証券会社から転職は本当に有利?成功法と失敗を避けるコツ

証券会社から転職は本当に有利?成功法と失敗を避けるコツ

証券会社での経験を活かして転職したいと考えているあなたへ。

厳しいノルマや激務に疲れ、「このまま続けていいのか」と悩んでいませんか。

実は、証券会社での経験は転職市場で非常に高く評価されます。

営業力、金融知識、目標達成力といったスキルは、多くの業界で求められているんです。

この記事では、証券会社からの転職が有利な理由、具体的な転職先、年齢別の戦略、そして失敗を避けるコツまで徹底解説します。

転職を成功させて、新しいキャリアを切り開きましょう。

この記事の要約
  • 証券会社の経験は営業力・金融知識・目標達成力が評価され、転職市場で有利
  • 転職先は金融業界、M&A、コンサル、事業会社など幅広い選択肢がある
  • 年齢・経験年数に応じた転職戦略を立てることが成功の鍵
SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

目次

証券会社からの転職は本当に有利なのか

結論から言うと、証券会社からの転職は非常に有利です。証券会社で培われるスキルは、多くの業界で高く評価されるからです。特に営業力、金融知識、目標達成力といった能力は、転職市場において強力な武器となります。

証券会社出身者が転職市場で評価される理由は、「厳しい環境で成果を出してきた実績」にあります。証券会社の営業は、他の業界と比べてもノルマの厳しさや業務の難易度が高いことで知られています。この環境で結果を残してきた経験は、採用企業にとって「困難な状況でも成果を出せる人材」という証明になるのです。

実際に、転職エージェントの調査によると、証券会社出身者の転職成功率は他業界と比べて高い水準にあります。金融業界はもちろん、M&A、コンサルティング、IT、不動産など、幅広い業界から引く手あまたの状況です。

また、証券会社で身につく「顧客の潜在的な課題を特定し、信頼関係を築きながら合意形成へと導く高度なコミュニケーション能力」は、無形商材を扱う法人営業などで特に高く評価されます。顧客の資産という非常にデリケートなテーマを扱ってきた経験は、他の営業職では得難いスキルなのです。

ただし、転職が有利だからといって、どこでも通用するわけではありません。自分のスキルを正確に棚卸しし、それを活かせる転職先を選ぶことが重要です。年齢や経験年数、リテール営業かホールセール営業かによっても、適した転職先は変わってきます。この記事では、そうした具体的な転職戦略についても詳しく解説していきます。

証券会社で身につく5つのスキル|転職で評価されるポイント

証券会社での経験を通じて得られるスキルは、転職市場で非常に高く評価されます。ここでは、特に評価される5つのスキルについて詳しく解説します。これらのスキルを正確に理解し、職務経歴書や面接でアピールすることが転職成功の鍵となります。

営業力とコミュニケーション能力

証券会社の営業力は、単に商品を売る力ではありません。その本質は「顧客の潜在的な課題を特定し、信頼関係を築きながら、合意形成へと導く高度なコミュニケーション能力」にあります。顧客の資産という非常にデリケートなテーマを扱うからこそ、高いレベルで磨かれるスキルです。

このコミュニケーション能力は、傾聴・ヒアリング力、提案力、交渉力の3つに分解できます。顧客の言葉の裏にある真のニーズや不安を正確に引き出す力は、SaaS営業における顧客の業務課題ヒアリングや、人材コンサルタントとしてのキャリア相談など、あらゆる場面で応用可能です。また、新規開拓営業の経験は、転職先で新規顧客開拓からスタートするケースが多いため、非常に重宝されます。

金融知識と市場分析力

証券会社で培われる金融知識や市場動向への理解は、一見すると金融業界内でしか通用しない専門スキルだと思われがちです。しかし、その本質的な価値は、ビジネスの根幹をなす「お金の流れ」を理解している点にあります。

金融知識が他職種で価値を発揮する場面は主に3つあります。第一に、法人営業として企業の経営層と商談する際、相手企業の財務状況や業界の市場動向に関する知識があれば、単なる製品説明にとどまらない事業パートナーとしての会話が可能になります。第二に、事業会社の経営企画や財務部門では、企業のIR資料や財務諸表を日常的に読み解き、株式や債券の発行支援を行ってきた経験が直接活かせます。第三に、M&Aアドバイザーやコンサルティングファームでは、企業分析や財務分析のスキルが案件の評価や交渉の際に役立ちます。

目標達成力とストレス耐性

証券会社が他の金融機関や異業種の営業職と異なるところは、ノルマ達成の難しさと厳しさです。高度なレベルを求められる営業となるため脱落する人も少なくありませんが、リテール営業で結果を残すことができれば、営業力と目標達成能力は転職後他の業界でも通用するスキルとなります。

証券会社では、厳しい目標を設定されることが多く、期限付きの業務も少なくありません。そのため、証券会社出身者は目標達成力が高く、目標に向かって計画的に仕事を進めることができると評価されます。また、ノルマのプレッシャーに耐えたり、ノルマを達成できず上司の叱責に耐えたりしているうちに、ストレス耐性や忍耐力が身についていることが多いです。この精神的なタフさは、転職先でも困難な状況を乗り越える力として高く評価されます。

顧客管理とリレーション構築力

証券会社では、顧客の資産状況や目標、リスク許容度などを把握し、ニーズに合わせて最適な商品を提案することが業務です。提案を受け入れてもらうには、顧客との信頼関係を築くことが大切になります。特に富裕層や経営者といった、普段は出会う機会が少ない人と対等に会話できるコミュニケーション能力は武器と言えるでしょう。

リテール営業(個人営業)かホールセール営業(法人営業)かによって顧客となる相手は経営者か富裕層など異なりますが、いずれも高度な顧客管理能力が求められます。顧客の不満やクレームに対して迅速に対応するとともに、原因や対策を明らかにして改善策を実行する能力は、転職先でも顧客満足度向上に貢献できるスキルです。

コンプライアンス意識

証券会社では、金融商品取引法をはじめとする厳格な法規制のもとで業務を行います。インサイダー取引規制、適合性の原則、説明義務など、常に高いコンプライアンス意識が求められる環境で働いてきた経験は、転職先でも重要な資産となります。

特に金融業界以外への転職時には、この「規制の厳しい業界で培ったコンプライアンス意識」が大きな差別化要因になります。不動産取引、保険営業、M&A仲介など、顧客の重要な資産や経営判断に関わる業務では、証券業務で培ったリスク感度の高さや法令遵守の姿勢が信頼を得る要素となります。また、事業会社の内部監査やリスク管理部門への転職でも、この経験は高く評価されます。

証券会社から転職できる業界・職種8選

証券会社で培ったスキルは、多様な業界・職種で活かすことができます。ここでは、証券会社出身者に人気の高い転職先8つを、具体的な仕事内容や求められるスキルとともに紹介します。自分の経験や志向性に合った転職先を見つける参考にしてください。

外資系投資銀行

外資系投資銀行は、証券会社で培った金融知識を最も直接的に活かせる転職先です。M&Aアドバイザリー、資金調達支援、企業価値評価など、高度な金融業務に携わることができます。年収水準も高く、20代で1000万円、30代で2000万円以上も珍しくありません。

語学力に自信がある方には特におすすめです。外資系は日系企業と企業文化が異なり、自分の意見をはっきりと主張する必要がありますが、証券会社の激務の中で鍛えられたメンタルやコミュニケーションスキルが活きるでしょう。

競争が激しく、成果を出せなければ退職を余儀なくされることもあるため、覚悟が必要です。

銀行・信託銀行

銀行の業務は証券会社の仕事内容と親和性が高い一方、市況・相場に左右されにくいので、安定性やワークライフバランスを重視するなら地方銀行もおすすめです。法人営業では、証券会社で培った経営層への提案スキルや事業理解力が活かせます。

資産運用アドバイスにおいて昨今高度な知識が求められているので、証券会社からのキャリアとしてローンや信託、保険等の深い知識と経験が付加価値となることが考えられます。

証券と比較すると年収が下がることが多いのが懸念点です。また、証券会社リテールの方はローンや不動産に関する実務経験がないことから、特に銀行分野においては採用現場では慎重に見られる傾向にあるのも難点です。

M&Aアドバイザー

M&Aアドバイザーは、企業の合併と買収に関して、戦略立案から契約までの一連のアドバイスや取りまとめを担う仕事で、「M&Aコンサルタント」や「ファイナンシャルアドバイザー」といった呼称もあります。財務会計、税務、法律などの専門知識が必要ですが、証券会社で身につけた金融知識を活かすことができます。

証券会社で得た企業分析や財務分析のスキルは、M&A案件の評価や交渉の際に役立ちます。プレゼンテーション力や交渉力も、M&A案件の提案やクロージングに活かせるでしょう。年収の大きなアップサイドを狙えるキャリアとして、近年人気が高まっています。M&A仲介業界は今後さらに成長が期待されており、証券会社で培ったスキルや経験が大いに活かせるフィールドです。

PEファンド・VC

PEファンドは、投資家から資金を集めて未公開株式を取得し、株式公開や売却によって中長期的な利益を得るビジネスです。企業投資に関する知見を得る必要はありますが、証券会社のディーラー業務と通じるところがあり、転職先としておすすめです。

VC(ベンチャーキャピタル)も同様に、スタートアップ企業への投資を行う仕事です。証券会社で培った市場分析力、企業評価能力、財務知識が直接活かせます。投資先企業の成長を支援し、将来的なIPOやM&Aを目指す仕事は、やりがいも大きいです。

投資判断の責任は重く、高度な専門性が求められます。

IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)

IFAは、特定の金融機関に属さず、中立的な立場から顧客に資産運用の提案を行う職業です。証券会社でリテール営業や機関投資家営業、株式調査、債券調査などに従事した経験を持つ方は、IFAへの転職を選ぶケースがあります。

IFAの最大の魅力は、ノルマがなく、顧客本位の提案ができることです。

証券会社時代に「顧客のためにならないと分かっている商品を売らなければならない」という倫理的な葛藤を感じていた方にとって、この環境は大きな魅力となります。また、実力次第で年収1000万円以上も可能で、ワークライフバランスも取りやすい働き方ができます。

独立開業の形態が多いため、顧客基盤の構築や事業運営のスキルも必要です。

生命保険会社・損害保険会社

生命保険会社は、証券会社での営業経験を活かしやすい転職先のひとつです。特に個人向け営業(リテール)で培った提案力や顧客との信頼構築力は、保険商品の販売・保全においても高く評価されます。

証券会社での新規開拓経験を活かしながら保険に関する知識経験を得ることができます。フルコミッション型の保険会社であれば年収の大きなアップサイドを狙えますが、固定給型の会社を選べば安定した収入を得ることもできます。

証券と比較すると年収が下がることが多い点には注意が必要です。

コンサルティングファーム

コンサルティング業界も証券会社からの転職先としておすすめです。特に金融系のコンサルティングファーム・ポジションであれば、クライアントに対して金融関係のコンサルティングサービスを行うので、これまでの金融業界の知見やプレゼン力、リサーチ業務(財務・市場分析など)の経験などが役立ちます。

証券会社で培った専門スキルの中で、リスク管理の経験を活かすのであれば、リスクコンサルタントが選択肢として挙げられます。市場分析のスキルを活かすのであれば、戦略コンサルタントへの転職が考えられます。コンサルティング業界は年収も高く、将来は独立するなどの選択肢もあります。組織改革や戦略コンサルティングにおいても、経営視点でのアドバイスを行う上での重要なスキルセットが証券会社で培われます。

事業会社の財務・経営企画

証券会社で経営企画や事業企画、リサーチ業務などに携わっていた方は、事業会社の経営企画部門への転職も選択肢の一つとして挙げられます。経営企画は、企業全体の戦略立案や予実管理、資金調達、M&A検討、新規事業の企画など、経営陣に近い立場で意思決定を促す役割を担います。

法人RMとして事業会社の資金ニーズに応じたソリューションを提供してきた方の場合、経営企画の財務分析や資本政策立案業務において、資本コストやROEといった観点を含む財務戦略の知見が生かせるでしょう。また、投資銀行部門でM&Aや資金調達案件に従事していた方であれば、事業戦略にもとづくPMI(統合後の経営管理)などの高度なスキルを提供でき、企業の中核としての活躍が期待されることも少なくありません。

事業会社の経営企画は、単に分析・提案を行うだけでなく、社内各部門を巻き込みながらプロジェクトを推進する能力も問われます。

年齢・経験年数別の転職戦略

証券会社からの転職を成功させるには、年齢や経験年数に応じた戦略を立てることが重要です。20代、30代、40代以上では、転職市場での評価ポイントや適した転職先が大きく異なります。ここでは、年齢別の具体的な転職戦略を解説します。

20代(経験2-5年)の転職戦略

ポテンシャル採用を狙える最後のチャンス
証券会社での経験が2〜5年程度であれば、主に身につくスキルは営業関連のスキルですが、これを武器に異業種への転職も十分可能です。

この年代の転職戦略は「スキルの汎用性」をアピールすることです。例えば、「証券リテール営業」から「SaaSの法人営業」へ転職する場合、活かせるスキルは「新規開拓力」や「目標達成力」であり、高い評価が期待できます。一方で、学習負荷は「プロダクト知識」や「業界ドメイン知識」の習得が必要なため、やや高くなりますが、20代であれば柔軟に対応できると評価されます。

転職先としては、IT/SaaS業界の営業職、人材業界、不動産業界などが人気です。また、金融業界内での転職であれば、IFAやアセットマネジメント会社への転職も選択肢に入ります。20代のうちは年収維持または微増を目指し、ワークライフバランスの改善や将来性のある業界・職種を優先することをおすすめします。

20代での転職は「なぜ早期に辞めるのか」という質問に対して、納得感のある説明が必要です。「ノルマがきつい」だけでは説得力に欠けるため、「より顧客本位の提案がしたい」「専門性を深めたい」など、ポジティブな転職理由を用意しましょう。

30代(経験5-10年)の転職戦略

専門性の高さとマネジメント経験をアピール
30代は証券会社での経験が5〜10年となり、リテール営業だけでなく、ディーラー業務やリサーチ業務などより高度な職種の経験を積むことができる年代です。

30代中盤〜後半になると、営業成績が中〜上位であれば、より専門性の高い仕事を求めて転職するケースが増えます。年収700万円以上を目指し、M&Aアドバイザー、コンサルティングファーム、PEファンド、事業会社の経営企画などへの転職が人気です。特にホールセール部門で金融機関や法人顧客を相手にした経験を持つ場合、アセットマネジメント会社での機関投資家営業やプロダクトマーケティング部門での業務と親和性が高いスキルを培っていることから、即戦力として活躍できる可能性が期待できます。

また、30代は「家族との時間を確保しつつキャリアアップしたい」というニーズも高まる年代です。IFAとして独立する、事業会社の財務部門に転職するなど、ワークライフバランスと年収の両立を目指す選択肢も検討しましょう。

30代での転職は即戦力が求められるため、自分のスキルを正確に棚卸しし、それを活かせる転職先を選ぶことが重要です。

40代以上(経験10年以上)の転職戦略

マネジメント経験と人脈を最大限活かす
40代後半〜50代の証券会社出身者は、管理職または営業トップ層として豊富な経験を持っています。体力的な限界を感じ始めている方も多く、「若手のような激務営業を続けるのは体力的に厳しい」「老後を見据えた安定的なキャリアを築きたい」というニーズが高まります。

転職先としては、IFAとして独立する、事業会社の財務部長や経営企画部長として転職する、M&Aアドバイザーとして経験を活かすなどの選択肢があります。年収維持(最低800万円)を目指しつつ、体力的に無理のない働き方、これまでの経験・人脈を最大限活かせる環境を優先しましょう。

40代以上の転職では、「管理職としての昇進は頭打ち」という現実もあります。同じ証券会社内でのキャリアアップが難しい場合、外部に活路を見出すことも重要です。

年収を下げずに転職できるかは不安な点でもあります。転職エージェントを活用し、自分の市場価値を客観的に把握することをおすすめします。また、定年後も続けられる仕事、社会的地位・信頼性を重視することも、この年代の転職では重要なポイントです。

証券会社から転職を成功させる5つのコツ

証券会社からの転職を成功させるには、具体的な準備と戦略が必要です。ここでは、転職成功者が実践している5つのコツを紹介します。これらを実践することで、転職活動の精度と効率を高めることができます。

スキルの棚卸しと強みの言語化

転職活動の第一歩は、自分のスキルを正確に棚卸しすることです。証券会社での経験を「営業をしていました」とだけ伝えても、採用担当者には伝わりません。具体的に何をしてきたのか、どんな成果を出したのか、どんなスキルが身についたのかを明確にしましょう。

スキルの棚卸しは、「営業力」「金融知識」「目標達成力」「顧客管理力」「コンプライアンス意識」の5つの観点で整理するとわかりやすいです。例えば、営業力であれば「新規開拓で年間○○件の顧客を獲得」「既存顧客との信頼関係構築により、リピート率○○%を達成」など、具体的な数字を交えて説明できるようにしましょう。

証券マンの転職において、多くの採用担当者が注目するのは、単なる金融商品の知識だけではありません。むしろ、厳しい環境で成果を出すために培われたポータブルスキル(持ち運び可能な能力)こそが、あなたの市場価値の源泉となります。

自分の強みを「他業界でも通用するスキル」として言語化することが重要です。

職務経歴書の書き方とポイント

職務経歴書は、あなたのスキルと実績を採用担当者に伝える重要なツールです。証券会社出身者の職務経歴書で特に重要なのは、「具体的な数字」と「成果」を明記することです。

例えば、「ノルマを安定的に達成した具体的な数字」や、「顧客との信頼関係を構築し、長期的な取引を実現した経験」などを事例として挙げると、説得力が増します。また、証券業界特有の厳しい環境で培ったストレス耐性や目標達成意識を、新たな業界でどのように活かせるかを具体的に説明することが重要です。

職務経歴書の構成は、「職務要約(200字程度)」「職務経歴(時系列で詳細に)」「活かせるスキル」「自己PR」の4つのセクションで構成するのが基本です。特に「活かせるスキル」のセクションでは、転職先の業界・職種で求められるスキルと、自分のスキルを結びつけて説明しましょう。

異業種への転職の場合、証券会社特有の用語を避け、誰にでもわかる言葉で説明することも重要です。

面接での効果的な自己PR法

面接では、職務経歴書に書いた内容をさらに深掘りして説明することが求められます。証券会社からの転職で特に重要なのは、「なぜ証券会社を辞めるのか」という質問に対して、ネガティブな印象を与えずに答えることです。

「ノルマがきつい」「激務で疲れた」といった理由は本音かもしれませんが、面接ではポジティブな転職理由に変換しましょう。例えば、「より顧客本位の提案がしたい」「専門性を深めたい」「長期的な視点で顧客と関係を築きたい」など、前向きな理由を用意することが重要です。

また、自己PRでは「証券会社での経験を転職先でどう活かせるか」を具体的に説明しましょう。例えば、IT業界への転職であれば「証券会社で培った新規開拓力を、SaaS営業の新規顧客獲得に活かせます」、事業会社の経営企画への転職であれば「法人RMとして培った財務分析力を、貴社の資本政策立案に活かせます」といった具合です。

案件ごとに異なるストーリーを適切に言語化することが、面接官に好印象を与えます。

転職エージェントの活用方法

証券会社からの転職では、転職エージェントの活用が成功の鍵となります。特に金融業界に強い転職エージェントを選ぶことで、非公開求人の紹介や、業界特有の選考対策を受けることができます。

転職エージェントを活用するメリットは3つあります。第一に、自分の市場価値を客観的に把握できることです。証券会社での経験が他業界でどう評価されるかは、自分ではなかなか判断できません。エージェントは転職市場の動向を熟知しているため、適切なアドバイスをもらえます。第二に、職務経歴書の添削や面接対策など、選考対策のサポートを受けられることです。特に異業種への転職では、業界特有の選考ポイントを知ることが重要です。第三に、条件交渉を代行してもらえることです。年収交渉や入社日の調整など、自分では言いにくいことも、エージェントが間に入ることでスムーズに進みます。

エージェントに丸投げするのではなく、自分でも情報収集を行い、主体的に転職活動を進めることが重要です。複数のエージェントに登録し、それぞれの強みを活かすことも効果的です。

転職のベストタイミングの見極め方

転職のタイミングを誤ると、年収が下がったり、キャリアに傷がついたりするリスクがあります。証券会社からの転職のベストタイミングは、「経験年数」「年齢」「市場環境」の3つの観点で判断しましょう。

経験年数の観点では、最低でも2〜3年は証券会社で働くことをおすすめします。1年未満での転職は「すぐに辞める人」という印象を与えてしまいます。一方で、5年以上働くと、証券会社特有のスキルが固まってしまい、異業種への転職が難しくなることもあります。年齢の観点では、20代であればポテンシャル採用を狙えますが、30代以降は即戦力が求められます。自分の年齢とスキルのバランスを考えて、転職のタイミングを判断しましょう。

市場環境の観点では、証券業界や転職先の業界の景気動向も重要です。例えば、M&A業界は企業の合併・買収が活発な時期に求人が増えます。IT業界は常に人手不足ですが、景気後退期には採用が減ることもあります。

退職金やストックオプションのタイミングも考慮しましょう。退職金の支給時期や、ストックオプションの権利確定時期を確認し、金銭的な損失を避けることも重要です。

転職成功事例|年収推移と転職理由

証券会社からの転職を具体的にイメージするために、実際の成功事例を紹介します。ここでは、年代別の転職事例と、転職前後の年収推移、転職理由を詳しく解説します。これらの事例を参考に、自分のキャリアプランを描いてみましょう。

事例1:20代でM&Aアドバイザーに転職(年収500万→700万)

Aさん(27歳・男性)は、大手証券会社のリテール営業として5年間勤務していました。新規開拓営業で年間50件以上の顧客を獲得し、営業成績は支店内でも上位でしたが、「顧客のためにならない商品を売ることに疑問を感じる」「より専門性の高い仕事がしたい」という理由で転職を決意しました。

転職先として選んだのは、中堅のM&Aアドバイザリー会社です。証券会社で培った財務分析力や企業評価能力を活かせると考えたからです。転職活動では、「証券会社での法人営業経験」と「財務諸表を読み解く力」をアピールしました。面接では「なぜ証券会社を辞めるのか」という質問に対して、「短期的な売買ではなく、企業の長期的な成長を支援したい」と答え、好印象を与えました。

転職後の年収は500万円から700万円にアップしました。M&A業界は成果報酬型が多く、案件を成功させれば年収1000万円以上も可能です。Aさんは「証券会社時代よりも顧客に感謝される機会が増えた」「専門性を深められる環境で働けている」と満足しています。

M&A案件は数ヶ月から1年以上かかることもあり、長期的な視点で仕事に取り組む必要があります。

事例2:30代でIFAとして独立(年収600万→1000万)

Bさん(35歳・女性)は、中堅証券会社のリテール営業として10年間勤務していました。富裕層の顧客を中心に資産運用のアドバイスを行い、顧客からの信頼も厚かったのですが、「会社のノルマに縛られず、本当に顧客のためになる提案がしたい」「ワークライフバランスを改善したい」という理由で、IFAとして独立することを決意しました。

IFAとして独立するには、顧客基盤の構築が最大の課題です。Bさんは、証券会社時代の顧客の一部に独立を伝え、約30名の顧客が移行してくれました。また、IFA法人に所属することで、バックオフィス業務のサポートを受けられる体制を整えました。独立1年目の年収は600万円から1000万円にアップし、2年目には1200万円を達成しました。

Bさんは「証券会社時代は会社の方針に従って商品を提案していたが、IFAになってからは本当に顧客のためになる商品を提案できるようになった」「残業もほとんどなく、家族との時間も取れるようになった」と話しています。

独立には顧客基盤の構築や事業運営のスキルが必要で、すべての人に向いているわけではありません。

事例3:40代で事業会社の財務部長に転職(年収800万→900万)

Cさん(43歳・男性)は、大手証券会社の法人営業として15年間勤務していました。投資銀行部門でM&Aや資金調達案件に従事し、多くの企業の経営層と関わってきました。しかし、「体力的に激務を続けるのが厳しくなってきた」「老後を見据えた安定的なキャリアを築きたい」という理由で、事業会社への転職を決意しました。

転職先として選んだのは、東証プライム上場の製造業の財務部長ポジションです。証券会社で培った財務分析力や資金調達の知識を活かせると考えたからです。転職活動では、「M&A案件での企業評価経験」と「経営層とのコミュニケーション能力」をアピールしました。面接では「証券会社での経験を事業会社でどう活かせるか」を具体的に説明し、採用に至りました。

転職後の年収は800万円から900万円にアップしました。証券会社時代よりも残業は減り、ワークライフバランスも改善されました。Cさんは「証券会社時代は外部から企業を支援する立場だったが、今は企業の内部から経営に関わることができる」「定年後も働ける環境を得られた」と満足しています。

事業会社は証券会社と比べて意思決定のスピードが遅く、社内調整に時間がかかることもあります。

転職失敗パターンと対策|こんな転職は避けよう

証券会社からの転職で成功する人がいる一方で、失敗してしまう人もいます。ここでは、よくある転職失敗パターンとその対策を紹介します。これらのパターンを知ることで、同じ失敗を避けることができます。

年収だけで選んで後悔したケース

転職理由の第1位が「給与が低い・昇給が見込めない」であることから、年収アップを目指して転職する人は多いです。しかし、年収だけで転職先を選ぶと、入社後に後悔することがあります。

例えば、Dさん(29歳・男性)は、証券会社から年収800万円の外資系金融機関に転職しました。年収は200万円アップしましたが、成果を出せなければすぐに退職を余儀なくされる厳しい環境で、入社1年で退職してしまいました。その後、再度転職活動を行いましたが、「短期間で2回転職している」という経歴がネックとなり、希望する転職先が見つかりませんでした。

対策としては、年収だけでなく、「仕事内容」「企業文化」「ワークライフバランス」「キャリアパス」など、総合的に判断することが重要です。年収が高い企業は、それだけ高い成果を求められることが多いです。自分のスキルや適性に合った転職先を選びましょう。

転職口コミサイト(OpenWork、転職会議等)で実際に働いている人の評価を確認することも有効です。

スキルが活かせない職場に行ってしまったケース

証券会社で培ったスキルを活かせない職場に転職してしまい、「こんなはずではなかった」と後悔するケースもあります。特に異業種への転職では、事前の業界研究が不足していると、このような失敗が起こりやすいです。

例えば、Eさん(32歳・女性)は、証券会社から事業会社の営業職に転職しました。「証券会社で培った営業力を活かせる」と考えたからですが、実際には既存顧客のルート営業が中心で、新規開拓の機会がほとんどありませんでした。証券会社時代に培った新規開拓力を活かせず、やりがいを感じられなくなってしまいました。

対策としては、転職前に「具体的にどんな仕事をするのか」を詳しく確認することが重要です。求人票の「仕事内容」だけでなく、面接で「1日のスケジュール」や「具体的な業務内容」を質問しましょう。また、可能であれば職場見学やOB訪問を行い、実際に働いている人の話を聞くことも有効です。

転職エージェントに「証券会社で培ったスキルを活かせる職場」を明確に伝え、適切な求人を紹介してもらうことも重要です。

転職のタイミングを誤ったケース

転職のタイミングを誤ると、キャリアに傷がついたり、金銭的な損失を被ったりすることがあります。特に証券会社では、退職金やストックオプションのタイミングが重要です。

例えば、Fさん(28歳・男性)は、証券会社に入社3年目で転職を決意しました。しかし、退職金の支給条件が「勤続5年以上」だったため、あと2年待てば受け取れた退職金(約200万円)を逃してしまいました。また、ストックオプションの権利確定前に退職してしまい、将来的な利益も失いました。

対策としては、退職前に「退職金の支給条件」「ストックオプションの権利確定時期」「有給休暇の残日数」などを確認しましょう。特に退職金は、勤続年数によって大きく変わることが多いです。また、転職先の入社日を調整することで、退職金の支給を待ってから転職することも可能です。

転職エージェントに相談し、金銭的な損失を避けるタイミングで転職することをおすすめします。

企業研究不足で入社後にギャップを感じたケース

企業研究が不足していると、入社後に「こんな会社だとは思わなかった」とギャップを感じることがあります。特に証券会社と異業種では、企業文化や働き方が大きく異なることが多いです。

例えば、Gさん(35歳・男性)は、証券会社からスタートアップ企業に転職しました。「裁量のある環境で働きたい」と考えたからですが、実際には組織体制が未整備で、バックオフィス業務も自分で行わなければならず、想定以上の負担を感じてしまいました。また、証券会社時代と比べて福利厚生が充実しておらず、給与体系も不安定でした。

対策としては、転職前に「企業の経営状況」「組織体制」「福利厚生」「評価制度」などを詳しく調べることが重要です。特にスタートアップ企業への転職では、「成長意欲の高さ」と「安定性の低さ」がトレードオフになることを理解しておきましょう。面接で「入社後の研修プログラム」や「中途入社者の定着率」を質問することも有効です。

転職口コミサイトで元社員の評価を確認し、企業の実態を把握することも重要です。

面接でよく聞かれる質問と回答例

証券会社からの転職面接では、必ずと言っていいほど聞かれる質問があります。ここでは、特に重要な4つの質問と、効果的な回答例を紹介します。これらを参考に、自分なりの回答を準備しましょう。

「なぜ証券会社を辞めるのですか?」への答え方

この質問は、ほぼ確実に聞かれる質問です。採用担当者は、「すぐに辞める人ではないか」「ネガティブな理由で転職していないか」を確認したいと考えています。ここでネガティブな理由を述べると、印象が悪くなります。

悪い回答例:「ノルマがきつくて、毎日深夜まで働くのが辛かったからです。上司からのプレッシャーも強く、精神的に限界を感じました。」この回答は、ストレス耐性の低さや、困難から逃げる姿勢を印象づけてしまいます。

良い回答例:「証券会社では5年間、リテール営業として多くの顧客と関わり、営業力や金融知識を身につけることができました。しかし、短期的な売買提案が中心で、顧客の長期的な資産形成を支援することが難しいと感じるようになりました。御社のM&Aアドバイザリー業務であれば、企業の長期的な成長を支援でき、より深い専門性を発揮できると考え、転職を決意しました。」この回答は、ポジティブな転職理由を述べつつ、転職先でどう貢献できるかを明確にしています。

「証券会社での経験をどう活かせますか?」への答え方

この質問では、証券会社で培ったスキルを、転職先でどう活かせるかを具体的に説明することが求められます。抽象的な説明ではなく、転職先の業務内容と結びつけて説明しましょう。

悪い回答例:「証券会社で営業をしていたので、営業力には自信があります。どんな仕事でも頑張ります。」この回答は、具体性に欠け、転職先でどう貢献できるかが伝わりません。

良い回答例:「証券会社では、法人営業として企業の経営層と関わり、資金調達や財務戦略の提案を行ってきました。この経験を御社の経営企画部門で活かし、資本政策の立案やM&A案件の評価に貢献できると考えています。特に、財務諸表を読み解く力や、経営層とのコミュニケーション能力は、御社の業務に直結すると考えています。」この回答は、具体的なスキルと転職先の業務を結びつけており、説得力があります。

「ノルマ未達成の経験はありますか?」への答え方

この質問は、困難な状況にどう対処したかを確認するための質問です。ノルマ未達成の経験がある場合、正直に答えつつ、そこからどう学んだかを説明しましょう。

悪い回答例:「ノルマ未達成の経験はありません。常にノルマを達成してきました。」この回答は、嘘をついている可能性があると疑われるか、困難な状況に直面した経験がないと判断されます。

良い回答例:「入社2年目に、ノルマ未達成の月がありました。原因は、新規開拓に注力しすぎて、既存顧客のフォローが疎かになったことです。この経験から、新規開拓と既存顧客のバランスを取ることの重要性を学びました。その後は、顧客管理を徹底し、既存顧客からの紹介で新規顧客を獲得する仕組みを作り、安定的にノルマを達成できるようになりました。」この回答は、失敗から学んだことを具体的に説明しており、成長意欲をアピールできています。

「転職後のキャリアプランは?」への答え方

この質問では、長期的なキャリアビジョンを持っているかを確認されます。「とりあえず転職したい」という姿勢ではなく、明確なキャリアプランを持っていることをアピールしましょう。

悪い回答例:「まだ具体的には考えていませんが、まずは御社で経験を積みたいと思います。」この回答は、キャリアビジョンが不明確で、計画性がない印象を与えます。

良い回答例:「まずは御社のM&Aアドバイザリー業務で経験を積み、3年以内に独立して案件を担当できるようになりたいと考えています。5年後には、M&A案件のリーダーとして、チームをまとめる立場になりたいです。将来的には、御社の事業拡大に貢献し、新規事業の立ち上げにも関わりたいと考えています。」この回答は、短期・中期・長期のキャリアプランが明確で、転職先での成長意欲をアピールできています。

証券会社からの転職で気をつけたいこと

証券会社からの転職では、一般的な転職とは異なる注意点があります。ここでは、証券会社特有の注意点を4つ紹介します。これらを事前に確認しておくことで、転職後のトラブルを避けることができます。

退職金・ストックオプションのタイミング

証券会社では、退職金やストックオプションの制度がある場合が多いです。これらの受け取りタイミングを確認せずに退職すると、大きな金銭的損失を被ることがあります。

退職金の支給条件は、企業によって異なります。一般的には「勤続3年以上」「勤続5年以上」などの条件があり、条件を満たさないと支給されないことが多いです。例えば、勤続4年11ヶ月で退職すると、あと1ヶ月待てば受け取れた退職金を逃してしまいます。退職前に就業規則を確認し、退職金の支給条件を確認しましょう。

ストックオプションについても、権利確定時期を確認することが重要です。多くの企業では、付与から数年後に権利が確定する仕組みになっています。権利確定前に退職すると、ストックオプションを行使できなくなります。特に株価が上昇している場合、大きな損失となります。

転職先の入社日を調整し、権利確定を待ってから転職することも検討しましょう。

インサイダー取引規制の引き継ぎ

証券会社で働いていると、未公開情報に触れる機会が多くあります。退職後も、在職中に知った未公開情報を利用した株式売買は、インサイダー取引として法律で罰せられます。

特に注意が必要なのは、転職先が事業会社の場合です。証券会社時代に担当していた企業に転職する場合、在職中に知った未公開情報を転職先で利用することは、インサイダー取引に該当する可能性があります。また、転職先の企業が上場企業の場合、自社株の売買にも制限があることが多いです。

対策としては、退職時に「在職中に知った未公開情報」をリスト化し、それに関わる企業の株式売買を避けることが重要です。また、転職先の企業でも、インサイダー取引規制について確認し、コンプライアンス研修を受けることをおすすめします。

証券会社で培ったコンプライアンス意識を、転職後も維持しましょう。

転職先での給与体系の違い(歩合給vs固定給)

証券会社では、歩合給(インセンティブ)が給与の大きな部分を占めることが多いです。一方、転職先では固定給中心の給与体系が一般的です。この違いを理解せずに転職すると、「思ったより年収が低い」と感じることがあります。

例えば、証券会社で年収800万円だった人が、固定給600万円の企業に転職した場合、表面上は年収ダウンに見えます。しかし、証券会社時代の年収800万円のうち、300万円が歩合給だった場合、固定給ベースでは500万円だったことになります。この場合、転職後の固定給600万円は、実質的には年収アップです。

転職前に、「基本給」と「歩合給」の内訳を確認しましょう。また、転職先の給与体系(固定給中心か、歩合給があるか)も確認することが重要です。特にIFAや保険営業など、歩合給中心の職種に転職する場合は、「最低保証給」があるかどうかも確認しましょう。

固定給が少ないと、成果が出ない時期に生活が苦しくなる可能性があります。

金融業界以外への転職時の注意点

証券会社から金融業界以外に転職する場合、業界構造や営業スタイルの違いに戸惑うことがあります。事前に業界研究を行い、自分のスキルをどう活かせるか具体的に説明できるよう準備しておきましょう。

例えば、商社における法人営業は、国内外の取引先と長期的な関係性を築きながら、新規事業や調達ルートの開拓などを担います。証券会社での法人RM経験で培った経営層への提案スキルや事業理解力は、長期的に顧客との信頼関係を築く商社特有のビジネスモデルにもフィットするでしょう。不動産業界では、特にデベロッパーや仲介会社の営業職などで、富裕層へのアプローチ経験がある証券出身者が活躍しています。

異業界へ転職する場合、金融業界とは違う業界構造や営業スタイルを理解する必要があります。事前に業界研究を行い、自分のスキルをどう生かせるか具体的に説明できるよう準備しておきましょう。また、業界特有の用語や商習慣を学ぶ姿勢も重要です。転職後は、謙虚な姿勢で新しい環境に適応することを心がけましょう。

よくある質問(Q&A)

よくある質問(Q&A)
証券会社の経験は何年あれば転職に有利?

一般的には、最低でも2〜3年の経験があれば転職市場で評価されます。1年未満での転職は「すぐに辞める人」という印象を与えてしまうため、避けた方が良いでしょう。一方で、5年以上働くと、証券会社特有のスキルが固まってしまい、異業種への転職が難しくなることもあります。20代であれば3〜5年、30代であれば5〜10年の経験があると、転職市場での評価が高まります。ただし、年齢や経験年数だけでなく、「どんなスキルを身につけたか」「どんな成果を出したか」が重要です。

リテール営業とホールセール営業で転職先は変わる?

はい、リテール営業(個人営業)とホールセール営業(法人営業)では、転職先の選択肢が変わります。リテール営業の経験者は、IFA、生命保険会社、不動産営業など、個人顧客を対象とした営業職への転職が多いです。一方、ホールセール営業の経験者は、M&Aアドバイザー、事業会社の経営企画、コンサルティングファームなど、法人顧客を対象とした専門職への転職が多いです。特にホールセール部門で金融機関や法人顧客を相手にした経験を持つ場合、アセットマネジメント会社での機関投資家営業やプロダクトマーケティング部門での業務と親和性が高いスキルを培っていることから、即戦力として活躍できる可能性が期待できます。

証券外務員資格は転職に役立つ?

証券外務員資格は、金融業界内での転職では必須に近い資格です。特に証券会社、銀行、IFAなど、金融商品を扱う職種では、証券外務員資格がないと業務ができません。一方、金融業界以外への転職では、証券外務員資格そのものよりも、「金融知識を持っている証明」として評価されます。ただし、資格だけでは転職に有利とは言えません。実際に証券会社でどんな業務を行い、どんな成果を出したかが重要です。資格はあくまで「基礎知識がある証明」であり、実務経験と合わせてアピールすることが大切です。

大手証券とネット証券で転職の有利さは違う?

はい、大手証券とネット証券では、転職市場での評価が異なることがあります。大手証券(野村證券、大和証券、SMBC日興証券など)は、ブランド力があり、厳しい環境で鍛えられた人材として評価されます。特に法人営業やM&A案件に携わった経験は、高く評価されます。一方、ネット証券(SBI証券、楽天証券など)は、デジタルマーケティングやシステム開発の経験が評価されます。IT業界やFinTech企業への転職では、ネット証券の経験が有利に働くこともあります。ただし、最終的には「どんな業務を行い、どんな成果を出したか」が重要であり、会社名だけで判断されることはありません。

転職活動はどのくらいの期間がかかる?

証券会社からの転職活動は、一般的に3〜6ヶ月程度かかります。転職活動の流れは、「自己分析・スキルの棚卸し(1〜2週間)」「求人情報の収集・応募(1〜2ヶ月)」「書類選考・面接(2〜3ヶ月)」「内定・退職交渉(1ヶ月)」となります。ただし、転職先の業界や職種、年齢によって期間は変わります。金融業界内での転職であれば比較的短期間で決まることが多いですが、異業種への転職では時間がかかることもあります。また、在職中に転職活動を行う場合、面接の日程調整が難しく、期間が長引くこともあります。余裕を持ったスケジュールで転職活動を進めましょう。

在職中と退職後、どちらで転職活動すべき?

基本的には、在職中に転職活動を行うことをおすすめします。在職中であれば、収入が途絶えることなく、焦らずに転職先を選ぶことができます。また、「現在も働いている」という事実は、採用担当者に安心感を与えます。一方、退職後に転職活動を行うと、「なぜ退職したのか」「ブランク期間は何をしていたのか」という質問に答える必要があり、不利になることがあります。ただし、証券会社の激務で転職活動の時間が取れない場合や、心身の健康を害している場合は、退職後に転職活動を行うことも選択肢です。その場合は、退職理由を明確にし、ブランク期間を有効活用(資格取得、スキルアップなど)することが重要です。

まとめ

証券会社からの転職は、営業力・金融知識・目標達成力といったスキルが高く評価され、転職市場で非常に有利です。転職先は金融業界内だけでなく、M&A、コンサルティング、IT、不動産、事業会社の経営企画など、幅広い選択肢があります。

転職を成功させるには、年齢や経験年数に応じた戦略を立てることが重要です。20代はポテンシャル採用を狙い、30代は専門性とマネジメント経験をアピールし、40代以上はマネジメント経験と人脈を最大限活かしましょう。また、スキルの棚卸しと強みの言語化、職務経歴書の作成、面接対策、転職エージェントの活用、転職のベストタイミングの見極めが成功の鍵となります。

一方で、年収だけで選んで後悔したケース、スキルが活かせない職場に行ってしまったケース、転職のタイミングを誤ったケース、企業研究不足で入社後にギャップを感じたケースなど、失敗パターンもあります。これらを避けるために、総合的に判断し、事前の業界研究を徹底し、退職金やストックオプションのタイミングを確認し、企業の実態を把握することが重要です。

転職は人生の大きな決断です。自分のキャリアプランを明確にし、証券会社で培ったスキルを最大限活かせる転職先を選びましょう。なお、転職は個人の判断と責任で行ってください。年収や待遇は企業・個人の状況により異なります。詳しくは各転職エージェント・企業にご確認ください。

SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

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