賞与とは?税金との関係や計算方法をチェック

賞与とは?税金との関係や計算方法をチェック

会社員の方をはじめ、組織に属して働く方の多くが年に数回受け取る賞与。
毎回同じ金額とは限らないため、実際に受け取るまで金額が分からないこともあるのではないでしょうか。
この記事では、賞与に関わる税金や社会保険料から、賞与の手取り額を計算する方法をご紹介します。

賞与とは何か

賞与とは、定期の給与とは別に支払われる給与等で、ボーナス・夏期手当・年末手当・期末手当等の名目で支給される特別給与のことです。
労働基準法では「賃金の一種で労働の対価」と位置づけられています。
企業側からみると「企業業績や利益への従業員の貢献に対する報償」としての性格が強く、労働組合や労働者側からみると「毎月支払われるべき賃金の一部が後からまとめて支払われているにすぎない」という考えもあります。
しかしながら、賞与の決定要素は企業業績に左右されることが多いのが実状です。
一般的に、日本における賞与は所定内賃金の4〜6ヶ月、年間所得の30%前後を占めているといわれています。

定期給与との違い

賞与は月給などのように定期的に支払われるものではありません。
また、賞与と月給などの定期給与との大きな違いは、法的に必ず支払わなくてはならない賃金ではないことです。
そのため賞与のない企業もあり、企業は支払わなくても問題ありません。
支払う必要があるのは、就業規則等にそのような決まりが記載されている場合や会社が支払うと決めた場合です。
賞与を支給する場合は、就業規則に支給時期・算定期間・算定基準などを記載しておかなければいけません。

賞与の種類

よく支給されている賞与には、「ボーナス」「業績賞与」「決算賞与」など主に3種類があります。
「ボーナス」とは、月給などの基本給金とは別に年2回ほど定期的に支給される特別手当のことです。
日本では、夏期と冬期の年2回支給されることが多いです。
「業績賞与」とは、部署や個人の業務成績に応じて金額が決定される特別手当のことです。
「決算賞与」とは、企業の決算時期に、業績が好調な場合に従業員への利益配分として支給される特別手当のことです。

賞与と税金・社会保険料との関係

賞与は課税対象であり、企業側から提示された金額がそのまま手取りとして受け取れるわけではないので注意が必要です。
また、社会保険料なども控除されます。

賞与に関わる税金

賞与に課税されるのは所得税及び復興特別所得税(以下、所得税等)です。
月給などの定期給与にもこれらが課税されますが、算出方法が異なります。
定期給与は「給与所得の源泉徴収税額表(月額表及び日額表)」を使用して求め、賞与は「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を使用して求めます。
所得税法では所得は10種類に分類されますが、賞与も定期給与も給与所得に該当します。
そのため、支給時に控除される所得税等の計算方法は異なるものの、労働の対価を月給として受け取っても、賞与として受け取っても、1年という単位でみると差はありません。

控除される税金・社会保険料

控除される社会保険料は健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料です。
さらに雇用保険料も控除されますが、労災保険料は対象外です。
当然のことながら社会保険に加入していない従業員の賞与からは、社会保険料は差し引かれません。

賞与の手取り額と計算

日本における賞与は賃金コストの調整要因として位置づけられてきたこともあり、一般の会社員の年収に占める賞与の割合が高くなっています。
そのため、賞与でローンの返済をするなど、賞与を見込んで様々な支払い計画を立てている方が多いです。
そのような方は、「額面」と「手取り」の金額の違いを理解しておかないと困ることになる可能性もあるので注意が必要です。
会社の給与規定で計算された金額が「額面」、社会保険料と所得税等が控除された金額が「手取り」といわれます。

前述の通り、賞与は社会保険料と所得税等が控除されるため、それらを把握していれば、手取りの金額を計算することが可能です。

手取り額の計算方法

賞与の手取り額は計算方法を知っていれば、実際に銀行口座に振り込まれる前に把握しておくことも可能です。
もちろん社会保険料も所得税等も収入によって決まるため、賞与の額面も知っておく必要もあります。
計算方法は以下のようになります。

賞与の手取り額=賞与-(健康保険料+介護保険料+厚生年金保険料+雇用保険料)-源泉徴収税額

それぞれの社会保険料や税額は以下のように計算できます。
・健康保険料=賞与の金額×健康保険料率÷2
・厚生年金保険料=賞与の金額×厚生年金保険料率÷2
・雇用保険料=賞与の金額×雇用保険料率
・所得税等(源泉徴収税額)=(賞与の金額-社会保険料の合計額)×源泉徴収税率

所得税率は、前月給与の課税対象額と扶養親族の数等が関わるため、国税庁の「賞与に関する源泉徴収税額の算出率の表」で確認して計算する必要があります。
賞与から社会保険料を控除した額に税率を掛け、小数点以下を切り捨てた額が賞与に課せられる所得税額です。

このような計算方法を知っておけば、予想よりも手取り額が少なくて困ることも避けられます。

著 者

SOICO株式会社
共同創業者&代表取締役CEO
茅原 淳一 (かやはら じゅんいち)

慶應義塾大学卒業後、新日本有限責任監査法人にて監査業務に従事。 その後クレディスイス証券株式会社を経て2012年KLab株式会社入社。 KLabでは海外子会社の取締役等を歴任。2016年上場会社として初の信託を活用したストックオプションプランを実施。 2015年医療系ベンチャーの取締役財務責任者に就任。 2018年よりSOICO株式会社の代表取締役CEOに就任。公認会計士。

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