、税務署に最も早く申請が届いた金融機関でのみ口座が開設されることになります。
申込者が申し込んだ順番ではなく、税務署が受理した順番で決まる点に注意が必要です。金融機関によって税務署への申請タイミングが異なるため、後から申し込んだ金融機関の方が先に受理される可能性もあります。
どの金融機関で口座が開設されるかは、税務署の審査が完了するまで確定しません。通常、審査には1〜2週間程度かかります。審査結果は各金融機関から通知されますので、それを待ちましょう。
複数の金融機関にNISA口座を申し込んだ場合、税務署審査で受理されなかった金融機関からは「非課税適用確認書の交付を行わない旨の通知書」が届きます。この通知書は、その金融機関ではNISA口座を開設できないことを知らせるものです。
この通知書を受け取っても、特に心配する必要はありません。これは単に「他の金融機関で既にNISA口座が開設されている(または開設手続き中である)ため、この金融機関では開設できません」という事務的な通知です。
ペナルティや罰則があるわけではありません。複数申し込み自体は違法ではなく、税務署のシステムが自動的に1つに絞り込む仕組みになっています。
通知書を受け取った後の対応としては、まず他の金融機関でNISA口座が開設されているか確認しましょう。税務署審査で受理された金融機関からは、口座開設完了の通知が届いているはずです。
また、e-Taxのマイページからも現在のNISA口座開設状況を確認できます。マイナンバーカードを持っている方は、e-Taxにログインして「口座開設状況」を確認すると、どの金融機関でNISA口座が開設されているかが分かります。
もし開設された金融機関が希望と異なる場合は、翌年以降に金融機関変更の手続きを行うことで、希望する金融機関に変更できます。
複数の金融機関にNISA口座を申し込んでしまった場合、「課税されるのではないか」と不安になる方もいるかもしれません。しかし、基本的には課税リスクはありません。
税務署の審査により、最終的に1つの金融機関でのみNISA口座が開設されます。そのため、複数の口座で同時に非課税投資が行われることはなく、非課税枠の二重利用も発生しません。
単に申し込みを複数行っただけでは、課税上の問題は生じないのです。
注意が必要なケース:税務署審査中に複数の金融機関で投資を始めてしまった場合
NISA口座の開設申請中でも、一部の金融機関では「仮開設」として取引を開始できることがあります。この状態で複数の金融機関で取引を行い、最終的に税務署審査で受理されなかった金融機関での取引は、NISA口座ではなく課税口座での取引として扱われます。
この場合、受理されなかった金融機関での投資は非課税の対象外となり、通常の課税(20.315%)が適用されます。投資で利益が出た場合は、その利益に対して税金を支払う必要があります。
このようなリスクを避けるためには、NISA口座開設の審査が完全に完了し、正式に口座が開設されたことを確認してから投資を始めることをおすすめします。
NISA口座の金融機関を変更する方法
現在のNISA口座から別の金融機関に変更したい場合は、以下の4つのステップで手続きを進めます。手順を正確に理解して、スムーズに変更を完了させましょう。
金融機関変更の最初のステップは、現在NISA口座を開設している金融機関から「勘定廃止通知書」を取得することです。この書類は、変更先の金融機関でNISA口座を開設する際に必要となる重要な書類です。
勘定廃止通知書を取得しても、現在保有しているNISA口座の資産がなくなるわけではありません。保有している株式や投資信託は、引き続き非課税で保有し続けることができます。変更するのはあくまで「今後の新規投資をどの金融機関で行うか」という点だけです。
勘定廃止通知書を取得したら、次は変更先の金融機関で証券総合取引口座を開設します。NISA口座を開設するには、まず通常の証券口座(総合取引口座)が必要だからです。
既に変更先の金融機関で証券総合取引口座を持っている場合は、このステップは不要です。すぐにSTEP3のNISA口座開設手続きに進めます。
証券総合取引口座の開設は、各証券会社のウェブサイトから申し込めます。必要な書類は、本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)とマイナンバー確認書類です。
最近では、スマートフォンで本人確認書類を撮影してアップロードするだけで申し込みが完了する「eKYC」に対応している証券会社が増えています。
口座開設の審査には、通常1〜3営業日程度かかります。審査が完了すると、ログインIDやパスワードが記載された書類が郵送されてきます。
証券総合取引口座の開設が完了したら、いよいよNISA口座の開設手続きに進みます。この際、STEP1で取得した「勘定廃止通知書」が必要になります。
NISA口座開設の申込方法は、証券会社のマイページから行うのが一般的です。申込画面で「金融機関変更」を選択し、必要事項を入力します。その後、勘定廃止通知書を郵送またはアップロードで提出します。
勘定廃止通知書の提出方法は証券会社によって異なります。書類をスマートフォンで撮影してアップロードできる証券会社もあれば、郵送のみ対応している証券会社もあります。事前に確認しておくとスムーズです。
NISA口座開設の申込が完了すると、証券会社から税務署への申請が行われます。この時点ではまだNISA口座は開設されておらず、税務署の審査待ちの状態です。
NISA口座開設の申込後、証券会社は税務署に「非課税適用確認書」の交付申請を行います。税務署の審査が完了し、非課税適用確認書が交付されると、正式にNISA口座が開設されます。
税務署審査には、通常1〜2週間程度かかります。ただし、年末年始や確定申告時期など、税務署が混雑する時期は、審査に3週間以上かかることもあります。
特に、年末ギリギリに変更手続きを行うと、翌年の投資開始に間に合わない可能性があるため、余裕を持って手続きを進めることをおすすめします。
審査が完了すると、証券会社から「NISA口座開設完了」の通知が届きます。この通知を受け取ったら、いよいよ新しい金融機関でのNISA投資を開始できます。
なお、税務署審査中は、変更先の金融機関でのNISA投資はできません。審査完了を待つ間に投資したい場合は、課税口座(特定口座)で投資を行うことになります。
金融機関変更で気をつけたい5つのこと
NISA口座の金融機関変更には、いくつかの重要な制約や注意点があります。変更手続きを始める前に、必ず確認しておきましょう。
NISA口座の金融機関変更には、申請できる期間が決まっています。変更したい年の前年10月1日から当年9月30日までに手続きを完了する必要があります。
例えば、2025年から新しい金融機関でNISA投資を始めたい場合、2024年10月1日から2025年9月30日までに変更手続きを行います。
特に、年の初めから新しい金融機関で投資を始めたい場合は、前年の10月〜12月に手続きを完了させておくと安心です。年明けギリギリに手続きを始めると、税務署審査が間に合わず、数ヶ月間投資ができない期間が生じる可能性があります。
また、9月30日を過ぎてから変更手続きを開始した場合、その年の変更は間に合わず、翌年からの変更となります。例えば、2025年10月に手続きを開始した場合、変更が適用されるのは2026年からとなります。
NISA口座の金融機関変更における最も重要な制約の1つが、「変更したい年に既に買付を行っている場合、その年の変更はできない」というルールです。
例えば、2025年中に現在の金融機関で既にNISA口座で投資信託や株式を購入している場合、2025年中の金融機関変更はできません。変更できるのは、翌年2026年からとなります。
これは、NISA制度が「年単位」で管理されているためです。1年の途中で金融機関を変更すると、非課税枠の管理が複雑になり、誤って非課税限度額を超えてしまうリスクがあります。そのため、制度上、年の途中での変更は認められていません。
この制約を避けるためには、金融機関変更を検討している年は、現在の金融機関でのNISA投資を控える必要があります。つみたて投資枠で自動積立を設定している場合は、変更手続きを始める前に積立設定を停止しておきましょう。
金融機関を変更する際の重要な注意点として、現在NISA口座で保有している株式や投資信託は、変更先の金融機関に移すことができません。
例えば、A証券のNISA口座で100万円分の投資信託を保有している状態でB証券に変更した場合、その100万円分の投資信託はA証券に残ったままとなります。B証券に移管することはできないのです。
保有商品の選択肢
現在の金融機関で保有し続ける
売却してから変更する
NISA口座で購入した商品は、金融機関を変更しても非課税のまま保有し続けることができます。非課税保有期間は無期限なので、売却せずに長期保有することも可能です。
どちらの選択肢が良いかは、保有商品の状況や今後の投資方針によって異なります。保有商品が順調に値上がりしている場合は、そのまま保有し続けるのが良いでしょう。
金融機関変更の手続き中、特に税務署審査中の取引には注意が必要です。審査が完了する前に変更先の金融機関で投資を始めてしまうと、思わぬ課税リスクが発生する可能性があります。
もし税務署審査が何らかの理由で承認されなかった場合、仮開設期間中に行った取引はNISA口座ではなく課税口座での取引として扱われます。つまり、非課税のつもりで投資した商品が、実は課税対象だったということになります。投資で利益が出た場合、その利益に対して20.315%の税金が課されます。
このようなリスクを避けるためには、税務署審査が完全に完了し、証券会社から「NISA口座開設完了」の正式な通知を受け取ってから投資を始めることをおすすめします。
つみたて投資枠で自動積立を利用している方が金融機関を変更する場合、変更先の金融機関で改めて積立設定を行う必要があります。積立設定は自動的に引き継がれません。
例えば、現在の金融機関で「毎月3万円を投資信託に積み立てる」という設定をしていても、金融機関を変更すると、この設定はリセットされます。変更先の金融機関で、改めて積立する商品、金額、引き落とし日などを設定する必要があります。
積立設定を忘れると、せっかく金融機関を変更したのに投資が始まらず、非課税枠を使い損ねてしまう可能性があります。金融機関変更の手続きが完了したら、すぐに積立設定を行うようにしましょう。
また、クレジットカード積立を利用している場合は、変更先の金融機関でクレジットカードの登録も必要です。証券会社によって提携しているクレジットカードが異なるため、現在使っているカードが変更先でも使えるか事前に確認しておくと良いでしょう。
金融機関変更のメリット・デメリットを比較
NISA口座の金融機関を変更すべきかどうかは、メリットとデメリットを比較して慎重に判断する必要があります。ここでは、変更による影響を詳しく見ていきましょう。
金融機関を変更する最大のメリットは、より有利な条件で投資ができるようになることです。
金融機関変更の主なメリット
手数料の削減
商品ラインナップの充実
ポイント還元の活用
取引ツールの使いやすさ
手数料の削減:証券会社によって、投資信託の信託報酬や為替手数料が異なります。ネット証券は対面型の証券会社に比べて手数料が安い傾向にあります。手数料の差は長期投資では大きな差となって表れます。年間0.1%の信託報酬の差でも、20年間で数十万円の差になることがあります。
商品ラインナップの充実:証券会社によって取り扱う投資信託や株式の種類が異なります。特に米国株や外国株の取扱銘柄数は、証券会社によって大きく異なります。SBI証券や楽天証券は米国株が約4,500〜5,000銘柄と豊富ですが、一部の証券会社では数百銘柄程度しか取り扱っていません。
ポイント還元の活用:楽天証券では楽天ポイント、SBI証券ではVポイントやPontaポイントなど、証券会社によって貯まるポイントが異なります。クレジットカード積立を利用すれば、積立額の0.5〜1.0%程度のポイントが還元されます。
一方で、金融機関変更にはいくつかのデメリットもあります。変更を決断する前に、これらのデメリットも十分に理解しておく必要があります。
保有商品が分散される:現在保有している商品は変更先に移管できません。そのため、変更後は複数の証券会社で資産を管理することになります。資産全体の把握が難しくなり、リバランス(資産配分の調整)もしづらくなります。
手続きの手間と時間:勘定廃止通知書の取得、新しい証券会社での口座開設、税務署審査など、変更には1〜2ヶ月程度の期間が必要です。その間、NISA口座での新規投資ができない期間が生じる可能性があります。
金融機関を変更すべきかどうかは、以下のチェックリストを参考に判断しましょう。複数の項目に当てはまる場合は、変更を検討する価値があります。
一方、以下のような場合は、変更を慎重に検討した方が良いでしょう。
金融機関変更は、長期的な資産形成において重要な決断です。目先のキャンペーンや一時的なメリットだけでなく、今後10年、20年と使い続けることを前提に、総合的に判断することをおすすめします。
e-Taxで現在のNISA口座を確認する方法
「どの金融機関でNISA口座を開設したか忘れてしまった」「複数申し込んだが、どこで開設されたか分からない」という場合、e-Taxのマイページから確認できます。
NISA口座の開設状況を確認するには、まずe-Taxのマイページにログインする必要があります。e-Taxは、国税庁が提供する電子申告・納税システムで、確定申告や各種税務手続きをオンラインで行えるサービスです。
e-Taxにログインするには、マイナンバーカードとICカードリーダー(またはマイナンバーカード読み取り対応のスマートフォン)が必要です。
e-Taxマイページにログインしたら、NISA口座の開設状況を確認できます。
マイページのメニューから「その他の機能」または「各種情報」を選択します。次に「特定口座・NISA口座の開設状況」または類似の項目を探してクリックします。
口座開設状況の画面では、NISA口座を開設している金融機関名、口座開設年月日、非課税適用確認書の交付状況などが表示されます。複数の金融機関に申し込んだ場合でも、実際に開設されているのは1つの金融機関だけなので、その金融機関名が表示されます。
この情報を確認することで、現在どの金融機関でNISA口座が開設されているかが明確に分かります。もし表示された金融機関が希望と異なる場合は、金融機関変更の手続きを検討しましょう。
e-Taxでの確認がうまくいかない場合や、e-Taxを利用できない環境にある場合は、以下の方法で口座開設状況を確認できます。
家族でNISA口座を活用する方法
NISA口座は1人1口座の制限がありますが、家族それぞれが口座を持つことで、世帯全体の非課税枠を大幅に拡大できます。家族でNISA制度を最大限活用する方法を見ていきましょう。
NISA口座の非課税保有限度額は1人あたり1,800万円です。夫婦それぞれがNISA口座を持てば、世帯全体で3,600万円まで非課税で投資できます。これは非常に大きなメリットです。
例えば、夫婦共働きの場合、それぞれが毎月10万円ずつNISA口座で積立投資を行うと、年間240万円(夫120万円+妻120万円)を投資できます。つみたて投資枠の年間上限120万円を夫婦で使い切る計算です。
非課税のメリットも2倍になります。例えば、20年間で投資元本3,600万円が6,000万円に増えたとします。利益2,400万円に対して、通常なら約487万円(20.315%)の税金がかかりますが、NISA口座なら非課税です。夫婦でNISA口座を活用することで、数百万円単位の節税効果が期待できます。
専業主婦(主夫)の場合でも、配偶者がNISA口座を持つことは可能です。NISA口座の開設に収入要件はないため、無職や専業主婦(主夫)でも口座を開設できます。
NISA口座は1人1口座の制限がありますが、家族それぞれが異なる金融機関を選ぶことは可能です。例えば、夫はSBI証券、妻は楽天証券というように、家族で別々の証券会社を利用できます。
家族で異なる金融機関を選ぶメリット
各証券会社の強みを活かした使い分けができる
リスク分散の観点からメリットがある
キャンペーンやポイント還元の最大化が狙える
ただし、家族で別々の証券会社を使う場合、資産全体の管理がやや複雑になる点には注意が必要です。各証券会社のマイページを個別に確認する必要があり、家族全体の資産配分を把握しづらくなります。
資産管理アプリなどを活用して、家族全体の資産状況を一元管理することをおすすめします。
家族でNISA口座を活用する際は、家族全体での資産配分を考えることが重要です。個人単位ではなく、世帯単位で投資戦略を立てることで、より効率的な資産形成が可能になります。
具体的なシミュレーション例を見てみましょう。夫婦共働きで、夫の年収600万円、妻の年収400万円の場合を想定します。夫は毎月10万円をつみたて投資枠で投資信託に積み立て、さらに成長投資枠で年間100万円を個別株に投資します。
妻は毎月5万円をつみたて投資枠で投資信託に積み立てます。この場合、世帯全体で年間304万円を非課税で投資できます。20年間継続すると、投資元本は6,080万円になります。
旧NISA(2023年まで)と新NISA(2024年から)の口座を別々の金融機関で持つことはできません。新NISA制度では、旧NISAと同じ金融機関で自動的に口座が開設されます。
例えば、2023年までA証券で旧NISA口座を持っていた場合、2024年からの新NISA口座も自動的にA証券で開設されます。B証券で新NISA口座を開設したい場合は、金融機関変更の手続きが必要です。
ただし、旧NISA口座で保有している商品は、金融機関を変更しても引き続き非課税で保有できます。
NISA口座を開設したかどうか忘れてしまった場合は、e-Taxのマイページから確認できます。マイナンバーカードを使ってe-Taxにログインし、「特定口座・NISA口座の開設状況」を確認すると、現在どの金融機関でNISA口座が開設されているかが分かります。
e-Taxを利用できない場合は、NISA口座を開設した可能性のある金融機関に直接問い合わせるのが確実です。証券会社のコールセンターに電話して、本人確認の上、NISA口座の有無を確認できます。
NISA口座の金融機関変更は、年1回まで可能です。つまり、毎年金融機関を変更することもできますが、1年の間に複数回変更することはできません。
ただし、頻繁に金融機関を変更することにはデメリットもあります。変更するたびに保有商品が変更前の金融機関に残るため、資産が複数の金融機関に分散されてしまいます。また、変更手続きには時間と手間がかかるため、頻繁に変更すると管理が煩雑になります。
NISA口座は1人1口座の制限がありますが、課税口座(特定口座・一般口座)は複数の証券会社で開設できます。複数の課税口座を持つメリットは以下の通りです。
まず、各証券会社の強みを活かした使い分けができます。例えば、IPO投資に強いA証券、米国株の取扱が豊富なB証券、手数料が安いC証券というように、用途に応じて使い分けることで、より効率的な投資が可能になります。
IPO投資では、複数の証券会社で申し込むことで当選確率が上がります。システム障害などのリスク分散にもなります。
NISA口座の金融機関変更における税務署審査は、通常1〜2週間程度かかります。ただし、時期によって審査期間が長くなることがあります。
特に、年末年始や確定申告時期(2月〜3月)は税務署が混雑するため、審査に3週間以上かかることもあります。また、年度末(3月)や年度初め(4月)も申請が集中しやすい時期です。
審査期間を考慮すると、金融機関変更の手続きは余裕を持って開始することをおすすめします。特に、年初から新しい金融機関で投資を始めたい場合は、前年の10月〜11月には手続きを開始すると安心です。
NISA口座は1人1口座までしか開設できず、つみたて投資枠と成長投資枠を別々の金融機関で使い分けることもできません。これは制度上の重要なルールです。
誤って複数の金融機関にNISA口座を申し込んでしまった場合でも、税務署審査により先に受理された金融機関で自動的に開設されるため、基本的には課税リスクはありません。ただし、審査中に複数の金融機関で取引を始めてしまうと、受理されなかった金融機関での取引は課税対象となるため注意が必要です。
金融機関変更は年1回可能ですが、変更年に既に買付を行っている場合は翌年からの変更となります。変更手続きには勘定廃止通知書の取得、新規口座開設、税務署審査など1〜2ヶ月程度の期間が必要です。
保有商品は変更先に移管できないため、変更後は複数の金融機関で資産を管理することになります。
金融機関変更のメリットは、手数料の削減、商品ラインナップの充実、ポイント還元の活用などです。一方、デメリットは資産の分散、手続きの手間、積立設定の再設定などが挙げられます。メリットとデメリットを比較し、長期的な視点で判断することが重要です。
家族でNISA口座を活用すれば、世帯全体の非課税枠を大幅に拡大できます。夫婦それぞれが口座を持てば、非課税保有限度額は3,600万円となり、数百万円単位の節税効果が期待できます。家族それぞれが異なる金融機関を選ぶことも可能で、各証券会社の強みを活かした使い分けができます。
NISA制度は長期的な資産形成を支援する優れた制度です。制度のルールを正しく理解し、自分や家族に最適な活用方法を見つけることで、効率的な資産形成が可能になります。なお、投資には元本割れのリスクがあります。ご自身の投資目的やリスク許容度に合わせて、慎重にご検討ください。詳しくは各証券会社や金融機関にご確認ください。
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