LINE証券の手数料は安い?|他社比較と注意点を解説

LINE証券の手数料は安い?|他社比較と注意点を解説

LINE証券の手数料について調べているあなたは、「本当に手数料は安いのか」「他の証券会社と比べてどうなのか」と気になっているのではないでしょうか。

結論から言うと、LINE証券は2024年8月13日に証券サービスを野村證券へ移管し、現在は新規口座開設も取引もできません。

しかし、既存ユーザーや今後の証券会社選びの参考として、LINE証券の手数料体系を理解しておくことは重要です。

この記事では、LINE証券の手数料の特徴、他社との比較、そして野村證券への移管後の影響について、金融の専門的な視点から詳しく解説します。

手数料を抑えて賢く投資を始めたい方は、ぜひ最後までお読みください。

この記事の要約
  • LINE証券は2024年8月に野村證券へ統合され、証券サービスは終了
  • 現物取引の手数料は55円~1,070円と比較的低い水準だったが、1日定額コースはなかった
  • 手数料を抑えたい方は、SBI証券・楽天証券など主要ネット証券がおすすめ

目次

LINE証券の手数料|基本情報と最新状況

LINE証券は、LINEグループと野村ホールディングスが共同で設立したスマホ証券として、2019年8月にサービスを開始しました。しかし、2023年6月に事業再編が発表され、2024年8月13日をもって証券サービスが野村證券へ移管されました。

現在、LINE証券での新規口座開設や株式の売買はできません。既存ユーザーの資産は野村證券の口座に自動的に移管され、今後は野村證券のサービスを利用することになります。

LINE証券とは?野村證券への統合について

LINE証券は、メッセンジャーアプリ「LINE」から直接株式投資ができる手軽さが特徴で、2022年時点で150万口座を突破していました。スマホ証券としては業界最短でこの数字を達成し、特に投資初心者から高い支持を得ていました。

日本経済新聞:LINE、証券業務から撤退 株式部門を野村証券に移管

しかし、ネット証券業界の競争激化を背景に、2023年6月12日に事業再編が発表されました。2024年8月13日を効力発生日として、LINE証券の証券事業が野村證券へ承継される吸収分割契約が締結され、実際に移管が完了しています。

野村ホールディングス:LINE証券の事業再編に関する吸収分割契約および株式譲渡契約締結のお知らせ

移管後は、野村證券のオンライン専用支店「野村ネット&コール」のサービスが適用されます。LINE証券で保有していた株式や投資信託、現金残高はすべて野村證券の口座に引き継がれました。

手数料体系の基本|3つの取引タイプ

LINE証券では、主に3つの取引タイプがあり、それぞれ異なる手数料体系が設定されていました。

LINE証券の3つの取引タイプ

1. 現物取引

東京証券取引所に上場している株式を100株単位で売買する通常の株式取引です。買付手数料は5万円以下が無料、それ以上は55円~1,070円の手数料がかかりました。売却時の手数料は2023年7月24日以降無料化されていました。

2. いちかぶ(単元未満株取引)

LINE証券の大きな特徴の一つで、1株から株式を購入できるサービスです。手数料は無料ですが、「スプレッド」という実質的なコストが売買価格に含まれていました。スプレッドは取引時間帯によって0.35%~1.0%と変動する仕組みでした。

3. 信用取引

証拠金を担保に、保有資金以上の取引ができるサービスです。取引手数料は無料でしたが、金利(2.80%)や貸株料(1.15%)が別途発生していました。

現物取引の手数料|1注文ごとのプラン

LINE証券の現物取引は、1注文ごとに手数料が発生する「1約定プラン」のみが提供されていました。他の主要ネット証券のように、1日の合計取引額に応じて手数料が決まる「1日定額コース」は用意されていませんでした。

約定金額別の手数料一覧

LINE証券の現物取引における約定金額別の手数料は以下の通りでした。

約定代金 買付手数料(税込) 売却手数料(税込)
5万円以下 無料 無料(2023年7月24日以降)
5万円超~10万円以下 99円 無料(2023年7月24日以降)
10万円超~20万円以下 176円 無料(2023年7月24日以降)
20万円超~50万円以下 198円 無料(2023年7月24日以降)
50万円超~100万円以下 484円 無料(2023年7月24日以降)
100万円超~150万円以下 582円 無料(2023年7月24日以降)
150万円超~3,000万円以下 858円 無料(2023年7月24日以降)
3,000万円超 1,070円(上限) 無料(2023年7月24日以降)

1日定額コースがない理由とメリット・デメリット

LINE証券には、SBI証券や楽天証券などが提供している「1日定額コース」がありませんでした。1日定額コースとは、1日の合計約定金額に応じて手数料が決まる仕組みで、例えばSBI証券では1日100万円までの取引が無料となっています。

LINE証券が1日定額コースを提供しなかった理由は、スマホ証券としてのシンプルさを重視し、投資初心者が理解しやすい料金体系にするためと考えられます。複数のプランがあると選択に迷うため、1約定プランに絞ることで分かりやすさを優先していました。

メリット デメリット
1回の取引金額が大きい場合、1約定プランの方が手数料を抑えられることがある 1日に何度も取引を繰り返すデイトレーダーには不利
料金体系がシンプルで初心者でも理解しやすい 少額取引を頻繁に行う場合、コストが積み重なる可能性がある

どんな投資スタイルに向いている?

LINE証券の現物取引は、以下のような投資スタイルに向いていました。

少額投資家
5万円以下の買付手数料が無料だったため、投資資金が少ない初心者や、少額から株式投資を始めたい方に適していました。数万円程度の取引であれば、手数料負担をほとんど気にせず投資できました。
長期投資家
頻繁に売買せず、じっくり保有する長期投資スタイルの方にも向いていました。売買回数が少なければ、1約定プランでも手数料負担は大きくありません。
向いていない投資スタイル
1日に何度も売買を繰り返すデイトレーダーには不向きでした。1日定額コースがないため、取引回数が増えるほど手数料負担が大きくなります。また、1日の取引額が100万円を超えるような活発な取引をする方は、1日定額コースがある証券会社の方がコストを抑えられる可能性が高いでしょう。

いちかぶ(単元未満株)の手数料とスプレッド

LINE証券の「いちかぶ」は、1株から株式を購入できる単元未満株サービスで、LINE証券の大きな特徴の一つとされていました。通常の株式取引では100株単位での売買が基本ですが、いちかぶを利用すれば数百円から有名企業の株主になることができました。

いちかぶの取引手数料は無料でしたが、「スプレッド」という実質的なコストが売買価格に含まれていました。このスプレッドの仕組みを理解することが、いちかぶを賢く利用するポイントでした。

いちかぶの取引時間とスプレッド

いちかぶは、平日の日中取引だけでなく、夜間取引にも対応していました。取引時間は以下の通りです。

いちかぶの取引時間

日中取引

9:00~11:20、11:30~12:20、12:30~14:50の3つの時間帯に分かれていました。東京証券取引所が開いている時間帯はもちろん、休憩時間(11:30~12:20)も取引が可能でした。

夜間取引

17:00~21:00の時間帯で、買付のみ可能でした(売却は不可)。会社員の方でも帰宅後に取引できる点が大きなメリットとされていました。

スプレッドって何?実質的なコストを理解する

スプレッドとは、市場価格と実際の売買価格との差額のことです。いちかぶでは取引手数料が無料でしたが、このスプレッドが実質的な取引コストとして機能していました。

具体例で説明すると、市場価格が1,000円の株式で、スプレッドが0.35%の場合、以下のようになります。

  • 買付時:1,000円 + (1,000円 × 0.35%)= 1,003.5円 → 1,004円(1円未満切り上げ)で購入
  • 売却時:1,000円 – (1,000円 × 0.35%)= 996.5円 → 996円(1円未満切り捨て)で売却

つまり、買う時は市場価格より少し高く、売る時は少し安くなります。この差額がLINE証券の収益となり、実質的な取引コストとして投資家が負担していました。

カブスル:LINE証券は1株から株を買える。クイズに答えると3株もらえる

スプレッドは手数料とは異なり、取引画面では明示的に表示されないため、「手数料無料」という表現に惑わされず、実質的なコストを理解しておくことが重要でした。

時間帯別のスプレッド一覧と取引のコツ

いちかぶのスプレッドは、取引時間帯によって異なる割合が設定されていました。以下は時間帯別のスプレッド一覧です。

取引時間帯 スプレッド 備考
9:00~11:20 0.35% 東証前場・スプレッドが低い
11:30~12:20 0.7% 東証休憩時間
12:30~14:50 0.35% 東証後場・スプレッドが低い
17:00~21:00(夜間) 0.7% 買付のみ可能

取引のコツ:スプレッドが低い0.35%の時間帯(9:00~11:20、12:30~14:50)に取引することで、コストを最小限に抑えられました。東証の開場時間中は市場の流動性が高く、リアルタイムの価格で取引できるため、スプレッドも低く設定されていました。

一方、休憩時間(11:30~12:20)や夜間取引(17:00~21:00)は、スプレッドが0.7%と約2倍になっていました。急ぎでなければ、翌日の東証開場時間まで待つことで、取引コストを半分に抑えることができました。

2023年4月7日以降は、銘柄グループの統一により、約1,500銘柄がすべての時間帯で取引可能になっていました。

LINE株式会社:【LINE証券】「いちかぶ」(単元未満株)グループ統一により、約1500銘柄がリアルタイム約定で取引可能に

信用取引・投資信託の手数料

LINE証券では、現物取引やいちかぶ以外にも、信用取引や投資信託の取引が可能でした。それぞれの手数料体系について解説します。

信用取引は手数料無料|条件と注意点

LINE証券の信用取引は、取引手数料が完全無料でした。新規建て・返済取引のいずれも手数料がかからないため、コストを抑えて取引できる点が魅力でした。

ただし、信用取引には以下のコストが別途発生していました。

  • 買方金利:2.80%(年率)。株式を買い建てる際に発生する金利です。保有期間に応じて日割りで計算されます。
  • 貸株料:1.15%(年率)。株式を売り建てる際に発生する費用です。こちらも保有期間に応じて日割りで計算されます。

取引手数料は無料ですが、金利や貸株料は他のネット証券と同水準でした。また、信用取引は証拠金を担保に資金以上の取引ができるため、損失が拡大するリスクもあります。レバレッジ取引のリスクを十分理解した上で利用する必要がありました。

2023年7月21日をもって信用取引の新規建ては終了し、既存の建玉の返済のみ可能となっていました。

投資信託の購入手数料と取扱本数

LINE証券では、投資信託の購入手数料(販売手数料)がすべて無料でした。いわゆる「ノーロード」の投資信託のみを取り扱っていたため、購入時のコストを気にせず積立投資を始められました。

取扱本数は約30本程度と、他の主要ネット証券(SBI証券約2,600本、楽天証券約2,550本)と比べると少なめでした。しかし、厳選された低コストのインデックスファンドが中心で、投資初心者にとっては選択肢が絞られていて選びやすいというメリットもありました。

つみたてNISA対応:LINE証券はつみたてNISAにも対応しており、対象ファンドも取り扱っていました。月1,000円から積立設定ができ、LINEポイントを投資に利用することも可能でした。

信託報酬:投資信託には購入手数料とは別に、保有期間中に発生する「信託報酬」というコストがあります。LINE証券で取り扱っていた投資信託の信託報酬は、年率0.1%~1.0%程度と、ファンドによって異なっていました。長期保有する場合は、信託報酬の低いファンドを選ぶことが重要です。

投資信託の取引は2024年7月19日15時をもって終了し、保有していた投資信託も野村證券へ移管されました。

LINE証券と他社を比較|手数料はどれくらい違う?

LINE証券の手数料が本当に安いのか、主要ネット証券と比較してみましょう。現物取引、単元未満株、投資信託の3つの観点から比較します。

現物取引の手数料比較|SBI証券・楽天証券と比べてどう?

現物取引の手数料を、LINE証券、SBI証券、楽天証券で比較した表が以下です。

約定代金 LINE証券(1約定) SBI証券(1約定) 楽天証券(1約定)
5万円以下 買付0円/売却0円 原則無料 原則無料
10万円以下 買付99円/売却0円 原則無料 原則無料
20万円以下 買付176円/売却0円 原則無料 原則無料
50万円以下 買付198円/売却0円 原則無料 原則無料
100万円以下 買付484円/売却0円 原則無料 原則無料
3,000万円超 買付1,070円/売却0円 原則無料 原則無料

SBI証券と楽天証券は、現物取引の手数料が原則無料となっています。2023年以降、主要ネット証券は相次いで手数料無料化を実施しており、LINE証券の手数料体系は相対的に見劣りする状況でした。

ただし、LINE証券も5万円以下の買付手数料が無料、売却手数料も無料化されていたため、少額取引であればコスト面での不利はそれほど大きくありませんでした。

また、SBI証券と楽天証券には「1日定額コース」もあり、SBI証券では1日100万円まで、楽天証券でも1日100万円までの取引が無料です。頻繁に取引する方にとっては、1日定額コースがある証券会社の方が圧倒的に有利でした。

単元未満株の手数料比較|S株・かぶミニ®との違い

単元未満株サービスの手数料を、LINE証券(いちかぶ)、SBI証券(S株)、楽天証券(かぶミニ®)で比較します。

証券会社 サービス名 買付手数料 売却手数料 実質コスト
LINE証券 いちかぶ 無料 無料(2023年7月以降) スプレッド0.35%~0.7%
SBI証券 S株 無料 約定代金×0.55%(税込) 売却時のみ手数料
楽天証券 かぶミニ® 無料 無料 スプレッド0.22%

楽天証券の「かぶミニ®」は、スプレッドが0.22%と低い水準です。LINE証券のいちかぶは日中取引で0.35%なので、楽天証券の方がコストを抑えられます。

SBI証券の「S株」は、買付手数料が無料ですが、売却時に0.55%の手数料がかかります。ただし、取扱銘柄数は約3,500銘柄と多く、ほぼすべての上場株式を1株から購入できる点が大きなメリットです。

LINE証券のいちかぶは、取扱銘柄数が約1,500銘柄と限られていましたが、有名企業や人気銘柄は網羅していました。スプレッドは0.35%~0.7%と、時間帯によって変動する点が特徴でした。

投資スタイル別|どの証券会社がお得?

投資スタイル別に、おすすめの証券会社を整理します。

少額投資(月1~3万円)
楽天証券の「かぶミニ®」がおすすめです。スプレッドが0.22%と低く、少額取引でもコストを最小限に抑えられます。また、楽天ポイントを投資に利用できる点も魅力です。
頻繁に取引するデイトレーダー
SBI証券や楽天証券の1日定額コースがおすすめです。1日100万円までの取引が無料なので、何度取引してもコストがかかりません。LINE証券は1日定額コースがないため、デイトレードには不向きでした。
長期投資・積立投資
SBI証券または楽天証券がおすすめです。投資信託の取扱本数が多く、つみたてNISAにも対応しています。また、クレジットカード積立でポイントが貯まる点も大きなメリットです。
投資初心者・スマホで手軽に始めたい
現在LINE証券は利用できませんが、同様のスマホ証券として、松井証券やマネックス証券が初心者向けのサービスを提供しています。操作がシンプルで、少額から始められる点が共通しています。

手数料以外のコスト|見落としがちな費用

株式投資では、売買手数料以外にもさまざまなコストが発生します。LINE証券で見落としがちだった費用について解説します。

出金手数料・入金手数料はかかる?

LINE証券では、入金手数料と出金手数料について以下のルールがありました。

入金手数料・出金手数料

入金手数料

LINE Payを利用した入金は無料でした。銀行振込による入金の場合、振込手数料は利用者負担となっていました。LINE Payを使えば24時間いつでも即座に入金でき、手数料もかからないため、LINE Payユーザーにとっては非常に便利なサービスでした。

出金手数料

LINE Payへの出金は無料でした。一方、銀行口座への振込による出金には、1回あたり220円(税込)の手数料がかかっていました。頻繁に出金する場合、この手数料が積み重なるため、注意が必要でした。

LINE Payを経由することで、入出金手数料を無料にできる点は、LINE証券の大きなメリットでした。ただし、LINE Payから銀行口座へ出金する際には、別途手数料がかかる場合があるため、最終的なコストを確認しておく必要がありました。

口座管理料・維持費用の有無

LINE証券では、口座開設費用、口座管理料、口座維持費用はすべて無料でした。これは他のネット証券でも同様で、ネット証券の大きなメリットの一つです。

対面型の証券会社(野村證券の店舗など)では、口座管理料が発生する場合がありますが、ネット専業の証券会社では基本的に無料です。LINE証券から野村證券へ移管された後も、「野村ネット&コール」というオンライン専用支店のサービスが適用されるため、口座管理料は無料です。

他社への移管手数料と手続き方法

LINE証券から他の証券会社へ株式を移管(出庫)する際の手数料は、当初は1銘柄あたり1,100円(税込)でしたが、2023年11月17日以降は無料化されました。これは事業再編に伴う措置で、ユーザーの負担を軽減するための対応でした。

LINE証券:【1株単位】いちかぶ(単元未満株)の売買を行うときの手数料やスプレッドはかかりますか?

移管手続きは、LINE証券のウェブサイトから「株式出庫(移管)申請」を行うことで実施できました。移管先の証券会社の口座情報(口座番号など)を入力し、移管したい銘柄と株数を指定します。移管申請後、通常1~2週間程度で移管先の証券会社に株式が反映されました。

移管申請後は、対象銘柄の売却ができなくなります。また、移管手続きが完了するまでの間、株価が変動するリスクもあります。急いで現金化したい場合は、移管ではなくLINE証券で売却してから出金する方が早い場合もありました。

2024年5月31日をもって、他社への移管手続きの受付は終了しました。それ以降は、野村證券への自動移管のみとなりました。

投資額別の手数料シミュレーション

実際の投資額に応じて、どれくらいの手数料がかかるのかシミュレーションしてみましょう。LINE証券と他社を比較しながら、具体的なコストを計算します。

少額投資(月1万円)の場合

月1万円を投資する場合のシミュレーションです。

  • LINE証券(いちかぶ):1,000円の株を10株購入すると仮定します。スプレッドが0.35%の場合、実質的なコストは10,000円 × 0.35% = 35円です。月1回の取引であれば、年間のコストは35円 × 12ヶ月 = 420円となります。
  • 楽天証券(かぶミニ®):同じ条件で、スプレッド0.22%の場合、コストは10,000円 × 0.22% = 22円。年間では22円 × 12ヶ月 = 264円です。LINE証券より年間156円安くなります。
  • SBI証券(S株):買付手数料は無料ですが、売却時に0.55%の手数料がかかります。購入時のコストは0円、売却時のコストは10,000円 × 0.55% = 55円です。年1回売却すると仮定すると、年間コストは55円となります。

少額投資の場合、SBI証券のS株がコストを抑えられます。ただし、頻繁に売買する場合は、売却手数料が積み重なるため、楽天証券のかぶミニ®の方が有利になる可能性もあります。

中額投資(月5万円)の場合

月5万円を投資する場合のシミュレーションです。

  • LINE証券(現物取引):5万円以下の買付手数料は無料、売却手数料も無料(2023年7月以降)なので、コストは0円です。
  • SBI証券(現物取引):現物取引の手数料は原則無料なので、コストは0円です。
  • 楽天証券(現物取引):現物取引の手数料は原則無料なので、コストは0円です。

月5万円程度の投資であれば、どの証券会社もコストはほぼ同じです。ただし、LINE証券は現在サービスを終了しているため、新規で投資を始める場合はSBI証券または楽天証券を選ぶことになります。

手数料負けしないための最低投資額は?

「手数料負け」とは、株式の値上がり益よりも手数料の方が高くなってしまう状況のことです。手数料負けしないための最低投資額を考えてみましょう。

  • LINE証券(いちかぶ、スプレッド0.35%):往復(買付+売却)のコストは0.35% × 2 = 0.7%です。株価が1%上昇した場合、0.7%のコストを差し引いても0.3%の利益が残ります。つまり、1%以上の値上がりがあれば手数料負けしません。
  • 楽天証券(かぶミニ®、スプレッド0.22%):往復のコストは0.22% × 2 = 0.44%です。株価が0.5%以上上昇すれば、手数料負けしません。
  • SBI証券(S株、売却手数料0.55%):買付手数料は無料、売却手数料が0.55%なので、株価が0.6%以上上昇すれば手数料負けしません。

一般的に、株価の1~2%程度の値動きは日常的に発生します。そのため、数千円程度の少額投資でも、適切なタイミングで売買すれば手数料負けのリスクは低いと言えます。ただし、数百円単位の超少額投資では、手数料の割合が相対的に大きくなるため、注意が必要です。

目安としては、1回の取引で最低5,000円以上の投資額があれば、手数料負けのリスクを抑えられるでしょう。

手数料を抑えておすすめの証券会社5社

LINE証券が利用できなくなった今、手数料を抑えて投資を始めたい方におすすめの証券会社を5社紹介します。

SBI証券|国内株式売買手数料無料

SBI証券の画像
項目 内容
口座数 約15,000,000口座 ※2025年11月25日時点(SBIネオモバイル証券など含む)
取引手数料 【スタンダードプラン(1注文ごと)】 取引金額に関係なく0円【アクティブプラン(1日定額制)】 1日100万円以下の取引:0円※現物取引・信用取引・単元未満株(S株)もすべて対象です。
NISA対応
つみたて投資枠取扱銘柄数 〇(259銘柄)※2025年3月3日時点
成長投資枠対象商品 国内株 / 外国株 / 投資信託(約1,329銘柄 ※2025年3月3日時点)
投資信託 約2,550本 ※2025年3月3日時点
外国株 8カ国/米国株式(5,000銘柄)
取引ツール(PC) HYPER SBI 2 / HYPER SBI / SBI CFDトレーダー
スマホアプリ SBI証券 株アプリ / 米国株アプリ / かんたん積立 / HYPER FX / HYPER 先物 / HYPER CFD
提携銀行口座 SBI新生銀行 / 住信SBIネット銀行
ポイント投資・付与 Pontaポイント / dポイント / Vポイント(クレカ積立)
口座開設スピード 最短 翌営業日

SBI証券は、国内最大手のネット証券で、口座数は約1,500万口座を誇ります。現物取引・信用取引の手数料が原則無料となっており、コストを気にせず取引できます。

単元未満株サービス「S株」では、約3,500銘柄を1株から購入でき、買付手数料は無料です。投資信託の取扱本数も約2,600本と業界トップクラスで、つみたてNISAや新NISAにも対応しています。

三井住友カードでクレジットカード積立を行うと、最大5%のVポイントが貯まる点も大きな魅力です。IPO(新規上場株)の取扱実績も年間78銘柄(2024年)と多く、幅広い投資ニーズに対応できる総合力の高い証券会社です。

楽天証券|楽天ポイントが貯まる・使える

楽天証券LP画像
項目 内容
口座数 約12,000,000口座 ※2025年1月時点
取引手数料 【ゼロコース】 国内株式(現物・信用):0円 かぶミニ®(単元未満株):0円 投資信託:0円 ※ゼロコース選択時。 ※一部、スプレッドや信託財産留保額が発生する場合があります。
NISA対応 〇(新NISA対応)
つみたて投資枠取扱銘柄数 263銘柄 ※2025年4月24日時点
成長投資枠対象商品 国内株式 / 外国株式 / 投資信託(約1,345銘柄)
投資信託 約2,550本 ※2025年4月24日時点
外国株 6カ国/米国株式(約4,500銘柄)
取引ツール(PC) マーケットスピード / マーケットスピード II / 楽天MT4
スマホアプリ iSPEED / iSPEED for iPad / iSPEED FX / iSPEED 先物
提携銀行口座 楽天銀行(マネーブリッジ)
ポイント投資・付与 楽天ポイント(投資信託 / 国内株式 / 米国株式<円貨決済>)
口座開設スピード 最短 翌営業日

楽天証券は、楽天グループのネット証券で、口座数は約1,200万口座です。現物取引の手数料が原則無料で、単元未満株サービス「かぶミニ®」のスプレッドも0.22%と低い水準です。

楽天ポイントを投資に利用できる点が大きな特徴で、楽天市場や楽天カードで貯めたポイントを1ポイント=1円として投資信託や株式の購入に充てられます。また、楽天カードでクレジットカード積立を行うと、楽天ポイントが貯まります。

投資信託の取扱本数は約2,550本で、つみたてNISAや新NISAにも対応しています。取引ツール「MARKET SPEED Ⅱ」は高機能で、投資中級者以上にも人気があります。楽天経済圏を活用している方には特におすすめの証券会社です。

マネックス証券|米国株の取引に強い

マネックス証券のLP画像
項目 内容
口座数 約2,700,000口座 ※2025年2月時点
取引手数料 【取引毎手数料コース】
  • 5万円以下:55円(税込)

  • 5万超~10万円以下:99円

  • 10万超~20万円以下:115円

  • 20万超~50万円以下:275円

  • 50万超~100万円以下:535円

  • 100万超~150万円以下:640円

  • 150万超~3,000万円以下:1,013円

  • 3,000万円超:1,070円

NISA対応 〇(日本株・米国株・中国株・投資信託の売買手数料が無料)
つみたて投資枠取扱銘柄数 〇(銘柄数は公式サイトで確認)
成長投資枠対象商品 国内株 / 米国株 / 中国株 / 投資信託(約1,750本以上)
投資信託 約1,800本(購入時手数料すべて無料)
外国株 2カ国/米国株:約5,000銘柄以上(2025年1月27日時点)
取引ツール(PC) マネックストレーダー / 銘柄スカウター
スマホアプリ マネックス証券アプリ / 米国株アプリ / 投信アプリ
提携銀行口座 マネックス証券専用銀行口座(詳細は公式サイトで確認)
ポイント投資・付与 マネックスポイント / dポイント(投資信託の積立に利用可能)
口座開設スピード オンライン申込で最短翌営業日

マネックス証券は、米国株の取引に強みを持つネット証券です。米国株の取扱銘柄数は約5,000銘柄と業界トップクラスで、米国株投資を考えている方におすすめです。

現物取引の手数料は55円~1,070円(税込)と、LINE証券と同水準です。単元未満株サービス「ワン株」では、約1,500銘柄を1株から購入でき、買付手数料は無料です。

投資信託の取扱本数は約1,800本で、つみたてNISAや新NISAにも対応しています。マネックスカードでクレジットカード積立を行うと、最大1.1%のマネックスポイントが貯まります。IPOの取扱実績も年間54銘柄(2024年)と多く、抽選方式が完全平等なため、少額投資家でも当選のチャンスがあります。

松井証券|50万円以下は手数料無料

松井証券のLP画像
項目 内容
口座数 約1,670,000口座 ※2025年3月時点
取引手数料 【ボックスレート(1日定額制)】 1日の約定代金合計50万円まで:0円 50万円超:1,000円(税込1,100円)~※25歳以下なら約定代金に関わらず手数料無料
NISA対応 〇(日本株、米国株、投資信託すべて売買手数料無料)
つみたて投資枠取扱銘柄数 〇(銘柄数は公式サイトで確認)
成長投資枠対象商品 国内株 / 米国株 / 投資信託(約1,800本以上)
投資信託 約1,900本以上(購入時手数料すべて無料)
外国株 米国株:約4,900銘柄(2025年4月23日時点)
取引ツール(PC) ネットストック・ハイスピード(無料)
スマホアプリ 日本株アプリ / 投信アプリ / 米国株アプリ(すべて無料)
提携銀行口座 MATSUI Bank(松井証券専用銀行)
ポイント投資・付与 松井証券ポイント(投資信託の積立に利用可能)
口座開設スピード 最短即日(スマートフォンによるオンライン申込)

松井証券は、創業100年以上の歴史を持つ老舗証券会社で、ネット証券としても長い実績があります。現物取引・信用取引ともに、1日50万円までの取引が手数料無料です。

さらに、25歳以下のユーザーは取引金額に関係なく手数料が無料となる「25歳以下現物手数料0円」プログラムを実施しています。若い世代の投資家にとって非常に有利な条件です。

投資信託の取扱本数は約1,900本で、つみたてNISAや新NISAにも対応しています。サポート体制が充実しており、電話やチャットでの問い合わせに丁寧に対応してくれるため、初心者でも安心して利用できます。

DMM株|信用取引の手数料が完全無料

DMM株の画像
項目 内容
口座数 非公開
取引手数料 【国内株式】 ~5万円:55円 ~10万円:88円 ~20万円:106円 ~50万円:198円 ~100万円:374円 ~150万円:440円 ~300万円:660円 300万円超:880円※信用取引手数料は0円、25歳以下は実質手数料0円(キャッシュバック)
NISA対応 〇(新NISA・成長投資枠/国内株・米国株、取引手数料無料)
つみたて投資枠取扱銘柄数 取扱なし
成長投資枠対象商品 国内株 / 米国株
投資信託 取扱なし
外国株 米国株:約1,950銘柄(2025年4月時点)
取引ツール(PC) DMM株 PRO+ / DMM株 STANDARD
スマホアプリ DMM株アプリ(かんたんモード/ノーマルモード)
提携銀行口座 約340行に対応(ゆうちょ、みずほ、三菱UFJ、住信SBIなど)
ポイント投資・付与 取引手数料の1%をDMM株ポイントで還元(1pt=1円で現金化可)
口座開設スピード 最短即日(スマホでスピード本人確認)

DMM株は、DMM.comグループが運営するネット証券です。信用取引の手数料が完全無料で、信用取引を活用したい方におすすめです。

現物取引の手数料は55円~880円(税込)で、25歳以下のユーザーは実質無料(キャッシュバック)となります。米国株の取扱銘柄数は約1,950銘柄で、米国株投資にも対応しています。

ただし、投資信託の取扱がなく、つみたてNISAには対応していません。成長投資枠のみ利用可能です。株式投資をメインに考えている方、特に信用取引を活用したい方に向いている証券会社です。

よくある質問(Q&A)

よくある質問(Q&A)
LINE証券は今でも口座開設できる?

いいえ、LINE証券では現在、新規口座開設ができません。2023年6月12日に事業再編が発表され、新規口座開設の受付は順次終了しました。2024年8月13日に証券サービスが野村證券へ移管され、LINE証券での株式取引はすべて終了しています。

これから証券口座を開設したい方は、SBI証券、楽天証券、マネックス証券など、他の主要ネット証券を検討することをおすすめします。

野村證券への移管で手数料は変わる?

はい、野村證券への移管後は、手数料体系が変わります。野村證券の「野村ネット&コール」では、現物取引の手数料が152円~78,571円(税込)、信用取引の手数料が1注文あたり524円(税込)となっています。

LINE証券では現物取引の手数料が5万円以下無料、売却手数料も無料でしたが、野村證券では取引金額に応じた手数料が発生します。そのため、移管後は手数料負担が増える可能性があります。

頻繁に取引する方や手数料を抑えたい方は、野村證券から他のネット証券(SBI証券や楽天証券など)へ株式を移管することも検討すると良いでしょう。ただし、移管手続きには時間がかかるため、早めに対応することが重要です。

NISA口座の手数料は通常と違う?

LINE証券では、NISA口座(つみたて投資枠・成長投資枠)での取引も、通常の口座と同じ手数料体系が適用されていました。NISA口座だからといって手数料が特別に安くなるわけではありませんでした。

ただし、NISA口座で得た利益は非課税となるため、税金面でのメリットは大きいです。通常の口座では、株式の譲渡益や配当金に対して20.315%の税金がかかりますが、NISA口座ではこれが非課税となります。

野村證券への移管後も、NISA口座は引き継がれます。ただし、つみたてNISA口座で投資信託を保有していた場合、野村證券での取扱がない銘柄は売却または他社へ移管する必要があります。

LINEポイントで手数料を払える?

いいえ、LINEポイントで手数料を直接支払うことはできませんでした。ただし、LINEポイントを証券口座に入金し、その資金で株式や投資信託を購入することは可能でした。

LINEポイントは1ポイント=1円として、LINE証券の口座に入金できました。入金したポイントは現金と同様に扱われ、株式の購入に利用できました。この仕組みにより、実質的にはポイントで投資ができる形となっていました。

ただし、LINEポイントから証券口座への入金サービスは、2023年12月をもって終了しました。

タイムセールを使えば手数料以上にお得?

はい、LINE証券の「タイムセール」は、対象銘柄を最大7%引きで購入できるキャンペーンで、手数料以上にお得でした。タイムセールは不定期に開催され、LINEアプリで通知が届きました。

例えば、市場価格1,000円の株が7%引きの930円で購入できる場合、70円分のメリットがあります。スプレッド(0.35%の場合3.5円)を差し引いても、66.5円分お得になる計算です。

ただし、タイムセールには購入上限(数株~数十株程度)があり、人気銘柄はすぐに売り切れることもありました。また、割引価格で購入できるのは買付時のみで、売却時は通常の市場価格となります。

LINE証券のサービス終了に伴い、タイムセールも2023年7月をもって終了しました。

デイトレードには向いていない?

はい、LINE証券はデイトレードには向いていませんでした。理由は以下の通りです。

第一に、1日定額コースがなかったため、取引回数が増えるほど手数料負担が大きくなりました。デイトレードでは1日に何度も売買を繰り返すため、1約定ごとに手数料がかかる仕組みは不利です。

第二に、いちかぶのスプレッドは往復で0.7%~2.0%(時間帯による)となり、頻繁に売買するとコストが積み重なります。デイトレードでは、数%の値動きを狙うことが多いため、スプレッドの影響が大きくなります。

デイトレードを行いたい方は、1日定額コースがあるSBI証券(1日100万円まで無料)や楽天証券(1日100万円まで無料)を選ぶことをおすすめします。

既存ユーザーは今後どうすればいい?

LINE証券の既存ユーザーは、2024年8月13日に野村證券へ自動的に移管されました。移管後は野村證券の「野村ネット&コール」のサービスを利用することになります。

野村證券から、ログインに必要な「部店・口座番号」と「パスワード」が郵送で届きます。これらの情報を使って野村證券のオンラインサービスにログインし、保有資産を確認できます。

もし野村證券の手数料体系に不満がある場合、他のネット証券(SBI証券や楽天証券など)へ株式を移管することも可能です。ただし、移管手続きには時間がかかるため、早めに対応することをおすすめします。

手数料が安い証券会社に乗り換えるべき?

野村證券の手数料が気になる場合、手数料が安いネット証券への乗り換えを検討する価値があります。特に、頻繁に取引する方や少額投資を続けたい方にとっては、手数料の差が長期的に大きな影響を与えます。

SBI証券や楽天証券は、現物取引の手数料が原則無料で、単元未満株のコストも低く抑えられています。また、投資信託の取扱本数も多く、つみたてNISAや新NISAにも対応しているため、長期的な資産形成に適しています。

ただし、株式の移管手続きには時間がかかり、移管中は売買ができません。また、移管手数料がかかる場合もあるため、事前に確認が必要です。保有株式が少ない場合は、一度売却してから新しい証券会社で買い直す方が早い場合もあります。

ご自身の投資スタイルや保有資産の状況に応じて、最適な選択をすることをおすすめします。

まとめ

LINE証券は、スマホで手軽に株式投資ができるサービスとして人気を集めていましたが、2024年8月13日に野村證券へ統合され、証券サービスは終了しました。

LINE証券の手数料体系は、現物取引が5万円以下無料、いちかぶのスプレッドが0.35%~0.7%と、比較的低い水準でした。しかし、1日定額コースがなかったため、頻繁に取引するデイトレーダーには不向きでした。また、主要ネット証券が相次いで手数料無料化を実施したことで、相対的な優位性は低下していました。

野村證券への移管後は、手数料体系が変わり、コスト負担が増える可能性があります。手数料を抑えて投資を続けたい方は、SBI証券や楽天証券など、手数料が安く投資信託の取扱も豊富なネット証券への乗り換えを検討すると良いでしょう。

これから投資を始める方は、自分の投資スタイル(少額投資、デイトレード、長期投資など)に合った証券会社を選ぶことが重要です。手数料だけでなく、取扱商品の豊富さ、ポイント還元、取引ツールの使いやすさなど、総合的に比較して最適な証券会社を選びましょう。

なお、投資には元本割れのリスクがあります。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。詳しくは各証券会社の公式サイトでご確認いただくか、専門家にご相談ください。

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