SBI証券に店舗はある?相談窓口と利用方法を解説

タイで生活していると、バーツで貯まった資金を効率的に運用したいと考えることはありませんか。
タイで証券口座を開設すれば、タイ株式市場への投資を通じて資産を増やすチャンスが広がります。
この記事では、タイで証券口座を開設するための基本条件から具体的な手順、おすすめの証券会社まで詳しく解説します。
口座開設後の取引方法や税金の取り扱い、帰国時の処理方法も含めて、タイ株式投資に必要な情報を網羅的にお伝えします。
投資にはリスクが伴いますが、正しい知識を持って始めれば、タイでの資産形成の選択肢が大きく広がるでしょう。
目次
タイで証券口座を開設するには?
タイで証券口座を開設して投資を始めるには、いくつかの基本条件を満たす必要があります。
ここでは、口座開設に必要な条件と全体の流れを解説します。
タイで証券口座を開設するには、タイ居住者であることが基本条件となります。
具体的には、ノンイミグラントビザやリタイアメントビザなどの長期滞在ビザを保有していることが求められます。
観光ビザや短期滞在では口座開設ができない証券会社がほとんどです。証券会社によって求められるビザの種類は異なりますが、一般的には90日以上の長期ビザが必要とされています。
駐在員の方であればワークパーミット(労働許可証)を持っていれば問題なく開設できます。
証券口座への入金や配当金の受け取りには、タイの銀行口座が必須となります。
対応している銀行は証券会社によって異なりますが、バンコック銀行、サイアム商業銀行、カシコン銀行、アユタヤ銀行などの大手銀行であれば問題なく利用できます。
銀行口座は証券口座開設前に準備しておく必要があります。また、証券会社によっては特定の銀行口座でないと即時入金サービスが利用できない場合もありますので、事前に確認しておくとよいでしょう。
タイでの証券口座開設は、日本と比較すると手続きが簡略化されています。
基本的な流れは以下のとおりです。
多くの証券会社では、本人確認のためのオンライン面談が実施されます。
面談では本人確認書類を画面に映して提示する必要があります。
口座開設から取引開始までは、証券会社によって異なりますが、通常1週間から2週間程度かかります。
タイで証券口座を開設する3つのメリット
タイで証券口座を開設して投資を始めることには、日本での投資にはない魅力的なメリットがあります。
ここでは特に重要な3つのメリットを解説します。
タイ株式投資の最大のメリットは、株式売却益(キャピタルゲイン)が非課税であることです。
タイ証券取引所に上場している株式をタイ証券取引所で売却した場合、個人投資家の売却益には税金がかかりません。
キャピタルゲイン税の比較
日本:株式売却益に対して20.315%の税金
タイ:株式売却益は非課税(個人投資家の場合)
例えば100万バーツの利益が出た場合、日本であれば約20万バーツが税金として引かれますが、タイでは100万バーツ全額を手にすることができるのです。
この税制優遇は、長期的な資産形成において大きなアドバンテージとなります。
ただし、配当金には10%の源泉徴収税がかかる点には注意が必要です。
タイは東南アジア有数の経済成長を続けている国です。
製造業、観光業、農業・食品加工業など多様な産業が発展しており、今後も成長が期待されています。
タイは日本と異なり、カンボジア、ラオス、ミャンマーなどの隣国から若い労働力が流入しており、人口構成面でも有利な状況にあります。製造業では多くの日系企業が進出しており、ASEAN諸国への販売拠点としても重要な役割を果たしています。
新興国市場特有のボラティリティ(価格変動)はありますが、中長期的な視点で投資することで、タイ経済の成長を資産形成に活かすことができるでしょう。
タイで生活している方にとって、バーツで貯まった資金を効率的に運用できることは大きなメリットです。
銀行預金だけでは低金利でほとんど増えませんが、株式投資を活用することで資産を増やすチャンスが広がります。
タイ株式投資の特徴
少額から投資可能:100株単位で数千バーツから始められる
分散投資しやすい:株価が低い銘柄が多く、複数銘柄に投資しやすい
為替リスク分散:バーツ建て資産を保有することでリスク分散が可能
また、バーツ建てで投資することで為替リスクを避けることができます。
日本円建ての資産だけを持っていると、円安・バーツ高になった際に実質的な資産価値が目減りしてしまいますが、バーツ建て資産を保有することでリスク分散が可能になります。
タイ株式投資で気をつけたい4つのこと
タイ株式投資には魅力的なメリットがある一方で、注意すべきリスクやデメリットも存在します。
投資を始める前に、以下の4つのポイントをしっかり理解しておきましょう。
タイ株式投資における最大の課題は、情報のほとんどがタイ語でしか提供されていないことです。
企業の財務諸表、決算発表、ニュースリリースなど、投資判断に必要な情報の多くはタイ語で書かれています。
タイ語が読めない状態で投資をするということは、根拠のない期待感だけで投資をしていることと同じになってしまいます。投資で成功するためには期待感ではなく根拠が重要ですが、言語の壁によってその根拠を十分に調査できないリスクがあります。
対策として考えられる方法
タイ株式投資で得た利益を将来日本に送金する場合、バーツ/円の為替レートによって日本円での価値が変動します。
投資で利益が出ていても、バーツ安・円高が進めば日本円に換算した際の資産価値は目減りしてしまいます。
為替リスクの具体例
投資時:1バーツ=4円、100万バーツ投資(400万円相当)
運用後:200万バーツに増加(投資では2倍)
帰国時:1バーツ=3円に下落 → 日本円では600万円(元本割れ)
為替リスクへの対策としては、タイに長期滞在する予定がある方や、バーツ建て資産を持ち続ける計画がある方に向いています。
短期滞在の駐在員の方は、帰国時期が近づいたら為替動向に注意を払い、有利なタイミングで売却・送金することを検討しましょう。
タイ株式市場には、外国人投資家に対する制限があります。
タイで取引される株式には、ローカル株(L株)、フォーリン株(F株)、NVDR(無議決権預託証券)の3種類があり、外国人が購入できるのはフォーリン株とNVDRに限られます。
| 種類 | 対象投資家 | 議決権 | 配当 | 流動性 | 価格 |
| ローカル株(L株) | タイ人 | あり | あり | 高い | 標準 |
| フォーリン株(F株) | 外国人 | あり | あり | 低い | 割高 |
| NVDR | タイ人・外国人 | なし | あり | 高い | 標準 |
フォーリン株は流動性が低く、ローカル株よりも割高で取引されることが多いため、売買が成立しにくいというデメリットがあります。NVDRは議決権がない代わりに配当は受け取れ、価格もローカル株と同様の値動きをするため、外国人投資家にとっては比較的利用しやすい選択肢です。
駐在員など将来日本に帰国する予定がある方は、帰国時に証券口座をどう処理するかを考えておく必要があります。
タイの証券口座を日本から継続して利用することは、法律上の問題や税務上の複雑さから推奨されません。
帰国時には、保有している株式を売却して口座を解約するか、または一定の条件下で口座を維持するかの選択が必要になります。売却のタイミングによっては、株価が下落している時期に手放さざるを得ない可能性もあります。
また、口座に残った資金を日本に送金する際には、送金手数料や為替手数料がかかります。
帰国予定がある方は、投資を始める前に出口戦略を考えておくことが重要です。
タイで証券口座を開設できるおすすめの証券会社4社
タイで証券口座を開設する際、どの証券会社を選ぶかは投資の成功を左右する重要な決定です。
ここでは、日本人投資家が実際に利用できる主要な証券会社4社を紹介します。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 口座数 | 約15,000,000口座 ※2025年11月25日時点(SBIネオモバイル証券など含む) |
| 取引手数料 | 【スタンダードプラン(1注文ごと)】 取引金額に関係なく0円【アクティブプラン(1日定額制)】 1日100万円以下の取引:0円※現物取引・信用取引・単元未満株(S株)もすべて対象です。 |
| NISA対応 | 〇 |
| つみたて投資枠取扱銘柄数 | 〇(259銘柄)※2025年3月3日時点 |
| 成長投資枠対象商品 | 国内株 / 外国株 / 投資信託(約1,329銘柄 ※2025年3月3日時点) |
| 投資信託 | 約2,550本 ※2025年3月3日時点 |
| 外国株 | 8カ国/米国株式(5,000銘柄) |
| 取引ツール(PC) | HYPER SBI 2 / HYPER SBI / SBI CFDトレーダー |
| スマホアプリ | SBI証券 株アプリ / 米国株アプリ / かんたん積立 / HYPER FX / HYPER 先物 / HYPER CFD |
| 提携銀行口座 | SBI新生銀行 / 住信SBIネット銀行 |
| ポイント投資・付与 | Pontaポイント / dポイント / Vポイント(クレカ積立) |
| 口座開設スピード | 最短 翌営業日 |
SBIタイオンライン証券は、日本のSBIグループが100%出資するタイ王国初のインターネット専業証券会社です。
最大の特徴は、日本語でのサポートが充実していることです。
SBIタイオンライン証券の特徴
日本語サポート:公式サイト・サポートデスクが日本語対応
低コスト:取引手数料0.075%
取扱商品:タイ証券取引所上場のタイ株式とETF
口座開設:すべて日本語で手続き可能
口座開設の手続きもすべて日本語で行うことができ、オンライン面談も日本語対応が可能です。
初心者の方や、タイ語に不安がある方にとって最も安心して始められる証券会社と言えるでしょう。
口座開設条件
Interactive Brokers(IB証券)は、アメリカに本社を置く大手証券会社で、タイ在住者でも口座開設が可能です。
最大の特徴は、タイ株だけでなく米国株や日本株など、世界中の株式市場にアクセスできることです。
タイ株式だけでなく、米国のS&P500に連動するETFや個別株にも投資したい方にとって、IB証券は非常に便利な選択肢です。また、Wiseを利用した入金にも対応しているため、日本にある資金を比較的容易に証券口座へ移動させることができます。
日本語でのサポートも提供されており、口座開設や問い合わせを日本語で行うことができます。
帰国時には、タイ駐在中に日本の銀行口座やWiseの米ドル口座へ資金を戻すことができるため、タイや日本での課税を避けながら利益確定ができる点もメリットです。
IB証券の特徴
グローバル投資:世界中の株式市場にアクセス可能
日本語サポート:口座開設・問い合わせが日本語対応
取引手数料:日本株は株数に対して0.08%(最低手数料80円)
入金方法:Wise対応で日本からの入金も容易
Phillip Securities(フィリップ証券)は、シンガポールに本社を置く証券会社で、タイ在住者も口座開設が可能です。
米国株投資に力を入れており、約4,000銘柄以上の米国株式を取引できます。
フィリップ証券の特徴は、口座に入金した資金を自動的にMMF(マネー・マーケット・ファンド)で運用してくれることです。現在は年率約5%の複利で運用されており、株式を購入していない待機資金も効率的に増やすことができます。
米国株の配当金については、シンガポールと米国が租税条約を締結していないため、通常は30%の源泉徴収税がかかりますが、対象銘柄に限り18%分を証券口座へ還付してくれるサービスがあります。
ただし、株式購入時には手数料のほかに維持手数料が発生する場合がありますので、取引前に手数料体系を確認しておくことをおすすめします。
サイアム商業銀行(SCB)やカシコン銀行(KBANK)などのタイの大手銀行でも、投資信託を通じて株式投資を始めることができます。
厳密には証券口座ではありませんが、すでに銀行口座を持っている方にとっては最も手軽に始められる方法です。
タイの銀行で投資するメリット
タイバーツで投資可能
購入時手数料が無料または低額
500バーツからなど少額から投資可能
SSFやRMFなどタイの所得税控除を受けられる
投資信託の売却益は非課税
ただし、信託報酬が年0.5%~1.5%前後と非常に高く、同じ商品をETFで直接購入する場合(信託報酬0.03%程度)と比較すると、長期的なコストが大きくなる点には注意が必要です。
タイの銀行での投資は、タイに10年以上長期滞在する予定がある方や、タイの所得税控除を活用したい方に向いています。
タイで証券口座を開設する手順
ここでは、タイで証券口座を開設する具体的な手順を、必要書類とともに詳しく解説します。
SBIタイオンライン証券を例に説明しますが、他の証券会社でも基本的な流れは同様です。
証券口座開設に必要な書類は以下のとおりです。
これらの書類を事前に揃えておくことで、スムーズに手続きを進めることができます。
必要書類が揃ったら、証券会社の公式サイトから口座開設申込フォームに必要事項を入力します。
SBIタイオンライン証券の場合、日本語のフォームが用意されているため、氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどの基本情報を日本語で入力できます。
入力する項目は限られており、5分程度で完了します。申込後、数日以内に口座開設書類が自宅に郵送されてきます。届いた書類には日本語の記入ガイドが添えられているため、それに従って必要事項を記入してください。記入には20分前後かかります。
また、投資経験や投資目的を確認する適性検査用紙も同封されていますので、こちらも記入します。
これは投資家保護の観点から実施されるもので、正直に回答すれば問題ありません。
記入が完了した書類と必要書類を揃えて、証券会社に提出します。
提出方法は証券会社によって異なり、郵送で受け付ける会社もあれば、オフィスへの訪問が必要な会社もあります。
面談では、カメラに向かって必要書類を提示します。
日本語が堪能なタイ人スタッフまたは日本人スタッフが担当してくれるため、日本語で安心して対応できます。
面談後、証券会社による審査が行われます。
審査期間は通常2日~1週間程度です。
審査が完了すると、メールでログインIDとパスワードが送られてきます。
このIDとパスワードを使って、証券会社のマイページにログインできるようになります。
初回ログイン時には、新しいパスワードと取引用の暗証番号(4桁)を設定する必要があります。これで口座開設は完全に完了し、入金後すぐに取引を始めることができます。
ただし、証券口座への入金システム(ペイメントゲートウェイ)の設定には別途手続きが必要で、開通までさらに1週間程度かかる場合があります。
口座開設から実際に取引を開始できるまでには、トータルで2~3週間程度を見込んでおくとよいでしょう。
タイ株式市場の基礎知識
タイで株式投資を始める前に、タイ株式市場の基本的な仕組みを理解しておくことが重要です。
ここでは、タイ証券取引所の構造と、取引される株式の種類について解説します。
SET(Stock Exchange of Thailand)は、タイ唯一の証券取引所で、バンコクのクローントゥーイ区に所在しています。
1974年に設立され、タイ国証券取引法に基づいて運営されています。
SETの特徴
上場企業数:約800社以上
取引時間:午前10時~12時30分(前場)、午後14時30分~16時40分(後場)
サーキットブレーカー:SET指数が前日終値から10%下落で30分間、20%下落で1時間取引中断
SET市場はメインボードに相当し、タイの大企業を中心に上場しています。
東京証券取引所のプライム市場に相当すると考えるとわかりやすいでしょう。
MAI(Market for Alternative Investment)は、1994年に開設された新興企業向けの市場です。
東京証券取引所のグロース市場に相当し、将来の成長が期待される中小企業が上場しています。
MAI市場に上場している企業は、SET市場と比較すると企業規模は小さいものの、高い成長率を誇る企業も多く含まれています。ただし、新興企業特有のリスクもあるため、投資する際にはより慎重な銘柄選定が必要です。
取引時間や取引ルールはSET市場と同様です。
MAI市場に上場している企業が成長してSET市場に昇格するケースもあり、そうした企業を早期に発見できれば大きなリターンを得られる可能性があります。
タイ株式市場で取引される株式には、投資家の国籍によって3つの種類があります。
それぞれの特徴を理解することが重要です。
| 種類 | 対象投資家 | 議決権 | 配当 | 流動性 | 価格 |
| ローカル株(L株) | タイ人 | あり | あり | 高い | 標準 |
| フォーリン株(F株) | 外国人 | あり | あり | 低い | 割高 |
| NVDR | タイ人・外国人 | なし | あり | 高い | 標準 |
ローカル株は、タイ国内の投資家向けの証券です。
外国人投資家がローカル株を購入した場合、議決権や配当を受け取る権利が無効となります。
NVDR(Non-Voting Depository Receipt)は無議決権預託証券と呼ばれ、タイ人も外国人も取引できます。議決権はありませんが、配当はローカル株と同様に受け取ることができ、価格もローカル株と同じ値動きをします。外国人投資家にとっては、流動性が高く価格も適正なNVDRが最も利用しやすい選択肢となっています。
多くの証券会社では、外国人投資家向けにNVDRを中心に取り扱っています。
投資を始める際には、自分が取引できる株式の種類を確認しておきましょう。
口座開設後の取引手順
証券口座の開設が完了したら、いよいよ実際の取引を始めることができます。
ここでは、入金から株式購入までの具体的な手順を解説します。
証券口座への入金方法は主に2つあります。
ペイメントゲートウェイの設定方法は2通りあります。
1つはオンラインで設定する方法で、スマホやPCから簡単に行えます。
もう1つはATMで設定する方法です。
ペイメントゲートウェイの設定には、申請から開通まで1週間程度かかる場合があります。開通前でも銀行振込で入金できますので、早く取引を始めたい方は銀行振込を利用するとよいでしょう。
証券口座に入金が完了したら、取引ツールやアプリを使って株式を購入します。
多くの証券会社では、PC版の取引ツールとスマホアプリの両方を提供しています。
取引ツールの基本的な使い方
1.銘柄コードまたは企業名で検索
2.購入する株数と注文方法(成行/指値)を選択
3.注文内容を確認
4.取引用暗証番号を入力して注文確定
初めて取引ツールを使う方は、証券会社のサポートデスクに問い合わせると、使い方を丁寧に教えてもらえます。
日本語サポートがある証券会社であれば、日本語で質問できるため安心です。
実際に株式を購入する際の具体的な手順を説明します。
初心者の方は、タイ株式市場全体に分散投資できるETFから始めることをおすすめします。例えば、SET50指数に連動するETFであれば、タイの主要50社に分散投資できます。
成行注文であれば、通常は数秒~数分で注文が成立します。
注文が成立すると、メールで通知が届き、保有銘柄一覧に購入した株式が表示されます。
購入後は、株価の動きを定期的にチェックしながら、長期的な視点で保有することをおすすめします。
タイ株式投資の税金
タイで株式投資を行う際には、税金の取り扱いを正しく理解しておくことが重要です。
タイと日本では税制が異なり、居住地によっても課税関係が変わります。
タイでの株式投資における税金は、キャピタルゲイン(売却益)と配当で取り扱いが異なります。
| 所得の種類 | タイでの税率 | 備考 |
| キャピタルゲイン(株式売却益) | 非課税 | タイ証券取引所上場株式の売却益は個人投資家の場合非課税 |
| 配当所得 | 10%(源泉徴収) | 配当金受取時に自動的に10%が差し引かれる |
タイ証券取引所に上場している株式を売却した場合、個人投資家のキャピタルゲインは非課税です。ただし、同一課税年度内(1月1日~12月31日)に購入と売却を行った場合に限り、所得税として0%~35%の累進課税が適用される場合がありますので注意が必要です。
配当所得については、受取時に10%の源泉徴収税が自動的に差し引かれます。
例えば、10,000バーツの配当を受け取る場合、実際に口座に入金されるのは9,000バーツです。
日本の居住者がタイで株式投資を行う場合、日本の税制も関係してきます。
日本の税法では、居住者は全世界所得課税の原則により、国外で得た所得も日本で申告する必要があります。
ただし、タイに180日以上滞在してタイの居住者となった場合は、日本の非居住者となります。日本の非居住者は、日本国内で発生した所得のみが日本の課税対象となるため、タイでの株式投資による所得は日本では課税されません。
一方、駐在期間が短く日本の居住者のままタイに滞在している場合は、タイでの投資所得も日本で申告する必要があります。
この場合、タイで支払った税金は、日本・タイ租税条約に基づいて外国税額控除の対象となり、二重課税を避けることができます。
帰国後に日本の居住者に戻った場合、タイの証券口座で保有している株式の売却益や配当は、日本の所得税の対象となります。日本での株式譲渡益は20.315%(所得税15.315%+住民税5%)の申告分離課税が適用されます。
タイで株式投資を行っている方で、タイの居住者(暦年180日以上タイに滞在)に該当する場合は、タイでの確定申告が必要です。
確定申告は、課税年度(1月1日~12月31日)の翌年3月末までに行います。
申告が必要な所得
タイでの確定申告は、オンラインまたは税務署の窓口で行うことができます。
申告書の作成には、証券会社から発行される年間取引報告書や配当金の受取明細が必要になりますので、大切に保管しておきましょう。
また、2024年からタイでは国外源泉所得の持ち込みに関する課税ルールが変更されました。国外で得た所得をタイに持ち込んだ場合、持ち込んだ年度がいつであっても個人所得税の対象となります。ただし、2024年1月1日より前に発生した国外所得には適用されません。
帰国時の口座処理方法
駐在員など将来日本に帰国する予定がある方は、帰国時に証券口座をどう処理するかを事前に考えておく必要があります。
適切な出口戦略を立てることで、税金や手数料を最小限に抑え、スムーズに資産を移行できます。
帰国後もタイの証券口座を維持し続けることは、法律上および実務上の問題があります。
多くの証券会社では、タイ居住者であることが口座維持の条件となっているため、帰国後は原則として口座を解約する必要があります。
仮に口座を維持し続けた場合、以下のような問題が発生する可能性があります。
口座維持のリスク
どうしても口座を維持したい場合は、証券会社に事前に相談し、維持可能かどうかを確認してください。
ただし、基本的には帰国時に口座を解約することをおすすめします。
帰国時に証券口座を解約する場合の基本的な手順は以下のとおりです。
売却のタイミングは、株価の状況や為替レートを考慮して決定しましょう。タイ駐在中に売却すれば、キャピタルゲインが非課税となるため、税負担を抑えることができます。
口座解約が完了すると、証券会社から解約完了の通知が届きます。
解約後は、年間取引報告書などの書類を受け取り、日本での確定申告に備えて保管しておきましょう。
タイの証券口座から日本に資産を移す方法はいくつかあります。
最も一般的な方法は、株式を売却して現金化し、銀行を通じて日本に送金する方法です。
送金方法の選択肢
タイの銀行から日本の銀行への海外送金:手数料1,000~2,000バーツ程度
Wiseなどのオンライン送金サービス:手数料が安く、為替レートも有利
IB証券など一部の証券会社:証券口座から直接日本の銀行口座に送金可能
Interactive Brokers(IB証券)など一部の証券会社では、証券口座から直接日本の銀行口座に送金することも可能です。
この場合、タイ駐在中に利益確定して資金をタイ国外に移すことができるため、タイや日本での課税を避けることができます。
資産の移管方法は個人の状況によって最適な選択肢が異なりますので、帰国が決まったら早めに計画を立てることが重要です。
はい、タイ語ができなくても口座開設は可能です。SBIタイオンライン証券など日本語対応の証券会社を選べば、口座開設から取引まですべて日本語で行うことができます。日本人スタッフや日本語が堪能なタイ人スタッフがサポートしてくれるため、安心して始められます。
タイ株式は通常100株単位で取引されます。株価は銘柄によって異なりますが、1株10バーツ程度の銘柄であれば1,000バーツ(約4,000円)から投資を始めることができます。ETFなども同様に少額から購入できるため、初心者でも手軽に始められます。
配当金は、証券口座に自動的に入金されます。配当金が支払われる際には、10%の源泉徴収税が差し引かれた金額が入金されます。配当金は証券口座から銀行口座に出金することもできますし、そのまま証券口座に残して再投資に使うこともできます。
タイの証券会社は、タイ証券取引委員会(SEC)の監督を受けており、顧客資産は分別管理されています。万が一証券会社が倒産した場合でも、顧客の資産は保護される仕組みになっています。また、投資者保護基金に加入している証券会社であれば、一定額までの補償を受けることができます。
タイの証券口座はタイ株式への投資に、日本の証券口座は日本株式や米国株への投資に使い分けるのが基本です。タイではキャピタルゲインが非課税というメリットがあるため、タイ株式はタイの証券口座で取引するのが有利です。一方、日本に帰国予定がある方は、NISA口座など日本の税制優遇制度を活用できる日本の証券口座も併用することをおすすめします。
初心者の方は、まずはタイ株式市場全体に分散投資できるETFから始めることをおすすめします。SET50指数に連動するETFであれば、タイの主要50社に分散投資でき、個別銘柄を選ぶリスクを避けることができます。慣れてきたら、自分がよく知っている業界や企業の個別株に投資することも検討しましょう。ただし、情報のほとんどがタイ語で提供されているため、タイ語が読めない方は情報収集が難しい点に注意が必要です。
タイで証券口座を開設して株式投資を始めることは、タイで生活する方にとって資産形成の有効な手段となります。
タイ居住者であることとタイの銀行口座があれば、比較的簡単に口座を開設できます。
キャピタルゲイン税が非課税であることは大きなメリットですが、タイ語の情報収集の難しさや為替リスク、帰国時の口座処理など注意すべき点もあります。
SBIタイオンライン証券など日本語対応の証券会社を選べば、初心者でも安心して始めることができるでしょう。
口座開設から取引開始までは2~3週間程度かかりますので、余裕を持って準備を進めてください。
税金の取り扱いや帰国時の処理方法も事前に理解しておくことで、スムーズに投資を進めることができます。
なお、投資には元本割れのリスクがあります。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。詳しくは各証券会社にご確認いただき、税金に関する詳細は税理士にご相談ください。
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