法人の種類や特徴とは?押さえておきたい起業の基礎知識

法人の種類や特徴とは?押さえておきたい起業の基礎知識

これから起業を検討している方の多くは「株式会社」の設立をイメージするのではないでしょうか。実は、「法人」は活動形態や目的によって、16もの種類に区分することができるのです。

今回は、そういった「法人」の基礎知識に触れつつ、一般的によく耳にする株式会社・合同会社の特徴を中心に解説していきます。

◆そもそも法人とは? 

法人とは、「法律で認められた人格」と定義されます。分かりづらい言い回しなので少し嚙み砕いてご説明します。

法律で人格を認められると、「権利能力」が発生します。私たち人間が普段、物を買ったり、教育を受けたりできるのは、この「権利能力」があるからです(人間も法律上「自然人」と呼ばれ、権利能力を認められた人格です)。

つまり、法人も権利能力を持った存在として、一人ひとりの人間と同じように行動することができるのです。

【権利能力によってできること】

・物を買う

・物を売る

・納税する

・教育を受ける

・裁判で争う

・損害賠償

・遺産を相続する など

◆法人の種類

大分類中分類小分類法人形態
私法人営利法人株式会社
持株会社合同会社
合資会社
合弁会社
非営利法人中間法人協同組合
管理組合
互助会
公益法人一般財団法人
公益財団法人
一般社団法人
公益社団法人
NPO法人
宗教法人
公的法人地方公共団体
独立行政法人
特殊法人

法人は上記16の形態に分類されますが、現在日本において設立が認められているのは、営利法人と非営利法人の2つです。

自身が設立可能な法人のなかで、ビジネスの目的からベストな形態を考えることが重要です。次からは、法人の中でも一般的な「株式会社」と「合同会社」に焦点を当てて説明していきます。

◆株式会社と合同会社の特徴

株式会社

法人の中でもっとも数が多いのが「株式会社」です。日本国内では、活動中の法人の約95%を株式会社が占めています。一般的に広く認知されていることもあり、他の形態の法人と比べて、社会的な信用がもっとも高いとも言えるでしょう。

株式会社には会社の代表権を持つ代表取締役がいます。さらに、任意ではありますが取締役を配置しているケースがほとんどで、取締役は株式会社の業務執行を行っています。

また、読んで字のごとく、株式会社は「株式」によって事業運営資金を得て、活動を行っている組織です。株式を買うことでその会社に資金を出した人のことを「株主」といい、企業のオーナーの一人として権利の一部を持つことになります。株式会社側は、株を発行することによって得られた資金を、株主に返す必要はありません(利益が出た場合、別途配当金という形で株主に還元しています)。

大企業を除き、日本国内の株式会社の9割以上を占める中小企業では、実態として代表取締役や取締役が株主として株を保有するケースが多いです。とは言え、株式会社の所有者(オーナー)が株主であることには変わりはありません。

合同会社

合同会社は比較的新しい会社形態です。2006(平成18)年5月1日の会社法改正によって新たに有限会社を設立することはできなくなり、代わりに「合同会社」という会社形態が誕生しました。今では「合同会社」という名称も徐々に浸透してきてはいますが、まだ歴史が浅いこともあり、株式会社と比べると認知度で劣ります。その分信用度も合同会社は低くなりがちなのも事実です。

ただ、合同会社という形態が不利というわけではありません。近年では設立数がどんどん増えていますし、

【合同会社の例】

・アマゾンジャパン合同会社

・Apple Japan合同会社

・ソフトバンクグループジャパン合同会社

・グーグル合同会社

合同会社の設立数が増加傾向にある理由としては、株式会社よりも少ない費用で設立できることや、組織設計を株式会社よりもフレキシブルに行えることなどが挙げられます。

費用の違いについては、株式会社と合同会社の違いのセクションで改めて触れていきます。

◆株式会社と合同会社の違い

下表には、株式会社と合同会社の主な違いを示しています。

 株式会社合同会社
役員1名以上の取締役、もしくは3名以上の取締役と1名以上の監査役か会計参与出資者(社員)

出資者の中より業務執行社員を特定することもできる。

取締役の任期2~10年(短縮も可能)定めはなし
監査役の任期4~10年定めはなし
最高意思決定機関株主総会出資者(社員総会)
行政執行機関取締役、または取締役会出資者(社員)
代表機関取締役、または代表取締役出資者または行政執行社員
利益配当出資比率による設定は自由

また、表以外での違いでの大きな違いとしては、法人の設立コストが挙げられます。

合同会社に必要なコストは、設立時の専門家への委託料や報酬を除くと、6万円程度に抑えることができます。一方で、株式会社の場合には登録免許税や公証人の手数料などの費用が発生します。最終的に、最低でも20万円程度の負担があると言われています。

合同会社と株式会社の違いについて、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
会社設立にかかる費用|合同会社と株式会社の違い・会社設立後の費用について解説

◆まとめ

これまであまり馴染みのなかった合同会社ですが、最近は株式会社と比較されることも増えてきました。組織設定がシンプルで理解しやすいためスピーディな意思決定が行えることや、事業運営のコストが安く抑えられることなどから、起業をする際に最近人気のある会社形態です。

起業に向け具体的に検討をすすめていらっしゃる方や、将来的に起業して自分の会社を持ちたいと思っていらっしゃる方は、会社の形態ごとにどのようなメリット・デメリットがあるのかを、しっかりと整理していただくことをおすすめします。その上で、ご自身の事業に合った会社形態を適切に選択していただければ幸いです。

『会社設立のミチシルベ』では会社設立を検討されている方をサポートしています。東京・埼玉・千葉・横浜で会社設立を検討している方や、株式会社・合同会社設立時に使える補助金・助成金については『会社設立のミチシルベ』までお気軽にお問い合わせください!

著 者

SOICO株式会社
共同創業者&代表取締役CEO
茅原 淳一 (かやはら じゅんいち)

慶應義塾大学卒業後、新日本有限責任監査法人にて監査業務に従事。 その後クレディスイス証券株式会社を経て2012年KLab株式会社入社。 KLabでは海外子会社の取締役等を歴任。2016年上場会社として初の信託を活用したストックオプションプランを実施。 2015年医療系ベンチャーの取締役財務責任者に就任。 2018年よりSOICO株式会社の代表取締役CEOに就任。公認会計士。

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