株式投資の始め方|初心者向け完全ガイド

証券会社の口座は何社まで開設できるのか、疑問に思ったことはありませんか?
結論から言うと、証券会社を分ければ何社でも開設できますが、実際には管理の手間を考えると2〜3社が現実的です。
複数の証券会社に口座を持つことで、各社の強みを使い分けられる一方、口座管理が煩雑になるデメリットもあります。
この記事では、証券口座の開設制限から、投資スタイル別の最適な口座数、複数口座の上手な使い分け方まで、実践的な情報をお伝えします。
あなたに合った口座数と組み合わせを見つけて、効率的な資産運用を始めましょう。
目次
証券口座はいくつまで開設できる?
証券口座の開設数には、基本的に制限がありません。ただし、いくつかの重要なルールがあります。ここでは、証券口座の開設に関する基本的な制限と注意点を解説します。
証券口座は、異なる証券会社であれば何社でも開設できます。例えば、SBI証券、楽天証券、マネックス証券といった複数の証券会社に同時に口座を持つことが可能です。
各証券会社は独立した金融機関として運営されており、他社での口座開設状況に関わらず、審査基準を満たせば口座を開設できます。日本証券業協会に登録された証券会社であれば、投資者保護基金による保護も受けられるため、複数の証券会社に資産を分散することも安全性の観点から有効です。
実際に、IPO投資を積極的に行う投資家の中には、当選確率を上げるために10社以上の証券会社に口座を開設しているケースもあります。
ただし、口座数が増えるほど管理の手間も増えるため、自分が管理できる範囲で開設することが大切です。
一方で、同じ証券会社では原則として1人1口座までしか開設できません。例えば、SBI証券に2つの口座を開設することはできないということです。
これは金融商品取引法に基づく本人確認の原則により、1つの証券会社で同一人物が複数の口座を持つことが制限されているためです。マネーロンダリング対策や取引の透明性確保の観点から、この制限が設けられています。
ただし、特定口座と一般口座は別々に開設できる場合もありますが、これらは税務処理の方法が異なるだけで、実質的には同じ証券会社内の1つの口座として扱われます。
NISA口座(少額投資非課税制度)については、より厳格な制限があります。NISA口座は1人につき1つの金融機関でしか開設できません。
2024年からの新NISA制度でも、この制限は変わりません。つみたて投資枠と成長投資枠の2つの枠がありますが、これらは同じ1つのNISA口座内で管理されます。非課税保有限度額は1,800万円(うち成長投資枠1,200万円)で、この枠を複数の証券会社に分散することはできません。
ただし、NISA口座は年に1回、金融機関を変更することが可能です。例えば、今年はSBI証券でNISA口座を使い、来年から楽天証券に変更するといったことができます。
変更手続きには時間がかかるため、慎重に金融機関を選ぶことが重要です。
実際には何個まで持つのがおすすめ?
証券口座は何社でも開設できますが、実際に管理できる口座数には限界があります。ここでは、投資経験や投資スタイルに応じた最適な口座数を具体的に提案します。
投資を始めたばかりの初心者は、まず1口座から始めることをおすすめします。複数の証券会社を同時に使い始めると、操作方法の習得や資産管理が複雑になり、投資そのものに集中できなくなる可能性があります。
最初の1口座は、手数料が安く、投資信託の取扱本数が多い総合力の高い証券会社を選ぶのがよいでしょう。SBI証券や楽天証券のような主要ネット証券なら、初心者向けの情報提供も充実しており、NISA口座も開設できます。
初心者が最初の1口座を選ぶポイント
手数料が安い証券会社を選ぶ
投資信託の取扱本数が多い
NISA口座が開設できる
初心者向けの情報提供が充実している
投資に慣れてきて、「この証券会社にはない商品を買いたい」「IPO投資にも挑戦したい」といった具体的なニーズが出てきたら、2口座目を検討するタイミングです。ただし、2口座目を開設する前に、本当に必要かどうかを慎重に判断しましょう。
初心者が複数口座を持つ場合でも、最大2口座までに留めることで、管理の負担を最小限に抑えながら、複数口座のメリットを享受できます。
投資経験が1〜3年程度の中級者は、2〜3口座を使い分けることで投資効率を高められます。この段階では、自分の投資スタイルが定まってきており、各証券会社の強みを活かした使い分けが可能になります。
例えば、メイン口座では積立投資やNISA運用を行い、サブ口座ではIPO投資や米国株投資といった特定の目的に特化した使い方ができます。SBI証券をメインにして楽天証券をサブにする、あるいはSBI証券とマネックス証券を組み合わせるといったパターンが一般的です。
中級者におすすめの口座の使い分け例
メイン口座:積立投資・NISA運用(SBI証券など)
サブ口座:IPO投資専用(SMBC日興証券など)
サブ口座:米国株投資専用(マネックス証券など)
3口座目を持つ場合は、IPO投資専用やデイトレード専用など、明確な目的を持って開設することが重要です。目的のない口座開設は、管理の手間だけが増えて効果が薄くなります。
中級者でも3口座を超えると、各口座の資産状況を把握するのが難しくなり、投資判断の質が低下する可能性があります。
投資経験が豊富な上級者であっても、実際に管理できる口座数は4〜5口座が現実的な上限です。それ以上の口座を持つと、各口座のログイン情報の管理、資産状況の把握、確定申告の手間が大幅に増加します。
上級者が複数口座を持つ場合、以下のような明確な役割分担が必要です。
5口座を超えると、口座管理ツールを使っても全体像の把握が困難になります。実際、プロの投資家でも日常的に使う口座は3〜4口座程度に絞っているケースが多いです。
口座数を増やすことよりも、限られた口座を効率的に使いこなすことの方が、投資成果を高める上で重要です。
複数の証券口座を持つ5つのメリット
複数の証券会社に口座を持つことには、さまざまなメリットがあります。ここでは、複数口座を持つことで得られる具体的な利点を5つ紹介します。
証券会社にはそれぞれ得意分野があり、複数口座を持つことで各社の強みを最大限に活用できます。例えば、SBI証券は投資信託の取扱本数が約2,600本と業界トップクラスで、楽天証券は楽天ポイントとの連携が強みです。
IPO投資に強いSMBC日興証券、米国株の取扱が充実しているマネックス証券、25歳以下の手数料が無料の松井証券など、各社の特徴を理解して使い分けることで、手数料を抑えながら幅広い投資機会にアクセスできます。
また、証券会社によって提供される投資情報やツールも異なります。複数の証券会社の情報を比較することで、より多角的な視点から投資判断ができるようになります。
証券会社によって取り扱っている投資商品は異なります。複数の証券会社に口座を持つことで、投資できる商品の選択肢が大きく広がります。
例えば、SBI証券では約5,000銘柄の米国株を取り扱っていますが、moomoo証券では約7,000銘柄以上の米国株にアクセスできます。投資信託についても、各社で取扱本数や種類が異なるため、複数口座を持つことで自分の投資戦略に合った商品を選びやすくなります。
特に、特定の投資信託やETFが1つの証券会社でしか購入できない場合、その証券会社に口座を持っていなければ投資機会を逃すことになります。複数口座を持つことで、こうした機会損失を防げます。
IPO(新規公開株)投資では、抽選に当選しなければ購入できません。複数の証券会社から同じIPOに申し込むことで、当選確率を高めることができます。
例えば、SBI証券では年間78銘柄、SMBC日興証券では年間52銘柄のIPOを取り扱っています(2024年実績)。複数の証券会社に口座を持つことで、より多くのIPO案件に申し込むチャンスが増えます。
また、証券会社によって抽選方法が異なります。SBI証券は完全平等抽選とポイント制の併用、SMBC日興証券は資産額に応じた優遇抽選など、各社の抽選ルールを理解して複数口座から申し込むことで、当選確率を最大化できます。
証券会社のシステムは非常に安定していますが、まれにシステム障害やメンテナンスで取引できなくなることがあります。複数の証券会社に口座を持っていれば、1つの証券会社でトラブルが発生しても、別の証券会社で取引を継続できます。
特に、相場が大きく動いている時や重要な経済指標の発表時など、取引のタイミングが重要な場面では、複数の証券会社に口座を持つことがリスクヘッジになります。
また、証券会社が万が一経営破綻した場合でも、投資者保護基金により1,000万円まで補償されます。複数の証券会社に資産を分散しておけば、より安全に資産を保護できます。
各証券会社は、独自のマーケットレポートや投資情報を提供しています。複数の証券会社に口座を持つことで、さまざまな視点からの市場分析や投資アイデアにアクセスできます。
例えば、SBI証券の「HYPER SBI 2」、楽天証券の「MARKET SPEED Ⅱ」、マネックス証券の「マネックストレーダー」など、各社が提供する高機能な取引ツールを使い分けることで、より精度の高い投資判断が可能になります。
また、証券会社によってアナリストレポートや企業分析の内容も異なるため、複数の情報源を持つことで、偏りのない客観的な投資判断ができるようになります。投資初心者にとっても、複数の証券会社の情報を比較することで、投資知識を深める良い機会になります。
複数の証券口座を持つ4つのデメリット
複数の証券口座を持つことにはメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。ここでは、複数口座を持つ際に注意すべき4つのデメリットを解説します。
複数の証券会社に口座を持つと、各口座の資産状況を把握するのが難しくなります。どの証券会社にどの銘柄をいくら保有しているのか、全体でどれだけの資産があるのかを正確に把握するには、定期的に各口座をチェックする必要があります。
特に、配当金や分配金の受け取り、株主優待の管理、株式の権利確定日の把握など、細かい管理項目が増えるほど、手間と時間がかかります。口座数が3つを超えると、管理の負担が大きく増加する傾向があります。
また、各証券会社から送られてくる取引報告書や運用レポートも増えるため、重要な情報を見逃すリスクも高まります。口座管理ツールやアプリを活用しても、完全に自動化できるわけではないため、ある程度の手間は避けられません。
複数の証券会社に口座を持つと、それぞれのログインIDとパスワードを管理する必要があります。セキュリティの観点から、各証券会社で異なるパスワードを設定することが推奨されますが、口座数が増えるほど管理が複雑になります。
パスワードを忘れてしまうと、再発行の手続きに時間がかかり、取引のタイミングを逃す可能性もあります。また、パスワードをメモに残すと、セキュリティリスクが高まります。
パスワード管理ツールを使えばある程度は管理しやすくなりますが、ツール自体のセキュリティ管理も必要になります。二段階認証を設定している場合は、さらに認証コードの管理も加わり、ログインの手間が増えます。
特定口座(源泉徴収あり)で取引している場合、通常は確定申告が不要です。しかし、複数の証券会社に口座を持ち、一方で利益が出て他方で損失が出た場合、損益通算をするためには確定申告が必要になります。
例えば、A証券で50万円の利益、B証券で30万円の損失が出た場合、確定申告をすることで課税対象を20万円に減らし、税金の還付を受けられます。しかし、確定申告をしなければ、A証券の50万円に対してそのまま税金がかかります。
確定申告には、各証券会社から発行される年間取引報告書を集めて、損益を計算する手間がかかります。口座数が多いほど、この作業は複雑になります。
複数の証券会社に資産が分散していると、自分の総資産額や資産配分を正確に把握するのが難しくなります。株式、投資信託、債券など、資産クラスごとの配分バランスが崩れていても気づきにくくなります。
例えば、A証券で国内株式を中心に投資し、B証券で米国株を中心に投資している場合、全体としてどの資産クラスにどれだけ投資しているのかを把握するには、各口座の情報を統合して分析する必要があります。
資産管理アプリを使えば複数口座の情報を一元管理できますが、すべての証券会社に対応しているわけではありません。また、アプリの更新が遅れると、リアルタイムの資産状況を把握できないこともあります。
資産全体の把握が難しくなると、適切なリバランス(資産配分の調整)ができず、投資効率が低下する可能性があります。
口座を増やすタイミングはいつ?
複数の証券口座を持つ場合、すべての口座を同時に開設するのではなく、段階的に増やしていくことが重要です。ここでは、口座を増やすべきタイミングと、その理由を解説します。
投資を始める際は、まず1つの証券会社に口座を開設し、投資の基本を学ぶことから始めましょう。最初から複数の証券会社を使おうとすると、操作方法や取引ルールの違いに戸惑い、投資そのものに集中できなくなります。
1口座で投資に慣れるまでの期間は、少なくとも3〜6ヶ月程度が目安です。この期間に、以下のような基本的なスキルを身につけましょう。
また、1口座で投資を続けることで、その証券会社の強みや弱みが見えてきます。「この証券会社では取り扱っていない商品がある」「IPO投資にも挑戦したい」といった具体的なニーズが出てきたら、2口座目を検討するタイミングです。
投資に慣れてきて、自分の投資スタイルが明確になったら、2口座目の開設を検討しましょう。2口座目は、メイン口座では満たせない特定のニーズを補完する役割を持たせることが重要です。
例えば、以下のような場合に2口座目の開設が有効です。
2口座目を開設する際は、メイン口座との役割分担を明確にしましょう。「メイン口座では長期投資、サブ口座ではIPO投資」といった具合に、それぞれの口座の目的を決めておくと、管理がしやすくなります。
投資を始める際に、複数の証券会社に同時に口座を開設することはおすすめしません。同時開設には以下のようなデメリットがあります。
特に、投資初心者が「どの証券会社が良いか分からないから、とりあえず複数開設しておこう」という考えで同時開設するのは避けるべきです。まずは1つの証券会社で投資の基本を学び、必要に応じて段階的に口座を増やしていく方が、長期的には効率的な資産運用につながります。
複数口座の上手な使い分け方
複数の証券口座を効率的に活用するには、メイン口座とサブ口座の役割を明確に分けることが重要です。ここでは、複数口座を上手に使い分けるための具体的な方法を解説します。
メイン口座は、あなたの投資活動の中心となる口座です。長期的な資産形成を目的とした積立投資やNISA運用など、最も重要な投資をメイン口座で行います。
メイン口座を選ぶ際は、以下のポイントを重視しましょう。
メイン口座選びのポイント
手数料の安さ:頻繁に取引する場合は手数料負担が大きくなるため、手数料の安い証券会社を選ぶ
投資信託の取扱本数:長期投資の中心となる投資信託の選択肢が豊富な証券会社を選ぶ
NISA対応:NISA口座を開設できる証券会社を選ぶ(NISA口座は1人1口座のため、メイン口座で開設するのが一般的)
使いやすさ:サイトやアプリの操作性が良く、長期的に使い続けやすい証券会社を選ぶ
メイン口座では、積立投資、NISA運用、長期保有を前提とした株式投資など、資産形成の基盤となる投資を行います。SBI証券や楽天証券のような総合力の高いネット証券がメイン口座として適しています。
サブ口座は、メイン口座では満たせない特定の目的のために開設します。目的が明確でないサブ口座は、管理の手間だけが増えて効果が薄くなります。
サブ口座の目的としては、以下のようなものが考えられます。
サブ口座の目的例
IPO投資専用:IPO取扱数が多く、主幹事実績のある証券会社をサブ口座にする(SMBC日興証券、野村證券など)
米国株投資専用:米国株の取扱銘柄数が多く、取引手数料が安い証券会社をサブ口座にする(マネックス証券、moomoo証券など)
短期売買専用:取引ツールが充実し、リアルタイムの情報が得られる証券会社をサブ口座にする(楽天証券、松井証券など)
予備口座:メイン口座のシステムトラブル時に備えて、別の証券会社に予備口座を持つ
サブ口座を開設する際は、「なぜこの証券会社に口座を開設するのか」を明確にし、その目的に沿った使い方をすることが大切です。
ここでは、投資目的に応じた複数口座の使い分け例を紹介します。自分の投資スタイルに合った組み合わせを見つける参考にしてください。
重要なのは、各口座の役割を明確にし、その目的に沿った使い方をすることです。目的のない口座は、定期的に見直して解約することも検討しましょう。
複数口座を持つときの3つの管理方法
複数の証券口座を持つ場合、効率的な管理方法を確立することが重要です。ここでは、複数口座を管理するための具体的な方法を3つ紹介します。
資産管理アプリを使えば、複数の証券会社の口座情報を一元管理できます。代表的な資産管理アプリには、「マネーフォワード ME」「Moneytree」「Zaim」などがあります。
これらのアプリは、証券口座と連携することで、各口座の資産残高や保有銘柄を自動的に取得し、一つの画面で確認できます。資産の推移をグラフで可視化したり、資産クラスごとの配分を分析したりする機能もあります。
資産管理アプリを使うメリットは、複数口座の資産状況を一目で把握できる、資産の推移を自動的に記録できる、資産配分のバランスを確認しやすい、銀行口座やクレジットカードとも連携できる点です。
ただし、すべての証券会社に対応しているわけではないため、自分が使っている証券会社がアプリに対応しているか事前に確認しましょう。また、セキュリティ面でも信頼できるアプリを選ぶことが重要です。
資産管理アプリに頼らず、自分でエクセルやGoogleスプレッドシートを使って管理する方法もあります。この方法は、自分の好みに合わせて管理項目をカスタマイズできるのが利点です。
エクセルやスプレッドシートで管理する場合、以下のような項目を記録しておくと便利です。
月に1回程度、各証券会社の口座情報を確認して、エクセルやスプレッドシートに記録する習慣をつけましょう。手動での管理は手間がかかりますが、自分の資産状況を深く理解できるメリットがあります。
また、Googleスプレッドシートを使えば、スマートフォンからでも簡単にアクセスできるため、外出先でも資産状況を確認できます。
複数の証券口座を持つと、それぞれのログインIDとパスワードを管理する必要があります。セキュリティの観点から、各証券会社で異なるパスワードを設定することが推奨されますが、すべてを記憶するのは困難です。
パスワード管理ツールを使えば、複数のIDとパスワードを安全に保管できます。代表的なパスワード管理ツールには、「1Password」「Bitwarden」「LastPass」などがあります。
パスワード管理ツールを使うメリットは、複雑なパスワードを自動生成できる、すべてのパスワードを暗号化して保管できる、マスターパスワード1つで全てのパスワードにアクセスできる、自動ログイン機能で入力の手間が省ける点です。
ただし、マスターパスワードを忘れると全てのパスワードにアクセスできなくなるため、マスターパスワードの管理には十分注意しましょう。また、パスワード管理ツール自体のセキュリティも重要なので、信頼できるツールを選ぶことが大切です。
複数口座での確定申告の手順
複数の証券口座を持っている場合、確定申告が必要になるケースがあります。ここでは、複数口座での確定申告の手順と、損益通算の具体的なやり方を解説します。
特定口座(源泉徴収あり)で取引している場合、証券会社が自動的に税金を源泉徴収してくれるため、原則として確定申告は不要です。これは、複数の証券会社に特定口座(源泉徴収あり)を持っている場合でも同様です。
特定口座(源泉徴収あり)では、株式や投資信託の売却益に対して20.315%(所得税15.315%、住民税5%)の税金が自動的に差し引かれます。配当金についても、同じく20.315%が源泉徴収されます。
ただし、以下のような場合は、特定口座(源泉徴収あり)でも確定申告をすることで税金の還付を受けられる可能性があります。複数の証券口座で損益通算をしたい場合、前年の損失を繰越控除したい場合、配当控除を受けたい場合などです。
複数の証券会社に口座を持ち、一方で利益が出て他方で損失が出た場合、損益通算をすることで税金の還付を受けられます。ただし、損益通算をするには確定申告が必要です。
例えば、以下のようなケースを考えてみましょう。
この場合、確定申告をしなければ、A証券の利益50万円に対して約10万円の税金がそのまま徴収されます。しかし、確定申告をして損益通算をすれば、課税対象は20万円(50万円 – 30万円)となり、約6万円の税金還付を受けられます。
損益通算をするには、各証券会社から発行される「特定口座年間取引報告書」が必要です。この報告書には、1年間の売却益や配当金、源泉徴収された税額などが記載されています。
複数口座で損益通算をする場合の確定申告の手順は以下の通りです。
確定申告の期限は、原則として翌年2月16日から3月15日までです。期限を過ぎると、還付金の受取が遅れたり、ペナルティが課されたりする可能性があるため、早めに手続きを済ませましょう。
目的別のおすすめ証券会社の組み合わせ3パターン
ここでは、投資目的に応じたおすすめの証券会社の組み合わせを3つのパターンで紹介します。自分の投資スタイルに合った組み合わせを見つける参考にしてください。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 口座数 | 約15,000,000口座 ※2025年11月25日時点(SBIネオモバイル証券など含む) |
| 取引手数料 | 【スタンダードプラン(1注文ごと)】 取引金額に関係なく0円【アクティブプラン(1日定額制)】 1日100万円以下の取引:0円※現物取引・信用取引・単元未満株(S株)もすべて対象です。 |
| NISA対応 | 〇 |
| つみたて投資枠取扱銘柄数 | 〇(259銘柄)※2025年3月3日時点 |
| 成長投資枠対象商品 | 国内株 / 外国株 / 投資信託(約1,329銘柄 ※2025年3月3日時点) |
| 投資信託 | 約2,550本 ※2025年3月3日時点 |
| 外国株 | 8カ国/米国株式(5,000銘柄) |
| 取引ツール(PC) | HYPER SBI 2 / HYPER SBI / SBI CFDトレーダー |
| スマホアプリ | SBI証券 株アプリ / 米国株アプリ / かんたん積立 / HYPER FX / HYPER 先物 / HYPER CFD |
| 提携銀行口座 | SBI新生銀行 / 住信SBIネット銀行 |
| ポイント投資・付与 | Pontaポイント / dポイント / Vポイント(クレカ積立) |
| 口座開設スピード | 最短 翌営業日 |
投資初心者には、SBI証券と楽天証券の組み合わせがおすすめです。この2社は5大ネット証券の中でも特に総合力が高く、初心者にも使いやすいサービスを提供しています。
SBI証券をメイン口座にする理由
投資信託の取扱本数が約2,600本と業界トップクラス
国内株式・信用取引の手数料が原則無料
NISA口座の開設が可能で、つみたて投資枠の対象商品が約271本と豊富
Vポイント、Pontaポイント、dポイント、JALポイント、PayPayポイントの5種類のポイントに対応
口座開設数が約1,500万口座と国内最多で、信頼性が高い
楽天証券をサブ口座にする理由
楽天ポイントで投資信託や株式を購入できる
楽天カードでの積立投資でポイントが貯まる
取引ツール「MARKET SPEED Ⅱ」が高機能で使いやすい
楽天経済圏を活用している人にとってメリットが大きい
この組み合わせなら、SBI証券で長期投資とNISA運用を行い、楽天証券で楽天ポイントを活用した投資をすることで、効率的に資産形成ができます。両社とも初心者向けの情報提供が充実しているため、投資の基礎を学びながら実践できます。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 口座数 | 約15,000,000口座 ※2025年11月25日時点(SBIネオモバイル証券など含む) |
| 取引手数料 | 【スタンダードプラン(1注文ごと)】 取引金額に関係なく0円【アクティブプラン(1日定額制)】 1日100万円以下の取引:0円※現物取引・信用取引・単元未満株(S株)もすべて対象です。 |
| NISA対応 | 〇 |
| つみたて投資枠取扱銘柄数 | 〇(259銘柄)※2025年3月3日時点 |
| 成長投資枠対象商品 | 国内株 / 外国株 / 投資信託(約1,329銘柄 ※2025年3月3日時点) |
| 投資信託 | 約2,550本 ※2025年3月3日時点 |
| 外国株 | 8カ国/米国株式(5,000銘柄) |
| 取引ツール(PC) | HYPER SBI 2 / HYPER SBI / SBI CFDトレーダー |
| スマホアプリ | SBI証券 株アプリ / 米国株アプリ / かんたん積立 / HYPER FX / HYPER 先物 / HYPER CFD |
| 提携銀行口座 | SBI新生銀行 / 住信SBIネット銀行 |
| ポイント投資・付与 | Pontaポイント / dポイント / Vポイント(クレカ積立) |
| 口座開設スピード | 最短 翌営業日 |
IPO投資に力を入れたい人には、SBI証券とSMBC日興証券の組み合わせがおすすめです。この2社はIPO取扱数が多く、当選確率を高めるのに適しています。
SBI証券のIPO投資の強み
IPO取扱数が年間78銘柄(2024年実績)と業界トップクラス
主幹事実績も年間12社(2024年実績)と多い
完全平等抽選とIPOチャレンジポイント制度の併用で、当選確率を高められる
IPOチャレンジポイントは、落選するたびに貯まり、次回以降の当選確率が上がる仕組み
SMBC日興証券のIPO投資の強み
IPO取扱数が年間52銘柄(2024年実績)と多い
主幹事実績が年間22社(2024年実績)と非常に多く、主幹事案件は配分数が多い
ダイレクトコースなら、オンラインで簡単にIPO申込ができる
資産額に応じた優遇抽選があるため、資産が多い人ほど有利
この組み合わせなら、SBI証券で通常の投資とNISA運用を行いながら、両社でIPO抽選に申し込むことで、当選確率を大幅に高められます。IPO投資は当選すれば高い利益が期待できるため、複数口座からの申込は非常に有効です。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 口座数 | 約15,000,000口座 ※2025年11月25日時点(SBIネオモバイル証券など含む) |
| 取引手数料 | 【スタンダードプラン(1注文ごと)】 取引金額に関係なく0円【アクティブプラン(1日定額制)】 1日100万円以下の取引:0円※現物取引・信用取引・単元未満株(S株)もすべて対象です。 |
| NISA対応 | 〇 |
| つみたて投資枠取扱銘柄数 | 〇(259銘柄)※2025年3月3日時点 |
| 成長投資枠対象商品 | 国内株 / 外国株 / 投資信託(約1,329銘柄 ※2025年3月3日時点) |
| 投資信託 | 約2,550本 ※2025年3月3日時点 |
| 外国株 | 8カ国/米国株式(5,000銘柄) |
| 取引ツール(PC) | HYPER SBI 2 / HYPER SBI / SBI CFDトレーダー |
| スマホアプリ | SBI証券 株アプリ / 米国株アプリ / かんたん積立 / HYPER FX / HYPER 先物 / HYPER CFD |
| 提携銀行口座 | SBI新生銀行 / 住信SBIネット銀行 |
| ポイント投資・付与 | Pontaポイント / dポイント / Vポイント(クレカ積立) |
| 口座開設スピード | 最短 翌営業日 |
米国株投資に力を入れたい人には、SBI証券とマネックス証券の組み合わせがおすすめです。この2社は米国株の取扱銘柄数が多く、取引条件も優れています。
SBI証券の米国株投資の強み
米国株の取扱銘柄数が約5,000銘柄と豊富
米国株の取引手数料が低水準
米国株専用の取引アプリ「SBI証券 米国株アプリ」が使いやすい
NISA口座でも米国株を購入できる
マネックス証券の米国株投資の強み
米国株の取扱銘柄数が約5,000銘柄と豊富
米国株の取引手数料が業界最低水準
米国株の情報提供が充実しており、銘柄分析ツールが豊富
時間外取引にも対応しており、米国市場の取引時間外でも注文できる
この組み合わせなら、SBI証券で国内株と投資信託、NISA運用を行い、マネックス証券で米国株投資に特化することで、効率的にポートフォリオを構築できます。米国株投資では情報収集が重要なため、両社の情報を比較しながら投資判断ができるメリットもあります。
よくある質問(Q&A)
証券口座は、異なる証券会社であれば何社でも開設できます。法律上の制限はありません。ただし、同じ証券会社では1人1口座までしか開設できません。また、NISA口座は1人につき1つの金融機関でしか開設できないため、複数の証券会社に分散することはできません。実際には、管理の手間を考えると2〜3口座が現実的です。
NISA口座は1人につき1つの金融機関でしか開設できません。複数の証券会社にNISA口座を持つことはできません。ただし、年に1回、金融機関を変更することは可能です。変更手続きには時間がかかるため、慎重に金融機関を選ぶことが重要です。
複数の証券口座を開設して放置すると、いくつかのデメリットがあります。まず、口座管理が煩雑になり、どの口座にどれだけの資産があるのか把握しにくくなります。また、各証券会社から送られてくる取引報告書や運用レポートが増え、重要な情報を見逃すリスクも高まります。さらに、長期間取引がない口座は、証券会社によっては口座維持手数料が発生する場合もあります。使わない口座は定期的に見直して、解約することも検討しましょう。
証券口座は、保有している株式や投資信託をすべて売却または移管すれば、いつでも解約できます。解約手続きは、各証券会社のウェブサイトまたはカスタマーサポートに連絡して行います。ただし、NISA口座を解約する場合は、その年の非課税枠が使えなくなるため、慎重に判断しましょう。また、解約前に配当金や分配金の受取状況を確認し、未受取の金額がないか確認することも重要です。
家族で複数の証券口座を持つ場合、各人が独立して口座を開設し、それぞれの名義で取引を行う必要があります。配偶者や子供の名義で口座を開設しても、実際の資金提供者が別人の場合、贈与税の対象となる可能性があります。また、未成年の子供が証券口座を開設する場合は、親権者の同意が必要です。家族全体での資産管理を考える場合は、各人の投資目的やリスク許容度を明確にし、適切に資産を配分することが重要です。
証券口座は、異なる証券会社であれば何社でも開設できますが、実際には管理の手間を考えると2〜3口座が現実的です。初心者は1〜2口座から始め、投資に慣れてきたら段階的に口座を増やしていくことをおすすめします。
複数の証券口座を持つことで、各証券会社の強みを使い分けられる、IPO投資の当選確率が上がる、システムトラブルに対応できるといったメリットがあります。一方で、口座管理が煩雑になる、IDとパスワードの管理が大変、確定申告が必要になる場合があるといったデメリットもあります。
複数口座を効率的に活用するには、メイン口座とサブ口座の役割を明確に分け、資産管理アプリやパスワード管理ツールを活用することが重要です。また、複数口座で損益が発生した場合は、確定申告をして損益通算をすることで、税金の還付を受けられる可能性があります。
なお、投資には元本割れのリスクがあります。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。複数の証券口座を持つ場合は、管理できる範囲で口座数を決め、効率的な資産運用を心がけましょう。
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