SBI証券のNISAの始め方|口座開設から積立設定まで完全ガイド

「NISAはいつまで使えるの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
一般NISAとつみたてNISAは2023年で新規買付が終了し、2024年からは新NISA制度に移行しました。
ただし、旧NISA口座で購入した資産は、それぞれの非課税期間(一般NISA5年・つみたてNISA20年)が終了するまで非課税のまま保有できます。
この記事では、NISAの制度終了時期、非課税期間の仕組み、2025年の取引スケジュール、非課税期間終了後の選択肢について詳しく解説します。
特に2025年に非課税期間が終了する方は、早めに対応を検討することが大切です。
目次
NISA制度の「いつまで」という疑問には、2つの意味があります。1つは制度そのものの終了時期、もう1つは非課税期間の終了時期です。
まずは制度の基本的な期限について確認しましょう。
一般NISA(旧NISA)は2023年12月29日をもって新規買付が終了しました。2024年1月以降、一般NISA口座での新たな投資はできなくなっています。
ただし、2023年までに購入した資産は、購入年から5年間の非課税期間が終了するまで非課税のまま保有できます。
たとえば2019年に購入した株式は2023年末まで、2020年に購入した株式は2024年末まで非課税で保有可能です。
一般NISAでは年間120万円まで投資でき、上場株式・ETF・REIT・投資信託など幅広い商品が対象でした。
つみたてNISAも一般NISAと同様に、2023年12月29日をもって新規買付が終了しました。2024年1月以降、つみたてNISA口座での新たな積立設定はできません。
ただし、2023年までに購入した資産は、購入年から20年間の非課税期間が終了するまで非課税で保有できます。
つみたてNISAは長期・積立・分散投資を支援する制度として2018年に開始され、年間40万円まで投資できました。金融庁が定めた基準を満たす投資信託・ETFのみが対象で、長期の資産形成に適した商品設計となっています。
2023年に購入した投資信託は2042年末まで非課税で保有できるため、長期投資の恩恵を十分に受けられます。
非課税期間は「制度の終了時期」ではなく「購入した年から起算」される点が重要です。
一般NISAは購入年の1月1日から5年間、つみたてNISAは購入年の1月1日から20年間が非課税期間となります。
非課税期間の具体例
2020年に一般NISAで購入した株式
→ 2024年12月31日まで非課税
2021年に一般NISAで購入した株式
→ 2025年12月31日まで非課税
2020年につみたてNISAで購入した投資信託
→ 2039年12月31日まで非課税
非課税期間中は、配当金・分配金・売却益にかかる税金(通常20.315%)が非課税になります。
ただし、非課税期間が終了すると課税口座に移管されるか、売却する必要があります。非課税期間終了=強制売却ではないため、課税口座で保有を継続することも可能です。
購入年ごとに非課税期間が異なるため、複数年にわたって投資している場合は、それぞれの資産の非課税期間終了時期を把握しておくことが大切です。
2025年の取引スケジュール
2025年に非課税期間が終了する方は、年内の取引スケジュールを把握しておく必要があります。
商品の種類によって取引最終日が異なるため、早めの対応が重要です。ここでは2025年の具体的な取引期限を商品別に解説します。
2025年の国内株式(東京証券取引所)の取引最終日は12月26日(金)です。この日が年内最後の立会日となり、12月29日から1月3日まで年末年始の休場となります。
非課税期間が2025年末で終了する一般NISA口座の株式を売却する場合は、12月26日までに注文を出す必要があります。
12月26日の取引終了後に売却注文を出すと、翌年の約定となり課税口座での取引になるため注意が必要です。
また、12月は権利確定日が集中する時期でもあります。配当金や株主優待の権利を取得したい場合は、権利付き最終日(権利確定日の2営業日前)までに株式を保有している必要があります。
2025年12月の権利確定日は12月29日(月)ですが、この日は休場のため、実質的な権利付き最終日は12月25日(木)となります。
投資信託の2025年取引最終日は、各運用会社・販売会社によって異なりますが、一般的には12月中旬から下旬が目安となります。
多くの証券会社では12月15日前後を年内最終の買付・換金申込日としています。
投資信託は注文日(申込日)と約定日(基準価額が確定する日)にタイムラグがあります。通常、国内株式型投資信託は申込日の翌営業日、海外株式型投資信託は申込日から3~4営業日後に約定します。
年末年始は海外市場の休場日も考慮する必要があるため、余裕を持った対応が必要です。
つみたてNISA口座で積立設定をしている場合、2025年12月の積立は実施されません(制度が2023年で終了しているため)。ただし、2023年までに購入した投資信託は非課税期間が継続するため、保有を続けることができます。
換金(売却)を検討している場合は、証券会社の年内最終受付日を事前に確認し、12月上旬までに手続きを済ませることをおすすめします。
つみたてNISAの積立設定は2023年12月で終了しているため、2025年に新たな積立設定を行うことはできません。
ただし、新NISA口座での積立設定は継続可能です。
2024年から開始した新NISA制度では、つみたて投資枠(年間120万円)と成長投資枠(年間240万円)の2つの枠があり、それぞれで積立設定ができます。
2025年の積立設定締切日は証券会社によって異なりますが、一般的には毎月10日前後が翌月からの積立開始の締切となります。
たとえば、2025年1月から積立を開始したい場合は、2024年12月10日前後までに設定を完了する必要があります。年末年始を挟む場合は、さらに早めの対応が求められます。
旧NISA口座から新NISA口座への資産移管はできませんが、旧NISA口座の資産を保有しながら新NISA口座で新たな投資を始めることは可能です。両方の口座を併用することで、非課税枠を最大限活用できます。
2025年の主な取引期限を一覧表にまとめました。証券会社によって締切日が異なる場合があるため、必ず保有口座の証券会社に確認してください。
| 商品種類 | 取引最終日の目安 | 注意点 |
| 国内株式 | 12月26日(金) | 東京証券取引所の最終立会日 |
| 投資信託(国内) | 12月15日前後 | 証券会社により異なる、約定日に注意 |
| 投資信託(海外) | 12月10日前後 | 約定まで3~4営業日、海外市場の休場日に注意 |
| ETF・REIT | 12月26日(金) | 株式と同じ取引所での売買 |
| 新NISA積立設定 | 毎月10日前後 | 翌月からの積立開始締切 |
非課税期間が2025年末で終了する資産を保有している方は、10月頃から証券会社の通知を確認し、11月中には対応方針を決めることをおすすめします。年末は取引が集中するため、余裕を持った対応が重要です。
非課税期間が終わったらどうなる?
非課税期間が終了すると、保有資産をどうするか選択する必要があります。
主な選択肢は3つあり、それぞれメリット・デメリットがあります。自分の投資方針や資産状況に合わせて適切な選択をしましょう。
非課税期間終了後、最も一般的な選択肢が課税口座(特定口座または一般口座)への移管です。
手続きをしなければ、自動的に課税口座に移管される証券会社が多いため、特に何もしない場合はこの選択肢になります。
取得価額の変更に注意
課税口座に移管されると、その時点の時価が新たな取得価額(取得単価)となります。たとえば、一般NISA口座で100万円で購入した株式が、非課税期間終了時に150万円になっていた場合、課税口座では150万円で取得したものとして扱われます。
この仕組みには重要なポイントがあります。移管時の時価が取得価額になるため、移管後に150万円から200万円に値上がりした場合、課税対象となる利益は50万円のみです。
NISA口座で得た50万円の含み益(100万円→150万円)は非課税のまま確定します。
一方、移管時に含み損がある場合は注意が必要です。100万円で購入した株式が80万円に値下がりしていた場合、課税口座では80万円が取得価額となります。その後100万円に戻っても、80万円→100万円の20万円が課税対象の利益として扱われます。実質的には損失を取り戻しただけなのに税金がかかる点に注意が必要です。
課税口座への移管は、長期保有を続けたい場合や、売却のタイミングを柔軟に選びたい場合に適しています。
非課税期間終了前に売却する選択肢もあります。
非課税期間中に売却すれば、利益に対する税金(20.315%)がかからないため、含み益が出ている場合は税制面で有利です。
売却のメリットは、利益を確定させて現金化できる点です。特に含み益が大きい場合、非課税期間中に売却すれば税金を払わずに利益を確定できます。また、売却で得た資金を新NISA口座で再投資することで、非課税枠を有効活用できます。
ただし、売却にはデメリットもあります。将来的にさらに値上がりする可能性がある場合、早期に売却すると機会損失になる可能性があります。
また、売却のタイミングによっては市場環境が悪く、希望する価格で売却できない場合もあります。
売却を検討する際は、以下のポイントを考慮しましょう。
ロールオーバーとは、一般NISA口座で保有している資産を、翌年の非課税投資枠に移管して非課税期間を延長する仕組みです。
ただし、ロールオーバーは2023年までの制度であり、2024年以降は利用できません。
2023年までに非課税期間が終了した資産については、翌年の一般NISA枠にロールオーバーすることで、さらに5年間非課税で保有できました。
たとえば、2018年に購入した株式は2022年末に非課税期間が終了しますが、2023年の一般NISA枠にロールオーバーすることで2027年末まで非課税期間を延長できました。
ロールオーバーの特徴として、時価が120万円(年間投資枠)を超えていてもすべて移管できる点がありました。たとえば、100万円で購入した株式が150万円に値上がりしていても、150万円全額をロールオーバーできました。
ただし、ロールオーバーした年は新規投資ができなくなる(または投資枠が減る)デメリットがありました。
2024年からの新NISA制度では、旧NISA(一般NISA・つみたてNISA)からのロールオーバーはできません。旧NISA口座の資産は、それぞれの非課税期間が終了するまで保有し、終了後は課税口座に移管するか売却する必要があります。新NISA口座と旧NISA口座は完全に別枠として扱われます。
2024年以降に非課税期間が終了する資産については、ロールオーバーという選択肢はなく、課税口座への移管か売却のいずれかを選ぶことになります。
含み益・含み損がある場合の判断基準
非課税期間終了時の対応は、保有資産の含み益・含み損の状況によって最適な選択肢が変わります。
それぞれのケースでどのように判断すればよいか、具体的な考え方を解説します。
含み益が出ている場合、非課税期間中に売却すれば利益に対する税金(20.315%)がかからないため、税制面で有利です。
ただし、売却するか保有継続するかは、含み益の大きさや今後の見通しによって判断が分かれます。
含み益が大きい場合(購入価格の30%以上など)は、非課税期間中に売却して利益を確定させる選択肢が有力です。たとえば、100万円で購入した株式が150万円になっている場合、売却すれば50万円の利益が非課税で確定します。
課税口座に移管後に売却すると、移管時の150万円が新たな取得価額になるため、その後の値上がり分のみが課税対象となります。
一方、含み益が小さい場合(購入価格の10%未満など)や、今後さらに値上がりが期待できる場合は、課税口座に移管して保有を継続する選択肢も検討できます。
移管後に値上がりした分は課税対象となりますが、長期的な成長が見込める銘柄であれば、税金を払っても保有を続ける価値があるかもしれません。
含み損がある場合は、課税口座への移管に注意が必要です。
移管時の時価が新たな取得価額となるため、その後に価格が回復しても、回復分が課税対象の利益として扱われます。
たとえば、100万円で購入した株式が80万円に値下がりしている状態で課税口座に移管されると、80万円が新たな取得価額となります。その後、株価が100万円に戻って売却した場合、80万円→100万円の20万円が課税対象の利益となり、約4万円(20万円×20.315%)の税金がかかります。実質的には20万円の損失を取り戻しただけなのに税金を払うことになります。
含み損がある場合の選択肢は2つあります。
第一に、非課税期間中に売却して損失を確定させる方法です。損失を確定させることで、他の課税口座での利益と損益通算ができます(確定申告が必要)。ただし、今後の値上がりが期待できる場合は、売却せずに保有を続ける選択肢もあります。
第二に、課税口座に移管して保有を継続する方法です。長期的に見て値上がりが期待できる銘柄であれば、一時的な含み損を気にせず保有を続けることも選択肢です。
ただし、移管後に価格が回復した際に税金がかかる点は理解しておく必要があります。
含み損がある場合は、今後の見通しを慎重に検討し、損失を確定させるか保有を続けるかを判断しましょう。業績悪化や構造的な問題がある場合は、早めに損失を確定させることも選択肢です。
課税口座への移管時に取得単価(取得価額)が変更される仕組みは、将来の課税額に大きく影響します。
この仕組みを正しく理解しておくことが、適切な判断をするために重要です。
NISA口座では、購入時の価格が取得単価として記録されています。しかし、課税口座に移管されると、移管時の時価が新たな取得単価として記録されます。
これにより、NISA口座で発生した含み益・含み損は「なかったこと」として扱われます。
具体例で理解する取得単価の変更
含み益がある場合
100万円で購入した株式が150万円になっている場合、課税口座に移管されると150万円が新たな取得単価となります。その後200万円で売却すると、課税対象の利益は50万円(200万円-150万円)となり、約10万円(50万円×20.315%)の税金がかかります。NISA口座で得た50万円の含み益(100万円→150万円)は非課税のまま確定します。
含み損がある場合
100万円で購入した株式が80万円に値下がりしている場合、課税口座に移管されると80万円が新たな取得単価となります。その後120万円で売却すると、課税対象の利益は40万円(120万円-80万円)となり、約8万円(40万円×20.315%)の税金がかかります。実際には20万円の利益しか出ていないのに、40万円の利益として課税される点に注意が必要です。
この仕組みにより、含み損がある状態で移管すると、将来的に税金を多く払うことになる可能性があります。含み損がある場合は、非課税期間中に売却して損失を確定させ、他の課税口座での利益と損益通算することを検討しましょう。
取得単価の変更は、証券会社から送られる「特定口座年間取引報告書」で確認できます。移管後の取得単価を把握しておくことで、将来の売却時の税金を正確に見積もることができます。
非課税期間終了前にやるべきこと
非課税期間終了が近づいたら、早めに対応を検討することが大切です。
手続き漏れや判断ミスを防ぐために、以下のチェックリストを参考に準備を進めましょう。
まず、自分が保有している旧NISA口座の資産について、非課税期間がいつ終了するかを確認しましょう。
証券会社のマイページや取引残高報告書で確認できます。
非課税期間の計算方法
一般NISA
購入年の1月1日から5年間が非課税期間
例:2020年に購入した株式は2024年12月31日まで、2021年に購入した株式は2025年12月31日まで
つみたてNISA
購入年の1月1日から20年間が非課税期間
例:2020年に購入した投資信託は2039年12月31日まで
複数年にわたって投資している場合、購入年ごとに非課税期間が異なるため、それぞれの資産の期限を一覧表にまとめておくと管理しやすくなります。
特に2025年に非課税期間が終了する資産(2021年に購入した一般NISA資産)を保有している方は、早めに対応を検討しましょう。
証券会社によっては、非課税期間終了が近づくと通知メールや書面で案内が届きます。ただし、通知が届くタイミングは証券会社によって異なるため、自分で定期的に確認することをおすすめします。
非課税期間終了が近づくと、多くの証券会社から通知が届きます。
通知には、非課税期間終了日、保有資産の内容、対応方法の選択肢などが記載されています。通知を見逃さないよう、定期的にメールや郵便物を確認しましょう。
通知のタイミングは証券会社によって異なりますが、一般的には非課税期間終了の3~6ヶ月前に届きます。
たとえば、2025年末に非課税期間が終了する資産については、2025年7月~10月頃に通知が届く可能性があります。
非課税期間終了前に、保有資産を売却するか保有継続するかを判断する必要があります。
判断のポイントは、含み益・含み損の状況、今後の見通し、資金の必要性の3つです。
含み益が大きい場合は、非課税期間中に売却して利益を確定させることを検討しましょう。特に、今後の値上がりが期待しにくい銘柄や、業績悪化が懸念される銘柄は、早めに利益を確定させることが賢明です。売却で得た資金は、新NISA口座で再投資することで、非課税枠を有効活用できます。
含み損がある場合は、今後の見通しを慎重に検討しましょう。長期的に見て値上がりが期待できる銘柄であれば、課税口座に移管して保有を継続する選択肢もあります。
ただし、業績悪化や構造的な問題がある場合は、非課税期間中に売却して損失を確定させ、他の課税口座での利益と損益通算することを検討しましょう。
資金が近い将来に必要な場合は、非課税期間中に売却して現金化することも選択肢です。非課税期間中に売却すれば、利益に対する税金がかからないため、税制面で有利です。
判断に迷う場合は、ファイナンシャルプランナーや税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
新NISAとの関係は?
2024年から開始した新NISA制度と、旧NISA(一般NISA・つみたてNISA)の関係について、よくある疑問を解説します。
両者の違いを理解することで、今後の投資戦略を立てやすくなります。
旧NISA口座(一般NISA・つみたてNISA)で保有している資産を、新NISA口座にロールオーバー(移管)することはできません。旧NISA口座と新NISA口座は完全に別の制度として扱われます。
旧NISA口座の資産は、それぞれの非課税期間(一般NISA5年・つみたてNISA20年)が終了するまで非課税のまま保有できます。
非課税期間が終了したら、課税口座に移管するか売却するかを選択する必要があります。新NISA口座に移管する選択肢はありません。
この仕組みにより、旧NISA口座の資産を新NISA口座に移管して非課税期間を延長することはできません。たとえば、2021年に一般NISA口座で購入した株式は2025年末に非課税期間が終了しますが、新NISA口座にロールオーバーして非課税期間を延長することはできません。
ただし、旧NISA口座の資産を売却して得た資金を、新NISA口座で再投資することは可能です。非課税期間中に売却すれば利益に対する税金がかからないため、売却→再投資という方法で実質的に資産を「移す」ことはできます。
旧NISA口座と新NISA口座は別枠として扱われるため、両方を同時に保有することができます。
旧NISA口座の資産を保有しながら、新NISA口座で新たな投資を始めることが可能です。
たとえば、2021年に一般NISA口座で購入した株式を保有しながら(2025年末まで非課税)、2024年から新NISA口座でつみたて投資枠と成長投資枠を利用して新たな投資を始めることができます。両方の口座を併用することで、非課税枠を最大限活用できます。
ただし、旧NISA口座での新規買付は2023年で終了しているため、2024年以降に新たな投資をする場合は新NISA口座を利用する必要があります。
旧NISA口座は、2023年までに購入した資産を非課税期間が終了するまで保有するための口座となります。
新NISA口座を開設する際は、旧NISA口座を開設していた証券会社で自動的に開設される場合と、新たに申込が必要な場合があります。証券会社によって対応が異なるため、事前に確認しましょう。
新NISA制度は、2024年1月から開始した恒久的な非課税投資制度です。
旧NISAと比べて、非課税保有限度額の拡大、非課税期間の無期限化、年間投資枠の拡大など、大幅に制度が拡充されました。
新NISAの主な特徴
つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能
非課税保有限度額は1,800万円(うち成長投資枠1,200万円)
非課税期間は無期限
年間投資枠:つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円で、合計360万円まで投資可能
旧NISAとの主な違いを表にまとめました。
| 項目 | 旧NISA(一般NISA) | 旧NISA(つみたてNISA) | 新NISA |
| 制度期間 | 2023年で終了 | 2023年で終了 | 恒久化 |
| 非課税期間 | 5年間 | 20年間 | 無期限 |
| 年間投資枠 | 120万円 | 40万円 | 360万円(つみたて120万円+成長240万円) |
| 非課税保有限度額 | 600万円 | 800万円 | 1,800万円(うち成長投資枠1,200万円) |
| 投資対象 | 上場株式・投資信託・ETF等 | 金融庁指定の投資信託・ETF | つみたて投資枠:金融庁指定の投資信託・ETF、成長投資枠:上場株式・投資信託・ETF等 |
| 売却後の枠 | 復活しない | 復活しない | 復活する(翌年以降) |
新NISA制度では、売却した場合に非課税保有限度額の枠が復活する点が大きな特徴です。たとえば、1,800万円まで投資した後に一部を売却すると、翌年以降に売却分の枠が復活し、再び投資できるようになります。この仕組みにより、柔軟な資産運用が可能になります。
購入年別の非課税期間終了時期
旧NISA口座で購入した資産の非課税期間は、購入年によって異なります。
自分の保有資産がいつまで非課税なのかを確認できるよう、購入年別の非課税期間終了時期を一覧表にまとめました。
一般NISA口座で購入した資産は、購入年の1月1日から5年間が非課税期間となります。
2014年から2023年までの各年に購入した資産について、非課税期間終了時期を表にまとめました。
| 購入年 | 非課税期間 | 非課税期間終了日 | 状況 |
| 2014年 | 2014年~2018年 | 2018年12月31日 | 終了済み |
| 2015年 | 2015年~2019年 | 2019年12月31日 | 終了済み |
| 2016年 | 2016年~2020年 | 2020年12月31日 | 終了済み |
| 2017年 | 2017年~2021年 | 2021年12月31日 | 終了済み |
| 2018年 | 2018年~2022年 | 2022年12月31日 | 終了済み |
| 2019年 | 2019年~2023年 | 2023年12月31日 | 終了済み |
| 2020年 | 2020年~2024年 | 2024年12月31日 | 終了済み |
| 2021年 | 2021年~2025年 | 2025年12月31日 | 2025年末に終了 |
| 2022年 | 2022年~2026年 | 2026年12月31日 | 2026年末に終了 |
| 2023年 | 2023年~2027年 | 2027年12月31日 | 2027年末に終了 |
2021年に購入した一般NISA資産を保有している方は、2025年末に非課税期間が終了します。2025年中に売却するか、課税口座に移管するかを決める必要があります。2022年・2023年に購入した資産については、それぞれ2026年末・2027年末まで非課税期間が継続します。
つみたてNISA口座で購入した資産は、購入年の1月1日から20年間が非課税期間となります。
2018年から2023年までの各年に購入した資産について、非課税期間終了時期を表にまとめました。
| 購入年 | 非課税期間 | 非課税期間終了日 | 状況 |
| 2018年 | 2018年~2037年 | 2037年12月31日 | 2037年末まで非課税 |
| 2019年 | 2019年~2038年 | 2038年12月31日 | 2038年末まで非課税 |
| 2020年 | 2020年~2039年 | 2039年12月31日 | 2039年末まで非課税 |
| 2021年 | 2021年~2040年 | 2040年12月31日 | 2040年末まで非課税 |
| 2022年 | 2022年~2041年 | 2041年12月31日 | 2041年末まで非課税 |
| 2023年 | 2023年~2042年 | 2042年12月31日 | 2042年末まで非課税 |
つみたてNISA口座の資産は、最も早いもので2037年末まで非課税期間が継続します。一般NISAと比べて非課税期間が長いため、長期的な資産形成に適しています。2023年に購入した資産は2042年末まで非課税で保有できるため、約20年間の長期運用が可能です。
非課税期間終了時の注意点
非課税期間終了時には、手続き漏れや誤解によるトラブルが発生することがあります。
よくある失敗事例を知っておくことで、同じミスを防ぐことができます。
非課税期間終了前に売却を希望していたのに、手続き期限を過ぎてしまい、自動的に課税口座に移管されてしまうケースがあります。
特に年末は取引が集中するため、期限ギリギリの対応はリスクがあります。
売却手続きの期限は、証券会社や商品の種類によって異なります。国内株式は12月26日前後、投資信託は12月中旬前後が年内最終の取引日となることが多いため、余裕を持った対応が必要です。特に投資信託は、申込日と約定日にタイムラグがあるため、早めの手続きが重要です。
手続き期限を過ぎてしまった場合、翌年の取引となり課税口座での売却になります。含み益がある場合は、売却益に対して20.315%の税金がかかるため、非課税期間中に売却した場合と比べて不利になります。
このような失敗を防ぐためには、非課税期間終了の3~6ヶ月前から対応を検討し、11月中には方針を決めることをおすすめします。証券会社からの通知を見逃さないよう、定期的にメールや郵便物を確認しましょう。
証券会社によっては、非課税期間終了時に何も手続きをしないと、自動的に課税口座に移管される場合があります。
この自動処理の仕組みを理解していないと、意図しない結果になることがあります。
たとえば、含み損がある資産を保有していて、非課税期間中に売却して損失を確定させたかったのに、自動的に課税口座に移管されてしまうケースがあります。課税口座に移管されると、移管時の時価が新たな取得価額となるため、その後の値上がり分が課税対象となります。
逆に、売却を希望していたのに、手続きをしなかったために自動的に課税口座に移管され、売却のタイミングを逃してしまうケースもあります。
特に、市場環境が悪化している時期に移管されると、希望する価格で売却できなくなる可能性があります。
証券会社の自動処理の仕組みは、各社の公式サイトや通知書面で確認できます。自動移管の有無、移管先の口座(特定口座または一般口座)、手続きが必要な場合の期限などを事前に確認しておきましょう。
不明点がある場合は、早めに証券会社に問い合わせることをおすすめします。
課税口座に移管後の税金の計算方法を誤解していて、想定外の税金がかかるケースがあります。
特に、移管時の取得単価の変更による影響を理解していないと、税金の計算を間違えやすくなります。
よくある誤解は、NISA口座での購入価格が課税口座でもそのまま引き継がれると思っていることです。実際には、移管時の時価が新たな取得価額となるため、NISA口座での含み益・含み損は「なかったこと」として扱われます。
たとえば、100万円で購入した株式が80万円に値下がりしている状態で課税口座に移管されると、80万円が新たな取得価額となります。その後100万円で売却すると、20万円の利益として課税されます(実際には損失を取り戻しただけなのに)。
この仕組みを理解していないと、「損失を取り戻しただけなのに税金がかかる」という事態になります。
税金の計算方法を正しく理解するためには、証券会社から送られる「特定口座年間取引報告書」を確認しましょう。移管後の取得単価、売却時の利益、税額などが記載されています。
不明点がある場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
いいえ、非課税期間が終了しても強制的に売却されることはありません。何も手続きをしない場合、多くの証券会社では自動的に課税口座(特定口座または一般口座)に移管されます。移管後も保有を継続できますが、その後の配当金・売却益は課税対象となります。売却を希望する場合は、非課税期間中に手続きを行う必要があります。
ロールオーバーは2023年までの制度であり、2024年以降は利用できません。2023年末に非課税期間が終了した一般NISA資産については、2024年の一般NISA枠にロールオーバーすることができましたが、これが最後の機会でした。2024年以降に非課税期間が終了する資産については、ロールオーバーという選択肢はなく、課税口座への移管か売却のいずれかを選ぶことになります。
つみたてNISA口座で購入した資産は、購入年から20年間の非課税期間が終了すると、自動的に課税口座に移管されます。移管後も保有を継続できますが、その後の分配金・売却益は課税対象となります。非課税期間中に売却すれば、利益に対する税金がかからないため、20年後の市場環境や資産状況に応じて、売却か保有継続かを判断しましょう。最も早いもので、2018年に購入した資産が2037年末に非課税期間終了を迎えます。
いいえ、旧NISA口座(一般NISA・つみたてNISA)の資産を新NISA口座に移管(ロールオーバー)することはできません。旧NISA口座と新NISA口座は完全に別の制度として扱われます。ただし、旧NISA口座の資産を売却して得た資金を、新NISA口座で再投資することは可能です。非課税期間中に売却すれば利益に対する税金がかからないため、売却→再投資という方法で実質的に資産を「移す」ことはできます。
はい、非課税期間終了後も課税口座で保有を継続することは可能です。長期的に見て値上がりが期待できる銘柄であれば、課税口座に移管して保有を続ける選択肢もあります。ただし、移管後の配当金・売却益は課税対象(20.315%)となる点に注意が必要です。また、移管時の時価が新たな取得価額となるため、含み損がある状態で移管すると、将来的に税金を多く払う可能性があります。保有継続を判断する際は、今後の見通しや税金の影響を考慮しましょう。
証券会社を変更(金融機関変更)した場合でも、変更前の証券会社で保有している旧NISA口座の資産は、非課税期間が終了するまでそのまま保有できます。ただし、変更前の証券会社の口座は残り続けるため、複数の証券会社で口座を管理する必要があります。旧NISA資産を新しい証券会社に移管することはできないため、変更前の証券会社で非課税期間終了まで保有し、終了後に売却するか課税口座に移管するかを選択します。新NISA口座は、変更後の証券会社で開設されます。
NISAの「いつまで」という疑問について、制度の終了時期と非課税期間の仕組みを詳しく解説してきました。
一般NISAとつみたてNISAは2023年で新規買付が終了しましたが、2023年までに購入した資産は、それぞれの非課税期間(一般NISA5年・つみたてNISA20年)が終了するまで非課税のまま保有できます。
非課税期間終了後は、課税口座への移管・売却・ロールオーバー(2023年まで)の3つの選択肢があります。含み益が大きい場合は非課税期間中に売却して利益を確定させる、含み損がある場合は今後の見通しを慎重に検討するなど、資産状況に応じた判断が重要です。
2025年に非課税期間が終了する方は、国内株式の取引最終日(12月26日)、投資信託の取引最終日(12月中旬前後)を確認し、早めに対応を検討しましょう。
手続き期限を過ぎると自動的に課税口座に移管されるため、11月中には方針を決めることをおすすめします。
新NISA制度と旧NISA制度は別枠として扱われるため、旧NISA資産を保有しながら新NISA口座で新たな投資を始めることができます。両方の口座を併用することで、非課税枠を最大限活用できます。
ただし、旧NISAから新NISAへのロールオーバーはできない点に注意が必要です。
なお、投資には元本割れのリスクがあります。非課税期間終了時の対応は、ご自身の投資目的やリスク許容度に合わせて、慎重にご検討ください。判断に迷う場合は、ファイナンシャルプランナーや税理士などの専門家にご相談されることをおすすめします。
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