前株・後株の違いは何だろう?伝わり方が変わる会社名

前株・後株の違いは何だろう?伝わり方が変わる会社名

「自分で会社を作ったら、会社名は何にしようかな」と考えたことはありませんか。

3年前に、経営コンサルのセミナーを行ったとき、冒頭で
「これから講義をしていく上で必要になってくるので、仮で会社名を決めてください」
と受講者の皆さんにお願しました。

「株式会社〇〇」「△△株式会社」「株式会社◆◆」「●●株式会社」
たくさんの個性的な会社名が並びました。

しかし、ここで受講者のひとりから次の質問を受けました。
「前株と後株は何が違うのですか?」と。

そこで今回は、会社名の前株・後株の付け方に悩んでいる方へ、
前株と後株は何が違うのか、それぞれどんなメリットがあるのかお伝えします。

株式会社は前株でも後株でもどっちらでもいい?

”株式会社No.1” と ”No.1株式会社”
一見、同じ会社のように見えますが、別会社として認識をされます。
ただ、会社名を決める上では、前株にも後株にも、法的な違いはありません。
どちらが大きな企業ということも、どちらが有利ということも、どちらが優れているということもありません。

『会社法』で、商号(会社名)のどこかに株式会社という文字を入れなければならないと義務付けられていますが、前株・後株どちらにするかまでは、記されていないのです。

つまり、設立者のセンスで好きに決めていいということです。
「しっくり来るかどうか」「イメージが合うか」という感覚的なものもあります。
一方、「どこをアピールしたいか」という戦略的なものもあるでしょう。
珍しいですが、なんと中株の会社名も存在します。

前株と後株のイメージの違い

社名は、語感の良さやイメージがとても重要になります。
そしてそれは前株か後株かでかなり大きな違いがあるのです。
試しに、あなたの知っている会社名の株式会社の前後を入れ替えてみてください。
トヨタ自動車株式会社→株式会社トヨタ自動車
株式会社サイバーエージェント→サイバーエージェント株式会社
どうですか、結構印象が違いますよね。

前株のイメージ

実は、現在一般的に多い会社名は前株です。
特にここ最近は前株とする会社が多くなっています。
最近目立つようになったアルファベットやカタカナの社名には、前株のほうがしっくりくる場合が多いことも理由のひとつのようです。
たしかに、IT系の企業などは前株が多い印象ですね。
前株の会社には、
・株式会社セブン‐イレブン・ジャパン
・株式会社サイバーエージェント
・株式会社リクルートホールディングス
・株式会社三菱東京UFJ銀行
・株式会社ニトリ
などがあります。
先進的で勢いのあるイメージを与えることができます。

後株のイメージ

戦前から設立されている会社は、後株が多いようです。
そのため、長く続いている会社には後株が多く、堅実で伝統的な印象をもたれやすいです。
後株の会社には、
・トヨタ自動車株式会社
・楽天株式会社
・日本航空株式会社
・富士通株式会社
・三菱自動車株式会社
などがあります。
前株と比べると、少し落ち着いた印象ではないでしょうか。
老舗の安定感があるイメージを与えることができます。

前株と後株どちらにもメリットがある

前株・後株それぞれのメリットについて、見ていきましょう。

前株のメリット

前株のメリットは、まずは会社名を名乗ったときに認識されやすいことです。
「株式会社○○です」と会社名を名乗る場合、「株式会社」を聞いた時点で相手は「これから会社名を言うのだな」と聞く準備をすることができます。
電話口で会社名を名乗るときにも、後株と比べて聞き返されることが少ないでしょう。
これは、電話で取引先とのやり取りが多い会社にとっては大きなメリットです。
また「株式会社」を先につけることで、株式で運営している会社であることをアピールでき、信頼度アップにつながります。
会社としては時代の流れに乗ることも大事ですから、最近の会社に前株が多いことも前株を選ぶ理由のひとつになるでしょう。
そして、大事なのがイメージ。
前株は先進的で勢いのあるイメージを与えることができます。
IT企業など新しさをアピールしたい会社や、若い人向けの会社には前株が合っています。

後株のメリット

後株のメリットは、「株式会社」よりも先に会社名が来ることで会社名が目立ち、会社をブランドとして売りやすくなることです。
会社名の「株式会社」以外の部分が他の会社と違うところ、いわばその会社のアイデンティティではないでしょうか。
会社名には意味があるはずで、経営者の方なら大事にされていますよね。
サービス名がそのまま会社名になっている会社にとっては、サービスのアピールにもなります。
また、文字データとして社名を分類したときにも、目につきやすいでしょう。
五十音順で並べたとき、株式会社から始まる他の多くの会社名に埋もれることがありません。
前方検索しかできないシステムで会社名を検索する場合、前株は「株式会社」なのか「(株)」なのかの表記の違いで検索が難しいことがあります。
後株ならその心配がありません。
そして、イメージも重要です。
後株は堅実で安定感のあるイメージを与えることができます。
安心感が必要な会社や、年配の人と関係が深い会社は、後株が向いているでしょう。

中株のメリット

中株の会社名は、珍しいのでインパクトがあり印象に残りやすいです。
しかし、どこからどこまでが会社名かわかりにくいのが難点ですね。

海外の前株・後株事情

欧米などの海外では、会社名のあとに『Co., Ltd』などを付けるのが通常です。
ですので、日本のように、「前株にしようか」「後株がいいか」という話にはなりません。

また、前株の”株式会社No.1”であっても、英語表記にすると”No.1Co., Ltd”となります。
しかし、日本で”No.1Co., Ltd”と登記することはできませんのでお気をつけください。

まとめ

前株にするか後株にするかは、会社名を決める方の『感性』によって変わります。
文字で書いてみたり口にだして読み上げてみたりして、しっくりくるものを選んでいただくといいと思います。

ただ、前株は、「株式会社」であることが伝わりやすく社名が耳に残りやすいので
お電話でのやりとりが多い会社にメリットがあるでしょう。

そして、後株のメリットは、会社と同じ名前の商品やサービスを売りやすく
老舗ブランドのイメージがもたれやすいということです。

会社名は一度決めたら変えることはなかなかありませんし、
会社の顔となる存在ですので思いを込めて付けていただきたいです。

当社では、会社名のご相談以外に、会社設立時のお悩みで多い
“資金”や“事業計画”についてのご相談も随時受付けております。
経験豊富な専門家がお待ちしておりますので、ぜひご利用ください。

著 者

SOICO株式会社
共同創業者&代表取締役CEO
茅原 淳一 (かやはら じゅんいち)

慶應義塾大学卒業後、新日本有限責任監査法人にて監査業務に従事。 その後クレディスイス証券株式会社を経て2012年KLab株式会社入社。 KLabでは海外子会社の取締役等を歴任。2016年上場会社として初の信託を活用したストックオプションプランを実施。 2015年医療系ベンチャーの取締役財務責任者に就任。 2018年よりSOICO株式会社の代表取締役CEOに就任。公認会計士。

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