楽天証券のS&P500はどれを選ぶ?|3銘柄を徹底比較

楽天証券のS&P500はどれを選ぶ?|3銘柄を徹底比較

楽天証券でS&P500に投資したいけれど、どの銘柄を選べばいいか迷っていませんか。

楽天証券では複数のS&P500連動型投資信託が購入できますが、信託報酬や運用実績が異なるため、初心者の方は選択に悩むことが多いんです。

結論から言うと、初心者には「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」がおすすめです。

信託報酬が業界最低水準で、運用実績も長く、純資産総額が大きいため安心して長期投資できます。

この記事では、楽天証券で買える主なS&P500投資信託3銘柄を徹底比較し、あなたに最適な選び方を解説します。

楽天ポイントの活用方法や購入手順も詳しく紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。

この記事の要約
  • 楽天証券で買えるS&P500投資信託は主に3銘柄。初心者には「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」がおすすめ
  • 信託報酬は0.07713%~0.0586%と僅差だが、運用実績やファンド規模に違いがある
  • 楽天カード積立を活用すれば、投資しながら最大1%のポイント還元を受けられる
SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

目次

楽天証券で買えるS&P500投資信託|おすすめは「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」

楽天証券でS&P500に投資するなら、まず知っておきたいのが投資信託の選び方です。楽天証券では複数のS&P500連動型投資信託を取り扱っており、それぞれに特徴があります。

初心者に最もおすすめなのは「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」です。信託報酬が業界最低水準の年率0.07713%(税込、2025年1月25日以降)で、運用実績が長く、純資産総額も6兆円を超えています。

三菱UFJアセットマネジメント:eMAXIS Slim信託報酬引き下げ

それでは、S&P500の基本から、楽天証券で買える主な銘柄、そして選び方のポイントを順に見ていきましょう。

S&P500とは?|米国を代表する500社の株価指数

S&P500は、米国の金融商品取引所に上場している企業のうち、時価総額や流動性などを勘案して選ばれた500社の株式で構成される株価指数です。AppleやMicrosoft、Amazonなど、世界をリードする企業が含まれています。

この指数は1957年から算出されており、米国株式市場全体の約80%の時価総額をカバーしています。そのため、S&P500に連動する投資信託を購入すれば、米国経済全体の成長に投資できるんです。

長期的には右肩上がりの成長を続けてきた指数であり、過去40年間で約20倍に成長しました。

ただし、短期的には株価下落や為替変動のリスクがあることも理解しておきましょう。

楽天証券で買える主な3つの銘柄

楽天証券LP画像
項目 内容
口座数 約12,000,000口座 ※2025年1月時点
取引手数料 【ゼロコース】 国内株式(現物・信用):0円 かぶミニ®(単元未満株):0円 投資信託:0円 ※ゼロコース選択時。 ※一部、スプレッドや信託財産留保額が発生する場合があります。
NISA対応 〇(新NISA対応)
つみたて投資枠取扱銘柄数 263銘柄 ※2025年4月24日時点
成長投資枠対象商品 国内株式 / 外国株式 / 投資信託(約1,345銘柄)
投資信託 約2,550本 ※2025年4月24日時点
外国株 6カ国/米国株式(約4,500銘柄)
取引ツール(PC) マーケットスピード / マーケットスピード II / 楽天MT4
スマホアプリ iSPEED / iSPEED for iPad / iSPEED FX / iSPEED 先物
提携銀行口座 楽天銀行(マネーブリッジ)
ポイント投資・付与 楽天ポイント(投資信託 / 国内株式 / 米国株式<円貨決済>)
口座開設スピード 最短 翌営業日

楽天証券で購入できる主なS&P500連動型投資信託は以下の3つです。

  • eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)|三菱UFJアセットマネジメント
  • 楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンド|楽天投信投資顧問
  • つみたてiシェアーズ 米国株式(S&P500)インデックス・ファンド(愛称:つみたてS&P500)|ブラックロック・ジャパン

これら3銘柄はいずれもS&P500指数(配当込み、円換算ベース)に連動することを目指しており、購入時手数料は無料(ノーロード)です。新NISAのつみたて投資枠・成長投資枠の両方で購入できます。

最も大きな違いは信託報酬(運用管理費用)と運用実績の長さです。eMAXIS Slimは2018年7月設定で運用実績が長く、純資産総額も最大規模です。楽天・プラス・S&P500は2023年10月設定で比較的新しく、つみたてS&P500は2023年11月設定で最も新しい銘柄となっています。

初心者におすすめの銘柄と選び方

投資初心者には「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」をおすすめします。その理由は3つあります。

eMAXIS Slimをおすすめする3つの理由

運用実績が長い

純資産総額が大きい

信託報酬の引き下げ実績がある

第一に、運用実績が長いことです。2018年7月の設定以来、市場の上昇局面だけでなく、2020年のコロナショックなど下落局面も経験しており、指数との連動性(トラッキング精度)が実証されています。

第二に、純資産総額が大きいことです。2025年1月時点で約6兆8,779億円の純資産総額があり、繰上償還(ファンドが途中で運用終了すること)のリスクがほとんどありません。長期投資を前提とするなら、この安心感は重要です。

第三に、信託報酬の引き下げ実績があることです。eMAXIS Slimシリーズは「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続ける」というコンセプトで、実際に何度も信託報酬を引き下げてきました。2025年1月25日にも引き下げを実施しており、長期保有者にとって有利です。

三菱UFJeスマート証券:eMAXIS Slim信託報酬引き下げ

楽天証券のS&P500投資信託3銘柄を比較|信託報酬・実績・規模

ここからは、楽天証券で購入できる主なS&P500投資信託3銘柄を詳しく比較していきます。信託報酬、運用実績、ファンド規模、トラッキングエラーなど、銘柄選びで重要なポイントを表形式でまとめました。

それぞれの銘柄には特徴があり、どれが最適かは投資目的や重視するポイントによって異なります。以下の比較を参考に、ご自身に合った銘柄を選んでください。

信託報酬と実質コストの比較

信託報酬は投資信託を保有している間、日々差し引かれる運用管理費用です。長期投資では、この僅かな差が大きな影響を与えます。

銘柄名 信託報酬(年率・税込) 実質コスト(年率・税込)
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) 0.07713%(2025年1月25日以降) 約0.10%程度
楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンド 0.077% 約0.08%程度
つみたてS&P500 0.0586%(2026年5月7日まで) 約0.07%程度

実質コストには、信託報酬に加えて売買委託手数料や監査費用などが含まれます。これらは運用状況により変動するため、運用報告書で確認することが大切です。eMAXIS Slimは有価証券貸付(レンディング)による収益獲得にも取り組んでおり、実質的なコスト負担を抑える工夫をしています。

運用実績とファンド規模の比較

運用実績の長さとファンド規模は、銘柄の安定性を判断する重要な指標です。

銘柄名 設定日 純資産総額(2025年1月時点) 運用会社
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) 2018年7月3日 約6兆8,779億円 三菱UFJアセットマネジメント
楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンド 2023年10月27日 約1,000億円超 楽天投信投資顧問
つみたてS&P500 2023年11月17日 約500億円程度 ブラックロック・ジャパン

eMAXIS Slimは設定から6年以上が経過し、純資産総額も圧倒的に大きいのが特徴です。この規模があれば、繰上償還のリスクはほぼないと言えます。

楽天・プラス・S&P500とつみたてS&P500は設定から1年程度と運用実績が短いため、市場の大きな変動局面での運用実績がまだ十分に蓄積されていません。ただし、楽天・プラス・S&P500は設定から約1年で純資産総額が100億円を突破するなど、順調に資金を集めています。

時事通信:楽天・S&P500残高100億円達成

トラッキングエラーと指数乖離率

トラッキングエラーとは、投資信託の運用成績がベンチマーク(目標とする指数)からどれだけ乖離しているかを示す指標です。この数値が小さいほど、指数に忠実に連動していることを意味します。

eMAXIS Slimは運用実績が長いため、トラッキングエラーのデータが豊富に蓄積されています。過去の運用報告書を見ると、年率換算で0.1%以下の低いトラッキングエラーを維持しており、指数との連動性が高いことが確認できます。

楽天・プラス・S&P500とつみたてS&P500は運用期間が短いため、長期的なトラッキングエラーのデータはまだ限られています。ただし、どちらも大手運用会社が運用しており、指数連動の技術は確立されています。

実際の投資では、信託報酬の差よりもトラッキングエラーの影響の方が大きくなることもあります。そのため、運用実績が長く、トラッキング精度が実証されている銘柄を選ぶことも重要な判断基準です。

ベンチマークの違い(配当込み・配当なし)

S&P500連動型投資信託のベンチマークには、「配当込み」と「配当なし」の2種類があります。楽天証券で購入できる3銘柄はいずれも「S&P500指数(配当込み、円換算ベース)」をベンチマークとしています。

配当込み指数は、構成銘柄から支払われる配当金を再投資したと仮定して計算されるため、配当なし指数よりもリターンが高くなる傾向があります。長期投資では、この配当の再投資効果(複利効果)が大きな差を生むため、配当込み指数をベンチマークとする銘柄を選ぶことが重要です。

また、「円換算ベース」とは、米ドル建てのS&P500指数を日々の為替レートで円に換算した指数のことです。そのため、ファンドの基準価額は株価の変動だけでなく、為替レートの変動も反映します。円安になれば基準価額は上昇し、円高になれば下落する傾向があります。

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)がおすすめな理由は3つ

ここからは、なぜeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)が初心者におすすめなのか、その理由を詳しく解説します。信託報酬の低さ、運用実績の長さ、ファンド規模の大きさという3つのポイントから、この銘柄の魅力をお伝えします。

長期投資において、これら3つの要素は投資成果に大きな影響を与えます。それぞれのポイントを理解することで、銘柄選びの判断基準が明確になるでしょう。

業界最低水準の信託報酬で長期投資に有利

eMAXIS Slimシリーズは「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続ける」というコンセプトで運用されています。実際に、設定以来何度も信託報酬の引き下げを実施してきました。

2025年1月25日からの信託報酬は年率0.07713%(税込)となり、これは2024年12月9日時点の純資産総額(約6兆1,648億円)を基に推計した数値です。eMAXIS Slimでは「受益者還元型信託報酬率」を採用しており、純資産総額が増えるほど信託報酬率が下がる仕組みになっています。

三菱UFJアセットマネジメント:eMAXIS Slim信託報酬引き下げ

例えば、100万円を20年間運用した場合、信託報酬が年率0.1%と0.5%では、累積コストに約8万円の差が生じます。

長期投資では、この僅かな差が大きな影響を与えるため、低コストの銘柄を選ぶことが重要です。

また、三菱UFJアセットマネジメントは今後も保管費用の削減や有価証券貸付による収益獲得などに取り組み、パフォーマンス向上に努めると表明しています。この姿勢は、長期保有者にとって大きな安心材料です。

運用実績が長く安定した運用成績

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は2018年7月3日に設定され、2025年時点で約6年半の運用実績があります。この期間には、2020年のコロナショックや2022年の米国株式市場の調整局面など、さまざまな市場環境を経験しています。

それでも指数との連動性を高く維持しており、トラッキングエラーは年率換算で0.1%以下と低水準です。これは、運用会社の指数連動技術が優れていることを示しています。

運用実績が長いということは、さまざまな市場環境でのファンドの振る舞いが確認できるということです。新しいファンドの場合、市場の大きな変動局面でどのような運用成績になるか予測しにくい面があります。その点、eMAXIS Slimは実績に基づいた安心感があります。

また、運用期間が長いことで、長期投資のシミュレーションもしやすくなります。過去のデータを基に、自分の投資計画が現実的かどうかを判断できるのは、初心者にとって大きなメリットです。

ファンド規模が大きく繰上償還リスクが低い

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の純資産総額は、2025年1月時点で約6兆8,779億円に達しています。これは国内の投資信託の中でもトップクラスの規模です。

三菱UFJeスマート証券:eMAXIS Slim信託報酬引き下げ

ファンド規模が大きいことには、いくつかのメリットがあります。

ファンド規模が大きいメリット

繰上償還のリスクがほとんどない

売買コストを抑えやすい

多くの投資家に選ばれているという安心感

第一に、繰上償還(ファンドが途中で運用終了すること)のリスクがほとんどありません。小規模なファンドの場合、運用資産が減少すると採算が取れなくなり、繰上償還されることがあります。しかし、この規模があれば、そのようなリスクは考えにくいでしょう。

第二に、売買コストを抑えやすいことです。ファンド規模が大きいと、株式の売買を効率的に行えるため、売買委託手数料などのコストを抑えられます。これは実質的なリターン向上につながります。

第三に、多くの投資家に選ばれているという安心感です。純資産総額が大きいということは、それだけ多くの投資家がこのファンドを信頼して資金を預けているということです。投資判断に迷ったとき、多くの人が選んでいるという事実は一つの判断材料になります。

楽天・S&P500インデックス・ファンドの特徴|低コストだが運用実績は短い

楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンド(以下、楽天・S&P500)は、楽天投信投資顧問が運用するS&P500連動型投資信託です。2023年10月27日に設定された比較的新しい銘柄ですが、低コストと楽天ポイントとの相性の良さが特徴です。

楽天証券ユーザーで、楽天経済圏を活用している方には魅力的な選択肢となります。ここでは、楽天・S&P500のメリットと注意点を詳しく見ていきましょう。

信託報酬0.077%の低コスト

楽天・S&P500の信託報酬は年率0.077%(税込)で、eMAXIS Slimとほぼ同水準の低コストです。楽天投信投資顧問は「信託報酬を同種のファンドの中で最安で提供することを目標」としており、実際に低コストを実現しています。

時事通信:楽天・S&P500残高100億円達成

設定から約1か月後の2023年12月1日には、さらに信託報酬を引き下げ、同種のファンドの中で最安水準を維持する姿勢を示しました。この積極的なコスト削減の姿勢は、長期投資家にとって好材料です。

また、実質コストも約0.08%程度と低く抑えられています。これは、運用会社が効率的な運用を行っていることを示しています。長期投資では、この僅かなコストの差が積み重なって大きな影響を与えるため、低コストであることは重要な選択基準です。

楽天ポイントで投資できるメリット

楽天・S&P500は楽天証券で購入できるため、楽天ポイントを使って投資することができます。楽天市場での買い物や楽天カードの利用で貯まったポイントを、そのまま投資に回せるのは楽天経済圏ユーザーにとって大きなメリットです。

さらに、楽天証券では「投信残高ポイントプログラム」を実施しており、楽天・S&P500の保有残高に応じて年率0.028%のポイントが貯まります。これは実質的な信託報酬の軽減効果があり、他社の同種ファンドと比べてお得です。

時事通信:楽天・S&P500残高100億円達成

例えば、100万円を保有していれば年間280ポイントが貯まる計算です。

貯まったポイントをさらに投資に回すことで、複利効果を高めることもできます。楽天ポイントを日常的に活用している方にとって、この仕組みは資産形成の効率を高める有効な手段です。

運用開始が新しいことへの注意点

楽天・S&P500は2023年10月設定と運用実績が約1年程度しかないため、長期的な運用成績やトラッキング精度がまだ十分に実証されていません。市場の大きな変動局面での運用実績が限られているため、この点は注意が必要です。

また、純資産総額も約1,000億円超とeMAXIS Slimに比べると小規模です。ただし、設定から約1年で100億円を突破するなど、資金流入は順調であり、今後の成長が期待できます。

運用会社の楽天投信投資顧問は、楽天グループの一員として信頼性は高いものの、インデックス運用の実績という点ではeMAXIS Slimを運用する三菱UFJアセットマネジメントに比べると限定的です。

長期投資を前提とする場合、運用会社の実績も考慮に入れることが大切です。

つみたてS&P500(マネックス・アセットマネジメント)の特徴|最安だが隠れコストに注意

つみたてiシェアーズ 米国株式(S&P500)インデックス・ファンド(愛称:つみたてS&P500)は、ブラックロック・ジャパンが設定・運用するS&P500連動型投資信託です。2023年11月17日に設定された最も新しい銘柄で、信託報酬の低さが最大の特徴です。

ただし、ETF(上場投資信託)を介する運用方式のため、独自の注意点もあります。ここでは、つみたてS&P500のメリットとデメリットを詳しく解説します。

信託報酬0.0586%で業界最安水準

つみたてS&P500の信託報酬は年率0.0586%(税込、2026年5月7日まで)で、3銘柄の中で最も低コストです。

ブラックロック・ジャパンは世界最大級の資産運用会社ブラックロック・グループの日本法人であり、運用資産残高は世界トップクラスです。このスケールメリットを活かして、低コストでの運用を実現しています。

ただし、2026年5月8日以降は信託報酬が年率0.09072%(税抜0.0852%)以内に変更される予定です。それでも他の銘柄と比べて低コストではありますが、当初の最安水準からは若干上昇することになります。

ETFを介する仕組みと価格乖離リスク

つみたてS&P500は、米国株式に直接投資するのではなく、ブラックロック・グループが運用する米国株式ETFに投資する「ファンド・オブ・ファンズ」方式を採用しています。この仕組みには、メリットとデメリットの両面があります。

メリットは、ETFの流動性や運用効率を活用できることです。ETFは取引所で売買されるため、市場価格がリアルタイムで形成され、効率的な売買が可能です。また、ブラックロックの豊富なETF運用ノウハウを活用できます。

一方、デメリットとしては、ETFの市場価格と純資産価値(NAV)の乖離リスクがあります。市場の急変動時には、ETFの市場価格が純資産価値から大きく乖離することがあり、これがファンドの基準価額に影響を与える可能性があります。

また、ETFを介することで、ファンドとETFの二重のコスト構造になる点にも注意が必要です。信託報酬は低く設定されていますが、実質的なコスト負担を正確に把握するには、運用報告書を確認することが重要です。

隠れコストで実質リターンが低下する可能性

つみたてS&P500のように、ETFを介して運用するファンドでは、信託報酬以外の「隠れコスト」に注意が必要です。隠れコストには、ETFの売買時のスプレッド(買値と売値の差)や、為替取引のコストなどが含まれます。

これらのコストは運用状況により変動するため、目論見書では明示されていません。実際のコストは、年1回発行される運用報告書で確認できます。信託報酬が低くても、隠れコストが大きければ実質的なリターンは低下します。

また、運用実績が約1年と短いため、長期的なトラッキングエラーや実質コストのデータがまだ十分に蓄積されていません。今後のデータの蓄積を待つ必要があります。

純資産総額も約500億円程度とまだ小規模であり、今後の資金流入状況を注視する必要があります。ただし、マネックス証券専売商品として一定の需要は見込まれており、順調に成長する可能性もあります。

SBI・V・S&P500は楽天証券で買えない|代替案と対処法

「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」は、S&P500連動型投資信託の中でも人気の高い銘柄ですが、楽天証券では購入できません。この銘柄はSBI証券の専売商品として設定されているためです。

楽天証券ユーザーの中には、SBI・V・S&P500を購入したいと考えている方もいるかもしれません。ここでは、なぜ購入できないのか、そして楽天証券で同等の商品を選ぶにはどうすればよいかを解説します。

SBI・V・S&P500はSBI証券専売商品

SBI・V・S&P500インデックス・ファンドは、SBIアセットマネジメントが設定・運用し、SBI証券が独占販売する投資信託です。バンガード社のETF「VOO(Vanguard S&P 500 ETF)」に投資する仕組みで、信託報酬は年率0.0938%程度と低コストです。

この銘柄は楽天証券では取り扱っておらず、購入するにはSBI証券に口座を開設する必要があります。他の証券会社でも購入できないため、SBI証券の専売商品という位置づけです。

証券会社が独自の投資信託を専売商品として提供するのは、顧客の囲い込み戦略の一環です。SBI証券は国内最大級のネット証券であり、この専売商品戦略で多くの顧客を獲得しています。

楽天証券で同等の商品を選ぶなら

楽天証券でSBI・V・S&P500と同等の商品を選ぶなら、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」が最も近い選択肢です。どちらもS&P500指数(配当込み、円換算ベース)に連動することを目指しており、低コストで運用されています。

信託報酬を比較すると、SBI・V・S&P500が年率0.0938%程度、eMAXIS Slimが年率0.07713%(2025年1月25日以降)で、eMAXIS Slimの方が若干低コストです。運用方式は異なりますが(SBI・V・S&P500はETF経由、eMAXIS Slimは直接投資)、どちらも指数連動を目指すインデックスファンドという点では同じです。

楽天証券を利用し続けたい場合は、eMAXIS Slimを選ぶことで、SBI・V・S&P500と同等かそれ以上の投資成果が期待できます。また、楽天ポイントとの連携や楽天カード積立のメリットも活用できるため、楽天経済圏ユーザーにとってはむしろ有利な選択と言えるでしょう。

どうしてもSBI・V・S&P500を購入したい場合は、SBI証券に新規口座を開設する方法もあります。複数の証券会社を使い分けることで、それぞれの強みを活かした投資戦略を組むことも可能です。

楽天証券でS&P500を買う手順|口座開設から購入まで5ステップ

ここからは、楽天証券でS&P500投資信託を実際に購入する手順を、初心者の方にも分かりやすく解説します。口座開設から積立設定まで、画面の流れに沿って説明しますので、ぜひ参考にしてください。

楽天証券なら、スマートフォンで本人確認を行えば最短翌営業日に口座開設が完了します。手続きは思っているよりも簡単ですので、安心して進めてください。

楽天証券の口座開設(最短翌営業日)

楽天証券の口座開設は、インターネットから24時間いつでも申し込めます。まず、楽天証券の公式サイトにアクセスし、「口座開設」ボタンをクリックします。

メールアドレスを登録すると、確認メールが届きます。メール内のURLをクリックして、本人情報(氏名、住所、生年月日など)を入力します。このとき、楽天会員の方は楽天IDでログインすると、一部の情報が自動入力されて便利です。

本人確認書類は、スマートフォンのカメラで撮影してアップロードします。運転免許証やマイナンバーカードなどが利用できます。スマホで本人確認を行えば、最短翌営業日に口座開設が完了します。

口座開設の申し込みが完了すると、審査が行われます。審査に通過すると、ログインIDとパスワードが記載された書類が郵送またはメールで届きます。これで楽天証券の総合取引口座の開設は完了です。

NISA口座の開設手続き

S&P500投資信託を新NISAで購入する場合は、NISA口座の開設が必要です。NISA口座は、総合取引口座の開設と同時に申し込むこともできますし、後から追加で申し込むこともできます。

NISA口座の開設には、マイナンバーの確認が必要です。マイナンバーカードまたはマイナンバー通知カードと本人確認書類を用意してください。これらの書類もスマートフォンで撮影してアップロードします。

NISA口座の開設申し込みが完了すると、税務署での審査が行われます。この審査には通常2〜3週間程度かかります。審査が完了すると、楽天証券から「NISA口座開設完了」のお知らせが届き、NISA口座での取引が可能になります。

すでに他の金融機関でNISA口座を開設している場合は、楽天証券にNISA口座を移管する手続きが必要です。移管手続きには、現在NISA口座を開設している金融機関から「勘定廃止通知書」を取得する必要があります。

楽天カード・楽天キャッシュ積立の設定

楽天証券では、楽天カードでの積立投資(クレカ積立)に対応しています。楽天カードを持っている方は、この機能を設定することで、投資しながらポイントを貯めることができます。

クレカ積立を設定するには、まず楽天証券のマイページにログインし、「投信」メニューから「積立設定」を選択します。購入したい投資信託を検索し、「積立注文」ボタンをクリックします。

引落方法で「楽天カードクレジット決済」を選択し、積立金額(月100円〜10万円)と買付日を設定します。楽天カードの情報を入力し、設定を完了すれば、毎月自動的に投資信託が購入されます。

また、楽天キャッシュ(楽天の電子マネー)での積立にも対応しています。楽天カードから楽天キャッシュにチャージすることで0.5%のポイントが貯まり、楽天キャッシュで投資信託を購入できます。クレカ積立と合わせて月15万円まで積立可能です。

投資信託の検索と選択方法

楽天証券で投資信託を検索するには、マイページの「投信」メニューから「投資信託を探す」を選択します。検索窓に「S&P500」と入力すると、S&P500に連動する投資信託の一覧が表示されます。

検索結果から、購入したい銘柄(例:eMAXIS Slim 米国株式(S&P500))をクリックすると、ファンドの詳細ページが表示されます。ここでは、基準価額、純資産総額、信託報酬、運用実績などの情報を確認できます。

ファンド詳細ページの「目論見書」や「運用報告書」のリンクから、より詳しい情報を確認することもできます。目論見書にはファンドの投資方針やリスク、手数料などが記載されており、購入前に必ず確認しましょう。

銘柄を決めたら、「購入」または「積立」ボタンをクリックして、注文画面に進みます。スポット購入(一回限りの購入)と積立購入のどちらかを選択できます。

積立設定と購入完了

積立設定画面では、以下の項目を入力します。

  • 口座区分:NISA(つみたて投資枠/成長投資枠)または特定口座を選択
  • 引落方法:楽天カードクレジット決済、楽天キャッシュ、証券口座から選択
  • 積立金額:月100円〜10万円の範囲で設定(楽天カード決済の場合)
  • 分配金コース:再投資型を選択(複利効果を得るため)
  • ポイント利用:楽天ポイントを使う場合は設定

すべての項目を入力したら、内容を確認して「注文する」ボタンをクリックします。これで積立設定が完了し、指定した日に自動的に投資信託が購入されます。

積立設定後は、マイページの「積立設定一覧」から、設定内容の確認や変更ができます。積立金額の変更や一時停止、再開なども簡単に行えますので、ライフスタイルの変化に合わせて柔軟に調整できます。

楽天ポイント・楽天カード積立を活用する方法|年間最大6,000ポイント獲得

楽天証券の大きな魅力の一つが、楽天ポイントとの連携です。楽天カードでの積立投資や投資信託の保有で楽天ポイントが貯まり、貯まったポイントで投資もできます。

楽天経済圏を活用している方なら、この仕組みを使って効率的にポイントを貯めながら資産形成ができます。ここでは、楽天ポイントを最大限活用する方法を詳しく解説します。

楽天カード積立のポイント還元率(0.5~1.0%)

楽天カードで投資信託の積立投資をすると、決済額に応じて楽天ポイントが貯まります。還元率は、投資信託の代行手数料(販売会社が受け取る手数料)と楽天カードの種類によって異なります。

楽天証券:楽天カードクレジット決済

代行手数料が年率0.4%(税込)以上の投資信託の場合、楽天カードで1%、楽天ゴールドカードで1%、楽天プレミアムカードで1%のポイントが貯まります。一方、代行手数料が年率0.4%(税込)未満の投資信託(eMAXIS Slimなど低コストファンド)の場合、楽天カードで0.5%、楽天ゴールドカードで0.75%、楽天プレミアムカードで1%の還元率です。

例えば、楽天プレミアムカードでeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)を月5万円積み立てると、年間6,000ポイント(5万円×12か月×1%)が貯まります。

楽天カードの年会費は無料、楽天ゴールドカードは年会費2,200円、楽天プレミアムカードは年会費11,000円です。

積立金額が月約7.4万円以上なら、楽天ゴールドカードの年会費をポイント還元で回収できる計算です。ご自身の積立金額に応じて、最適なカードを選びましょう。

楽天ポイントで投資信託を購入する方法

楽天証券では、楽天ポイントを使って投資信託を購入できます。楽天市場での買い物や楽天カードの利用で貯まったポイントを、そのまま投資に回せるのは大きなメリットです。

ポイント投資を利用するには、まず楽天証券のマイページで「ポイントコース」の設定が必要です。「楽天ポイントコース」を選択すると、楽天証券での取引で貯まったポイントと、楽天市場などで貯まったポイントを合算して投資に使えます。

投資信託を購入する際、注文画面で「ポイント利用」の欄に使いたいポイント数を入力します。「すべて使う」を選択すれば、保有している楽天ポイントをすべて投資に回すこともできます。1ポイント=1円として利用できます。

さらに、楽天証券でポイント投資をすると、楽天市場での買い物で貯まるポイントが最大+1倍になる「SPU(スーパーポイントアッププログラム)」の対象にもなります。月30,000円以上のポイント投資と、楽天ポイントコースの設定が条件です。

楽天キャッシュ積立との併用で還元率アップ

楽天証券では、楽天カードでの積立投資に加えて、楽天キャッシュ(楽天の電子マネー)での積立投資にも対応しています。この2つを併用することで、月最大15万円までポイントを貯めながら積立投資ができます。

楽天キャッシュでの積立投資自体にはポイント還元はありませんが、楽天カードから楽天キャッシュにチャージする際に0.5%のポイントが貯まります。楽天キャッシュでの積立上限は月5万円なので、年間で3,000ポイント(5万円×12か月×0.5%)が貯まる計算です。

楽天カード積立(月10万円)と楽天キャッシュ積立(月5万円)を併用すれば、合計月15万円の積立投資が可能です。楽天プレミアムカードを使えば、年間で最大9,000ポイント(カード積立6,000ポイント+キャッシュ積立3,000ポイント)を獲得できます。

この仕組みを活用すれば、新NISAのつみたて投資枠の年間上限120万円を、すべてポイント還元を受けながら積み立てることができます。楽天経済圏をフル活用して、効率的に資産形成を進めましょう。

S&P500投資で気をつけたい3つのリスク|元本割れ・為替変動・集中投資

S&P500投資信託は長期的な資産形成に適した商品ですが、投資である以上リスクがあります。ここでは、S&P500投資で特に注意すべき3つのリスクについて詳しく解説します。

リスクを正しく理解することで、市場の変動に冷静に対応でき、長期投資を継続しやすくなります。投資を始める前に、必ずこれらのリスクを確認してください。

株価下落による元本割れリスク

S&P500投資信託は、米国株式市場の値動きに連動するため、株価が下落すれば基準価額も下落し、元本割れする可能性があります。過去には、2008年のリーマンショックで約50%、2020年のコロナショックで約30%下落した局面がありました。

短期的には大きく下落することがあるため、すぐに使う予定のあるお金や、生活防衛資金を投資に回すのは避けましょう。S&P500投資は、5年以上の長期投資を前提とすることが大切です。

ただし、長期的には右肩上がりの成長を続けてきた指数でもあります。過去のデータを見ると、15年以上保有すれば元本割れする確率は大幅に低下します。短期的な下落に動揺せず、長期的な視点で投資を継続することが重要です。

また、積立投資を活用することで、価格が下がったときに多く買い、上がったときに少なく買う「ドルコスト平均法」の効果が得られます。これにより、購入単価を平準化し、リスクを軽減できます。

為替変動(円高・円安)の影響

S&P500投資信託は米ドル建ての資産に投資するため、為替レートの変動が基準価額に影響します。円安(1ドル=150円など)になれば基準価額は上昇し、円高(1ドル=100円など)になれば基準価額は下落する傾向があります。

例えば、米国株式市場が横ばいでも、円高が進めば基準価額は下落します。逆に、米国株式市場が下落しても、円安が進めば基準価額の下落が緩和されることもあります。このように、為替レートは投資成果に大きな影響を与えます。

為替リスクを完全に避けることはできませんが、長期投資を前提とすれば、為替レートは平均化される傾向があります。短期的な為替変動に一喜一憂せず、長期的な視点で投資を続けることが大切です。

なお、S&P500投資信託は原則として為替ヘッジを行いません。為替ヘッジを行うとコストが増加し、長期的なリターンが低下する可能性があるためです。為替変動は投資のリスクの一部として受け入れる必要があります。

米国一国集中のカントリーリスク

S&P500は米国企業のみで構成されているため、米国経済や政治の動向に大きく影響を受けます。これを「カントリーリスク」と呼びます。米国で大きな経済危機や政治的混乱が起きれば、S&P500も大きく下落する可能性があります。

また、米国の税制や規制の変更、貿易政策の転換なども、米国企業の業績に影響を与えます。特定の国に集中投資することは、その国固有のリスクを抱えることを意味します。

リスクを分散したい場合は、S&P500だけでなく、全世界株式に投資する「オールカントリー(オルカン)」などの投資信託と組み合わせることも検討しましょう。全世界株式なら、米国だけでなく、欧州、日本、新興国など世界中の株式に分散投資できます。

ただし、米国は世界最大の経済大国であり、AppleやMicrosoft、Amazonなど世界をリードする企業が多数存在します。長期的には、米国経済の成長が世界経済をけん引する可能性も高いため、S&P500への投資は十分に合理的な選択と言えます。

よくある質問(Q&A)|S&P500と楽天証券について

ここでは、S&P500投資信託と楽天証券に関するよくある質問にお答えします。初心者の方が疑問に思いやすいポイントを中心に、分かりやすく解説します。

投資を始める前の不安や疑問を解消し、安心してスタートできるようサポートします。

Q1. eMAXIS Slimと楽天・S&P500の違いは?

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)と楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンドの主な違いは、運用実績の長さとファンド規模です。

eMAXIS Slimは2018年7月設定で運用実績が約6年半あり、純資産総額も約6兆8,779億円と圧倒的に大きいのが特徴です。一方、楽天・S&P500は2023年10月設定で運用実績が約1年と短く、純資産総額も約1,000億円超と小規模です。

信託報酬はeMAXIS Slimが年率0.07713%、楽天・S&P500が年率0.077%とほぼ同水準です。楽天・S&P500は楽天証券の「投信残高ポイントプログラム」の対象で、保有残高に応じて年率0.028%のポイントが貯まるメリットがあります。

長期投資で安心感を重視するならeMAXIS Slim、楽天ポイントの活用を重視するなら楽天・S&P500を選ぶとよいでしょう。

Q2. つみたて投資枠と成長投資枠どちらで買うべき?

S&P500投資信託は、新NISAの「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の両方で購入できます。どちらを選ぶかは、投資スタイルによって異なります。

つみたて投資枠は、年間120万円まで積立投資ができる枠です。毎月コツコツ積み立てたい方や、ドルコスト平均法で購入単価を平準化したい方に適しています。楽天カード積立を活用すれば、ポイントも貯まります。

成長投資枠は、年間240万円までスポット購入や積立投資ができる枠です。まとまった資金がある方や、市場のタイミングを見て購入したい方に適しています。つみたて投資枠と併用すれば、年間最大360万円まで投資できます。

初心者の方には、まずつみたて投資枠で毎月一定額を積み立てることをおすすめします。市場のタイミングを気にせず、自動的に投資を続けられるため、投資を習慣化しやすいからです。

Q3. 月1万円の積立で20年後いくらになる?

月1万円を20年間積み立てた場合の資産額は、運用利回りによって大きく異なります。S&P500の過去の平均リターンは年率約7〜10%程度とされていますが、将来のリターンを保証するものではありません。

仮に年率5%で運用できた場合、20年後の資産額は約411万円になります(元本240万円+運用益約171万円)。年率7%なら約520万円、年率10%なら約760万円になる計算です。

ただし、これはあくまでシミュレーションであり、実際の運用成績は市場環境によって変動します。株価が下落する局面もあれば、大きく上昇する局面もあります。長期的には複利効果により資産が増える可能性が高いですが、元本割れするリスクもあることを理解しておきましょう。

重要なのは、短期的な値動きに一喜一憂せず、長期的な視点で積立投資を継続することです。時間を味方につけることで、複利効果を最大限に活かせます。

Q4. 含み損が出たらどうすればいい?

投資信託を保有していると、市場の下落により含み損(評価損)が出ることがあります。これは投資では避けられない現象です。含み損が出たときの対処法は、投資期間と目的によって異なります。

長期投資を前提としている場合は、含み損が出ても慌てて売却せず、積立投資を継続することをおすすめします。過去のデータを見ると、S&P500は短期的には大きく下落することがあっても、長期的には回復し、右肩上がりの成長を続けてきました。

むしろ、価格が下がったときは「安く買えるチャンス」と捉えることもできます。積立投資を続けることで、下落時に多くの口数を購入でき、将来の値上がり時により大きなリターンが期待できます。これがドルコスト平均法のメリットです。

ただし、生活に必要な資金や近い将来使う予定のあるお金を投資している場合は、損失を確定してでも必要な資金を確保することが優先です。投資は余裕資金で行うことが基本です。

Q5. 他の投資信託と併用してもいい?

S&P500投資信託と他の投資信託を併用することは、リスク分散の観点から有効です。ただし、併用する投資信託の選び方には注意が必要です。

S&P500は米国株式に集中投資するため、これと組み合わせるなら、地域や資産クラスが異なる投資信託を選ぶとよいでしょう。例えば、全世界株式(オールカントリー)、先進国株式(除く日本)、新興国株式、日本株式、債券などです。

ただし、投資信託を増やしすぎると管理が複雑になり、全体のバランスが分かりにくくなります。初心者の方は、まずS&P500または全世界株式のどちらか一つに集中し、慣れてから徐々に分散を検討するのがおすすめです。

また、同じS&P500に連動する投資信託を複数保有しても、分散効果はありません。eMAXIS SlimとSBI・V・S&P500を両方保有するより、どちらか一つに絞った方が管理しやすいでしょう。

Q6. 積立金額の変更・停止はできる?

楽天証券では、積立投資の金額変更や一時停止、再開が簡単にできます。ライフスタイルの変化に合わせて、柔軟に調整できるのが積立投資のメリットです。

積立金額を変更するには、楽天証券のマイページにログインし、「投信」メニューから「積立設定一覧」を選択します。変更したい積立設定の「変更」ボタンをクリックし、新しい積立金額を入力して保存すれば完了です。

積立を一時停止したい場合は、同じ画面で「停止」ボタンをクリックします。停止期間中は自動的に購入されませんが、設定自体は残っているため、再開したいときに「再開」ボタンをクリックするだけで積立が再開されます。

ただし、楽天カードクレジット決済の場合、変更の締切日があるため注意が必要です。毎月12日が買付日の場合、前月の12日までに変更手続きを完了する必要があります。締切日を過ぎると、翌々月の買付分から変更が反映されます。

Q7. 確定申告は必要?

投資信託の売却益や分配金には税金がかかりますが、確定申告が必要かどうかは口座の種類によって異なります。

NISA口座で購入した投資信託は、売却益や分配金が非課税となるため、確定申告は不要です。これがNISAの最大のメリットです。

特定口座(源泉徴収あり)で購入した場合も、証券会社が自動的に税金を計算し、源泉徴収してくれるため、原則として確定申告は不要です。ただし、複数の証券会社で取引している場合や、他の所得との損益通算をしたい場合は、確定申告をすることで税金の還付を受けられることがあります。

特定口座(源泉徴収なし)または一般口座で購入した場合は、年間の売却益が20万円を超えると確定申告が必要です。この場合、自分で税額を計算し、翌年の2月16日〜3月15日に確定申告を行います。

確定申告が必要かどうか不安な場合は、税理士や税務署に相談することをおすすめします。

まとめ

楽天証券でS&P500に投資するなら、初心者には「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」がおすすめです。信託報酬が業界最低水準の年率0.07713%で、運用実績が約6年半と長く、純資産総額も約6兆8,779億円と圧倒的に大きいため、安心して長期投資できます。

楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンドは、信託報酬が年率0.077%と低コストで、楽天ポイントとの相性が良いのが特徴です。楽天経済圏を活用している方には魅力的な選択肢となります。つみたてS&P500は信託報酬が年率0.0586%と最安水準ですが、2026年5月8日以降は引き上げられる予定で、運用実績も約1年と短いため、長期的な評価はこれからです。

楽天証券では、楽天カードでの積立投資により、決済額の最大1%の楽天ポイントが貯まります。楽天キャッシュとの併用で月最大15万円まで積立可能で、効率的にポイントを貯めながら資産形成ができます。

S&P500投資には、株価下落による元本割れリスク、為替変動の影響、米国一国集中のカントリーリスクがあります。これらのリスクを理解した上で、5年以上の長期投資を前提に、余裕資金で投資を始めることが大切です。

なお、投資には元本割れのリスクがあります。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。最新の手数料や制度情報は、楽天証券や各運用会社の公式サイトでご確認ください。

SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

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