BSV ETFは存在する?|投資方法と注意点を解説

BSV ETFは存在する?|投資方法と注意点を解説

Bitcoin SV(BSV)への投資を検討している方の中には、「BSV ETFで手軽に投資できないか」と考える方も多いのではないでしょうか。

結論から言うと、2024年12月現在、日本でも米国でもBSV ETFは存在しません。

BSVは2018年にBitcoin Cashからハードフォークして誕生した暗号資産ですが、市場規模や規制の問題から、ETFとしての組成には至っていないのが現状です。

しかし、BSVに投資する方法がないわけではありません。この記事では、BSV ETFが存在しない理由と、BSVに投資する具体的な方法、そして投資する際の注意点について詳しく解説します。

この記事の要約
  • BSV ETFは日本・米国ともに存在せず、暗号資産取引所での直接購入が主な投資方法
  • BSV ETF不在の理由は、暗号資産ETFの規制ハードル、BSVの市場規模の小ささ、価格変動リスクの大きさ
  • BSVは価格変動が極めて大きく、取引所リスクや規制リスクなど複数のリスクが存在する高リスク資産
SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

BSV ETFは現在存在しない|代わりの投資方法は?

Bitcoin SV(BSV)への投資を検討している方が最初に知っておくべき重要な事実があります。それは、2024年12月現在、BSV ETFは日本でも米国でも存在しないということです。

米国では2024年1月にビットコイン現物ETFが承認され、個人投資家がより手軽に暗号資産に投資できる環境が整いました。しかし、BSVについては現物ETFもデリバティブETFも組成されていません。

日本国内でも同様に、BSVを投資対象とするETFは金融庁に承認されていません。

現在のところ、BSVに投資する主な方法は暗号資産取引所を通じた直接購入となります。国内の暗号資産取引所では、金融庁に登録された暗号資産交換業者を通じてBSVを購入することができます。

ETFと直接購入の最も大きな違いは、投資家保護の仕組みです。ETFは金融商品取引法の規制対象となり、証券会社を通じて購入するため、投資者保護基金などの保護制度が適用されます。

一方、暗号資産取引所での直接購入は資金決済法の規制対象となり、保護の仕組みが異なります。

また、税務処理の面でも違いがあります。ETFの売買益は申告分離課税(税率20.315%)の対象となりますが、暗号資産の売買益は雑所得として総合課税(最大税率55%)の対象となります。

この税率の違いは、投資の最終的なリターンに大きな影響を与えるため、投資判断の際には十分に考慮する必要があります。

Bitcoin SV(BSV)とは?|基本情報と特徴

BSVに投資を検討する前に、まずはBSVがどのような暗号資産なのかを理解しておくことが重要です。このセクションでは、BSVの誕生背景、技術的特徴、そして現在の市場規模について解説します。

BSVの誕生背景とビットコインとの違い

Bitcoin SV(BSV)は、2018年11月にBitcoin Cash(BCH)からハードフォークして誕生した暗号資産です。「SV」は「Satoshi Vision(サトシ・ビジョン)」の略で、ビットコインの創始者とされるサトシ・ナカモトの当初のビジョンに忠実であることを標榜しています。

BSVの誕生は、Bitcoin Cashコミュニティ内での技術的な方向性をめぐる対立が背景にあります。BSVの支持者は、ビットコインの原型プロトコルを維持し、大規模なオンチェーンスケーリングを実現することを主張しました。

ビットコインとBSVの主な違い

ブロックサイズ:ビットコインは1MB制限、BSVは2GBまで対応

トランザクション処理:BSVは低コストで高速な処理を目指す設計

開発方針:BSVはプロトコルの安定性を重視、頻繁な変更を避ける

BSVの開発は、ブロックチェーン技術企業nChainが中心となって進めており、Craig Wright氏やCalvin Ayre氏といった人物が支持者として知られています。

Craig Wright氏がサトシ・ナカモトであるという主張は、暗号資産コミュニティで広く受け入れられているわけではなく、論争の対象となっています。

BSVの技術的な特徴

BSVの最大の技術的特徴は、大規模なオンチェーンスケーリングへの注力です。

BSVは、ブロックサイズの制限を大幅に緩和し、理論上は無制限のスケーリングを目指しています。2021年には、世界初のギガバイトレベル(2GB)のブロックをマイニングし、ビットコインの1MBブロックと比較して2000倍の容量を実現しました。

BSVは、プロトコルの安定性を重視しています。頻繁なプロトコル変更を避けることで、企業がBSV上でアプリケーションを構築しやすい環境を提供することを目指しています。

また、BSVはビットコインのスクリプト言語の機能を復元し、拡張しています。これにより、オンチェーンでのプログラマブルなソリューションの可能性が広がり、スマートコントラクトやその他の高度なアプリケーションの開発が可能になるとされています。

2024年には「Teranode」と呼ばれる新しいスケーリングエンジンが導入され、100万トランザクション/秒(TPS)以上の処理能力を目指しています。

BSVの現在の市場規模と価格動向

2024年12月現在、BSVの価格は約18〜20米ドル前後で推移しています。時価総額は約3億7000万〜4億米ドル程度で、CoinMarketCapのランキングでは100位前後に位置しています。

これは、ビットコインの時価総額(約1.7兆米ドル)やイーサリアム(約4000億米ドル)と比較すると、はるかに小さい規模です。

BSVの価格は、2024年初頭に126米ドルの高値を記録した後、年末にかけて大幅に下落しました。この価格変動の大きさは、BSVが極めて高リスクな投資対象であることを示しています。

24時間の取引高は約1000万〜2000万米ドル程度で、ビットコインやイーサリアムと比較すると流動性が低い状態です。主な取引所はHTX、OKX、KuCoinなどの海外取引所で、国内取引所での取り扱いは限定的です。

BSVの価格は、2024年に200日移動平均線を下回る状態が続いており、テクニカル分析の観点からは弱気トレンドにあるとされています。

BSV ETFが存在しない3つの理由

なぜBSV ETFは存在しないのでしょうか。ここでは、BSV ETFが組成されていない主な理由を3つの観点から解説します。

暗号資産ETFの規制ハードルが高い

暗号資産ETFの組成には、非常に高い規制ハードルが存在します。日本では、現在の投資信託及び投資法人に関する法律(投信法)において、投資信託が投資できる「特定資産」に暗号資産は含まれていません。

そのため、暗号資産を組み入れたETFを組成するには、法改正が必要となります。

金融庁は2024年から暗号資産規制の見直しに着手し、暗号資産を資金決済法から金融商品取引法の規制枠組みに移行させる方向で検討を開始しました。しかし、この制度変更は2026年の通常国会での法改正を目指しているため、実現にはまだ時間がかかります。

  • 市場操作のリスクの排除
  • カストディ(保管)の信頼性確保
  • 価格発見メカニズムの透明性

米国では2024年1月にビットコイン現物ETFが承認されましたが、これは米国証券取引委員会(SEC)が長年にわたって慎重に審査した結果です。BSVのような時価総額が小さく、流動性が限定的な暗号資産については、これらの要件を満たすことがさらに困難です。

また、日本では暗号資産の税制も課題となっています。現在、暗号資産の売買益は雑所得として最大55%の総合課税の対象となりますが、ETFの売買益は20.315%の申告分離課税です。

金融庁:暗号資産を巡る制度のあり方に関する検討について

BSVの市場規模と投資需要が限定的

BSV ETFが存在しない2つ目の理由は、BSVの市場規模と投資需要が限定的であることです。

ETFを組成するには、十分な流動性と投資家の需要が必要ですが、BSVはこれらの条件を満たしていません。

BSVの時価総額は約3億7000万〜4億米ドル程度で、暗号資産全体の中では100位前後に位置しています。これは、ビットコインの時価総額の0.02%程度にすぎません。

ETFの運用会社は、運用資産残高が一定規模に達しないと収益を上げることができないため、市場規模が小さい資産のETFを組成するインセンティブが低くなります。

BSVの24時間取引高は約1000万〜2000万米ドル程度と、主要な暗号資産と比較して流動性が低い状態です。流動性が低いと、大口の売買注文が価格に大きな影響を与える可能性があり、ETFの運用に支障をきたす恐れがあります。

さらに、BSVは暗号資産コミュニティ内での支持が限定的です。ビットコインやイーサリアムと比較すると、開発者コミュニティの規模が小さく、実際のユースケースも限られています。

多くの主要な暗号資産取引所では、BSVの取り扱いを停止または制限しており、これも投資需要の低さを示しています。

価格変動リスクと論争による不確実性

BSV ETFが組成されない3つ目の理由は、BSVが抱える価格変動リスクと論争による不確実性です。ETFの組成には、投資家保護の観点から、原資産の安定性と信頼性が重要な要素となります。

BSVの価格変動は極めて大きく、2024年には126米ドルから18米ドル程度まで、約85%以上の下落を記録しました。

このような激しい価格変動は、ETFの運用を困難にするだけでなく、投資家に大きな損失をもたらすリスクがあります。

BSVの主要な支持者であるCraig Wright氏は、自身がビットコインの創始者サトシ・ナカモトであると主張していますが、この主張は暗号資産コミュニティで広く受け入れられておらず、法的な争いにも発展しています。

2024年には、英国最高裁判所がBSV投資家による130億米ドルの訴訟を棄却するなど、法的な不確実性が続いています。

さらに、BSVは複数の主要な暗号資産取引所から上場廃止となった経緯があります。2019年には、Binance、Kraken、ShapeShiftなどの主要取引所がBSVの取り扱いを停止しました。

このような経緯は、BSVの信頼性に対する疑問を生じさせ、ETF組成の障害となっています。

BSVに投資する4つの方法|特徴とポイント

BSV ETFは存在しませんが、BSVに投資する方法はいくつか存在します。ここでは、BSVに投資する4つの主な方法とそれぞれの特徴について解説します。

暗号資産取引所で直接購入する

BSVに投資する最も一般的な方法は、暗号資産取引所を通じた直接購入です。

日本国内では、金融庁に登録された暗号資産交換業者を通じてBSVを購入することができます。ただし、すべての取引所でBSVを取り扱っているわけではないため、事前に確認が必要です。

1. 取引所の口座を開設
  • 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード等)を提出
  • 審査には通常1〜3営業日程度
2. 日本円を入金
3. BSVを購入

取引方法には、「販売所」と「取引所」の2種類があります。販売所は、取引業者が提示する価格で即座に売買できる方式で、初心者にも使いやすいですが、スプレッド(売値と買値の差)が大きい傾向があります。

一方、取引所は、ユーザー同士が注文を出し合う板取引方式で、スプレッドは小さいですが、注文が成立しないリスクもあります。

国内取引所のメリット

日本円で直接取引できる

金融庁の監督下で一定の安全性が確保

日本語のカスタマーサポート

BSVを購入する際は、少額から始めることをおすすめします。BSVは価格変動が極めて大きいため、投資資金の全額を一度に投入するのではなく、分散して購入することでリスクを軽減できます。

海外取引所を利用する

国内取引所でBSVの取り扱いが限定的な場合、海外の暗号資産取引所を利用する方法もあります。BSVは、HTX、OKX、KuCoin、Gate.ioなどの海外取引所で取引されており、国内取引所よりも流動性が高い場合があります。

項目 メリット デメリット
取引手数料 国内取引所より安い場合が多い
流動性 取引量が多く流動性が高い
保護制度 日本の金融庁の監督下にない
サポート 英語などの外国語対応が必要
入出金 日本円の入出金に対応していない場合が多い

海外取引所を利用する際は、取引所の信頼性を慎重に確認することが重要です。過去にハッキング被害に遭ったことがないか、運営会社の情報が公開されているか、ユーザーレビューはどうかなどを調べましょう。

セキュリティ対策として、二段階認証(2FA)を必ず設定し、大量の資金を取引所に預けたままにしないことが推奨されます。

なお、海外取引所を利用した場合でも、日本の税法に基づいて確定申告を行う必要があります。暗号資産の売買益は雑所得として申告する必要があるため、取引記録をしっかりと保管しておくことが重要です。

暗号資産ウォレットで保管する

BSVを購入した後は、安全に保管することが重要です。暗号資産取引所に預けたままにしておくと、取引所がハッキング被害に遭った場合や倒産した場合に、資産を失うリスクがあります。

そのため、自分専用の暗号資産ウォレットで保管することが推奨されます。

種類 特徴 用途
ホットウォレット インターネットに接続、スマホアプリ・デスクトップアプリ 頻繁に取引する場合に便利
コールドウォレット インターネットから切り離し、ハードウェア・ペーパーウォレット 長期保管に適している

BSVに対応したウォレットとしては、ElectrumSV、HandCash、MoneyButtonなどがあります。ウォレットを選ぶ際は、BSVに対応しているか、セキュリティ機能が充実しているか、使いやすいかなどを確認しましょう。

ウォレットを設定する際に表示される「秘密鍵」や「リカバリーフレーズ」は、絶対に他人に教えず、安全な場所に保管することが重要です。これらを紛失すると、ウォレット内の資産にアクセスできなくなります。

ウォレットの使用方法は、取引所からウォレットのアドレスにBSVを送金するだけです。送金の際は、アドレスを間違えないように注意しましょう。

アドレスを間違えると、資産を取り戻すことができません。少額で試してから、本格的に送金することをおすすめします。

関連銘柄への間接投資を検討する

BSVに直接投資するのではなく、BSVに関連する企業や銘柄に投資する方法もあります。ただし、BSVに特化した上場企業や投資商品は限られているため、この方法は現実的ではない場合が多いです。

間接投資の選択肢としては、暗号資産マイニング企業への投資が考えられます。一部のマイニング企業はBSVのマイニングを行っており、これらの企業の株式を購入することで、間接的にBSVのエコシステムに投資することができます。

マイニング企業の業績は、BSVの価格だけでなく、電力コストや競争環境など多くの要因に影響されるため、BSVの価格変動と完全に連動するわけではありません。

また、ブロックチェーン技術関連企業への投資も選択肢の一つです。BSVの技術を活用したアプリケーションやサービスを開発する企業に投資することで、BSVのエコシステムの成長から利益を得られる可能性があります。

ただし、このような企業は多くの場合、非上場企業であり、個人投資家が直接投資することは困難です。

BSVを取り扱う暗号資産取引所の選び方

BSVを購入する際は、信頼できる暗号資産取引所を選ぶことが重要です。ここでは、取引所を選ぶ際のポイントを4つの観点から解説します。

金融庁登録の暗号資産交換業者を選ぶ

日本国内でBSVを購入する場合、金融庁に登録された暗号資産交換業者を選ぶことが最も重要です。

金融庁の登録を受けた業者は、資金決済法に基づく厳格な規制を受けており、顧客資産の分別管理、セキュリティ対策、財務健全性などの要件を満たしています。

金融庁に登録された暗号資産交換業者は、金融庁のウェブサイトで確認できます。登録業者は、顧客から預かった資産を自社の資産と分別して管理することが義務付けられており、万が一業者が倒産した場合でも、顧客資産は保護される仕組みになっています。

一方、金融庁に登録されていない海外取引所を利用する場合は、より慎重な判断が必要です。海外取引所は日本の規制対象外であるため、トラブルが発生した際の保護が限定的です。

過去には、海外取引所がハッキング被害に遭ったり、突然サービスを停止したりする事例もありました。

日本暗号資産取引業協会(JVCEA)に加盟している業者を選ぶことも一つの基準となります。JVCEAは、暗号資産交換業者の自主規制機関であり、加盟業者は一定の自主規制ルールを遵守しています。

取引手数料とスプレッドを比較する

暗号資産取引所を選ぶ際は、取引手数料とスプレッドを比較することが重要です。取引手数料は、売買の際に取引所に支払う手数料で、取引所によって大きく異なります。

一般的に、「取引所」形式(板取引)の方が「販売所」形式よりも手数料が安い傾向があります。

スプレッドは、売値と買値の差のことで、実質的な取引コストとなります。販売所形式では、スプレッドが広く設定されている場合が多く、頻繁に売買を繰り返すと、スプレッドだけで大きなコストになることがあります。

  • 取引手数料(売買時)
  • 入出金手数料(日本円)
  • 送金手数料(暗号資産)
  • スプレッド(売値と買値の差)

取引手数料やスプレッドは、取引所の公式サイトで確認できます。複数の取引所を比較し、自分の取引スタイルに合った取引所を選ぶことが重要です。

頻繁に取引する場合は、手数料が安い取引所を選ぶことで、長期的なコストを大幅に削減できます。

セキュリティ対策と補償制度を確認する

暗号資産取引所を選ぶ際は、セキュリティ対策と補償制度を確認することが重要です。暗号資産取引所は、ハッカーの標的になりやすく、過去には大規模なハッキング被害が発生した事例もあります。

主なセキュリティ対策

コールドウォレット保管:顧客資産の80%〜95%程度をオフライン保管

二段階認証(2FA):ログイン時のワンタイムパスワード入力

不正ログイン検知:異常なアクセスの自動検知

出金時の本人確認強化:電話・メールでの追加確認

補償制度については、一部の取引所では、ハッキング被害に遭った場合の補償制度を設けています。ただし、補償の条件や上限額は取引所によって異なるため、事前に確認しておくことが重要です。

顧客の過失(パスワードの漏洩など)による被害は補償対象外となる場合が多いため、自己防衛も怠らないようにしましょう。

使いやすさとサポート体制をチェックする

暗号資産取引所を選ぶ際は、使いやすさとサポート体制も重要なポイントです。特に初心者の場合、操作が複雑な取引所では、誤操作によって損失を被るリスクがあります。

そのため、直感的に操作できるインターフェースを持つ取引所を選ぶことが推奨されます。

多くの取引所では、スマートフォンアプリを提供しており、外出先でも取引ができます。アプリの使いやすさや機能の充実度も、取引所選びの重要な基準となります。

サポート体制については、日本語でのカスタマーサポートが提供されているかを確認しましょう。国内取引所では、メール、電話、チャットなどで日本語サポートを提供している場合が多いです。

また、よくある質問(FAQ)やヘルプページの充実度も確認しておくと良いでしょう。初心者向けのガイドやチュートリアルが用意されている取引所は、初めて暗号資産を購入する方にとって使いやすいです。

BSV投資で気をつけたい5つのリスク

BSVへの投資には、多くのリスクが伴います。ここでは、BSV投資で特に注意すべき5つのリスクについて詳しく解説します。

価格変動リスクが極めて大きい

BSVの最も大きなリスクは、価格変動が極めて大きいことです。

2024年には、BSVの価格は126米ドルから18米ドル程度まで、約85%以上も下落しました。このような激しい価格変動は、短期間で大きな損失を被る可能性があることを意味します。

暗号資産全般に言えることですが、BSVは株式や債券などの伝統的な金融資産と比較して、価格変動が極めて大きい傾向があります。これは、市場規模が小さいこと、流動性が限定的であること、投機的な取引が多いことなどが原因です。

価格変動の要因は多岐にわたります。暗号資産市場全体の動向、ビットコインの価格変動、規制に関するニュース、技術的な問題、主要な支持者の発言など、さまざまな要因が価格に影響を与えます。

このような価格変動リスクに対処するためには、投資資金の管理が重要です。生活資金や近い将来使う予定のある資金を投資に回すことは避け、余裕資金の範囲内で投資することが推奨されます。

取引所の倒産やハッキングリスク

BSVを暗号資産取引所で購入・保管する場合、取引所の倒産やハッキングによって資産を失うリスクがあります。過去には、大規模な暗号資産取引所がハッキング被害に遭い、顧客資産が流出した事例が複数あります。

2014年のマウントゴックス事件では、当時世界最大級のビットコイン取引所が約480億円相当のビットコインを失い、倒産しました。

また、2024年にはDMMビットコインで約480億円相当のビットコインが不正流出する事件が発生し、金融庁が業務改善命令を出しました。

対策1:分散保管
大量の資産を取引所に預けたままにせず、自分専用のウォレットに移す
対策2:複数取引所の利用
複数の取引所に資産を分散することで、一つの取引所が問題を起こした場合の被害を軽減
対策3:セキュリティ強化
二段階認証を必ず設定し、パスワードは複雑なものを使用

規制変更による取引制限の可能性

暗号資産は、規制が未整備な分野であり、今後規制が強化される可能性があります。規制の変更によって、BSVの取引が制限されたり、税制が変更されたりするリスクがあります。

日本では、金融庁が暗号資産規制の見直しに着手しており、暗号資産を資金決済法から金融商品取引法の規制枠組みに移行させる方向で検討しています。

BSVは、過去に複数の主要取引所から上場廃止となった経緯があります。2019年には、Binance、Kraken、ShapeShiftなどの主要取引所がBSVの取り扱いを停止しました。今後も、規制の変更や取引所の判断によって、BSVの取引が制限される可能性があります。

規制リスクに対処するためには、規制に関するニュースを定期的にチェックし、変化に迅速に対応することが重要です。また、規制が厳しくなる可能性を考慮して、投資額を調整することも一つの対策です。

BSV特有の論争と採用率の低さ

BSVは、暗号資産コミュニティ内で論争の対象となっており、これがBSVの価値と将来性に影響を与えています。

BSVの主要な支持者であるCraig Wright氏は、自身がビットコインの創始者サトシ・ナカモトであると主張していますが、この主張は広く受け入れられておらず、法的な争いにも発展しています。

2024年には、英国最高裁判所がBSV投資家による130億米ドルの訴訟を棄却しました。

また、BSVの採用率は低く、実際のユースケースも限られています。多くの企業や開発者は、ビットコインやイーサリアムなどの主要な暗号資産を採用しており、BSVを採用する動きは限定的です。

BSV特有の論争と採用率の低さは、BSVの長期的な価値に影響を与える可能性があります。投資を検討する際は、これらのリスクを十分に理解し、慎重に判断することが重要です。

税務処理の複雑さ

暗号資産の税務処理は複雑で、適切に申告しないと、税務署から指摘を受けたり、ペナルティを科されたりするリスクがあります。

BSVを含む暗号資産の売買益は、雑所得として総合課税の対象となり、最大税率は55%(所得税45%+住民税10%)です。

  • 暗号資産同士の交換も課税対象
  • 取得価額の計算は「移動平均法」または「総平均法」
  • 取引記録を正確に保管する必要がある
  • 年間取引報告書を活用する

税務処理の複雑さに対処するためには、専門家に相談することが推奨されます。税理士や会計士に相談することで、適切な申告方法を知ることができ、税務リスクを軽減できます。

国税庁:暗号資産に関する税務上の取扱い

BSV投資の税金と確定申告の基礎知識

BSVを含む暗号資産への投資では、税金と確定申告の知識が欠かせません。ここでは、暗号資産の税務処理について、基礎的な知識を解説します。

暗号資産の税務上の取扱い

暗号資産の売買益は、所得税法上「雑所得」に分類されます。雑所得は、給与所得や事業所得などの他の所得と合算して課税される総合課税の対象となり、税率は所得額に応じて5%〜45%(住民税を含めると15%〜55%)となります。

課税対象となるタイミング
  • 暗号資産を日本円や外貨に換金した場合
  • 暗号資産同士を交換した場合
  • 暗号資産で商品やサービスを購入した場合

暗号資産の取得価額は、購入時の価格に手数料を加えた金額です。複数回に分けて購入した場合は、「移動平均法」または「総平均法」で平均取得価額を計算します。

なお、暗号資産を保有しているだけでは課税されません。売却や交換など、利益が確定した時点で初めて課税対象となります。

国税庁:暗号資産に関する税務上の取扱い

利益が出たときの確定申告方法

暗号資産の売買益が年間20万円を超える場合(給与所得者の場合)、または暗号資産の売買益を含む雑所得が年間48万円を超える場合(給与所得がない場合)、確定申告が必要となります。

確定申告の期間は、毎年2月16日から3月15日までです。

1. 年間取引の集計
  • 取引所から提供される年間取引報告書を活用
  • 複数の取引所を利用している場合はすべて合算
2. 確定申告書の作成
  • 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用
  • 暗号資産の売買益は「雑所得」の欄に記入
3. 税務署に提出
  • 直接持参、郵送、e-Tax(電子申告)から選択
4. 税金の納付

なお、暗号資産の売買で損失が発生した場合、雑所得内での損益通算は可能ですが、他の所得(給与所得など)との損益通算はできません。また、損失を翌年以降に繰り越すこともできません。

年間取引報告書の活用方法

多くの暗号資産取引所では、年間取引報告書を提供しています。年間取引報告書には、1年間の取引履歴、売買益、手数料などがまとめられており、確定申告の際に活用できます。

年間取引報告書の取得方法は、取引所によって異なりますが、多くの場合、取引所のウェブサイトやアプリからダウンロードできます。年間取引報告書は、通常、翌年の1月中旬から2月上旬に提供されます。

年間取引報告書には、取引日時、取引の種類(購入、売却、交換など)、暗号資産の種類、数量、価格、手数料などの取引詳細が含まれています。これらの情報をもとに、売買益を計算することができます。

年間取引報告書を活用する際の注意点として、年間取引報告書は、その取引所での取引のみを対象としています。複数の取引所を利用している場合は、すべての取引所の年間取引報告書を取得し、合算する必要があります。

ETFと直接購入はどう違う?|比較ポイント

BSV ETFは存在しませんが、仮にETFが存在した場合と直接購入では、どのような違いがあるのでしょうか。ここでは、ETFと直接購入の違いを3つの観点から比較します。

投資の手軽さと管理の違い

ETFと直接購入の最も大きな違いは、投資の手軽さと管理の容易さです。

ETFは、証券会社の口座を通じて、株式と同じように売買できるため、投資の手続きが簡単です。証券口座を既に持っている場合は、新たに暗号資産取引所の口座を開設する必要がなく、すぐに投資を始めることができます。

項目 ETF 直接購入
口座開設 証券会社の口座 暗号資産取引所の口座
資産管理 証券会社が管理 自己管理(秘密鍵・リカバリーフレーズ)
手続きの簡便性 株式と同様に売買可能 ウォレット設定など追加手続きが必要

一方、直接購入の場合は、暗号資産取引所の口座を開設し、本人確認を行う必要があります。また、購入した暗号資産を安全に保管するために、ウォレットの設定や秘密鍵の管理など、追加の手続きが必要です。

ただし、直接購入には、暗号資産を自分で管理できるというメリットもあります。自分専用のウォレットで暗号資産を保管することで、取引所の倒産やハッキングのリスクから資産を守ることができます。

税務処理の違い

ETFと直接購入では、税務処理の方法が大きく異なります。ETFの売買益は、株式と同様に申告分離課税の対象となり、税率は一律20.315%(所得税15.315%+住民税5%)です。

また、損失が発生した場合は、他の株式やETFの売買益と損益通算ができ、損失を3年間繰り越すこともできます。

一方、暗号資産の直接購入による売買益は、雑所得として総合課税の対象となり、税率は所得額に応じて15%〜55%(所得税5%〜45%+住民税10%)です。

具体例:年収800万円の給与所得者が100万円の利益

ETFの場合:税額約20万円(100万円×20.315%)、手取り約80万円

暗号資産の場合:税額約33万円(税率約33%)、手取り約67万円

また、ETFの場合、証券会社が特定口座(源泉徴収あり)を提供している場合、証券会社が自動的に税金を計算し、源泉徴収してくれるため、確定申告が不要になります。

一方、暗号資産の直接購入の場合、自分で売買益を計算し、確定申告を行う必要があります。

投資家保護制度の違い

ETFと直接購入では、投資家保護制度も異なります。ETFは、金融商品取引法の規制対象となり、証券会社を通じて購入するため、投資者保護基金による保護の対象となります。

証券会社が倒産した場合、投資者保護基金によって、1人あたり1000万円まで補償されます。

項目 ETF 直接購入
規制法 金融商品取引法 資金決済法
保護制度 投資者保護基金(1人あたり1000万円まで) 分別管理義務(補償制度なし)
情報開示 厳格な情報開示義務 限定的

一方、暗号資産の直接購入は、資金決済法の規制対象となり、暗号資産交換業者を通じて購入します。暗号資産交換業者は、顧客資産の分別管理やセキュリティ対策が義務付けられていますが、投資者保護基金のような補償制度はありません。

投資家保護の観点から見ると、ETFの方が安全性が高いと言えます。ただし、BSV ETFは現在存在しないため、BSVに投資したい場合は、直接購入のリスクを十分に理解した上で、慎重に判断する必要があります。

よくある質問(Q&A)

よくある質問(Q&A)
BSV ETFは今後登場する可能性はありますか?

BSV ETFが今後登場する可能性は、現時点では非常に低いと考えられます。日本では、金融庁が暗号資産ETFの組成に向けた法改正を検討していますが、対象となるのはビットコインやイーサリアムなどの主要暗号資産が中心となる見込みです。BSVは市場規模が小さく、流動性も限定的であるため、ETFとして組成される優先順位は低いでしょう。米国でも同様に、BSV ETFの承認は当面見込まれていません。

BSVは少額から投資できますか?

はい、BSVは少額から投資できます。多くの暗号資産取引所では、数百円程度から暗号資産を購入できるため、初心者でも気軽に投資を始めることができます。ただし、BSVは価格変動が極めて大きいため、少額であっても損失のリスクがあることを理解しておく必要があります。投資を始める際は、余裕資金の範囲内で、無理のない金額から始めることをおすすめします。

BSVはどこで購入するのが安全ですか?

BSVを安全に購入するには、金融庁に登録された暗号資産交換業者を利用することが最も重要です。金融庁のウェブサイトで登録業者のリストを確認できます。登録業者は、顧客資産の分別管理やセキュリティ対策が義務付けられており、一定の安全性が確保されています。海外取引所を利用する場合は、運営実績やセキュリティ対策を十分に調査し、信頼できる取引所を選ぶことが重要です。

BSVとビットコインはどちらに投資すべきですか?

投資判断は個人のリスク許容度や投資目的によって異なりますが、一般的にはビットコインの方が安全性が高いと考えられます。ビットコインは時価総額が最も大きく、流動性も高いため、価格変動リスクがBSVよりも相対的に低いです。また、ビットコインは世界中で広く認知されており、採用事例も多いため、長期的な価値保存手段として評価されています。BSVは高リスク・高リターンを狙う投資家向けの選択肢と言えるでしょう。

BSVの保管方法はどうすればよいですか?

BSVを安全に保管するには、自分専用のウォレットを使用することが推奨されます。長期保管する場合は、インターネットから切り離されたハードウェアウォレット(Ledger、Trezorなど)が最も安全です。頻繁に取引する場合は、スマートフォンアプリのウォレット(ElectrumSV、HandCashなど)が便利です。ウォレットを設定する際に表示される秘密鍵やリカバリーフレーズは、絶対に他人に教えず、安全な場所に保管してください。

まとめ

この記事では、BSV ETFの存在状況と、BSVに投資する方法、そして投資する際の注意点について詳しく解説しました。

BSV ETFは、2024年12月現在、日本でも米国でも存在しません。その理由は、暗号資産ETFの規制ハードルが高いこと、BSVの市場規模と投資需要が限定的であること、価格変動リスクと論争による不確実性があることです。

BSVに投資したい場合は、暗号資産取引所を通じた直接購入が主な方法となります。

  • 価格変動リスクが極めて大きい
  • 取引所の倒産やハッキングリスク
  • 規制変更による取引制限の可能性
  • BSV特有の論争と採用率の低さ
  • 税務処理の複雑さ

暗号資産取引所を選ぶ際は、金融庁に登録された業者を選び、取引手数料やスプレッド、セキュリティ対策、サポート体制などを比較検討しましょう。また、購入したBSVは、自分専用のウォレットで安全に保管することが推奨されます。

税務処理については、暗号資産の売買益は雑所得として総合課税の対象となり、最大税率は55%です。確定申告が必要な場合は、年間取引報告書を活用し、適切に申告を行いましょう。

複雑な場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

なお、投資には元本割れのリスクがあります。BSVは価格変動が極めて大きく、高リスクな投資対象です。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。投資判断に迷う場合は、ファイナンシャルプランナーや投資アドバイザーなどの専門家にご相談されることをおすすめします。

SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

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