仮想通貨の損益通算とは?できる場合とできない場合を徹底解説【2026年】

仮想通貨の損益通算とは?できる場合とできない場合を徹底解説【2026年】

仮想通貨で損失が出たのに、株式投資の利益と相殺できないことに驚いた経験はありませんか。

仮想通貨取引の損失は「雑所得」として扱われるため、株式やFXとの損益通算ができません。

さらに、損失を翌年に繰り越すこともできないため、年内に適切な対策を取る必要があります。

本記事では、仮想通貨の損益通算の仕組みから、できる場合・できない場合の違い、年内にできる節税対策まで、税務の専門知識を分かりやすく解説します。

2025年12月に公表された税制改正大綱により、2028年以降は申告分離課税への移行が予定されていますが、それまでは現行ルールでの対応が必要です。

出典:令和8年度税制改正大綱

この記事の要約
  • 仮想通貨同士の損益通算は可能だが、株式やFXとは通算できない
  • 損失の繰越控除は認められておらず、年内での処理が必要
  • 2028年以降は申告分離課税への移行が予定されている
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SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

目次

仮想通貨の損益通算とは?基本をわかりやすく解説

仮想通貨取引で損失が出た場合、どのように税金を計算すればよいのでしょうか。損益通算の基本的な仕組みを理解することで、適切な税務処理ができるようになります。

損益通算の意味と仕組み

損益通算とは、一定期間内の利益と損失を相殺して所得を計算する制度です。複数の投資や取引で利益と損失が混在する場合、プラスマイナスを相殺することで課税対象となる所得を減らすことができます。

例えば、ビットコインで50万円の利益が出て、イーサリアムで30万円の損失が出た場合、損益通算により課税対象は20万円となります。この仕組みを活用することで、実質的な税負担を軽減できるのです。

損益通算ができる範囲は所得の種類によって厳密に定められています

すべての所得を自由に相殺できるわけではなく、税法上のルールに従う必要があります。

仮想通貨は「雑所得」に分類される

仮想通貨取引で得た利益は、原則として「雑所得」に区分されます。国税庁は、ビットコインをはじめとする暗号資産の売却や使用により生じる利益について、事業所得等に付随する場合を除き、雑所得として扱うことを明らかにしています。

出典:国税庁「暗号資産に関する税務上の取扱いについて(情報)」

雑所得とは、給与所得・事業所得・不動産所得・譲渡所得など、所得税法で定められた9つの所得区分のいずれにも該当しない所得のことです。公的年金や副業収入なども雑所得に含まれます。

この区分が、仮想通貨の損益通算に大きな影響を与えます。雑所得は他の所得区分とは異なる税制上の特徴を持っているため、株式投資やFXとは扱いが異なるのです。

雑所得の3つの特徴

雑所得には、他の所得区分とは異なる3つの重要な特徴があります。これらを理解することで、仮想通貨の税制が株式投資と比べて不利な理由が分かります。

  • 特別控除がない:譲渡所得のマイホーム特別控除(最大3,000万円)や一時所得の特別控除(最大50万円)のような制度が適用されません
  • 損失の繰越控除ができない:株式投資では3年間の繰越控除が認められていますが、雑所得では翌年以降に損失を繰り越すことができません
  • 他の所得との損益通算ができない:給与所得や譲渡所得など、雑所得以外の所得との損益通算は認められていません

大きな損失が出ても翌年以降の節税に活用できません

これらの制約により、他の所得と相殺することもできないため、年内での損益調整が非常に重要になります。

仮想通貨の損益通算|できる場合とできない場合

仮想通貨の損益通算には明確なルールがあります。どのような場合に損益通算ができて、どのような場合にできないのか、具体例を交えて解説します。

仮想通貨同士の損益通算はできる

同一年内に複数の仮想通貨で取引を行った場合、仮想通貨同士の損益通算は可能です。ビットコインで利益が出て、イーサリアムで損失が出た場合、これらを相殺して課税対象となる所得を計算できます。

取引所が異なる場合でもすべての取引を合算できます

例えば、ビットコインで100万円の利益、イーサリアムで40万円の損失、リップルで30万円の損失が出た場合、100万円−40万円−30万円=30万円が課税対象となります。

この計算は、すべての仮想通貨取引を合算して行います。取引所が異なる場合でも、すべての取引を集計して損益を計算する必要があります。

他の雑所得との損益通算もできる

仮想通貨取引の損失は、同じ雑所得に分類される他の所得と損益通算することができます。例えば、副業収入(原稿料やシェアリングエコノミーの収入など)がある場合、仮想通貨の損失と相殺できます。

具体的には、副業で50万円の収入があり、仮想通貨取引で20万円の損失が出た場合、雑所得の合計は30万円となります。雑所得内での損益通算により、課税対象となる所得を減らすことができるのです。

FX取引は申告分離課税のため仮想通貨とは通算できません

株式投資の損失とは通算できない

仮想通貨の損失を株式投資の利益と相殺することはできません。株式の売買による利益は「譲渡所得」に分類され、申告分離課税の対象となるため、雑所得である仮想通貨とは所得区分が異なるためです。

例えば、株式投資で200万円の利益があり、仮想通貨取引で100万円の損失が出た場合でも、株式投資の200万円全額が課税対象となります。仮想通貨の損失は、雑所得内でしか活用できません。

株式は20.315%、仮想通貨は最大55%の税率です

この税制の違いが、投資家にとって大きな不公平感につながっています。

FXの損失とも通算できない

FX(外国為替証拠金取引)も仮想通貨と同様に雑所得に分類されますが、FXは「先物取引に係る雑所得等」として申告分離課税の対象となります。そのため、総合課税の雑所得である仮想通貨とは損益通算できません。

FXは一律20.315%の税率が適用され、損失の繰越控除も3年間認められています。一方、仮想通貨は総合課税で最大55%の税率がかかり、繰越控除もできません。同じ雑所得でも税制が大きく異なるのです。

投資対象 所得区分 課税方式 税率 繰越控除
仮想通貨 雑所得 総合課税 最大55% 不可
株式投資 譲渡所得 申告分離課税 20.315% 3年間可能
FX 雑所得(先物取引) 申告分離課税 20.315% 3年間可能

仮想通貨の損益通算|具体的な計算方法と計算例

実際に仮想通貨の損益通算を行う際の計算方法を、具体的な数値例を用いて解説します。複雑に見える計算も、手順を追えば理解できます。

複数の仮想通貨で損益通算する方法

複数の仮想通貨で取引を行った場合、すべての損益を合算して計算します。国税庁が公表している「暗号資産の計算書」を使えば、比較的簡単に計算できます。

出典:国税庁「暗号資産に関する税務上の取扱いについて(情報)」

【計算例】2026年の取引実績が以下の場合

  • ビットコイン:200万円で購入→300万円で売却(利益100万円)
  • イーサリアム:150万円で購入→120万円で売却(損失30万円)
  • リップル:50万円で購入→40万円で売却(損失10万円)

損益通算の計算:100万円(BTC利益)−30万円(ETH損失)−10万円(XRP損失)=60万円が課税対象となります。

この60万円が雑所得として、給与所得などと合算されて総合課税の対象となります。取得価額の計算には「総平均法」または「移動平均法」のいずれかを選択する必要があり、一度選択した方法は継続して適用することが原則です。

複数の取引所を利用している場合はすべて合算して計算します

各取引所から発行される年間取引報告書を集めて、統合して計算する必要があります。

他の雑所得と合算する計算例

仮想通貨以外の雑所得がある場合、それらを合算して雑所得の総額を計算します。副業収入や年金収入など、他の雑所得との損益通算が可能です。

【計算例】2026年の所得が以下の場合

  • 給与所得:500万円(会社員の給与)
  • 副業収入:80万円(原稿料・講演料など)
  • 仮想通貨取引:損失50万円

雑所得の計算:80万円(副業)−50万円(仮想通貨損失)=30万円が雑所得の合計となります。この30万円と給与所得500万円を合算した530万円が総合課税の対象となり、所得税率が決まります。

マイナス分を翌年に繰り越すことはできません

もし仮想通貨の損失が副業収入を上回る場合(例:副業80万円、仮想通貨損失100万円)、雑所得はゼロとなります。

含み損と実現損の違いに注意

損益通算で重要なのは、「含み損」と「実現損」の違いを理解することです。税務上、損益として認められるのは実現損のみです。

  • 含み損:保有している仮想通貨の価格が下落しているが、まだ売却していない状態。税務上は損失として認められない
  • 実現損:仮想通貨を実際に売却して損失が確定した状態。税務上の損失として認められる

保有し続けている限り損失は認められません

例えば、100万円で購入したビットコインの価格が50万円に下落しても、保有し続けている限り損失は認められません。50万円で売却して初めて、50万円の実現損として損益通算に使えるようになります。

年末に含み損を抱えている場合、年内に売却して実現損とすることで、その年の利益と相殺できます。ただし、翌年に繰り越すことはできないため、年内での判断が重要です。

株式やFXとの違い|なぜ仮想通貨は損益通算できないのか

仮想通貨が株式やFXと損益通算できない理由は、税法上の所得区分と課税方式の違いにあります。それぞれの税制の仕組みを理解することで、なぜこのような違いが生まれるのかが分かります。

株式投資は「申告分離課税」

株式の売買による利益は「譲渡所得」に区分され、申告分離課税の対象となります。申告分離課税とは、他の所得と分離して一定の税率で課税する方式です。

株式投資の税率は一律20.315%です

給与所得の金額に関係なく、株式の利益には常に同じ税率が適用されます。さらに、損失が出た場合は翌年以降3年間にわたって繰り越して控除することができます。

例えば、2026年に株式投資で200万円の損失が出た場合、2027年に300万円の利益が出ても、前年の損失200万円を差し引いた100万円のみが課税対象となります。この仕組みにより、長期的な投資戦略が立てやすくなっています。

FXも「申告分離課税」で繰越控除が可能

FX取引も雑所得に分類されますが、「先物取引に係る雑所得等」として申告分離課税の対象となります。税率は株式と同じ20.315%で、損失の繰越控除も3年間認められています。

FXが申告分離課税となったのは2012年からです。それまでは総合課税の雑所得として扱われていましたが、金融商品取引法の枠組みで規制されることになり、税制も整備されました。

同じ雑所得でも、FXは金融商品取引業者による取引として法的に位置づけられているため、株式投資と同等の税制が適用されています。一方、仮想通貨は資金決済法で規制されており、金融商品取引法の対象外であるため、税制も異なるのです。

出典:金融庁「暗号資産関連制度等」

仮想通貨は「総合課税の雑所得」

仮想通貨取引による利益は、総合課税の雑所得として扱われます。総合課税とは、各種所得を合算して累進税率を適用する課税方式です。

所得税の税率は5%から45%まで段階的に上がり、住民税10%を合わせると最大55%の税率となります。給与所得が高い人ほど、仮想通貨の利益にも高い税率が適用されるのです。

課税所得金額 所得税率 住民税率 合計税率
195万円以下 5% 10% 15%
195万円超〜330万円以下 10% 10% 20%
330万円超〜695万円以下 20% 10% 30%
695万円超〜900万円以下 23% 10% 33%
900万円超〜1,800万円以下 33% 10% 43%
1,800万円超〜4,000万円以下 40% 10% 50%
4,000万円超 45% 10% 55%

この税制の違いが国内市場の活性化を妨げる要因の一つです

損失の繰越控除ができない|翌年への持ち越しは不可

仮想通貨の損失は翌年以降に繰り越すことができません。この制約が、株式投資やFXとの大きな違いであり、投資戦略に影響を与えます。

繰越控除とは何か

繰越控除とは、損失が出た年の翌年以降、最長3年間にわたって損失を繰り越して控除できる制度です。株式投資やFXでは認められていますが、仮想通貨では適用されません。

株式投資では前年の損失を翌年以降に繰り越せます

例えば、株式投資で2026年に300万円の損失が出た場合、2027年に200万円、2028年に150万円の利益が出ても、前年の損失を繰り越して相殺できます。2027年は200万円全額を控除してゼロ、残り100万円を2028年に繰り越して、2028年の課税対象は50万円となります。

この仕組みにより、一時的な大きな損失が出ても、中長期的な視点で投資を続けることができます。税負担が平準化されるため、投資家にとって有利な制度です。

仮想通貨では繰越控除が認められない理由

仮想通貨が繰越控除の対象外となっているのは、雑所得の税制上の特性によるものです。所得税法では、事業所得・不動産所得・譲渡所得・山林所得の4つの所得については損益通算や繰越控除が認められていますが、雑所得はこれらの対象外とされています。

雑所得は特別な税制優遇措置が適用されません

雑所得は「その他の所得」という位置づけであり、公的年金や副業収入なども雑所得に含まれますが、これらも繰越控除はできません。

仮想通貨が資金決済法で規制される「暗号資産」として位置づけられており、金融商品取引法の対象外であることも、税制上の扱いに影響しています。法的な位置づけが異なるため、株式やFXとは異なる税制が適用されているのです。

損失は年内に処理する必要がある

繰越控除ができないため、仮想通貨の損失は年内に処理することが重要です。年をまたいでしまうと、その損失は税務上まったく活用できなくなります。

  • 年内に利益が出ている銘柄がある場合、含み損を抱えた銘柄を売却して損益通算する
  • 他の雑所得(副業収入など)がある場合、仮想通貨の損失と相殺する
  • 年末時点で大きな含み損を抱えている場合、翌年の税制改正を見据えて保有を継続するか判断する

損失確定だけを目的に売却するのは本末転倒です

将来的な価格上昇を見込んで保有を続けるか、損失を確定させて税務上のメリットを得るか、総合的に判断する必要があります。

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年内にできる節税対策|損益最適化の実践方法

仮想通貨の損失を翌年に繰り越せないからこそ、年内での損益調整が重要です。実践的な節税手法を解説します。

損益最適化とは

損益最適化とは、年内の利益と損失のバランスを調整して、税負担を最小化する手法です。仮想通貨では繰越控除ができないため、年内での調整が唯一の節税手段となります。

具体的には、含み損を抱えた銘柄を年内に売却して実現損とし、利益が出ている取引と相殺します。これにより、課税対象となる所得を減らすことができます。

税務上のメリットと投資戦略を総合的に判断しましょう

含み損を抱えた銘柄を年内に売却する

年内に利益が出ている場合、含み損を抱えた銘柄を売却して損益通算することで、課税所得を減らすことができます。これは「タックスロス・ハーベスティング」と呼ばれる手法です。

【実践例】年末時点での状況が以下の場合

  • ビットコイン:すでに売却済みで100万円の利益確定
  • イーサリアム:含み損40万円(購入価格150万円→現在価格110万円)
  • リップル:含み損20万円(購入価格50万円→現在価格30万円)

対策:イーサリアムとリップルを年内に売却すれば、100万円−40万円−20万円=40万円が課税対象となります。何もしなければ100万円全額が課税対象となるため、60万円分の所得を圧縮できます。

売却後に同じ銘柄を買い直すこともできます

仮想通貨には株式の「ウォッシュセール規制」(売却後すぐに買い戻すことを制限する規制)が適用されないため、年内に売却して損失を確定させ、翌日に買い直すことも可能です。

利益が出ている場合の調整方法

大きな利益が出ている場合、税率が高くなることを避けるために、あえて利益確定を翌年に先送りすることも一つの戦略です。ただし、2028年以降の税制改正を見据えた判断が必要です。

【判断のポイント】

  • 給与所得と合算して税率が何%になるかを計算する
  • 翌年の収入見込みを考慮する(退職や収入減少の予定がある場合は翌年に利確した方が有利)
  • 2028年以降の申告分離課税導入を見据えて、それまで保有を続けるかを検討する

例えば、2026年の給与所得が800万円で、仮想通貨の利益が300万円ある場合、合計1,100万円に対して33%の税率が適用されます。一方、翌年の給与所得が500万円に減る予定であれば、翌年に利確した方が税率が低くなる可能性があります。

年末の損益調整チェックリスト

年末に向けて、以下のチェックリストを活用して損益調整を行いましょう。

  • □ すべての取引所の取引履歴をダウンロードして、年間の損益を把握する
  • □ 含み益・含み損を抱えた銘柄をリストアップする
  • □ 給与所得と合算した場合の税率を計算する
  • □ 含み損を確定させることで、どれだけ課税所得を減らせるか試算する
  • □ 売却後に買い戻す場合の手数料やスプレッドを考慮する
  • □ 他の雑所得(副業収入など)との損益通算の可能性を確認する
  • □ 2028年以降の税制改正を見据えて、長期保有の戦略を検討する
  • □ 12月末までに売却手続きを完了させる(年をまたぐと翌年の所得になる)

12月の最終営業日は取引が集中するため余裕を持って手続きを

確定申告の基準と手順|20万円ルールと申告方法

仮想通貨の損益が確定したら、確定申告の要否を判断し、必要であれば適切に申告する必要があります。申告基準と具体的な手順を解説します。

20万円以下なら申告不要のケース

会社員などの給与所得者の場合、給与以外の所得(雑所得など)が年間20万円以下であれば、確定申告は不要とされています。これは「20万円ルール」と呼ばれる制度です。

例えば、給与所得が500万円で、仮想通貨取引の利益が15万円の場合、確定申告をする必要はありません。ただし、この制度には注意点があります。

住民税の申告は別途必要です

  • 住民税の申告は別途必要(市区町村への申告が必要)
  • 医療費控除やふるさと納税などで確定申告をする場合は、20万円以下でも雑所得を申告する必要がある
  • 複数の雑所得を合算して20万円を超える場合は申告が必要

個人事業主や扶養されている方の場合、基準が異なります。個人事業主は事業所得と雑所得を合算して申告し、扶養されている方は雑所得が基礎控除額(48万円)を超える場合に申告が必要です。

損失が出た場合でも申告すべきか

仮想通貨取引で損失のみが出た場合、原則として確定申告は不要です。雑所得は損失を翌年に繰り越せないため、損失だけを申告してもメリットがありません。

ただし、以下の場合は確定申告が必要になります。

  • 他の雑所得(副業収入など)があり、合算すると20万円を超える場合
  • 医療費控除やふるさと納税などで確定申告をする場合
  • 不動産所得など他の所得があり、確定申告が必要な場合

取引履歴は7年間保管する義務があります

損失が出た年でも、取引履歴はしっかり保管しておきましょう。税務調査が入った場合に、取引内容を説明できるようにしておく必要があります。

確定申告の具体的な記入方法

仮想通貨の確定申告は、以下の手順で行います。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、画面の指示に従って入力するだけで簡単に作成できます。

1.各取引所から「年間取引報告書」をダウンロードする
2.国税庁の「暗号資産の計算書」を使って損益を計算する(移動平均法または総平均法)
3.確定申告書の「雑所得」欄に計算結果を記入する
4.確定申告書を税務署に提出する(e-Tax推奨)
5.納税する(口座振替、クレジットカード、コンビニ納付など)

e-Taxなら自宅から24時間申告可能です

確定申告書の記入では、「収入金額等」の「雑所得(その他)」の欄に、仮想通貨取引による所得を記入します。種目には「暗号資産」と記載し、名称には「ビットコイン等」などと記入します。

複数の取引所を利用している場合でも、合算した金額を記入します。取引所ごとに分けて記入する必要はありません。ただし、取引履歴は7年間保管する義務があるため、すべての取引所のデータを保存しておきましょう。

2026年分の確定申告期限は2027年3月16日(月)までです。期限を過ぎると、延滞税や無申告加算税が課される可能性があるため、早めに準備を始めることをおすすめします。

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複数取引所を使っている場合の損益計算の実務

複数の取引所を利用している場合、すべての取引を統合して損益を計算する必要があります。実務的な手順を解説します。

取引所ごとのデータをダウンロードする

まず、利用しているすべての取引所から取引履歴をダウンロードします。多くの国内取引所では、年間取引報告書をCSV形式やPDF形式で提供しています。

主要な国内取引所の年間取引報告書の提供時期は、通常1月下旬から2月上旬です。確定申告の期限までに余裕を持ってダウンロードしましょう。

海外取引所は報告書がない場合があります

海外取引所を利用している場合、年間取引報告書が提供されないこともあります。その場合は、取引履歴をすべてダウンロードして、自分で集計する必要があります。

損益計算ツールで統合する方法

複数の取引所のデータを手作業で集計するのは非常に手間がかかります。損益計算ツールを使えば、自動的に統合して計算できます。

損益計算ツールの使い方は以下の通りです。

1.各取引所の取引履歴をCSV形式でダウンロードする
2.損益計算ツールにアップロードする(またはAPI連携する)
3.ツールが自動的に取得価額を計算し、損益を算出する
4.計算結果をダウンロードして、確定申告書に記入する

総平均法と移動平均法の両方に対応しています

多くのツールは、総平均法と移動平均法の両方に対応しています。一度選択した計算方法は継続して使用する必要があるため、初年度に慎重に選びましょう。

おすすめの損益計算ツール3選

仮想通貨の損益計算に便利なツールを3つ紹介します。

  • クリプタクト(Cryptact):国内外の主要取引所に対応し、DeFiやNFT取引にも対応。無料プランでは年間取引件数50件まで利用可能
  • Gtax:シンプルな操作性が特徴で、初心者にも使いやすい。無料プランでは年間取引件数100件まで利用可能
  • 国税庁の暗号資産の計算書:無料で利用できるExcelシート。取引所の年間取引報告書を転記するだけで計算できる

有料プランなら年間数千円から利用可能です

取引件数が多い場合や、複数の取引所を利用している場合は、有料プランの利用を検討しましょう。年間数千円から1万円程度の費用で、大幅に作業時間を短縮できます。

2026年税制改正の動向|分離課税導入で何が変わる?

2025年12月に公表された令和8年度税制改正大綱により、仮想通貨の税制が大きく変わる見通しです。最新の動向と今後の展望を解説します。

分離課税導入の背景と目的

令和8年度税制改正大綱では、暗号資産取引に係る課税の見直しが盛り込まれました。現在の総合課税(最大55%)から、株式投資と同様の申告分離課税(20.315%)へ移行する方向性が示されています。

出典:令和8年度税制改正大綱

この改正の背景には、以下の課題があります。

  • 国際競争力の低下:海外(米国20%、シンガポール0%)と比べて日本の税率が高く、投資家や企業が海外に流出
  • 市場の活性化の必要性:重い税負担が国内市場の成長を妨げている
  • 税制の公平性:株式やFXと比べて仮想通貨だけが不利な税制となっている

金融庁は2025年8月29日に令和8年度税制改正要望を提出し、「暗号資産取引に係る必要な法整備と併せて、分離課税の導入を含めた暗号資産取引等に係る課税の見直しを行うこと」と明記しました。

出典:金融庁「令和8年度税制改正要望について」

業界団体のJCBA(日本暗号資産ビジネス協会)とJVCEA(日本暗号資産取引業協会)も、申告分離課税の導入を最優先事項として要望しています。

損益通算のルールはどう変わるか

申告分離課税に移行すると、損益通算のルールも変わる見込みです。ただし、詳細は今後の法律や政省令の整備で明確化されます。

現時点で想定される変更点は以下の通りです。

  • 特定暗号資産の現物取引同士での損益通算は可能
  • 株式投資やFXとの損益通算は認められない見込み(別の所得区分として扱われる)
  • 損失の繰越控除が3年間認められる

    出典:令和8年度税制改正大綱

  • デリバティブ取引は雑所得の申告分離課税として、現物取引とは別扱いになる可能性

損失の繰越控除が3年間認められる見込みです

大和総研の分析によると、「特定暗号資産」の現物取引による損益は、他の金融商品とは損益通算できず、あくまで「特定暗号資産」の現物取引に限って損益通算が可能となる見込みです。株式やFXとは異なる「第三の申告分離課税グループ」として扱われる可能性が高いとされています。

今から準備しておくべきこと

税制改正の施行時期は、早くて2028年1月以降と見られています。

出典:日本経済新聞「仮想通貨所得、20%分離課税に 28年から株式・投資信託並みに下げ」

それまでに準備しておくべきことを解説します。

  • 取引履歴の整理:すべての取引所の取引履歴を保管し、いつでも損益計算ができる状態にしておく
  • 含み損益の把握:現在の保有銘柄の含み損益を把握し、税制改正前後の戦略を検討する
  • 2026年の損益調整:2026年中に含み損のある銘柄を売却し、他の雑所得と相殺することを検討する(2028年以降は雑所得との相殺ができなくなる可能性)
  • 税理士への相談:取引規模が大きい場合や複雑な取引がある場合は、専門家に相談する

2027年までの利益は現行税制で申告が必要です

税制改正が実現しても、過去の取引に遡及適用されることはありません。2027年までの利益は現行税制(総合課税・最大55%)で申告する必要があります。そのため、2026年中の損益調整が重要になります。

よくある質問(Q&A)

仮想通貨の損失を給与所得と相殺できますか?

いいえ、できません。仮想通貨の損失は雑所得に分類されるため、給与所得など他の所得区分との損益通算は認められていません。雑所得内での損益通算のみが可能です。

海外取引所の損失も損益通算できますか?

はい、できます。海外取引所での取引も、国内取引所と同様に雑所得として扱われます。すべての取引所での損益を合算して計算します。ただし、海外取引所では年間取引報告書が提供されない場合があるため、自分で取引履歴を管理する必要があります。

税理士に相談すべきタイミングは?

以下のような場合は、税理士への相談を検討しましょう。

  • 年間の取引回数が100回を超える場合
  • 複数の取引所やウォレットを利用している場合
  • DeFiやNFT取引を行っている場合
  • 年間の利益が1,000万円を超える場合
  • 法人化を検討している場合

税理士への相談費用は、取引規模や複雑さによって異なりますが、一般的には5万円から30万円程度です。高額な税金を支払うリスクを考えると、専門家に相談する価値は十分にあります。

過去の申告漏れを発見した場合はどうすればいいですか?

過去の申告漏れに気づいた場合は、速やかに修正申告を行いましょう。税務署から指摘される前に自主的に申告すれば、無申告加算税が軽減される可能性があります。

修正申告の手順は以下の通りです。

1.過去の取引履歴を集めて、正確な損益を計算する
2.修正申告書を作成する(税務署または確定申告書等作成コーナー)
3.税務署に提出する
4.本税に加えて、延滞税と無申告加算税を納付する

無申告加算税は、本税の15%から20%程度です。自主的に申告すれば5%に軽減される場合があります。延滞税は年7.3%から14.6%程度です。

法人化すると損益通算のメリットはありますか?

法人化すると、仮想通貨の損益は法人税の対象となり、個人の雑所得とは扱いが変わります。法人の場合、以下のメリットがあります。

  • 法人税率は最大23.2%(個人の最大55%より低い)
  • 損失の繰越控除が最長10年間認められる
  • 事業所得として、他の事業の損益と通算できる

ただし、法人化には設立費用や維持費用がかかり、会計処理も複雑になります。一般的に、年間所得が1,000万円を超える場合に法人化のメリットが出始めると言われています。

損益計算ツールは無料で使えますか?

はい、無料プランを提供しているツールがあります。クリプタクトは年間取引件数50件まで、Gtaxは100件まで無料で利用できます。また、国税庁が提供する「暗号資産の計算書」は完全無料で利用できます。

取引件数が多い場合は、有料プランの利用を検討しましょう。年間数千円から1万円程度の費用で、大幅に作業時間を短縮できます。

申告漏れのペナルティはどのくらいですか?

申告漏れが発覚した場合、以下のペナルティが課されます。

  • 無申告加算税:本税の15%から20%(自主的に申告すれば5%に軽減)
  • 延滞税:年7.3%から14.6%程度(納付が遅れた日数に応じて加算)
  • 重加算税:意図的な隠蔽や偽装があった場合は、本税の40%

例えば、100万円の申告漏れがあり、税務調査で指摘された場合、本税に加えて無申告加算税20万円、延滞税(2年間で約15万円)、合計135万円程度の負担となります。

申告漏れを避けるためには、日頃から取引履歴を記録し、確定申告期限までに正確に申告することが重要です。

まとめ

仮想通貨の損益通算は、雑所得という所得区分の特性により、株式投資やFXとは異なるルールが適用されます。仮想通貨同士の損益通算や他の雑所得との通算は可能ですが、株式やFXとの通算はできません。また、損失の繰越控除も認められていないため、年内での損益調整が重要です。

2025年12月に公表された令和8年度税制改正大綱により、2028年以降は申告分離課税への移行が予定されています。税率は現行の最大55%から20.315%へ大幅に引き下げられ、3年間の繰越控除も認められる見込みです。

出典:令和8年度税制改正大綱

ただし、施行時期や詳細なルールは今後の法律や政省令で明確化されます。

それまでは現行の税制で適切に申告し、年内にできる節税対策を実施することが重要です。含み損を抱えた銘柄を年内に売却して損益通算する、複数の取引所の取引履歴を統合して正確に損益を計算するなど、実践的な対策を行いましょう。

取引規模が大きい場合や複雑な取引がある場合は、税理士への相談も検討してください。専門家のアドバイスを受けることで、適切な税務処理と節税対策が可能になります。仮想通貨の税制は今後大きく変わる可能性がありますが、現行ルールを正しく理解し、適切に対応することが何より重要です。

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SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

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