減資のメリットとデメリットは?経営者が押さえておきたい点を解説

減資のメリットとデメリットは?経営者が押さえておきたい点を解説

株式会社などの創業資金である資本金を増やすことを増資と言いますが、逆に資本金を減らすことを減資と言います。
増資の方が、耳にする機会は多いと思いますが、大手企業が業績悪化の際などに減資を行うニュースをたまに見ることもあります。

一般的に増資の方が良いイメージであり、減資をすることはあまりよくないことのように思われがちですが、減資をすることにもメリットがあります。

今回は企業の減資をテーマに、そのメリットやデメリットについて解説します。
減資を考える上で、このメリットとデメリットを理解することが、経営者として押さえておきたいポイントの大きな部分となります。

現状の経営状況や資本金額を踏まえた選択ができるように、資本金の変更を検討中の方はぜひ、参考にしてください。

減資とは?

先述したように減資とは資本金を減らすことを言いますが、資本金とは、事業を開始するときに株主から集めた資金のことを言います。
減資とは、この株主から集めた資金を減少させることですが、あくまでそれは帳簿上の資金の動きであるため、発行済みの株式については、株数が減少することはありません。
減資をする際の主な目的は、以下の3つです。
・欠損金の補填し、財務状況を改善すること
・株主への配当金を出すこと
・節税につなげること

減資には、有償減資と無償減資がありますが、上記の目的に合わせた減資の仕方があります。
また、有償減資と無償減資にはそれぞれメリットとデメリットがあります。

有償減資って?メリットとデメリット

有償減資とは、実際に資金を減少させる減資を言います。
有償減資の目的は、主に株主への配当であり、有償減資の手続きをすることで、生じた余剰金を株主に対して支払います。
実際に資金が減少する訳ですので、減資の結果、会社の資産もその分減少します。
例えば、資本金が5億円で負債が3億円、合わせて資産8億円の会社が1億円の減資をした場合、資本金は4億円に減少しますので、負債と合わせた資産も7億円に減少します。

有償減資のメリット

目的にもあるように、有償減資のメリットは株主に対して配当金を出すことができる点です。
会社の業績が上がらず、利益が出ない場合、そのままでは出資してくれている株主に還元することが難しい場合もあります。
通常であれば、株式会社で利益が出なければ株主への配当はなしと言うことになりますが、減資をすることで余剰金を生むことができれば、それを使って株主に配当を出すことができます。
ある意味苦肉の策ではありますが、株主との関係性を一番に考えた策と言えます。

有償減資のデメリット

有償減資のデメリットは当たり前ですが、会社の資産が減ってしまうことです。
資産が減ってしまうことで、将来的な投資が難しくなることはもちろんですが、金融機関からの融資の審査が厳しくなります。
会社の成長性を考えても資金繰りが苦しくなることはリスクにつながり、デメリットになります。

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無償減資って?メリットとデメリット

無償減資とは、有償とは逆で資金の減少がない減資を言います。
無償減資をする目的は、主に、欠損金の補填と節税が多いです。
欠損金とは決算上の赤字を言いますが、無償減資の結果、資本金を取り崩して欠損金の穴埋めをすることで経営常態を立て直すことができます。
例えば、資本金が5億円で負債が3億円、欠損金が1億円、合計して資産7億円の会社が、1億円の無償減資をしたとします。
資本金を1億円取り崩す代わりにマイナス部分の欠損金が無くなりますので、資産の合計は7億円で変化しません。

無償減資のメリット

無償減資のメリットは、欠損金の補填をすることで経営状態の改善ができることと、節税につながることです。
赤字経営が続くと貸借対照表などの財務諸表上に欠損金がどんどんたまっていきます。
このたまった欠損金は、黒字を出して解消するか、資本金を取り崩して補填するしか消す方法はありません。
欠損金があると、金融機関から融資を受ける際、審査がかなり厳しくなります。
無償減資をすることで、実際の資産状況は変わりませんが、欠損金を減らすことができます。
その結果、金融機関から融資を受けやすくなり、資金調達をする上で有利になります。

次に、無償減資による節税についての解説です。
日本の税制度は、企業の場合、資本金の規模によって同じ利益を出していても支払う税金が変わってきます。
資本金が少ない企業の方が、税金面での優遇措置を受けやすくなるのです。
例えば、資本金1億円を超える企業と資本金1億円以内の企業では1億円以内の企業の方が、優遇措置を受けることができ、税金面で有利になります。
よって、減資する際に資本金いくらから、いくらまで減資するのかによりますが、減資を行うことは節税につながる可能性もあると言うことです。

無償減資のデメリット

無償減資のデメリットは、何と言っても資本金の減少による信用力の低下です。
「資本金の額は関係ない」と言う人もいますが、少なくとも日本国内で会社の経営をするのであれば、資本金の額が大きい方が社会的な信用力は高くなります。
信用力が低下してしまうと「金融機関からの融資条件が厳しくなる」「新規取引の際に相手企業の与信調査が厳しくなる」などの様々なデメリットがあります。
無償減資の場合は、実際の資産状況が変わらないため、メリットだけを見て減資の選択をする経営者もいるかもしれませんが、この信用力の点は頭に入れておいた方が良いでしょう。

まとめ

今回は減資のメリットとデメリットについて解説しましたが、イメージはできましたでしょうか?
減資と聞くとネガティブに捉える人もいますが、ポジティブな要素もたくさんあることがご理解頂けたと思います。
長く会社経営を続けていく中で、減資と言う選択をすることもあるかもしれません。
その際は、本日解説したメリット、デメリットの部分をよく理解し、自社の状況に合った選択をしてほしいと思います。

著 者

SOICO株式会社
共同創業者&代表取締役CEO
茅原 淳一 (かやはら じゅんいち)

慶應義塾大学卒業後、新日本有限責任監査法人にて監査業務に従事。 その後クレディスイス証券株式会社を経て2012年KLab株式会社入社。 KLabでは海外子会社の取締役等を歴任。2016年上場会社として初の信託を活用したストックオプションプランを実施。 2015年医療系ベンチャーの取締役財務責任者に就任。 2018年よりSOICO株式会社の代表取締役CEOに就任。公認会計士。

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