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投資信託で資産運用を始めたいけれど、「複利効果」という言葉をよく聞くものの、具体的にどういう仕組みなのか分からないという方は多いのではないでしょうか。
複利効果とは、運用で得た利益を再び投資に回すことで、利益が利益を生み出す仕組みのことです。
投資信託では、分配金を再投資することで複利効果を活用でき、長期運用するほど資産が加速度的に増えていく可能性があります。
この記事では、投資信託における複利効果の仕組みから、実際に複利効果を得る方法、注意すべきリスクまで、初心者の方にも分かりやすく解説します。
複利効果を正しく理解して、効率的な資産形成を始めましょう。
目次
投資信託の複利効果とは
投資信託における複利効果を理解することは、効率的な資産形成の第一歩です。ここでは複利の基本的な仕組みと、投資信託でどのように働くのかを解説します。
複利とは、運用で得た利益を元本に加えて再び運用することで、利益が利益を生み出す仕組みのことです。銀行預金を例にすると、1年目の利息を引き出さずに預金に加えておくと、2年目はその利息にも利息がつきます。
たとえば100万円を年利3%で運用した場合、1年目の利益は3万円です。この3万円を元本に加えて103万円として運用すると、2年目の利益は3万900円になります。元本だけでなく、1年目の利益にも利息がついているためです。
この仕組みが複利であり、運用期間が長くなるほど効果が大きくなります。投資の世界では「複利は人類最大の発明」とも言われ、長期的な資産形成において非常に重要な概念です。
投資信託では、運用によって得られた利益が基準価額の上昇という形で反映されます。分配金を受け取らずに再投資することで、その利益分も含めた金額で運用が続けられ、複利効果が働きます。
具体的には、投資信託の基準価額が1万円から1万500円に上昇した場合、500円の含み益が発生します。この状態で運用を続けると、次は1万500円を元本として運用されるため、同じ5%の上昇でも525円の利益になります。
また、分配金が支払われる投資信託でも、その分配金を自動的に再投資する設定にしておけば、複利効果を得ることができます。分配金を現金で受け取ってしまうと、その分は運用から外れてしまい、複利効果が減少してしまいます。
投資信託は少額から始められ、自動積立との組み合わせで継続的に投資額を増やせるため、複利効果を活用した資産形成に適した金融商品と言えます。
複利と単利の違い
複利と単利では、長期運用において大きな差が生まれます。ここでは両者の計算方法と、実際のシミュレーションで具体的な差を確認していきます。
単利とは、最初の元本に対してのみ利息が計算される方式です。運用で得た利益を元本に加えず、毎年同じ金額の利息を受け取る形になります。
単利の計算式は「元本 × 利率 × 運用年数」です。たとえば100万円を年利3%で10年間運用した場合、毎年3万円の利息が発生し、10年後の利息合計は30万円となります。元本と合わせて130万円になります。
単利のメリットは計算が簡単で分かりやすいことですが、利益を再投資しないため、長期運用における資産の増加スピードは複利に比べて遅くなります。定期預金で利息を毎回引き出す場合などが、単利運用の典型例です。
複利は、運用で得た利益を元本に加えて再び運用する方式です。利益にも利息がつくため、時間の経過とともに資産の増加スピードが加速していきます。
複利の計算式は「元本 × (1 + 利率)^運用年数」です。100万円を年利3%で10年間運用した場合、計算式は「100万円 × (1.03)^10」となり、約134万3,900円になります。単利の130万円と比べて、約4万3,900円多くなります。
複利の特徴は、運用期間が長くなるほど効果が大きくなることです。10年では4万円程度の差ですが、20年、30年と運用期間が延びるにつれて、単利との差は飛躍的に拡大していきます。
投資信託で分配金を再投資する設定にしておくことや、無分配型の投資信託を選ぶことで、この複利効果を最大限に活用できます。
100万円を年利5%で30年間運用した場合の、単利と複利の比較を見てみましょう。長期運用における複利効果の威力が明確に分かります。
| 運用年数 | 単利での資産額 | 複利での資産額 | 差額 |
| 10年 | 150万円 | 約163万円 | 約13万円 |
| 20年 | 200万円 | 約265万円 | 約65万円 |
| 30年 | 250万円 | 約432万円 | 約182万円 |
30年後には、単利では250万円にしかなりませんが、複利では約432万円と、約1.7倍もの差が生まれます。この182万円の差は、複利効果によって生まれた「利益が生んだ利益」です。
さらに毎月3万円を積み立てながら年利5%で30年間運用した場合、単利では約1,350万円ですが、複利では約2,497万円となり、約1,147万円もの差が生まれます。積立投資と複利を組み合わせることで、資産形成の効果は大きく高まります。
このシミュレーションからも分かるように、複利効果は長期運用において非常に大きな威力を発揮します。投資信託で資産形成を行う際は、この複利効果を意識した運用が重要です。
投資信託で複利効果を得る3つの方法
投資信託で複利効果を最大限に活用するには、具体的な方法を知っておく必要があります。ここでは実践的な3つの方法を解説します。
無分配型の投資信託は、運用で得た利益を分配金として支払わず、すべてファンド内で再投資する仕組みです。これにより自動的に複利効果が働き、資産が効率的に増えていきます。
無分配型のメリットは、分配金にかかる税金を繰り延べできることです。分配金を受け取ると、その時点で約20%の税金が差し引かれますが、無分配型では売却するまで課税されません。税金分も含めて運用できるため、複利効果がさらに高まります。
代表的な無分配型投資信託には、「eMAXIS Slimシリーズ」や「楽天・全米株式インデックス・ファンド」などがあります。これらは信託報酬も低く、長期的な資産形成に適しています。
ただし、定期的な収入が必要な方や、運用益を受け取りたい方には向いていません。ご自身の投資目的に合わせて選択することが大切です。
分配金が支払われる投資信託でも、分配金再投資コースを選択することで複利効果を得られます。分配金が自動的に同じ投資信託の買付に充てられるため、手間なく複利運用が継続できます。
分配金再投資型では、分配金に対して一度税金がかかりますが、税引き後の金額が再投資されます。そのため、無分配型と比べると税金分だけ複利効果は若干低くなりますが、それでも現金で受け取るよりは効率的です。
証券会社によっては、分配金再投資の設定が自動で行われる場合と、手動で設定が必要な場合があります。口座開設時や投資信託購入時に、必ず「再投資コース」を選択するようにしましょう。
また、NISAやiDeCoでは分配金が非課税で再投資されるため、複利効果をより高めることができます。税制優遇制度との組み合わせも検討してみてください。
複利効果は時間をかけるほど大きくなるため、長期運用を継続することが最も重要です。短期的な相場変動に一喜一憂せず、じっくりと資産を育てる姿勢が求められます。
相場が下落した時期でも運用を続けることで、安い価格で投資信託を購入できます。その後相場が回復すれば、より大きなリターンを得られる可能性があります。これを「ドルコスト平均法」と言い、積立投資との相性が良い手法です。
長期運用を継続するためには、生活費とは別に投資資金を確保することが大切です。急な出費で投資信託を売却してしまうと、複利効果が途切れてしまいます。無理のない金額で積立を続けることが、成功の鍵です。
金融庁も、長期・積立・分散投資の重要性を推奨しています。複利効果を最大限に活用するには、最低でも10年以上、できれば20年以上の運用期間を想定することがおすすめです。
分配金あり・なしでどう違う?
投資信託を選ぶ際、分配金の有無は複利効果に大きく影響します。それぞれの特徴と、長期的な資産形成への影響を比較していきます。
分配金ありファンドは、運用で得た利益の一部を定期的に投資家に支払う投資信託です。毎月や年1回など、決められたタイミングで分配金が受け取れるため、定期的な収入が欲しい方に向いています。
分配金を受け取ると、その時点で約20%の税金が差し引かれます(NISAを除く)。税引き後の金額が手元に残るため、実質的な運用資産は減少します。この税金分が複利効果を低下させる要因となります。
また、分配金の原資が運用益ではなく元本から支払われる「特別分配金(元本払戻金)」の場合、実質的に自分の資産を取り崩しているだけになります。基準価額が下がり、複利効果も得られないため注意が必要です。
無分配型ファンドは、運用益をすべてファンド内で再投資するため、分配金が支払われません。税金が繰り延べられ、その分も含めて運用が続けられるため、複利効果が最大化されます。
無分配型では、売却するまで税金がかからないため、長期運用における資産の増加スピードが速くなります。特に20年以上の長期運用を考えている場合、税金の繰り延べ効果は非常に大きくなります。
デメリットは、定期的な現金収入が得られないことです。老後の生活費として定期的な収入が必要な場合は、分配金ありファンドの方が適している場合もあります。投資の目的に応じて選択することが重要です。
100万円を年利5%で20年間運用した場合の、分配金あり(毎年受取)と無分配型の比較を見てみましょう。
| 運用タイプ | 20年後の資産額 | 差額 |
| 分配金受取(税引後) | 約212万円 | – |
| 分配金再投資(税引後) | 約243万円 | +31万円 |
| 無分配型(税繰延) | 約265万円 | +53万円 |
分配金を毎年受け取った場合は約212万円ですが、無分配型では約265万円となり、約53万円の差が生まれます。この差は、税金の繰り延べと複利効果によるものです。
さらに、NISAで運用した場合は税金が非課税になるため、分配金再投資でも無分配型と同等の効果が得られます。新NISAでは非課税保有期間が無期限になったため、複利効果をより長く享受できます。
資産形成を目的とする場合は、無分配型またはNISAでの分配金再投資型を選ぶことで、複利効果を最大限に活用できます。
複利効果を実感できるのはいつから?
複利効果は理論的には理解できても、実際にいつ頃から効果を実感できるのか気になる方も多いでしょう。運用期間別に複利効果の現れ方を解説します。
運用開始から5年目までは、複利効果はまだそれほど大きくありません。100万円を年利5%で運用した場合、5年後は約128万円となり、単利の125万円と比べて約3万円の差にとどまります。
この時期は元本の増加がメインで、「利益が生む利益」はまだ小さい段階です。相場の変動によっては、複利効果を実感しにくい時期でもあります。含み損を抱えることもあり、不安になる方もいるかもしれません。
しかし、この時期に積立投資を継続することが重要です。相場が下がった時期に購入した投資信託は、将来的に大きなリターンを生む可能性があります。短期的な成果に一喜一憂せず、長期的な視点を持つことが大切です。
運用10年を超えると、複利効果が徐々に目に見える形で現れ始めます。100万円を年利5%で10年間運用すると約163万円となり、単利の150万円と比べて約13万円の差が生まれます。
この時期から、利益が生んだ利益の割合が大きくなり始めます。元本100万円に対して、10年間の利益63万円のうち、約13万円が複利効果によるものです。全体の利益の約20%を複利効果が占めています。
また、毎月3万円の積立を10年間続けた場合、元本360万円に対して運用資産は約465万円となり、約105万円の運用益が発生します。積立と複利を組み合わせることで、資産形成のスピードが加速していきます。
運用20年を超えると、複利効果は圧倒的な威力を発揮します。100万円を年利5%で20年間運用すると約265万円となり、単利の200万円と比べて約65万円もの差が生まれます。
20年間の利益165万円のうち、約65万円が複利効果によるものです。全体の利益の約40%を複利効果が占めるようになり、「利益が利益を生む」仕組みが明確に実感できます。
毎月3万円を20年間積み立てた場合、元本720万円に対して運用資産は約1,233万円となり、約513万円の運用益が発生します。元本の約1.7倍に資産が増え、老後資金の準備として十分な金額になります。
複利効果を最大限に活用するには、20年以上の長期運用が理想的です。時間を味方につけることが、資産形成成功の鍵と言えます。
72の法則・100の法則
複利効果を活用する上で、資産が2倍になる期間を簡単に計算できる便利な法則があります。投資計画を立てる際に役立つ実践的なツールです。
72の法則とは、「72 ÷ 年利率 = 資産が2倍になる年数」という計算式で、複利運用で資産が2倍になるまでの期間を簡単に求められる法則です。
たとえば年利6%で運用した場合、「72 ÷ 6 = 12年」となり、約12年で資産が2倍になります。年利3%なら「72 ÷ 3 = 24年」で、24年かかる計算です。この法則を使えば、電卓一つで素早く目標達成期間を把握できます。
実際の投資では、年利は一定ではなく変動しますが、長期的な平均リターンを想定して計算することで、おおよその目安を知ることができます。たとえば株式投資の長期平均リターンを5%と仮定すれば、「72 ÷ 5 = 14.4年」で資産が2倍になる計算です。
この法則は、目標金額から逆算して必要な運用期間や利回りを考える際にも便利です。「10年で資産を2倍にしたい」なら、「72 ÷ 10 = 7.2%」の年利が必要だと分かります。
100の法則は、単利で元本が倍増する期間を計算する法則です。「100 ÷ 年利率 = 元本が2倍になる年数」という計算式で求められます。
たとえば年利5%の単利運用では、「100 ÷ 5 = 20年」で元本が2倍になります。72の法則(複利)では約14.4年で2倍になるのに対し、100の法則(単利)では20年かかり、複利の優位性が明確に分かります。
この法則は、複利と単利の違いを理解する際にも役立ちます。同じ年利5%でも、複利なら約14.4年、単利なら20年と、約5.6年もの差が生まれます。この差が複利効果の威力です。
実際の投資信託では複利運用が基本なので、72の法則を使うことが多いですが、100の法則も知っておくと、複利の優位性を実感しやすくなります。両方の法則を使い分けることで、より深く複利効果を理解できます。
NISAで複利効果を最大化する方法
NISAは非課税制度として、複利効果をさらに高める強力なツールです。税金がかからない分、より効率的に資産を増やすことができます。
2024年から始まった新NISA制度では、投資で得た利益が非課税になります。通常は約20%の税金がかかりますが、NISAではこれが一切かかりません。この非課税メリットが複利効果を大きく高めます。
たとえば100万円を年利5%で20年間運用した場合、課税口座では税引き後約212万円ですが、NISAでは約265万円となり、約53万円も多くなります。この差は、本来税金として支払うはずだった金額も複利運用に回せるためです。
新NISAでは非課税保有限度額が1,800万円に拡大され、非課税保有期間も無期限になりました。長期的な複利運用に最適な制度設計となっており、資産形成を考える上で活用しない手はありません。
つみたて投資枠は年間120万円まで投資でき、長期・積立・分散投資に適した投資信託が対象です。金融庁が定めた基準を満たす低コストなインデックスファンドが中心で、複利効果を活用した資産形成に向いています。
つみたて投資枠では、分配金が非課税で再投資されるため、税金を気にせず複利効果を最大化できます。毎月コツコツと積み立てながら、利益も含めて非課税で運用できる仕組みは、長期的な資産形成に非常に有利です。
たとえば毎月3万円を年利5%で20年間積み立てた場合、課税口座では約1,109万円ですが、NISAでは約1,233万円となり、約124万円も多くなります。この差は、分配金や売却益にかかる税金を複利運用に回せるためです。
つみたて投資枠は、投資初心者でも始めやすい制度設計になっています。少額から始められ、自動積立で手間もかからないため、複利効果を活用した資産形成の第一歩として最適です。
成長投資枠は年間240万円まで投資でき、つみたて投資枠よりも幅広い商品が対象です。個別株やアクティブファンドにも投資できるため、より積極的な運用を目指す方に向いています。
成長投資枠でも、配当金や分配金は非課税で再投資できます。高配当株の配当金を再投資することで、複利効果を活用しながら資産を増やせます。通常は配当金に約20%の税金がかかりますが、NISAではその分も運用に回せます。
ただし、成長投資枠では投資対象が広い分、リスクも高まる可能性があります。複利効果を得るには長期運用が前提なので、短期的な売買を繰り返すのではなく、じっくりと資産を育てる姿勢が重要です。
つみたて投資枠と成長投資枠は併用できるため、両方を活用することで年間最大360万円まで非課税で投資できます。複利効果を最大化するには、両枠をフル活用した長期運用がおすすめです。
信託報酬の差が複利効果に与える影響
投資信託のコストである信託報酬は、一見わずかな差に見えても、長期運用では複利効果に大きな影響を与えます。コストの重要性を理解しましょう。
信託報酬とは、投資信託を保有している間、継続的にかかる運用管理費用のことです。年率で表示され、日割りで毎日差し引かれます。たとえば信託報酬が年0.5%の投資信託を100万円分保有している場合、年間5,000円のコストがかかります。
信託報酬は、運用会社・販売会社・信託銀行の3者に支払われ、ファンドの運用や管理、情報提供などに使われます。投資家が直接支払うのではなく、基準価額から自動的に差し引かれるため、意識しにくいコストです。
しかし、この信託報酬が複利効果に与える影響は非常に大きいです。コストが高いほど運用成果が減少し、長期的には大きな差となって現れます。特に複利運用では、コスト削減の効果も複利で効いてくるため、低コストファンドの選択が重要です。
100万円を年利5%(信託報酬控除前)で20年間運用した場合の、信託報酬の違いによる影響を見てみましょう。
| 信託報酬 | 実質年利 | 20年後の資産額 | 差額(0.1%比) |
| 0.1% | 4.9% | 約259万円 | – |
| 0.5% | 4.5% | 約241万円 | -18万円 |
| 1.0% | 4.0% | 約219万円 | -40万円 |
信託報酬が0.1%と1.0%では、20年後に約40万円もの差が生まれます。この差は、毎年のコストが複利で効いてくるためです。たった0.9%の差でも、長期運用では無視できない金額になります。
さらに毎月3万円を積み立てながら20年間運用した場合、信託報酬0.1%では約1,233万円、1.0%では約1,120万円となり、約113万円の差が生まれます。積立投資では元本が増え続けるため、コストの影響はさらに大きくなります。
この結果から、複利効果を最大化するには、信託報酬の低いファンドを選ぶことが非常に重要だと分かります。0.1%でも低いファンドを選ぶことが、長期的な資産形成の成功につながります。
低コストファンドを選ぶには、まず同じカテゴリーの投資信託で信託報酬を比較することが基本です。国内株式インデックスファンドなら、同じ指数に連動する商品同士で比較します。
代表的な低コストファンドには、「eMAXIS Slimシリーズ」「楽天・インデックスファンドシリーズ」「SBI・Vシリーズ」などがあります。これらは信託報酬が0.1%前後と非常に低く、長期運用に適しています。
ただし、信託報酬だけでなく、購入時手数料や信託財産留保額などの他のコストも確認しましょう。最近は購入時手数料無料(ノーロード)のファンドが主流ですが、一部の商品では手数料がかかる場合もあります。
また、純資産総額が大きく、運用実績が安定しているファンドを選ぶことも重要です。コストが低くても、運用が不安定では意味がありません。信託報酬・運用実績・純資産総額の3つをバランスよく確認して選びましょう。
複利運用で気をつけたい5つのこと
複利効果は魅力的ですが、リスクや注意点も正しく理解しておく必要があります。適切な投資判断を行うために、以下の5つのポイントを押さえましょう。
投資信託は元本保証ではなく、相場変動により元本割れする可能性があります。複利効果は運用益が出ることが前提なので、相場が下落すれば複利効果どころか資産が減少します。
特に運用開始直後に大きく下落すると、その後の回復に時間がかかります。ただし、長期的には相場は上下を繰り返しながら成長する傾向があるため、短期的な下落に動揺せず、運用を継続することが大切です。
元本割れリスクを軽減するには、分散投資が有効です。複数の資産クラス(国内株式・外国株式・債券など)に分散することで、一つの資産が下落しても全体への影響を抑えられます。
相場が下落すると、保有している投資信託の評価額が減少し、複利効果も一時的にマイナスに働きます。含み損を抱えた状態では、複利どころではないと感じるかもしれません。
しかし、積立投資を続けている場合、相場下落時は安い価格で投資信託を購入できるチャンスでもあります。その後相場が回復すれば、安く買えた分が大きなリターンを生み、複利効果も回復します。
過去のデータを見ると、長期的には相場は上昇する傾向があります。リーマンショックやコロナショックのような大暴落も、数年で回復しています。相場下落時こそ冷静に運用を継続することが、複利効果を活かす鍵です。
複利効果は時間をかけるほど大きくなるため、途中で解約してしまうと効果が大幅に減少します。特に運用開始から10年未満で解約すると、複利効果を十分に享受できません。
急な出費で資金が必要になった場合でも、できるだけ投資信託は売却せず、緊急予備資金から対応することが理想です。そのため、投資資金と生活費・緊急予備資金は明確に分けて管理することが重要です。
どうしても一部を解約する必要がある場合は、全額ではなく必要最小限にとどめましょう。残りの資産で運用を継続すれば、複利効果は続きます。長期運用を前提に、無理のない金額で投資することが大切です。
複利効果は強力ですが、過信は禁物です。シミュレーションは一定の利回りを前提としていますが、実際の運用では利回りは変動します。想定通りのリターンが得られるとは限りません。
また、「複利効果があるから大丈夫」と考えて、リスクの高い商品に投資するのも危険です。高いリターンを狙うほどリスクも高まり、大きな損失を出せば複利効果も失われます。自分のリスク許容度に合った商品を選ぶことが重要です。
複利効果は長期運用の「味方」ですが、「魔法」ではありません。適切な商品選択、分散投資、長期継続という基本を守ってこそ、複利効果を活かせます。
複利効果で資産が増えても、インフレ率を考慮した「実質リターン」を確認することが重要です。年利5%で運用しても、インフレ率が2%なら実質リターンは約3%です。
特に長期運用では、インフレの影響が大きくなります。30年後に資産が2倍になっても、物価も2倍になっていれば、実質的な購買力は変わりません。インフレ率を上回るリターンを目指すことが、資産形成の基本です。
日本は長年デフレが続いていましたが、近年はインフレ傾向にあります。預金だけでは実質的に資産が目減りする可能性があるため、投資信託での運用を検討する価値があります。ただし、インフレ率も変動するため、定期的に運用状況を確認しましょう。
複利効果は預金でも得られます。たとえば定期預金で利息を受け取らずに元本に組み入れる「複利型定期預金」を選べば、利息にも利息がつきます。
ただし、現在の預金金利は非常に低く、年0.01%程度です。100万円を預けても年間100円の利息にしかならず、複利効果もほとんど実感できません。投資信託の年利3〜5%と比べると、資産の増加スピードに大きな差があります。
分配金を受け取ると、その時点で約20.315%の税金が差し引かれます(所得税15.315%、住民税5%)。税引き後の金額が口座に入金されます。
ただし、NISA口座で保有している投資信託の分配金は非課税です。税金がかからないため、分配金を全額再投資に回すことができ、複利効果が高まります。資産形成を目的とする場合は、NISAの活用がおすすめです。
複利効果が高い投資信託を選ぶには、以下の3つのポイントを確認しましょう。第一に、無分配型または分配金再投資型を選ぶこと。第二に、信託報酬が低いこと(0.5%以下が目安)。第三に、長期的に安定したリターンが期待できる商品を選ぶことです。
具体的には、インデックスファンドが複利運用に適しています。「eMAXIS Slimシリーズ」「楽天・インデックスファンドシリーズ」などは、信託報酬が低く、無分配型で長期運用に向いています。
少額投資でも複利効果は得られます。たとえば毎月1万円を年利5%で20年間積み立てた場合、元本240万円に対して運用資産は約411万円となり、約171万円の運用益が発生します。
複利効果は投資金額の大小ではなく、時間と継続が重要です。少額でも早く始めて長く続けることで、複利効果を最大限に活用できます。無理のない金額で今すぐ始めることが、将来の大きな資産につながります。
運用途中で資金が必要になった場合、まずは緊急予備資金や他の貯蓄から対応できないか検討しましょう。投資信託を売却すると、複利効果が途切れてしまいます。
どうしても必要な場合は、全額ではなく必要最小限の売却にとどめます。残りの資産で運用を継続すれば、複利効果は続きます。また、売却のタイミングも考慮し、できるだけ相場が回復している時期を選ぶことが望ましいです。
「元本保証で年利10%以上」「必ず儲かる」などの謳い文句は、詐欺の可能性が高いです。投資には必ずリスクがあり、高いリターンには高いリスクが伴います。元本保証と高利回りを同時に約束する商品は存在しません。
安全な投資信託を選ぶには、金融庁に登録された証券会社や運用会社の商品を選ぶことが基本です。公式サイトで登録番号を確認し、実績のある大手金融機関の商品を選ぶことで、詐欺被害を避けられます。
相続時の投資信託は、相続発生日の基準価額で評価されます。複利運用で増えた資産も含めて、その時点での時価が相続財産として計算されます。
NISA口座の投資信託も相続財産に含まれますが、相続人が引き継ぐ場合は非課税枠は引き継がれません。課税口座として相続されるため、その後の運用益には税金がかかります。相続対策も含めて、専門家に相談することをおすすめします。
投資信託における複利効果は、利益を再投資することで利益が利益を生み出す仕組みです。無分配型または分配金再投資型の投資信託を選び、長期運用を継続することで、複利効果を最大限に活用できます。
複利と単利の差は、運用期間が長くなるほど大きくなります。20年以上の長期運用では、複利効果が圧倒的な威力を発揮し、資産形成のスピードが大きく加速します。特にNISAを活用することで、税金がかからない分、複利効果がさらに高まります。
信託報酬などのコストは、長期的に複利効果に大きな影響を与えます。0.1%の差でも20年後には数十万円の差になるため、低コストファンドを選ぶことが重要です。また、72の法則を使えば、資産が2倍になる期間を簡単に計算でき、投資計画を立てる際に役立ちます。
ただし、複利効果を過信せず、元本割れのリスクや相場変動の影響も理解しておく必要があります。分散投資や長期運用の継続、生活費との明確な区別など、基本的なリスク管理を行うことが大切です。
複利効果は時間を味方につけることで最大化されます。少額からでも早く始めて長く続けることが、将来の大きな資産につながります。この記事で学んだ知識を活かして、複利効果を活用した資産形成を始めてみてください。
なお、投資信託は元本保証ではなく、相場変動により元本割れのリスクがあります。複利効果は運用成果に依存し、必ずしも利益を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任で行い、詳しくは各証券会社・運用会社の公式サイトでご確認ください。
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