イグジットとは?種類やメリット・デメリットを詳しく解説

イグジットとは?種類やメリット・デメリットを詳しく解説

ベンチャー企業にとって目標の1つでもある「イグジット」。イグジットには、M&AやIPOをはじめ、金融機関から融資を受けた人に株式を買い取ってもらい、経営権を受け渡すMBOなど、その手法は多岐に渡ります。

この記事では、イグジットの種類やそれぞれのメリット・デメリットを分かりやすく解説します。

◆イグジットとは

イグジットとは株式を売却して利益を獲得し、投資資金を回収することです。イグジットが行われやすいケースを以下に示します。

  • 高い成長率が見込まれる上場していない企業(ベンチャーなど)
  • 企業再生を目指す企業

上記で示した株を持っている創業者や出資者は株式を売却し、投資に資金を回収したり利益を得たりしています。

企業売却による利益を目的とし、戦略的に売却を考えた結果、広がった売却手法だと言えるでしょう。

成長著しい企業の企業価値は高く、イグジットを行うことで莫大な利益を生み出す可能性があります。また後継者不在の企業がイグジットを行うケースも増えています。今後、日本でもイグジットによる売却が増えていくでしょう。

◆イクジットの種類

イグジットは株式売却や新規公開株などの総称で、種類は大きく分けて以下の3種類になります。

  • IPO
  • M&A
  • MBO

以下ではイグジットの種類ごとに、概要やメリット・デメリットを解説します。

IPO

IPOとは、証券取引所に株式を上場させることでイグジットする方法です。一般的に「株式公開」と呼ばれ、IPOを行う場合には、事前に購入したい投資家を募集・抽選を行った後、購入者を決定します。

一般的に上場直後の初値は株価が高騰する場合が多く、創業者や出資者はこのタイミングで株式を売却し、投資資金の回収と利益の獲得を目指します。

次に、IPOのメリットとデメリットは以下のとおりです。

メリットデメリット
市場から返済不要の資金調達管理コストの増加
認知度向上による売上・採用効率のUP経営自由度の制約
社内のインセンティブ拡充株主総会の対応

上場によって、多額の資金を得られるため、新たなビジネスに投資ができたり、経営陣が大きなキャピタルゲインを得られたりします。一方で、株主に対しての責任や大きな管理コストが発生します。

手間・時間・費用面でのコストが大きいので「上場しなければよかった」と考える経営者もいるほどです。

M&A

M&Aは「企業・事業の合併や買収」の事で、他の事業会社や投資会社に対して株式や事業を売却し、イグジットする方法です。「バイアウト」とも呼ばれ、株式譲渡や事業譲渡をするケースが多くあります。

M&Aは2010年に1,500件程度だったのに対し、2020年には3,000件を超える件数が成立しており増加傾向です。

日本は事業を最後まで収益化することを念頭に置いているのに対して、アメリカは初めから高付加価値をつけて売却することを目的として起業することがあります。

日本でもアメリカ同様のM&Aは行われていますが、日本では経営者の高齢化により事業を売却するM&Aが主流です。M&Aでは売り手と買い手によって得られるメリット・デメリットが違います。

売り手と買い手のメリット・デメリットは以下のとおりです。

買い手のメリット買い手のデメリット
事業の急激な規模拡大既存社員の反感および退職
人手不足解消期待通りの利益が埋めないと大きな損失となる
売り手のメリット売り手のデメリット
買い手が見つかればIPOより手続きが簡単既存社員からの反感
IPOの実現不可能な企業でもイグジットを果たせる可能性があるIPOに比べ、獲得できる利益が少ない傾向にある

M&Aの多くは従業員が在籍したまま会社を売却するため、従業員の多くは「自身の所属する会社を売られた」という意識になる方も少なくないでしょう。

物の売買ではなく、人の心が絡むので従業員に対してどのように説明するのか、メンタルケアが非常に重要になります。従業員に丁寧に説明することで、合併後の退職者を減らせると言われています。

MBO

MBOとは、経営陣が自分の会社の株式を創業者や出資者から買収する方法です。MBOは、「マネジメント・バイ・アウト」の略語です。

MBOでは、主に投資ファンドからの出資や金融機関の融資で資金を調達し、自社の株式を買い集め、経営権の獲得を目指します。

一般的に経営再建、敵対的買収の予防・阻止の目的でおこなわれることが多いですが、近年では中小企業の事業継承でMBOがおこなわれるケースもあります。

MBOのメリット・デメリットは以下のとおりです。

メリットデメリット
上場廃止によるコスト削減反対による失敗のリスク
株主からの解放経営の監視機能低下
会社のスリム化資金調達が困難
買収リスクの回避買収費用の返済

MBOでは、全ての発行済み株式の買取を行うので、成功すると上場廃止になります。上場廃止を担った場合、資金調達が難しくなるなどデメリットもありますが、株価・上場を維持するコストを削減できるメリットもあります。

また、上場廃止になると、株主との衝突リスクから解放されるのはメリットとなるでしょう。

◆日本におけるイグジットの動向

日本では、ベンチャー企業に対するイグジット方式はIPOを選択するケースが半数を占めます。一方アメリカでは約90%がM&Aによるイグジットです。

日本のベンチャー企業はゴール戦略が株式公開というパターンが多く、IPOを選択する動向となっています。

また、近年では経営者の高齢化や少子化の影響で、後継者がいない場合にM&Aによるイグジットを行うケースも増えています。以前は、親族内で事業継承されるケースが多くありましたが、近年M&Aが増加傾向です。

◆自身で運営するメリット・デメリット

まず自身で起業したら、安定した経営やビジネスモデルを確立させることが先決です。

イグジットを目標として起業される方もいらっしゃると思いますが、自身の理念や理想から起業する方もいるでしょう。

イグジットを意識せず、自身で事業を運営するメリット・デメリットは以下のとおりです。

メリットデメリット
経営を自分の判断で行える少資本で事業拡大スピードが遅くなる
報酬を自分の判断で行える第3者の目がないので経営が甘くなる

自身の理念や理想がある場合、株主の影響を受けずに経営を自分の判断で行えるのはメリットです。すぐに利益が上がらなくとも、自身の報酬を調整したりしながら経営を続けられます。ただし、利益がいつまでも上がらなければ、融資先の金融機関から意見される可能性はあるでしょう。

一方で第3者の目がないことで、経営が甘くなることや良いアドバイスを受けられないリスクがあります。少ない資本で経営を行うことでよいビジネスモデルであっても事業拡大のスピードが遅くなり、機会損失を招いてしまうリスクもあるでしょう。

イグジットはベンチャー企業の目標(ゴール)とするケースも多くあります。しかし、イグジットで多くの利益を生み出すためには、まず企業の成長、安定を目指し注力しましょう。そうすることで、莫大な利益を生み出せる可能性を秘めています。

◆まとめ

イグジットは、ベンチャー企業にとって目標のひとつになっています。

また、近年では経営者の高齢化で、後継者がいない場合に、M&Aなどのイグジットを利用するケースも増えています。

会社を起業した場合、1つのゴール戦略としてイグジットも検討してみてはいかがでしょうか。

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参照元:https://br-succeed.jp/content/knowledge/post-6931

著 者

SOICO株式会社
共同創業者&代表取締役CEO
茅原 淳一 (かやはら じゅんいち)

慶應義塾大学卒業後、新日本有限責任監査法人にて監査業務に従事。 その後クレディスイス証券株式会社を経て2012年KLab株式会社入社。 KLabでは海外子会社の取締役等を歴任。2016年上場会社として初の信託を活用したストックオプションプランを実施。 2015年医療系ベンチャーの取締役財務責任者に就任。 2018年よりSOICO株式会社の代表取締役CEOに就任。公認会計士。

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