eMAXIS Slim米国株式の信託報酬は安い?実質コストまで徹底比較

eMAXIS Slim米国株式の信託報酬は安い?実質コストまで徹底比較

「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)の信託報酬って本当に安いの?」

「SBI・V・S&P500とどっちを選べばいいんだろう…」

そんな疑問をお持ちのあなたへ。

eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は、2025年1月25日から信託報酬が年率0.08140%(税込)に引き下げられ、業界でも低水準のコストを実現しています。

ただし、信託報酬だけを見て判断するのは危険です。

実質コストや証券会社のポイント還元まで含めた「本当のコスト」を知ることが、賢い投資判断につながります。

この記事では、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)の信託報酬の詳細から、競合商品との徹底比較、長期保有シミュレーションまで、投資判断に必要な情報をすべてお伝えします。

この記事の要約
  • eMAXIS Slim米国株式(S&P500)の信託報酬は年率0.08140%以下(税込)で業界トップクラスの低水準
  • 信託報酬だけでなく実質コスト(総経費率)の確認が重要
  • 証券会社のポイント還元を含めた実質総コストで比較すると選択肢が変わる
SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

目次

eMAXIS Slim米国株式(S&P500)の信託報酬は?

eMAXIS Slim米国株式(S&P500)の信託報酬は、2025年1月25日から年率0.08140%以下(税込)に引き下げられました。これは業界トップクラスの低コストです。

信託報酬率と最新の引き下げ情報

三菱UFJアセットマネジメントは2024年12月10日、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)の信託報酬を2025年1月25日から年率0.08140%(税込)に引き下げると発表しました。 これは、前回の信託報酬率0.09372%(税込)から約13%の引き下げとなります。

さらに注目すべきは、純資産総額が6兆円を超えた現在、受益者還元型信託報酬率を適用すると実質的な信託報酬率は約0.07713%(年率・税込み)まで下がるという点です。これは、ファンドの規模が大きくなるほど投資家の負担が軽くなる仕組みなんです。

eMAXIS Slimシリーズは「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続ける」というコンセプトを掲げており、競合商品がコストを引き下げれば、それに対抗して信託報酬を引き下げてきた実績があります。

三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 信託報酬引き下げのお知らせ」

受益者還元型信託報酬の仕組み

受益者還元型信託報酬とは、ファンドの純資産総額が増えるほど信託報酬率が下がる仕組みです。eMAXIS Slim米国株式(S&P500)では、純資産総額に応じて段階的に信託報酬率が低下します。

具体的には、純資産総額が一定の水準を超えるごとに、信託報酬率が自動的に引き下げられます。現在、純資産総額は6兆円を超えており、多くの投資家から支持を集めています。

この仕組みのメリットは、ファンドの成長が投資家全員に還元される点です。大型ファンドになればなるほど、スケールメリットでコストが下がり、投資家の実質的な負担が軽くなります。つまり、早期に投資した人も、後から参加した人も、ファンドの成長による恩恵を受けられるんですね。

受益者還元型信託報酬率により、純資産総額が増えるほど信託報酬率が下がるスキームが導入されており、全ての受益者に還元される仕組みとなっています。

そもそも信託報酬って何?|投資信託のコストの基本

投資信託を始めたばかりの方にとって、「信託報酬」という言葉は少し難しく感じるかもしれません。でも、投資で成功するためには、このコストをしっかり理解することが大切です。

信託報酬は毎日差し引かれる運用コスト

信託報酬とは、投資信託を保有している間、毎日自動的に差し引かれる運用コストのことです。運用会社、販売会社、信託銀行の3者に支払われる手数料で、ファンドの管理・運用にかかる費用をカバーします。

例えば、信託報酬が年率0.1%の場合、100万円を投資していると年間で約1,000円が差し引かれます。これは基準価額に日割りで反映されるため、投資家が直接支払うわけではありませんが、確実に運用成績に影響します。

信託報酬は投資信託を持っている限り、毎日かかり続けるコストです。そのため、長期投資では信託報酬の差がリターンに大きく影響するんですね。株式の売買手数料のように1回だけかかる費用ではなく、保有期間中ずっと発生し続ける点が特徴です。

0.1%の差が長期でどれだけ影響するか

「たった0.1%の差なんて、大したことないでしょ?」と思うかもしれませんが、長期投資では話が変わってきます。

例えば、毎月3万円を20年間積み立てた場合を考えてみましょう。年率5%のリターンを想定すると、信託報酬が0.1%の場合と0.2%の場合では、20年後の資産額に約30万円の差が生まれます。積立総額は720万円なので、この差は決して小さくありません。

さらに30年間積み立てた場合、0.1%のコスト差は約80万円の資産差につながります。複利効果が働く長期投資では、わずかなコストの違いが雪だるま式に膨らんでいくのです。

だからこそ、インデックスファンドを選ぶ際は、信託報酬を徹底的に比較することが重要なんですね。

信託報酬だけじゃない|実質コストの確認が重要な理由

信託報酬が低いファンドを選べば安心…と思いがちですが、実はそれだけでは不十分です。信託報酬以外にも「隠れコスト」と呼ばれる費用が存在します。

実質コストとは?|隠れコストの内訳

実質コストとは、信託報酬に加えて、売買委託手数料、保管費用、監査費用などを含めた「実際にかかる総コスト」のことです。目論見書には記載されていない費用も含まれるため、「隠れコスト」とも呼ばれます。

具体的には、以下のような費用が含まれます。

  • 売買委託手数料:株式や債券を売買する際にかかる手数料
  • 有価証券取引税:海外の株式を売買する際にかかる税金
  • 保管費用:海外の株式を保管するための費用
  • 監査費用:ファンドの監査にかかる費用

これらの費用は運用状況によって変動するため、事前に正確な金額を知ることはできません。しかし、年1回発行される運用報告書で実際にかかった費用を確認できます。

eMAXIS Slim米国株式の実質コスト

eMAXIS Slim米国株式(S&P500)の実質コストは、7期目決算で約0.089%(2025年4月決算から2025年1月の信託報酬引下げ分を引いた値)となっています。 信託報酬以外のコストは約0.008%と、非常に低い水準に抑えられています。

初期の決算では実質コストが0.180%(初回決算)、0.141%(2期目決算)と高めでしたが、運用が安定するにつれて大幅に低下しました。これは、ファンドの規模が大きくなり、効率的な運用が可能になったためです。

現在では、信託報酬と実質コストの差がわずか0.008%程度と、業界でもトップクラスの低コスト運用を実現しています。これは、三菱UFJアセットマネジメントの運用力の高さを示す証拠と言えるでしょう。

運用報告書で実質コストを確認する方法

実質コストは、年1回発行される運用報告書の「1万口当たりの費用明細」のページで確認できます。運用報告書は、証券会社のウェブサイトや三菱UFJアセットマネジメントの公式サイトからダウンロード可能です。

確認する際のポイントは以下の通りです。

  • 「総経費率」の欄を確認する(2024年4月から記載が義務化)
  • 信託報酬と総経費率の差が隠れコスト
  • 直近の決算期のデータを参照する

運用報告書は少し専門的な内容ですが、実質コストの確認だけなら数分でできます。投資判断の重要な材料になるので、年に1回はチェックする習慣をつけるといいですね。

SBI・V・S&P500と徹底比較|どっちを選ぶべき?

eMAXIS Slim米国株式(S&P500)と並んで人気なのが、SBI・V・S&P500インデックス・ファンドです。どちらもS&P500に連動する低コストファンドですが、どう違うのでしょうか?

信託報酬・実質コストの比較

項目 eMAXIS Slim米国株式(S&P500) SBI・V・S&P500
信託報酬(年率・税込) 0.08140%以下 0.0938%程度
実質コスト(総経費率) 約0.089% 約0.10%
信託報酬以外のコスト 約0.008% 約0.006%

信託報酬を比較すると、eMAXIS Slimの方がSBI・Vよりも低く設定されています。 2025年1月の引き下げ後、eMAXIS Slimは0.08140%以下となり、SBI・Vの0.0938%程度を下回っています。

実質コストで比較しても、eMAXIS Slimが約0.089%、SBI・Vが約0.10%と、eMAXIS Slimの方がわずかに有利です。ただし、その差は0.011%程度と非常にわずかで、100万円投資した場合の年間コスト差は約110円です。

運用形態の違い|直接投資 vs ファンド・オブ・ファンズ

両ファンドの最も大きな違いは、運用形態です。

eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は、ファンドが直接米国株式に投資する「直接投資型」です。S&P500に採用されている約500銘柄の株式を直接保有し、指数に連動するように運用します。

SBI・V・S&P500は、バンガード社のETF(VOO)に投資する「ファンド・オブ・ファンズ」です。VOOというETFを通じて間接的に米国株式に投資します。

直接投資型のメリットは、先物取引を活用できるため、指数との連動性が高まる点です。一方、ファンド・オブ・ファンズは、世界最大級の運用会社バンガードのETFを通じて投資できる点が魅力です。

純資産総額とトータルリターンの比較

項目 eMAXIS Slim米国株式(S&P500) SBI・V・S&P500
純資産総額 約6兆円超 約2兆円
設定日 2018年7月 2019年9月
運用年数 約6年 約5年

eMAXIS Slim米国株式(S&P500)の純資産総額は6兆円を上回り、国内公募の追加型株式投資信託(ETFを除く)の中で最大規模となっています。 一方、SBI・Vは約2兆円と、こちらも十分な規模です。

トータルリターンについては、 eMAXIS Slimは低コストに応じた高い騰落率を示しており、コスト要因以外でのベンチマークとの乖離がない安定した運用になっています。 両ファンドともベンチマークに忠実な運用を行っており、リターンの差はほとんどありません。

結論:どちらを選ぶべきか

低コストであることを重視する方や、これまでの実績を重視する方には「eMAXIS Slim」がおすすめです。信託報酬・実質コストともにeMAXIS Slimの方が低く、純資産総額も最大規模で安定した運用が期待できます。

一方、バンガード社のETF(VOO)を通じて投資したい方や、ファンド・オブ・ファンズの仕組みに魅力を感じる方は、SBI・Vを選ぶのもよいでしょう。

ただし、 どちらも優秀なインデックスファンドなので甲乙つけがたい というのが正直なところです。コスト差はわずかなので、どちらを選んでも長期的には大きな差は生まれにくいでしょう。両方を少しずつ保有する「分散」という選択肢もありますね。

他の人気S&P500ファンドとも比較|全5商品の一覧

S&P500に連動するインデックスファンドは、eMAXIS SlimとSBI・V以外にも複数存在します。主要な5商品を比較してみましょう。

楽天・プラス・S&P500との比較

楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンドは、2024年に設定された新しいファンドです。信託報酬は年率0.077%(税込)と、eMAXIS Slimよりもわずかに低く設定されています。

総経費率で比較すると、楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンドが0.09%と僅差で1位に。次いで、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)、SBI・V・S&P500が同率で2位という結果になりました。

ただし、設定されて間もないため、純資産総額はまだ小規模です。長期的な運用実績を見極める必要がありますが、コスト面では非常に魅力的な選択肢と言えるでしょう。

つみたてiシェアーズ米国株式(S&P500)との比較

つみたてiシェアーズ米国株式(S&P500)インデックス・ファンドは、ブラックロック社が運用するファンドです。信託報酬は年率0.0938%(税込)程度で、SBI・Vと同水準です。

総経費率も約0.10%と、主要ファンドの中では標準的な水準です。ブラックロックという世界最大級の運用会社の実績を評価する投資家には魅力的な選択肢です。

ニッセイ・S米国株式500との比較

ニッセイ・S米国株式500は、2023年11月に設定された比較的新しいファンドです。信託報酬は年率0.066%(税込)と、主要ファンドの中で最も低い水準です。

ただし、総経費率が0.19%と高めなのが気になるところ。設定されたばかりで運用報告書の期間が約10カ月と短いため、イレギュラーな数字が出てしまった可能性もあります。翌年以降の総経費率の推移を確認する必要があります。

比較まとめ|最もコスパが良いのは?

ファンド名 信託報酬(税込) 総経費率 純資産総額
eMAXIS Slim米国株式(S&P500) 0.08140%以下 約0.089% 約6兆円超
SBI・V・S&P500 0.0938%程度 約0.10% 約2兆円
楽天・プラス・S&P500 0.077% 約0.09% 数百億円程度
つみたてiシェアーズ米国株式(S&P500) 0.0938%程度 約0.10% 数千億円程度
ニッセイ・S米国株式500 0.066% 約0.19% 数百億円程度

総合的に判断すると、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)はバランスが取れた選択肢の一つです。信託報酬・実質コストともに低水準で、純資産総額も最大規模。長期的な運用実績も申し分ありません。

楽天・プラス・S&P500も魅力的ですが、設定されて間もないため、もう少し様子を見てから判断するのがよいでしょう。

証券会社のポイント還元を含めた実質総コスト比較

ここまで信託報酬や実質コストを比較してきましたが、実はもう1つ重要な要素があります。それが、証券会社のポイント還元です。

クレカ積立のポイント還元率一覧

主要ネット証券では、クレジットカードで投資信託を積み立てると、ポイントが還元されるサービスがあります。

証券会社 対象カード ポイント還元率
SBI証券 三井住友カード(プラチナプリファード) 5.0%
SBI証券 三井住友カード(ゴールド) 1.0%
SBI証券 三井住友カード(一般) 0.5%
楽天証券 楽天カード 0.5%~1.0%
マネックス証券 マネックスカード 1.1%

例えば、SBI証券で三井住友カード(プラチナプリファード)を使ってクレカ積立をすると、積立額の5.0%がポイント還元されます。月5万円積み立てた場合、年間で3万円分のポイントが貯まる計算です。

ポイント還元を加味した実質コスト計算

ポイント還元を考慮すると、実質的なコストは大きく変わります。

例えば、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)を年間60万円(月5万円)積み立てた場合:

  • 実質コスト:60万円 × 0.089% = 約534円
  • SBI証券(プラチナプリファード)のポイント還元:60万円 × 5.0% = 3万円
  • 実質的な利益:3万円 – 534円 = 約2万9,466円

このように、ポイント還元を加味すると、実質的にはコストがマイナス(つまり利益)になります。信託報酬の差を遥かに上回る効果があるんですね。

どの証券会社が最もお得か

ポイント還元率で比較すると、SBI証券で三井住友カード(プラチナプリファード)を使うのが有力な選択肢の一つです。5.0%の還元率は他社を大きく引き離しています。

ただし、プラチナプリファードは年会費が33,000円(税込)かかります。年間100万円以上利用すれば年会費分のポイントが還元されるため、投資以外でもカードを活用できる方にはおすすめです。

年会費をかけたくない方は、マネックス証券でマネックスカードを使うのがおすすめです。年会費無料で1.1%の還元率は、非常に魅力的です。

楽天ユーザーなら、楽天証券で楽天カードを使うのも良い選択です。楽天ポイントは使い道が豊富で、日常の買い物でも活用できます。

信託報酬引き下げの歴史|eMAXIS Slimの企業努力

eMAXIS Slimシリーズは、設定以来、何度も信託報酬を引き下げてきました。その歴史を振り返ってみましょう。

2018年から2025年までの引き下げタイムライン

時期 信託報酬(年率・税込) 引き下げ幅
2018年7月(設定時) 0.1728%
2018年10月 0.162% -0.0108%
2019年11月 0.0968% -0.0652%
2020年4月 0.0968% 据え置き
2023年4月 0.09372% -0.00308%
2025年1月 0.08140% -0.01232%

eMAXIS Slim米国株式(S&P500)の信託報酬は、2023年4月25日に0.09680%から0.09372%に引き下げられ、今回の2025年1月の変更で0.08140%に下がりました。

設定時の0.1728%から、2025年1月の0.08140%まで、約53%のコスト削減を実現しています。これは、三菱UFJアセットマネジメントの「業界最低水準を目指し続ける」という姿勢の表れです。

業界最低水準を目指す姿勢の信頼性

eMAXIS Slimシリーズは、「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続ける」というコンセプトを掲げています。これは単なるスローガンではなく、実際に行動で示してきました。

競合商品が信託報酬を引き下げると、eMAXIS Slimも対抗して引き下げる。この繰り返しにより、投資家にとって有利な競争環境が生まれています。

今後も、他社が信託報酬を引き下げれば、eMAXIS Slimも追随する可能性が高いでしょう。この「業界最低水準を目指し続ける」という姿勢こそが、eMAXIS Slimの最大の強みと言えます。

三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim公式サイト」

長期保有でどれだけ差がつく?|10年・20年・30年シミュレーション

信託報酬の差が長期的にどれだけ影響するのか、具体的な金額でシミュレーションしてみましょう。

月3万円積立×20年のシミュレーション

毎月3万円を20年間積み立てた場合、信託報酬の違いでどれだけ差がつくか計算してみます。年率5%のリターンを想定します。

信託報酬 実質リターン 20年後の資産額 差額
0.08% 4.92% 約1,225万円
0.10% 4.90% 約1,222万円 -3万円
0.20% 4.80% 約1,207万円 -18万円
0.50% 4.50% 約1,161万円 -64万円

積立総額は720万円(3万円×12ヶ月×20年)です。信託報酬が0.08%と0.50%では、20年後に約64万円の差が生まれます。これは積立総額の約9%に相当する大きな金額です。

コスト差0.1%が生む資産額の違い

eMAXIS Slim(信託報酬0.08%)とSBI・V(信託報酬0.10%)の差は、わずか0.02%です。この差が長期的にどう影響するか見てみましょう。

積立期間 eMAXIS Slim(0.08%) SBI・V(0.10%) 差額
10年 約465万円 約465万円 約0.3万円
20年 約1,225万円 約1,224万円 約1万円
30年 約2,495万円 約2,493万円 約2万円

0.02%のコスト差は、30年間でも約2万円の差にしかなりません。これは、両ファンドのコスト差が非常に小さいことを示しています。

長期投資でコストを抑える重要性

上記のシミュレーションから分かるように、信託報酬の差は長期的に大きな影響を与えます。特に、0.1%以上の差がある場合は、数十万円単位で資産額が変わってきます。

ただし、eMAXIS SlimとSBI・Vのように、コスト差が0.02%程度の場合は、長期的にもそれほど大きな差は生まれません。この場合、証券会社のポイント還元の方が遥かに大きな影響を与えます。

長期投資では、信託報酬だけでなく、ポイント還元や使いやすさなども含めて総合的に判断することが大切です。

eMAXIS Slim米国株式のメリット5つ

eMAXIS Slim米国株式(S&P500)の主なメリットを5つ紹介します。

業界最低水準の運用コストを目指す姿勢

eMAXIS Slimシリーズ最大の魅力は、「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続ける」というコンセプトです。これは単なるスローガンではなく、実際に何度も信託報酬を引き下げてきた実績があります。

他社が信託報酬を引き下げれば、eMAXIS Slimも追随する。この姿勢により、投資家は常に低コストで運用できる安心感があります。

純資産総額が大きく安定運用

eMAXIS Slim米国株式(S&P500)の純資産総額は6兆円を上回り、国内公募の追加型株式投資信託(ETFを除く)の中で最大規模となっています。

純資産総額が大きいことは、以下のメリットがあります。

  • 繰上償還(運用終了)のリスクが極めて低い
  • スケールメリットで運用コストを抑えられる
  • 流動性が高く、いつでも売買できる

長期投資では、ファンドの安定性が重要です。eMAXIS Slimは、この点で申し分ありません。

米国主要企業500社に分散投資

eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は、S&P500指数に連動するため、米国の主要企業約500社に分散投資できます。アップル、マイクロソフト、アマゾン、エヌビディアなど、世界を代表する企業に投資できるのが魅力です。

個別株投資では、1社に集中投資するリスクがありますが、S&P500なら500社に分散されるため、リスクを大幅に軽減できます。

NISA・iDeCo対応で税制優遇を活用可能

eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は、新NISAのつみたて投資枠・成長投資枠の両方に対応しています。また、多くの金融機関でiDeCoの対象商品にもなっています。

NISAやiDeCoを活用すれば、運用益が非課税になるため、長期的な資産形成に大きなメリットがあります。

分配金を出さず複利効果を最大化

eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は、分配金を出さない方針です。これは、複利効果を最大化するためです。

分配金を出すと、その分ファンドの価値が下がり、課税口座では税金がかかります。分配金を出さずにファンド内で再投資することで、効率的に資産を増やせるのです。

デメリットと気をつけたいポイント3つ

eMAXIS Slim米国株式(S&P500)にもデメリットがあります。投資判断の前に、しっかり理解しておきましょう。

信託報酬が最安ではない時期もある

eMAXIS Slimは「業界最低水準を目指す」と宣言していますが、常に最安とは限りません。2024年には楽天・プラス・S&P500が信託報酬0.077%で登場し、eMAXIS Slimを下回りました。

ただし、eMAXIS Slimは過去に何度も信託報酬を引き下げてきた実績があるため、今後も引き下げる可能性は高いでしょう。

為替リスクがある(円高で評価額減少)

eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は、米国株式に投資するため、為替リスクがあります。円高になると、ドル建ての資産価値が目減りし、円換算の評価額が減少します。

例えば、1ドル=150円の時に投資した資産が、1ドル=130円になると、ドル建てでは同じ価値でも円換算では約13%減少します。

為替リスクは避けられませんが、長期投資では為替の変動は平準化される傾向があります。短期的な為替変動に一喜一憂せず、長期的な視点で投資することが大切です。

短期的には元本割れの可能性

投資信託は元本保証ではありません。株式市場が下落すれば、基準価額も下がり、元本割れする可能性があります。

特に、投資を始めて数年以内に大きな暴落が起きると、含み損を抱えることになります。2020年のコロナショックや2022年の米国株式市場の調整局面では、多くの投資家が含み損を経験しました。

ただし、S&P500は長期的には右肩上がりの成長を続けてきた実績があります。短期的な下落に動揺せず、積立を続けることが、長期的な資産形成につながります。

eMAXIS Slim米国株式を購入できるおすすめの証券会社5社

eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は、多くの証券会社で購入できます。その中でも、特におすすめの5社を紹介します。

SBI証券|クレカ積立還元率最大5%

SBI証券の画像
項目 内容
口座数 約15,000,000口座 ※2025年11月25日時点(SBIネオモバイル証券など含む)
取引手数料 【スタンダードプラン(1注文ごと)】 取引金額に関係なく0円【アクティブプラン(1日定額制)】 1日100万円以下の取引:0円※現物取引・信用取引・単元未満株(S株)もすべて対象です。
NISA対応
つみたて投資枠取扱銘柄数 〇(259銘柄)※2025年3月3日時点
成長投資枠対象商品 国内株 / 外国株 / 投資信託(約1,329銘柄 ※2025年3月3日時点)
投資信託 約2,550本 ※2025年3月3日時点
外国株 8カ国/米国株式(5,000銘柄)
取引ツール(PC) HYPER SBI 2 / HYPER SBI / SBI CFDトレーダー
スマホアプリ SBI証券 株アプリ / 米国株アプリ / かんたん積立 / HYPER FX / HYPER 先物 / HYPER CFD
提携銀行口座 SBI新生銀行 / 住信SBIネット銀行
ポイント投資・付与 Pontaポイント / dポイント / Vポイント(クレカ積立)
口座開設スピード 最短 翌営業日

SBI証券は、国内最大手のネット証券で、投資信託の取扱本数は約2,600本と業界トップクラスです。

SBI証券の特徴

最大の魅力は、三井住友カードでのクレカ積立です。プラチナプリファードなら5.0%、ゴールドなら1.0%、一般カードでも0.5%のポイント還元があります。

さらに、投信マイレージサービスで、保有残高に応じてポイントが貯まります。eMAXIS Slim米国株式(S&P500)の場合、年率0.028%のポイントが付与されます。

SBI証券は、コスト面でも使いやすさでも、おすすめの証券会社の一つです。

楽天証券|楽天ポイントで投資可能

楽天証券LP画像
項目 内容
口座数 約12,000,000口座 ※2025年1月時点
取引手数料 【ゼロコース】 国内株式(現物・信用):0円 かぶミニ®(単元未満株):0円 投資信託:0円 ※ゼロコース選択時。 ※一部、スプレッドや信託財産留保額が発生する場合があります。
NISA対応 〇(新NISA対応)
つみたて投資枠取扱銘柄数 263銘柄 ※2025年4月24日時点
成長投資枠対象商品 国内株式 / 外国株式 / 投資信託(約1,345銘柄)
投資信託 約2,550本 ※2025年4月24日時点
外国株 6カ国/米国株式(約4,500銘柄)
取引ツール(PC) マーケットスピード / マーケットスピード II / 楽天MT4
スマホアプリ iSPEED / iSPEED for iPad / iSPEED FX / iSPEED 先物
提携銀行口座 楽天銀行(マネーブリッジ)
ポイント投資・付与 楽天ポイント(投資信託 / 国内株式 / 米国株式<円貨決済>)
口座開設スピード 最短 翌営業日

楽天証券は、楽天グループの証券会社で、投資信託の取扱本数は約2,550本です。

楽天証券の特徴

楽天カードでのクレカ積立は、0.5%~1.0%のポイント還元があります。また、楽天ポイントを使って投資信託を購入できるため、普段の買い物で貯めたポイントを投資に回せます。

楽天経済圏を活用している方には、楽天証券が最適です。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券|安心のメガバンク系

三菱UFJモルガン・スタンレー証券のLP画像
項目 内容
口座数(残あり口座) 約105.3万口座
※2025年3月末時点
取引手数料 【国内株式】
約定代金 × 最大1.265%(税込)
※最低手数料2,750円(税込)

【米国株式】
約定代金 × 0.495%(税込)
※最低手数料22米ドル(税込)

※手数料は取引チャネルや銘柄により異なります。
NISA対応 〇(新NISA:つみたて投資枠・成長投資枠ともに対応)
つみたて投資枠取扱銘柄数 29銘柄
※2025年時点
成長投資枠対象商品 国内株式(約4,000銘柄) / 米国株式 / 投資信託(約285本)
投資信託 約4,054本
※2025年7月時点
外国株 米国株:約4,500銘柄
その他外国株:取扱限定的
取引ツール(PC) オンライントレード(WEB)
専用取引アプリ(PC版)
スマホアプリ 三菱UFJモルガン・スタンレー証券アプリ(iOS / Android対応)
提携銀行口座 三菱UFJ銀行(即時入出金サービス対応)
ポイント投資・付与 なし(ポイント投資制度は未対応)
口座開設スピード 通常2〜3営業日
※オンライン申込後、書類提出状況により変動

三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、メガバンクグループの証券会社です。投資信託の取扱本数は約750本と、ネット証券に比べると少なめですが、対面でのサポートが充実しています。

投資初心者で、専門家のアドバイスを受けながら投資したい方には、三菱UFJモルガン・スタンレー証券がおすすめです。

マネックス証券|米国株取引に強み

マネックス証券のLP画像
項目 内容
口座数 約2,700,000口座 ※2025年2月時点
取引手数料 【取引毎手数料コース】
  • 5万円以下:55円(税込)

  • 5万超~10万円以下:99円

  • 10万超~20万円以下:115円

  • 20万超~50万円以下:275円

  • 50万超~100万円以下:535円

  • 100万超~150万円以下:640円

  • 150万超~3,000万円以下:1,013円

  • 3,000万円超:1,070円

NISA対応 〇(日本株・米国株・中国株・投資信託の売買手数料が無料)
つみたて投資枠取扱銘柄数 〇(銘柄数は公式サイトで確認)
成長投資枠対象商品 国内株 / 米国株 / 中国株 / 投資信託(約1,750本以上)
投資信託 約1,800本(購入時手数料すべて無料)
外国株 2カ国/米国株:約5,000銘柄以上(2025年1月27日時点)
取引ツール(PC) マネックストレーダー / 銘柄スカウター
スマホアプリ マネックス証券アプリ / 米国株アプリ / 投信アプリ
提携銀行口座 マネックス証券専用銀行口座(詳細は公式サイトで確認)
ポイント投資・付与 マネックスポイント / dポイント(投資信託の積立に利用可能)
口座開設スピード オンライン申込で最短翌営業日

マネックス証券は、米国株取引に強みを持つネット証券です。投資信託の取扱本数は約1,800本です。

マネックス証券の特徴

マネックスカードでのクレカ積立は、1.1%のポイント還元があります。年会費無料で1.1%の還元率は、非常に魅力的です。

米国株の個別株投資にも興味がある方は、マネックス証券がおすすめです。

松井証券|50万円まで手数料無料

松井証券のLP画像
項目 内容
口座数 約1,670,000口座 ※2025年3月時点
取引手数料 【ボックスレート(1日定額制)】 1日の約定代金合計50万円まで:0円 50万円超:1,000円(税込1,100円)~※25歳以下なら約定代金に関わらず手数料無料
NISA対応 〇(日本株、米国株、投資信託すべて売買手数料無料)
つみたて投資枠取扱銘柄数 〇(銘柄数は公式サイトで確認)
成長投資枠対象商品 国内株 / 米国株 / 投資信託(約1,800本以上)
投資信託 約1,900本以上(購入時手数料すべて無料)
外国株 米国株:約4,900銘柄(2025年4月23日時点)
取引ツール(PC) ネットストック・ハイスピード(無料)
スマホアプリ 日本株アプリ / 投信アプリ / 米国株アプリ(すべて無料)
提携銀行口座 MATSUI Bank(松井証券専用銀行)
ポイント投資・付与 松井証券ポイント(投資信託の積立に利用可能)
口座開設スピード 最短即日(スマートフォンによるオンライン申込)

松井証券は、創業100年以上の老舗証券会社です。投資信託の取扱本数は約1,900本です。

松井証券の特徴

25歳以下なら、株式の現物取引・信用取引の手数料が無料です。また、50万円/日までの取引なら、年齢に関係なく手数料無料です。

若年層や、少額から投資を始めたい方には、松井証券がおすすめです。

よくある質問(Q&A)

よくある質問(Q&A)
信託報酬はいつ引き落とされる?

信託報酬は、毎日基準価額から自動的に差し引かれます。投資家が直接支払うわけではなく、ファンドの純資産から日割りで控除される仕組みです。

例えば、信託報酬が年率0.08%の場合、1日あたり約0.0002%が差し引かれます。これは基準価額に反映されるため、投資家は意識することなく負担しています。

実質コストはどこで確認できる?

実質コストは、年1回発行される運用報告書で確認できます。運用報告書は、証券会社のウェブサイトや三菱UFJアセットマネジメントの公式サイトからダウンロード可能です。

2024年4月からは、目論見書にも「総経費率」が記載されるようになりました。総経費率は、信託報酬に一部の隠れコストを加えたものです(売買委託手数料や有価証券取引税は含まれません)。

SBI・VとeMAXIS Slimを両方買うのはあり?

両方買うのも1つの選択肢です。どちらも優秀なファンドなので、分散投資の観点から両方保有するのは問題ありません。

ただし、両方ともS&P500に連動するため、投資対象は同じです。分散効果はほとんどないため、どちらか1つに絞る方が管理しやすいでしょう。

暴落したらどうすればいい?

暴落時は、パニックにならず、冷静に対応することが大切です。以下のポイントを押さえておきましょう。

  • 積立投資を続ける(安い時に多く買える)
  • 売却しない(損失を確定させない)
  • 長期的な視点を持つ(過去の暴落も回復してきた)

S&P500は、過去の暴落(リーマンショック、コロナショックなど)から必ず回復してきました。短期的な下落に動揺せず、長期的な視点で投資を続けることが成功の鍵です。

iDeCoでも購入できる?

eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は、多くの金融機関でiDeCoの対象商品になっています。SBI証券、楽天証券、マネックス証券などで取り扱いがあります。

iDeCoは、掛金が全額所得控除の対象となり、運用益も非課税です。60歳まで引き出せないという制約はありますが、老後資金の準備には最適な制度です。

税金・確定申告は必要?

NISA口座で保有している場合、運用益は非課税なので確定申告は不要です。

特定口座(源泉徴収あり)で保有している場合も、証券会社が自動的に税金を源泉徴収してくれるため、確定申告は不要です。

一般口座や特定口座(源泉徴収なし)で保有している場合は、確定申告が必要です。売却益や分配金が年間20万円を超える場合は、必ず確定申告しましょう。

国税庁「株式等の譲渡所得等の課税」

まとめ

eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は、2025年1月25日から信託報酬が年率0.08140%以下(税込)に引き下げられ、業界トップクラスの低水準のコストを実現しています。純資産総額は6兆円を超え、国内最大規模の投資信託として多くの投資家から支持を集めています。

信託報酬だけでなく、実質コスト(総経費率)も約0.089%と低水準で、コスト面では申し分ありません。SBI・V・S&P500との比較でも、eMAXIS Slimがわずかに有利です。

ただし、証券会社のポイント還元を含めた実質総コストで考えると、選択肢が変わってきます。SBI証券で三井住友カード(プラチナプリファード)を使えば、5.0%のポイント還元があり、信託報酬の差を遥かに上回る効果があります。

長期投資では、信託報酬の差が大きな影響を与えますが、0.1%未満の差であれば、ポイント還元や使いやすさなども含めて総合的に判断することが大切です。

eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は、低コスト、大規模、長期実績の3拍子が揃った優秀なファンドです。米国株式への長期投資を考えているなら、有力な選択肢の一つと言えるでしょう。

なお、投資には元本割れのリスクがあります。為替リスクや株式市場の変動により、投資元本を下回る可能性があることをご理解ください。ご自身の投資目的やリスク許容度に合わせて、慎重にご検討ください。詳しくは各証券会社・運用会社にご確認ください。

SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

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