ネット証券で口座開設は無職でもできる?失敗しない始め方と注意点【2025年版】

積立NISAを始めたいけど、将来いくら貯まるのか分からなくて不安に感じていませんか。
毎月の積立額や運用期間によって、将来の資産額は大きく変わります。
この記事では、積立NISAのシミュレーション方法と、月々の積立金額別・目標金額別の具体的な試算結果を詳しく解説します。
金融庁の公式シミュレーターの使い方から、年代別の具体的な事例まで、あなたの資産形成プランを立てるために必要な情報をすべてお伝えします。
シミュレーション結果を基に、無理のない積立プランを作りましょう。
目次
積立NISAのシミュレーションは、毎月の積立額と運用期間、想定利回りを入力することで、将来いくら貯まるかを試算できる仕組みです。投資を始める前に、自分の目標金額に到達できるかどうかを確認できるため、計画的な資産形成に役立ちます。
シミュレーションでは、複利効果を考慮した計算が行われます。複利効果とは、運用で得た利益をさらに運用に回すことで、雪だるま式に資産が増えていく仕組みのことです。
この効果により、長期間積み立てるほど、元本に対する運用益の割合が大きくなります。
金融庁が提供する「つみたてシミュレーター」をはじめ、各証券会社も独自のシミュレーションツールを提供しています。これらのツールを使えば、複雑な計算をしなくても、簡単に将来の資産額を確認できます。
シミュレーションを行う際に必要な情報は、主に3つです。毎月の積立金額、運用期間(何年間積み立てるか)、そして想定利回り(年率何%で運用できるか)を設定します。
想定利回りは、過去の投資信託の平均的なリターンを参考に、3%、5%、7%などの数値がよく使われます。
2024年から始まった新NISA制度では、つみたて投資枠の年間投資上限額が120万円(月10万円)に拡大され、非課税保有期間も無期限になりました。これにより、より長期的な視点でシミュレーションを行う重要性が高まっています。
シミュレーションはあくまで試算であり、実際の運用結果を保証するものではありません。市場の変動により、想定利回りを下回ることも上回ることもあります。
シミュレーションを始める前に知っておきたい3つのこと
積立NISAのシミュレーションを正しく理解するためには、いくつかの基礎知識が必要です。ここでは、シミュレーション結果を読み解くために欠かせない3つのポイントを解説します。
複利効果は、投資で得た利益を再投資することで、利益がさらに利益を生む仕組みです。例えば、100万円を年利5%で運用した場合、1年後には105万円になります。
2年目はこの105万円に対して5%の利益が付くため、110万2,500円になります。
単利と複利の違いは、時間が経つほど明確になります。単利の場合、毎年100万円に対して5%(5万円)の利益が付くだけですが、複利では増えた元本に対して利益が計算されるため、年を追うごとに利益額が大きくなります。
積立投資では、この複利効果がさらに強力に働きます。毎月新たに積み立てた金額も運用され、その運用益もまた再投資されるため、資産の増加スピードが加速します。
20年、30年という長期間で見ると、複利効果による差は非常に大きくなります。
金融庁も、長期・積立・分散投資の重要性を強調しており、複利効果を最大限に活かすためには、できるだけ早く投資を始めることが推奨されています。
シミュレーションで使われる想定利回りは、年間の運用成績を示す数値です。利回り3%、5%、7%という数字がよく使われますが、それぞれどの程度現実的なのでしょうか。
利回り3%は、比較的保守的な想定です。バランス型の投資信託や債券を多く含むポートフォリオで、安定的な運用を目指す場合に適した数値と言えます。
リスクを抑えた運用を希望する方や、退職が近い方にとって現実的な目標です。
利回り5%は、株式を中心とした投資信託で長期運用した場合の平均的なリターンとして、よく参考にされる数値です。全世界株式インデックスファンドや米国株式インデックスファンドなど、分散投資を行う商品では、過去の実績から年率4〜6%程度のリターンが期待されています。
利回り7%は、やや楽観的な想定です。株式100%のポートフォリオで、好調な市場環境が続いた場合に達成できる可能性がある数値です。
ただし、高いリターンを目指すほど、価格変動のリスクも大きくなることを理解しておく必要があります。
実際の運用では、毎年一定の利回りで増えるわけではありません。ある年は10%増えても、別の年は5%減るといった変動があります。シミュレーションで使う利回りは、長期間の平均値として考えることが大切です。
2024年から始まった新NISA制度には、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの投資枠があります。それぞれ年間の投資上限額と投資できる商品が異なります。
つみたて投資枠は、年間120万円(月10万円)まで投資でき、金融庁が定めた基準を満たす投資信託のみが対象です。手数料が低く、長期の積立・分散投資に適した商品が選ばれており、投資初心者でも安心して利用できる設計になっています。
成長投資枠は、年間240万円まで投資でき、個別株式や上場投資信託(ETF)、REITなども投資対象に含まれます。つみたて投資枠の対象商品も購入できるため、より幅広い投資が可能です。
両方の投資枠を併用することもできます。例えば、つみたて投資枠で毎月コツコツ積み立てながら、成長投資枠でボーナス時にまとまった金額を投資するといった使い方ができます。
非課税保有限度額は合計1,800万円で、そのうち成長投資枠は1,200万円までとなっています。
月々の積立金額別シミュレーション
ここでは、月々の積立金額別に、将来いくら貯まるかをシミュレーションします。運用期間は20年間、想定利回りは3%、5%、7%の3パターンで試算します。
自分の予算に近い金額を参考にして、将来の資産形成をイメージしてみましょう。
月1万円の積立は、投資初心者や若い世代でも始めやすい金額です。少額でも長期間続けることで、複利効果により大きな資産を築くことができます。
| 想定利回り | 積立総額 | 運用益 | 最終資産額 |
| 3% | 240万円 | 約88万円 | 約328万円 |
| 5% | 240万円 | 約171万円 | 約411万円 |
| 7% | 240万円 | 約280万円 | 約520万円 |
月1万円でも、20年間で240万円を積み立てることになります。利回り5%で運用できれば、約171万円の運用益が得られ、最終的に約411万円の資産になります。
元本の1.7倍以上になる計算です。
月3万円の積立は、社会人として数年働いた方や、家計に少し余裕がある方に適した金額です。老後資金の準備としても現実的な選択肢となります。
| 想定利回り | 積立総額 | 運用益 | 最終資産額 |
| 3% | 720万円 | 約264万円 | 約984万円 |
| 5% | 720万円 | 約513万円 | 約1,233万円 |
| 7% | 720万円 | 約840万円 | 約1,560万円 |
月3万円を20年間積み立てると、元本は720万円になります。利回り5%なら約1,233万円、利回り7%なら約1,560万円まで資産が増える可能性があります。
老後資金2,000万円問題の半分以上をカバーできる計算です。
月5万円の積立は、共働き世帯や収入に余裕がある方向けの金額です。本格的な資産形成を目指す方に適しています。
| 想定利回り | 積立総額 | 運用益 | 最終資産額 |
| 3% | 1,200万円 | 約440万円 | 約1,640万円 |
| 5% | 1,200万円 | 約855万円 | 約2,055万円 |
| 7% | 1,200万円 | 約1,400万円 | 約2,600万円 |
月5万円を20年間積み立てると、元本は1,200万円です。利回り5%で運用できれば、約2,055万円となり、老後資金2,000万円を達成できる水準に到達します。
利回り7%なら約2,600万円と、さらに余裕を持った老後資金を準備できます。
月10万円は、新NISAのつみたて投資枠の年間上限額(120万円)を使い切る金額です。高収入世帯や資産形成を最優先する方向けの積立額となります。
| 想定利回り | 積立総額 | 運用益 | 最終資産額 |
| 3% | 2,400万円 | 約880万円 | 約3,280万円 |
| 5% | 2,400万円 | 約1,710万円 | 約4,110万円 |
| 7% | 2,400万円 | 約2,800万円 | 約5,200万円 |
月10万円を20年間積み立てると、元本は2,400万円になります。利回り5%で運用できれば約4,110万円、利回り7%なら約5,200万円と、老後資金に大きな余裕を持たせることができます。
月10万円の積立は家計への負担も大きいため、無理のない範囲で検討することが大切です。
ここまで見てきた積立金額別のシミュレーション結果を、一覧表でまとめます。自分の予算と目標金額を照らし合わせて、適切な積立額を検討しましょう。
| 月々の積立額 | 20年後(利回り3%) | 20年後(利回り5%) | 20年後(利回り7%) |
| 月1万円 | 約328万円 | 約411万円 | 約520万円 |
| 月3万円 | 約984万円 | 約1,233万円 | 約1,560万円 |
| 月5万円 | 約1,640万円 | 約2,055万円 | 約2,600万円 |
| 月10万円 | 約3,280万円 | 約4,110万円 | 約5,200万円 |
この表から分かるように、積立額が2倍になれば、最終的な資産額もほぼ2倍になります。また、想定利回りの違いも大きな影響を与えます。
利回り3%と7%では、最終資産額に1.5倍以上の差が生まれることもあります。
まずは少額から始めて、徐々に積立額を増やしていくのも良い戦略です。自分のリスク許容度と投資期間を考慮して、現実的な利回りを想定することが重要です。
目標金額別シミュレーション
ここでは、目標金額から逆算して、毎月いくら積み立てれば良いかをシミュレーションします。老後資金や教育資金など、具体的な目標がある方は、このセクションを参考にしてください。
500万円は、教育資金の一部や車の購入資金、住宅の頭金など、中期的な目標として設定しやすい金額です。比較的短期間でも達成可能な目標と言えます。
| 運用期間 | 必要な月額(利回り3%) | 必要な月額(利回り5%) | 必要な月額(利回り7%) |
| 10年 | 約3.6万円 | 約3.2万円 | 約2.9万円 |
| 15年 | 約2.2万円 | 約1.9万円 | 約1.6万円 |
| 20年 | 約1.5万円 | 約1.2万円 | 約1.0万円 |
500万円を目指す場合、20年間で利回り5%なら月約1.2万円の積立で達成できます。10年間で達成したい場合は、月約3.2万円の積立が必要です。
運用期間が短いほど、必要な月額積立額は大きくなります。
1000万円は、老後資金の基礎や住宅購入の頭金、子どもの教育資金として現実的な目標額です。多くの人が最初の大きな目標として設定する金額でもあります。
| 運用期間 | 必要な月額(利回り3%) | 必要な月額(利回り5%) | 必要な月額(利回り7%) |
| 10年 | 約7.2万円 | 約6.4万円 | 約5.8万円 |
| 15年 | 約4.4万円 | 約3.9万円 | 約3.3万円 |
| 20年 | 約3.0万円 | 約2.4万円 | 約1.9万円 |
1000万円を目指す場合、20年間で利回り5%なら月約2.4万円の積立で達成できます。15年間なら月約3.9万円、10年間なら月約6.4万円が必要です。
時間を味方につけることで、月々の負担を抑えられることが分かります。
2000万円は、いわゆる「老後資金2,000万円問題」で話題になった金額です。公的年金に加えて、ゆとりある老後生活を送るために必要とされる自己資金の目安とされています。
| 運用期間 | 必要な月額(利回り3%) | 必要な月額(利回り5%) | 必要な月額(利回り7%) |
| 15年 | 約8.8万円 | 約7.7万円 | 約6.6万円 |
| 20年 | 約6.1万円 | 約4.9万円 | 約3.8万円 |
| 25年 | 約4.6万円 | 約3.5万円 | 約2.7万円 |
| 30年 | 約3.6万円 | 約2.6万円 | 約1.9万円 |
2000万円を目指す場合、20年間で利回り5%なら月約4.9万円の積立が必要です。30年間かけるなら月約2.6万円まで負担を減らせます。
若いうちから始めることで、月々の積立額を抑えながら目標を達成できることが分かります。
老後資金は、公的年金や退職金、その他の資産も含めて総合的に考える必要があります。2000万円という金額は一つの目安であり、個人の生活水準や家族構成によって必要額は変わります。
3000万円は、より余裕のある老後生活や早期退職(FIRE)を目指す方の目標額です。達成には長期間の積立と、ある程度の月額投資が必要になります。
| 運用期間 | 必要な月額(利回り3%) | 必要な月額(利回り5%) | 必要な月額(利回り7%) |
| 20年 | 約9.1万円 | 約7.3万円 | 約5.8万円 |
| 25年 | 約6.9万円 | 約5.2万円 | 約4.0万円 |
| 30年 | 約5.4万円 | 約3.9万円 | 約2.9万円 |
3000万円を目指す場合、20年間で利回り5%なら月約7.3万円の積立が必要です。30年間かけるなら月約3.9万円まで負担を減らせます。
高額な目標ですが、長期間の積立と複利効果を活用すれば、決して不可能な金額ではありません。
ここまで見てきた目標金額別のシミュレーション結果を、20年間の運用を前提にまとめます。
| 目標金額 | 必要な月額(利回り3%) | 必要な月額(利回り5%) | 必要な月額(利回り7%) |
| 500万円 | 約1.5万円 | 約1.2万円 | 約1.0万円 |
| 1000万円 | 約3.0万円 | 約2.4万円 | 約1.9万円 |
| 2000万円 | 約6.1万円 | 約4.9万円 | 約3.8万円 |
| 3000万円 | 約9.1万円 | 約7.3万円 | 約5.8万円 |
この表から、目標金額が2倍になると、必要な月額積立額もほぼ2倍になることが分かります。また、想定利回りが高いほど、必要な積立額は少なくて済みます。
保守的な利回り(3〜5%)で計画を立て、余裕があれば追加投資するのが賢明な戦略です。
シミュレーターツールの使い方
ここでは、金融庁が提供する公式シミュレーターの使い方を詳しく解説します。実際の画面を想定しながら、入力方法から結果の見方まで、ステップバイステップで説明します。
金融庁が提供する「つみたてシミュレーター」は、誰でも無料で利用できる公式ツールです。会員登録や個人情報の入力は不要で、ブラウザ上ですぐに試算できます。
このシミュレーターの最大の特徴は、公的機関が提供しているという信頼性の高さです。広告や特定の金融商品への誘導がなく、中立的な立場で資産形成のシミュレーションができます。
シミュレーション結果は、グラフと数値の両方で表示されます。視覚的に分かりやすく、積立額や運用期間を変更すると、リアルタイムで結果が更新されます。
複数のパターンを簡単に比較できるため、自分に合った積立プランを見つけやすい設計になっています。
金融庁のつみたてシミュレーターでは、主に3つの項目を入力します。それぞれの項目について、設定方法と注意点を解説します。
毎月の積立金額の入力では、1万円から10万円まで、自分が無理なく続けられる金額を設定します。新NISAのつみたて投資枠の上限は月10万円(年間120万円)ですので、それを超える金額は設定できません。
最初は少額から始めて、収入が増えたら積立額を増やすことも可能です。
積立期間の設定では、何年間積み立てるかを入力します。20年、30年といった長期間を設定することで、複利効果を最大限に活かせます。
自分の年齢と退職予定年齢を考慮して、現実的な期間を設定しましょう。
想定利回りの設定では、年率何%で運用できるかを入力します。過去の投資信託の平均的なリターンを参考に、3%、5%、7%などの数値がよく使われます。
保守的に見積もるなら3〜4%、標準的な株式投資なら5〜6%、やや楽観的なら7%程度が目安です。複数の利回りでシミュレーションを行い、幅を持って計画を立てることをおすすめします。
シミュレーション結果は、グラフと数値表の両方で表示されます。それぞれの見方を理解して、自分の資産形成プランに活かしましょう。
グラフでは、横軸が経過年数、縦軸が資産額を示します。青色の部分が積立元本、オレンジ色の部分が運用益を表すことが一般的です。
グラフを見ると、時間が経つにつれて運用益の割合が大きくなっていく様子が視覚的に分かります。これが複利効果の働きです。
数値表では、各年の積立額、運用益、資産総額が表示されます。5年後、10年後、15年後といった節目の年の資産額を確認することで、中間目標を設定しやすくなります。
最終的な資産額だけでなく、途中経過も確認することが大切です。
シミュレーション結果を見る際の注意点として、これはあくまで試算であり、実際の運用結果を保証するものではないことを理解しておきましょう。市場の変動により、想定利回りを下回ることも上回ることもあります。
年代別・ライフステージ別のシミュレーション事例
ここでは、年代別・ライフステージ別の具体的なシミュレーション事例を紹介します。自分に近い状況の例を参考にして、現実的な積立プランを考えてみましょう。
Aさんは、まず月1万円から積立NISAを始めることにしました。残りの2万円は緊急予備資金として普通預金に貯蓄します。
65歳まで40年間、月1万円を利回り5%で運用すると、最終資産額は約1,526万円になります。元本は480万円ですから、運用益は約1,046万円です。
数年後、収入が増えたら積立額を月3万円に増やす計画です。30歳から月3万円に増額し、65歳まで35年間積み立てると、追加で約3,000万円の資産を築けます。
20代は収入が少なくても、時間という最大の武器があります。早く始めるほど複利効果が大きく働くため、まずは少額からでも投資を始めることが重要です。
Bさん世帯は、夫婦それぞれの名義で積立NISAを活用します。夫が月3万円、妻が月2万円を積み立てることにしました。
65歳まで30年間、月5万円を利回り5%で運用すると、最終資産額は約4,161万円になります。
教育資金については、別途学資保険や定期預金で準備します。積立NISAは主に老後資金として位置づけ、原則として途中で引き出さない計画です。
子どもの教育費がかかる時期は積立額を減らし、教育費が落ち着いたら再び増額することも検討しています。
Cさん世帯は、夫婦それぞれが月5万円ずつ積立NISAで運用します。65歳まで20年間、月10万円を利回り5%で運用すると、最終資産額は約4,110万円になります。
これに加えて、退職金や公的年金もあるため、ゆとりある老後生活を送れる見込みです。
40代は収入が安定し、支出も落ち着いてくる時期です。老後資金の準備には残り20年程度しかありませんが、月々の積立額を増やすことで、十分な資産を築くことができます。
ただし、新NISAのつみたて投資枠は月10万円が上限です。そこで、つみたて投資枠で月10万円、成長投資枠で月5万円(年60万円)を積み立てることにしました。
65歳まで10年間、月15万円を利回り5%で運用すると、最終資産額は約2,329万円になります。
50代は運用期間が短いため、複利効果は限定的です。しかし、月々の積立額を増やすことで、短期間でもまとまった資産を築けます。
リスク許容度を考慮し、債券を含むバランス型の投資信託も組み入れることを検討すると良いでしょう。
シミュレーション結果を見て、理想の積立額は分かったけれど、実際にその金額を毎月続けられるかどうかは別の問題です。ここでは、家計とのバランスを考えた、現実的な積立額の決め方を解説します。
一般的に、投資に回せる金額は手取り収入の10〜20%が目安とされています。ただし、これはあくまで目安であり、家族構成や生活費、住宅ローンの有無などによって大きく変わります。
年収300万円(手取り約240万円、月20万円)の場合、月2〜4万円が目安です。まずは月1万円から始めて、慣れてきたら徐々に増額するのが現実的です。
年収500万円(手取り約400万円、月33万円)の場合、月3〜7万円が目安となります。
年収700万円(手取り約540万円、月45万円)の場合、月5〜9万円が目安です。共働き世帯なら、夫婦それぞれの名義で積立NISAを活用し、世帯全体で月10万円以上を投資に回すことも可能です。
重要なのは、無理のない金額を設定することです。投資のために生活費を切り詰めたり、緊急予備資金を削ったりするのは本末転倒です。まずは家計の状況を把握し、余裕資金の範囲内で積立を始めましょう。
投資を始める前に、まず整えるべきことがあります。それは、生活費の確保と緊急予備資金の準備です。
優先順位を間違えると、投資どころではなくなってしまいます。
第1優先は、日々の生活費の確保です。家賃、食費、光熱費、通信費など、生活に必要な支出をまかなえることが大前提です。
第2優先は、緊急予備資金の準備です。病気やケガ、失業など、予期せぬ出費に備えて、生活費の3〜6ヶ月分を普通預金や定期預金で確保しておきましょう。
第3優先が、投資による資産形成です。生活費と緊急予備資金を確保した上で、余裕資金を投資に回します。
住宅ローンの返済や子どもの教育費など、近い将来に必要な資金は、投資ではなく確実性の高い方法で準備することをおすすめします。投資は、10年以上使う予定のないお金で行うのが基本です。
積立NISAの大きなメリットの一つが、積立額を柔軟に変更できることです。一度設定した金額を、ずっと続けなければならないわけではありません。
収入が増えたら積立額を増やすことができます。昇給やボーナスがあったときに、月々の積立額を1万円から3万円に増額するといった変更が可能です。
逆に、収入が減ったり、大きな出費が発生したりした場合は、積立額を減らすこともできます。
一時的に積立を停止することも可能です。ただし、停止期間中も、すでに積み立てた資産は運用され続けます。
再開したいときは、いつでも積立を再開できます。柔軟に対応できるのが、積立投資の良いところです。
ボーナス時に追加投資することもできます。年2回のボーナス時に、通常の積立額に加えて、まとまった金額を投資することで、資産形成を加速できます。ただし、新NISAには年間投資上限額(つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円)があるため、上限を超えないように注意しましょう。
シミュレーション結果から投資商品を選ぶ方法
シミュレーションで目標金額と必要な積立額が分かったら、次は実際にどの投資商品を選ぶかを決めます。ここでは、積立NISAで選べる投資信託の種類と、選び方のポイントを解説します。
投資信託は、大きく分けて「インデックスファンド」と「アクティブファンド」の2種類があります。それぞれの特徴を理解して、自分に合った商品を選びましょう。
インデックスファンドは、日経平均株価やS&P500などの株価指数(インデックス)に連動することを目指す投資信託です。市場全体の動きに合わせて運用されるため、運用コストが低く、信託報酬(運用管理費用)が年0.1〜0.5%程度と安いのが特徴です。
アクティブファンドは、ファンドマネージャーが独自の調査・分析に基づいて銘柄を選び、市場平均を上回る成績を目指す投資信託です。専門家が積極的に運用するため、信託報酬が年1〜2%程度と高めです。
長期の積立投資では、低コストで市場全体に分散投資できるインデックスファンドが推奨されることが多いです。信託報酬の差は、長期間では大きな影響を与えます。例えば、年0.2%と年1.5%の差は、30年間で数百万円の差になることもあります。
積立NISAで人気の投資信託を、3つのタイプに分けて紹介します。それぞれのリスクとリターンの特徴を理解して、自分のリスク許容度に合った商品を選びましょう。
全世界株式型は、日本を含む世界中の株式に分散投資する投資信託です。代表的な商品に「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」などがあります。
世界経済全体の成長に投資するため、地域リスクを分散できます。長期的には年率5〜7%程度のリターンが期待されますが、短期的には大きく変動することもあります。
米国株式型は、米国の株式市場に投資する投資信託です。代表的な商品に「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」などがあります。
米国経済の成長に投資するため、過去の実績では全世界株式型を上回るリターンを記録しています。ただし、米国市場に集中投資するため、米国経済の動向に大きく影響を受けます。
バランス型は、株式と債券を組み合わせた投資信託です。株式の比率が高いほどリターンは大きくなりますが、リスクも高くなります。
株式50%・債券50%のバランス型なら、年率3〜5%程度のリターンが期待され、価格変動も株式100%の商品より穏やかです。リスクを抑えたい方や、退職が近い方に適しています。
シミュレーションで設定した想定利回りに応じて、適切な投資商品を選ぶことが大切です。ここでは、利回り別の商品選びの考え方を紹介します。
想定利回り3〜4%を目指す場合は、バランス型の投資信託が適しています。株式と債券を組み合わせることで、リスクを抑えながら安定的なリターンを狙います。
退職が近い方や、リスクを抑えたい方におすすめです。
想定利回り5〜6%を目指す場合は、全世界株式型のインデックスファンドが適しています。世界経済全体の成長に投資することで、中長期的に安定したリターンが期待できます。
最もバランスの取れた選択肢と言えます。
想定利回り7%以上を目指す場合は、米国株式型のインデックスファンドが候補になります。ただし、高いリターンを目指すほど、価格変動のリスクも大きくなります。
長期間(20年以上)投資を続けられる方で、リスク許容度が高い方に適しています。
どの商品を選ぶにしても、信託報酬が低いインデックスファンドを選ぶことが基本です。積立NISAの対象商品は、金融庁が定めた基準を満たす商品のみですので、極端に手数料が高い商品や複雑な商品は含まれていません。安心して選べます。
シミュレーション通りにいかない場合の対処法
シミュレーションはあくまで試算であり、実際の運用では想定通りにいかないこともあります。ここでは、よくあるリスクシナリオと、その対処法を解説します。
株式市場は、数年に一度は大きく下落することがあります。リーマンショックやコロナショックのように、資産が一時的に30〜40%減少することもあります。
このような暴落時に、慌てて売却してしまうのは最も避けるべき行動です。
暴落時こそ、積立投資の真価が発揮されます。価格が下がっているときに買い続けることで、平均購入単価を下げることができます。
これを「ドルコスト平均法」と言います。市場が回復したときに、より大きなリターンを得られる可能性が高まります。
過去のデータを見ると、株式市場は長期的には右肩上がりで成長してきました。一時的な下落はあっても、10年、20年という期間で見れば、プラスのリターンになっていることがほとんどです。
暴落時は「安く買えるチャンス」と捉え、積立を継続することが重要です。ただし、精神的な負担が大きい場合は、一時的に積立額を減らすことも検討しましょう。完全に停止するよりは、少額でも続けることが大切です。
転職や失業、病気などで収入が減少し、積立を続けられなくなることもあります。このような場合、無理に積立を続ける必要はありません。
まずは生活を立て直すことが最優先です。
積立NISAは、いつでも積立を停止・再開できます。停止期間中も、すでに積み立てた資産は運用され続けます。
収入が回復したら、再び積立を再開すれば良いのです。焦って売却する必要はありません。
どうしても現金が必要な場合は、一部を売却することもできます。ただし、積立NISAで売却した分の非課税枠は復活しないため、できるだけ売却は避けたいところです。まずは緊急予備資金を使い、それでも足りない場合にのみ、投資資産の売却を検討しましょう。
想定利回りを下回り、目標金額に届かないこともあります。例えば、利回り5%を想定していたのに、実際には3%しか運用できなかったといったケースです。
このような場合、いくつかの対処法があります。一つは、積立期間を延長することです。
退職後も働き続けたり、パートタイムで収入を得たりしながら、数年間積立を継続することで、目標金額に近づけることができます。
もう一つは、目標金額を見直すことです。老後資金2,000万円という数字は一つの目安に過ぎません。
公的年金や退職金、その他の資産も含めて総合的に考え、実際に必要な金額を再計算することで、不安を軽減できます。
また、支出を見直すことも有効です。老後の生活費を少し抑えることで、必要な資産額を減らすことができます。
住居費や保険料など、固定費を見直すことで、年間数十万円の節約ができることもあります。
インフレ(物価上昇)が進むと、お金の実質的な価値が目減りします。例えば、20年後に2,000万円貯まったとしても、物価が2倍になっていれば、実質的な価値は1,000万円分しかありません。
株式投資は、インフレに対する防衛策としても有効です。企業は物価上昇に合わせて商品価格を引き上げるため、株価もインフレに連動して上昇する傾向があります。
預金だけで資産を持つよりも、株式投資を組み合わせることで、インフレリスクを軽減できます。
シミュレーションを行う際は、インフレを考慮した実質リターンで考えることも重要です。例えば、名目利回り5%でも、インフレ率が2%なら、実質利回りは3%程度になります。保守的に計画を立てるなら、実質リターンで目標を設定すると良いでしょう。
想定利回りを下回った場合、いくつかのリカバリー策があります。まず、積立額を増やすことです。
収入が増えたタイミングで、月々の積立額を1〜2万円増やすだけでも、最終的な資産額は大きく変わります。
次に、積立期間を延長することです。退職後も数年間働き続けることで、積立を継続できます。
65歳で退職予定だったところを、70歳まで延長すれば、5年間の追加積立と運用益が得られます。
また、ボーナス時の追加投資も有効です。年2回のボーナス時に、通常の積立額に加えて10〜20万円を追加投資することで、資産形成を加速できます。
新NISAの年間投資上限額の範囲内で、無理のない金額を追加しましょう。
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