COLUMN

コラム

近年注目のサステナビリティ経営とは?メリットや実践方法を紹介

近年注目のサステナビリティ経営とは?メリットや実践方法を紹介

近年「サステナビリティ経営」と呼ばれる経営手法が注目されています。サステナビリティとは「持続可能性」を意味する言葉であり、このサステナビリティ」と「経営」を組み合わせることで、企業の長期的な発展や社会的価値の向上につながるといわれています。

今回はサステナビリティ経営について、なぜ企業で取り組むことが必要なのか、具体的に何をすれば良いのかを解説していきます。


【無料ダウンロード】
女性社外役員の実態調査レポートはこちら!

サステナビリティ経営とは?定義を解説

ここではサステナビリティ経営の概要について、サステナビリティとよく混同されがちなSDGs、CSRとの違いともあわせて詳しく解説します。

サステナビリティ経営の概要

サステナビリティ経営とは、環境問題と社会問題に配慮しながら、長期的に良好な経済活動を行う経営のことを指します。

サステナビリティの意味は前述したとおり「持続可能性」です。将来にわたって、自然環境や社会をより良い状態にし、経済を長く守り続けるための考え方とも言いかえられます。

環境を壊さず、健全な社会を保ったうえで経済を維持し続けることは簡単ではありません。だからこそ経営面でもサステナビリティを掲げることが非常に重要になります。

SDGsやCSRとの違い

サステナビリティと並んでよく出てくる言葉にSDGs、CSRがあります。

SDGsは「持続可能な開発目標」を意味し、2030年までに環境・社会・経済の3つのバランスを取りながら持続可能な世界を実現すべく、掲げられた国際目標です。実現に向けて必要になる17の具体的な目標」も提示されています。

CSRの意味は「企業の社会的責任」です。企業が自社の利益のみ追求するのではなく、従業員や投資家、そして消費者といったステークホルダーに対しても責任を持ち、彼らの期待に応えていくべきという考え方を指します。

より良い企業経営を目指すなら、SDGsを理解した上でサステナビリティを考え、さらにCSRについても重視する必要があるでしょう。

▼今までにない実践型トレーニングで、即戦力に。
ジョトリー社外役員養成講座 の詳細・お申込みはこちら

サステナビリティ経営はなぜ必要なのか?

かつてと現在では、ステークホルダーが企業の良し悪しを判断する基準が変わりました。判断基準の中に「その企業が環境問題や社会問題にどれほど取り組んでいるか」が加わったのです。

以前は、利益至上主義の経営のみでも企業は成長できましたし、株価も伸びました。しかし、近年はテレビやネットのニュースでも環境や社会の問題について取り上げる機会が増え、消費者も環境に配慮して造られた商品を好んで手にするようになっています。

結果として、現代では「利益向上」と「環境・社会問題への積極的な取り組み」を両立している企業こそ、ステークホルダーから評価されるようになりつつありますそのため、企業は長期的に見て環境や社会に負荷をかけずに事業運営することが求められるようになっています。

企業として長く生き残るために、今後サステナビリティ経営」に取り組んでいることは必要不可欠となっていくでしょう。

サステナビリティ経営に取り組むメリット

企業としてステークホルダーから評価される以外にも、サステナビリティ経営に取り組むことで得られるメリットはあります。

ここでは、

  1. 1. リスクヘッジ
  2. 2. ステークホルダーの評価による企業価値の向上
  3. 3. 社員のロイヤリティ向上

の3つのメリットを取り上げ、詳しく解説しましょう。

1. リスクヘッジ

サステナビリティ経営を実現している企業は、将来的に起こりうるリスクを未然に回避できる可能性が高まります。

将来的には、

  • ・人権問題に関するリスク
  • ・社会の変化やトレンドに乗り遅れるリスク
  • ・気候変動にともなうリスク

などといったリスクを、多くの企業が抱えることになります。しかし、サステナビリティ経営を展開していれば、上記リスクの軽減や対処を行いやすくなるでしょう。

例として、サプライチェーン上で起こる人権問題は、世間やステークホルダーからの注目度が高い代表的なリスクのひとつです。

もしも人権問題が発生してしまった場合、企業としての信頼性を著しく損ねてしまうおそれがあります。しかし、サステナビリティ経営をもとに、人権へ配慮したサプライチェーンを構築すれば、問題の発生を未然に防ぐことができるでしょう。

また、環境や社会に配慮した製品やサービスには、最新の技術や考え方が反映されていることが多いです。そのため、普段からサステナビリティ経営を展開している企業ほど、トレンドを反映した新事業やサービスへの参入障壁が低いです。

そのほか海外では、サステナビリティを大義として掲げることで、気候変動にともなうリスクを大きく下げた事例もあります。

事例の企業は、サステナビリティの名の下に企業連合を作り(競合も含む)、原料の共同調達を実現して、リスクの分散化を成功させています。

このように、サステナビリティ経営は企業のさまざまなリスクヘッジに直結しています。

今後さらにサステナビリティの考え方が世間に浸透していくなかで、経営そのものがリスクヘッジにつながるというのは、大きなメリットだといえるでしょう。

2. ステークホルダーの評価による企業価値の向上

サステナビリティ経営を進めている企業は、世間から評価される対象になります。同じくサステナブルに賛同する消費者たちは、サステナビリティを意識している企業の商品やサービスを好んで利用するようになるでしょう。投資家の立場であれば、投資の対象として評価してくれます。

このように評価されれば企業価値は向上し、業績アップも叶い、企業は得られた利益をさらなる開発強化や金融投資を行うことができます。

また、企業のイメージアップが叶えば、新規顧客の獲得にもつながるでしょう。消費者に対してPRする機会でも、取引先へアピールする場面でも、サステナビリティの文字は目を引きます。

現状のステークホルダーを囲い込みながら、新たな市場に企業規模を拡大したいときにも、サステナビリティ経営は大きく役立つのです。

3. 社員のロイヤリティ向上

サステナビリティ経営を志す企業で働く従業員は、おのずと環境や社会が抱える問題に詳しくなります。加えて、自分が働く会社がそれらの問題解決に貢献しているという事実は、従業員たちの仕事に対する誇りや自信にもつながるでしょう。

環境に配慮し、社会の課題に向き合いながら経済活動を行うことは、容易ではありません。困難に立ち向かいながら長期的かつ安定的な経営を目指している企業の姿は、従業員の目にも魅力的に映ります。

また、サステナビリティ経営は、採用面でもプラスに働きます。近年、利益とソーシャルグッドを両立した企業で働きたいと考えるビジネスパーソンも増えつつあるので、優秀な人材獲得にも寄与してくれるでしょう。

サステナビリティ経営を実現する方法

ここでは、具体的にどのような手法でサステナビリティ経営を実現すれば良いのか解説していきます。

結論からお伝えすると、

  • ・課題の可視化
  • ・ビジョンの策定
  • ・目標を達成するための具体的な手段や行動を決める

が必要となります。

これからサステナビリティ経営を導入したいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

課題の可視化

サステナビリティ経営を始めるためには、まず自社がどの問題解決を重視するかを考えなければなりません。あわせて、自社の商品やサービスがその問題解決に貢献できるかも確認するようにしましょう。

たとえば、SDGsが掲げる17の目標に関連した取り組みを自社で行うとします。目標には「貧困をなくそう」「ジェンダー平等を実現しよう」「人や国の不平等をなくそう」などがあり、現代の社会や環境が抱える課題は多種多様であることがわかります。

SDGs以外に確認すべきものとして、以下にも目を通すと良いでしょう。

・ISO26000:
国際標準化機構が策定する、企業をはじめとした組織の社会的責任に関する国際規格。持続可能な社会づくりに企業がどう貢献するかをまとめた手引書になります。

・GRIスタンダード2016:
国際的な非営利団体であるGRIが定めた、企業のサステナビリティ報告書の作成ガイドライン。企業におけるサステナビリティな取り組みを、報告書としてまとめたいときに活用できます。

・SASB:
米国サステナビリティ会計基準審議会の略称。企業におけるESG(環境、社会、ガバナンス)に関する開示基準を、11のグループと77の業種に分けて設定しています。

上記の内容に目を通すことで、自社が取り組むべき課題と社会およびステークホルダーが関心を寄せている分野がわかります。

社内の従業員の声も参考に、自社が優先して取り組むべき課題を可視化しましょう。

ビジョンの策定

サステナビリティ経営は一朝一夕で実現できるものではありません。10年、20年先の未来を見据えてビジョンを策定する必要があります。

たとえば、SDGsであれ2030年の実現に向けて策定された目標です。そして、CO2をはじめとした温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルを目指す目標も、期限は2050年までに設定されています。

このように環境や社会の問題を解決するのには長い年月がかかるものです。企業はサステナビリティ経営に向けて動き出す際、2030年、2050年といった未来に社会がどうなっているか、自社はどうなりたいかを想定しながら、ビジョンを策定しなければなりません。

目標を達成するための具体的な手段や行動を決める

長期的な目標が決まったら、そのゴールに向けてどう動くかを考えていきましょう。未来を起点に、そこへ向けて何をすべきか、どんな課題や問題があり、どう解決すべきかを考える手法をバックキャスティング思考と呼びます。

やるべきことが具体的になったら次は行動を起こすことになりますが、行動を形にするためには全従業員の協力が必要です。

サステナビリティ経営とはなにか、なぜ必要か、自分たちはどうサステナブルな社会の実現に貢献できるかを全従業員に共有しましょう。

なお、サステナビリティ経営を実現するにあたって多様な人材を雇用するために、女性の社外取締役を登用するのも有用な手段のひとつです。サステナビリティ経営の第一歩を踏み出すために、女性社外役員の採用を検討してみてはいかがでしょうか。

弊社の運営している「ジョトリー」では、女性社外役員の紹介サービスを展開しています。

女性社外取締役を担ってくれる候補者が見つからない」「即戦力になる人材が欲しい」といったお悩みをお持ちなら、ぜひご利用ください。貴社のサステナビリティ経営の実現に大きく貢献できる一流の人材を厳選し、紹介いたします。

JOTORY(ジョトリー)とは?
JOTORY

サステナビリティ経営の具体事例

最後に、3社の企業で行われているサステナビリティ経営の事例について詳しく解説していきます。

楽天

楽天では社内の公用語を英語にすることで、SDGsやサステナビリティな取り組みを率先して行う先進国にて事業拡大を実現しました。国際共通語とされる英語を従業員が問題なく話せることは、世界規模でグループ企業を展開するのに大きく貢献していることでしょう。

また、女性従業員へのサポートが手厚いのもポイントです。

現状として、女性は出産や子育てによってキャリアアップがうまくいかないケースが多く、社会で解決すべき課題として取り上げられています。

そのような中、楽天では女性従業員に向けたキャリアセッションやセミナーの実施、定期的なニュースレターの配信などを通じて、スムーズな職場復帰を応援しています。

ユニクロ

店頭に設置した衣類回収ボックスにて自社ブランドの衣類を回収し、リサイクルする取り組みをおこなっているのがユニクロです。

回収された衣類は、難民キャンプや被災地、世界中で服を必要としている人々のもとへ物資として届けられます。

そのほか、再生ダウンや再生フェザーとして再利用され、新たな衣類に生まれ変わることもあります。衣類としても、素材としても活用できない部分は燃料としてリサイクルされ、資源の無駄を減らしているのです。

また、ユニクロでは難民への雇用機会も提供しています。ユニクロでは難民を店舗スタッフとして雇用する「RISEプログラム」を立ち上げ、言語トレーニングや研修の場も提供し、難民の方がスムーズに働ける環境を整えています。

ベネッセホールディングス

ベネッセホールディングスは、2014年に「ベネッセこども基金」を設立しました。こちらの目的は、子どもが自らの可能性を広げられる社会づくりです。

より良い社会づくりに必要な学びの場を提供しつつ、貧困の中で生きる子どもや、病気や障がいのある子どもの学びを支援する活動も行っています。あわせて、子どもたちが自分自身を守るための力と、地域の見守り力を高めるための取り組みも実施中です。

また、ベネッセグループのベネッセビジネスメイトでは、障がいのある人を積極的に採用し、業務の効率化や自動化を叶えるシステム開発の現場に携わっています。

同社では5年以上勤続している障がい者の社員も複数人いるため、障がいがあっても長く働ける環境が整っているといえるでしょう。

まとめ

サステナビリティ経営への注目度は、今後さらに強くなっていくことが予想されます。長期的に生き残れる企業を目指すためにも、まずはSDGsやサステナブルな取り組みについて理解を深めましょう。

ステークホルダーの価値観にあわせて、企業としての目標を定めることは事業拡大にも大きな影響をもたらします。

まずは自社が取り組むべき課題を可視化し、長期的なビジョンを策定していきましょう。

ビジョンを明確にしたうえで、自社の商品やサービスで解決できる活動を実施していくことが、企業の永続的な発展につながっていきます。

JOTORYが、ぴったりの一流女性社外役員をご紹介します

JOTORY(ジョトリー)は、各界一流の女性社外役員を紹介するサービスです。
経営者や弁護士、公認会計士から、スポーツ選手や女優、ESG関連のNPO理事・元官僚、大学教授まで、様々な人材が登録しており、貴社にぴったりの、一流女性社外役員をご提案することが可能です。

詳細&無料相談はこちらから
【各界一流の女性社外役員をご紹介】JOTORY(ジョトリー)


あなたも、JOTORY(ジョトリー)に登録しませんか?
JOTORYは、社外取締役や社外監査役として 活躍の幅をひろげたい女性を募集中です。弁護士や大学教授、元官僚、女優など 、既に、幅広い業界の方々からご登録頂いております。 登録者限定サロンでの交流のほか、 社外役員経験者による実践的な研修も行う予定です。興味がありましたら、ご登録をお願いいたします。

社外役員のご登録はこちらから
【大手からベンチャーまで様々な企業をご紹介】JOTORY(ジョトリー)

ジョトリー社外役員養成講座のご案内

JOTORY(ジョトリー)は「ジョトリー社外役員養成講座」を提供しております。
大企業の代表や社外取締役・社外監査役を歴任するプロの講師陣をお呼びした実践型トレーニングです。座学や模擬取締役会を通じて、基礎知識だけではない、社外取締役として必要な実践的内容、スキルやテクニックを学ぶことができます。

多様な人材で構成するため未経験の人材を登用するにあたり、就任前に知識・経験を身に着けさせたい企業様も、ジョトリーの教育プログラムをご利用ください。

▼今までにない実践型トレーニングで、即戦力に。
ジョトリー社外役員養成講座 の詳細・お申込みはこちら

最後までお読みいただきありがとうございます。

この記事を書いた人

慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。ベンチャー企業から上場企業まで、年間1000社近くの資本政策や組織運営の相談に乗る。特にストックオプションを始めとする株式報酬制度の導入支援を専門とする。