決算期はいつにするべき?変更はできる?

決算期はいつにするべき?変更はできる?

会社を設立する際には、決めなければいけないことがたくさんあります。

そのうちのひとつが「決算期」です。
決算期とは、会社の事業年度の区切りとなる、事業年度の最終月のことです。
この記事では、決算期とは何か、決算期はいつにするべきか、決め方のポイントなどをご紹介します。

決算期とは?

そもそも「決算」とは何かについてご説明しましょう。
決算とは、一事業年度における収支・損益をまとめ、その期間における経営成績を明確にすることです。
決算を1カ月単位で見たものは「月次決算」ですし、3カ月ごと(年4回)の決算であれば「四半期決算」になります。
事業年度の中間月で行う決算については「中間決算」と呼ばれています。
もっとも重要なのは「本決算」です。
本決算では、年に1回、前年度の業績の結果および今年度の業績予想を発表します。
この「本決算」が行われる月が「決算期」または「決算月」と呼ばれるもので、会社四季報にも必ず記載されます。
また、決算期の最終日は「決算日」と言います。
会社の一事業年度を、何月から何月までにするのかということは、それぞれの会社で自由に決めることができます。

たとえば「4月1日から翌年3月31日まで」を、一事業年度としている会社もありますし、「9月1日から翌年8月31日まで」を一事業年度としている会社もあります。
前述したとおり「4月1日から翌年3月31日まで」を一事業年度とする会社の場合には、最終月である「3月」 が決算期(決算月)となります。
また、「9月1日から翌年8月31日まで」を一事業年度とする会社の場合には、最終月の 「8月」 が決算期(決算月)です。

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決算期はいつにするべき?

会社を設立する際には、決算期を何月にするかということを決めなければいけません。
株式会社の決算期と言えば、ふつうは3月が多いので、世間に合わせて3月にするというのも良いでしょう。
しかし、小規模な株式会社を設立する場合、決算期を3月にしないといけないわけでも、3月がベストだというわけでもありません。
決算期を何月にするのかは、その会社の「業種」や「繁忙期の時期」を考慮して決めたり、「より節税できること」を目指して決めたりと、それぞれの会社の事情によって決めて良いのです。

実際のところ何月を決算期にしている会社が多い?

国税庁の統計情報(※)から、会社の決算期の傾向について調べてみました。
平成29年度の申告法人数は合計2,696,568。
決算期に設定されているのは何月が多いのか見てみると、1位が3月(19.0%)、2位が9月(10.8%)、3位が12月(10.2%)でした。
確かに3月が多いものの、パーセンテージを見ると全体の2割弱と、圧倒的に多いというわけではありません。
このような結果となるのは、申告法人数に中小法人も含まれているためだと考えられます。
一方で、資本金が1億円以上の会社に絞ったデータ(法人数29,681)を見ると、3月を決算期にする法人数は16,103社と、54.5%を占めています。
次いで多いの月が、12月で16.4%(4870社)です。
さらに資本金100億円超えの法人の場合を見てみると、74.1%もの法人が3月に設定しています。
次に多い月は同じく12月で、13.9%の法人が設定しています。
この結果から、資本金が1億円以上の法人は、主に3月もしくは12月を決算期としていることが分かります。
(※)第143回国税庁統計年報(平成29年度版)p220 4-2 法人数 (1) 決算期別の普通法人数

決算期の決め方

決算期は自由に決めることができますが、決算期を決める際に考慮したいポイントをいくつかご紹介します。

繁忙期を避ける

業種ごとに繁忙期がありますが「決算期は繁忙期を避けたほうが良い」という考え方があります。
以下のいくつかの理由から、決算期は繁忙期を避けて設定する会社も少なくありません。

・節税対策がとりやすい
季節による売上の変動が大きい業種の場合には、繁忙期を避けて、繁忙期よりも少し前の月を決算期に設定する、という方法があります。
この場合、年度の初めが繁忙期となり、年度の最初に大きな売上があることになります。
決算期はずっと先なので、しっかり節税対策などのための時間をとることができます。
逆に、もしも年度の初めに計画していた予定の売上が確保できなかった場合には、残りの期間で計画の修正や対策を行うことができるでしょう。
これが、反対に繁忙期を決算期にしてしまうと、繁忙期の売上に対する対策を、残りの短い期間で行わなければならなくなります。
節税対策・黒字化対策など、繁忙期の後に長い時間があれば、しっかりとした対策が行えます。

・決算にともなう業務の時間がとれる
決算期の前後には、提出書類の作成や税金の納付など、普段よりもたくさんの業務が発生します。
繁忙期も仕事が多くなるため「決算期を決める際には、繁忙期を避けたほうが良い」という考え方です。
「繁忙期には、本業の売上を伸ばすことに集中したい」という考えからも、繁忙期を避けて決算期を設定されるケースが多いようです。

資金繰りが安定している時期に、決算後の納税がくるように設定する

決算後の決定申告と法人税の納付は、原則として決算日から2か月後までに行う必要があります。
決算日の2か月後が土曜、日曜、祝日など税務署の閉庁日と重なってしまった場合には、その翌開庁日が申告期限となります。
税金は、利益が多ければ多いほど高額になるために、納税する月と、資金繰りが悪化する月とが重なってしまったとしたら、納税するための資金がたりなくなってしまう可能性があります。
「税金が納められずに倒産」ということは、実は中小企業ではよくあることなのです。
そうならないためにも「決算日から2か月後」に納税することを踏まえて決算日を決める、という考え方もあります。
この場合、収入の多い繁忙期の前後に、決算期を設定することになるでしょう。

消費税の免税期間が長くなるように設定する

会社設立時の資本金額が1,000万円未満の株式会社の場合は、設立第1期目と第2期目の消費税の納税義務の免除を受けることができます。
この消費税の納税義務の免除期間を、できるだけ長くなるようにするために、設立年月日からもっとも離れた月を決算期にする、という方法があります。
設立月からもっとも離れた月を決算期に設定することで、より長い期間、消費税の納税義務の免除が受けられることになり、節税効果が見込めます。

《具体例》設立年月日が令和3年4月1日の株式会社の場合
◆決算期を設立月からもっとも近い月(4月)に設定すると
第1期:令和3年4月1日~令和3年4月30日(1カ月)
第2期:令和3年5月1日~令和4年4月30日(1カ月)
消費税の免税期間=合計13カ月

◆決算期を設立月からもっとも離れた月(3月)に設定すると
第1期:令和3年4月1日~令和4年3月31日(12カ月)
第2期:令和4年4月1日~令和5年3月31日(12カ月)
消費税の免税期間=合計24カ月 ※11カ月分免税期間が増えます。

融資検討先の金融機関との関係を考える

こらから融資を受けたいと思っている場合、融資検討先の金融機関との関係は非常に大切です。
融資を受けようとする場合、金融機関による決算書チェックは外せません。
その際、決算書の見栄えが良くなる決算期にする方が、有利に働きます。
創業から間もない会社は、金融機関との信頼関係もまだ築けていないでしょう。
そのような関係ですと、直近月がいくら黒字でも、前年度の決算書が赤字になっていると、融資が不可となってしまう可能性があります。
前年度が赤字でも融資をしてくれる銀行が無いわけではありませんが、そのような銀行は利率が高く、リスクも高くなってしまいます。
決算で黒字になるように決算期を設定することは、融資を受ける上でも大切です。

おすすめの法人口座・金融機関の種類について、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
おすすめの法人口座|メリット・口座間の比較・金融機関の種類について解説

決算期の変更は可能?

決算期を決める際のポイントをご紹介しました。
しかし、節税を狙って会社設立日から遠い月を決算期にしたものの「繁忙期と重なって不都合のほうが多かった、変更したい」というケースもあるかもしれません。
そんな場合には、決算期を変更することが可能です。
決算期の変更には、いくつかの手続きが必要になりますが、手続きに費用はかかりません

決算期変更の注意点

決算期の変更は可能ですが、注意点もあるので気を付けましょう。
・事業年度が1年以内になるようにする
「決算期は、会社の設立から1年以内に設定する」というルールがありますが、変更の場合も同じく1年以内のルールがあります。
つまり、事業年度が1年以内になるようにするということです。
例えば、決算期変更を考えたのが6月1日であれば、翌年の5月31日までを期限に、決算期を設定する必要があります。

・変更による影響について考える
決算期を変更すると、さまざまな影響が出てきます。
例えば、変更によって役員の任期、支払いが前倒しになることが挙げられます。
支払いが前倒しになれば、経営の負担も出てきます。
そして、経営分析の面では、前期との比較が難しくなるというデメリットがあります。
経営分析の結果は、株主や銀行に報告するものでもあり、この部分で躓くのは会社にとって痛手です。
決算期の変更が、経営におけるハンディとなってしまう可能性もあるので、よく考えてから実行するようにしましょう。

決算期変更の手順

決算期変更の手順は以下のとおりです。

①株主総会の開催
株主総会で、決算期変更を決議します。
小規模の会社で株主総会が開かれない場合は、株主総会議事録を作成します。

②定款の変更
決議した内容にもとづいて定款の変更をします。

③届出
税務署・都道府県税事務所・市区町村に「異動届出書」を提出します。

以上のように、比較的容易に決済日の変更ができます。
しかし、決済日の変更にともなう社内での事務処理なども発生しますし、変更はやむを得ない理由がある場合のみにすると良いでしょう
よく考慮して決算期を決め、変更しないで済むことが理想です。
定款について詳しく知りたい方はこちら

まとめ

決済期は会社ごとに自由に決めることができますが、決済期を決める際には、自社の事情をよく考慮して最適な時期を選びたいものです。
決算期を選ぶ際には、繁忙期、資金繰り、節税などの点を考慮することができます。
もし問題があれば変更も可能ですが、手間がかかります。
最初に熟慮して、最適な月に設定できると良いでしょう。

著 者

SOICO株式会社
共同創業者&代表取締役CEO
茅原 淳一 (かやはら じゅんいち)

慶應義塾大学卒業後、新日本有限責任監査法人にて監査業務に従事。 その後クレディスイス証券株式会社を経て2012年KLab株式会社入社。 KLabでは海外子会社の取締役等を歴任。2016年上場会社として初の信託を活用したストックオプションプランを実施。 2015年医療系ベンチャーの取締役財務責任者に就任。 2018年よりSOICO株式会社の代表取締役CEOに就任。公認会計士。

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