PayPay銀行の口座開設|手順と失敗しないコツを解説

株価の下落局面でも利益を狙える空売りは、投資戦略の幅を広げる有効な手法です。
しかし、空売りを始めるには信用取引口座の開設が必要で、証券会社によって手数料や貸株料、一般信用売りの在庫状況が大きく異なります。
この記事では、空売りに適した証券会社の選び方から、手数料・金利・貸株料の比較、空売りの仕組みとリスクまで、初心者にもわかりやすく解説します。
空売りを活用して、下落相場でも安定した投資成果を目指しましょう。
目次
空売りとは?
空売りは、株価の下落局面でも利益を得られる信用取引の手法です。通常の株式投資では「安く買って高く売る」ことで利益を得ますが、空売りでは「高く売って安く買い戻す」という逆の流れで利益を狙います。
具体的には、証券会社から株を借りて市場で売却し、株価が下落したタイミングで買い戻して証券会社に返却します。売却価格と買い戻し価格の差額が利益となるため、株価が下がるほど利益が増える仕組みです。
空売りの基本的な流れを具体例で説明します。A社の株が1株1,000円のときに100株を空売りすると、100,000円の売却代金が手元に入ります。その後、株価が800円に下落したタイミングで100株を買い戻すと、買い戻しに必要な金額は80,000円です。
売却代金100,000円から買い戻し代金80,000円を差し引いた20,000円が利益となります(手数料・貸株料等は除く)。買い戻した株は証券会社に返却することで取引が完結します。
ただし、株価が上昇した場合は損失が発生します。1,000円で空売りした株が1,200円に上昇すると、買い戻しに120,000円が必要となり、20,000円の損失が発生します。
空売りを行う信用取引には、制度信用取引と一般信用取引の2種類があります。それぞれ返済期限、金利、貸株料、逆日歩の有無などが異なります。
制度信用取引は、証券取引所が定めた基準を満たす銘柄を対象とし、返済期限は原則6か月です。金利は一般的に低めですが、空売りが集中すると「逆日歩」という追加コストが発生するリスクがあります。
一般信用取引は、証券会社が独自に定めた銘柄を対象とし、返済期限は証券会社によって異なります(無期限の場合も)。金利・貸株料は制度信用より高めですが、逆日歩が発生しない点が大きなメリットです。
空売りで逆日歩リスクを避けたい場合は、一般信用取引の利用がおすすめです。ただし、一般信用売りができる銘柄は証券会社によって異なり、在庫状況によっては空売りできないこともあります。
空売りで利益が出る理由は、「先に売って後から買う」という取引の順序にあります。株価が高いときに売却し、株価が下がったときに買い戻すことで、その差額が利益になります。
例えば、業績悪化が予想される企業や、株価が過熱していると判断した銘柄を空売りすることで、株価下落から利益を得られます。また、保有株のリスクヘッジとして、同じ銘柄を空売りする「つなぎ売り」という手法もあります。
ただし、空売りは株価が上昇すると損失が拡大するため、リスク管理が非常に重要です。損失は理論上無限大になる可能性があるため、損切りラインを明確に設定しておくことが大切です。
空売りにおすすめの証券会社5社
空売りに適した証券会社を選ぶには、手数料、金利、貸株料、一般信用売りの対応状況、デイトレード対応などを総合的に比較する必要があります。ここでは、空売りにおすすめの証券会社5社の特徴を詳しく解説します。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 口座数 | 約15,000,000口座 ※2025年11月25日時点(SBIネオモバイル証券など含む) |
| 取引手数料 | 【スタンダードプラン(1注文ごと)】 取引金額に関係なく0円【アクティブプラン(1日定額制)】 1日100万円以下の取引:0円※現物取引・信用取引・単元未満株(S株)もすべて対象です。 |
| NISA対応 | 〇 |
| つみたて投資枠取扱銘柄数 | 〇(259銘柄)※2025年3月3日時点 |
| 成長投資枠対象商品 | 国内株 / 外国株 / 投資信託(約1,329銘柄 ※2025年3月3日時点) |
| 投資信託 | 約2,550本 ※2025年3月3日時点 |
| 外国株 | 8カ国/米国株式(5,000銘柄) |
| 取引ツール(PC) | HYPER SBI 2 / HYPER SBI / SBI CFDトレーダー |
| スマホアプリ | SBI証券 株アプリ / 米国株アプリ / かんたん積立 / HYPER FX / HYPER 先物 / HYPER CFD |
| 提携銀行口座 | SBI新生銀行 / 住信SBIネット銀行 |
| ポイント投資・付与 | Pontaポイント / dポイント / Vポイント(クレカ積立) |
| 口座開設スピード | 最短 翌営業日 |
SBI証券の特徴
一般信用売りの対応銘柄数が多く、在庫も豊富
日計り信用取引なら手数料・金利・貸株料が無料
米国株の信用取引にも対応
SBI証券は、一般信用売りの対応銘柄数が多く、在庫も豊富な点が最大の特徴です。無期限、短期、日計りの3種類の一般信用取引サービスを提供しており、投資スタイルに合わせて選択できます。
特に「日計り信用取引」は、当日中に決済する場合に手数料・金利・貸株料がすべて無料となるため、デイトレーダーに人気のサービスです。また、米国株の信用取引にも対応しており、国内株だけでなく米国株でも空売りが可能です。
制度信用取引の手数料は原則無料、金利は年率2.80%、貸株料は年率1.10%です。一般信用取引(無期限)の金利は年率3.09%、貸株料は年率3.90%となっています。日計り信用取引なら、手数料・金利・貸株料がすべて0円です。
一般信用売りの在庫が豊富で、人気銘柄も空売りしやすい点が魅力です。また、口座開設数が約1,500万口座と国内最大級で、取引ツールも充実しています。投資信託の取扱本数も約2,600本と豊富で、総合的なサービス力の高さが評価されています。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 口座数 | 約12,000,000口座 ※2025年1月時点 |
| 取引手数料 | 【ゼロコース】 国内株式(現物・信用):0円 かぶミニ®(単元未満株):0円 投資信託:0円 ※ゼロコース選択時。 ※一部、スプレッドや信託財産留保額が発生する場合があります。 |
| NISA対応 | 〇(新NISA対応) |
| つみたて投資枠取扱銘柄数 | 263銘柄 ※2025年4月24日時点 |
| 成長投資枠対象商品 | 国内株式 / 外国株式 / 投資信託(約1,345銘柄) |
| 投資信託 | 約2,550本 ※2025年4月24日時点 |
| 外国株 | 6カ国/米国株式(約4,500銘柄) |
| 取引ツール(PC) | マーケットスピード / マーケットスピード II / 楽天MT4 |
| スマホアプリ | iSPEED / iSPEED for iPad / iSPEED FX / iSPEED 先物 |
| 提携銀行口座 | 楽天銀行(マネーブリッジ) |
| ポイント投資・付与 | 楽天ポイント(投資信託 / 国内株式 / 米国株式<円貨決済>) |
| 口座開設スピード | 最短 翌営業日 |
楽天証券の特徴
取引で楽天ポイントが貯まる・使える
いちにち信用なら手数料・金利・貸株料が無料
日経新聞が無料で読める
楽天証券は、取引で楽天ポイントが貯まる・使えるのが大きな特徴です。信用取引でも楽天ポイントが貯まるため、楽天経済圏を活用している方に特におすすめです。
一般信用取引は「無期限」「短期売建」「いちにち信用」の3種類を提供しており、いちにち信用なら手数料・金利・貸株料がすべて無料です。取引ツール「MARKET SPEED Ⅱ」は高機能で使いやすく、初心者から上級者まで幅広く支持されています。
「ゼロコース」を選択すれば、制度信用取引の手数料は無料です。金利は年率2.80%、貸株料は年率1.10%と標準的な水準です。一般信用取引(無期限)の金利は年率2.80%、貸株料は年率3.90%となっています。
楽天ポイントが貯まる・使える点が最大の魅力です。また、日経新聞の記事が無料で読める「日経テレコン(楽天証券版)」や、会社四季報が閲覧できるなど、情報サービスも充実しています。口座開設数は約1,200万口座で、SBI証券に次ぐ規模です。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 口座数 | 約1,670,000口座 ※2025年3月時点 |
| 取引手数料 | 【ボックスレート(1日定額制)】 1日の約定代金合計50万円まで:0円 50万円超:1,000円(税込1,100円)~※25歳以下なら約定代金に関わらず手数料無料 |
| NISA対応 | 〇(日本株、米国株、投資信託すべて売買手数料無料) |
| つみたて投資枠取扱銘柄数 | 〇(銘柄数は公式サイトで確認) |
| 成長投資枠対象商品 | 国内株 / 米国株 / 投資信託(約1,800本以上) |
| 投資信託 | 約1,900本以上(購入時手数料すべて無料) |
| 外国株 | 米国株:約4,900銘柄(2025年4月23日時点) |
| 取引ツール(PC) | ネットストック・ハイスピード(無料) |
| スマホアプリ | 日本株アプリ / 投信アプリ / 米国株アプリ(すべて無料) |
| 提携銀行口座 | MATSUI Bank(松井証券専用銀行) |
| ポイント投資・付与 | 松井証券ポイント(投資信託の積立に利用可能) |
| 口座開設スピード | 最短即日(スマートフォンによるオンライン申込) |
松井証券の特徴
1日50万円以下なら手数料無料
一日信用取引なら手数料・金利・貸株料が無料
25歳以下は取引金額にかかわらず手数料無料
松井証券は、1日の取引金額が50万円以下なら現物取引・信用取引の手数料が無料になる点が特徴です。少額取引が中心の方や、複数回に分けて取引する方に適しています。
「一日信用取引」は、当日中に決済する場合に手数料・金利・貸株料がすべて無料となり、デイトレードに最適です。また、25歳以下は取引金額にかかわらず手数料が無料となるため、若年層にもおすすめです。
1日の取引金額が50万円以下なら手数料無料、50万円超100万円以下は1,100円(税込)です。制度信用取引の金利は年率2.80%、貸株料は年率1.15%です。一日信用取引なら手数料・金利・貸株料がすべて0円となります。
少額取引なら手数料無料で取引できる点が魅力です。また、サポート体制が充実しており、電話での相談窓口「株の取引相談窓口」では、個別銘柄の投資判断についても相談できます。初心者でも安心して空売りを始められる環境が整っています。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 口座数 | 約540,000口座 ※2025年3月末時点 |
| 取引手数料 | 【1約定ごとプラン】 ~5万円:50円 ~10万円:90円 ~20万円:100円 ~50万円:260円 ~100万円:460円 ~150万円:550円 ~3,000万円:880円 3,000万円超:930円【1日定額プラン】 ~100万円:0円 ~200万円:1,238円 ~300万円:1,691円 300万円超:以降100万円ごとに295円加算 |
| NISA対応 | 〇(日本株・ETF・REITの売買手数料が無料) |
| つみたて投資枠取扱銘柄数 | 38銘柄(2025年4月24日時点) |
| 成長投資枠対象商品 | 国内株 / 投資信託(112銘柄) |
| 投資信託 | 約120本(すべて購入時手数料無料) |
| 外国株 | 米国:4,300銘柄 |
| 取引ツール(PC) | スーパーはっちゅう君 / はっちゅう君 |
| スマホアプリ | GMOクリック 株 |
| 提携銀行口座 | GMOあおぞらネット銀行 |
| ポイント投資・付与 | なし |
| 口座開設スピード | 最短2営業日後(オンライン申込) |
GMOクリック証券の特徴
デイトレードに特化した取引ツールが充実
信用取引の手数料が安い
口座開設は最短即日
GMOクリック証券は、デイトレードに特化したサービスが充実している証券会社です。信用取引の手数料が安く、金利・貸株料も低水準に設定されています。
取引ツール「Platフォーム」は、スピード注文や板情報の表示など、デイトレードに必要な機能が充実しています。また、CFD取引やFXなど、株式以外の商品も豊富に取り扱っています。
制度信用取引の手数料は0円~1,320円(税込)、金利は年率2.75%、貸株料は年率1.10%です。一般信用取引の金利は年率3.80%、貸株料は年率3.90%となっています。
デイトレードに必要な機能が充実した取引ツールが魅力です。また、口座開設はマイナンバーカードを利用すれば最短即日で完了します。CFDやFXなど、株式以外の商品も充実しているため、多様な投資戦略を実践できます。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 口座数 | 約1,800,000口座 ※2025年2月時点 |
| 取引手数料 | 【ワンショット手数料コース】 約定代金5万円以下:55円(税込) 約定代金50万円超:1,070円(税込)【一日定額手数料コース】 1日100万円まで:0円 1日300万円まで:2,750円(税込) 以降300万円ごとに:2,750円(税込)加算 |
| NISA対応 | 〇(日本株・米国株・投資信託の売買手数料が無料) |
| つみたて投資枠取扱銘柄数 | 251銘柄(2025年4月時点) |
| 成長投資枠対象商品 | 国内株 / 米国株 / 投資信託(1,155銘柄) |
| 投資信託 | 約1,853本(購入時手数料すべて無料) |
| 外国株 | 米国株:約1,050銘柄(2025年4月時点) |
| 取引ツール(PC) | kabuステーション / 銘柄スカウター |
| スマホアプリ | 三菱UFJ eスマート証券アプリ / 米国株アプリ / 投信アプリ |
| 提携銀行口座 | 三菱UFJ銀行 / auじぶん銀行 |
| ポイント投資・付与 | Pontaポイント(投資信託の積立に利用可能) |
| 口座開設スピード | 最短翌営業日(スマートフォンによるオンライン申込) |
三菱UFJeスマート証券の特徴
一般信用売りの対応銘柄数が豊富
デイトレード信用取引なら手数料・金利・貸株料が無料
Pontaポイントが貯まる・使える
三菱UFJeスマート証券(旧auカブコム証券)は、一般信用売りの対応銘柄数が豊富です。株主優待をローコストで取得する「クロス取引」に適しており、優待投資家から高い支持を得ています。
「デイトレード信用取引」は、当日中に決済する場合に手数料・金利・貸株料が無料となります。また、信用取引口座を開設すると、高機能取引ツール「kabuステーション」が無料で利用できます。
ワンショット手数料コースの場合、制度信用取引の手数料は無料~385円(税込)、金利は年率2.79%、貸株料は年率1.15%です。一日定額手数料コースなら、100万円以下の取引は現物・信用合わせて無料です。
一般信用売りの対応銘柄数が多く、クロス取引に最適です。また、三菱UFJフィナンシャル・グループの一員として信頼性が高く、安心して取引できます。Pontaポイントが貯まる・使える点も魅力です。
空売りができる証券会社の選び方
空売りに適した証券会社を選ぶには、手数料だけでなく、金利・貸株料、一般信用売りの対応状況、デイトレード対応など、複数の要素を総合的に判断する必要があります。ここでは、証券会社選びの3つの重要なポイントを解説します。
空売りにかかるコストは、取引手数料、金利(制度信用の場合)、貸株料の3つです。取引手数料は取引のたびに発生し、金利・貸株料は株を保有している日数に応じて日割りで発生します。
短期取引が中心なら取引手数料の安さを重視し、長期保有するなら金利・貸株料の低さを重視しましょう。SBI証券や楽天証券は取引手数料が無料で、短期取引に適しています。一方、野村證券は金利が年率1.20%と業界最低水準で、長期取引に向いています。
デイトレードなら、SBI証券・楽天証券・松井証券・三菱UFJeスマート証券の「日計り信用取引」が手数料・金利・貸株料すべて無料となるためおすすめです。
一般信用売りは、逆日歩が発生しないため、コストが予測しやすい点がメリットです。ただし、証券会社によって対応銘柄数や在庫状況が大きく異なります。
SBI証券と三菱UFJeスマート証券は、一般信用売りの対応銘柄数が多く、在庫も豊富です。楽天証券も「無期限」「短期売建」「いちにち信用」の3種類を提供しており、選択肢が多い点が魅力です。
人気銘柄や株主優待銘柄は在庫が不足しやすいため、複数の証券会社で口座を開設し、在庫状況を比較しながら取引するのも有効な戦略です。
当日中に売買を完結させるデイトレードなら、「日計り信用取引」に対応した証券会社を選びましょう。日計り信用取引は、当日中に決済する場合に手数料・金利・貸株料が無料または大幅に割引されるサービスです。
SBI証券の「日計り信用取引」、楽天証券の「いちにち信用」、松井証券の「一日信用取引」、三菱UFJeスマート証券の「デイトレード信用取引」は、いずれも手数料・金利・貸株料が無料です。
デイトレードで空売りを活用する場合は、これらの証券会社を選ぶことでコストを大幅に削減できます。ただし、当日中に決済しなかった場合は、通常の手数料が適用されるため注意が必要です。
空売りの3つのメリット
空売りは、単に株価下落で利益を狙うだけでなく、リスクヘッジや株主優待の取得など、さまざまな場面で活用できます。ここでは、空売りの3つの主なメリットを具体的な活用シーンとともに解説します。
空売りの最大のメリットは、株価が下落している局面でも利益を得られることです。現物取引では株価が上昇しないと利益が出ませんが、空売りなら下落相場でも収益機会があります。
例えば、市場全体が下落トレンドにあるときや、業績悪化が予想される個別銘柄を空売りすることで、下落幅に応じた利益を得られます。また、相場の方向性が不透明なときでも、買いと売りの両方を活用することで、柔軟な投資戦略が可能になります。
ただし、株価が予想に反して上昇した場合は損失が拡大するため、損切りラインを明確に設定し、リスク管理を徹底することが重要です。
保有している株と同じ銘柄を空売りする「つなぎ売り」は、株価下落リスクをヘッジする有効な手法です。現物株を保有したまま、同じ銘柄・同じ株数を信用売りすることで、株価変動の影響を実質的に相殺できます。
例えば、長期保有している株が一時的に下落すると予想される場合、つなぎ売りを行うことで下落による損失を回避できます。株価が回復したら空売りを買い戻すことで、現物株は保有し続けながらリスクを管理できます。
つなぎ売りは、信用取引のコスト(金利・貸株料)だけで値下がりリスクを回避できるため、心理的にも楽に相場を乗り切れます。ただし、株価が上昇した場合は利益を取り逃がすことになるため、素早い判断が必要です。
株主優待の権利獲得前に現物株の買いと信用売りを同時に行い、権利獲得後に現渡しで決済する「クロス取引」は、株価変動リスクを抑えながら優待を取得できる手法です。
権利落ち日には株価が下落することが多いですが、クロス取引なら現物株の損失と信用売りの利益が相殺されるため、手数料・貸株料などのコストだけで優待を取得できます。配当の権利日も同じ場合は、現物株の配当金と信用売りの配当落ち調整金がほぼ相殺されます。
クロス取引を行う場合は、一般信用売りを利用することで逆日歩リスクを回避できます。三菱UFJeスマート証券やSBI証券は一般信用売りの対応銘柄が多く、クロス取引に適しています。
空売りで気をつけたい4つのこと
空売りは有効な投資手法ですが、現物取引にはないリスクも存在します。特に損失が大きくなる可能性や、予想外のコストが発生するリスクについて、正確に理解しておくことが重要です。
空売りの最大のリスクは、損失が理論上無限大になる可能性があることです。現物取引では、株価がゼロになっても損失は投資額が上限ですが、空売りでは株価が上昇し続ける限り損失も拡大し続けます。
例えば、1,000円で空売りした株が2,000円に上昇すると、1株あたり1,000円の損失が発生します。さらに3,000円、4,000円と上昇すれば、損失も比例して拡大します。特に、好材料の発表や買収提案などで株価が急騰した場合、短期間で大きな損失を被る可能性があります。
対策としては、損切りラインを事前に設定し、必ず守ることが重要です。また、空売りする銘柄は慎重に選び、業績や市場環境を十分に分析してから取引を行いましょう。
制度信用取引で空売りを行う場合、逆日歩(品貸料)が発生するリスクがあります。逆日歩は、信用売りが集中して株不足が発生したときに、空売りをしている投資家が負担する追加コストです。
逆日歩は1株あたり1日につき○銭という形で発生し、事前にいくらかかるかわからない点が特徴です。株主優待の権利付最終日の前後など、空売りが集中する時期には、逆日歩が高額になることがあります。過去には1株あたり数十円~数百円という高額な逆日歩が発生したケースもあります。
逆日歩を回避するには、一般信用取引を利用するのが確実です。一般信用取引では逆日歩が発生しない代わりに、貸株料が制度信用より高めに設定されています。ただし、コストが事前に確定するため、予算管理がしやすくなります。
空売りでは、取引手数料に加えて、貸株料(株を借りるコスト)が日割りで発生します。貸株料は年率で表示されますが、保有日数に応じて日割り計算されるため、長期間保有するとコストが積み重なります。
例えば、貸株料が年率3.90%の場合、100万円分の株を30日間空売りすると、貸株料は約3,200円(100万円×3.90%÷365日×30日)となります。さらに、制度信用取引では逆日歩が発生する可能性もあるため、トータルコストは予想以上に大きくなることがあります。
コストを抑えるには、デイトレードで日計り信用取引を利用する、または貸株料が低い証券会社を選ぶことが有効です。また、長期保有を避け、短期間で決済することでコストを最小限に抑えられます。
空売りを行うには信用取引口座の開設が必要ですが、信用取引口座は一定の審査があります。審査基準は証券会社によって異なりますが、一般的に投資経験、金融資産、年齢などが考慮されます。
多くの証券会社では、現物株の投資経験が1年以上、金融資産が一定額以上(100万円~300万円程度)あることが条件となっています。投資経験が少ない初心者は、審査に通らない可能性もあります。
審査に通過しやすくするには、まず現物取引で投資経験を積み、金融資産を増やしてから信用取引口座の開設を申し込むとよいでしょう。また、証券会社によって審査基準が異なるため、複数の証券会社に申し込むのも一つの方法です。
逆日歩とは?
逆日歩は、制度信用取引で空売りを行う際に発生する可能性がある追加コストです。事前に金額がわからないため、空売りのリスク要因の一つとなっています。ここでは、逆日歩の仕組みと回避方法を詳しく解説します。
逆日歩は、制度信用取引において空売りが集中し、株不足が発生したときに発生します。証券会社は、空売りに必要な株を証券金融会社から借りますが、証券金融会社でも株が不足すると、機関投資家から株を借りる必要があります。
この際、機関投資家への入札で決定された品貸料が逆日歩として、空売りをしている投資家に請求されます。逆日歩は「1株あたり1日につき○銭」という形で表され、空売りしている株数と保有日数に応じて計算されます。
逆日歩が発生しやすいのは、株主優待の権利付最終日の前後や、株価が急落している銘柄など、空売りが集中しやすい局面です。逆日歩の金額は翌営業日にならないとわからないため、予想外の高額なコストが発生するリスクがあります。
逆日歩を完全に回避する方法は、一般信用取引を利用することです。一般信用取引では、証券会社が独自に株を調達するため、証券金融会社を経由せず、逆日歩が発生しません。
SBI証券、楽天証券、三菱UFJeスマート証券などは、一般信用売りの対応銘柄が多く、在庫も比較的豊富です。ただし、一般信用取引の貸株料は制度信用より高めに設定されているため、トータルコストを比較して判断しましょう。
また、デイトレードで日計り信用取引を利用すれば、逆日歩が発生しません。日計り取引では受渡日をまたがないため、逆日歩の計算対象外となります。
過去には、人気の株主優待銘柄で高額な逆日歩が発生した事例があります。例えば、権利付最終日に1株あたり50銭~1円以上の逆日歩が発生し、100株単元の銘柄で数日間保有すると、数百円~数千円のコストが発生したケースもあります。
特に、株主優待の価値が高い銘柄や、クロス取引が集中する銘柄では、逆日歩が高額になりやすい傾向があります。逆日歩の金額によっては、株主優待の価値を上回るコストが発生し、損失が出ることもあります。
逆日歩のリスクを避けるには、事前に信用取引の残高状況を確認し、売り残が買い残を大きく上回っている銘柄は避けるのが賢明です。また、一般信用売りの在庫がある銘柄を優先的に選ぶことで、リスクを軽減できます。
空売りの始め方
空売りを始めるには、証券総合口座と信用取引口座の両方を開設する必要があります。ここでは、口座開設から実際に空売り注文を出すまでの具体的な手順を解説します。
まず、証券会社のウェブサイトから証券総合口座を開設します。本人確認書類(マイナンバーカードや運転免許証など)を提出し、審査に通過すると口座が開設されます。口座開設は最短即日~数営業日で完了します。
証券総合口座が開設されたら、次に信用取引口座の開設を申し込みます。信用取引口座の開設には審査があり、投資経験、金融資産、年齢などが考慮されます。審査に通過すると、信用取引口座が開設され、空売りが可能になります。
信用取引口座の開設には、通常2~5営業日程度かかります。証券会社によっては、信用取引に関する知識確認テストがある場合もあります。
信用取引口座が開設されたら、空売りしたい銘柄が信用売りの対象かどうかを確認します。証券会社の取引画面で、銘柄情報を検索すると、「信用・貸借銘柄」「一般信用売り対象」などの表示があります。
制度信用取引の場合、「貸借銘柄」と表示されている銘柄のみ空売りが可能です。「信用銘柄」は信用買いのみで、空売りはできません。一般信用取引の場合は、証券会社が指定した銘柄のみ空売りが可能で、在庫状況も確認する必要があります。
在庫がない場合は空売りできないため、複数の証券会社で在庫状況を比較するのも有効です。
空売りしたい銘柄と在庫を確認したら、取引画面から空売り注文を出します。注文画面で「信用新規売り」または「空売り」を選択し、銘柄コード、株数、注文方法(成行・指値)、信用取引の種類(制度信用・一般信用)を入力します。
注文を確定すると、約定後に空売りポジション(建玉)が保有されます。建玉は、取引画面の「建玉一覧」や「ポジション」などで確認できます。空売りした株は、返済期限内に買い戻して決済する必要があります。
決済は「返済買い」で行います。建玉一覧から決済したい建玉を選択し、「返済買い」注文を出すことで、空売りポジションが決済されます。
制度信用取引の返済期限は原則6か月、一般信用取引は証券会社によって異なります(無期限の場合も)。返済期限を過ぎると強制決済されるため、期限管理が重要です。
建玉一覧には、各建玉の返済期限が表示されます。期限が近づくと、証券会社からメールや取引画面で通知されることもあります。期限内に決済できない場合は、「建玉の乗り換え」(現在の建玉を決済し、新たに建玉を建てる)を行うこともできますが、手数料がかかります。
期限管理を怠ると、不本意なタイミングで強制決済されるリスクがあるため、定期的に建玉一覧を確認し、返済期限を把握しておきましょう。
空売り初心者が知っておきたいこと
空売りを始める際には、空売り規制や在庫不足、複数口座の使い分けなど、さまざまな疑問が生じます。ここでは、空売り初心者がよく抱く疑問について、わかりやすく解説します。
空売り規制銘柄とは、一定の条件下で空売りが制限される銘柄のことです。金融商品取引法により、株価が基準価格から10%以上下落した銘柄には、価格規制がかかります。
具体的には、株価上昇局面では直近公表価格未満、株価下落局面では直近公表価格以下の価格での空売りが禁止されます。これは、株価の急落時に空売りが集中して、さらに株価が下落する事態を防ぐための規制です。
空売り規制銘柄は、証券会社のウェブサイトで毎日公表されています。空売りを行う前に、規制銘柄でないか確認することが重要です。規制銘柄を誤って空売りしようとすると、注文が受け付けられません。
一般信用売りでは、証券会社の在庫が不足すると空売りできないことがあります。特に、人気の株主優待銘柄や、急落している銘柄では、在庫が枯渇しやすい傾向があります。
在庫不足で空売りできない場合の対処法は、複数の証券会社で口座を開設し、在庫状況を比較することです。SBI証券、楽天証券、三菱UFJeスマート証券など、一般信用売りの在庫が豊富な証券会社で口座を開設しておくと、在庫不足のリスクを軽減できます。
また、制度信用取引なら在庫不足の心配はありませんが、逆日歩が発生するリスクがあります。在庫状況と逆日歩リスクを天秤にかけて、どちらを選ぶか判断しましょう。
空売りを本格的に活用するなら、複数の証券会社で口座を開設し、使い分けるのがおすすめです。証券会社によって、一般信用売りの在庫状況、手数料、貸株料、取引ツールの使いやすさなどが異なるためです。
例えば、SBI証券は一般信用売りの在庫が豊富で、楽天証券は楽天ポイントが貯まる、松井証券は少額取引の手数料が無料、といった特徴があります。これらを使い分けることで、それぞれのメリットを最大限に活用できます。
また、在庫不足のリスク分散という観点からも、複数口座の開設は有効です。口座開設・維持費は無料の証券会社がほとんどなので、複数口座を持つデメリットはほとんどありません。
信用取引で得た利益は、現物取引と同様に譲渡所得として課税されます。税率は20.315%(所得税15.315%、住民税5%)です。損失が出た場合は、他の株式取引の利益と損益通算できます。
特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合は、証券会社が自動的に税金を計算・納税してくれるため、確定申告は不要です。ただし、複数の証券会社で取引している場合や、損失を繰り越したい場合は、確定申告が必要になることがあります。
一般口座や特定口座(源泉徴収なし)を利用している場合は、自分で確定申告を行う必要があります。年間取引報告書を基に、譲渡所得を計算して申告しましょう。
はい、空売りは少額からでも可能です。信用取引では、委託保証金として最低30万円程度が必要ですが、実際の取引は数万円から始められます。委託保証金率は30%なので、30万円の保証金があれば、約100万円分の取引が可能です。ただし、証券会社によって最低保証金額が異なるため、事前に確認しましょう。
空売りは「売りから入る」取引で、株価が下落すると利益が出ます。一方、信用買いは「買いから入る」取引で、株価が上昇すると利益が出ます。空売りでは貸株料が、信用買いでは金利が発生します。どちらも信用取引の一種で、レバレッジを効かせた取引が可能です。
制度信用取引の返済期限は原則6か月です。一般信用取引の返済期限は証券会社によって異なり、無期限の場合もあれば、短期(15日程度)や当日限り(日計り)の場合もあります。返済期限を過ぎると強制決済されるため、期限管理が重要です。
はい、デイトレードでも空売りは可能です。むしろ、SBI証券・楽天証券・松井証券・三菱UFJeスマート証券などでは、当日中に決済する「日計り信用取引」なら、手数料・金利・貸株料がすべて無料となり、デイトレードに最適です。ただし、当日中に決済しなかった場合は通常の手数料が適用されます。
はい、空売りでも追証(追加保証金)が発生する可能性があります。空売り後に株価が上昇すると評価損が発生し、委託保証金の維持率が最低維持率(通常20%)を下回ると追証が発生します。追証が発生した場合は、所定の期限までに不足額を入金するか、建玉を決済する必要があります。
一般信用取引は逆日歩が発生しないため、コストが予測しやすい点がメリットです。ただし、貸株料が制度信用より高く、対応銘柄も限られます。制度信用取引は金利が低く、対応銘柄も多いですが、逆日歩が発生するリスクがあります。短期取引や株主優待のクロス取引なら一般信用、長期取引で逆日歩リスクが低い銘柄なら制度信用がおすすめです。
空売り可能銘柄数は、証券会社の公式サイトで確認できます。制度信用取引の貸借銘柄は日本取引所グループのウェブサイトでも公表されています。一般信用売りの対応銘柄は証券会社によって異なるため、各証券会社のサイトで確認しましょう。取引画面で銘柄検索すると、その銘柄が空売り可能かどうかも表示されます。
空売りに向いているのは、リスク管理ができる人、相場の分析力がある人、冷静な判断ができる人です。空売りは損失が拡大しやすいため、損切りラインを守れる人でないと危険です。また、下落相場を予測する分析力や、保有株のヘッジ戦略を理解している人に適しています。初心者は、まず現物取引で経験を積んでから空売りに挑戦することをおすすめします。
空売りは、株価の下落局面でも利益を狙える有効な投資手法です。信用取引口座を開設し、証券会社から株を借りて売却することで、下落相場でも収益機会を得られます。
空売りにおすすめの証券会社は、SBI証券、楽天証券、松井証券、GMOクリック証券、三菱UFJeスマート証券の5社です。それぞれ手数料、金利、貸株料、一般信用売りの在庫状況などに特徴があるため、自分の投資スタイルに合った証券会社を選びましょう。
証券会社を選ぶ際は、手数料・金利・貸株料の安さ、一般信用売りの対応状況、デイトレード対応の3つのポイントを重視してください。短期取引なら手数料無料の証券会社、長期取引なら金利の低い証券会社、クロス取引なら一般信用売りの在庫が豊富な証券会社が適しています。
空売りには、下落相場でも利益を狙える、保有株のリスクヘッジができる、株主優待をローコストで取得できるといったメリットがあります。一方で、損失が大きくなる可能性、逆日歩の発生リスク、貸株料などのコスト負担といったデメリットもあります。
特に、空売りは損失が理論上無限大になるリスクがあるため、損切りラインを明確に設定し、リスク管理を徹底することが重要です。また、制度信用取引では逆日歩が予想外に高額になることもあるため、一般信用取引の利用も検討しましょう。
空売りを始めるには、証券総合口座と信用取引口座の両方を開設する必要があります。信用取引口座の開設には審査があり、投資経験や金融資産が考慮されます。口座開設後は、空売り可能銘柄を確認し、返済期限を管理しながら取引を行いましょう。
なお、信用取引には元本割れのリスクがあり、投資額を上回る損失が発生する可能性があります。空売りは特に損失が理論上無限大になるリスクがあるため、十分な知識とリスク管理能力を身につけてから始めることをおすすめします。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。
この記事のキーワード
キーワードがありません。
この記事を見た方はこんな記事も見ています
この記事と同じキーワードの記事
まだ記事がありません。
キーワードから探す
カンタン1分登録で、気になる資料を無料でお取り寄せ
そんなお悩みをお持ちの方は、まずはお問い合わせください!