米国株の時間外取引とは?仕組みと活用方法を解説

米国株の時間外取引とは?仕組みと活用方法を解説

米国株の時間外取引に興味があるけれど、仕組みがよく分からないと感じていませんか?

時間外取引とは、通常の取引時間外にも株式を売買できる仕組みのことです。

決算発表直後の値動きに対応できたり、日本時間の日中に米国株を取引できたりと、投資の選択肢が広がります。

ただし、流動性が低く価格変動が大きいなど、通常取引とは異なるリスクもあります。

この記事では、時間外取引の基本的な仕組みから具体的な活用方法、注意点まで詳しく解説します。

時間外取引を正しく理解して、投資の幅を広げていきましょう。

この記事の要約
  • 時間外取引はプレマーケットとアフターマーケットの2つの時間帯がある
  • 決算発表直後の値動きに対応できるメリットがある一方、流動性が低いリスクもある
  • マネックス証券とmoomoo証券が時間外取引に対応している
SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

目次

米国株の時間外取引とは?基本の仕組み

米国株の時間外取引とは、ニューヨーク証券取引所(NYSE)やナスダック(NASDAQ)の通常取引時間外に株式を売買できる仕組みです。

通常の立会時間は日本時間で23:30~翌6:00(サマータイム期間は22:30~翌5:00)ですが、時間外取引を利用すれば、その前後の時間帯でも取引が可能になります。

時間外取引は、ECN(Electronic Communication Network:電子取引ネットワーク)と呼ばれるシステムを通じて行われます。

これにより、通常の取引所を介さずに、投資家同士が直接売買注文をマッチングさせることができるんです。

プレマーケット(取引開始前)

プレマーケットは、通常の取引時間が始まる前の時間帯を指します。

日本時間では、サマータイム期間が20:00~22:30、冬時間期間が21:00~23:30です。

この時間帯は、前日の米国市場終了後から当日の取引開始前までの約4~5時間の間に取引ができます。

プレマーケットでは、企業の決算発表や重要なニュースが発表されることが多く、それに反応して株価が大きく動くことがあります。

この時間帯に取引できることで、通常取引開始前の値動きに対応できるメリットがあるんですね。

アフターマーケット(取引終了後)

アフターマーケットは、通常の取引時間が終了した後の時間帯です。

日本時間では、サマータイム期間が翌5:00~翌10:00、冬時間期間が翌6:00~翌11:00となります。

通常取引終了後から約5時間の取引が可能です。

アフターマーケットも決算発表が行われることが多く、発表内容によって株価が急変動することがあります。

特に、取引終了後に発表される決算に即座に対応できる点が大きな特徴です。

日本の投資家にとっては、日本時間の朝の時間帯に取引できるため、日中の仕事前に米国株を売買できる利点もあります。

通常の立会時間との違い

時間外取引と通常の立会時間には、いくつかの重要な違いがあります。

最も大きな違いは流動性の低さです。

通常取引時間に比べて参加者が少ないため、売買が成立しにくく、価格変動も大きくなりやすい特徴があります。

時間外取引の特徴

成行注文が使えない証券会社が多い

指値注文のみが一般的

取引できる銘柄が限定されることがある

また、時間外取引では成行注文が使えない証券会社が多く、指値注文のみとなることが一般的です。

これは、流動性が低い環境で成行注文を出すと、想定外の価格で約定してしまうリスクを避けるためです。

日本時間では何時から何時まで取引できる?

日本時間での米国株取引可能時間は、サマータイムと冬時間で異なります。

以下の表で時間帯を確認しておきましょう。

時間帯 サマータイム期間 冬時間期間
プレマーケット 20:00~22:30 21:00~23:30
通常取引時間 22:30~翌5:00 23:30~翌6:00
アフターマーケット 翌5:00~翌10:00 翌6:00~翌11:00
合計取引可能時間 20:00~翌10:00(14時間) 21:00~翌11:00(14時間)

証券会社によって対応時間が異なるため、実際に取引する際は各証券会社の公式サイトで最新情報を確認することが大切です。

時間外取引ができる時間帯|サマータイムと冬時間

米国株の時間外取引を活用するには、サマータイムと冬時間の違いを理解しておくことが重要です。

米国では3月第2日曜日から11月第1日曜日までがサマータイム、それ以外が冬時間となり、取引時間が1時間ずれます。

この切り替えを把握していないと、取引機会を逃してしまうことがあるので注意が必要です。

時間外取引の時間帯は証券会社によって対応状況が異なります。

マネックス証券は主要ネット証券で唯一の時間外取引対応で最大14時間の取引が可能です。

一方、moomoo証券は業界初の24時間取引に対応しており、より柔軟な取引が可能になっています。

サマータイム期間の取引時間

サマータイム期間(3月第2日曜日~11月第1日曜日)は、日本時間で20:00から翌10:00までの14時間が時間外取引を含めた取引可能時間です。

プレマーケットが20:00~22:30、通常取引が22:30~翌5:00、アフターマーケットが翌5:00~翌10:00となります。

サマータイム期間は、日本時間の夜8時から取引が始まるため、仕事を終えた後に米国株をチェックして取引できる時間帯です。

また、翌朝10時まで取引できるため、出勤前の時間も活用できます。

特に決算発表が多いアフターマーケット(翌5:00~翌10:00)は、日本の朝の時間帯と重なるため、決算内容を確認しながら取引判断ができる利点があります。

冬時間期間の取引時間

冬時間期間(11月第1日曜日~3月第2日曜日)は、日本時間で21:00から翌11:00までの14時間が取引可能時間です。

プレマーケットが21:00~23:30、通常取引が23:30~翌6:00、アフターマーケットが翌6:00~翌11:00となり、サマータイム期間より1時間遅くなります。

冬時間期間は、取引開始が夜9時からとなるため、サマータイム期間よりも少し遅い時間帯からの取引になります。

アフターマーケットは翌6:00~翌11:00となり、日本の朝の時間帯により長く取引できるようになります。

朝の通勤前や出勤後の時間を活用して、米国株の値動きをチェックしながら取引できる点が特徴です。

サマータイムの切り替え時期と注意点

サマータイムの切り替えは、3月第2日曜日午前2時(冬時間→サマータイム)と11月第1日曜日午前2時(サマータイム→冬時間)に行われます。

この切り替え日には取引時間が1時間ずれるため、注意が必要です。

切り替え時期 期間 注意点
サマータイム開始 3月第2日曜日~ 取引時間が1時間早まる(20:00開始)
冬時間開始 11月第1日曜日~ 取引時間が1時間遅くなる(21:00開始)

切り替え日の前後は、取引時間を間違えやすいため、証券会社からの通知をしっかり確認しましょう。特に、指値注文を事前に入れている場合は、切り替え後の時間帯に注文が有効になっているか確認することが大切です。また、決算発表のスケジュールも時間帯が変わるため、発表時間を日本時間で再確認することをおすすめします。

時間外取引の3つのメリット|どんな時に役立つ?

時間外取引には、通常の取引時間では得られない3つの大きなメリットがあります。

決算発表への即座の対応、日本時間の日中での取引、急な相場変動時の売買機会の確保です。

これらのメリットを理解することで、時間外取引を効果的に活用できるようになります。

ただし、メリットを活かすには時間外取引特有のリスクも把握しておく必要があります。

流動性の低さや価格変動の大きさを理解した上で、適切な場面で活用することが成功のカギとなります。

決算発表直後の値動きに対応できる

時間外取引の最大のメリットは、決算発表直後の値動きに即座に対応できることです。

米国企業の多くは、通常取引時間の終了後(アフターマーケット)や開始前(プレマーケット)に決算を発表します。

好決算なら株価が急騰し、悪い決算なら急落することが多いため、この瞬間に取引できるかどうかで投資成果が大きく変わります。

例えば、保有している銘柄が予想を大幅に下回る決算を発表した場合、時間外取引で即座に売却することで損失を最小限に抑えられます。

逆に、好決算が発表された銘柄を時間外取引で購入できれば、翌日の通常取引開始時の値上がりによる利益を狙えます。

決算発表のスケジュールは各証券会社のツールやYahoo Finance、Earnings Whisperなどのサイトで事前に確認できます。保有銘柄や注目銘柄の決算日を把握しておき、発表時間に合わせて時間外取引を活用することで、投資機会を逃さず対応できるようになります。

日本時間の日中に米国株を取引できる

時間外取引を利用すれば、日本時間の日中に米国株を売買できるメリットがあります。

通常の米国株取引は日本時間の深夜から早朝にかけて行われるため、日中に仕事をしている人にとっては取引しづらい時間帯です。

しかし、アフターマーケット(日本時間の朝6:00~11:00頃)を活用すれば、出勤前や昼休みに取引できます。

特にmoomoo証券の24時間取引を利用すれば、日本時間の日中でも米国株を自由に売買できます。

仕事の合間に株価をチェックして、適切なタイミングで売買注文を出せるため、投資の自由度が大きく高まります。

日中に取引できることで、リアルタイムで米国市場のニュースや経済指標の発表を確認しながら、冷静に投資判断ができる点も大きなメリットです。深夜に眠い目をこすりながら取引するのではなく、頭がすっきりしている時間帯に取引できるため、判断ミスを減らせる効果もあります。

急な相場変動時にすぐ売買できる

時間外取引があれば、急な相場変動時にすぐに売買できる安心感があります。

通常取引時間外に重要なニュースが発表されることは珍しくありません。

例えば、以下のようなケースです。

  • FRB(米連邦準備制度理事会)の緊急金融政策発表
  • 地政学リスクの急激な高まり(戦争・テロなど)
  • 企業の突然のM&A発表や経営陣の交代
  • 予想外の経済指標の発表
  • 自然災害や大規模事故の発生

こうした突発的なニュースが通常取引時間外に発生した場合、時間外取引を利用できなければ、翌日の通常取引開始まで何もできません。

その間に株価が大きく変動してしまい、売却機会を逃したり、想定外の損失を被ったりするリスクがあります。

時間外取引を利用できれば、ニュース発表直後に保有株を売却して損失を抑えたり、逆に値下がりした優良株を買い増ししたりと、柔軟に対応できます。

ただし、時間外取引は流動性が低く価格変動が大きいため、必ず指値注文を使い、冷静に判断することが重要です。

時間外取引で気をつけたい3つのこと

時間外取引にはメリットがある一方で、通常取引とは異なるリスクや注意点があります。

これらを理解せずに取引すると、想定外の損失を被る可能性があるため、必ず把握しておきましょう。

特に流動性の低さ、価格変動の大きさ、成行注文のリスクの3点は重要です。

時間外取引は上級者向けの取引手法とも言われます。

初めて利用する場合は、少額から始めて経験を積むことをおすすめします。

金融庁:投資の基本

流動性が低く約定価格が不利になりやすい

時間外取引の最大のリスクは、流動性が低いことです。

通常取引時間に比べて参加者が少ないため、売買が成立しにくく、希望する価格で約定しないことがよくあります。

特に、出来高の少ない中小型株では、時間外取引での流動性がさらに低くなり、売買が成立しないことも珍しくありません。

流動性が低いと、ビッド(買い注文の最高値)とアスク(売り注文の最安値)の差(スプレッド)が広がります。

通常取引では数セント程度のスプレッドが、時間外取引では数十セントから数ドルに広がることもあります。

この広いスプレッドのせいで、買う時は高く買わされ、売る時は安く売らされるという不利な状況になりやすいんです。

また、大口の注文を出すと、市場に注文が少ないため、複数の異なる価格で約定することもあります。例えば、100株の買い注文を出したのに、50株は100ドル、残り50株は101ドルで約定するといった状況です。このような部分約定により、想定よりも高い平均取得単価になってしまうリスクがあります。

価格変動が大きくリスクが高い

時間外取引では、通常取引に比べて価格変動が大きくなる傾向があります。

参加者が少なく流動性が低いため、少しの売買注文でも株価が大きく動きやすいのです。

決算発表直後などは、好材料・悪材料に過剰に反応して、株価が10%以上も急騰・急落することがあります。

特に注意が必要なのは、時間外取引での値動きが翌日の通常取引開始後に反転することがある点です。

例えば、アフターマーケットで決算発表を受けて株価が急騰したものの、翌日の通常取引開始後に利益確定売りが出て、株価が下落するケースもあります。

時間外取引での値動きだけを見て判断すると、失敗する可能性があるため注意が必要です。

また、時間外取引では板情報(注文状況)が通常取引ほど充実していないため、次にどちらの方向に株価が動くか予測しづらい面もあります。少ない注文情報を基に判断しなければならないため、経験の浅い投資家にとってはリスクが高い取引環境と言えます。

成行注文は特に注意が必要

時間外取引で成行注文を使うことは、非常に危険です。

多くの証券会社では時間外取引で成行注文を受け付けていませんが、もし使える場合でも絶対に避けるべきです。

流動性が低い環境で成行注文を出すと、想定外の価格で約定してしまうリスクが極めて高いためです。

時間外取引で成行注文を使うリスクの具体例を挙げます。

  • 前日終値100ドルの株を成行で買い注文→流動性が低く、120ドルで約定してしまう
  • 保有株を成行で売り注文→買い注文が少なく、80ドルで売却されてしまう
  • 決算発表直後の急変動時に成行注文→パニック売買で極端な価格で約定

時間外取引では必ず指値注文を使い、許容できる価格範囲を明確に指定しましょう。指値注文なら、指定した価格以上(売却時)または以下(購入時)でしか約定しないため、想定外の損失を防げます。ただし、指値の設定が厳しすぎると約定しない可能性もあるため、現在の株価と板情報を確認しながら、適切な指値を設定することが大切です。

時間外取引の注文方法|初心者向けステップ解説

時間外取引の仕組みは理解できても、実際にどうやって注文すればいいのか分からない方も多いでしょう。

ここでは、初心者の方でも迷わず時間外取引ができるよう、注文方法を4つのステップで解説します。

証券会社によって画面や操作方法は多少異なりますが、基本的な流れは同じです。

時間外取引の注文は、通常取引とほぼ同じ手順で行えます。

ただし、時間外取引を選択する設定や、指値注文の入力など、いくつかの追加ステップがあるため、順を追って確認していきましょう。

注文画面の開き方

まず、証券会社の取引ツールまたはスマホアプリにログインします。

マネックス証券の場合は「米国株取引」メニューから、moomoo証券の場合は「米国株」タブから取引画面に進みます。

取引したい銘柄を検索し、銘柄画面を開きましょう。

銘柄画面には、現在の株価、チャート、板情報などが表示されています。

画面内に「買い」「売り」のボタンがあるので、取引したい方向のボタンをタップまたはクリックして注文画面を開きます。

この時点ではまだ通常取引の注文画面が表示されているため、次のステップで時間外取引に切り替えます。

時間外取引の選択方法

注文画面を開いたら、取引時間帯を選択する項目を探します。

多くの証券会社では「取引市場」「取引区分」「セッション」などの名称で表示されています。

ここで「プレマーケット」「アフターマーケット」「時間外取引」などの選択肢から、希望する時間帯を選びます。

マネックス証券の場合は「時間外取引」を選択すると、現在取引可能な時間帯(プレマーケットまたはアフターマーケット)が自動的に適用されます。

moomoo証券の24時間取引では、いつでも時間外取引が可能なため、特に時間帯を選択する必要がない場合もあります。

指値注文の入れ方

時間外取引では、必ず指値注文を使います。

注文画面で「指値」を選択し、希望する価格を入力しましょう。

指値の設定方法は、現在の株価と板情報を確認しながら決めます。

買い注文の場合は現在のアスク(売り注文の最安値)付近、売り注文の場合は現在のビッド(買い注文の最高値)付近を参考にします。

次に、注文株数を入力します。

時間外取引は流動性が低いため、大量の株数を一度に注文すると約定しにくくなります。

まずは少量から試して、市場の反応を見ながら追加注文を検討するのが賢明です。有効期限は「当日中」または「GTC(Good Till Canceled:取消まで有効)」から選べますが、時間外取引では「当日中」を選ぶのが一般的です。

注文確認と約定確認

注文内容を入力したら、必ず確認画面で以下の項目をチェックしましょう。

1.銘柄名とティッカーシンボルが正しいか
2.売買区分(買い・売り)が正しいか
3.注文株数が正しいか
4.指値価格が意図した金額か
5.時間外取引が選択されているか
6.有効期限が適切か

すべて確認できたら、「注文する」ボタンをクリックまたはタップして注文を確定します。

注文後は、注文照会画面で注文状況を確認できます。

「受付済」「約定」「未約定」などのステータスが表示されるため、定期的にチェックしましょう。

約定した場合は、約定通知がメールやアプリの通知で届きます。

約定価格と株数を確認し、想定通りの取引ができたか必ず確認してください。

決算発表と時間外取引|活用のポイント

時間外取引を最も効果的に活用できる場面が、企業の決算発表時です。

米国企業の多くは通常取引時間外に決算を発表するため、時間外取引を使えば発表内容に即座に対応できます。

ただし、決算発表時の株価変動は非常に大きく、判断を誤ると大きな損失につながる可能性もあります。

決算発表を活用した時間外取引では、事前準備と冷静な判断が成功のカギです。

決算スケジュールの確認方法、値動きのパターン、具体的な戦略を理解して、適切に活用していきましょう。

決算発表のタイミングを確認する方法

決算発表のスケジュールは、事前に確認しておくことが重要です。

確認方法はいくつかありますが、最も一般的なのは証券会社の取引ツールやアプリで確認する方法です。

マネックス証券やmoomoo証券では、銘柄情報の中に「決算予定日」が表示されています。

また、海外サイトのEarnings Whisper(https://www.earningswhispers.com/)やYahoo Finance(https://finance.yahoo.com/)では、決算発表予定のカレンダーが公開されており、発表時間(プレマーケット・アフターマーケット)も確認できます。

保有銘柄や注目銘柄の決算日をカレンダーに登録しておき、発表日の前日には改めて時間を確認しましょう。

決算発表は通常、四半期ごと(3ヶ月ごと)に行われます。米国企業の決算発表シーズンは、1月・4月・7月・10月の中旬から下旬にかけて集中します。この時期は多くの企業が一斉に決算を発表するため、時間外取引の出来高も増え、流動性が比較的高くなる傾向があります。

決算発表後の値動きパターン

決算発表後の株価の動きには、いくつかの典型的なパターンがあります。

最も分かりやすいのは、好決算なら株価上昇、悪い決算なら株価下落というパターンです。

ただし、実際にはもう少し複雑で、市場の事前予想(コンセンサス)との比較が重要になります。

予想を上回る好決算が発表されると、時間外取引で株価が急騰することがあります。

逆に、予想を下回る決算では急落します。

ただし、決算内容が予想通りだった場合は、「材料出尽くし」として株価が下落することもあります。

また、決算は良かったものの、ガイダンス(今後の業績見通し)が弱いと、株価が下がるケースもあります。

時間外取引での急騰・急落が、翌日の通常取引でも続くとは限りません。時間外取引での過剰な反応が、通常取引開始後に修正されることもよくあります。そのため、時間外取引での値動きだけを見て判断するのではなく、決算内容をしっかり分析してから取引することが大切です。

決算発表時の時間外取引戦略

決算発表時の時間外取引戦略は、投資スタイルによって異なります。

以下の3つの基本戦略を参考にしてください。

  • 保有株の損失回避戦略:保有銘柄が悪い決算を発表した場合、時間外取引で即座に売却して損失を最小限に抑える。ただし、パニック売りにならないよう、決算内容を冷静に分析してから判断する
  • 好決算銘柄への即座の参入戦略:注目銘柄が予想を大幅に上回る好決算を発表した場合、時間外取引で購入して翌日の上昇を狙う。ただし、時間外取引での株価上昇がすでに大きい場合は、翌日に反落するリスクもある
  • 様子見戦略:時間外取引での値動きを観察するだけで、実際の取引は通常取引開始後に行う。時間外取引の過剰な反応が修正されるのを待ってから、冷静に判断する

初心者の方には、様子見戦略をおすすめします。時間外取引での値動きを観察して経験を積みながら、徐々に実際の取引にチャレンジしていくのが安全です。また、決算発表時の時間外取引では、必ず少額から始めて、リスクを限定することが重要です。

時間外取引に適した銘柄の選び方

時間外取引では、どの銘柄でも同じように取引できるわけではありません。

流動性が低い時間帯では、銘柄選びが成功のカギを握ります。

時間外取引に適した銘柄の特徴を理解して、リスクを抑えながら取引していきましょう。

基本的には、時価総額が大きく、出来高の多い大型株が時間外取引に適しています。

逆に、中小型株や新興企業の株は、時間外取引での流動性が極端に低くなるため、避けた方が無難です。

流動性の高い大型株を選ぶ

時間外取引で最も重要なのは、流動性の高い大型株を選ぶことです。

大型株とは、時価総額が大きく、日々の出来高も多い銘柄のことです。

具体的には、アップル(AAPL)、マイクロソフト(MSFT)、アマゾン(AMZN)、テスラ(TSLA)、エヌビディア(NVDA)などの有名企業が該当します。

これらの大型株は、通常取引時間でも出来高が非常に多いため、時間外取引でも比較的流動性が保たれています。

売買が成立しやすく、スプレッド(買値と売値の差)も比較的狭いため、不利な価格で約定するリスクが低くなります。

S&P 500指数に採用されている銘柄や、ナスダック100指数の構成銘柄は、時間外取引でも取引しやすい銘柄が多いです。初めて時間外取引をする場合は、これらの指数に含まれる銘柄から選ぶことをおすすめします。

時間外取引の出来高を確認する

銘柄を選ぶ際は、時間外取引での出来高を事前に確認することが重要です。

通常取引では出来高が多い銘柄でも、時間外取引では出来高が極端に少ないことがあります。

出来高が少ない銘柄では、希望する価格で売買が成立しにくく、スプレッドも広がりやすいため注意が必要です。

時間外取引の出来高は、証券会社の取引ツールや海外の株価サイト(Yahoo FinanceやMarketWatchなど)で確認できます。

プレマーケットやアフターマーケットの出来高が、通常取引の10%以上あれば、比較的取引しやすい銘柄と言えます。

逆に、時間外取引の出来高が通常取引の1%未満の銘柄は、取引を避けた方が無難です。

また、決算発表シーズンには、決算発表予定の銘柄の時間外取引出来高が一時的に増加します。普段は時間外取引の出来高が少ない銘柄でも、決算発表日には流動性が高まることがあるため、決算スケジュールと合わせて確認しましょう。

避けるべき銘柄の特徴

時間外取引で避けるべき銘柄の特徴を把握しておくことも大切です。

以下のチェックリストに当てはまる銘柄は、時間外取引のリスクが高いため、取引を控えることをおすすめします。

  • 時価総額が10億ドル未満の小型株
  • 通常取引での1日の出来高が50万株未満の銘柄
  • 株価が5ドル未満のペニー株
  • 新規上場して間もない銘柄(IPO後3ヶ月以内)
  • 時間外取引での出来高が極端に少ない銘柄
  • ボラティリティ(価格変動率)が極端に高い銘柄
  • 倒産リスクがある財務状況の悪い企業

これらの銘柄は、時間外取引での流動性が極めて低く、想定外の価格で約定したり、そもそも売買が成立しなかったりするリスクが高いです。

時間外取引の経験が浅いうちは、大型株・高流動性銘柄に絞って取引することで、リスクを大幅に減らせます。

時間外取引におすすめの証券会社3社

日本の証券会社で時間外取引に対応しているのは、主にマネックス証券とmoomoo証券です。

それぞれ対応時間や取扱銘柄数、手数料体系が異なるため、自分の投資スタイルに合った証券会社を選ぶことが重要です。

ここでは、時間外取引を活用したい方におすすめの証券会社を詳しく比較していきます。

マネックス証券|主要ネット証券で唯一の時間外取引対応

マネックス証券のLP画像
項目 内容
口座数 約2,700,000口座 ※2025年2月時点
取引手数料 【取引毎手数料コース】
  • 5万円以下:55円(税込)

  • 5万超~10万円以下:99円

  • 10万超~20万円以下:115円

  • 20万超~50万円以下:275円

  • 50万超~100万円以下:535円

  • 100万超~150万円以下:640円

  • 150万超~3,000万円以下:1,013円

  • 3,000万円超:1,070円

NISA対応 〇(日本株・米国株・中国株・投資信託の売買手数料が無料)
つみたて投資枠取扱銘柄数 〇(銘柄数は公式サイトで確認)
成長投資枠対象商品 国内株 / 米国株 / 中国株 / 投資信託(約1,750本以上)
投資信託 約1,800本(購入時手数料すべて無料)
外国株 2カ国/米国株:約5,000銘柄以上(2025年1月27日時点)
取引ツール(PC) マネックストレーダー / 銘柄スカウター
スマホアプリ マネックス証券アプリ / 米国株アプリ / 投信アプリ
提携銀行口座 マネックス証券専用銀行口座(詳細は公式サイトで確認)
ポイント投資・付与 マネックスポイント / dポイント(投資信託の積立に利用可能)
口座開設スピード オンライン申込で最短翌営業日

時間外取引だけでなく、米国株の取扱銘柄数も約5,000銘柄と豊富で、手数料も通常取引と同じ水準です。

米国株投資に力を入れている証券会社として、取引ツールも充実しており、初心者から上級者まで幅広く利用されています。

対応時間は最大14時間

マネックス証券の時間外取引は、プレマーケットとアフターマーケットの両方に対応しており、最大14時間の取引が可能です。

サマータイム期間は日本時間20:00~翌10:00、冬時間期間は21:00~翌11:00となります。

通常取引時間を含めると、1日のうち14時間も米国株を取引できるため、日中の仕事の合間や夜間など、自分の都合に合わせて取引できます。

約5,000銘柄が取引可能

マネックス証券では、約5,000銘柄の米国株を取扱っています。

時間外取引でも、これらの銘柄の多くが取引可能です。

大型株はもちろん、中型株や一部の小型株も取引できるため、幅広い投資戦略に対応できます。

ただし、流動性の観点から、時間外取引では大型株・高流動性銘柄を中心に取引することをおすすめします。

手数料は通常取引と同じ

マネックス証券の時間外取引手数料は、通常取引と同じ水準です。

約定代金の0.495%(税込)で、最低手数料は0米ドル、上限は22米ドル(税込)となっています。

時間外取引だからといって追加手数料がかかることはないため、安心して利用できます。

また、為替手数料も買付時0銭、売却時25銭と業界最低水準です。

moomoo証券|業界初の24時間取引対応

moomoo証券のLP画像
項目 内容
口座数 非公開
取引手数料 【米国株】 ベーシックコース:約定代金 × 0.132%(税込) アドバンスコース:200株まで一律2.18米ドル(税込)【日本株】 取引手数料:無料
NISA対応 〇(成長投資枠のみ対応)
つみたて投資枠取扱銘柄数 非対応
成長投資枠対象商品 米国株 / 日本株
投資信託 取扱あり
外国株 3カ国/米国株:約7,000銘柄
取引ツール(PC) moomooアプリ(Windows / Mac対応)
スマホアプリ moomooアプリ(iOS / Android対応)
提携銀行口座 非公開
ポイント投資・付与 なし
口座開設スピード 最短即日(オンライン申込)

moomoo証券は、業界初の24時間取引に対応した証券会社です。

従来の時間外取引の概念を超えて、文字通り24時間いつでも米国株を取引できる画期的なサービスを提供しています。

日本時間の日中でも夜中でも、自分の好きなタイミングで取引できるため、投資の自由度が格段に高まります。

moomoo証券は、高機能な取引アプリと豊富な投資情報も特徴です。

リアルタイムの株価情報、詳細なチャート分析、機関投資家の動向など、投資判断に必要な情報が充実しています。

米国株投資を本格的に行いたい方におすすめの証券会社です。

24時間いつでも取引可能

moomoo証券の最大の特徴は、24時間取引に対応していることです。

プレマーケット、通常取引時間、アフターマーケットの区別なく、いつでも米国株を売買できます。

日本時間の昼間に仕事の合間に取引したり、深夜にじっくり分析してから取引したりと、完全に自分のペースで投資できる環境が整っています。

約6,000銘柄が対応

moomoo証券では、約6,000銘柄以上の米国株を取扱っており、24時間取引の対象銘柄も非常に豊富です。

主要な大型株はもちろん、成長性の高い中型株も多数取引できます。

銘柄の選択肢が広いため、多様な投資戦略に対応できる点が魅力です。

追加手数料なし

moomoo証券の24時間取引では、追加手数料がかかりません。

通常取引と同じ手数料体系で、約定代金の0.088%(税込0.0968%)という業界最低水準の手数料で取引できます。

時間外取引だからといって高い手数料を支払う必要がないため、コストを抑えながら柔軟な取引が可能です。

時間外取引対応の証券会社比較表

マネックス証券とmoomoo証券の時間外取引サービスを比較した表をご覧ください。

それぞれの特徴を理解して、自分に合った証券会社を選びましょう。

項目 マネックス証券 moomoo証券
時間外取引対応 プレ・アフターマーケット対応 24時間取引対応
取引可能時間 最大14時間 24時間
取扱銘柄数 約5,000銘柄 約6,000銘柄以上
時間外取引手数料 通常取引と同じ(約定代金の0.495%) 追加手数料なし(約定代金の0.088%)
最低手数料 0米ドル なし
上限手数料 22米ドル なし
取引ツール PC・スマホアプリ対応 高機能スマホアプリ
NISA対応 つみたて投資枠・成長投資枠 成長投資枠のみ
おすすめの人 主要ネット証券で時間外取引したい人 24時間いつでも取引したい人

どちらの証券会社も時間外取引に対応していますが、取引可能時間や手数料体系が異なります。

マネックス証券は主要ネット証券としての信頼性と、つみたてNISA対応が魅力です。

一方、moomoo証券は24時間取引の自由度と業界最低水準の手数料が強みです。

自分の投資スタイルや取引したい時間帯に合わせて、最適な証券会社を選びましょう。

まとめ

米国株の時間外取引は、通常の取引時間外にも株式を売買できる便利な仕組みです。

プレマーケット(取引開始前)とアフターマーケット(取引終了後)の2つの時間帯があり、日本時間では最大14時間の取引が可能です。

決算発表直後の値動きに対応できたり、日本時間の日中に米国株を取引できたりと、投資の選択肢が広がるメリットがあります。

ただし、時間外取引には流動性が低く約定価格が不利になりやすい、価格変動が大きくリスクが高い、成行注文は特に危険といった注意点もあります。

時間外取引を利用する際は、必ず指値注文を使い、流動性の高い大型株を中心に取引することが重要です。

初めて利用する場合は、少額から始めて経験を積むことをおすすめします。

時間外取引に対応している証券会社は、マネックス証券とmoomoo証券が代表的です。

マネックス証券は主要ネット証券で唯一の時間外取引対応で最大14時間の取引が可能、moomoo証券は業界初の24時間取引に対応しています。

自分の投資スタイルや取引したい時間帯に合わせて、最適な証券会社を選びましょう。

時間外取引は上級者向けの取引手法とも言われますが、仕組みとリスクを正しく理解すれば、投資の幅を広げる有効な手段となります。

決算発表のスケジュールを確認し、流動性の高い銘柄を選び、指値注文で慎重に取引することで、時間外取引のメリットを活かした投資ができるでしょう。

なお、投資には元本割れのリスクがあります。時間外取引は通常取引よりもリスクが高いため、最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。不安な点がある場合は、証券会社のサポートや専門家に相談することをおすすめします。

SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

この記事のキーワード

キーワードがありません。

この記事と同じキーワードの記事

まだ記事がありません。

キーワードから探す

資料請求

資料請求

カンタン1分登録で、気になる資料を無料でお取り寄せ

お問い合わせ

そんなお悩みをお持ちの方は、まずはお問い合わせください!