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【独占インタビュー】島谷ひとみさんがICheck社外取締役に就任された経緯とは
世界的にESG投資が拡大し、SDGsがあらゆるセクターで重要指針に位置づけられる中、日本でも女性活躍に積極的な企業が名実ともに評価される動きが広まっています。
ガバナンスや投資効果の観点からも、とりわけ『女性の社外役員登用』のニーズが成長企業において高まり続けています。
今回ご紹介するICheck株式会社(以下、ICheck)は、新型コロナウイルス等の検査キットを医療機関や企業、個人へ提供することを主事業としている企業です。afterコロナに向けて、テクノロジーを通して人々が安心して暮らせる環境を創り出すことをビジョンとしています。
この度、歌手の島谷ひとみさんを社外取締役に迎え、若者を意識した新型コロナウイルス感染症の予防啓発に力を入れています。一体どのような経緯から島谷さんが社外取締役にご就任されたか、その背景に迫ります。
島谷ひとみさんが社外取締役に就任された経緯は?
コロナ禍でも安心してライブができるよう、島谷さんのライブでスタッフ含め検査のサポートをしたというICheckの金子社長。まずは、お二人にそのときのことを振り返ってもらいました。
【金子社長】
その頃はコロナの蔓延が酷く、安心してライブができるかどうかもまだ分からない状態でした。コロナ感染者が出てしまうと業界全体にも響いてしまう状況下で、何かお手伝いができることがないかと思っていたんですね。僕としても安心・安全な体制でライブを成功させたかったので、島谷さんに「スタッフだけでも自社の検査キットで検査をできないか」と話を持ちかけ、それがきっかけで島谷さんと関わりが持てるようになりました。
【島谷さん】
金子社長がライブ前に検査を勧めてくださったのは嬉しかったです。正直、私もコロナ感染が怖いですし、スタッフみんなも不安だろうなと思っている中、私が検査したことによって、スタッフみんなから「ありがとうございます」「安心して家に帰れます」と感謝されたんですね。人と人との間に「安心感」や「信頼関係」がないと、コミュニケーションは成立しないものだと改めて感じました。それを教えてくださったのが金子社長でした。
今もまだコロナは終息していませんが、これからの時代はこのようなことが色々と起こり得る中でヒントをいただきました。私たちのような、答えのない職業の人間をサポートしてくださったことがとても嬉しかったです。それで私、できることは何でもやりますってお伝えしたんです。
島谷さんがアンバサダーから社外取締役になるにあたって感じたことは?
ICheckのアンバサダーに就任し、その後、社外取締役に就任された島谷さんですが、金子社長は島谷さんにどのような役割を期待されているのでしょうか。
【金子社長】
コロナをはじめ、年間3,000人以上もの方が亡くなっている子宮頸がんなど、社会全体の問題として取り組むべき疾患が多い中、当社としては生涯を通じた健康の保持のためにも「検査の重要性」を啓発していきたいと考えています。
島谷さんには当初アンバサダーとしての活躍を期待していましたが、今後は啓発活動に当社の人間として協力していただきたい思いから、今回社外取締役への就任をお願いした次第です。
【島谷さん】
アンバサダーをお引き受けした理由は、一般的な広告やコマーシャルといった類のお仕事ではなく、日々さまざまな人たちに触れ合う機会が多い中、その度に「呼びかける」ということができるお仕事だったからです。
社外取締役になってもその基本的な考えは変わっていません。人の命や未来に関わるお仕事ですので、「どうやったら世の中の人に認知してもらえるか」「本来私たちが伝えたいメッセージを認識してもらうためにはどうしたら良いか」といったように、私のこれまでの経験を活かして携われるのではないかと思い、お引き受けしました。
ご就任されてから、実際にどのような面で良い影響がありましたか?
【島谷さん】
ライブをやるための抗体検査や、感染予防対策の徹底は、音楽業界においては私たちが率先し行っていました。今ではテレビ局全体でも社員全員がコロナ対策を行っていますけど、その辺への影響力って絶対あったと思うんです。
「あの人もやっているから」という事実が不安材料を消すことになるし、勇気を出して先陣を切ることや、「私はこれをやって生きていくんだ。前に進むんだ」という強い意志表示があれば、多くの人が良い影響を受けるものだと思っています。
ですので、今回検査をしてライブをやったのは絶対プラスの影響があったと思うんです。
島谷さんが社外取締役になってからはどのようなに関わり方をされていますか?
【金子社長】
島谷さんのタイミングが合えば、イベントや取締役会などにも出席いただきますが、そもそも島谷さんに本業で活躍してもらうことが僕たちの意思でもあるわけです。
ですので、今回のインタビューのように上手く場を調整しながら、互いがWIN-WINの関係を構築できたらと思っています。
【島谷さん】
実際の業務内容としては、相手と触れ合った時に受けた印象を金子社長に報告したり、会議の司会進行などをやらせていただいています。
また、普段心掛けていることですが、あまり人の立ち位置を意識せず、分からないことや疑問に思うことは素直に尋ねたり、質問したりするようにしています。割とフラットに「えっ、それは何ですか?」って(笑)
なぜなら、どの企業に勤めても、どんな世界でもその方が得だと思うからです。
人間関係にしても、私がこれまで会ったことない人たちばかりですし、反対に相手の方にとっても、私は会ったことのないタイプでしょうから、分からないことは「分からない」と素直に伝えるようにしています。
社会で活躍する女性が増えている中で感じていることは?
欧米諸国にならい、日本においても活躍する女性が増え、少しずつではありますが、女性がキャリアを形成する環境が整いつつあります。ICheckは社内の女性比率も高いため、女性が活躍するために経営者としてどのような工夫や取り組みをされているか金子社長にお話を伺いました。
【金子社長】
女性の活躍できる場は広がっていますが、目下の課題は「チャンスを与える環境をいかに作っていけるか」が大切だと思っています。たとえば「働きやすさ」や「安心感」なども大事にすべきですよね。最近分かってきたのは、安定や安心感があれば、女性はより一層頑張れるんだなって。
また、さまざまなライフスタイルに合わせたフレキシブルな制度を作っていくことも考えなければいけないと思っています。たとえば、誰かが緊急の事情で急遽参加できないときに、「どうすればその人の代わりを埋められるか」の仕組み作りなどです。
あとちょっとしたプレゼントとかも大事かな。僕の知り合いの美容師が出した新商品のシャンプーなんかをプレゼントすると、みんな凄く喜んでくれるんですよ(笑)
島谷さんの活動の幅が広がる上で今後どのようなキャリアの展望を抱いていますか?
【島谷さん】
私は瀬戸内の田舎から東京に出て来たのですが、最初は当然肩書なんて持っていないし、戦うための武器や道具も持っておらず、女性ということで苦労をしてきた経験もあります。それでも、環境や条件に気負うことなく、人がやらないことや嫌がることに対しては積極的に手を挙げるようにして、逆にそれらすべてを個性に変えて生きてきた自信があります。
私の生き方とか方向性が正しいどうかは死ぬ前に考えれば良いかなと思っていますが、これからの未来を担う若者たちのためにも、生きていくアイデアや方法を伝えるための架け橋になれれば良いなと思っています。
キャリアアップを目指す女性に一言メッセージをお願いします
【島谷さん】
すべての物事は未来に向かっていく中での想い出づくりであり、絶対につながっていくものだと思うんですね。ですので、いろんなことに興味をもっていただき、勇気を出してチャレンジしてもらいたいなと思っています。
この記事を書いた人
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)

慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。ベンチャー企業から上場企業まで、年間1000社近くの資本政策や組織運営の相談に乗る。特にストックオプションを始めとする株式報酬制度の導入支援を専門とする。