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「高配当株で安定した収入を得たい」と考える方は多いでしょう。
しかし、高配当株には減配リスクや株価下落といった落とし穴があり、安易に手を出すと大きな損失を被る可能性があります。
実際、JTは2021年に上場来初の減配を発表し、多くの投資家に衝撃を与えました。
配当利回りだけを見て投資すると、業績悪化による減配と株価暴落で二重の損失を被るリスクがあるのです。
本記事では、高配当株をおすすめしない理由と、買ってはいけない危険な銘柄の特徴を詳しく解説します。
安全な高配当株の選び方やNISA制度の活用法も紹介しますので、リスクを抑えた投資判断の参考にしてください。
目次
高配当株とは?
高配当株投資を始める前に、まずは配当の仕組みと高配当株の定義を正しく理解しましょう。
配当利回りの計算方法や基準を知ることで、適切な投資判断ができるようになります。
配当利回りとは、株価に対して年間でどれだけの配当金を受け取れるかを示す割合です。
計算式は「1株当たりの年間配当金÷株価×100」で求められます。
例えば、株価が1,000円で年間配当金が50円の場合、配当利回りは5%となります。
この数値が高いほど、投資額に対して多くの配当金を受け取れることを意味します。
配当利回りは株価の変動によって日々変化するため、投資時点での利回りだけでなく、将来の配当継続性も考慮する必要があります。
銀行預金の金利が極めて低い現在、配当利回り3%以上の銘柄は魅力的な収入源となり得ます。
東証プライム市場の2025年2月月中における単純平均利回りは2.31%です。
そのため、この水準を大きく上回る3%以上の配当利回りがあれば、一般的に高配当株と呼ばれます。
ただし、高配当株の明確な定義は存在しません。
市場平均と比較して相対的に高い配当を出している銘柄を指すことが一般的です。
配当利回り4〜5%以上になると、かなり高い水準と言えるでしょう。
重要なのは、単に利回りの数値が高いだけでなく、その配当を持続的に支払える企業の実力があるかどうかです。表面的な利回りの高さに惑わされず、企業の財務状況や業績の安定性を確認することが欠かせません。
高配当株が生まれる背景には、主に2つのパターンがあります。
1つ目は、企業が成熟期を迎え、事業拡大への再投資よりも株主還元を優先する場合です。
安定した収益を上げる成熟企業は、利益の多くを配当に回す傾向があります。
2つ目は、株価が下落することで配当利回りが上昇するケースです。
配当金額が変わらなくても、株価が下がれば計算上の利回りは高くなります。
このパターンは要注意で、業績悪化を見越した株価下落の可能性があります。
理想的な高配当株は前者のパターンで、安定した収益力を背景に継続的な配当を実施している企業です。
後者のように株価下落で見かけ上利回りが高くなっている銘柄は、減配リスクが高く危険です。
この違いを見極めることが、高配当株投資の成否を分けます。
高配当株をおすすめしない3つの理由
高配当株には魅力的な側面がある一方で、投資家が認識すべき重要なリスクも存在します。
ここでは、高配当株投資をおすすめしない主な理由を3つ解説します。
高配当株の最大のリスクは、減配や無配による株価の急落です。
企業の業績が悪化すると、配当金の引き下げや停止が行われ、配当目当てで保有していた投資家が一斉に売却することで株価が暴落します。
JTは2021年12月期に上場来初の減配を実施しました。
高配当銘柄として人気だったJTの減配は大きなニュースとなり、株価にも影響を与えました。
配当を期待していた投資家にとって、減配は大きな痛手となります。
減配が発表されると、期待していた配当収入が得られないだけでなく、株価下落による含み損も発生します。これは二重の損失となり、配当利回りの高さで得られるはずだったメリットを大きく上回る損失となる可能性があります。
配当金は企業の義務ではなく、あくまで企業の判断で支払われるものです。
業績が悪化すれば減配や無配は避けられず、この不確実性が高配当株投資の大きなリスクとなっています。
高配当株の企業は成熟期にあることが多く、急激な成長は期待しにくい傾向があります。
企業の利益の使い道は、事業への再投資と株主への配当還元に大きく分けられますが、高配当企業は後者を優先しています。
成長企業であれば利益を事業拡大に再投資することで、将来的な収益増加と株価上昇が期待できます。
しかし、高配当株は利益の多くを配当に回すため、事業拡大への投資資金が限られ、株価の大幅な上昇は見込みにくいのです。
株式投資の収益は、配当金によるインカムゲインと株価上昇によるキャピタルゲインの2つがあります。
高配当株はインカムゲインに特化しているため、キャピタルゲインを狙いたい投資家には向いていません。
ただし、すべての高配当株が成長しないわけではありません。新規事業への参入や市場全体の好調により、高配当株でも株価が上昇するケースはあります。しかし、成長株と比べると株価上昇の期待値は低いことを理解しておく必要があります。
配当金生活に憧れる方は多いですが、実現するには相当な資産規模が必要です。
仮に配当利回り4%の高配当株で月10万円の配当収入を得ようとすると、年間120万円の配当が必要となり、3,000万円の投資元本が必要になります。
月20万円の配当収入を得るには6,000万円、月30万円なら9,000万円の投資元本が必要です。
これだけの資産を高配当株に集中投資することは、減配リスクを考えると非常に危険です。
さらに、配当金には20.315%の税金がかかるため、実際の手取り額はさらに少なくなります。
NISA口座を活用すれば配当金が非課税になりますが、NISA成長投資枠の年間投資上限は240万円、生涯投資枠は1,200万円(成長投資枠分)と限られています。
配当金だけで生活するのは現実的ではなく、あくまで生活費の補助や再投資の資金源として活用するのが賢明です。配当金生活を目指すよりも、配当と株価上昇の両方を狙うバランスの取れた投資戦略がおすすめです。
買ってはいけない高配当株の特徴5つ
高配当株の中には、投資を避けるべき危険な銘柄が存在します。
ここでは、買ってはいけない高配当株の特徴を5つ紹介します。
これらの特徴に当てはまる銘柄は、減配や株価下落のリスクが高いため注意が必要です。
予想配当利回りが高すぎる銘柄には、減配リスクの高いものが多く、減配リスクが低い高配当の有望銘柄は、予想配当利回りで3〜5%あたりにたくさんあります。
配当利回り7〜8%を超えるような極端に高い利回りの銘柄は要注意です。
異常に高い配当利回りは、株価が大きく下落している証拠である可能性が高いです。
配当金額が変わらなくても、株価が半分になれば利回りは2倍になります。
株価下落の背景には業績悪化や将来性への懸念があることが多く、近い将来に減配が発表される可能性があります。
高すぎる配当利回りは、市場が「この配当は持続不可能だ」と判断している警告サインです。表面的な利回りの高さに飛びつかず、なぜ株価が下落しているのか、その原因を調べることが重要です。
適正な配当利回りの目安は3〜4%程度です。
5%を超える場合は慎重に、7%を超える場合は投資を避けるのが賢明でしょう。
利回りの高さだけでなく、その背景にある企業の実態を見極める必要があります。
過去数年間の業績推移を確認し、売上高や利益が減少傾向にある企業は避けるべきです。
配当金は企業の利益から支払われるため、業績が悪化すれば配当を維持することは困難になります。
特に、売上高と営業利益の両方が減少している企業は要注意です。
一時的な特別損失による減益であれば問題ありませんが、本業の収益力が低下している場合は、配当維持が難しくなる可能性が高いです。
業績の安定性を確認するには、過去5〜10年の決算データを見ることが重要です。リーマンショックやコロナ禍といった経済危機の際にも、安定した利益を維持できていた企業は、今後も配当を継続できる可能性が高いと言えます。
業績推移は各企業のIRページや証券会社の銘柄分析ツールで確認できます。
単年度の業績だけでなく、長期的なトレンドを見て、安定した収益力があるかを判断しましょう。
配当性向は一般的に20〜50%程度に収まっていれば健全な水準で、100%を超えている場合は利益以上の配当を出しているため、将来的に配当の継続が難しくなる可能性があります。
配当性向とは、当期純利益のうち配当金に回している割合を示す指標です。
JTの配当性向は192.17%となっています。
これは特殊要因(訴訟損失引当金の計上)による一時的なものですが、配当性向が100%を超えると、企業は利益を上回る配当を支払っていることになります。
配当性向が高すぎる企業は、配当を維持するために内部留保を取り崩したり、借入金に頼ったりしている可能性があります。これは持続可能な配当政策とは言えず、将来的な減配リスクが高まります。
健全な配当性向の目安は30〜50%程度です。
この範囲内であれば、株主への還元と事業への再投資のバランスが取れており、配当の継続性も期待できます。
配当性向は企業のIR資料や証券会社の銘柄情報で確認できますので、必ずチェックしましょう。
長期的に株価が下落トレンドにある銘柄は、配当利回りが高くても避けるべきです。
株価の継続的な下落は、市場がその企業の将来性を低く評価している証拠です。
配当利回りは「配当金÷株価」で計算されるため、株価が下がれば自動的に利回りは上昇します。
しかし、これは見かけ上の高利回りであり、配当の持続性を示すものではありません。
むしろ、株価下落の背景にある業績悪化が、将来の減配につながる可能性が高いのです。
株価チャートを確認し、過去1〜3年間の推移を見てみましょう。
右肩下がりのチャートを描いている銘柄は、何らかの構造的な問題を抱えている可能性があります。
一時的な調整であれば問題ありませんが、長期的な下落トレンドは警戒すべきサインです。
理想的な高配当株は、株価が安定的に推移しているか、緩やかな上昇トレンドにある銘柄です。配当収入を得ながら、株価の値下がりリスクも抑えられる銘柄を選ぶことが重要です。
配当金が急激に増加している銘柄も注意が必要です。
一見すると株主還元に積極的で良い企業に見えますが、無理な増配は持続可能性に疑問が残ります。
企業が配当金を急増させる背景には、株主からの圧力や株価対策といった短期的な理由がある場合があります。
業績の伴わない増配は、将来的な減配リスクを高めることになります。
健全な配当政策は、業績の成長に合わせて段階的に増配していくものです。
年率5〜10%程度の緩やかな増配であれば、持続可能性が高いと言えます。
しかし、前年比で50%以上の急激な増配は、一時的な特別配当や無理な配当政策の可能性があります。
配当金の推移は過去5〜10年分を確認し、安定的かつ段階的に増加しているかをチェックしましょう。急激な変動がある銘柄よりも、地道に増配を続けている銘柄の方が、長期投資に適しています。
減配・無配の実例
減配リスクは理論だけでなく、実際に起こり得る現実的な問題です。
ここでは、代表的な高配当株であるJTと住友商事の減配事例を紹介し、どのような状況で減配が起こるのかを解説します。
JTは2021年2月に減配を発表し、配当金が154円から130円へと引き下げられました。
これは1994年の上場以来初めての減配で、高配当株として人気だったJTの株主に大きな衝撃を与えました。
減配の背景には、たばこ需要の構造的な減少と海外事業の収益悪化がありました。
健康志向の高まりにより、世界的にたばこの消費量が減少傾向にあり、JTの主力事業である紙巻きたばこの販売数量が減少していました。
JTは2024年から2026年までの中期経営計画において、年間194円の配当を維持することを強くコミットしています。
減配後は配当政策を見直し、配当性向75%を目安とする方針を打ち出しました。
現在は配当利回り4%前後で推移しています。
JTの事例は、どれだけ高配当で人気の銘柄でも、事業環境の変化により減配が起こり得ることを示しています。特に、構造的な需要減少に直面している業界の銘柄は、高配当であっても慎重に判断する必要があります。
住友商事は総合商社として安定した配当を続けてきましたが、2020年3月期に大幅な減配を実施しました。
資源価格の下落や海外事業の減損により業績が悪化し、配当金を前期比で減額せざるを得ない状況となりました。
減配発表後、住友商事の株価は大きく下落しました。
配当目当てで保有していた投資家が失望売りに走り、株価は一時的に急落しました。
高配当株は配当の継続性が株価を支える重要な要因であるため、減配は株価に大きな影響を与えます。
その後、住友商事は業績の回復とともに増配を再開し、現在は配当性向も適正水準に戻っています。
しかし、減配時に株を売却した投資家は、配当収入の減少と株価下落の両方で損失を被ることになりました。
商社株は資源価格や為替の影響を受けやすく、業績が変動しやすい特徴があります。高配当であっても、景気敏感業種の銘柄は減配リスクが高いことを理解しておく必要があります。
減配が起こる主な背景には、業績の悪化、事業環境の変化、財務状況の悪化があります。
売上高や営業利益が減少傾向にある企業は、配当を維持することが難しくなります。
減配の前兆としては、配当性向の上昇、フリーキャッシュフローの減少、有利子負債の増加などが挙げられます。
これらの指標が悪化している場合、近い将来に減配が発表される可能性があります。
また、企業が中期経営計画で配当政策を変更する場合も要注意です。
「安定配当」から「配当性向〇〇%を目安」といった表現に変更された場合、業績に応じて減配する可能性を示唆しています。
減配リスクを避けるには、定期的に企業の決算資料をチェックし、業績や財務状況の変化を把握することが重要です。配当利回りだけでなく、配当の持続可能性を総合的に判断しましょう。
ここまで高配当株のリスクを解説してきましたが、適切な基準で選べば安全な高配当株投資は可能です。
ここでは、安全な高配当株を見極めるための5つのチェックポイントを紹介します。
減配リスクが低い高配当の有望銘柄は、予想配当利回りで3〜5%あたりにたくさんあります。
配当利回りは高すぎても低すぎても問題があり、3〜4%程度が適正な範囲と言えます。
東証プライム市場の平均配当利回りが約2.3%であることを考えると、3〜4%の利回りは市場平均を上回りながらも、過度なリスクを取らない水準です。
この範囲であれば、配当の持続可能性も比較的高いと判断できます。
配当利回り5%を超える銘柄は、株価下落や一時的な特別配当の可能性があるため、慎重に精査する必要があります。逆に、2%以下の利回りでは高配当株としての魅力が薄れます。
配当利回りは証券会社の銘柄検索ツールで簡単に確認できます。
スクリーニング機能を使って、配当利回り3〜4%の範囲で銘柄を絞り込み、その中から他の条件も満たす銘柄を選ぶのが効率的です。
配当性向は一般的に20〜50%程度に収まっていれば、一定の利益を株主に還元しつつ、将来の成長のための内部留保を確保できる可能性が高く、健全な水準といえます。
配当性向30〜50%の範囲であれば、株主還元と事業投資のバランスが取れています。
配当性向が低すぎる(20%以下)企業は、株主還元に消極的な可能性があります。
一方、配当性向が高すぎる(70%以上)企業は、配当を維持するための余力が少なく、業績が悪化した際に減配リスクが高まります。
理想的な配当性向は、業種によって異なります。成熟した電力・通信業界では50%前後が一般的ですが、成長企業では20〜30%程度でも問題ありません。同業他社と比較して、極端に高くないかを確認しましょう。
配当性向は企業の決算短信や有価証券報告書に記載されています。
過去5年間の配当性向の推移を確認し、安定的に推移しているか、急激に上昇していないかをチェックすることが重要です。
安全な高配当株を選ぶには、過去5〜10年間の業績推移を確認することが欠かせません。
売上高と営業利益が安定的に推移している、または緩やかに成長している企業は、配当の継続性が高いと言えます。
特に重要なのは、リーマンショックやコロナ禍といった経済危機の際にも、黒字を維持できていたかどうかです。
景気悪化時にも利益を確保できる企業は、ビジネスモデルが強固で、配当を維持できる可能性が高いです。
業績の安定性を見る際は、売上高だけでなく営業利益率もチェックしましょう。営業利益率が10%以上あれば、本業の収益力が高く、配当の原資を安定的に確保できると判断できます。
業績データは企業のIRページや証券会社の銘柄分析ツールで確認できます。
グラフで長期的な推移を見ることで、安定性を視覚的に判断できます。
短期的な変動に惑わされず、長期的なトレンドを重視しましょう。
連続増配銘柄とは、何年にもわたって配当金を増やし続けている企業のことです。
花王は32年連続増配の実績があり、配当貴族銘柄として知られています。
連続増配の実績は、企業の配当に対する強いコミットメントを示しています。
連続増配を続けるには、安定した業績成長が必要です。
そのため、連続増配銘柄は業績が安定しており、配当の持続可能性が高いと判断できます。
また、経営陣が株主還元を重視していることの証でもあります。
連続増配年数が長いほど、今後も増配を続ける可能性が高いと言えます。
10年以上の連続増配実績があれば、配当政策が企業文化として定着していると考えられます。
減配は企業の信用を傷つけるため、経営陣も慎重に判断します。
連続増配銘柄は証券会社のスクリーニング機能や投資情報サイトで検索できます。ただし、連続増配だからといって将来も必ず増配が続くとは限りません。業績や財務状況も併せて確認することが重要です。
株主資本配当率(DOE:Dividend on Equity)とは、株主資本に対してどれだけの配当を支払っているかを示す指標です。
計算式は「配当金総額÷株主資本×100」で求められます。
DOEは配当性向と異なり、利益の変動に左右されにくい指標です。
企業が「DOE2%以上を維持」といった配当政策を掲げている場合、業績が一時的に悪化しても配当を維持する姿勢を示しています。
DOE2〜3%以上であれば、安定した配当が期待できます。
特に、配当政策として明確にDOEの目標値を掲げている企業は、配当の継続性が高いと評価できます。
DOEは配当性向と併用することで、より正確な配当の持続可能性を判断できます。配当性向が高くても、DOEが適正水準であれば、配当維持の可能性は高いと言えます。企業の配当政策を確認し、DOEの目標値が設定されているかをチェックしましょう。
高配当株が向いている人・向いていない人
高配当株投資は万人に適した投資手法ではありません。
自分の投資目的やリスク許容度に合わせて、高配当株が適しているかを判断することが重要です。
高配当株投資が向いているのは、定期的な配当収入を重視する人です。
リタイア後の生活費の補助や、年金の上乗せとして配当金を活用したい50〜60代の方には適しています。
また、長期保有を前提とした投資スタイルの人にも向いています。
高配当株は短期的な値動きで利益を狙うのではなく、じっくりと保有して配当を積み重ねる投資手法です。
10年以上の長期保有を考えている人には適した選択肢と言えます。
さらに、配当再投資による複利効果を狙いたい人にもおすすめです。受け取った配当金を再投資することで、保有株数を増やし、将来の配当収入を増やすことができます。時間をかけて資産を育てたい人に適しています。
リスク許容度が低く、安定志向の投資家にも高配当株は向いています。
成長株のような大きな値動きは期待できませんが、配当収入という確実性の高いリターンを得られます。
ただし、銘柄選びを間違えると減配リスクがあるため、慎重な選択が必要です。
高配当株投資が向いていないのは、短期的な値上がり益を狙いたい人です。
高配当株は株価の大きな上昇は期待しにくいため、短期間で資産を大きく増やしたい人には不向きです。
また、若い世代で資産形成の初期段階にある人も、高配当株だけに投資するのは避けるべきです。
20〜30代であれば、成長株や株価指数への投資で資産を増やし、40〜50代になってから高配当株の比率を高めるのが一般的な戦略です。
リスクを取って高いリターンを狙いたい人にも向いていません。高配当株は安定性を重視した投資手法であり、大きなリターンは期待できません。年率10%以上のリターンを目指すのであれば、成長株やインデックス投資の方が適しています。
さらに、銘柄分析に時間をかけられない人も注意が必要です。
高配当株投資は、配当の持続可能性を見極めるために、企業の財務状況や業績を定期的にチェックする必要があります。
分析が苦手な人は、高配当ETFなどの投資信託を検討した方が良いでしょう。
ただし、これはあくまで一般的な目安であり、個人の資産状況やリスク許容度によって最適なバランスは異なります。自分のライフプランに合わせて、柔軟にポートフォリオを調整することが重要です。
NISA制度を活用した高配当株投資の最適化
2024年から始まった新NISA制度は、高配当株投資との相性が非常に良い制度です。
配当金が非課税になるメリットを最大限に活用しましょう。
新NISA制度の成長投資枠では、個別株への投資が可能で、配当金を非課税で受け取ることができます。
通常、配当金には20.315%の税金がかかりますが、NISA口座で保有している株式の配当金は全額非課税となります。
成長投資枠の年間投資上限は240万円、生涯投資枠は1,200万円(うち成長投資枠分)です。
この枠内で高配当株を購入すれば、配当金を非課税で受け取り続けることができます。
非課税保有期間は無期限なので、長期保有に最適です。
NISA口座で配当金を非課税で受け取るには、「株式数比例配分方式」を選択する必要があります。この方式を選ぶと、配当金が証券口座に直接入金され、自動的に非課税扱いとなります。銀行口座や郵便局での受け取りを選ぶと、NISA口座でも課税されてしまうので注意が必要です。
配当金にかかる税金20.315%を節約できる効果は、長期的に見ると非常に大きくなります。
例えば、配当利回り4%の高配当株を300万円分保有している場合、年間12万円の配当金を受け取れます。
通常の課税口座であれば、この12万円に対して約24,000円の税金がかかり、手取りは約96,000円になります。
しかし、NISA口座で保有していれば、12万円全額を受け取ることができます。
年間24,000円の差は、10年間で24万円、20年間で48万円の差になります。
さらに、配当金を再投資する場合、非課税で受け取った配当金を全額再投資できるため、複利効果が高まります。課税口座では税引き後の配当金しか再投資できないため、長期的なリターンに大きな差が生まれます。
NISA制度を活用することで、高配当株投資の実質的なリターンを大きく向上させることができます。
高配当株投資を考えているのであれば、NISA口座の開設は必須と言えるでしょう。
NISA口座で高配当株投資を行う際の注意点として、損益通算ができないことが挙げられます。
NISA口座で発生した損失は、他の口座の利益と相殺することができません。
そのため、減配や株価下落で損失が出ても、税制上のメリットを受けられません。
また、NISA口座では年間の投資上限があるため、計画的に投資する必要があります。
成長投資枠は年間240万円が上限なので、一度に多くの銘柄に分散投資することは難しい場合があります。
数年かけて徐々にポートフォリオを構築する計画を立てましょう。
さらに、NISA口座で購入した株式を売却しても、その枠は復活しません。生涯投資枠1,800万円は使い切ったら終わりなので、頻繁な売買には向いていません。高配当株の長期保有という投資スタイルには適していますが、短期売買を繰り返すとすぐに枠を使い切ってしまいます。
NISA口座は1人1口座しか開設できないため、証券会社選びも重要です。
高配当株投資に適した証券会社を選び、手数料や取扱銘柄数、分析ツールの充実度などを比較検討しましょう。
高配当株以外の投資方法との比較
高配当株投資にはリスクもあるため、代替となる投資手段も検討する価値があります。
ここでは、高配当株以外の投資方法と比較し、それぞれのメリット・デメリットを解説します。
高配当ETFとは、高配当株をまとめて投資できる上場投資信託です。
代表的な商品としては、日本株では「iシェアーズ MSCI ジャパン高配当利回り ETF」、米国株では「SPYD」「HDV」「VYM」などがあります。
高配当ETFのメリット
1つの商品で数十〜数百銘柄に分散投資
減配リスクの分散
自動リバランス
メンテナンスの手間なし
高配当ETFのデメリット:信託報酬などのコストがかかること(年率0.1〜0.5%程度)、個別株と比べて配当利回りがやや低くなる傾向、自分で銘柄を選ぶ楽しみがない、投資の学びが少なくなる点です。
高配当ETFは、銘柄分析に時間をかけられない人や、分散投資を重視する人に適しています。
個別株と高配当ETFを組み合わせることで、リスクとリターンのバランスを取ることもできます。
インデックス投資とは、日経平均やS&P500などの株価指数に連動する投資信託やETFに投資する手法です。
高配当株投資とは異なり、配当収入よりも長期的な資産成長を重視します。
インデックス投資のメリットは、市場全体の成長を享受できることです。
過去のデータでは、株価指数は長期的に年率5〜7%程度の成長を遂げています。
また、個別株のような銘柄選びのリスクがなく、分散効果も高いです。
一方、インデックス投資のデメリットは、配当収入が少ないことです。
株価指数に含まれる銘柄全体の平均配当利回りは2%前後であり、高配当株と比べると配当収入は少なくなります。
また、市場全体が下落する局面では、損失を避けられません。
理想的なポートフォリオは、インデックス投資と高配当株投資を組み合わせることです。資産成長を狙う部分はインデックス投資で、配当収入を得る部分は高配当株で、といった使い分けができます。年代やライフステージに応じて、その比率を調整していくのが賢明です。
不動産クラウドファンディングとは、複数の投資家から資金を集めて不動産に投資し、賃料収入や売却益を分配する投資手法です。
高配当株と同様に、定期的な分配金を得られることが特徴です。
不動産クラウドファンディングのメリットは、少額から不動産投資ができることです。
1万円程度から投資可能で、株式とは異なる資産クラスに分散投資できます。
また、利回りが4〜6%程度と比較的高く、株式市場の変動に左右されにくい特徴があります。
デメリットは、流動性が低いことです。運用期間中は原則として解約できず、資金が拘束されます。また、元本保証はなく、不動産価格の下落や空室リスクにより元本割れの可能性もあります。さらに、事業者の倒産リスクも考慮する必要があります。
不動産クラウドファンディングは、株式とは異なる収益源を確保したい人や、不動産投資に興味がある人に適しています。
ただし、高配当株と同様にリスクがあるため、ポートフォリオの一部として少額から始めるのが賢明です。
高配当株投資は、定期的な配当収入を得られる魅力的な投資手法ですが、減配リスクや株価下落といったリスクも存在します。
配当利回りだけを見て投資するのではなく、企業の業績、財務状況、配当性向などを総合的に判断することが重要です。
安全な高配当株を選ぶには、配当利回り3〜4%、配当性向30〜50%、過去5〜10年の業績が安定、連続増配の実績、DOE2〜3%以上といった基準を満たす銘柄を選びましょう。
また、NISA制度を活用することで、配当金を非課税で受け取ることができ、長期的なリターンを大きく向上させることができます。
高配当株投資は、リタイア後の生活費補助や長期的な資産形成に適していますが、万人に向いているわけではありません。
自分の投資目的、年代、リスク許容度に合わせて、高配当株、インデックス投資、高配当ETFなどを組み合わせた最適なポートフォリオを構築することが大切です。
なお、投資には元本割れのリスクがあります。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。詳しくは証券会社や金融の専門家にご相談ください。
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