NISAで高配当株を始める方法|銘柄選びと注意点

NISAで高配当株を始める方法|銘柄選びと注意点

NISAで高配当株投資を始めたいけれど、どうすればいいか分からないと悩んでいませんか。

高配当株は定期的に配当金を受け取れる魅力的な投資手法ですが、銘柄選びを間違えると減配や株価下落のリスクがあります。

この記事では、NISAで高配当株投資を始める具体的な方法から、銘柄選びの5つのチェックポイント、気をつけたいリスクまで詳しく解説します。

配当金を非課税で受け取るための設定方法や、個別株・ETF・投資信託の選び方も分かります。

記事を読み終える頃には、自分に合った高配当株投資の始め方が明確になっているはずです。

この記事の要約
  • NISAの成長投資枠で高配当株を購入し、配当金を非課税で受け取れる
  • 配当利回り3%以上、財務健全性、配当政策の明確さが銘柄選びの重要ポイント
  • 減配リスクや株価下落リスクを理解し、セクター分散で安定収入を目指す
SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

目次

NISAで高配当株投資を始めるには?|基本の仕組み

NISAで高配当株投資を始めるには、証券会社でNISA口座を開設し、成長投資枠を使って高配当株を購入します。配当金を非課税で受け取るための設定を行えば、通常20.315%かかる税金がゼロになります。

新NISA制度の成長投資枠を活用

2024年から始まった新NISA制度では、成長投資枠の年間投資上限額は240万円で、非課税保有限度額は1,200万円です。つみたて投資枠と併用すれば、合計で年間360万円まで投資が可能になります。

成長投資枠では、上場株式や投資信託、ETFなど幅広い商品を購入できます。高配当株の個別銘柄はもちろん、複数の高配当株に分散投資できる高配当ETFや投資信託も選択肢に入ります。非課税保有期間は無期限なので、長期保有による安定的な配当収入を目指せます。

金融庁:NISA特設ウェブサイト

配当金を非課税にする受取方法の設定

配当金を非課税で受け取るには、配当金の受取方法を「株式数比例配分方式」に設定する必要があります。

株式数比例配分方式とは、配当金を証券口座で受け取る方法です。証券会社の会員ページから「配当金受取方法の変更」を選び、株式数比例配分方式を選択するだけで設定できます。一度設定すれば、その後に購入した銘柄の配当金も自動的に非課税で受け取れます。

銀行振込や郵便為替での受取を選ぶと非課税の対象外になるため注意が必要です。

つみたて投資枠との併用も可能

新NISA制度では、つみたて投資枠(年間120万円)と成長投資枠(年間240万円)を同時に活用できます。つみたて投資枠で長期的な資産形成を行いながら、成長投資枠で高配当株による定期収入を得る戦略が可能です。

たとえば、つみたて投資枠で全世界株式のインデックスファンドを積み立てつつ、成長投資枠で高配当株を購入すれば、値上がり益と配当収入の両方を狙えます。配当金は生活費に使い、つみたて投資枠は老後資金として長期運用するといった使い分けもできます。両方の枠を最大限活用すれば、年間360万円まで非課税で投資できるのは大きなメリットです。

高配当株とは?|配当利回りの意味と計算方法

高配当株とは、株価に対して配当金の割合が高い株式のことです。一般的に配当利回り3%以上の銘柄を高配当株と呼びます。配当金は企業が利益の一部を株主に還元するお金で、株を保有しているだけで定期的に受け取れます。

配当金と配当利回りの基礎知識

配当金は、企業が事業で得た利益の一部を株主に分配する仕組みです。多くの日本企業は年に1回または2回、決算後に配当金を支払います。

配当利回りは、投資した金額に対してどれだけの配当金を受け取れるかを示す指標です。株価が下がると配当利回りは上がり、株価が上がると配当利回りは下がります。配当金の金額が同じでも、購入するタイミングによって利回りは変わるため、株価と配当金の両方を確認することが大切です。

配当利回りの計算式と見方

配当利回りは「年間配当金 ÷ 株価 × 100」で計算します。たとえば、株価2,000円の銘柄が年間80円の配当を出す場合、配当利回りは「80円 ÷ 2,000円 × 100 = 4%」となります。

配当利回りを見るときは、過去の配当実績も確認しましょう。今年だけ高配当でも、来年減配される可能性があります。Yahoo!ファイナンスや証券会社のスクリーニングツールを使えば、配当利回りランキングや過去の配当推移を簡単に調べられます。

配当利回りが極端に高い銘柄(6%以上など)は、業績悪化で株価が下落している可能性もあるため注意が必要です。

高配当株の利回り目安は?

日本株の高配当株は、配当利回り3%以上が一つの目安とされています。東証プライム市場の平均配当利回りは2%前後なので、3%を超えると相対的に高配当と言えます。4%以上になると魅力的な水準ですが、減配リスクも高まる傾向があります。

配当利回りだけで判断せず、企業の財務健全性や配当政策も確認することが重要です。自己資本比率が30%以上、配当性向が30〜50%程度の企業は、無理なく配当を続けられる可能性が高いです。連続増配を続けている企業や、累進配当(前年より減配しない)を掲げている企業も安定性の指標になります。

NISAで高配当株投資をする5つのメリット

NISAで高配当株投資を行うと、配当金が非課税になるだけでなく、定期的な現金収入を得られるメリットがあります。売却せずに配当金を受け取れるため、投資の成果を実感しやすいのも特徴です。

配当金が非課税で受け取れる

NISA口座で高配当株を保有すれば、配当金にかかる税金20.315%がゼロになります。通常の課税口座では、配当金10万円を受け取っても約2万円が税金で引かれますが、NISA口座なら10万円をそのまま受け取れます。長期間保有すれば、この税金の差は大きな金額になります。

たとえば、配当利回り4%の銘柄に300万円投資した場合、年間12万円の配当金を受け取れます。課税口座なら約2.4万円が税金で引かれますが、NISA口座なら12万円全額を受け取れます。10年間保有すれば、約24万円の税金を節約できる計算です。

定期的な現金収入が得られる

高配当株は、年に1回または2回、決まった時期に配当金が振り込まれます。給料以外の収入源ができることで、生活費の足しにしたり、趣味や旅行に使ったりできます。老後の年金の補完としても活用できます。

配当金の入金スケジュールを分散させれば、毎月のように配当収入を得ることも可能です。3月決算の銘柄、9月決算の銘柄、12月決算の銘柄をバランス良く保有すれば、年間を通じて配当金を受け取れます。月3万円の配当収入があれば、通信費や光熱費をカバーできるでしょう。

売却せずに使えるお金が増える

配当金は株を売却しなくても受け取れるため、保有株数を減らさずに現金を手にできます。インデックスファンドの場合、利益を得るには売却が必要ですが、高配当株なら保有し続けながら収入を得られます。

株を売却すると、その後の値上がり益を逃す可能性があります。配当金なら株を保有したまま現金を受け取れるため、将来の値上がり益も期待できます。配当金を再投資すれば、保有株数を増やして将来の配当収入を増やすこともできます。

投資の成果を実感しやすい

配当金は定期的に口座に振り込まれるため、投資の成果を目に見える形で確認できます。株価は日々変動しますが、配当金は安定して受け取れるため、投資を続けるモチベーションになります。

「配当金が入った」という実感は、投資への自信につながります。初めて配当金を受け取ったときの喜びは、多くの投資家が経験する瞬間です。配当金が増えていくのを見ることで、資産形成の実感を得られます。

長期保有で安定収入が期待できる

業績が安定している企業の高配当株を長期保有すれば、毎年安定した配当収入を期待できます。連続増配を続けている企業なら、保有し続けることで配当金が増えていく可能性もあります。

新NISA制度では非課税保有期間が無期限なので、一度購入した高配当株を何年でも保有できます。10年、20年と保有し続ければ、購入時の株価に対する配当利回りは大きく上昇する可能性があります。長期的な視点で配当収入を育てていく戦略が有効です。

高配当株投資で気をつけたい4つのこと

高配当株投資には、減配や株価下落といったリスクがあります。配当利回りだけで銘柄を選ぶと、業績悪化による減配や無配転落で損失を被る可能性があります。リスクを理解した上で投資することが大切です。

減配や無配転落のリスク

企業の業績が悪化すると、配当金が減額されたり、配当が出なくなったりする可能性があります。高配当だった銘柄が突然減配を発表すると、株価も大きく下落することが多いです。

減配リスクを避けるには、配当性向(利益のうち配当に回す割合)が50%以下の企業を選ぶことが重要です。配当性向が高すぎる企業は、利益が少し減っただけで配当を維持できなくなります。過去の配当実績を確認し、安定して配当を出し続けている企業を選びましょう。

株価下落による元本割れ

高配当株でも、株価が下落すれば元本割れになります。配当利回り4%の銘柄でも、株価が20%下落すれば、配当金を5年間受け取っても元本を回復できません。配当金だけでなく、株価の動きも注視する必要があります。

特に景気悪化時には、高配当株の株価が大きく下落することがあります。金融機関や不動産、商社などの景気敏感株は、不況時に株価が下がりやすい傾向があります。株価下落リスクを抑えるには、複数のセクターに分散投資することが有効です。

配当金再投資による複利効果は限定的

配当金を受け取ると、その分だけ株価が下がる「配当落ち」が発生します。配当金を再投資しても、インデックスファンドの複利効果ほどの効率は期待できません。配当金を受け取る都度、再投資の判断や手続きが必要になる手間もあります。

配当金を自動的に再投資できる投資信託と比べると、個別株の配当金は手動で再投資する必要があります。少額の配当金では株を買えないこともあり、現金のまま口座に残ってしまうこともあります。複利効果を最大化したいなら、配当金を出さずに内部で再投資するインデックスファンドの方が効率的な場合もあります。

業績悪化銘柄を選んでしまうリスク

配当利回りが極端に高い銘柄は、業績悪化で株価が下落している可能性があります。配当利回り6%以上の銘柄は魅力的に見えますが、減配リスクが高いケースも多いです。配当利回りだけでなく、企業の財務状況や業績見通しを確認することが重要です。

業績が悪化している企業は、配当を維持するために無理をしていることがあります。自己資本比率が低い、営業利益が減少している、配当性向が80%を超えているなどの兆候があれば注意が必要です。四季報やIR情報で業績推移を確認し、安定した収益を上げている企業を選びましょう。

高配当株の選び方|5つのチェックポイント

高配当株を選ぶときは、配当利回りだけでなく、財務健全性や配当政策、過去の配当実績を総合的に判断します。安定した配当を長期間受け取れる銘柄を見極めることが、高配当株投資の成功の鍵です。

配当利回りは3%以上が目安

高配当株を選ぶ第一歩は、配当利回り3%以上の銘柄をスクリーニングすることです。東証プライム市場の平均配当利回りが2%前後なので、3%以上あれば相対的に高配当と言えます。4%以上になるとより魅力的ですが、減配リスクも確認が必要です。

証券会社のスクリーニングツールを使えば、配当利回りの高い順に銘柄を並べ替えられます。Yahoo!ファイナンスでも配当利回りランキングを確認できます。ただし、配当利回りが高すぎる銘柄(6%以上)は、業績悪化で株価が下落している可能性があるため注意しましょう。配当利回り3〜5%の範囲で、他の条件も満たす銘柄を探すのがおすすめです。

財務健全性を確認する(自己資本比率・時価総額)

配当を長期間維持できる企業は、財務が健全です。自己資本比率30%以上、できれば40%以上の企業を選びましょう。自己資本比率が高いほど、不況時にも配当を維持しやすくなります。

時価総額も重要な指標です。時価総額1,000億円以上の企業は、事業規模が大きく安定している傾向があります。小型株は成長性が高い一方、業績変動も大きいため、高配当株としては大型株や中型株の方が安定しています。四季報や証券会社のツールで、自己資本比率と時価総額を確認しましょう。

日本取引所グループ:株式投資の基礎知識

配当政策の明確さ(累進配当・DOE)

企業の配当政策を確認することで、将来の配当の安定性を予測できます。累進配当を掲げている企業は、前年より配当を減らさない方針なので、減配リスクが低いです。DOE(株主資本配当率)を基準にしている企業も、安定した配当が期待できます。

累進配当を採用している企業は、業績が一時的に悪化しても配当を維持する傾向があります。DOEは「配当金総額 ÷ 株主資本 × 100」で計算され、株価に左右されない安定した配当指標です。企業のIR情報や決算説明資料で配当政策を確認し、株主還元に積極的な企業を選びましょう。

過去の配当実績と連続増配年数

過去5年以上の配当実績を確認し、安定して配当を出し続けている企業を選びます。連続増配を続けている企業は、配当を重視する経営方針が定着しており、今後も増配が期待できます。

日本には10年以上連続増配を続けている「配当貴族」と呼ばれる企業があります。花王、KDDI、三菱UFJリースなどが代表例です。連続増配銘柄は、業績が安定しており、株主還元に積極的な企業が多いです。証券会社のスクリーニングツールで「連続増配年数」を条件に加えて検索できます。

業績の安定性と今後の見通し

配当を維持するには、安定した利益が必要です。過去5年間の売上高と営業利益の推移を確認し、右肩上がりまたは横ばいで推移している企業を選びましょう。今期の業績予想も確認し、減益予想の企業は避けた方が無難です。

業種によって業績の安定性は異なります。通信、電力、ガスなどのインフラ系企業は、景気に左右されにくく業績が安定しています。逆に、自動車や機械などの製造業は、景気変動の影響を受けやすいです。四季報や企業のIR資料で業績推移と今後の見通しを確認し、安定した収益を上げている企業を選びましょう。

具体的な銘柄の探し方|スクリーニングツールの活用

高配当株を効率的に探すには、証券会社が提供するスクリーニングツールを活用します。配当利回りや財務指標などの条件を設定すれば、自分の基準に合った銘柄を簡単に絞り込めます。

証券会社のスクリーニング機能を使う

SBI証券、楽天証券、マネックス証券などの主要ネット証券は、無料で使える銘柄スクリーニングツールを提供しています。配当利回り、自己資本比率、時価総額、PER、PBRなど、さまざまな条件を組み合わせて銘柄を検索できます。

スクリーニングツールの使い方は簡単です。証券会社のウェブサイトにログインし、「銘柄検索」や「スクリーニング」のメニューを開きます。条件を入力して検索ボタンを押せば、条件に合った銘柄が一覧表示されます。検索結果は配当利回りの高い順に並べ替えられるので、上位の銘柄から詳しく調べていきましょう。

設定すべき条件の例

高配当株を探すときは、以下のような条件を設定するのがおすすめです。これらの条件を満たす銘柄は、安定した配当を期待できる可能性が高いです。

  • 配当利回り:3%以上
  • 自己資本比率:30%以上
  • 時価総額:1,000億円以上
  • 配当性向:50%以下
  • 連続増配年数:3年以上
  • 予想営業利益:前年比プラス

これらの条件を全て満たす銘柄は限られますが、複数の条件を組み合わせることで、質の高い高配当株を見つけられます。条件を厳しくしすぎると該当銘柄が少なくなるので、最初は配当利回りと自己資本比率の2つから始めて、徐々に条件を追加していくとよいでしょう。

高配当株ランキングも参考に

Yahoo!ファイナンスや各証券会社のウェブサイトでは、配当利回りランキングを公開しています。上位にランクインしている銘柄をチェックし、気になった銘柄を詳しく調べる方法も有効です。

ただし、ランキング上位の銘柄が必ずしも良い銘柄とは限りません。配当利回りが高すぎる銘柄は、業績悪化で株価が下落している可能性があります。ランキングはあくまで参考情報として活用し、財務状況や業績、配当政策を自分で確認することが大切です。複数の情報源を組み合わせて、総合的に判断しましょう。

個別株・ETF・投資信託|どれを選ぶ?

高配当株投資には、個別株を選ぶ方法、高配当ETFを買う方法、高配当株投資信託を選ぶ方法の3つがあります。それぞれにメリット・デメリットがあり、自分の投資スタイルや知識レベルに合わせて選ぶことが大切です。

個別株のメリット・デメリット

個別株のメリット

配当利回りが高い銘柄を選べる

株主優待を受け取れる銘柄がある

自分で銘柄を選ぶ楽しみがある

一方で、個別株は銘柄選びに知識と時間が必要です。複数の銘柄に分散投資するには、ある程度まとまった資金が必要になります。業績悪化による減配リスクも個別株特有のリスクです。投資初心者や、銘柄分析に時間をかけられない人には、個別株はハードルが高いかもしれません。単元未満株サービスを使えば、少額から個別株に投資できます。

高配当ETFのメリット・デメリット

高配当ETFは、複数の高配当株に分散投資できる上場投資信託です。1つのETFを買うだけで、数十から数百の高配当株に分散投資できます。個別株より減配リスクが低く、管理の手間も少ないのがメリットです。

日本の代表的な高配当ETFには、「NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型ETF」や「iシェアーズ MSCI ジャパン高配当利回り ETF」などがあります。信託報酬は年0.2〜0.3%程度で、投資信託より低コストです。ただし、ETFは株式と同じように取引時間中に価格が変動するため、購入タイミングを見極める必要があります。

高配当株投資信託のメリット・デメリット

高配当株投資信託は、プロが運用する投資信託です。毎月分配型の商品もあり、定期的に分配金を受け取れます。少額から積立投資ができ、自動的に分散投資できるのがメリットです。

投資信託は信託報酬が年1%前後かかることが多く、ETFより運用コストが高めです。毎月分配型の投資信託は、元本を取り崩して分配金を出すこともあるため注意が必要です。

分配金を受け取ると、その分だけ基準価額が下がります。長期的な資産形成を考えるなら、分配金を出さずに再投資する投資信託の方が効率的な場合もあります。

分散投資の考え方|セクター別に分ける

高配当株投資で安定した配当収入を得るには、複数のセクター(業種)に分散投資することが重要です。特定の業種に偏ると、その業種が不振になったときに配当収入が大きく減少するリスクがあります。

特定業種に偏らないようにする

高配当株は、金融、通信、商社、不動産などの業種に多く見られます。これらの業種だけに投資すると、金利上昇や景気悪化の影響を大きく受けてしまいます。複数のセクターに分散することで、特定の業種の不振による影響を和らげられます。

たとえば、金融株、通信株、消費財株、ヘルスケア株、エネルギー株など、異なる特性を持つセクターに分散投資します。金融株が下落しても、通信株や消費財株が安定していれば、ポートフォリオ全体の配当収入は維持されやすくなります。セクターごとの配当利回りや業績動向を確認し、バランス良く投資しましょう。

景気に左右されにくいセクターとは

景気変動の影響を受けにくいセクターを「ディフェンシブセクター」と呼びます。通信、電力、ガス、食品、医薬品などが代表例です。これらの業種は、景気が悪化しても需要が大きく減らないため、業績が安定しています。

ディフェンシブセクターの企業は、配当を維持しやすい傾向があります。NTT、KDDI、日本たばこ産業(JT)、武田薬品工業などは、長期間安定した配当を出し続けている代表的な銘柄です。景気敏感株(自動車、機械、商社など)と組み合わせることで、景気の波に左右されにくいポートフォリオを作れます。

5銘柄以上に分散するのが目安

個別株で高配当株投資を行う場合、最低でも5銘柄以上に分散することをおすすめします。1〜2銘柄だけだと、減配や株価下落の影響が大きくなります。5銘柄以上に分散すれば、1銘柄が減配しても他の銘柄の配当でカバーできます。

理想的には10銘柄以上に分散すると、さらにリスクを分散できます。ただし、銘柄数が多すぎると管理が大変になります。自分が管理できる範囲で、5〜15銘柄程度に分散するのが現実的です。単元未満株サービスを使えば、少額から複数銘柄に分散投資できます。成長投資枠の上限240万円を活用し、計画的に分散投資を進めましょう。

配当金の使い方|再投資するか使うか

高配当株から受け取った配当金は、再投資して複利効果を狙うか、生活費として使うかを選べます。どちらが正解ということはなく、自分のライフスタイルや投資目的に合わせて判断することが大切です。

配当金を再投資して複利効果を狙う

配当金を使わずに再投資すれば、保有株数を増やして将来の配当収入を増やせます。配当金で新たに株を買い、その株からも配当金を受け取る、という複利効果が期待できます。長期的な資産形成を目指すなら、配当金の再投資が有効です。

ただし、個別株の配当金は自動的に再投資されないため、手動で買い付ける必要があります。配当金が少額だと、単元株を買えないこともあります。単元未満株サービスを使えば、数千円から株を買えるため、少額の配当金でも再投資しやすくなります。配当金を現金で持っていても増えないので、早めに再投資することをおすすめします。

生活費の一部として使う

配当金を生活費の一部として使えば、給料以外の収入源を確保できます。月3万円の配当収入があれば、通信費や光熱費をカバーできます。月10万円あれば、パート収入と同程度の収入になります。

配当金を使う場合でも、全額を使い切るのではなく、一部は再投資に回すとバランスが良いです。たとえば、配当金の50%は再投資、50%は生活費に使う、といったルールを決めておくと、資産形成と生活の充実を両立できます。老後の年金の補完として配当収入を活用する戦略も有効です。

配当金生活に必要な投資額は?

配当金だけで生活するには、どれくらいの投資額が必要でしょうか。配当利回り4%の高配当株に投資する場合、年間配当収入300万円を得るには、7,500万円の投資が必要です。月25万円の配当収入なら、7,500万円の投資で実現できます。

現実的には、配当金だけで完全に生活するのは難しいかもしれません。年金や給与収入と組み合わせて、配当金を補完的な収入源として活用する方が現実的です。月5万円の配当収入なら、1,500万円の投資で実現できます。月10万円なら3,000万円です。まずは少額から始めて、時間をかけて配当収入を増やしていく戦略がおすすめです。

よくある質問(Q&A)

よくある質問(Q&A)
NISAで米国高配当株は買える?

はい、NISAの成長投資枠で米国高配当株を購入できます。SBI証券、楽天証券、マネックス証券などの主要ネット証券では、数千銘柄の米国株を取り扱っています。米国には連続増配50年以上の「配当王」と呼ばれる企業も多く、安定した配当が期待できます。

ただし、米国株の配当金には米国で10%の源泉徴収税がかかります。NISA口座でも、この10%の税金は免除されません。日本の税金20.315%は非課税になりますが、米国の10%は課税されるため、実質的な配当利回りは約10%減少します。

配当金の受取方法を変更するには?

配当金の受取方法は、証券会社のウェブサイトから変更できます。ログイン後、「口座管理」や「登録情報」のメニューから「配当金受取方法の変更」を選びます。「株式数比例配分方式」を選択して申請すれば、1〜2週間程度で変更が完了します。

複数の証券会社でNISA口座を持っている場合でも、配当金受取方法の設定は全ての証券会社に適用されます。一度設定すれば、その後に購入した株の配当金も自動的に株式数比例配分方式で受け取れます。

高配当株とインデックス投信どちらがいい?

高配当株とインデックス投信は、それぞれ異なる目的に適しています。定期的な配当収入を得たいなら高配当株、長期的な資産形成を目指すならインデックス投信がおすすめです。両方を組み合わせる戦略も有効です。

インデックス投信は、配当金を自動的に再投資するため複利効果が高く、長期的なリターンは高配当株を上回る可能性があります。一方、高配当株は定期的に現金を受け取れるため、投資の成果を実感しやすいです。つみたて投資枠でインデックス投信を積み立て、成長投資枠で高配当株を買う、という使い分けがおすすめです。

少額から始められる?

はい、単元未満株サービスを使えば、数千円から高配当株投資を始められます。SBI証券の「S株」、楽天証券の「かぶミニ®」、マネックス証券の「ワン株」などのサービスを利用すれば、1株単位で株を購入できます。

たとえば、株価3,000円の銘柄なら、3,000円から投資できます。月1万円ずつ積み立てれば、1年間で12万円を高配当株に投資できます。少額から始めて、配当金を再投資しながら徐々に保有株数を増やしていく戦略が有効です。

確定申告は必要?

NISA口座で受け取った配当金は非課税なので、確定申告は不要です。株式数比例配分方式で配当金を受け取っていれば、自動的に非課税になります。源泉徴収ありの特定口座と同じように、税金の手続きを気にせず投資できます。

ただし、配当金を銀行振込や郵便為替で受け取る設定にしていると、NISA口座の配当金でも課税されます。この場合、確定申告で配当控除を受けることもできますが、手続きが複雑になります。NISA口座の配当金を非課税で受け取るには、必ず株式数比例配分方式に設定しておきましょう。

国税庁:株式等の譲渡所得等の課税

まとめ

NISAで高配当株投資を始めるには、成長投資枠を活用し、配当金の受取方法を株式数比例配分方式に設定することが基本です。配当利回り3%以上、自己資本比率30%以上、配当政策が明確な企業を選ぶことで、安定した配当収入を期待できます。

高配当株投資には、配当金が非課税で受け取れる、定期的な現金収入が得られる、投資の成果を実感しやすいというメリットがあります。一方で、減配リスクや株価下落リスクもあるため、複数のセクターに分散投資することが重要です。個別株、ETF、投資信託の中から、自分の知識レベルや投資スタイルに合った方法を選びましょう。

配当金は再投資して複利効果を狙うこともできますし、生活費として使うこともできます。つみたて投資枠でインデックスファンドを積み立てながら、成長投資枠で高配当株を購入する戦略もおすすめです。証券会社のスクリーニングツールを活用すれば、自分の基準に合った銘柄を効率的に探せます。

なお、投資には元本割れのリスクがあります。減配や無配のリスクは完全には排除できません。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。

SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

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