会社設立時に用意する法印鑑|4種類の印鑑の役割と選ぶポイントについて解説

会社を設立する際に行う重要なことの1つに、印鑑の用意があります。印鑑には多様な種類があり、どれを選択すれば良いか迷うこともあるでしょう。

この記事では、印鑑の様々な種類やそれぞれの役割、選び方、購入方法、作成後の手続きなどについて詳しく解説しています。

会社設立の準備や会社設立を検討している方などは、是非この情報を参考にしてください。

会社設立時に用意する4種類の印鑑とその役割

会社設立時に、用意が必要な4種類の印鑑とその役割について詳しく説明をします。
・代表印(実印)
・銀行印
・角印
・ゴム印

代表印(実印)

代表者印は、法務局に印鑑届出書を提出して登録した主に会社の印鑑証明に使用される印鑑で、実印とも呼ばれます。通常、印鑑の形状は直径18mmの丸印が一般的です。

代表印のサイズは、法的な規定により辺の長さが1cm以上から3cm以内の正方形に収める必要があります。

会社の実印は、様々な取引をする際の契約書や不動産の売買を行う際など、多岐にわたる業務の場面で広く使用されます。

他の印鑑を作成することは必須ではありませんが、銀行印や角印、ゴム印などを用意しておくと、業務を進める上で著しく便利になるというメリットがあります。

重要な取引時などに使用する会社実印は、セキュリティの行き届いた安全な場所に保管するなど取り扱いに注意しましょう。

銀行印

銀行印は法人口座を金融機関で開設する際に必要となります。

代表印を銀行印として代用することも可能ですが、その際に代表印を紛失するというリスクや悪用される可能性が考えられます。

このようなリスクを考慮し、銀行取引を行う上では代表印とは別に、銀行専用の印鑑として銀行印を作成することがお勧めされます。

銀行印と代表印は、それぞれ異なるサイズで作成すると、簡単に区別ができてわかりやすくなります。

銀行印のサイズが過度に小さいか大きい場合、手続きが行えない可能性があるため、口座を開設する際は金融機関の規定を事前に確認することが重要です。

角印

角印は通常の業務で用いられる社判とも呼ばれる印鑑で、個人の認印と同じような役割を果たします。

主に請求書や発注書、見積書などの書類の確認時に押印され、業務内でよく利用されます

代表印を角印として使用することも可能ですが、もし代表印を紛失した場合、悪用されたり偽造書類に使用されたりするなどのトラブルに巻き込まれるリスクが考えられます。

そのため、通常の企業では代表印や銀行印、角印をそれぞれ別に作成することが一般的です。

ゴム印

法人のゴム印は、事務の業務効率化を図るために作られた印鑑です。

通常、ゴム印には会社名、住所、電話番号、代表者名などの情報が記入されて、基本的に分割されていることが一般的です。

ゴム印は、会社情報を手書きで記入する手間を省くために利用されます

縦型と横型、両方の形状のゴム印があり、さらに複数の違う種類のサイズのものをつくっておくとより利便性が向上します。

法人印鑑を選ぶポイント・注意点

法人印鑑を選ぶポイントや注意点について詳しく説明します。
・バランスの良いサイズを選ぶ
・誤読しにくい書体を選ぶ
・高度な耐用性の素材を選ぶ

バランスの良いサイズを選ぶ

会社設立の手続きにおいて、使用する印鑑を選ぶ際には、印鑑の種類ごとに適切な大きさを選ぶことが重要なポイントです。

代表者印(会社実印)の一般的なサイズは、直径が約18mmの丸印がよく使用されます。また、印鑑の大きさには「辺の長さが1cm以上、3cm以内の正方形の中に収まる」という法的な規定があります。

代表印(会社実印)のサイズには定めがありますが、銀行印、角印、ゴム印などのそれ以外の印鑑には規定が設けられていません。

通常、各印鑑の大きさは「角印>代表者印>銀行印」の順で、区別がつくように作成されることが一般的です。

誤読しにくい書体を選ぶ

会社設立時の手続きにおいて、印鑑を選ぶ際のポイントとして、誤読しにくい書体を選ぶことも大切です。

また、企業の印鑑では、文字の判別が難しい書体を選ぶことで偽造を防ぎ、セキュリティを向上させることが一般的です。

印相体、古印体、隷書体など様々な書体が存在しますが、文字の判別が難しい書体が好まれるため、篆書体(てんしょたい)は特に定番とされています。

漢字、カタカナ、ひらがな、アルファベットなど、文字の種類や画数、文字数によって同じ書体であっても印鑑の与える印象が異なってくるため、社名に最適な書体を選択すると良いでしょう。

高度な耐用性の素材を選ぶ

会社設立時の手続きにおいて、印鑑を選ぶ際のポイントとして、高度な耐用性の素材を選ぶことも大切です。

印鑑の素材には好みも影響しますが、法人印は長期間使用されるため、摩耗による変化を防ぐためにも耐久性の高い素材を選ぶことが重要です。

一般的に印鑑の素材として使用されるのは柘(つげ)と言われていますが、より耐久性の高い素材として黒水牛や、耐久性に加え上質な印象のあるチタンも選択されることがあります。

会社設立時オススメの印鑑の購入方法

印鑑は、会社と苦楽を共にすると言っても過言ではないほど、会社の重要なシンボルであり、設立時につくった印鑑は、長年使い続ける会社の歴史や信頼性を象徴するものとなります。

代表者印、銀行印、角印などを一括でセットにして印鑑を購入することをオススメします。印鑑を購入する際には、耐久力のある印箱や朱肉、マットなどの備品も併せて揃えておくことも大切です。

インターネットで便利に印鑑を購入することもできますが、実店舗での購入も検討すると良いでしょう。

実店舗で印鑑を作る際のメリットとして、実物を見て触れることができ、印鑑の大きさや素材、手触りなどを確認しながら選ぶことができる点が挙げられます。

また、印鑑の専門家に直接相談できたり、アドバイスを受けることができるのも利点です。

実際の店舗で印鑑を作成することで、自分のイメージと異なる商品を選んでしまうリスクを回避でき、また、選んだ印鑑に適した素材もその場で検討し選ぶことができるというメリットがあります。

しかし、実店舗で印鑑を作成する際のデメリットもあります。インターネットで購入する場合と比較し、受け取りに時間が生じることや、価格が高いことが考えられます。

インターネットショップと比較して、印鑑の種類によっては、金額が倍くらい高い店舗も存在するため、実際に店舗に来店する前に価格帯を事前に確認しましょう。

インターネットショップで印鑑購入するメリットは、印鑑の種類が多様にあり、価格帯が店舗で購入するより安く購入でき、対応が早い店舗の場合、即日に配送してもらえる場合もあります。

インターネットショップでの購入には、いくつかのデメリットも考えられます。

まず、手元に届くまで購入した印鑑の実物を確認できないため、印鑑プレビューサービスがあっても、届いた印鑑とイメージしてた印鑑が違ってる可能性も考えられます。

印鑑サイズに関する情報を事前に確認が必要であったり面倒な点があります。

法人印鑑をつくった後の流れ

法人印鑑を作成後の流れについて説明します。会社の設立には、法人印鑑だけではなく個人の印鑑(代表社印)も必要になります。これら法人と個人の印鑑の登録について解説していきます。
・法人印鑑登録の必要性
・役所での手続き方法
・手続き時に必要なもの

法人印鑑登録の必要性

会社を設立する上で、役所に登録された印鑑である実印が必要となるため、印鑑登録の手続きを行うことが重要です。印鑑登録を行うことで手続きや文書作成、契約などにおいて会社の存在を公に証明することができ、実印としての法的な効力が生まれます

会社の印鑑登録申請は、通常、会社設立のタイミングで登記申請と同時に行います。

登記申請や印鑑登録の手続きは、会社の所在地を管理する法務局で行います。

印鑑登録申請をしないと印鑑が法的な効力を持った実印として認識されません。一般的に「実印」として店舗などで販売されている印鑑は「実印用」という表現で使われており、購入しただけでは実印としては使用することはできません。実印として利用するためには、印鑑登録の手続きは必要不可欠です

役所での手続き方法

個人の印鑑登録を行う場合は、住民票の登録のある地方自治体の役所に印鑑を持参して手続きを行います。

現在の住所地に住民票を移していない場合、現住所の役所では手続きができません。その場合は、住民票の登録のある役所で印鑑登録の手続きを行うか現住所のある地域に転居届を出すことで現住所の役所で印鑑登録の手続きを行うことになります。

役所で印鑑登録の申請を行う際には、まず最初に「申請書」に必要な項目を記載し、申請書と一緒に、登録を希望する印鑑(法人印鑑および個人印鑑)を提出することで、印鑑登録の手続きが可能です。

手続き時に必要なもの

役所の窓口で印鑑登録を行う際に提出が求められるものは、実印用の印鑑(法人印鑑および個人印鑑)、免許証やパスポート、マイナンバーカードなどの顔写真付きの身分証明書、手数料(100円から300円)の3点です。

身分証明書は、顔写真の有無によって手続きのスピードが変わります。免許証などの顔写真がある身分証の場合は、窓口で直ちに印鑑の手続きを進めることができます

一方で、顔写真のない身分証明書でも印鑑登録は可能ですが、窓口ですぐに登録することはできません。手続きには数日かかることが予想されますので、急ぎの場合は顔写真のある身分証明書を事前に用意することが望ましいです。

ここまでの印鑑登録を行うことで、印鑑証明書を発行するために必要な印鑑登録証(もしくは印鑑登録カード)を受け取ることができます。

印鑑証明書の取得も必要

会社の設立登記は、書類上に語彙脱字など間違いがない場合には一週間程度で手続きは完了します。登記が完了と同じタイミングで、会社の印鑑証明書の発行手続きを進めることが重要です

登記の申請を行う際に、法務局に印鑑カード交付申請書の提出を行うことで、登記後の印鑑証明書の取得が可能です。

印鑑証明書は、法人口座開設、不動産取引、融資申請、法的手続きなどの場面で実印が必要な際に提出が求められます。

印鑑証明書の申請は法務局の窓口、郵送、オンラインの3つの方法で行うことができます。

まとめ

ここまで、印鑑の様々な種類やそれぞれの役割、選び方、購入方法、作成後の手続きなどを中心に解説してきました。

本記事が、これから会社設立の準備や会社設立を検討している起業家・個人事業主・独立予定の会社員の方のご参考になれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

著 者

SOICO株式会社
共同創業者&代表取締役CEO
茅原 淳一 (かやはら じゅんいち)

慶應義塾大学卒業後、新日本有限責任監査法人にて監査業務に従事。 その後クレディスイス証券株式会社を経て2012年KLab株式会社入社。 KLabでは海外子会社の取締役等を歴任。2016年上場会社として初の信託を活用したストックオプションプランを実施。 2015年医療系ベンチャーの取締役財務責任者に就任。 2018年よりSOICO株式会社の代表取締役CEOに就任。公認会計士。

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