NISAで暴落したらどうする?対処法と注意点を解説

NISAで投資を始めたいけれど、「複利効果」という言葉がよく分からない方も多いのではないでしょうか。
複利効果とは、投資で得た利益をさらに運用に回すことで、利益が利益を生む仕組みのことです。NISAは非課税制度のため、複利効果を最大限に活かせる優れた制度なんです。
この記事では、複利の基本的な仕組みから、NISAで複利効果を最大化する具体的な方法まで、初心者の方にも分かりやすく解説します。複利効果を正しく理解して活用すれば、長期的な資産形成が効率的に進められますよ。
目次
NISAの複利効果とは?単利との違いを解説
複利効果を理解するには、まず複利と単利の違いを知っておくことが大切です。投資の世界では、この違いが長期的な資産形成に大きな影響を与えます。
複利とは、運用で得た利益を元本に加えて、さらに運用する仕組みのことです。利益が利益を生むため、雪だるま式に資産が増えていくのが特徴なんです。
例えば、100万円を年利5%で運用した場合を見てみましょう。1年目は5万円の利益が出て、資産は105万円になります。2年目は、この105万円に対して5%の利益がつくため、5万2,500円の利益となります。このように、毎年の利益が少しずつ増えていくのが複利の仕組みです。
複利効果は時間をかければかけるほど大きくなります。最初のうちは単利との差はわずかですが、10年、20年と運用を続けると、その差は驚くほど大きくなります。
単利とは、当初の元本に対してのみ利益が発生する仕組みです。複利と違い、利益を元本に組み入れないため、毎年同じ金額の利益しか得られません。
具体的に100万円を年利5%で運用した場合の違いを表で比較してみましょう。
| 運用年数 | 単利(元利合計) | 複利(元利合計) | 差額 |
| 1年 | 105万円 | 105万円 | 0円 |
| 5年 | 125万円 | 127.6万円 | 2.6万円 |
| 10年 | 150万円 | 162.9万円 | 12.9万円 |
| 20年 | 200万円 | 265.3万円 | 65.3万円 |
| 30年 | 250万円 | 432.2万円 | 182.2万円 |
このように、運用期間が長くなるほど単利と複利の差は大きくなります。30年後には180万円以上もの差が生まれるんです。
複利効果を最大限に活かすには、「運用期間」と「利回り」という2つの条件が重要です。
1つ目の条件は、できるだけ長い期間運用することです。複利効果は時間の経過とともに加速度的に大きくなります。20代や30代から投資を始めれば、それだけ複利効果を享受できる期間が長くなります。
2つ目の条件は、一定以上の利回りを確保することです。年利0.001%の普通預金では、複利効果はほとんど期待できません。72の法則という簡易計算式があり、「72÷年利=資産が2倍になる年数」で求められます。年利5%なら約14年で資産が2倍になりますが、年利0.001%では約72,000年もかかる計算です。
NISAで複利効果が得られる3つの理由
NISAは複利効果を最大限に活かせる制度として設計されています。なぜNISAが複利運用に適しているのか、3つの理由を見ていきましょう。
NISAのつみたて投資枠で購入できる投資信託の多くは、無分配型または分配金の支払い頻度が少ないタイプです。無分配型とは、運用で得た利益を分配金として支払わず、ファンド内部で自動的に再投資する仕組みの投資信託のことです。
通常の投資信託では、運用で得た利益の一部が「分配金」として投資家に支払われることがあります。しかし、分配金を受け取ってしまうと、その分だけ運用に回る資金が減ってしまい、複利効果が弱まってしまうんです。
無分配型の投資信託なら、利益がすべてファンド内部で再投資されるため、複利効果を最大限に活かせます。金融庁は、つみたて投資枠の対象商品として、頻繁に分配金が支払われる投資信託を除外しています。これは、長期的な資産形成を支援するための配慮なんです。
NISAの最大のメリットは、運用益が非課税になることです。この非課税メリットが、複利効果をさらに大きくします。
通常の課税口座で投資をすると、運用益に対して20.315%の税金がかかります。例えば、10万円の利益が出た場合、約2万円が税金として引かれ、手元に残るのは約8万円です。この8万円を再投資することになるため、複利効果が減殺されてしまいます。
一方、NISA口座なら10万円の利益がそのまま非課税で手元に残り、10万円全額を再投資に回せます。この差は、長期運用になるほど大きな違いとなって現れます。例えば、月3万円を年利5%で20年間運用した場合、課税口座では約1,030万円、NISA口座では約1,230万円となり、約200万円もの差が生まれます。
2024年から始まった新NISA制度は、複利効果を最大限に活かせる長期投資に適した制度設計になっています。
新NISAでは、非課税保有期間が無期限化されました。旧制度では一般NISAが5年、つみたてNISAが20年という期限がありましたが、新NISAでは制度が廃止されない限り半永久的に非課税で保有できます。複利効果は長期間運用するほど大きくなるため、この無期限化は複利運用に最適な環境と言えます。
また、非課税保有限度額が1,800万円に拡大され、つみたて投資枠(年間120万円)と成長投資枠(年間240万円)を併用できるようになりました。これにより、より多くの資金を非課税で複利運用できるようになったんです。
複利効果をシミュレーション
複利効果が実際にどれくらいの資産増加をもたらすのか、具体的な数字でシミュレーションしてみましょう。金融庁の資産運用シミュレーションツールを参考に、複数のパターンで比較します。
毎月3万円を年利5%で20年間積み立てた場合のシミュレーションを見てみましょう。これは、会社員の方が無理なく続けられる金額設定です。
| 運用年数 | 積立元本 | 運用益(年利5%) | 元利合計 |
| 5年 | 180万円 | 約21万円 | 約201万円 |
| 10年 | 360万円 | 約105万円 | 約465万円 |
| 15年 | 540万円 | 約255万円 | 約795万円 |
| 20年 | 720万円 | 約510万円 | 約1,230万円 |
20年間で720万円を積み立てると、複利効果により約510万円の運用益が得られ、合計約1,230万円になります。元本の約1.7倍に増える計算です。この運用益がすべて非課税になるのが、NISAの大きなメリットです。
少額でも長期間運用すれば、複利効果は大きくなります。月1万円を年利5%で30年間積み立てた場合を見てみましょう。
| 運用年数 | 積立元本 | 運用益(年利5%) | 元利合計 |
| 10年 | 120万円 | 約35万円 | 約155万円 |
| 20年 | 240万円 | 約170万円 | 約410万円 |
| 30年 | 360万円 | 約472万円 | 約832万円 |
月1万円という少額でも、30年間運用を続ければ、元本360万円が約832万円に増えます。運用益は約472万円で、元本を上回る利益が得られる計算です。20代から投資を始めれば、50代でこれだけの資産を築くことができるんです。
同じ条件で単利と複利を比較すると、その差の大きさが実感できます。月3万円を年利5%で運用した場合の比較を見てみましょう。
| 運用年数 | 単利(元利合計) | 複利(元利合計) | 差額 |
| 10年 | 約450万円 | 約465万円 | 約15万円 |
| 20年 | 約1,080万円 | 約1,230万円 | 約150万円 |
| 30年 | 約1,890万円 | 約2,497万円 | 約607万円 |
10年目では約15万円の差ですが、20年目には約150万円、30年目には約607万円もの差が生まれます。複利効果は時間の経過とともに加速度的に大きくなることが分かります。
この差額は、分配金を受け取らずに再投資したか、受け取ってしまったかの違いとも言えます。NISAで無分配型の投資信託を選ぶことの重要性が、この数字からも理解できますね。
複利効果を実感できるのはいつから?
「NISAで投資を始めたけれど、複利効果が実感できない」という声をよく聞きます。複利効果はいつから実感できるのでしょうか。現実的な期待値を知っておくことが大切です。
複利効果が目に見えて実感できるようになるのは、一般的に10年以上の運用期間が必要とされています。これは、複利効果が指数関数的に増加する性質によるものです。
例えば、月3万円を年利5%で積み立てた場合、5年目の運用益は約21万円ですが、10年目には約105万円、15年目には約255万円と急激に増えていきます。10年目以降は、運用益が元本の増加ペースを上回り始め、「利益が利益を生んでいる」ことを実感できるようになります。
金融庁の資料でも、長期投資の効果は保有期間が長くなるほど顕著になることが示されています。短期的な値動きに一喜一憂せず、じっくりと時間をかけることが複利効果を実感するコツです。
投資を始めて最初の5年間は、複利効果を実感しにくいのが普通です。これは、運用益がまだ小さく、元本の積み立てが資産増加の主な要因だからです。
月3万円を年利5%で5年間積み立てた場合、元本180万円に対して運用益は約21万円です。この段階では、「毎月コツコツ積み立てているから増えているだけ」と感じる方が多いでしょう。複利効果よりも、積立による元本の増加が目立つ時期なんです。
また、市場の変動により含み損が出ることもあります。投資を始めて数年で相場が下落すると、「複利効果なんて嘘だ」と感じてしまうかもしれません。しかし、長期的に見れば価格は上下を繰り返しながら成長していくものです。最初の5年は我慢の時期と考え、積立を継続することが大切です。
複利効果を実感する目安として、「72の法則」という便利な計算ツールがあります。これは、資産が2倍になるまでの年数を簡易的に求める方法です。
計算式は「72÷年利=資産が2倍になる年数」です。例えば、年利5%で運用した場合、72÷5=約14年で資産が2倍になる計算です。年利3%なら約24年、年利7%なら約10年となります。
この法則を使えば、自分の投資プランでどれくらいの期間で複利効果を実感できるか、おおよその目安が分かります。ただし、あくまで簡易的な計算方法なので、実際の運用結果とは多少のずれが生じることは理解しておきましょう。
新NISAの2つの枠で複利効果はどう違う?
新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの投資枠があります。それぞれで複利効果の得られ方に違いはあるのでしょうか。
つみたて投資枠は、複利効果を最大限に活かすことを前提に設計された投資枠です。年間120万円まで投資でき、金融庁が選定した長期・積立・分散投資に適した投資信託のみが対象となっています。
つみたて投資枠の対象商品は、頻繁に分配金が支払われない投資信託に限定されています。多くは無分配型または年1回程度の決算型で、運用益がファンド内部で自動的に再投資される仕組みです。そのため、何も考えなくても自然と複利運用ができるんです。
また、つみたて投資枠は積立投資が基本のため、ドルコスト平均法の効果も得られます。価格が高いときには少なく、安いときには多く購入できるため、長期的に見ると平均購入単価を抑えられる効果があります。
成長投資枠は、年間240万円まで投資でき、上場株式や投資信託など幅広い商品に投資できる投資枠です。つみたて投資枠よりも投資の自由度が高い一方、複利効果の得られ方には注意が必要です。
成長投資枠で個別株に投資する場合、配当金を受け取る設定にしていると、配当金は現金として支払われます。複利効果を得るには、受け取った配当金で再度株式を購入する必要があります。ただし、配当金だけで株を買い増すのは難しいため、自己資金を追加しながら投資する工夫が必要です。
成長投資枠で投資信託を購入する場合は、つみたて投資枠と同様に無分配型を選べば複利効果を得られます。ただし、成長投資枠では分配金を支払う投資信託も購入できるため、商品選びには注意が必要です。
「つみたて投資枠と成長投資枠の両方で同じ商品を買うと、複利効果が分散してしまうのでは?」という疑問を持つ方もいるかもしれません。結論から言うと、複利効果は分散しません。
例えば、つみたて投資枠で月5万円、成長投資枠で月10万円、合計月15万円を同じ投資信託に積み立てたとします。この場合、どちらの枠で購入しても、合計15万円に対して複利効果が働きます。投資枠が分かれていても、保有している投資信託の総額に対して運用益が発生するため、複利効果は同じなんです。
むしろ、両方の枠を活用することで、年間360万円まで非課税で投資できるメリットがあります。より多くの資金を複利運用に回せるため、資産形成のスピードが速まります。
複利効果を最大化する5つの方法
NISAで複利効果を最大限に活かすには、いくつかのポイントを押さえることが大切です。ここでは、複利効果を最大化する具体的な方法を5つ紹介します。
複利効果を最大化する最も重要なポイントは、分配金を受け取らずに再投資することです。
分配金を受け取ってしまうと、その分だけ運用に回る資金が減り、複利効果が弱まってしまいます。
NISAで投資信託を購入する際は、無分配型の商品を選ぶのがおすすめです。無分配型なら、運用益がファンド内部で自動的に再投資されるため、手間なく複利運用ができます。金融庁のつみたてNISA対象商品リストには、無分配型または分配金の支払い頻度が少ない投資信託が選定されています。
もし分配金が支払われる投資信託を保有している場合は、「再投資コース」を選択しましょう。ただし、新NISAでは分配金の再投資も非課税枠を消費するため、年間投資枠の管理には注意が必要です。
複利効果は時間をかければかけるほど大きくなります。できるだけ早く投資を始め、長期間運用を続けることが複利効果を最大化する鍵です。
20代から投資を始めれば、30年以上の運用期間を確保できます。前述のシミュレーションでも見たように、30年間運用すれば元本の2倍以上に資産が増える可能性があります。「まだ若いから投資は早い」と考えるのではなく、「若いからこそ時間を味方につけられる」と考えましょう。
また、一度始めた積立投資は、できるだけ中断しないことが大切です。市場が下落したからといって積立をやめてしまうと、複利効果を享受する期間が短くなってしまいます。長期的な視点を持ち、コツコツと続けることが成功の秘訣です。
投資信託を保有している間は、「信託報酬」という運用管理費用が毎日差し引かれます。信託報酬が高いと、その分だけ複利効果が削られてしまうため、できるだけ低コストの商品を選ぶことが重要です。
つみたてNISA対象の投資信託は、信託報酬が低めに設定されています。インデックスファンドなら、信託報酬0.1%〜0.2%程度の商品が多く、長期運用に適しています。例えば、信託報酬0.1%と1.0%の商品を20年間運用した場合、最終的な資産額に数十万円の差が生まれることもあります。
商品を選ぶ際は、目論見書で信託報酬を必ず確認しましょう。同じような運用内容の投資信託なら、信託報酬が低い方を選ぶのが賢明です。
複利効果は、運用する元本が大きいほど大きくなります。可能な範囲で積立金額を増やすことで、複利効果をより早く実感できるようになります。
新NISAでは、つみたて投資枠が年間120万円、成長投資枠が年間240万円、合計360万円まで投資できます。月々の積立だけでなく、ボーナス時に増額設定をすることで、年間投資枠を有効活用できます。例えば、月3万円の積立に加えて、ボーナス時に年2回各30万円を追加すれば、年間96万円の投資が可能です。
ただし、無理な金額設定は禁物です。生活防衛資金を確保した上で、余裕資金の範囲内で投資することが大切です。収入が増えたタイミングで、少しずつ積立金額を増やしていくのもよい方法です。
複利効果を最大化するには、市場の短期的な変動に動じず、長期的な視点を持ち続けることが重要です。相場が下落したからといって慌てて売却してしまうと、複利効果を享受する機会を失ってしまいます。
金融庁の資料でも、保有期間が長くなるほど損失を出しにくくなることが示されています。短期的には価格が上下しても、長期的には経済成長とともに資産が増えていく傾向があります。相場の下落時こそ、安い価格で多くの口数を購入できるチャンスと捉えましょう。
また、頻繁に売買を繰り返すと、複利効果が途切れてしまいます。「買ったら売らずに持ち続ける」という長期保有の姿勢が、複利効果を最大化する最も確実な方法です。
複利効果で気をつけたい4つのこと
複利効果は資産形成に有効ですが、注意すべき点もあります。メリットだけでなくデメリットやリスクも理解しておくことが、賢い投資につながります。
複利効果は、プラスの方向だけでなくマイナスの方向にも働きます。市場が下落して含み損が出ている状態では、損失も複利的に拡大する可能性があります。
例えば、100万円の資産が10%下落すると90万円になります。さらに10%下落すると、81万円になります。単利的に考えれば80万円ですが、複利的には81万円と、下落幅が小さくなります。ただし、心理的には「損失が膨らんでいる」と感じてしまうかもしれません。
しかし、長期的に見れば市場は回復する傾向があります。下落時に慌てて売却せず、積立を継続することで、安い価格で多くの口数を購入でき、回復時により大きなリターンを得られる可能性があります。短期的な変動に一喜一憂せず、長期的な視点を持つことが大切です。
投資信託の購入時に、分配金の設定を間違えると、複利効果を十分に得られない可能性があります。特に、「受取コース」と「再投資コース」を選択できる場合は注意が必要です。
複利効果を最大化したいなら、「再投資コース」を選ぶのが基本です。ただし、新NISAでは分配金の再投資も非課税枠を消費するため、年間投資枠を使い切っている場合は注意が必要です。分配金が発生すると、予定していた積立ができなくなったり、課税口座で再投資されたりする可能性があります。
このような事態を避けるには、最初から無分配型の投資信託を選ぶのが確実です。また、証券会社によっては、年間投資枠を超えないように自動調整してくれるサービスもあるので、活用すると良いでしょう。
投資信託の手数料が高いと、その分だけ複利効果が削られてしまいます。特に、毎日差し引かれる信託報酬は、長期運用になるほど影響が大きくなります。
例えば、100万円を年利5%で20年間運用した場合、信託報酬が0.1%なら約258万円、1.0%なら約216万円になります。信託報酬の差0.9%が、最終的に約42万円もの差を生むことになります。これは、複利効果が手数料によって削られた結果です。
NISAでは購入時手数料が無料(ノーロード)の投資信託が多く、信託報酬も低めに設定されています。それでも、商品によって差があるため、できるだけ低コストの商品を選ぶことが複利効果を最大化するポイントです。
複利効果は、長期間保有し続けることで最大化されます。短期的な値動きを狙って頻繁に売買を繰り返すと、複利効果を享受する期間が短くなり、十分な効果が得られません。
また、売却するたびに運用が中断され、複利効果がリセットされてしまいます。さらに、売却益が出た場合、NISAの非課税枠を消費してしまうため、再度投資する際の枠が減ってしまいます。
複利効果を最大限に活かすには、「買ったら売らずに持ち続ける」という長期保有の姿勢が重要です。市場の短期的な変動に惑わされず、じっくりと時間をかけて資産を育てることが、複利効果を実感する最も確実な方法です。
複利効果が高いおすすめの投資信託は?
NISAで複利効果を最大限に活かすには、どのような投資信託を選べばよいのでしょうか。商品選びの基準を具体的に見ていきましょう。
複利効果を最大化するなら、無分配型のインデックスファンドが最適です。
無分配型は運用益を分配金として支払わず、ファンド内部で自動的に再投資するため、手間なく複利運用ができます。
インデックスファンドとは、日経平均株価やS&P500などの市場指数に連動する運用を目指す投資信託です。アクティブファンドに比べて信託報酬が低く、長期運用に適しています。市場全体の成長に投資する形になるため、個別企業のリスクを分散できるメリットもあります。
金融庁のつみたてNISA対象商品リストには、無分配型のインデックスファンドが多数掲載されています。これらの商品は、長期・積立・分散投資に適した厳しい基準をクリアしているため、初心者でも安心して選べます。
投資信託を選ぶ際は、信託報酬が0.2%以下の商品を目安にすると良いでしょう。信託報酬は毎日差し引かれるコストのため、低ければ低いほど複利効果を最大化できます。
最近では、信託報酬0.1%以下の超低コストファンドも増えています。例えば、eMAXIS Slimシリーズや楽天・バンガードシリーズなどは、信託報酬が0.1%前後と非常に低コストです。これらのファンドは、長期運用における手数料負担を最小限に抑えられます。
ただし、信託報酬だけでなく、運用実績や純資産総額、運用会社の信頼性なども総合的に判断することが大切です。目論見書や運用報告書で詳細を確認し、自分の投資目的に合った商品を選びましょう。
NISAで人気の投資信託は、全世界株式型と米国株式型です。どちらも長期的な成長が期待でき、複利効果を活かしやすい商品です。
全世界株式型の代表的な商品
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
楽天・全世界株式インデックス・ファンド
SBI・全世界株式インデックス・ファンド
米国株式型の代表的な商品
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
楽天・S&P500インデックス・ファンド
SBI・V・S&P500インデックス・ファンド
全世界株式型は、世界中の株式に分散投資するため、地域リスクを抑えられます。米国株式型は、世界最大の経済大国である米国の成長に投資できます。どちらも長期的な資産形成に適しており、複利効果を最大限に活かせる商品です。
NISAで複利効果を得るのにおすすめの証券会社5社
NISAで複利効果を最大限に活かすには、証券会社選びも重要です。取扱商品数、手数料、サービス内容などを比較し、自分に合った証券会社を選びましょう。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 口座数 | 約15,000,000口座 ※2025年11月25日時点(SBIネオモバイル証券など含む) |
| 取引手数料 | 【スタンダードプラン(1注文ごと)】 取引金額に関係なく0円【アクティブプラン(1日定額制)】 1日100万円以下の取引:0円※現物取引・信用取引・単元未満株(S株)もすべて対象です。 |
| NISA対応 | 〇 |
| つみたて投資枠取扱銘柄数 | 〇(259銘柄)※2025年3月3日時点 |
| 成長投資枠対象商品 | 国内株 / 外国株 / 投資信託(約1,329銘柄 ※2025年3月3日時点) |
| 投資信託 | 約2,550本 ※2025年3月3日時点 |
| 外国株 | 8カ国/米国株式(5,000銘柄) |
| 取引ツール(PC) | HYPER SBI 2 / HYPER SBI / SBI CFDトレーダー |
| スマホアプリ | SBI証券 株アプリ / 米国株アプリ / かんたん積立 / HYPER FX / HYPER 先物 / HYPER CFD |
| 提携銀行口座 | SBI新生銀行 / 住信SBIネット銀行 |
| ポイント投資・付与 | Pontaポイント / dポイント / Vポイント(クレカ積立) |
| 口座開設スピード | 最短 翌営業日 |
SBI証券は、投資信託の取扱数が約2,600本と業界トップクラスです。つみたてNISA対象商品も約271本と豊富で、自分に合った商品を選びやすい環境が整っています。
クレカ積立では、三井住友カードを使うと最大5.0%のポイント還元が受けられます。このポイントを投資に回せば、さらに複利効果を高められます。また、Vポイント、Pontaポイント、dポイント、JALマイル、PayPayポイントなど、複数のポイントサービスに対応しているのも魅力です。
SBI証券は口座数約1,500万口座と国内最大級で、初心者から上級者まで幅広く利用されています。複利効果を最大化するための商品選びの選択肢が豊富な証券会社です。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 口座数 | 約12,000,000口座 ※2025年1月時点 |
| 取引手数料 | 【ゼロコース】 国内株式(現物・信用):0円 かぶミニ®(単元未満株):0円 投資信託:0円 ※ゼロコース選択時。 ※一部、スプレッドや信託財産留保額が発生する場合があります。 |
| NISA対応 | 〇(新NISA対応) |
| つみたて投資枠取扱銘柄数 | 263銘柄 ※2025年4月24日時点 |
| 成長投資枠対象商品 | 国内株式 / 外国株式 / 投資信託(約1,345銘柄) |
| 投資信託 | 約2,550本 ※2025年4月24日時点 |
| 外国株 | 6カ国/米国株式(約4,500銘柄) |
| 取引ツール(PC) | マーケットスピード / マーケットスピード II / 楽天MT4 |
| スマホアプリ | iSPEED / iSPEED for iPad / iSPEED FX / iSPEED 先物 |
| 提携銀行口座 | 楽天銀行(マネーブリッジ) |
| ポイント投資・付与 | 楽天ポイント(投資信託 / 国内株式 / 米国株式<円貨決済>) |
| 口座開設スピード | 最短 翌営業日 |
楽天証券は、楽天経済圏を活用している方に特におすすめです。投資信託の保有残高に応じて楽天ポイントが貯まり、そのポイントを投資に回すことで複利効果をさらに高められます。
投資信託の取扱数は約2,550本、つみたてNISA対象商品は約200本と充実しています。楽天カードでのクレカ積立も可能で、積立額に応じてポイントが貯まります。貯まったポイントは1ポイント=1円として投資に使えるため、現金を使わずに投資額を増やせます。
また、スマホアプリ「iSPEED」は使いやすさに定評があり、初心者でも直感的に操作できます。楽天グループのサービスを日常的に利用している方なら、ポイント投資で複利効果を加速できる証券会社です。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 口座数 | 約2,700,000口座 ※2025年2月時点 |
| 取引手数料 | 【取引毎手数料コース】
|
| NISA対応 | 〇(日本株・米国株・中国株・投資信託の売買手数料が無料) |
| つみたて投資枠取扱銘柄数 | 〇(銘柄数は公式サイトで確認) |
| 成長投資枠対象商品 | 国内株 / 米国株 / 中国株 / 投資信託(約1,750本以上) |
| 投資信託 | 約1,800本(購入時手数料すべて無料) |
| 外国株 | 2カ国/米国株:約5,000銘柄以上(2025年1月27日時点) |
| 取引ツール(PC) | マネックストレーダー / 銘柄スカウター |
| スマホアプリ | マネックス証券アプリ / 米国株アプリ / 投信アプリ |
| 提携銀行口座 | マネックス証券専用銀行口座(詳細は公式サイトで確認) |
| ポイント投資・付与 | マネックスポイント / dポイント(投資信託の積立に利用可能) |
| 口座開設スピード | オンライン申込で最短翌営業日 |
マネックス証券は、クレカ積立のポイント還元率が1.1%と高水準です。マネックスカードで積立設定をすれば、月5万円の積立で毎月550ポイントが貯まります。年間では6,600ポイントとなり、この分を投資に回せば複利効果がさらに高まります。
投資信託の取扱数は約1,800本、つみたてNISA対象商品は約217本と充実しています。特に米国株の取扱銘柄数が約5,000銘柄と豊富で、成長投資枠で米国株に投資したい方にもおすすめです。
また、マネックス証券は投資情報の提供に力を入れており、初心者向けのセミナーや動画コンテンツが充実しています。複利効果を学びながら実践したい方に適した証券会社です。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 口座数 | 約1,670,000口座 ※2025年3月時点 |
| 取引手数料 | 【ボックスレート(1日定額制)】 1日の約定代金合計50万円まで:0円 50万円超:1,000円(税込1,100円)~※25歳以下なら約定代金に関わらず手数料無料 |
| NISA対応 | 〇(日本株、米国株、投資信託すべて売買手数料無料) |
| つみたて投資枠取扱銘柄数 | 〇(銘柄数は公式サイトで確認) |
| 成長投資枠対象商品 | 国内株 / 米国株 / 投資信託(約1,800本以上) |
| 投資信託 | 約1,900本以上(購入時手数料すべて無料) |
| 外国株 | 米国株:約4,900銘柄(2025年4月23日時点) |
| 取引ツール(PC) | ネットストック・ハイスピード(無料) |
| スマホアプリ | 日本株アプリ / 投信アプリ / 米国株アプリ(すべて無料) |
| 提携銀行口座 | MATSUI Bank(松井証券専用銀行) |
| ポイント投資・付与 | 松井証券ポイント(投資信託の積立に利用可能) |
| 口座開設スピード | 最短即日(スマートフォンによるオンライン申込) |
松井証券は、サポート体制の充実が特徴です。電話やチャットでの問い合わせ対応が丁寧で、投資初心者でも安心して利用できます。複利効果について分からないことがあれば、気軽に相談できる環境が整っています。
投資信託の取扱数は約1,900本、つみたてNISA対象商品は約250本です。25歳以下は現物取引手数料が無料になるサービスもあり、若い世代から長期投資を始めるのに適しています。
また、松井証券は老舗のネット証券として信頼性が高く、システムの安定性にも定評があります。長期的に複利効果を享受するには、安心して利用できる証券会社を選ぶことも重要です。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 口座数 | 約1,800,000口座 ※2025年2月時点 |
| 取引手数料 | 【ワンショット手数料コース】 約定代金5万円以下:55円(税込) 約定代金50万円超:1,070円(税込)【一日定額手数料コース】 1日100万円まで:0円 1日300万円まで:2,750円(税込) 以降300万円ごとに:2,750円(税込)加算 |
| NISA対応 | 〇(日本株・米国株・投資信託の売買手数料が無料) |
| つみたて投資枠取扱銘柄数 | 251銘柄(2025年4月時点) |
| 成長投資枠対象商品 | 国内株 / 米国株 / 投資信託(1,155銘柄) |
| 投資信託 | 約1,853本(購入時手数料すべて無料) |
| 外国株 | 米国株:約1,050銘柄(2025年4月時点) |
| 取引ツール(PC) | kabuステーション / 銘柄スカウター |
| スマホアプリ | 三菱UFJ eスマート証券アプリ / 米国株アプリ / 投信アプリ |
| 提携銀行口座 | 三菱UFJ銀行 / auじぶん銀行 |
| ポイント投資・付与 | Pontaポイント(投資信託の積立に利用可能) |
| 口座開設スピード | 最短翌営業日(スマートフォンによるオンライン申込) |
三菱UFJeスマート証券(旧auカブコム証券)は、Pontaポイントが貯まる証券会社です。投資信託の保有残高に応じてポイントが付与され、貯まったポイントは投資に利用できます。
投資信託の取扱数は約1,800本、つみたてNISA対象商品は約250本です。au PAYカードでのクレカ積立も可能で、積立額に応じてPontaポイントが貯まります。auユーザーなら、携帯料金の支払いなどでもポイントが貯まるため、ポイントを投資に回して複利効果を高めやすい環境です。
また、三菱UFJフィナンシャル・グループの一員として、信頼性と安定性も高い証券会社です。長期的な資産形成を安心して行いたい方におすすめです。
複利効果を実感できるようになるには、一般的に10年以上の運用期間が必要とされています。最初の5年は元本の積み立てが資産増加の主な要因ですが、10年目以降は運用益が加速度的に増えていき、「利益が利益を生んでいる」ことを実感できるようになります。ただし、複利効果は運用開始直後から働いているため、早く始めるほど長期的なメリットが大きくなります。
分配金ありの投資信託でも、「再投資コース」を選択すれば複利効果を得られます。分配金が自動的に同じ投資信託の購入に充てられるため、複利運用が可能です。ただし、新NISAでは分配金の再投資も非課税枠を消費するため、年間投資枠の管理に注意が必要です。複利効果を最大化するには、最初から無分配型の投資信託を選ぶのが確実です。
株式投資でも複利効果を得ることは可能です。配当金を受け取らずに再投資することで、複利効果を活かせます。ただし、投資信託のように自動的に再投資される仕組みではないため、受け取った配当金で株を買い増す作業が必要です。配当金だけで株を購入するのは難しいため、自己資金を追加しながら投資する工夫が求められます。長期的な複利運用を目指すなら、無分配型の投資信託の方が手間がかかりません。
積立金額を変更しても、複利効果は継続します。複利効果は保有している資産の総額に対して働くため、積立金額を増やせばより大きな複利効果が得られ、減らしても既に積み立てた分に対しては複利効果が働き続けます。収入の変化に応じて積立金額を調整しながら、無理なく長期投資を続けることが大切です。ただし、積立を完全に停止してしまうと、新たな元本の追加がなくなるため、資産の成長スピードは鈍化します。
複利効果を計算できるツールは、金融庁や各証券会社のウェブサイトで提供されています。金融庁の「資産運用シミュレーション」では、積立金額、運用期間、想定利回りを入力するだけで、将来の資産額を簡単に計算できます。また、スマートフォンの計算機アプリでも、関数機能を使えば複利計算が可能です。これらのツールを活用して、自分の投資プランでどれくらいの複利効果が得られるか、事前にシミュレーションしてみることをおすすめします。
NISAの複利効果とは、投資で得た利益を再投資することで、利益が利益を生む仕組みのことです。複利は単利と比べて、長期運用になるほど資産の増加スピードが加速します。
NISAは運用益が非課税になるため、税金を差し引かれることなく利益を再投資でき、複利効果を最大限に活かせる制度です。特に、無分配型の投資信託を選べば、自動的に複利運用ができます。
複利効果を最大化するには、分配金を受け取らずに再投資する、できるだけ長期間運用する、信託報酬の低い商品を選ぶ、市場の短期的な変動に動じないことが重要です。複利効果は10年目以降に加速するため、最初の5年は我慢の時期と考え、じっくりと時間をかけることが大切です。
NISAで複利効果を活かすなら、SBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券、三菱UFJeスマート証券などの証券会社がおすすめです。それぞれ特徴があるため、自分に合った証券会社を選びましょう。
なお、投資には元本割れのリスクがあります。ご自身の投資目的やリスク許容度に合わせて、最終的な投資判断はご自身の責任で慎重にご検討ください。複利効果を正しく理解し、長期的な視点で資産形成に取り組むことで、将来の経済的な安心につながります。
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